(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6390967
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】オープニングトリムウエザストリップ
(51)【国際特許分類】
B60R 13/06 20060101AFI20180910BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20180910BHJP
【FI】
B60R13/06
B60J10/86
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-55730(P2015-55730)
(22)【出願日】2015年3月19日
(65)【公開番号】特開2016-175456(P2016-175456A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】野尻 昌利
(72)【発明者】
【氏名】大塚 洋史
【審査官】
田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−119350(JP,A)
【文献】
特開2011−189880(JP,A)
【文献】
特開2003−081024(JP,A)
【文献】
特開平08−192632(JP,A)
【文献】
特開2014−196054(JP,A)
【文献】
特開2001−260768(JP,A)
【文献】
特開平05−031784(JP,A)
【文献】
特表2013−525172(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0112645(US,A1)
【文献】
特開2000−038034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/06
B60J 10/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部周縁に形成されたフランジに取付けられ自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
該オープニングトリムウエザストリップは、上記フランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、自動車ドアのドアフレーム又はドアパネルの外周に当接して上記自動車ドアと上記車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有し、
上記中空シール部は、上記取付基部から形成される中空根元部と、該中空根元部から上記取付基部の先端側に屈曲して車外側に延設される中空延出部から形成され、
上記中空根元部は、上記取付基部の車外側側壁と、該車外側側壁から延設される第1側部シール壁根元部と、上記車外側側壁から延設される第2側部シール壁保持部と、該第2側部シール壁保持部から延設される第2側部シール壁根元部と、上記第1側部シール壁根元部と上記第2側部シール壁根元部を接続する中空保持壁から形成され、
上記中空延出部は、上記第1側部シール壁根元部から延設される第1側部シール壁先端部と、上記第2側部シール壁根元部から延設される第2側部シール壁先端部と、上記中空保持壁から形成され、
上記ドアフレームよりも下部に位置する上記ドアパネルを上記車体開口部周縁に取付けるドアヒンジのドアヒンジ近傍に取付けられる部分の上記中空シール部の上記中空延出部の変形剛性が、他の部分の上記中空延出部の変形剛性よりも高く形成されていることを特徴とするオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項2】
上記中空シール部の上記中空延出部の変形剛性が他の部分の上記中空延出部の変形剛性よりも高く形成されている上記中空シール部の上記中空延出部は、上記中空シール部の上記中空延出部の他の部分の上記中空延出部の肉厚よりも厚く形成された請求項1に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項3】
上記中空シール部の上記中空延出部の他の部分の上記中空延出部のシール壁の肉厚よりも厚く形成された部分は、上記中空延出部のシール壁の全体に亘り厚肉に形成された請求項2に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項4】
上記中空シール部の上記中空延出部の他の部分の上記中空延出部のシール壁の肉厚よりも厚く形成された部分は、上記中空延出部の一方のシール壁が厚肉に形成された請求項2に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項5】
上記中空シール部の上記中空延出部の変形剛性が他の部分の上記中空延出部の変形剛性よりも高く形成されている上記中空シール部の上記中空延出部は、上記中空シール部の上記中空延出部と上記中空根元部の境界付近のシール壁が他の部分の上記中空延出部と上記中空根元部の境界付近のシール壁の肉厚よりも厚く形成された請求項1に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項6】
上記中空シール部の上記中空延出部のシール壁の肉厚が厚く形成された部分と、他の上記中空延出部とは、肉厚が徐変して形成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項7】
上記中空シール部の上記中空根元部と上記中空延出部は、隔壁部で区切られた請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項8】
上記中空シール部の上記中空根元部と上記中空延出部は、連通して形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項9】
上記中空シール部の上記中空根元部と上記中空延出部の境界部分の中空シール壁は、屈曲部が形成された請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【請求項10】
上記取付基部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁から構成される断面略U字形に形成された請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のオープニングトリムウエザストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールする自動車用のオープニングトリムウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、
図7に示すように、自動車のドアと車体開口部周縁との間のシールは、ドアのドアフレーム2の内周のチャンネル(図示せず)に取付けられるガラスラン(図示せず)と、車体開口部周縁6の開口付近に取り付けられた開口部ウエザストリップ(図示せず)と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられた後述するオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。
【0003】
図7及び
図8に示すように、オープニングトリムウエザストリップ110は、1本の押出成形で成形され、接続部111で環状に接続され、車体の車体開口部周縁6のほぼ全周に取付けられて、ドアを閉めると、ドアフレーム2又はドアパネルの外周に当接してシールする。
図9に示すように、車体開口部周縁6にはフランジ7が設けられ、フランジ7にオープニングトリムウエザストリップ110が取付けられ、フランジ7は、インナーパネル8とアウターパネル9の先端が溶接により固着されて形成されている。
【0004】
オープニングトリムウエザストリップ110は、
図9に示すように、中空シール部130と断面略U字形の取付基部(トリム部)120を有し、取付基部(トリム部)120により上記のフランジ7に取付けられる。このトリム部120は、車外側側壁121、車内側側壁122及び底壁123から形成された断面略U字形に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図9に示すように、車外側側壁121及び車内側側壁122の断面略U字形のそれぞれの内面には、フランジ7を把持するために、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125が形成されている。フランジ7がトリム部120に挿入されると、車外側保持リップ124と車内側保持リップ125の先端が撓んで、フランジ7のそれぞれの側面に圧接されてフランジ7を保持し、オープニングトリムウエザストリップ110を取付けることができる。
【0006】
そして、中空シール部130は、フランジ7の根元側の側壁を構成する第1側部シール壁131と、フランジ7の先端側の側壁を構成する第2側部シール壁132とから構成される。中空シール部130は、ドア閉時にドアフレーム2に当接して、ドアと車体開口部周縁6との間をシールするが、ドア閉力を軽減させるために、第2側部シール壁132に屈曲部138が形成されている。
【0007】
このため、
図9に示すように、ドアフレーム2のドアフレーム膨出部2aが中空シール部130に当接すると、屈曲部138が折り畳まれるように屈曲して、中空シール部130が撓むことができる。このため、ドア閉力を下げることができるが、中空シール部130がドアフレーム膨出部2aに当接するときの面圧が低くなるとシール性か低下することとなる。
【0008】
このため、
図10に示すように、トリム部220をフランジ7に取付けて、中空シール部230を中空根元部234と中空延出部235の2個の中空部を形成したオープニングトリムウエザストリップ210がある(例えば、特許文献2参照。)。この場合は、中空シール部230の中空根元部234のシール壁に屈曲部235、235を設けて、ドア閉力の低下とシール性の確保をしようとするものがある。
【0009】
しかしながら、オープニングトリムウエザストリップ210は、車体開口部周縁6の全周に亘り取付けられるため、車体開口部周縁6の部位によりドアフレーム2がオープニングトリムウエザストリップ210の中空延出部235に対して、当接する方向が異なる。このため、中空シール部230がドアと当接する面圧が車体開口部周縁6の部位により異なることに対する対応が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−189880号公報
【特許文献2】特開2005−119350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このため、本発明は、取付部位に応じて適切な面圧を確保して、シール性が確保できる自動車用オープニングトリムウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部周縁に形成されたフランジに取付けられ自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
オープニングトリムウエザストリップは、フランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、自動車ドアのドアフレーム又はドアパネルの外周に当接して自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有し、
中空シール部は、取付基部から形成される中空根元部と、中空根元部から
取付基部の先端側に屈曲して車外側に延設される中空延出部から形成され、
中空根元部は、取付基部の車外側側壁と、車外側側壁から延設される第1側部シール壁根元部と、車外側側壁から延設される第2側部シール壁保持部と、第2側部シール壁保持部から延設される第2側部シール壁根元部と、第1側部シール壁根元部と第2側部シール壁根元部を接続する中空保持壁から形成され、
中空延出部は、第1側部シール壁根元部から延設される第1側部シール壁先端部と、第2側部シール壁根元部から延設される第2側部シール壁先端部と、中空保持壁から形成され、
ドアフレームよりも下部に位置するドアパネルを車体開口部周縁に取付けるドアヒンジのドアヒンジ近傍に取付けられる部分の中空シール部の中空延出部の変形剛性が、他の部分の中空延出部の変形剛性よりも高く形成されていることを特徴とするオープニングトリムウエザストリップである。
【0013】
請求項1の本発明では、フランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、自動車ドアのドアフレーム又はドアパネルの外周に当接して自動車ドアと車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有する。このため、取付基部がフランジに取付けられると、中空シール部がドアフレーム又はドアパネルの外周に当接してドアフレーム又はドアパネルの外周と車体開口部周縁との間をシールすることができる。中空シール部は、中空状に形成されたため、ドアの組付けのバラツキがあっても確実にドアフレーム膨出部の広い部分に柔軟に当接して、シール性を確保することができる。
【0014】
中空シール部は、取付基部から形成される中空根元部と、中空根元部から
取付基部の先端側に屈曲して車外側に延設される中空延出部から形成される。このため、中空根元部が取付基部に確実に固定されるとともに、中空延出部が中空根元部とは別にドアに対して撓んで当接することができ、ドアと車体開口部周縁との間のシール性を確保することができる。
【0015】
ドアフレームよりも下部に位置するドアパネルを車体開口部周縁に取付けるドアヒンジのドアヒンジ近傍に取付けられる部分の中空シール部の中空延出部の変形剛性が、他の部分の中空延出部の変形剛性よりも高く形成されている。このため、
ドアフレームよりも下部に位置するドアパネルを車体開口部周縁に取付けるドアヒンジのドアヒンジ近傍のドアと当接する部分において、ドアに対する中空延出部の面圧を向上させて、ドアの侵入方向の違いによるドアと車体開口部周縁との間のシール力の低下を防止することができる。
【0016】
請求項2の本発明は、中空シール部の中空延出部の変形剛性が他の部分の中空延出部の変形剛性よりも高く形成されている中空シール部の中空延出部は、中空シール部の中空延出部の他の部分の中空延出部の肉厚よりも厚く形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0017】
請求項2の本発明では、中空シール部の中空延出部の変形剛性が他の部分の中空延出部の変形剛性よりも高く形成されている中空シール部の中空延出部は、中空シール部の中空延出部の他の部分の中空延出部の肉厚よりも厚く形成されている。このため、中空延出部の肉厚を押出成形等により厚く形成することにより、中空延出部の他の部分と比べて変形剛性を向上させて、中空延出部の面圧を向上させて、シール性を確保することができる。
【0018】
請求項3の本発明は、中空シール部の中空延出部の他の部分の中空延出部のシール壁の肉厚よりも厚く形成された部分は、中空延出部のシール壁の全体に亘り厚肉に形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0019】
請求項3の本発明では、中空シール部の中空延出部の他の部分の中空延出部のシール壁の肉厚よりも厚く形成された部分は、中空延出部のシール壁の全体に亘り厚肉に形成された。このため、ドアヒンジ近傍の中空延出部のシール壁の全体の変形剛性を確実に向上させて、シール性を確保することができる。
【0020】
請求項4の本発明は、中空シール部の中空延出部の他の部分の中空延出部のシール壁の肉厚よりも厚く形成された部分は、中空延出部の一方のシール壁が厚肉に形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0021】
請求項4の本発明では、中空シール部の中空延出部の他の部分の中空延出部のシール壁の肉厚よりも厚く形成された部分は、中空延出部の一方のシール壁が厚肉に形成された。このため、ドアヒンジ近傍の中空延出部の変形剛性を必要な程度向上させて、ドア閉力を増大させずに、シール性を確保することができる。
【0022】
請求項5の本発明は、中空シール部の中空延出部の変形剛性が他の部分の中空延出部の変形剛性よりも高く形成されている中空シール部の中空延出部は、中空シール部の中空延出部と中空根元部の境界付近シール壁が他の部分の中空延出部と中空根元部の境界付近のシール壁の肉厚よりも厚く形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0023】
請求項5の本発明では、中空シール部の中空延出部の変形剛性が他の部分の中空延出部の変形剛性よりも高く形成されている中空シール部の中空延出部は、中空シール部の中空延出部と中空根元部の境界付近シール壁が他の部分の中空延出部と中空根元部の境界付近のシール壁の肉厚よりも厚く形成された。このため、ドアが中空シール部に当接して、中空延出部が中空根元部に対して撓むときに、中空延出部が撓みにくくなり、変形剛性が向上して、シール性を確保することができる。
【0024】
請求項6の本発明は、中空シール部の中空延出部のシール壁の肉厚が厚く形成された部分と、他の中空延出部とは、肉厚が徐変して形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0025】
請求項6の本発明では、中空シール部の中空延出部のシール壁の肉厚が厚く形成された部分と、他の中空延出部とは、肉厚が徐変して形成された。このため、ドアが中空シール部に当接して、中空延出部が中空根元部に対して撓むときに、中空延出部の撓みが、中空延出部のシール壁の肉厚が厚く形成された部分と他の部分と境界部分が円滑に撓んで、シール性を確保することができる。
【0026】
請求項7の本発明は、中空シール部の中空根元部と中空延出部は、隔壁部で区切られたオープニングトリムウエザストリップである。
【0027】
請求項7の本発明では、中空シール部の中空根元部と中空延出部は、隔壁部で区切られたため、中空延出部が中空形状となり、中空延出部の変形剛性が向上して、シール性を確保することができる。
【0028】
請求項8の本発明は、中空シール部の中空根元部と中空延出部は、連通して形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0029】
請求項8の本発明では、中空シール部の中空根元部と中空延出部は、連通して形成されたため、中空延出部の剛性の剛性が低下して、ドアヒンジの近傍以外の部分のドア閉力を低下させることができる。
【0030】
請求項9の本発明は、中空シール部の中空根元部と中空延出部の境界部分の中空シール壁は、屈曲部が形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0031】
請求項9の本発明では、中空シール部の中空根元部と中空延出部の境界部分の中空シール壁は、屈曲部が形成されたため、オープニングトリムウエザストリップ全体の中空シール部の撓み荷重を低減することができ、ドア閉力を軽減することができる。
【0032】
請求項10の本発明は、取付基部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁から構成される断面略U字形に形成されたオープニングトリムウエザストリップである。
【0033】
請求項10の本発明では、取付基部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁から構成される断面略U字形に形成されたため、フランジを断面略U字形の内部で保持して、車外側側壁と車内側側壁の内部に形成された車外側保持リップと車内側保持リップとで強固に挟持することができる。
【発明の効果】
【0034】
オープニングトリムウエザストリップが車体開口部周縁のドアヒンジ近傍に取付けられる部分の中空シール部の中空延出部の変形剛性が、他の部分の中空延出部の変形剛性よりも高く形成されているため、ドアヒンジ近傍において、ドアの侵入方向の違いによるドアと車体開口部周縁との間のシール力の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップをフランジに取付けた状態の断面図であり、
図8におけるA−A線に沿った断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップをドアヒンジ近傍のフランジに取付けた状態断面図であり、
図8におけるB−B線に沿った断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの断面図であり、
図8におけるB−B線に沿った断面図である。
【
図4】本発明の第3の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの断面図であり、
図8におけるB−B線に沿った断面図である。
【
図5】本発明の第4の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの断面図であり、
図8におけるA−A線に沿った断面図である。
【
図6】本発明の第5の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップの断面図であり、
図8におけるA−A線に沿った断面図である。
【
図7】自動車のドアを開いた状態における後方から見た斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態であるドアオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【
図9】従来のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口部周縁に取付けた状態における断面図である。
【
図10】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口部周縁に取付けた状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施の形態を、
図1〜
図8に基づき説明する。
図7に示すように、自動車の車体1は、ドア開口部を有し、そのドア開口部は、開閉部材であるドアにより開閉される。ドア開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6には、車体1を構成するアウターパネル9とインナーパネル8等の先端が溶接されたフランジ7(
図1、2参照)を備えている。フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により、溶接されるパネルの数が2枚〜8枚程度まで変化する。
【0037】
このドアと車体開口部周縁6との間のシールは、ドアのチャンネルに取り付けられ、ドアガラス5とドアフレーム2の内周との間をシールするガラスラン(図示せず)と、車体開口部周縁6の開口側をシールする開口部ウエザストリップ(図示せず)と、フランジ7取り付けられ、開口部ウエザストリップよりも車内側をシールするオープニングトリムウエザストリップ10により行われる。
【0038】
本発明は、このオープニングトリムウエザストリップ10に関するものである。オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、
図8に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、環状となるようにフランジ7に装着される。装着は、オープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着され装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合することとなる。この端末は、接続部11により型接合されて環状に形成されていてもよい。
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。
【0039】
オープニングトリムウエザストリップ10は、
図1及び
図2に示すように、フランジ7に取付けられる、断面略U字形のトリム部(取付基部)20と、トリム部20から一体的に形成され、ドアフレーム2のドアフレーム膨出部2aに当接して、ドアと車体開口部周縁6との間をシールするシール部である中空状の中空シール部30を有する。本発明の実施の形態をドアフレーム2に当接するオープニングトリムウエザストリップ10を例にとり説明する。
本発明は、トリム部20の車外側側壁21の外面に、中空シール部30が一体的に設けられている。中空シール部30については後述する。
【0040】
取付基部であるトリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23からなり、断面略U字形に形成されている。トリム部20の内部には、フランジ7を把持する強度を増加させるために、インサート部材27が埋設されている。インサート部材27は、板金や硬質樹脂で形成され、コーナー部に取付けられるときの柔軟性を確保するため、梯子状や、魚の骨状、ジグザグ状等に形成されている。トリム部20はソリッド材又は微発泡材で形成されている。
【0041】
車外側側壁21と車内側側壁22の内面にはそれぞれ長手方向に延設され、フランジ7を挟持する車外側保持リップ24と車内側保持リップ25が形成される。このため、車外側保持リップ24と車内側保持リップ25のそれぞれの先端がフランジ7の両側の側面にそれぞれ当接して、フランジ7を強固に保持する。このため、トリム部20が倒れることがなく、中空シール部30がドアフレーム2に確実に当接して、シール性を確保することができる。
【0042】
本実施の形態における車内側保持リップ25は、1本で長く形成されている。このため、車内側保持リップ25により、フランジ7の肉厚が変化しても、車内側保持リップ25が撓んで、フランジ7が車外側側壁21側に押圧されて、フランジ7を安定して保持することができる。車内側保持リップ25の先端は底壁23方向に屈曲して形成され、フランジ7を保持しやすくされている。
【0043】
本実施の形態における車外側保持リップ24は、押出成形後では、1本短く形成され、車内側保持リップ25は、長く1本で断面略U字形の内部に斜め方向に突出形成されている。このため、フランジ7は車外側側壁21の内面側に位置して、車外側保持リップ24で保持されている。また、フランジ7の凹凸や曲がりに対しても確実に追従しフランジ7に当接し、シール性を確保することができる。
車内側側壁22と底壁23の連続部分から車内方向にカバーリップ28が延設され、車内に取付けられたガーニッシュ40の先端を覆っている。
【0044】
車外側側壁21の先端に、フランジ7と当接する車外側シールリップ26が設けられている。このため、
図1に示すように、トリム部20をフランジ7に取付けると、車外側シールリップ26がフランジ7の根元部分に当接して、アウターパネル9と車外側側壁21の隙間を塞ぎ、アウターパネル9を伝わって流入した雨水が、車外側側壁21との間から車室内に進入することを防止できる。
【0045】
次に、シール部である中空シール部30について説明する。まず、
図1と
図2に基づき本発明の第1の実施の形態について説明し、その後、
図3〜
図6に基づき本発明の第2〜第5の実施の形態について説明する。本発明の第1〜第5の実施の形態においては、取付基部であるトリム部20の形状は上記に記載した形状と同じである。
【0046】
中空シール部30の断面形状について、ドアヒンジ近傍に取付けられる部分と、ドアヒンジ近傍以外の他の部分に取付けられる部分が異なり、まずドアヒンジ近傍以外の他の部分に取付けられる部分の断面形状について
図1に基づき説明し、ドアヒンジ近傍に取付けられる部分の断面形状について
図2に基づき説明する。
【0047】
本発明の第1の実施の形態において、中空シール部30は、2つの中空部から形成され、トリム部20の車外側側壁21から一体的に形成される中空根元部34と、中空根元部34から形成される中空延出部35から形成される。中空シール部30は、車外側側壁21の先端付近から延設される第1側部シール壁31と車外側側壁21の底壁23との連結付近から延設される第2側部シール壁32から形成されている。
【0048】
中空シール部30は比重が0.5〜0.7のスポンジ材で形成することが好ましい。この場合には、中空シール部30は柔軟性を有して、自動車ドアのドアフレーム2の変化に応じて当接することができ、ドアフレーム2との間のシール性を確保することができる。さらに、オープニングトリムウエザストリップ10の全体の重量を軽減して、自動車の軽量化に貢献することができる。
【0049】
第1側部シール壁31は、第1側部シール壁根元部31aが車外側側壁21から延出されて、第1側部シール壁屈曲部31cで屈曲して、先端側は第1側部シール壁先端部31bが形成されている。
第2側部シール壁32は、第2側部シール壁保持部32dが車外側側壁21から屈曲して形成され、第2側部シール壁保持部32dから第2側部シール壁根元部32aと第2側部シール壁先端部32bが円弧状に延設されている。
【0050】
中空根元部34において、第1側部シール壁根元部31aは、車外側側壁21の延出部21bの接続面21aに先端が接続されて、第1側部シール壁屈曲部31cで中空保持壁33と接続している。中空保持壁33は、第2側部シール壁根元部32aと第2側部シール壁先端部32bの連続部分に一体的に接合している。
【0051】
このため、中空根元部34は、第1側部シール壁根元部31a、中空保持壁33、第2側部シール壁根元部32a及び第2側部シール壁保持部32dと車外側側壁21で中空状の壁を形成している。第2側部シール壁保持部32dは、車外側側壁21と同じソリッド材で形成され、他の部分はスポンジ材で形成されている。
【0052】
中空延出部35は、第1側部シール壁先端部31bと第2側部シール壁先端部32bの先端は合体して、第1側部シール壁先端部31bと、第2側部シール壁先端部32b及び中空保持壁33で中空状の壁を形成している。
第2側部シール壁根元部32aの外面と第2側部シール壁先端部32bの根元側の外面には、ソリッド材からなる第2側部シール壁表皮層32cが形成されている。このため、第2側部シール壁32の表面が円滑となり、見栄えが向上する。
【0053】
中空延出部35は、中空根元部34に対して、第1側部シール壁屈曲部31cの部分で屈曲して形成されている。中空延出部35は屈曲して形成されたため、中空延出部35にドアフレーム2が当接したときに、ドアは中空延出部35の横方向(
図1に示す矢印方向)から当接するため、屈曲部分で撓んで、中空シール部30の撓み荷重を低減することができ、ドア閉力を軽減することができる。
【0054】
次に、
図2に基づき、中空シール部30の断面形状について、ドアヒンジ近傍に取付けられる部分について説明する。ドアヒンジ近傍に取付けられる部分は、
図8にXで示す範囲に形成される。ドアヒンジ近傍に取付けられる部分では、ドア閉時に、ドアは中空延出部35の第2側部シール壁先端部32bの面の直角方向(
図2に示す矢印方向)から当接するため、中空延出部35が変形するときの反力が小さく、中空延出部35がドアと当接する面圧が小さくなり、シール性が低下する。
【0055】
このため、ドアヒンジ近傍においては、オープニングトリムウエザストリップ10が車体開口部周縁6のドアヒンジ近傍に取付けられる部分の中空延出部35の変形剛性が、他の部分の中空延出部35の変形剛性よりも高く形成されている。これにより、ドアヒンジ近傍において、ドアの侵入方向の違いによるドアと車体開口部周縁6との間のシール力の低下を防止することができる。
【0056】
本発明の第1の実施の形態では、中空延出部35の変形剛性を高くするために、中空延出部35のシール壁である第1側部シール壁先端部31bと第2側部シール壁先端部32bの肉厚を全体に亘り他の部分よりも厚く形成している。中空延出部35の内部に中空シール部厚肉部36が形成されている。中空シール部厚肉部36の形成は、オープニングトリムウエザストリップ10を押出成形するときに、可変ダイスを使用して、中空延出部35の部分を厚肉に押出して、成形する。
このため、ドアヒンジ近傍の中空延出部35のシール壁の全体の変形剛性を確実に向上させて、シール性を確保することができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態において、
図3に基づき説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態とは中空延出部35の中空シール部厚肉部36の形状が異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分について説明し、同様な部分の説明は省略する。
第2の実施の形態では、中空延出部35の中空シール部厚肉部36は、第2側部シール壁先端部32bのみに形成されている。
【0058】
このため、ドア閉時にドアが当接する第2側部シール壁先端部32bの側にのみ厚肉に形成して、ドアヒンジ近傍の中空延出部35の変形剛性を必要な程度向上させることができる。従って、ドア閉力を制御して、ドア閉力を大きく増大させることなく、シール性を確保することができる。
【0059】
次に、本発明の第3の実施の形態において、
図4に基づき説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態とは中空延出部35の中空シール部厚肉部36の形状が異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分について説明し、同様な部分の説明は省略する。
第3の実施の形態では、中空延出部35の中空シール部厚肉部36は、第1側部シール壁31の外面の第1側部シール壁屈曲部31cを中心に、第1側部シール壁根元部31aと第1側部シール壁先端部31bのみに形成されている。
【0060】
ドア閉時に、ドアは中空延出部35の横方向から当接するため、中空延出部35が変形するときに中空延出部35が第1側部シール壁屈曲部31cの部分で屈曲するが、第1側部シール壁屈曲部31cを中心に、第1側部シール壁根元部31aと第1側部シール壁先端部31bの部分に中空シール部厚肉部36が形成しているため、中空延出部35の屈曲の反力が大きくなる。このため、ドアヒンジ近傍の中空延出部35の変形剛性を確実に向上させて、シール性を確保することができる。
【0061】
次に、本発明の第4の実施の形態において、
図5に基づき説明する。第4の実施の形態は、第1の実施の形態とは中空根元部34と中空延出部35の間の中空保持壁33が形成されていない点が異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分について説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0062】
第4の実施の形態では、オープニングトリムウエザストリップ10の全体に亘り、中空シール部30の中空根元部34と中空延出部35の間に形成される中空保持壁33形成されていなく、中空根元部34と中空延出部35連通して形成されている。このため、ドア閉時に、ドアは中空延出部35に当接するが、中空延出部35が変形するときに、中空延出部35は、第1側部シール壁屈曲部31cが中空内部に向かって屈曲しやすい。従って、中空延出部35の変形剛性が低下して、ドアヒンジの近傍以外の部分のドア閉力を低下させることができる。
【0063】
なお、第4の実施の形態では、ドアヒンジ近傍においては、中空延出部35の変形剛性を向上させることが必要であるため、中空シール部厚肉部36を形成している。中空シール部厚肉部36部の形成は、本発明の第1〜第3の実施の形態のいずれの形成方法も使用することができる。これにより、ドアヒンジ近傍の中空延出部35の変形剛性を確実に向上させて、シール性を確保することができる。
【0064】
次に、本発明の第5の実施の形態において、
図6に基づき説明する。第5の実施の形態は、第4の実施の形態とは第1側部シール壁31の形状が異なり、中空根元部34と中空延出部35の間の中空保持壁33が形成されていない点及び他の部分は同様であるため、異なる部分について説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0065】
第5の実施の形態では、オープニングトリムウエザストリップ10の全体に亘り、第1側部シール壁31の第1側部シール壁根元部31aの長さが長く、第1側部シール壁先端部31bの長さが短く、第1側部シール壁屈曲部31cの屈曲角度が大きい点が異なる。
中空シール部30の中空根元部34と中空延出部35の間に形成された中空保持壁33形成されていなく、中空根元部34と中空延出部35が連通して形成されている点は第4の実施の形態と同じである。
【0066】
このため、中空延出部35の大きさが第4の実施の形態と比べて、小さくなり、ドア閉時に、ドアは中空延出部35が当接するが、中空延出部35が変形するときに、中空延出部35は、第4の実施の形態と比べて、第1側部シール壁屈曲部31cが中空内部に向かって屈曲しにくい。従って、第4の実施の形態と比べて、中空延出部35の変形剛性が大きくなり、ドアヒンジの近傍以外の部分のドア閉力を低下させることができる。なお、中空保持壁33がないため、第1〜第3の実施の形態と比べては、中空延出部35の変形剛性は小さい。
【0067】
このため、第4の実施の形態と同様に、第5の実施の形態では、ドアヒンジ近傍においては、中空延出部35の変形剛性を向上させることが必要であるため、中空シール部厚肉部36を形成している。中空シール部厚肉部36部の形成は、本発明の第1〜第3の実施の形態のいずれの形成方法も使用することができる。これにより、ドアヒンジ近傍の中空延出部35の変形剛性を確実に向上させて、シール性を確保することができる。
【0068】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により成形され、トリム部20を構成するソリッドゴム又は微発泡材、インサート部材27と中空シール部30を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。
その後、通常の方法により加硫を行い、その後、1本分の所定長さに切断される。
【符号の説明】
【0069】
2 ドアフレーム
7 フランジ
10 ドアオープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部(取付基部)
21 車外側側壁
30 中空シール部
31 第1側部シール壁
31a 第1側部シール壁根元部
31b 第1側部シール壁先端部
31c 第1側部シール壁屈曲部
32 第2側部シール壁
32a 第2側部シール壁根元部
32b 第2側部シール壁先端部
33 中空保持壁
36 中空シール部厚肉部