特許第6391027号(P6391027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391027
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】エンジンのチャージ・システム
(51)【国際特許分類】
   F02B 29/02 20060101AFI20180910BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   F02B29/02 Z
   F02M35/10 301F
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-517692(P2016-517692)
(86)(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公表番号】特表2016-523334(P2016-523334A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】IB2014000890
(87)【国際公開番号】WO2014195777
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年5月12日
(31)【優先権主張番号】CZ2013A000012
(32)【優先日】2013年6月5日
(33)【優先権主張国】IT
(31)【優先権主張番号】CZ2014A000010
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515321131
【氏名又は名称】ファーランティ,フラビオ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ファーランティ,フラビオ
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−295132(JP,A)
【文献】 特開平04−031653(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0240319(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 29/02
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのターボチャージ・システム(100)であって、同じシャフト(104)を軸とするタービン(102)とコンプレッサ(103)が取り付けられた中心体(101)と、中心体(101)に含まれ、ノズル(106)で終端する2つのベンチュリ管(105)に連結される、少なくとも2つのフランジ・ディフューザ(110)、とを有し、エア・エンジン・フィルタ(120)とエンジン・スロットル・ユニット(130)の間に配置され、前記タービン(102)は、前記ノズル(106)から、前記エア・エンジン・フィルタ(120)の出力口におけるエンジン吸気を受け、前記エンジン吸気の空気流によって、前記タービン(102)、および、前記シャフト(104)を介した前記コンプレッサ(103)の動きが決定される、エンジンのターボチャージ・システム(100)。
【請求項2】
空気再循環バルブ(111)と、空気再循環バルブ(111)に連結された空気再循環パイプ(113)とを有し、両者は、前記エンジン・スロットル・ユニット(130)が閉じられた状態において、タービン(102)と前記エンジン・スロットル・ユニット(130)の間の空気圧を下げるように設定されている、請求項1にエンジンのターボチャージ・システム(100)。
【請求項3】
空気再循環バルブ(111)に連結するための接続フランジ(114)を有する、請求項1または2に記載のエンジンのターボチャージ・システム(100)。
【請求項4】
空気を外部に放出するバルブ(112)を含み、前記バルブ(112)は、前記エンジン・スロットル・ユニット(130)が閉じられた状態において前記タービン(102)と前記エンジン・スロットル・ユニット(130)の間の空気圧を下げるように設定されている、請求項1にエンジンのターボチャージ・システム(100)。
【請求項5】
前記タービン(102)を支持する転がり/滑りベアリング(107)を含む、請求項1にエンジンのターボチャージ・システム(100)。
【請求項6】
前記中心体(101)に取り付けられたベアリング(107)のオイラー(108)を含む、請求項5に記載のエンジンのターボチャージ・システム(100)。
【請求項7】
前記中心体(101)に取り付けられた増速機(109)を有する、請求項1に記載のエンジンのターボチャージ・システム(100)。
【請求項8】
請求項1〜7に記載のエンジンのターボチャージ・システム(100)を含む、内燃エンジン(150)の吸気マニホルド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのターボチャージ・システムに関する。
【0002】
特に、本発明は、エンジンの吸気フェーズに関連するタイプのターボチャージ・システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ピストンを有する内燃エンジンは、以下の通りに分類できることが知られている:圧縮の終わりに微細な霧状の燃料を取り込んで自発的な動力を発生させる、圧縮点火ディーゼル・エンジン;および、キャブレターまたはインジェクションを備え、火花を点火させ、火炎伝播を引き起こす、ガソリン気化エンジン。
【0004】
ガソリン気化エンジンでは、燃料の混合と、燃焼は通常、エンジン外部のキャブレターで行われ、ピストン流れによって空気が吸引される吸気パイプに、燃料が連続的に噴射される。ガソリン・インジェクション・エンジンでは、キャブレターによる気化と比較して、吸気フェーズ、および、一部の圧縮段階において燃料は、シリンダに直接噴射されるので、燃料消費の点で優位にある。
【0005】
さらに、キャブレターによる気化よりも、直接、または、間接的な噴射は、以下の通り、いくつかの点で優位である。1)供給パイプのサイズが増大できるので、体積効率も増大する。2)パイプに燃料がないので、バックファイアーの危険がない。3)空気によるデッドスペースの洗浄が可能で、排気の間、燃料を無駄にすることなく、寿命が延びる。4)燃焼効率が向上し、燃料の節約が可能。5)燃料が長いパイプを経由することがないので、加速が向上する。6)インジェクション・システム(ポンプ、ディストリビュータ、レギュレータ、インジェクタ)の位置は、モーターに密接に連結されていないので、エンジンの設計が簡素化する。
【0006】
大多数の自動車は、フォーストローク・エンジンを搭載している。図1に示す稼働サイクルは、以下の4フェーズが含まれる。吸気フェーズであって、ピストンが上部デッドロックから底部デッドロックに下げられ、吸気バルブが開くことによってシリンダを引き込み、キャブレターを通り抜けた空気流が燃料を濃縮する(区間AB:体積はそのままで変換)、吸気フェーズ。圧縮フェーズであって、ピストンは底部デッドロックから上部デッドロックに移動し、バルブを閉じた状態でシリンダ内の空気/燃料混合物を圧縮(理想的な断熱等エントロピーである、区間BC変換)する、圧縮フェーズ。エンジンによる有益な動作が行われる拡張フェーズであって、空気/燃料混合物の燃焼により引き起こされる膨張が、ピストンを上部デッドロックから底部デッドロックに押し下げる、拡張フェーズ。燃焼フェーズであって、ピストンが上部デッドロックに到達する直前に、電極を囲む混合物を燃焼させることによって電極間でスパークが発生し、圧力の急上昇に伴って燃焼が混合物の残りの部分に拡散する、燃焼フェーズ(区間C)膨張フェーズであって、ピストンが下降し、燃焼ガスを膨張させる、膨張フェーズ(区間DE:断熱変換)排気フェーズであって、ピストンが底部デッドロックに到達する前に、排気バルブが開き、残存する火炎伝播によりもたらされる外部より高い圧力によって、シリンダ内に滞留するガスを排出するが、シリンダ内は、大気圧に近い圧力の燃焼気体で満たしたままである、排気フェーズ(区間EF)。排出フェーズであって、底部デッドロックから上部デッドロックに移動するピストンが、排気バルブを介して、排気を押し出し、デッドスペースに充満する気体のみが、シリンダ内に残る(区間FA)。
【0007】
エンジンによる動力は、いくつかの既知の方法で、増大できる。
【0008】
例えば、大きな燃焼室は、より多くの燃料/空気混合物を燃焼できるので、より多くの空気が使えると、シリンダ容量の拡大によって、出力が増大する。この拡張は、シリンダ本数を増やすか、各シリンダの容量を増やすことによって、達成可能である。通常、このような拡張によって、エンジンは大きくなり、重くなる。
【0009】
他のエンジン出力を上げる可能性としては、エンジンの速度を上げることである。これは、単位時間あたりの点火行程の回数を増やすことにより可能である。
【0010】
しかし、機械的限界により、このタイプの出力増強方法は、ほとんど採用されていない。さらに、速度が増すことは、急激に摩擦と慣性を大きくすることにもなり、エンジンの効率性は低下する。別の可能性として、エンジンをスーパーチャージすることがある。知られているように、機械的見地から、エンジンをスーパーチャージするには、ターボチャージャーの使用等、様々な方法が採用されている。車両エンジンに接続されたターボチャージャーは、ベアリング・システムの上に支持された共通のシャフトによって連結されたタービンとコンプレッサからなる。ターボチャージャーは、排気によって失われたエネルギーを、エンジンに押し込む圧縮空気に変換し、これによって、エンジンの出力は上がり、トルクも上昇する。ターボチャージャーのないエンジンは、無過給のエンジンとして動作する。事実、吸気フェーズの間に、燃焼用空気は、シリンダに引き込まれ、外部環境に吸い込まれるが、その圧力は、環境上の圧力に等しい。しかし、高度が高いと、酸素量が減少するので、燃焼用空気は、高度により左右される。反対に、スーパーチャージされたエンジンでは、燃焼用空気が圧縮される。したがって、高度が一定であることにより、より多くの空気、つまり酸素が、燃焼室に流入する。このことは、燃焼用空気の燃焼と、エンジンの出力が、シリンダ容量に比例して増大することに関係する。
【0011】
基本的に、機械的にスーパーチャージされたエンジンと、固定、あるいは、可変形状の排気によってターボチャージされたエンジンとを区別することができる。
【0012】
一番目の場合、燃焼用空気は、エンジンから直接駆動されるコンプレッサによって、ベルトやギア・トレーンなどの機械的部位を介して圧縮される。しかし、出力の上昇は、コンプレッサの動作によって分散されるので、減退する。機械的コンプレッサを動作させるために必要な動力は、一部をエンジンから供給されることが求められる。
【0013】
形状が固定されているターボチャージャーの場合、排気のエネルギーは、通常、失われるが、一部は、タービンを駆動するのに使用される。実際に、タービンの同じ軸上に取り付けられたコンプレッサがあり、そのコンプレッサは、すでに記述したように、エンジンへの機械的な連結なしで、燃焼用空気を圧縮し、次に、エンジンに供給する。タービンの本体は、タービンの「ブレード・ホイール」と「エンクロージャー/ハウジング」の2つの構成要素から成る。排気は、ハウジングから、タービン・ホイールに誘導され、排気のエネルギーによって、タービンは回転する。一旦、気体がタービン・ホイールのブレードを通過ると、排気口から排出される。タービン・ホイールの回転は、エンジンの速度によって決定するので、エンジンが最少モードである場合、ホイールは、最少速度で回転する。アクセラレータに掛かる圧力と、大量の空気がタービンのハウジングを通り抜けるため、ホイールは、より速く回転し始める。
【0014】
コンプレッサのシステムも、ハウジング本体と、インペラで構成される。
【0015】
コンプレッサのインペラ、または、コンプレッサの「ホイール」は、鍛造された金属の軸によってタービンに連結されている。
【0016】
燃焼用空気は、ハウジングから、コンプレッサのホイールに誘導される。一度、圧縮されると、空気は、コンプレッサの出力口を通して本体から離れ、エンジン・シリンダに流入する。コンプレッサへの流入時、空気の温度は、大気温度と同等であるが、熱伝導現象によって、温度は、200℃以上となる。温度の上昇は、燃焼用空気のタービン本体への接触によってもたらされ、タービンを駆動する高温の排気が混じり、そして、同じ容積で、温度上昇することにより、空気中の酸素量が減少するので、二段燃焼率が低減する。空気の温度上昇は、コンプレッサの下流の出口から、「中間冷却器」と呼ばれる熱交換器によって、空気を冷却することにより打ち消される。
【0017】
形状が固定されたターボチャージャーは、排気による動力が、タービンを回転させることにより、エンジンの回転数に応じた動作を開始する。したがって、固定形状のターボチャージャーは、低、中、または、高エンジン回転数の使用に最適である。
【0018】
より効果的であるが、より複雑なターボチャージは、可変形状方法であり、これは、タービンを使用し、キャプチャ機能を有し、可動ブレードのシステムと、エンジンが低速で動作する最少コンディションから、高速で動作する最大コンディションでの排気によるものである。
【0019】
しかし、現在使用されているターボチャージャーは、重量やサイズ等のいくつかの問題を抱えており、ターボチャージャーに連結される排気マニホルドを各エンジンに設置することが求められ、否定的な環境への影響を解決し、燃焼サイクル後に燃焼室を空にできないことと、後続のサイクルにおいて、燃焼残留物が堆積する結果により、排気マニホルドが横切ることを制限する必要性のために、タービンを始動させようと、速度を上げるため、さらに、排気の温度は800〜1,000℃に達するので、鋳鉄のような高温に耐え得る材料で作製されたタービンのスネイルを使用する必要がある。しかし、これによってターボチャージャーの重量が増し、高温に耐えるためには、ターボ・エンジンに潤滑油を使う必要が生じ、汚染の原因となる。さらに、容積コンプレッサと比較して、エンジンが機械的構成要素を多く使用するため、エンジンの出力が吸収される問題がある。
【0020】
これらの問題の1番目の解決方法として、特許文献1が開示されており、同文献のシステムは、キャブレターとエンジンの間に配置され、同じ軸に連結され、同じ速度で回転し、空気/燃料混合物を制御する、径の異なる2つのタービンを有している。特に、上部タービンは、大きな径を有し、小さい径を有する下部タービンよりも多量の空気を通過させる。
【0021】
しかし、利点を有し、エンジンをスーパーチャージできるものの、上記の解決方法は、タービンとコンプレッサのシステムを備えていない。
【0022】
しかし、多くの面で利点を有するものの、このデバイスは、流体を一定の方向に向けてインペラに送達することができず、第1インペラから排出された流体を収集して、正しい方向に向けて第2インペラに運搬することができない。この解決方法は、流体を一定方向に送達する手段も、第1インペラから第2インペラに向けて流体を収集して誘導する手段も有さず、空気のエネルギーのほとんどが、分散する。さらに、一度、空気が、第1タービンを点火時に横切ると、部分的に第2タービンを通過し、部分的にタービン・ブレードに突き当り、デバイスの回転を妨げ、空気の活用ができなくなる。さらに、内燃エンジンでは、高容量マニホルドへの吸気の際、シリンダの相互動作の間に、パルス圧力が発生する。これらの理由と、上記のデバイスがバルブのかなり近くに配置されていることにより、このデバイスの効率性は高くない。さらに、空気量の増大は、2つのタービンの径の比率のみによって決まることから、このようなデバイスは、超過圧力を生成することがある。さらに、機能面では、キャブレターとエンジンの間のデバイスの位置は、キャブレターを備えたエンジンに対して、以下の欠点を有する:システムはキャブレターに連結されているため、バックファイアーの危険が増大する;システムの位置は、エンジンの位置に密接しているので、エンジンの設計が困難である。
【0023】
第2の解決方法として、特許文献2が開示されており、同文献のターボチャージャーは、排気により駆動されるタービンを排出開口部の流路に有し、吸込路にはコンプレッサが配置されている。タービンの片側の、排出開口部の流路に触媒が配置され、排気による汚れを取り除く。この解決方法は、燃焼気体再循環システムを使用し、このシステムは、排気に含まれる汚染物質の一部を削減するため、数パーセントの排気を、排気マニホルドから、吸気マニホルドに通過させて循環させる。この燃焼気体再循環を実現するために、排気フェーズの終了と吸気フェーズの開始の間に、信号を介して、エンジン・コントロール・ユニットにより制御される特別なソレノイド、または、ハイドロリック・バルブ(EGR)を使用し、コレクタによって排気の量が調整される。気体は、吸気マニホルドを再循環し、エンジンに吸入される。排気と一緒になって、回路は、カーターから来る気体を捕え、ピストン・リングとエンジン蒸発オイルを通してフィルタリングする。
【0024】
多くの面で利点があるが、この解決方法は、いくつかの問題点を有する。その問題点として、ターボチャージャーは排気によって駆動するので、タービン動作の特性比の変動だけでなく、それ自体の慣性によって、別のシリンダ、および、同じシリンダからの排気が妨げられ、性能が劣化することが挙げられる。したがって、この方法は、各シリンダの排気が、タービンのディストリビュータに別々に到達するか、ディストリビュータの同じセクタに、排気フェーズで重なることがないシリンダのガスのみが到達する場合に使用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】仏国特許第2610672号
【特許文献2】独国特許公開第102010043800号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の目的は、従来技術のシステムの限界を克服するエンジンのターボチャージ・システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明により、請求項1に示す通り、エンジンのターボチャージ・システムが提供される。
【0028】
本発明をより深く理解するため、好適な実施形態を示し添付の図を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されることなく、例示されるに過ぎないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来技術における所望のキャブレター・フォーストローク・エンジンの動作周期を示す。
図2】エア・フィルタとエンジンのスロットル・ユニットの間に配置された、本発明によるターボチャージ・システムの模式図である。
図3a】本発明によるターボチャージ・システムの中心体の模式図である。
図3b】本発明によるターボチャージ・システムの中心体の油潤滑式ベアリングの模式図である。
図4a】本発明によるターボチャージ・システムの中心体の模式図である。
図4b】本発明によるターボチャージ・システムのスピード・マルチプライヤーの模式図である。
図5】本発明によるターボチャージ・システムの流路を上から見た、エア・フィルタを除いた、模式図である。
図6】本発明によるターボチャージ・システムを含む内燃エンジンの吸気マニホルドの三次元模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明による、エンジンのターボチャージ・システム100を、これらの図、特に図2に示す。特に、エンジンのターボチャージ・システム100は、エンジンのエア・フィルタ120とエンジンのスロットル・ユニット130の間に配置され:タービン102とコンプレッサ103が載置され、同じシャフト104に固定される中心体101;中心体101に含まれ、ノズル106で終端する2本のベンチュリ管105;タービン102を支持する転がり/滑りベアリング107;中心体101に取り付けられ、それぞれ、図3および図4に示した、オイラー108、および、スピード・マルチプライヤー109;2つのフランジ・ディフューザ110;空気循環バルブ111;外部に空気を排出するバルブ112;空気再循環バルブ111に連結された空気再循環パイプ113;2つのフランジ・ディフューザ110の一方において、再循環バルブ111に連結される接続フランジ114;ターボチャージャー103を取り付ける連結手段115、を有する。
【0031】
図3aは、油潤滑式ベアリング107を強調した中心体101の詳細図であり、図3bは、ベアリング107とオイラー108の拡大図である。
【0032】
図4aは、スピード・マルチプライヤー109を強調した中心体101の詳細図であり、図4bは、スピード・マルチプライヤー109の拡大図である。
【0033】
本発明のある形態では、ターボチャージ・システム100は単一の空気流で作用する。
【0034】
その代わり、図5は、エア・フィルタ120から来る空気流の流路を強調した、図2のシステム100を示し、システム100に流入し、スロットル・ユニット130に向かって流出する。より具体的には、エンジンが始動すると、ベンチュリ・パイプ105のコンプレッサ103に対応して、フィルタ120を介してエンジンの吸気フェーズから来た空気が、第1デフューザー110を経由して運搬される。その後、ノズル106から流出した空気は、コンプレッサ103のシャフト104に固定されたタービン102に流入する。したがって、タービン102は起動し、コンプレッサ103を動作させ、エンジンのスーパーチャージを開始する。スロットル・ユニット130が開いた加速フェーズでは、空気流が増大するので、エンジンへのスーパーチャージも増大する。
【0035】
本発明の優位な点として、空気再循環バルブ111がタービン102とスロットル・ユニット130の間の空気圧を減少させる機能を有することが挙げられ、スロットル・バルブが閉じられ、加速フェーズを終えると、空気を空気再循環パイプ113の循環に戻す際のスロットル・バルブを保護し、あるいは、空気抜きバルブ112を通して、空気を外部に排出する。
【0036】
本発明の優位な点として、ターボチャージャーが軽金属で作成可能であることが挙げられる。
【0037】
本発明の優位な点として、図6に示す通り、ターボチャージ・システム100は、内燃エンジン150(例:インジェクション・エンジン)の吸気マニホルドの各吸気ボックス内に含まれる。本実施形態を応用することによる、特に優位な点として、インジェクション・エンジンの体積効率は、高いことが好ましいので、給水管のサイズを大きくすることができ、給水管には燃料はなく、エンジンの設計は容易なので、バックファイアーの危険はなくなり、インジェクション・システムの位置(ポンプ、ディストリビュータ、レギュレータ、およびインジェクタ)が、エンジンの位置に強固に結合していないので、したがって、ターボチャージ・システム100のサイズを最適化することにより、ターボチャージ・システム100を、吸気バルブに近接した、それぞれがエンジン・シリンダ用である、スロットル・バルブ後部の吸気マニホルド内の吸気ボックスに配設される。このようにして、本発明による吸気管内の圧力波は、低速および中低速のエンジン速度で、各シリンダの充填物を増やすのに有利に使用される。使用時に、ターボチャージ・システム100が吸気を受けない場合、ターボチャージ・システム100は、慣性により回転し続け、余分な空気は、排気バルブ112から外部に排出されるか、バルブ111から回路にフィードバックされる(図2および5参照)。ターボチャージ・システム100のフィッティング113を使用すること、または、適切なサイズのタンクを取り付けることによって、圧縮空気として使用可能であり、バルブ111は、電子制御により、最も適切なモーメントにより、シリンダ内に空気を取り込むことができる。
【0038】
より詳しくは、エンジンが点火するとき、フィルタ120を通ってエンジンの吸入相から起こった外部の入力空気が、第一のフランジ・ディフューザ110により、第一のコンプレッサ103、その次にベンチュリ管105と調和して、輸送される。その後、ノズル106から流出した空気は、コンプレッサ103のシャフト104に固定されたタービン102に流入する。したがって、タービン102は起動し、コンプレッサ103を動作させ、エンジンのスーパーチャージを開始する。スロットル・ユニット130が開いた加速フェーズでは、空気流が増大するので、タービン102とコンプレッサ103の回転も増大する。コンプレッサ103は最適条件に達し、それによりベンチュリ管105を通じ、タービン102に対してノズル106が与えるであろう高度な空気をもたらすことになる。この発明によると、タービン102の出力におけるフランジ・ディフューザ110の影響により、その圧力は増加し、フィルタ120の入力における空気流の圧力よりも高い圧力を持つ空気流に、持続的かつ発展的になり、したがってエンジンのスーパーチャージを得ることになるだろう。
【0039】
本発明によるエンジンのターボチャージ・システムの動作に関し、申請者は、タービンとコンプレッサ間で伝達される、タービンの熱力学的効率と、コンプレッサの熱力学的効率の論理研究を行った。申請者は、サーマル・エンジンが、燃焼物の燃焼により得られる熱の最高部を燃焼生成物の機械動作に変換する考えに基づいたが、これは容積測定機の移動壁に対する後者による圧力によるものである。排気により駆動するターボチャージャーの申請者による熱力学的分析によると、コンプレッサとタービン内のそれぞれで、空気と燃焼気体に影響する変換は、機械と熱交換せずに発生すると一般的に考えられている。実際には、ターボチャージャーは理想的な機械ではなく、ターボチャージャー内で発生する変換は非効率的であるので、一定量の熱交換が発生する。ターボチャージャーの効率性は、ターボチャージャー自体の全体的な効率性と、タービン入口の燃焼気体の温度とコンプレッサの吸気口の温度の比率と、タービン内の膨張比の高まりに応じて、増大する。その代わり、機械から排出される液体の運動エネルギーの一部が使用されないことによる放出運動エネルギーの損失から、固定および可動するダクトの摩擦により歩留まり損失が生じ、一方のブレードからもう一方のブレードへの通路の速度はジョイント部の縁部の漏れから、異なる。さらに、タービン入口の燃焼気体の温度が一定の温度よりも低いと、タービンによって回復する機械動力がコンプレッサを動作させるのに十分でないため、ターボチャージャーは、最適条件下で動作しない。逆の場合、コンプレッサ・シャフトに対する機械動力が過剰なので、ターボチャージャーの動作点の圧縮比をより高くする傾向がある。熱力学第2法則は、ただ、動作源の熱を変換するだけで、変換は不可能でありタービンの熱力学的効率は1未満であり、タービンとコンプレッサの間のトランスミッションの機械効率は、1未満であり、コンプレッサの熱力学的効率は、1未満である。現在市販されているターボチャージャーの全体的な性能は、動作条件により変動するが、一時的に0.5/0.65と仮定される。さらに、熱力学の第1法則は、どの質点系も、4つの異なる方法(環境から、熱を吸収、熱を放出、その環境で動作させる、動作を継続する)で外部の環境に相互作用することを明らかにしている。これらの相互作用のそれぞれは、システムと外部環境の間のエネルギー交換と等価であり、システムの内部エネルギーに変化を生じさせる。システムが熱を失う、あるいは、動作すると、内部のエネルギーは減少し、システムが外部から熱を受けるか、動作を継続する場合、内部のエネルギーは増加する。したがって、潜在的エネルギーおよび運動エネルギーの変化によって、あらゆる現象が発生する。自動車産業によって現在、使用されているすべてのターボチャージャーの動作は、上記の熱力学原理に基づき、本発明は、先に、排気フェーズで放射された同等の容量と、吸入フェーズに吸入されることに基づく。しかし、シリンダは、できるだけ多くの新鮮な空気で満たされる必要があるが、本発明は、エンジンの吸気システムに結合する予燃焼空気を使用するので、ダクト上にも、タービン・ブレード上にも堆積物が放出されることがなく、性能面で優位となる。さらに、シリンダの充填は、吸気管の形状、および、排出部位の形状に影響される。したがって、本発明は、スーパーチャージと、シリンダへの最適な充填を確実にするので、外部への排気を妨げることがなく、本発明を使用することによって、エンジンの全体的な効率性は向上する。さらに、吸気の温度は、排気の温度よりも低いので、本発明を使用することによって、冷却システムの設置が不要となり、重金属の使用も不要となる。
【0040】
したがって、本発明によるエンジンのターボチャージ・システムは、エンジンのエア・フィルタとスロットル・ユニットの間に設置されるので、従来のターボチャージ・システムのようにオーバーヒートに晒されることはない。
【0041】
本発明によるエンジンのターボチャージ・システムの別の利点として、容量が統一されたシリンダをエンジンの吸気パイプ上に直接取り付けることが可能なので、接続部位が不要となり、生産コストの低減につながることが挙げられる。
【0042】
さらに、本発明によるエンジンのターボチャージ・システムは、占有する容積スペースが小さく、素早く取り付けることができる。
【0043】
さらに、本発明によるエンジンのターボチャージ・システムは、軽金属から製作可能なので、全体的な重量を抑えることができる。
【0044】
さらに、本発明によるエンジンのターボチャージ・システムは、燃焼サイクル後に燃焼室を完全に空にして、従来のシステムに見られる、後続のサイクルにおける燃焼残留物の堆積の問題を解消するので、エンジンの効率性が増大する。
【0045】
さらに、本発明によるエンジンのターボチャージ・システムは、固定された形状のタービンを様々な形状に変えることができるので、ターボ圧縮システムの効率性が増大する。
【0046】
最後に、本発明によるエンジンのターボチャージ・システムは、タービンを清潔に維持することができるので、メンテナンス費用を低減することができる。
【0047】
最後に、本明細書に記載し説明したエンジンのターボチャージ・システムは、請求項に記載され保護された範囲から逸脱することはなく、修正および改変することが可能であることに留意されたい。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6