(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デカンタ分級工程は、デカンタに備えられるシェルの回動に伴う遠心力G、前記シェル内へのスラリー状とされた前記汚染土壌、又は、前記汚染土壌の一部の供給量S、及び、前記遠心力Gによって前記シェルの内壁に圧接された前記汚染土壌の液深Dを、それぞれ所定の範囲内で調整することにより、分級点を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の砒素汚染土壌の洗浄方法。
【背景技術】
【0002】
自然由来の重金属による土壌汚染は、鉱床地帯を通る山岳トンネルの掘削工事等において従来から問題とされていたが、最近では、日本国内においても、特に首都圏等の市街地において、海成堆積物から溶出する重金属、特に砒素による土壌汚染の問題が顕在化している。このような自然由来の砒素による汚染濃度は、詳細を後述するが、低濃度ではあるものの、溶出量が0.01〜0.03mg/L程度と環境基準値(0.01mg/L)及び土壌汚染対策法の溶出量基準値(0.01mg/L)(以下、溶出量基準値等ということがある)を超過している点が問題であり、浄化処理が必要となる。
【0003】
一方、日本国内のシールド工事等で発生する土壌は、土丹(固結シルト)、粘土といった細粒子分を主体とする自然由来の砒素による汚染土壌が多い。一般に、泥水式地下シールド工事においては、泥水がシールドマシンの切羽から地上処理施設へと送られ、洗浄処理等が行われる。ここで、砒素を含む土壌はそれが自然由来の砒素であっても汚染土壌として扱わなければならないことから、自然由来の砒素を含む地盤においてシールド工事を行った場合には、以下のような問題が生じることとなる。
(a)自然由来の砒素を含む地盤においてシールド工事を行った場合、工事で発生した土壌の砒素濃度(溶出量)が環境基準及び溶出量基準(土壌汚染対策法)を超過すると建設発生土や産業廃棄物としては処分できず、汚染土壌として処分しなければならない。その結果、処分コストが著しく上昇する。
(b)処分場の許容量が逼迫しているため、大量に発生した汚染土壌を処分することがそもそも困難である。
【0004】
自然由来の重金属による汚染土壌は、日本国内においては、特に、首都圏湾岸部や大阪湾岸部等で広範に存在している。つまり、当該地域で大型公共工事や建築根切り工事を行った際に汚染土壌が大量に発生する。
今後、さらに、リニア新幹線や外環道の建設工事といった大規模なシールド工事が実施されるが、それらの工事においても自然由来の重金属による汚染土壌が大量に発生することが確実視されている。
【0005】
自然由来の砒素による汚染土壌の特徴としては、含有量値が1〜5mg/kg程度と、土壌汚染対策法の含有量基準値(150mg/kg)を大きく下回り、また、溶出量値が土壌汚染対策法の溶出量基準値(0.01mg/L)の概ね1〜3倍程度で存在するといったように、低濃度汚染であるということが挙げられる。
【0006】
上述したように、自然由来の重金属を含む汚染土壌は汚染土壌として処分する必要があり、建設発生土として再利用することができない。そのため、大規模なシールド工事等を行う場合、上記(a)、(b)に示す問題が発生するのを回避するためには、可能な限り汚染土壌の減量化を図ることが求められる。
【0007】
従来、人為的な汚染土壌中の環境汚染物質(重金属類、鉱物油、シアン等)は、砂分や礫分などの粗粒子分よりも、土壌有機物(腐植質)や粘土・シルトなどの細粒子分に多く吸着・保持されていることが知られている。このため、汚染土壌の浄化に際しては、粗粒子分と細粒子分とを分離し、細粒子分を除去することが効率的な処理を行う上で有利である。
一方で、自然由来の重金属による汚染の場合は、人為的な汚染とは異なり、汚染物質が細粒子分に偏在しておらず、土粒子径による溶出量の違いはないものと考えられていた。従って、自然由来の重金属による汚染土壌の対策としては、掘削除去、不溶化、遮水壁による封じ込め等が主要なものであった。
【0008】
本発明者等は、細粒子分を主体とする複数サイトの自然由来砒素汚染土壌を用いて実験を実施したところ、自然由来の重金属による汚染土壌の多くで、汚染物質が微細粒子分に偏在することを知見した。すなわち、汚染土壌を洗浄・分級し、適切な分級点で分級された微細粒子のみを汚染土壌として処理・処分するようにすれば、処分土量を大幅に削減することが可能であることを明らかにした。
【0009】
従来、汚染土壌を分級・洗浄する方法としては、例えば、特許文献1に開示された方法が挙げられる。この特許文献1においては、まず、汚染土壌をスラリーとして、汚染物質を吸着している細粒子分をハイドロサイクロンにより分離する。次に、その細粒子分を含む懸濁液に凝集剤を添加・攪拌して凝集沈澱処理し、凝集スラッジを脱水して濃縮汚染土(脱水ケーキ)として処分する方法が開示されている。
【0010】
上述のハイドロサイクロンは非常に処理能力の高い装置であるものの、分級点が20〜30μmよりも小さいハイドロサイクロンでは、サイズが小さいために処理能力が低いというデメリットがある。このようなハイドロサイクロンを用いて大量の土壌スラリーを処理するためには、非常に多くのサイクロンとポンプが必要となり現実的ではない。土壌洗浄の分野においては、効率性や経済性の観点から、通常は分級点が60〜125μmのハイドロサイクロンが一般に用いられる。
【0011】
このため、泥水シールド工法で発生した自然由来の砒素を含む汚染土壌を、仮に、特許文献1に記載の従来の方法で洗浄処理しても、二次処理土を効果的に減量しながら洗浄処理を行うことは困難であり、これに伴い、再利用可能な一次処理土の割合を高めることも困難である。
【0012】
ここで、本発明者等は、スラリー中の5〜10μm以上の土粒子のみを選択的に凝集させてフロックを形成させることで、ハイドロサイクロンを通常の分級点のままで用いた場合には高い処理能力で分級を行うことが難しかった5〜10μm未満の微細粒子分を効率的に分離できる方法を提案している(特許文献2を参照)。
【0013】
しかしながら、特許文献2に記載の方法を採用した場合、フロックを形成するための高分子凝集剤を大量に必要とするため、洗浄に係る処理コストが高くなるという問題がある。また、特許文献2に記載の方法で排出される洗浄土にはフロックが含まれることから再利用が困難となり、産業廃棄物として処分せざるを得ず、建設発生土として処分する場合と比較すると、処分コストが高くなるという問題がある。また、特許文献2に記載の方法のように、アルカリによる砒素の抽出法と、高分子凝集剤による不完全な凝集沈殿法とをこの順で組み合わせた方法では、分級点の設定によっては溶出量基準値等を超過する土粒子の一部を洗浄土側に振り分けてしまう可能性もあった。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態である汚染土壌の洗浄方法、及び、砒素汚染土壌の洗浄方法の一例を挙げ、その構成について
図1〜
図7を参照しながら詳述する。なお、本実施形態においては、自然由来の砒素による汚染土壌を洗浄して浄化土とする方法を例に挙げて説明する。
【0034】
[土粒子の平均粒径と砒素全含有量及び溶出量との関係]
従来、自然由来の重金属によって汚染された土壌は、人為的に汚染された土壌とは異なり、汚染物質が細粒子分に偏在しておらず、土粒子径による溶出量(土壌汚染対策法)の違いはないものと考えられていた。しかしながら、本発明者等が以前に細粒子分を主体とした複数サイトの自然由来砒素汚染土壌を用いて実験を行った結果、
図2中に示すように、自然由来の砒素による汚染土壌においては、土壌を構成する土粒子の粒径が小さいもの程、砒素の溶出量(土壌汚染対策法)がより高くなることを明らかにしている。即ち、粗粒子分よりも細粒子分、特に微細粒子分を分別・処理することで、効率的な浄化処理が可能であることがわかる。
【0035】
さらに、
図2に示すように、平均粒径が概ね15μm超の土粒子は元々の汚染濃度(溶出量)が溶出量基準値等を僅かに超えている場合があるので、そのような場合には、詳細を後述するアルカリ抽出工程を行うことで、溶出量基準値等に適合させることができる。
【0036】
一方、平均粒径が概ね15μm程度か、それよりも小さな土粒子は、元々の汚染濃度(溶出量)が基準値(上記の0.01mg/L)の3〜5倍程度であることから、アルカリ抽出工程を行った場合でも、溶出量基準値等に適合させることができないか、あるいは、砒素の再溶出が生じる懸念がある。そこで、本発明は、詳細を後述するデカンタ分級工程において、平均粒径が概ね15μm程度あるいはそれよりも小さな土粒子(微細粒子分)を分離・除去して濃縮汚染土とし、砒素の全含有量が低い、平均粒径が概ね15μm超(75μm以下)の土粒子(固形分)は、浄化土に含める方法を採用している。
【0037】
なお、
図2中における15μmの分級点は、砒素の吸着し易い土粒子の平均粒径は概ね15μm以下であることから、説明の都合上、分級点の一例として記載したものである。実際の対象土壌においては、分級点は15μmに限定されるものではない。即ち、デカンタ分級工程における分級点は、対象土壌によって、0μm超50μm以下、より好ましくは6μm以上20μm以下の範囲で適宜設定すればよい。具体的には、デカンタに投入するスラリー状の汚染土壌または汚染土壌の一部の投入量(滞留時間)や回転数(遠心力)等を変化させて、適切な分級点となる投入量や回転数を決定すればよい。デカンタ分級工程における分級点を上記範囲で設定すれば、砒素を含む微細粒子分のスラリーを確実に濃縮汚染土として分離でき、残余の処理土は溶出量基準値等の環境基準に適合した状態となる。
【0038】
[アルカリ抽出工程と所定の分級点との関係]
図3に示すように、スラリー状の汚染土壌に、まず、アルカリ抽出工程において、土粒子表面に吸着している砒素を強制的に脱着し、砒素を溶存態としてスラリー中に抽出することで、土壌の溶出量が全体的に低減し、所定の分級点をより小さな値とすることが可能となる。従って、アルカリ抽出工程により、上記の所定の分級点をより小さな値とすることで、濃縮汚染土を減量する効果をさらに高めることが可能となることがわかる。
【0039】
[砒素汚染土壌の洗浄方法]
本発明に係る砒素汚染土壌の洗浄方法は、上記のような砒素汚染土壌の特性、及び、それに基づく知見によってなされたものである。
即ち、本実施形態で説明する砒素汚染土壌の洗浄方法は、自然由来の砒素による汚染土壌を洗浄して浄化土とする砒素汚染土壌の洗浄方法であり、少なくとも、スラリー状とされた汚染土壌、又は、汚染土壌の一部にアルカリ系処理剤を添加し、汚染土壌の土粒子に吸着されている砒素をアルカリ抽出して溶存態としてスラリー内の液分中に抽出するアルカリ抽出工程と、このアルカリ抽出工程を経たスラリー状の汚染土壌または汚染土壌の一部を、所定の分級点でデカンタ分級することにより、分級点以下で且つ上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分と、分級点超の固形分とに固液分離するデカンタ分級工程とを備え、概略構成される。
【0040】
また、本実施形態で説明する例では、上記のアルカリ抽出工程及びデカンタ分級工程を備えた砒素汚染土壌の洗浄方法において、
図1のフロー図に示すような、以下の(A)〜(G)の各工程を備える方法を採用する。
(A)泥水式シールド工法によって生じたスラリー状の汚染土壌にアルカリ系処理剤を添加し、汚染土壌の土粒子に吸着されている砒素をアルカリ抽出して溶存態としてスラリー内の液分中に抽出するアルカリ抽出工程。
(B)アルカリ抽出工程に次いで設けられ、汚染土壌を、粗粒子分と、該粗粒子分以外の、溶存態としての砒素を含むスラリー分とに分級する湿式分級工程。
(C)湿式分級工程で得られたスラリー分をサイクロンで分級することにより、スラリー分を、平均粒径が75μm未満であって溶存態としての砒素を含むスラリー状の細粒子分と、平均粒径が75μm以上の粗粒子分とに分級し、スラリー状の細粒子分の一部を、泥水式シールド工法におけるシールド掘削用泥水として返送するサイクロン分級工程。
(D)サイクロン分級工程において分級された粗粒子分を脱水し、該脱水後の粗粒子分を、前記湿式分級工程で分級された粗粒子分と混合させる脱水工程。
(E)脱水工程で混合して得られた粗粒子分に中和剤を添加してpH値を中性領域とすることで浄化土を得るpH調整工程。
(F)サイクロン分級工程で得られた溶存態としての砒素を含むスラリー状の細粒子分のうち、シールド掘削用泥水として返送されない余剰分を、所定の分級点に設定してデカンタ分級することにより、スラリー状の細粒子分を、上記分級点以下で且つ上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分と、上記分級点超の固形分とに固液分離し、この固形分をpH調整工程に搬送するデカンタ分級工程。
(G)デカンタ分級工程において分級された、上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分に凝集薬剤を添加することで、砒素と共に微細粒子分を凝集沈殿処理した後、その凝集スラッジをフィルタープレスすることで脱水ケーキ状に形成することにより、溶存態としての砒素を含む濃縮汚染土を得る凝集工程。
以下、上記の(A)〜(G)の各工程について順次詳述する。
【0041】
(A)アルカリ抽出工程
本発明の洗浄方法に備えられるアルカリ抽出工程は、本実施形態で説明する洗浄方法において砒素汚染土壌を処理する最初の工程である。即ち、アルカリ抽出工程では、まず、泥水式シールド工法によって生じたスラリー状の汚染土壌にアルカリ系処理剤を添加し、汚染土壌の土粒子に吸着されている砒素をアルカリ抽出して溶存態としてスラリー内の液分中に抽出する。
【0042】
具体的には、アルカリ抽出工程においては、泥水式シールド工法によって生じた泥水(スラリー状の汚染土壌)に、水酸化ナトリウム及びその他の薬剤を添加することにより、自然界には存在しないアルカリ性領域、例えばpH=8〜13の土壌に改質する。この際、汚染土壌の土粒子に吸着されている砒素等の重金属を強制脱着させ、抽出液(泥水)中に砒素を溶出させ、溶存態としての砒素を抽出する。
【0043】
なお、本発明においては、上記のアルカリ抽出工程を設けず、泥水式シールド工法等によって生じたスラリー状の汚染土壌を、まず、後述の湿式分級工程において分級処理する方法とすることも可能である。このように、アルカリ抽出工程を設けない構成を採用した場合、土壌中における砒素の溶出量が高めとなるが、詳細を後述するように、後述のデカンタ分級工程における分級点を大きめに設定することで、砒素の溶出量が高めの細かな土粒子を濃縮汚染土側に分離することが可能となる。
【0044】
(B)湿式分級工程
次に、湿式分級工程は、
図1のフロー図に示すように、上記のアルカリ抽出工程に次いで設けられる工程であり、スラリー中に砒素が溶存態として抽出された汚染土壌を、粒径の大きな粗粒子分と、この粗粒子分以外の、溶存態としての砒素を含むスラリー分とに分級する。
【0045】
本実施形態の湿式分級工程では、従来から汚染土壌の処理に用いられている湿式篩等を何ら制限無く用いることができ、自然由来の砒素の溶出量が低く、溶出量基準値等に適合した、粒径の大きな礫や砂等からなる粗粒子分を分離する。
そして、本実施形態では、これら粗粒子分を、後述の脱水工程で分離された粗粒子分等と混合したうえで、pH調整工程においてpHを中性領域に調整して浄化土として分離し、埋め立て土等に再利用することが可能な建設発生土として処理することができる。
【0046】
(C)サイクロン分級工程
次に、サイクロン分級工程では、上記の湿式分級工程で得られたスラリー分をサイクロンで分級することにより、このスラリー分を、平均粒径が75μm未満であって溶存態としての砒素を含むスラリー状の細粒子分と、平均粒径が75μm以上の粗粒子分とに分級する。そして、本実施形態に係る技術を泥水式シールド工法に採用した場合には、
図1のフロー図中に示すように、分級されたスラリー状の細粒子分の少なくとも一部を、シールド掘削用泥水として返送する。
【0047】
本実施形態のサイクロン分級工程では、従来から汚染土壌の処理に用いられているハイドロサイクロン設備を何ら制限無く用いることができ、上記のように分級点を75μmに設定することで、スラリー分を、砒素を含むスラリー状の細粒子分(
図1中におけるサイクロン分級工程の「オーバーフロー」参照)と、砒素の含有量・溶出量が低い粗粒子分(
図1中におけるサイクロン分級工程の「アンダーフロー」参照)とに分離する。
【0048】
そして、上述の如く、オーバーフローとしてサイクロンから排出され、土粒子の間隙に残留する砒素等の重金属が抽出されたアルカリ水、及び、砒素含有量・溶出量の高い微細粒子(例えば、15μm以下)を含む平均粒径:75μm以下の土粒子から構成された泥水(スラリー状の細粒子分)は、その一部をシールド掘削用泥水として返送することで循環利用される。一方、シールド掘削用泥水として返送されない余剰分の泥水については、詳細を後述するデカンタ分級工程に搬送される。さらに、アンダーフローとしてサイクロンから排出され、砒素の含有量・溶出量が低く、環境基準に適合した状態の粗粒子分は、後工程である脱水工程に搬送される。
【0049】
(D)脱水工程
次に、脱水工程では、上記のサイクロン分級工程で分離された粗粒子分を脱水し、この脱水後の粗粒子分を、湿式分級工程で分級された粗粒子分と混合させる。
本実施形態の脱水工程では、従来から汚染土壌の処理に用いられる脱水篩等を何ら制限無く用いることができる。
【0050】
(E)pH調整工程
次に、本発明の洗浄方法に備えられるpH調整工程では、上記の脱水工程で混合して得られた粗粒子分に中和剤を添加してpH値を中性領域とすることで浄化土を得る。
【0051】
具体的には、本実施形態で説明するpH調整工程においては、酸等の中和剤と、アルカリ抽出工程や脱水工程で分離された粗粒子分とを混合し、pH値を自然な状態である中性領域、例えば、6.5〜8.5程度に中和し、埋め戻し土等として再利用可能な浄化土とする。さらに、本実施形態のpH調整工程では、後述のデカンタ分級工程において分離される固形分を上記の粗粒子分と混合したうえで中和処理することでも浄化土を得ることができる。
【0052】
(F)デカンタ分級工程
次に、本発明の洗浄方法に備えられるデカンタ分級工程では、
図1のフロー図に示すように、サイクロン分級工程で得られた溶存態としての砒素を含むスラリー状の細粒子分のうち、シールド掘削用泥水として返送されない余剰分を、所定の分級点に設定してデカンタ分級することにより、スラリー状の細粒子分を、分級点以下で且つ上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分と、分級点超の固形分とに固液分離し、固形分をpH調整工程に搬送する。
【0053】
具体的には、本実施形態で説明するデカンタ分級工程においては、土壌の土粒子の間隙に残る砒素等の重金属が抽出されたスラリー中のアルカリ水、及び、溶出量基準値等を超過する微細粒子分(例えば、平均粒径が15μm以下)を、デカンタ設備を用いて分級・分離する。一方、溶出量基準値等に適合する固形分(例えば、平均粒径が15μm超)は、pH調整工程に搬送する。
また、本実施形態で用いるデカンタ設備としては、従来から各種の固液分離処理に用いられているデカンタを、何ら制限無く用いることができる。
【0054】
本実施形態では、デカンタを用いてスラリー状の細粒子分の分級・分離を行うことにより、分級点を、従来のようなサイクロンのみを用いた分級点(63〜75μm程度)よりも小さくでき、具体的には、分級点を0μm超15μm以下程度にまで低く設定することが可能となる。そして、本発明の洗浄方法においては、デカンタ分級工程における分級点を0μm超50μm以下、より好ましくは6〜20μmの範囲に設定することで、溶出量基準値等を超過する微細粒子分のみを、濃縮汚染土として分離する。本発明では、このようなデカンタ分級工程を備えることにより、濃縮汚染土の発生量が、サイクロンのみで細粒子分を分級した従来の方法に比べて1/4〜1/10程度と、大幅に減量することが可能となる。
【0055】
なお、微細粒子分を分離した後の固形分(例えば、粒径が15〜75μm程度の土粒子)は、デカンタ分級工程において含水率が20〜30%程度に脱水されるとともに、前段工程であるアルカリ抽出工程において溶出した砒素が除去され、溶出量基準値等に適合する状態となるため、浄化土として取り扱うことができる。
【0056】
ここで、上述したように、上記のアルカリ抽出工程を設けない構成を採用した場合には、土壌からの砒素の抽出が行われておらず、
図3に示すように、デカンタ分級工程における所定の分級点が大きめな値となる。一方、デカンタ分級工程における所定の分級点が大きめとなる場合であっても、従来のようなサイクロン分級のみで砒素を濃縮汚染土側に分離する方法に比べれば、分級点を小さくすることが可能である。従って、アルカリ抽出工程を設けない構成を採用した場合であっても、濃縮汚染土の発生量を減量することが可能となる。
【0057】
以下、本実施形態のデカンタ分級工程で用いられるデカンタの構成、並びに、土丹(固結シルト)の泥水に含まれる土壌の粒度構成と、デカンタ分級工程における分級点との関係について説明する。なお、以下の説明においては、上述したその他の各工程の条件についても説明することがあり、また、粒度分布を示す単位(%)は、特に断りの無い限り体積%である。
【0058】
図4は、本実施形態のデカンタ分級工程において用いられるデカンタの一例を示す破断概略図である。
図4に示す例のデカンタ1は、略筒状のシェル2の内部に、先端3a側の近傍が、先端3aに向かうに従って縮径するように構成されたスクリュー3が設置されている。また、シェル2の先端2a近傍、即ち、スクリュー3の先端3a側が、先端2aに向かうに従って縮径するように構成されている。
【0059】
シェル2は、例えば、図示略のモーター等の動力により、高遠心力を発揮できる程度の回転数で、軸方向で回動するように構成されている。
【0060】
また、スクリュー3は、回転軸31の周囲に螺旋状のプロペラ32が備えられており、例えば、図示略のモーター等の動力が後端3b側に伝達されることで回転可能に構成される。また、図示例のスクリュー3は、先端3a側が上述のような縮径形状とされている一方、後端3b側は同径で延設された構成とされている。
【0061】
また、デカンタ1には、汚染土壌Fを内部に導入するための導入管4が備えられている。導入管4は、一端側に備えられる入口41が、シェル2の開口21から露出するように設けられており、他端側に備えられる出口42が後述の拡散管5の内部に収容される。図示例においては、出口42を含む導入管4の大部分が、拡散管5の内部に収容されている。
【0062】
また、図示例のデカンタ1は、スクリュー3の回転軸31の内部に拡散管5が収容された構成とされている。この拡散管5は、スクリュー3と共に回転するように設けられ、有底筒状に形成された拡散部51と、この拡散部51よりも小径で管状に形成された小径部52とから構成されている。
拡散部51は、内部に導入される汚染土壌Fを、スクリュー3の回転に伴って撹拌しながらシェル2側に向けて排出するように構成されおり、側面に、汚染土壌Fを排出するための複数の孔部51Aが形成されている。
小径部52の内部には、上述した出口42を含む導入管4の大部分が収容されている。また、拡散管5の小径部52と導入管4との間は、互いに回転自在とされている。
【0063】
また、デカンタ1は、シェル2の先端2aに設けられた開口21側に備えられる導入管4の入口41から、処理対象となるスラリー状の汚染土壌F、即ち、サイクロン分級におけるオーバーフロー分の泥水が導入される。そして、先端2aの開口21からは、デカンタ分級によって分離された固形回収分UFが排出されるとともに、後端2b側に設けられた開口22からは、分離泥水OFが排出される。ここで、開口22側には、分離泥水OFのシェル2内における液深を確保するための堰部23が、シェル2の内壁2Aに環状堰として設けられている。
【0064】
上述のような構成のデカンタ1を用いて汚染土壌Fをデカンタ分級し、固液分離する際は、まず、シェル2を遠心回動させるとともに、スクリュー3を、螺旋状のプロペラ32が開口21側に向けて進む方向で回転させながら、開口21側に備えられた導入管4の入口41から汚染土壌Fを導入する。この際、内部に導入されたスラリー状の汚染土壌Fは、まず、拡散管5に備えられる拡散部51の回転に伴って撹拌されながら、孔部51Aからシェル2の内壁2Aに向けて排出される。そして、汚染土壌Fは、シェル2の遠心回動により、シェル2の内面2Aに押しつけられるように固形回収分UFが分離され、その表面に分離泥水OFが分離された状態となる。
【0065】
そして、シェル2の内面2Aに密接した状態の固形回収分UFは、スクリュー3の回転に伴い、順次、開口21側から外部に排出される。この際、固形回収分UFは、シェル2の先端2a側の縮径形状、及びシェル2とスクリュー3との回転差により、脱水作用を付与されながら外部に排出されるまた、シェル2内の分離泥水OFは、開口22側から外部に流出する。即ち、サイクロン分級工程においてオーバーフロー分として排出されるスラリー状の汚染土壌Fは、デカンタ1に導入された後、固形回収分UFと分離泥水OFとに分離される。
【0066】
そして、デカンタ1によるデカンタ分級で固液分離された固形回収分UFは、
図1中に示すpH調整工程(E)に導入され、pH調整が施された後、一時処理土(浄化土)として埋め戻し等の再利用に供される。また、デカンタ1によって固液分離された分離泥水OFは、詳細を後述する凝集沈殿工程(G)に導入され、凝集沈殿やフィルタープレス処理等が施されることで、二次処理土(濃縮汚染土)として、産業廃棄物として処理される。
【0067】
図6は、土丹の泥水に含まれる土壌の粒度構成、並びに、洗浄処理の各工程における土壌の粒度構成を示した概念図である。
図6に示すように、泥水式シールド工法で発生する砒素汚染泥水(汚染土壌)は、一般的に、75μm以上の粗粒分が25%程度を占め、75μm未満の細粒子分が、15μm以下の微細粒子分(10%)も含めて75%程度を占めている。この汚染土壌に対し、まず、「アルカリ抽出工程(A)」において薬剤を添加することで、汚染土壌をアルカリ性領域の土壌に改質するとともに、汚染土壌の土粒子に吸着されている砒素等の重金属を抽出液(泥水)中に溶出させて、溶存態としての砒素を抽出する。その後、上述した「サイクロン分級工程(C)」における分級により、25%程度を占める粗粒分(75μm以上)を浄化土側に分離し、「(D)脱水工程」〜「(E)pH調整工程」に搬送する。また、「サイクロン分級工程(C)」では、75%程度を占める細粒子分(75μm未満)を含むスラリー状の泥水を、オーバーフロー分として、デカンタ分級工程(F)に搬送する。この細粒子分には、15μm以下の微細粒子分も含まれる。そして、「(F)デカンタ分級工程」において、「サイクロン分級工程(C)」のオーバーフロー分として導入された泥水を、デカンタ分級によって固液分離する。これにより、細粒子分を含むスラリー状の泥水を、当初の泥水(汚染土壌F)に対して65%程度を占める細粒子分(15μm超75μm未満)からなる固形回収分(固形分)UFと、上澄み液を含み、且つ、当初の泥水に対して10%程度を占める微細粒子分(15μm以下)からなる分離泥水OFとに固液分離する。
【0068】
ここで、
図1中に示すように、デカンタ分級を用いた微細粒子分の分離処理においては、サイクロン分級においてオーバーフロー分として排出される、75μm未満の細粒子分を含む泥水を対象とし、このオーバーフロー分の泥水を、15μm超75μm未満の細粒子分を含む固形回収分と、15μm以下の微細粒子分を含む分離泥水とに分級する。この際、
図6中に示す粒度構成を有すると考えられる土丹のデカンタ分級を想定した場合、細粒子分(15μm超75μm未満):微細粒子分(15μm以下)=65:10=87:13の分離比となり、概ね9割近い減容化を達成することが可能になると考えられる。
【0069】
一方、泥水式地下シールド工事において掘進する地盤の粒度構成等によっては、細粒子分、特に15μm以下の微細粒子分の割合が高い土壌も存在することが明らかとなっている。このような土壌から発生する泥水を、例えば、分級点を15μmのままとしてデカンタ分級した場合、
図7のグラフに示すように、汚染土となる微細粒子分の割合が大きくなりすぎることから、土壌の洗浄処理における減容化の効果が著しく低下するという問題がある。
【0070】
このため、本実施形態においては、デカンタ分級工程において、分級点を最適値に制御し、特に15μm以下の微細粒子分の割合が高い土壌から発生する泥水を洗浄処理するケース等において、適宜分級点を変更できる構成を採用することが好ましい。具体的には、
図5(a)、(b)の模式図中に示した、デカンタ1に備えられるシェル2の回動に伴う遠心力G、シェル2内への汚染土壌Fの供給量S、及び、遠心力Gによってシェル2の内壁2Aに圧接された汚染土壌Fの液深Dを、それぞれ所定の範囲内で調整することで分級点を制御する方法が挙げられる。
【0071】
以下、
図5(a)〜(b)を参照して、デカンタ1における分級点を制御しながら汚染土壌Fのデカンタ分級、固液分離を行う場合の作用について説明する。
図5(a)、(b)に示すように、供給量Sでシェル2内に導入された汚染土壌Fは、シェル2の回動(
図5(b)中の矢印R方向)に伴う遠心力Gで内壁2Aに押しつけられるように圧接される。この際、
図5(c)の拡大図にも詳細に示すように、粒径の大きな細粒子分からなる固形回収分UFが、遠心力Gが作用する向きで内壁2A側に沈降する一方、その表面には微細粒子分を含むスラリー状の分離泥水OFが滞留する。即ち、汚染土壌Fが、固形回収分UFと分離泥水OFとに固液分離された状態となる。本実施形態では、上記のシェル2の遠心力G、汚染土壌Fの供給量S及び汚染土壌Fの液深Dの各条件を総合的に調整することで、
図5(c)中に示すような、シェル2の内壁2A上に沈降する細粒子分からなる固形回収分UFと、その表面に滞留する微細粒子分を含む分離泥水OFとの間の分級点を、所望の分級径で制御・設定することが可能となる。
【0072】
シェル2の遠心力Gは、500〜1500(G)の範囲で設定することが好ましい。遠心力Gがこの範囲であれば、分級点の制御、即ち、分級径の調整を最適な範囲で精度良く行うことが可能となる。上記の遠心力Gが小さすぎると、分級径が大きくなりすぎ、溶出量基準値等を満足する浄化土となり得る細粒子分の一部が分離泥水OFに含まれてしまい、減容化率が低下する可能性がある。また、遠心力Gが大きすぎると、分級径が小さくなりすぎ、砒素等の汚染物質を含む微細粒子分の一部が固形回収分UFに含まれてしまう可能性がある。
【0073】
サイクロン分級工程におけるオーバーフロー分からなる汚染土壌Fの、シェル2内への供給量Sは、0.6〜300(m
3/h)の範囲で設定することが好ましい。汚染土壌Fの供給量Sがこの範囲であれば、分級径の調整を最適な範囲で精度良く行うことが可能となる。上記の供給量Sが少なすぎると、分級径が小さくなりすぎて、砒素等の汚染物質を含む微細粒子分の一部が固形回収分UFに含まれてしまう可能性がある。また、供給量Sが多すぎると、分級径が大きくなりすぎて、溶出量基準値等を満足する浄化土となり得る細粒子分の一部が分離泥水OFに含まれてしまい、減容化率が低下する可能性がある。また、上記の汚染土壌Fのシェル2内への供給量Sは、実際の現場における処理効率等も考慮した場合、50〜100(m
3/h)の範囲とすることがより好ましい。
【0074】
汚染土壌Fの液深、即ち、固形回収分UFと分離泥水OFとを合わせた液深Dは、デカンタ1全体の容量等を勘案しながら決定することができるが、デカンタ1を用いた分級処理中において、液深Dを一定に保持することが好ましい。ここで、シェル2の内壁2Aに設けられた堰部23から分離泥水OFが溢れ出る際の液深Dは、堰部23の高さHよりも大きくなるので、この点を勘案しながら堰部23の高さHを決定することが好ましい。
【0075】
なお、液深Dを深くし過ぎると、固形回収分UFの固形分率(土壌スラリー中に含まれる土壌の割合)が低下し、固形回収分UFが含水率の高い粘性土となってしまう。このため、液深Dは、固形回収分UFが高粘性のべとついたものとならないよう、固形回収分の固形分率が所定以上で維持されるような深さに設定することがより好ましい。
【0076】
次に、上述したデカンタ分級における分級点の制御について、本発明者等が実施した実証実験について説明する。
まず、
図4に示すような構造を有する小型のデカンタ1を準備するとともに、被洗浄物として、土丹を含む土壌を2種類(Clay−A、及び、Clay−B)準備した。
そして、以下の条件の範囲内で分級条件を変化させ、上記の土壌の分級を行い、50%分級点における分級径D
50を調べた。
(1)遠心力G:500〜1500(G)
(2)供給量S:0.6〜3.0(m
3/h)
(3)液深D:一定(但し、固形回収分UFの粘性を考慮し、固形回収分UFの固形分率が70%程度となるように調整)
【0077】
上記の各条件による実証実験の結果、以下のようなことが明らかとなった。
まず、遠心力Gが大きくなるほど、50%分級点における分級径D
50が小さくなることがわかった。これは、遠心力Gが大きくなると、微細粒子までもが、デカンタ1に備えられるシェル2の内壁2A側に固形回収分として分離されるためと考えられる。
また、被洗浄物である土壌(汚染土壌F)の供給量が大きくなるほど、50%分級点における分級径D
50が大きくなることがわかった。これは、汚染土壌Fの供給量Sが大きくなると、シェル2内における汚染物質F(固液分離後の固形回収分UF及び分離泥水OFを含む)の滞留時間が短くなることから、細粒子分が沈降しきれず、分離泥水OF側に移行する土壌粒子が多くなるためと考えられる。
【0078】
上記実証実験の結果により、液深Dを一定に保持したうえで、シェル2の回動に伴う遠心力Gと、シェル2内への汚染土壌Fの供給量Sを、総合的に適宜調整することにより、50%分級点における分級径D
50を任意に制御できることが明らかとなった。
【0079】
即ち、上記の方法でデカンタ分級工程における分級点を制御することにより、仮に、汚染土壌に含まれる土丹が、15μm以下の微細粒子分の割合が高い粒度構成である場合においても、汚染土壌として処分する必要がある溶出量基準値等を超過する濃縮汚染土を効果的に減量しながら、再利用可能な浄化土の割合を高めることが可能となる。
【0080】
(G)凝集工程
次に、凝集工程においては、デカンタ分級工程において分級された、上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分に凝集薬剤を添加することで、砒素と共に微細粒子分を凝集沈殿処理した後、その凝集スラッジを脱水処理した後にフィルタープレスすることで脱水ケーキ状に形成することにより、砒素を含む濃縮汚染土を得る。
【0081】
具体的には、凝集工程においては、まず、凝集沈殿法による沈殿処理を行う。本実施形態の凝集工程では、上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分に、ポリ塩化アルミニウムや硫酸バンド、鉄系薬剤等の無機凝集剤と、高分子凝集剤を添加することにより、微細粒子分を凝集沈殿処理する。
【0082】
次いで、凝集沈殿によって得られた凝集スラッジを、従来公知のフィルタープレス装置を用いてフィルタープレスを行うことにより、脱水ケーキ状に形成する。
これにより、砒素を含む濃縮汚染土を得る。この濃縮汚染土は、埋め戻し土等への再利用はできないため汚染土壌として処理するが、本発明の洗浄方法では、濃縮汚染土を顕著に減量できることから、環境への負荷を軽減できるとともに処理費用を低減することが可能となる。
【0083】
(アルカリ抽出工程及びデカンタ分級による複合的作用)
本発明の砒素汚染土壌の洗浄方法においては、上述したようなアルカリ抽出工程を前段工程として備え、さらに、濃縮汚染土の処理工程としてデカンタ分級工程を備えている。このように、まず、アルカリ抽出工程において、汚染土壌の土粒子に吸着されている砒素等の重金属を強制脱着させてスラリー中に溶出させたうえで、湿式分級工程及びサイクロン分級工程において、砒素溶出量の低い粗粒子分を浄化土側に分離することで、循環使用可能な浄化土の比率を高めることが可能となり、減容化率が顕著に向上する。
【0084】
また、アルカリ抽出工程のみでは溶出量基準値等に適合させることができず、また、サイクロン分級工程においても分級することが不可能な、砒素溶出量の高い微細粒子分を含んだ細粒子分が存在する場合もある。このような、砒素溶出量の高い微細粒子分を含んだ細粒子分については、濃縮汚染土側に分離したうえで、デカンタ分級工程において、砒素等の重金属が抽出されたスラリー中のアルカリ水、及び、溶出量基準値等を超過する微細粒子分を、デカンタ設備(
図4のデカンタ1を参照)を用いて分級・分離する。一方、デカンタ分級工程では、溶出量基準値等に適合する固形分については、pH調整工程に搬送、即ち、浄化土側に搬送する。これにより、溶出量基準値等を超過する、例えば平均粒径が15μm以下の微細粒子分からなる濃縮汚染土を大幅に減量することが可能になるとともに、再利用可能な浄化土の割合を大幅に高めることが可能となる。
【0085】
即ち、本発明においては、アルカリ抽出では溶出量基準値等に適合出来ない微細粒子分については、デカンタ分級によって砒素を土粒子ごと分離・除去する一方、固形分については、アルカリ抽出によって砒素の一部が抽出されたものなので、土粒子が溶出量基準値等に適合する浄化土となる。
【0086】
さらに、本発明においては、上記のアルカリ抽出工程及びデカンタ分級工程に加え、最終的に浄化土を中和するpH調整工程を備えているので、埋め戻し土等に再利用される浄化土をより自然な状態とすることが可能となる。
【0087】
上述のように、本発明が対象とする泥水シールド工法における泥水処理設備において、自然由来の重金属等を浄化するプロセスを組み込むことにより、溶出量基準値等に適合する浄化土の割合が高められることから、従来のように、多くの汚染土を濃縮汚染土として処分していた場合と比較して、処分費用を最大で7割程度、削減できる。
【0088】
また、本実施形態によれば、従来の方法においては汚染土壌として処分してきた細粒子分の少なくとも一部を、浄化土として再利用することができる。これに伴い、上述したように、汚染土壌である砒素を含む処理土の発生量を1/4〜1/10程度に減量することができ、低コストで砒素汚染土壌を洗浄することが可能となる。
【0089】
また、本発明によれば、デカンタ分級工程における分級条件を上記のように適正化することで、従来の洗浄方法においては濃縮汚染土に含まれてしまうことから処分せざるを得なかった大量の細粒子分(例えば、平均粒径:15μm超)が、再利用可能な浄化土として回収可能になる。これにより、濃縮汚染土の発生量を大幅に減量することができ、その処分に要するコストを大幅に削減することが可能となる。
図2に示すように、砒素の溶出量は、土粒子の平均粒径が小さいほど高いことから、本発明のように、微細粒子分を選択的に処理することで、従来の方法に比べてより効率的な処理が可能である。
【0090】
以上のことから、本発明の洗浄方法は、アルカリ抽出工程とデカンタ分級工程とを複合的に組み合わせたことで、自然由来の低濃度の砒素汚染土壌を効率的に処理可能な方法であり、極めて合理的で且つ有効な方法である。
【0091】
なお、本実施形態においては、被洗浄物である汚染土壌として、泥水シールド工法において発生する自然由来の砒素等による汚染土壌を例に挙げて説明しているが、本発明に係る洗浄方法が対象とする被洗浄物は、これに限定されるものではない。本発明に係る洗浄方法は、上記の他、例えば、泥土圧シールド工法において発生するスラリー化していない塊からなる泥土や、浚渫土、さらには、砒素以外の自然由来の重金属類(例えば、フッ素系化合物、シアン化化合物、鉛含有化合物等)等による汚染土壌の洗浄処理に適用した場合でも、その効果を発揮することができる。ここで、上記の泥土圧シールド工法において発生する泥土を、本発明に係る洗浄方法で洗浄処理する場合には、泥土に水を加えることで解泥し、スラリー化してから処理することが好ましい。
【0092】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態の汚染土壌の洗浄方法によれば、デカンタ分級工程において、スラリー状の細粒子分の余剰分を、デカンタを用いて分級することで、スラリー状の細粒子分を、上澄液を含むスラリー状とされた溶出量基準値等を超過する微細粒子分と、溶出量基準値等に適合する固形分とに分離する方法を採用している。これにより、汚染土壌に含まれる砒素等の汚染物質を微細粒子側に分離しながら、固形分を浄化土とすることで、再利用可能な建設発生土の割合を高めることができるとともに、砒素等を含む微細粒子分からなる汚染土壌を減量することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態の砒素汚染土壌の洗浄方法によれば、スラリー状の汚染土壌にアルカリ系処理剤を添加することで、土粒子に吸着された砒素を溶存態としてスラリー内の液分中に抽出するアルカリ抽出工程と、サイクロン分級工程で得られたスラリー状の細粒子分の余剰分をデカンタ分級することで、スラリー状の細粒子分を、上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分と、固形分とに分離するデカンタ分級工程とを備えている。
このように、まず、アルカリ抽出工程において砒素を溶存態としてスラリー内の液分中に抽出することで、後工程のサイクロン分級工程におけるスラリー状の細粒子分と粗粒子分とへの分級により、汚染土壌から効果的に砒素を除去できる。また、デカンタ分級工程において、サイクロン分級工程で得られたスラリー状の細粒子分の余剰分を、上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分と固形分とに分離することで、砒素を確実に上澄液を含むスラリー状とされた微細粒子分側に分離することができ、再利用可能な浄化土の割合が高められるとともに、砒素を含む微細粒子分からなる濃縮汚染土を効果的に減量できる。
【0094】
また、本実施形態では、上述のような、アルカリ抽出工程及びデカンタ分級工程の両方を備えた例を説明しているが、本発明の砒素汚染土壌の洗浄方法においては、これらのうち、アルカリ抽出工程を設けない方法とした場合においても、再利用可能な浄化土の割合を高めるとともに、砒素を含む微細粒子分からなる濃縮汚染土を減量できる効果が得られる。
この場合、アルカリ抽出工程及びデカンタ分級工程を備える場合に比べ、土壌中における砒素の溶出量が高めとなることから、デカンタ分級工程における分級点の設定値を大きめにする必要がある。しかしながら、本発明では、このような場合においても、従来のようなサイクロン分級のみで砒素を微細粒子分側に分離する方法に比べて分級点を小さくすることができ、濃縮汚染土の発生量を減量することが可能となる。
【0095】
さらに、本実施形態の汚染土壌の洗浄方法、及び、砒素汚染土壌の洗浄方法によれば、デカンタ分級工程において、シェルの回動に伴う遠心力G、汚染土壌の供給量S、及び、シェルの内壁に圧接された汚染土壌の液深Dを調整することによって分級点を制御する方法を採用することで、この分級点を正確に制御することができる。さらに、上記の遠心力Gを500〜1500(G)、供給量Sを0.6〜300(m
3/h)の範囲、より好ましくは50〜100(m
3/h)の範囲で調整し、且つ、液深Dを一定に保持することで、デカンタにおける分級点をより正確に制御することができる。これにより、砒素等の汚染物質を確実に微細粒子側に分離し、且つ、溶出量基準値等を超過する処理土を効果的に減量しながら、再利用可能な建設発生土(浄化土)の割合を高め、減容化率を向上させる効果がより顕著に得られる。また、上記のデカンタ分級工程に係わる設備は、泥水式シールド工法の地上処理設備に組み込むことが可能なので、設置のための広い用地を別途用意する必要がなく、且つ、シールドの掘進速度に合わせた浄化処理が可能となる。
【0096】
従って、例えば、泥水シールド工法において発生する自然由来の砒素による汚染土壌を洗浄処理するにあたり、汚染土壌として処分する必要がある溶出量基準値等を超過する濃縮汚染土を効果的に減量しながら、再利用可能な浄化土の割合を高めることが可能な洗浄方法を低コストで実現できる。