【文献】
Ce-Min Fang et al.,Fast Intra Mode Decision for HEVC Based on Direction Energy Distribution,IEEE 17th International Symposium on Consumer Electronics (ISCE), 2013,IEEE,2013年 6月,pp.61-62
【文献】
Manoj Alwani and Sumit Johar,A METHOD FOR FAST ROUGH MODE DECISION IN HEVC,Data Compression Conference (DCC), 2013,IEEE,2013年 3月,p.476
【文献】
小林 大祐 他,HEVCイントラ予測処理における計算量削減方法に関する一検討,画像符号化シンポジウム 第26回,電子情報通信学会画像工学研究専門委員会,2011年10月,pp.67-68
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1選択ステップでは、第1の予測方向と、DC予測及びPlanar予測の少なくともいずれか一方とを比較し、イントラ予測により生成される予測画の歪みが最も小さくなる1つの方向を第1の予測方向として更新する
請求項2又は3記載の画像符号化方法。
前記第1選択ステップでは、前記第1の予測方向セットに含まれる2以上の予測方向それぞれに基づいて、前記隣接ブロックの画素をフィルタリングせずにコピーして生成した2以上の予測画の歪み量を比較することにより、前記第1の予測方向を選択する
請求項2〜6の何れか1項に記載の画像符号化方法。
前記第2選択ステップでは、前記第1の予測方向からイントラ予測された歪み量と前記第1の予測方向に隣接する予測方向からイントラ予測された歪み量との差分を算出し、前記差分が所定値より大きいか否かに応じて前記第2の予測方向を選択する、
請求項5又は6記載の画像符号化方法。
前記第2選択ステップでは、前記差分が前記所定値より大きい場合は、前記第2の予測方向セットに含まれる予測方向がなす鋭角のうち最大値をとる最大鋭角が所定角以下となるように、当該第2の予測方向セットを選択し、前記差分が前記所定値以下の場合は、前記最大鋭角が所定角よりも大きくなるように、当該第2の予測方向セットを選択する
請求項8に記載の画像符号化方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(本発明の基礎となった知見)
35個の画面内予測方向の全てを検討し比較すると、リアルタイム又は低遅延の符号化システムにとっては、符号化の際の処理量が非常に大きくなる。これに対し、例えば、DC予測、Planar予測などHEVCにおいて優先度が高く設定される予測のみに制限することも考えられるが、その場合は、符号化効率が低下するという課題が生じる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的とする。以下、本発明の詳細について説明する。
【0009】
(実施の形態1)
図2は、本発明における画像及び/又は動画像を符号化する画像符号化装置200の構成を示すブロック図である。
【0010】
画像符号化装置200は、入力された画像信号をブロック単位で符号化し、符号化された信号であるビットストリームを生成する。
図2に示すように、画像符号化装置200は、変換部201、量子化部202、逆量子化部203、逆変換部204、ブロックメモリ205、ピクチャメモリ206、画面内予測部207、画面間予測部208、エントロピー符号化部209、画面内予測方向選択部210より構成される。なお、ブロックメモリ205、ピクチャメモリ206と別々にメモリを記載しているが、当然、同じメモリを共有する構成出会っても構わない。
【0011】
現在の符号化の対象であるブロックに対応する画像信号は、加算器と、画面内予測方向選択部2010に入力される。加算器は、画像信号から予測信号の差分値である残差信号を変換部201に出力する。変換部201は、差分値を周波数係数に変換し、周波数係数を量子化部202に出力する。量子化部202は、入力された周波数係数を量子化し、量子化値を出力する。量子化値は、逆量子化部203とエントロピー符号化部209に入力される。エントロピー符号化部209は、量子化値を符号化し、ビットストリームを出力する。
【0012】
なお、変換部201及び量子化部202の処理は、全体として略直交変換と量子化が行われればよい。略直交変換と量子化は、一般に行列の掛け算で示される処理であって、必ずしも変換と量子化の処理を切り分ける必要はない。また量子化は、スケーリングやラウンディングという言葉で表現される場合もある。
【0013】
逆量子化部203は、量子化部202から出力された量子化値を逆量子化し、周波数係数とし、周波数係数を逆変換部204に出力する。逆変換部204は、周波数係数を逆変換し、ビットストリームの画素値、つまり再構築された残差信号を加算器に出力する。加算器は、ビットストリームの画素値を、画面内予測部207、画面間予測部208から出力された予測値に加算し、加算値である再構築画像をブロックメモリ205、または、ピクチャメモリ206に出力する。
【0014】
画面内予測部207は、画面内予測方向選択部210から画面内予測方向を取得する。そして、ブロックメモリ205から再構築画像を読み出し、画面内予測画像を生成する。
【0015】
画面内予測方向選択部210は、詳細は後述するが、ブロックメモリ205に保存されている再構築画像内、若しくは入力された画像信号内、または、再構築画像と入力された画像信号の両方を検索して、予測方向ごとにコスト計算を行うことにより画面内予測方向を選択し、選択した画面内予測方向を画面内予測部207に出力する。
【0016】
画面間予測部208は、ピクチャメモリ206に保存されている再構築画像内を検索し、入力画像信号に最も近い画像領域を推定する。
【0017】
図3は、本発明の符号化処理のフローチャートを示す図である。
【0018】
S301は、予め決められた第1の予測方向セットに含まれる、1以上の予測方向ごとのコスト計算を行う。コスト計算は、例えば歪み量を計算することにより行われる。歪み量は、画素差分の絶対値(SAD:sum of absolute pixel difference)として求めることができる。
【0019】
まず、ブロックを画面内予測し、予測画素値を生成し(S401)、ブロックの原画像の画素値から予測画素値を減算して差分値を求め(S402)、ブロック内の差分値の絶対値の合計を歪み量として算出する(S403)。歪み量は、これに限ったものではなく、処理量は若干増えるが、差分二乗の和などでもよい。
【0020】
ここで、第1の予測方向セットには、例えば、
図5に示すように、45度ずつ傾きの異なる、左下方向、垂直方向、右下方向、水平方向、右上方向の5つの画面内予測方向のうち少なくともいずれか1つが含まれる。この5つの画面内予測方向にそれぞれ沿って、近隣ブロックの参照画素を直接複製することにより、画面内予測画素が生成される。ここで、直接複製とは、重み付け演算などのフィルタリング処理を行うことなく、参照画素の値をそのまま用いることを言う。
図6A〜Eにおいて、符号1から7は、画面内予測画素を生成するために、直接複製される参照画素を示している。
【0021】
S302では、第1の予測方向セットから、第1の予測方向として選択する。例えば、歪み量を用い、歪み量を最小化する予測方向を第1の予測方向として選択する。
図7は、歪み量に基づいて、予測方向を選択する処理を示すフローチャートを示す。S701は、第1の予測方向セットの歪み量を計算する。S702は、最も歪み量の小さい予測方向を選択する。
【0022】
S303は、選択された第1の予測方向を用いて、カレントブロックをイントラ予測し予測画像を生成する。S304は、カレントブロックに対する原画像から予測画像を減算した残差信号を符号化し、ビットストリームを生成する。さらに、第1の予測方向を示すパラメータをビットストリームのヘッダに符号化する。
図8に示すように、ビットストリームは、1以上の画像(ピクチャ)が含まれるシーケンスのヘッダであるシーケンスヘッダ、1以上の画像(ピクチャ)に対応するピクチャヘッダ、ピクチャ内のスライスヘッダ、ピクチャ内のスライスやタイルと呼ばれるエリア内(例えば、スライスセグメント)に含まれる符号化の単位であるコーディングユニットのヘッダを含むが、予測方向を示すパラメータは、コーディングユニットヘッダに符号化される。
【0023】
このように、直接複製して予測画像を生成できる予測方向に限り、面内予測を行うことで、処理量を大幅に削減することができる。しかし、この場合には、符号化効率が多少犠牲になってしまう。そこで、
図9に示すように、S303の代わりに、S901とS902の処理を行ってもよい。
【0024】
S901は、S302で選択された第1の予測方向と、予め定められた優先方向との歪み量を比較して、歪み量が最も小さい予測方向を決定する。ここで、優先方向は、例えばHEVCで選択されやすくなるように規定されているDC予測、Planar予測の2方向でもいいし、そのうちいずれか1方向となるように予め設定してもよい。また、既に符号化処理済みの複数の隣接ブロックで選択された予測方向の略平均となる方向を優先方向として定めるなど適用的に設定してもよい。
【0025】
S902は、決定された予測方向を用いてカレントブロックをイントラ予測し、予測画像を生成する。
【0026】
この構成によれば、全体的には、直接複製する予測方向と、フィルタリング処理が必要とはなるが、予測方向の中でもより選択される可能性の高い優先的な方向とを効率よくコスト計算することができ、符号化効率の低下を防ぎつつ処理量を削減できるという、優れた実装を実現できる。
【0027】
(実施の形態2)
本実施の形態における符号化処理は、実施の形態1の予測方向の決定に加えて、更にもう一段階の予測方向の決定を追加することで、処理量は増えるもののより符号化効率を向上させることを目的とする。
【0028】
図10は、実施の形態2の符号化処理の特徴を示すフローチャートである。このフローチャートは、実施の形態1で説明した
図3のS303の代わりに行う処理を示す。つまり、本実施の形態における符号化処理は、S301、S302の後に、S1001〜S1004を行い、S304を行う。又は、
図3の変形例として示した、
図9のS901の後に、S1001〜S1004を行って、S304を行う処理としてもよい。以下、
図10を用いて説明する。
【0029】
次に、S1001は、S302又はS901で決定された第1の予測方向又は優先方向を用いて、予め決められた複数の予測方向セットから第2の予測方向セットを選択する。
【0030】
まず、S302の後に、S1001の処理を行う例を説明する。例えば、
図1Aに示す画面内予測方向10が第1の予測方向として選択されたとする。この場合、第2の予測方向セットは、第1の予測方向を含む7個の画面内予測方向を含むように選択される。7個の画面内予測方向は、第1の予測方向、第1の予測方向から1つ分ずつ異なる2個の隣接予測方向(例えば、
図1Aに示す画面内予測方向9、及び、11)と、第1の予測方向とは2つ分ずつ異なる2個の隣接予測方向(例えば、
図1Aに示す画面内予測方向8、及び、12)と、DC予測、及びPlanar予測である。または、第1の予測方向、第1の予測方向とは2つ分ずつ異なる2個の隣接予測方向(例えば、
図1Aに示す画面内予測方向8、及び、12)、第1の予測方向とは4つ分ずつ異なる2個の隣接予測方向(例えば、
図1Aに示す画面内予測方向6、及び、14)、DC予測、Planar予測であってもよい。また、7個としたが、数はこれに限るものではなく、3個、5個などであってもよい。
【0031】
図11は、第1の予測方向を用いて、第2の予測方向セットを選択する例を示す図である。
図11に示すように、第1の予測方向セットから、最も歪み量(例えば、原画像の画素値と予測画像の画素値との差分の絶対値の合計)が小さくなる第1の予測方向が選択されると、第1の予測方向と隣接する隣接予測方向とを含むように、第2の予測方向セットを決定する。
【0032】
続いて、S901の後に、S1001の処理を行う場合について説明する。S901で、既に優先方向として選ばれたものとの比較はされているので、比較結果に基づいて、第1の予測方向が決定されている場合には、既に比較済みの優先方向を含まない第2の予測方向セットを選択するとよい。
【0033】
しかし、例えば優先方向としてDC予測及び/又はPlanar予測が含まれ、そのいずれかが決定されている場合には、S1001〜S1004の処理を省略してよい。これは、DC予測、Planar予測が、35個の中で、アンギュラー予測方向と呼ばれる33個と異なり具体的に"ある方向"を示すものではないため、近接した方向セットの中から、改めて選択するという趣旨にはそぐわないためである。なお、優先方向として隣接ブロックの情報等を用いて適用的に設定されている場合には、第1の予測方向と当該優先方向との歪み量の差が大きいか否かに応じて、第2の予測方向セットに含まれる予測方向の選び方を変更してもよい。この詳細は後述する。
【0034】
S1002は、第2の予測方向セットに含まれる予測方向の歪み量をそれぞれ比較する。S1003は、歪み量が最小になる予測方向を、第2の予測方向として選択する。もちろん、ここでも歪み量に限ったものではなく、コスト計算ができる他の方法であってもよく、コストが最小となるものを選択する。
【0035】
S1004は、第2の予測方向を用いて、カレントブロックをイントラ予測して予測画像を生成する。
【0036】
図12は、S1001における第2の予測方向セットの決定方法の他の一例を示すフローチャートである。S1201は、前述したように、1つ又は2つおきの隣接予測方向セットを計4つ含むようになど、予め定められた複数の方法で、複数の予測方向セットを設定する。
【0037】
S1202は、第1の予測方向の歪み量(SAD0)と、第1の予測方向セットに含まれ、直接隣接する、1以上の予測方向の歪み量(SAD1、SAD2)との差を算出する。
【0038】
S1203は、歪み量の差が、予め定められた所定値よりも大きいか否か(もしくは以上か未満か)を比較する。S1204は、S1203の結果が肯定的な場合(つまり、歪み量の差が大きい場合)、複数の予測方向セットの中から、予測方向セットに含まれる全ての予測方向の全体がなす角度が所定角より小さくなる予測方向セットを、第2の予測方向セットとして選択する。S1205は、S1203の結果が否定的な場合(つまり、歪み量の差が小さい場合)、全体がなす角度が所定角より小さくなる予測方向セットを、第2の予測方向セットとして選択する。
図13は、この選択方法の模式図である。第1の予測方向と第1の予測方向に直接隣接する予測方向との歪み量の差が小さければ、第1の予測方向は顕著にコストが低い方向ではない可能性が高い。つまり、最適な予測方向は第1の予測方向近傍に存在しない可能性があるため、ある程度広い範囲を探索して、予測方向を探す方が適切な予測方向を決定できる可能性が高くなる。そこで、
図13に示すように、セット内に含まれる予測方向の全体のなす角度が所定角よりも大きくなる予測方向セットを第2の予測方向セットとして選択する。一方、歪み量の差分が大きい場合は、第1の予測方向の近傍に最適な予測方向が存在する可能性が高いので、全体のなす角度が小さいセットを第2の予測方向セットとして選択する。所定角は、文字とおり予め設定された所定の角度でもよいし、複数の予測方向セットにおいて、全体のなす角度が大きい(又は小さい)順に番号づけられたインデックスで示されるものでもよい。最終的に決定されるセットは、全体のなす角が歪み量の差分の大きさによって決まるように、適用的に選ばれてもよい。
【0039】
なお、
図13では、セット内の各予測方向の角度差が等しくなるように均一に分布しているが、各予測方向の角度差の絶対値は等しくなくてもよい。例えば、5個の予測方向は、第1の予測方向と、第1の予測方向とは1つ分異なる2つの隣接予測方向と、3つ分異なる2つの隣接予測方向であってもよい。
【0040】
なお、
図13に示すように、第1の予測方向に直接隣接する予測方向が2個ある場合には、S1203は、歪み量が小さい方の予測方向を選択するが、これに限らず、双方の歪み量の差分の絶対値(|SAD1−SAD0|及び|SAD2−SAD0|)がともに所定値よりも大きいか否かを判断してもよいし、予測方向を示す番号が若くなる方向の片方のみの絶対値で判断してもよい。さらに、双方の絶対値が無視できない程度に異なる場合には、
図13に示すように第1の予測方向を中心として均等に分布した予測方向セットではなく、どちらか一方に偏った予測方向セットを選択するなどしてもよい。
【0041】
なお、ここでは説明のため、歪み量の計算と選択について記載したが、第1の予測方向を選択する際に、これらの計算を行った上で第1の予測方向が選択されることが通常であるため、その際に同時に算出しておいても構わない。
【0042】
このように、第1の予測方向セットに含まれる予測方向の歪み量の差を用いて、第2の面内予測方向セットに含まれる予測方向のなす全体の角度を決定する構成によると、処理量を削減しつつも符号化効率が悪化しにくいという優れた効果がある。
【0043】
S1001において、予め定められた方法で作成された第2の予測方向セットを一意に選択する方法と、S1201〜S1204により、複数の予測方向セットの中から選択する方法とは、所定条件により切り替えてもよい。例えば、第1の予測方向の歪み量が顕著に小さい場合には、一意に選択し、そうでない場合にはS1201〜S1204の処理を行うように切り替えてもよい。この判断は、第1の予測方向の歪み量と所定の閾値とを比較して行っても良いし、第1の予測方向の歪み量と、2番目に歪み量が小さい予測方向の歪み量との差分を所定の閾値と比較して行っても良い。また、例えば、隣接ブロックで選択された予測方向がバラバラである場合には、S1201〜S1204の処理を行い、より適切な予測方向を探索し、隣接ブロックで選択された予測方向が、ほぼ第1の予測方向の近傍を示している場合には、一意に選択するなど、隣接ブロックの予測情報に基づいて、切り替えてもよい。
【0044】
なお、
図9に示す処理により、第1の予測方向ではなく、優先方向が選択されている場合には、DC予測、Planar予測の場合には、
図12の処理は省略する。それ以外の場合には、その方向を中心として、同様に
図12の処理を行えばよい。
【0045】
以上の構成により、本実施の形態の符号化装置は、処理量を削減しつつも、符号化効率の低下を防ぐことができる。
【0046】
(実施の形態3)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
【0047】
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
【0048】
図15は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
【0049】
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
【0050】
しかし、コンテンツ供給システムex100は
図15のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
【0051】
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
【0052】
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
【0053】
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
【0054】
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
【0055】
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
【0056】
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
【0057】
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、
図16に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
【0058】
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
【0059】
図17は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
【0060】
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の一態様に係る画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
【0061】
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
【0062】
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
【0063】
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコーダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
【0064】
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を
図18に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
【0065】
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
【0066】
図19に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
【0067】
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
【0068】
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば
図17に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
【0069】
図20Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
【0070】
さらに、携帯電話ex114の構成例について、
図20Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
【0071】
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
【0072】
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
【0073】
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
【0074】
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
【0075】
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
【0076】
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
【0077】
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
【0078】
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0079】
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
【0080】
(実施の形態3)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
【0081】
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
【0082】
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
【0083】
図21は、多重化データの構成を示す図である。
図21に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
【0084】
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
【0085】
図22は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
【0086】
図23は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。
図23における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。
図23の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
【0087】
図24は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには
図24下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
【0088】
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
【0089】
図25はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
【0090】
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
【0091】
多重化データ情報ファイルは、
図26に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
【0092】
多重化データ情報は
図26に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
【0093】
ストリーム属性情報は
図27に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
【0094】
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
【0095】
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを
図28に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
【0096】
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
【0097】
(実施の形態4)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、
図29に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
【0098】
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
【0099】
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
【0100】
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
【0101】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0102】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。このようなプログラマブル・ロジック・デバイスは、典型的には、ソフトウェア又はファームウェアを構成するプログラムを、ロードする又はメモリ等から読み込むことで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法、又は動画像復号化方法を実行することができる。
【0103】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【0104】
(実施の形態5)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
【0105】
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。
図30は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像データである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
【0106】
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、
図29のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、
図29の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態Bで記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態Bで記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、
図32のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
【0107】
図31は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
【0108】
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
【0109】
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
【0110】
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
【0111】
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
【0112】
(実施の形態6)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
【0113】
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を
図33Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明の一態様に特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。特に、本発明の一態様は、逆量子化に特徴を有していることから、例えば、逆量子化については専用の復号処理部ex901を用い、それ以外のエントロピー復号、デブロッキング・フィルタ、動き補償のいずれか、または、全ての処理については、復号処理部を共有することが考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
【0114】
また、処理を一部共有化する他の例を
図33Bのex1000に示す。この例では、本発明の一態様に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の一態様に係る動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明の一態様、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
【0115】
このように、本発明の一態様に係る動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。