特許第6391132号(P6391132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391132
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】システムキッチン
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/04 20060101AFI20180910BHJP
   A47B 77/02 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   A47B88/00 D
   A47B77/02
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-201168(P2013-201168)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-66041(P2015-66041A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年9月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物(カタログ)の発行日 平成25年4月1日 ウェブサイト(アドレスhttp://www.sanwacompany.co.jp/shop/)により刊行物(カタログ)が入手可能になっている
(73)【特許権者】
【識別番号】508290390
【氏名又は名称】株式会社矢島
(74)【代理人】
【識別番号】100120226
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 知浩
(72)【発明者】
【氏名】小松 利行
(72)【発明者】
【氏名】板倉 文彦
(72)【発明者】
【氏名】平林 純
【審査官】 中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−135569(JP,A)
【文献】 実開平03−102955(JP,U)
【文献】 実開昭50−097731(JP,U)
【文献】 特開2008−104487(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0067900(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 77/00−88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納庫に設けるパネル部材の端部と収納庫に配置される引出部の端部とが略平行となるように対向した収納庫の端部対面構造を備えたシステムキッチンであって、
前記収納庫の側壁は、側壁本体部と、前記側壁本体部に曲げ加工で一体形成され前記パネル部材を前記側壁に固定するための固定手段を兼ねる当接部と、前記側壁本体部に曲げ加工で一体形成され前記収納庫を構成する構成部材を取付可能な取付部と、を有し、
前記当接部は、前記収納庫の幅方向に沿って前記収納庫の側壁側に突出するように延在する第1延在部と、前記第1延在部の延在端部から当該第1延在部に対して直交かつ前記収納庫の内部側に向かって延在する第2延在部と、を有し、
前記第2延在部は、隣接する他の前記収納庫と連結するときに、当該他の前記収納庫に設けられた前記当接部の前記第2延在部に対して相互に弾性接触するものであり、
前記取付部は、前記第1延在部の延在方向とは反対方向となる前記収納庫の幅方向に延びるものであり、
前記パネル部材が前記当接部を介して前記側壁に固定されたときに、前記パネル部材の端部と前記引出部の端部とがそれぞれ傾斜面を有し、かつ当該傾斜面同士が隙間を介して略平行となるように対向したことを特徴とするシステムキッチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納庫の端部対面構造及びシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の収納庫の一例として、ステンレス製の板状部材によって形成され側面の縁において外側にコの字状に曲げ加工された屈曲部を有する本体部と、屈曲部の幅とほぼ同じ厚みを有し側面の外側に取り付けられる樹脂製のスペーサと、を備えたものがある(下記特許文献1)。
【0003】
上記収納庫によれば、収納庫の本体部の右側面、および当該収納庫に連結される他の収納庫の本体部の左側面には、上記スペーサが取り付けられている。右側面に取り付けられたスペーサと、左側面に取り付けられたスペーサとは、それぞれ対応する位置に配置されており、各スペーサ同士を突き合わせて、各本体部同士(複数の収納庫同士)が隙間なく連結固定される構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−135569公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の収納庫では、樹脂製のスペーサが別途必要になり、部品点数が増加し、ひいてはコスト高になる。また、スペーサ同士を連結させる前にスペーサを収納庫の側壁側に固定する必要があり、現場での作業が煩雑であるという問題があった。
【0006】
また、スペーサを介して収納庫同士を連結させた構成では、収納庫の側壁側と引出部側との間で位置ずれが生じるおそれがあり、意匠性が低下する問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、簡易な構造で、部品点数を削減し、かつ隣接する収納庫同士の連結強度を確保できるともに、収納庫の側壁側と引出部側との対向部位における意匠性を高めることができるシステムキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、収納庫に設けるパネル部材の端部と収納庫に配置される引出部の端部とが略平行となるように対向した収納庫の端部対面構造を備えたシステムキッチンであって、前記収納庫の側壁は、側壁本体部と、前記側壁本体部に曲げ加工で一体形成され前記パネル部材を前記側壁に固定するための固定手段を兼ねる当接部と、前記側壁本体部に曲げ加工で一体形成され前記収納庫を構成する構成部材を取付可能な取付部と、を有し、前記当接部は、前記収納庫の幅方向に沿って前記収納庫の側壁側に突出するように延在する第1延在部と、前記第1延在部の延在端部から当該第1延在部に対して直交かつ前記収納庫の内部側に向かって延在する第2延在部と、を有し、前記第2延在部は、隣接する他の前記収納庫と連結するときに、当該他の前記収納庫に設けられた前記当接部の前記第2延在部に対して相互に弾性接触するものであり、前記取付部は、前記第1延在部の延在方向とは反対方向となる前記収納庫の幅方向に延びるものであり、前記パネル部材が前記当接部を介して前記側壁に固定されたときに、前記パネル部材の端部と前記引出部の端部とがそれぞれ傾斜面を有し、かつ当該傾斜面同士が隙間を介して略平行となるように対向したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡易な構造で、部品点数を削減し、かつ隣接する収納庫同士の連結強度を確保できるとともに、収納庫の側壁側と引出部側との対向部位における意匠性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態のシステムキッチンの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態である収納庫の連結構造の一例として収納庫が2個連結した状態を示す部分断面図である。
図3】本発明の一実施形態である収納庫の連結構造の一例として収納庫が2個連結した状態を前方側から見た斜視図である。
図4】本発明の一実施形態である収納庫の連結構造の一例として収納庫が2個連結した状態を後方側からみた斜視図である。
図5】本発明の一実施形態である収納庫の連結構造の一例として収納庫が2個連結した状態の当接部の拡大平面図である。
図6】収納庫を構成する側壁の正面図である。
図7】収納庫を構成する側壁の平面図である。
図8】収納庫を構成する側壁の右側面図である。
図9図6のA−A間の断面図である。
図10】収納庫の一例の正面図である。
図11図10のB−B間の断面図である。
図12図10のD部の拡大図である。
図13図10のC−C間の断面図である。
図14】本発明の一実施形態である収納庫の端部対面構造の第1実施例を示す部分斜視図である。
図15】本発明の一実施形態である収納庫の端部対面構造の第2実施例を示す部分断面図である。
図16】本発明の一実施形態である収納庫の端部対面構造の第3実施例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る収納庫の連結構造、収納庫の端部対面構造及びシステムキッチンについて、図面を参照して説明する。なお、本実施形態で説明した具体的な数値、寸法、材料、加工方法等については、あくまでも例示であり、本発明を限定するものではない。
【0016】
[システムキッチン]
先ず、システムキッチンについて説明する。
【0017】
図1に示すように、システムキッチン10は、複数の収納庫12を備えている。各収納庫12は、所定の方向(例えばその幅方向)に沿って隣接して設けられている。
【0018】
本実施形態のシステムキッチン10では、3つの収納庫12を配置した構成を一例に挙げる。例えば、図1の最も左側にはコンロが設置される第1収納庫12A、最も右側にはシンクが設置される第3収納庫12C、第1収納庫12Aと第3収納庫12Cの間に位置する第2収納庫12Bと、で構成される。なお、3つの収納庫12を配置した構成に限定する趣旨ではなく、例えば、2個、4個以上の収納庫を連結したシステムキッチンでもよい。
【0019】
各収納庫12A、12B、12Cには、単数又は複数の引出部14が適宜配置されている。各引出部14の内部には、例えばキッチン用品などの物品が収納される。なお、シンク回りなどの用途に応じて、収納庫12に引出部14が配置されていない形態もあり得る。
【0020】
所定の方向に沿って隣接する各収納庫同士は、後述する連結構造により強固に連結されている。
【0021】
[収納庫の連結構造]
次に、システムキッチンを構成する収納庫の連結構造について説明する。
【0022】
図2乃至図4図10乃至図13に示すように、各収納庫12は、2つの側壁16と、背面壁18と、底板19と、が組み立てられて箱状に構成されている。収納庫12の前面側には、収納庫12に収納された引出部14の前壁20により覆われる。なお、図2乃至図4では第1収納庫12Aと第2収納庫12Bを開示し、図10乃至図13では第3収納庫12Cを開示する。
【0023】
なお、収納庫12は、例えばステンレスなどの同一の金属板で構成されている。
【0024】
側壁16には、例えばレールガイド(図示省略)等を適宜設けることにより、引出部14の前後方向に沿ったスライド移動が容易になる。
【0025】
図3乃至図9に示すように、側壁16は、正面視にて略方形状の側壁本体部22を有している。側壁本体部22は、例えば、ステンレスなどの金属板で構成されている。側壁本体部22は、適宜、組立用の穴が形成されている。
【0026】
図2乃至図5図7乃至図9に示すように、側壁本体部22の前面側及び背面側には、当接部24が設けられている。当接部24は、側壁本体部22に一体形成されている。例えば、側壁本体部22に対して所定の曲げ加工を行うことにより、当接部24が形成される。当接部24の機能として、隣接する収納庫12同士を連結するときに、隣接する収納庫12の側壁16の当接部同士が少なくとも一部の領域において接する。
【0027】
図3乃至図5に示すように、当接部24は、収納庫12の幅方向に沿って延在する第1延在部26と、第1延在部26に対して直交して延在する第2延在部28と、を有している。隣接する収納庫同士が連結されている状態では、それぞれの第2延在部28が全領域又は一部の領域において相互に接触した状態になる。このように、隣接する収納庫12の各第2延在部28同士が面接触する。
【0028】
ここで、図5に示すように、第1延在部26の寸法Xは、最大15mm以内に設定されている。第1延在部26の寸法Xは、引出部14の前壁20の幅方向長さとの関係で設定されている。例えば、引出部14の前壁20の幅方向端部が側壁16から外側に突出する構成の場合に、隣接する他の収納庫12の引出部14との干渉を避けるためのスペースを確保できる程度に設定される。
【0029】
本実施形態では、図5に示すように、第1延在部26の寸法Xは、引出部14の前壁20の幅方向端部20Aの突出長Tと同じ程度になるように設定されている。これにより、引出部14が収納庫12に完全に収納されたときに、隣接する他の収納庫12の引出部14の前壁20の幅方向端部との接触が回避される。また、引出部14の前壁20の幅方向端部20Aが第1延在部26の前面側に対向する位置にくるため、ユーザからは第1延在部26を視認することができない。この結果、システムキッチン10の引出部14の幅方向長さを長くした場合でも、引出部14のスライド移動を維持でき、かつ意匠性が低下しない。
【0030】
第2延在部28の寸法Yは、最大20mm以内、特に7mm以上20mm以下となるように設定されている。第2延在部28は弾性変形可能でありながら相手と接触するため、弾性バネとして機能する。このため、第2延在部28の寸法Yが短くなり過ぎると、弾性バネとしての機能が低下して、不具合が生じる。逆に、第2延在部28の寸法Yが長くなり過ぎると、材料費が余分に発生したり、却って施工性が悪くなる。このため、第2延在部28の寸法Yは、上述した範囲に設定されていることが好ましい。
【0031】
なお、第2延在部28には、適宜、組立用の穴が形成されている。
【0032】
当接部24は、隣接する収納庫同士を連結するときに連結構造の一部を構成するとともに、後述のパネル部材32を側壁16に固定するための固定手段あるいは取付手段を兼ねる。
【0033】
図3及び図4に示すように、側壁本体部22の上面側には、平面状の取付部30が設けられている。取付部30は、側壁本体部22に一体形成されている。例えば、側壁本体22に対して所定の曲げ加工を行うことにより、取付部30が形成される。
【0034】
取付部30は、収納庫12を構成する構成部材を連結させるときの接合部として機能する。なお、収納庫12を構成する構成部材の一例として天板やパネル・フィラー等が該当する。
【0035】
図7乃至図9に示すように、取付部30は、側壁本体部22を曲げ加工するとともに側壁本体部22と一体形成されているため、容易に形成することができ、かつ所定の強度を有している。このため、補強材等を介させることなく、取付部30に天板やパネル・フィラー等の構成部材を直接取り付けることができる。また、取付部30は、側壁本体部22と一体形成されているため、独立した取付部を別途側壁16に取り付ける構成と比較して部品点数及び組立労力を削減することができる。
【0036】
なお、取付部30には、適宜、組立用の孔が形成されている。
【0037】
取付部30は、適宜、後述のパネル部材32を側壁16に固定するための固定手段あるいは側壁16に取り付けたパネル部材32を支持する支持手段を兼ねることが可能である。
【0038】
このように、側壁本体部22には、当接部24及び取付部30の両方がそれぞれ一体形成されている。
【0039】
以上のようにして、幅方向に隣接する収納庫同士を連結した状態で、当接部24同士が接触している。例えば、図2乃至図4では、第1収納庫12Aと第2収納庫12Bとが幅方向に沿って隣接しており、両者の当接部24同士が少なくとも一部の領域において接触している。図5に示すように、第1収納庫12Aと第2収納庫12Bの第1延在部26同士が一体となって所定の平面を形成し、第2延在部28同士が面接触している。
【0040】
幅方向に隣接する収納庫同士を連結する場合には、側壁同士をボルト及びナット等の固着具により固定することが好ましい。また、相互に面接触した第2延在部26同士をボルト及びナット等の固着具により固定してもよい。
【0041】
このとき、第2延在部28同士が相互に弾性力を及ぼし合い、適宜、弾性変形する。ここで、側壁16の設計精度が低い場合には寸法誤差が生じるが、相互に面接触する第2延在部28の両方又は一方が弾性変形することにより寸法誤差を吸収する。このように、当接部24自体にバネ機能をもたせ、適宜弾性変形させることにより、側壁16の寸法誤差を吸収することができる。また、当接部24全体が所定の弾性力を有するため、各収納庫12の連結部において所定の強度を維持することができ、要求される連結強度を維持できる。
【0042】
なお、第2収納庫12Bと第3収納庫12Cとが隣接しているが、両者の当接部24同士の接触状態については、第1収納庫12Aと第2収納庫12Bのものと同様であるため、図示及びその説明を省略する。
【0043】
このように本実施形態の収納庫の連結構造及びシステムキッチン10によれば、収納庫12の側壁16自体に当接部24というバネ機能をもたせ、他の収納庫12の当接部24と面接触することにより、簡易な構造で、部品点数を削減し、かつ隣接する収納庫同士の連結強度を確保できる。
【0044】
ここで、収納庫12には左右の側壁16を備えており、他の収納庫12の側壁16と連結することになるが、システムキッチン10の幅方向両側端部に位置する側壁16は他の収納庫12の側壁16に連結しない。例えば、図2では、システムキッチン10の幅方向両側端部に位置する、連結しない側壁16とは、第1収納庫12Aの左側(図2の図示方向)の側壁16と、第3収納庫12Cの右側の側壁16とが該当する。
【0045】
図2に示すように、システムキッチン10の幅方向両側端部に位置する側壁16には、パネル部材32が装着される。すなわち、システムキッチン10の幅方向の左側端部及び右側端部に位置する側壁16には上述した当接部24が形成されているが、これらが外部に露出するため、意匠性が悪くなる。このため、当接部24を隠すように、パネル部材32が装着される。パネル部材32は、意匠性に優れたデザインを有しており、当接部24に引っ掛けるようにして装着可能である。これにより、パネル部材32が当接部24を完全に覆い隠すため、意匠性が高くなる。
【0046】
また、当接部24は、収納庫12の連結手段及び連結時の強度維持手段の他に、パネル部材32を装着するための固定手段として機能させることも可能である。これにより、当接部24がシステムキッチン10の幅方向端部に位置したときに、取付手段・取付機構を別途設けることなく、パネル部材32を当接部24によって収納庫12の側壁16に固定することができる。この結果、システムキッチン10の部品点数を削減できる。
【0047】
なお、側壁16の取付部30についても、当然ながら、パネル部材32を装着するための固定手段あるいは固定時の支持手段として機能させることができ、この場合も当接部24と同様の作用効果が得られる。
【0048】
[収納庫の端部対面構造]
次に、収納庫の端部対面構造について説明する。
【0049】
(第1実施例)
図11図12図14に示すように、第1実施例における、第3収納庫12Cの右側端部に位置するパネル部材32の前側端面と引出部14の前壁20の幅方向部端面との対面構造では、パネル部材32の前側端部34に傾斜部36が形成されている。また、引出部14の前壁20の右側端部38には、傾斜部40が形成されている。また、両者の傾斜部36、40の傾斜面36A、40Aが相互に略平行となるように対向して配置されている。
【0050】
なお、第1実施例では、傾斜部36、40の傾斜面36A、40Aの傾斜角度は、一例として45度を示す。ただし、傾斜角度を45度に限定する趣旨ではなく、他の傾斜角度を採用することもできる。
【0051】
第1実施例によれば、引出部14を収納庫12に収納したときに、パネル部材32の傾斜部36の傾斜面と引出部14の傾斜部40の傾斜面とが略平行となるように対向し、意匠性が高くなる。特に端部が所定の傾斜角で位置合わせされているというような高度な意匠性を実現できる。よって、デザイン全体の意匠を一層と高める結果に貢献する。
【0052】
なお、図示しないが、第1収納庫12Aの左側端部に位置するパネル部材32の前側端部と引出部14の前壁20の左側端部との対面構造についても、同様の端面構造を適用することができる。
【0053】
(第2実施例)
図15に示すように、第2実施例における、第1収納庫12Aの左側端部に位置するパネル部材32の前側端面と引出部14の前壁20の幅方向部端面との対面構造では、パネル部材32の前側端部34の端面34Aと引出部14の前壁20の左側端部42の端面42Aとが相互に略平行となるように対向して配置されている。特に、パネル部材32の端面34Aは、引出部14の前壁20の左側端部42の横側に並んで位置しており、前方側からも視認できる。
【0054】
なお、第2実施例における、「パネル部材32の前側端部34の端面34A」とは、前側端部34の収納庫12の前後方向(奥行き方向)に延びる平面を意味する。また、「引出部14の前壁20の左側端部42の端面42A」とは、左側端部42の収納庫12の前後方向(奥行き方向)に延びる平面を意味する。
【0055】
第2実施例によれば、上記端面34A、42A同士が相互に略平行となるように対向して配置されているため、端面34A、42A同士の平行精度を視認化できるとともに、パネル部材32の端部が前方側へ露出する。これにより、システムキッチン10の滑らかな輪郭を訴えることができる。
【0056】
なお、図示しないが、第3収納庫12Cの右側端部に位置するパネル部材32の端面と引出部14の前壁20の右側端部の端面との対面構造についても、同様の端面構造を適用することができる。
【0057】
(第3実施例)
図16に示すように、第3実施例における、第3収納庫12Cの右側端部に位置するパネル部材32の前側端面と引出部14の前壁20の幅方向部端面との対面構造では、パネル部材32の前側端部34の端面34Aと引出部14の前壁20の右側端部38の端面38Aとが相互に略平行となるように対向して配置されている。特に、パネル部材32の端面34Aは、引出部14の前壁20の右側端部38の後方側に位置しており、前方側からは視認できない。
【0058】
なお、第3実施例における、「パネル部材32の前側端部34の端面34A」とは、前側端部34の収納庫12の左右方向(幅方向)に延びる平面を意味する。また、「引出部14の前壁20の右側端部38の端面38A」とは、右側端部38の収納庫12の左右方向(幅方向)に延びる平面を意味する。
【0059】
第3実施例によれば、上記端面34A、38A同士が相互に略平行となるように対向して配置されているため、端面34A、38A同士の平行精度を視認化できるとともに、パネル部材32の前側端部34が前方側へ露出しないので、引出部14を大きく見せることができる。これにより、システムキッチン10を前面側から見たときにスマートですっきりとした印象を与えることができる。
【0060】
なお、図示しないが、第1収納庫12Aの左側端部に位置するパネル部材32の端面と引出部14の前壁20の左側端部の端面との対面構造についても、同様の端面構造を適用することができる。
【0061】
さらに、左右両側端部のパネル部材の端面と引出部の端面との対面構造については、平行性を伴う様々な意匠がある。本発明は、端部の平行性を伴う端部対面構造の全てに適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
10 システムキッチン
12 収納庫
12A 第1収納庫
12B 第2収納庫
12C 第3収納庫
14 引出部
16 側壁
18 背面壁
19 底板
20 前壁
22 側壁本体部
24 当接部
26 第1延在部
28 第2延在部
30 取付部
32 パネル部材
34 前側端部
34A 端面
36 傾斜部
36A 傾斜面
38 右側端部
38A 端面
40 傾斜部
40A 傾斜面
42 左側端部
42A 端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16