(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記湾曲凹部は、前記アーム部材を揺動させて前記接地部材を前記上下方向に移動させるときに前記連係部材が突き当たる部分が常に前記接地部材の移動方向に直交するよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載のテーブル装置。
前記アーム部材において、前記一端側の回転軸を挟んで前記他端側とは反対側に、前記アーム部材を上方に付勢するアーム付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のテーブル装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るテーブル装置の実施形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
図1は、テーブル装置10の構成を示す側面図である。
図2は、
図1のテーブル装置の要部を後方から見たときの斜視図である。
図3は、
図2に示した構成の一部部品を除外した状態での斜視図である。
図4は、テーブル装置の天板を引き上げた第三の状態を示す側面図である。
図5は、
図3に示した構成の一部部品を除外した状態での斜視図である。
図6は、
図5に示した構成の一部部品を除外した状態での斜視図である。
なお、以下の説明において、テーブル装置10が設置される床面F側を「下方」、その反対方向を「上方」、ユーザがテーブル装置10に対向する側を「前方」、その反対側を「後方」または「背面側」と適宜称する。
【0020】
図1に示すように、テーブル装置10は、床面F上に立脚し、上下方向に延びる一対の支持脚20と、物品が載置可能な上面30aを有し、支持脚20の上端部に支持された例えば矩形状の天板30と、テーブル装置10の背面側において天板30の下方に位置し、支持脚20の間の空間を閉塞する幕板15と、を備えている。
ここで、
図1は、テーブル装置10の側面図であるために、支持脚20が一方のみしか図示されていないが、天板30は、
図1の紙面に直交する方向に長手方向を有する矩形状であり、支持脚20は、その長手方向の両端部にそれぞれ設けられている。
なお、本発明においては、支持脚20を二本一対に限定するものではなく、天板30のサイズや形状によっては、一本のみ、あるいは三本以上の支持脚20を備える構成とすることもできる。
【0021】
支持脚20は、床面F上に設置されるベース部21と、ベース部21から上方に延び、天板30を下方から安定して支持可能な中空柱状の支柱部23とを備えている。本実施形態において、支柱部23は、ベース部21の後端部21rから斜め前方に向けて湾曲するよう立設されている。
【0022】
支持脚20の下面であるベース部21の前端部21fおよび後端部21rには、床面F上で回転自在なキャスター24,25が設けられている。これらのキャスター24,25により、テーブル装置10は、床面F上で容易に走行移動可能とされている。
【0023】
また、ベース部21の一端部、例えば後方側の端部には、キャスター24,25によるテーブル装置10の移動の拘束、および前記拘束の解除が可能なストッパ機構(移動拘束機構)50が設けられている。
【0024】
図1、
図2に示すように、一対の支持脚20、20は、天板30の幅方向に延びる連結シャフト26によって一体的に連結されている。
図3に示すように、この連結シャフト26は、その両端部に取付プレート部27を有している。取付プレート部27は、支柱部23にボルト等によって固定されている。
【0025】
このようなテーブル装置10において、天板30および幕板15は、天板30が水平で幕板15が天板30の背面側で垂直となる使用状態と、使用状態から天板30を上方に撥ね上げて収納可能な傾斜状態とした収納状態との間で、切換え可能とされている。
以下、そのための構成について説明する。
【0026】
(天板回動機構)
図1、
図3に示すように、天板30は、その両端部に、それぞれサポートフレーム31が一体的に設けられている。各サポートフレーム31は、天板30の下面30bに直交する面内に位置し、下面30bに複数本のボルト32によって固定されている。
【0027】
サポートフレーム31には、両側の支持脚20,20を結ぶ方向に軸線を有するシャフト33が設けられている。このシャフト33が、カムプレート29に、その軸線周りに回転自在に支持されている。
これによって、天板30は、両端部のサポートフレーム31に設けられたシャフト33を中心として回動自在とされている。そして、天板30は、
図1に示したように、上面30aが水平となる使用状態と、
図4に示したように、天板30の前端部30f側を上方に撥ね上げて傾斜した収納状態との間で回動可能とされている。
【0028】
ここで、
図1に示したように、天板30を水平とした使用状態では、天板30の下面30bがカムプレート29の上面29uに突き当たる。これにより、天板30の上面30aを使用状態に維持するとともに、天板30の前端部30f側が、水平とした使用状態から下方に回転するのを規制する。
また、
図4に示したように、天板30を撥ね上げた状態では、天板30の下面30bがカムプレート29の斜面29sに突き当たる。これにより、サポートフレーム31に形成された凹部31bに連結シャフト26が嵌まり込み、天板30の前端部30f側を上方に撥ね上げる方向への回転を規制する。
【0029】
(移動拘束機構)
図5、
図6に示すように、連結シャフト26には、サポートフレーム31と所定のクリアランスを確保した状態で、連結シャフト26の軸線に直交する面内に位置してサポートフレーム31に対向するカムプレート29が設けられている。
カムプレート29は、その基部29aが、連結シャフト26の外周面に一体的に固定されている。そして、カムプレート29は、基部29aから上方に延び、前記のシャフト33が貫通固定されている。また、カムプレート29には、その内方に後に説明するカムガイド孔29cが形成され、下方の外周面には、ロック爪係合溝29bが形成されている。
【0030】
図6に示すように、カムプレート29の一面側に、浮動レバー部材36が配置されている。浮動レバー部材36は、略U字状のレバー部36aと、レバー部36aに対し、カムプレート29とは反対側に突出形成された回転シャフト36bと、レバー部36aの一端側において回転シャフト36bと同じ側に突出形成された第一ガイド突起36cと、レバー部36aの一端側において回転シャフト36bと反対側に突出形成された第二ガイド突起36dと、を備えている。
【0031】
図5に示したように、浮動レバー部材36に対し、カムプレート29側とは反対側には、スイングプレート37が配置されている。このスイングプレート37は、その一端部37aが天板30の回転中心となるシャフト33に回転自在に連結されている。これにより、スイングプレート37は、シャフト33を中心として回動自在とされ、他端部37b側をスイング可能としている。
スイングプレート37の自由端側となる他端部37bには、浮動レバー部材36の回転シャフト36bが挿通されている。これにより、浮動レバー部材36は、スイングプレート37の自由端側となる他端部37bにおいて、回転シャフト36bを中心として回動可能とされている。
このスイングプレート37には、回転シャフト36bを中心とした円弧状のガイド溝37cが形成されている。このガイド溝37c内には、第一ガイド突起36cが挿入配置されている。これにより、浮動レバー部材36は、第一ガイド突起36cがガイド溝37cの範囲内で移動することで、回転シャフト36bを中心とした回動範囲が規制されている。
【0032】
また、
図6に示すように、浮動レバー部材36の第二ガイド突起36dは、カムプレート29のカムガイド孔29c内に位置するよう配置されて、カムガイド孔29cの範囲内で移動可能とされている。このカムガイド孔29cは、第二ガイド突起36dの移動動作を妨げないよう形成されている。
【0033】
サポートフレーム31には、その上部にシャフト収容溝38が形成されている。これらシャフト収容溝38には、シャフト33と平行に設けられた回転シャフト39が、その軸線周りに回転自在に支持されている。回転シャフト39の少なくとも一方の端部39aは、サポートフレーム31よりも側方に突出している。
【0034】
(天板拘束機構)
回転シャフト39には、側面視V字状の係止爪部材41およびアーム部材42が一体的に設けられている。
ここで、係止爪部材41は、カムプレート29と同一面内に位置するよう設けられている。係止爪部材41は、回転シャフト39からカムプレート29の下部外周面に沿って延びて形成されている。係止爪部材41は、その先端部に形成された係止爪41Sが、カムプレート29のロック爪係合溝29bに係止可能とされている。係止爪41Sがロック爪係合溝29bに係止された状態では、天板30は、その回転が拘束されて、上面30aが水平となる状態とされている。
【0035】
また、アーム部材42は、係止爪部材41に対し、カムプレート29の厚さ方向にオフセットして形成され、浮動レバー部材36と同一面内に位置するよう設けられている。
そして、アーム部材42の先端部42aには凹部43が形成されている。アーム部材42の凹部43は、天板30が使用状態にあるときには、浮動レバー部材36のレバー部36aの一端側に突き当たるようになっている。
【0036】
(操作レバー)
図5に示したように、サポートフレーム31から突出した回転シャフト39の端部39aには、操作レバー(操作部材)40が一体的に固定されている。ここで、操作レバー40は、回転シャフト39に対し、係止爪部材41およびアーム部材42とは反対側に延びるよう設けられている。これにより、操作レバー40は、回転シャフト39を介し、係止爪部材41およびアーム部材42と一体に設けられている。
この操作レバー40を回転シャフト39の軸線周り方向に操作することで、係止爪部材41およびアーム部材42は、回転シャフト39とともにその軸線周りに回動する。
【0037】
(幕板可動機構)
また、幕板15は、その上端部15aが、カムプレート29の下端部に、リンクプレート45Aを介して連結されている。リンクプレート45Aの両端部は、カムプレート29、幕板15に対してピン46A、46Bを介して回転自在に連結されている。
また、リンクプレート45Aの中間部には、一端がサポートフレーム31,31の後端部に連結された連結プレート47が連結されている。この連結プレート47も、リンクプレート45A、サポートフレーム31に対してピン48A,48Bを介して回転自在に連結されている。
支持脚20の支柱部23には、上下方向に連続するスライド溝23aが形成されている。幕板15の下端部15bは、リンクプレート45Bおよび連結ピン49を介し、スライド溝23aに沿ってスライド移動自在に連結されている。
【0038】
(ストッパ機構)
図7は、テーブル装置におけるストッパ機構の構成を示す断面図である。
図8は、ストッパ機構の部品構成を示す斜視展開図である。
図9は、ストッパ機構において、接地部材を下降させる途中の状態を示す断面図である。
図10は、ストッパ機構において、接地部材を下降端まで下降させて床面に接地させた状態を示す断面図である。
図7に示すように、ベース部21に設けられたストッパ機構50は、接地部材51と、連係ピン(連係部材)54と、付勢部材57と、アーム部材55と、アーム付勢部材59と、ロック手段60と、を備えている。
【0039】
接地部材51は、上下方向に延びるシャフト51sと、シャフト51sの下端に設けられた円板状であって下面51bが床面Fと平行とされた接地パッド51pと、を備えている。この接地部材51は、支持脚20から下方に向けて出没可能で、キャスター25より下方に突出して接地パッド51pが床面Fに接地可能とされている。
【0040】
また、中空の支柱部23内には、全体として筒状をなすホルダー53が設けられている。ホルダー53は上下方向の中心軸に沿って二個に分割されたホルダー部材53a,53aから構成されている。
【0041】
各ホルダー部材53aには、ホルダー部材53a,53aどうしの合わせ面側に、シャフト51sを上下方向に挿通させるシャフト挿通孔53cと、付勢部材57を収容するスプリング収容部53sと、アーム部材55を収容するアーム収容部53dと、アーム付勢部材59を収容するアーム付勢部材収容部53eと、操作ロッド58を挿通させる操作ロッド挿通部53fと、が形成されている。
【0042】
シャフト挿通孔53cは、ホルダー部材53aを上下方向に貫通するように形成されている。スプリング収容部53sは、シャフト挿通孔53cの上部において、シャフト挿通孔53cを上下方向の一定長にわたって拡径することによって形成されている。
【0043】
アーム収容部53dは、シャフト挿通孔53cの下部に形成され、シャフト挿通孔53cの周囲にアーム部材55が揺動できる空間を形成されている。
アーム付勢部材収容部53eは、アーム収容部53dの一方の側端部から上方に向けて延びるよう形成されている。
【0044】
操作ロッド挿通部53fは、アーム収容部53dの他方の側端部から上方に向けて延び、ホルダー部材53aの上面まで貫通して形成されている。この操作ロッド挿通部53fは、ホルダー部材53aの上面から下方に向けて一定長の範囲が一定の内径を有し、その下方のアーム収容部53dに連通する部分に縮径部53gを有している。
【0045】
シャフト51sは、このホルダー53のシャフト挿通孔53cに挿通され、上下方向にスライド可能とされている。さらに、シャフト51sの下部は、キャスター25をホルダー53の下面に固定するキャスターブラケット25b内を貫通している。キャスターブラケット25b内を貫通したシャフト51sの下端部には、接地パッド51pが設けられている。
【0046】
連係ピン54は、接地部材51のシャフト51sの外周面からシャフト51sの中心軸に直交する方向に突出して形成されている。この連係ピン54は、シャフト51sの中心軸を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。そして、連係ピン54の先端部は、ホルダー部材53aのアーム収容部53dの内周面に形成されて上下方向に連続する案内溝53m内に挿入されている。接地部材51が上下方向に変位すると、連係ピン54が案内溝53m内でスライド移動する。そして、案内溝53mの上下端部に連係ピン54が突き当たることで、接地部材51の上下方向の移動ストロークが規制されている。
【0047】
付勢部材57は、略円筒状のコイルスプリングからなる。付勢部材57の内側には、接地部材51が挿通されている。付勢部材57は、接地部材51に一体に形成されて外周側に張り出すリング部51rと、リング部51rの上方においてホルダー53に形成されたスプリング収容部53sの上端との間に圧縮状態で設けられている。これにより、付勢部材57は、接地部材51を下方に付勢している。
【0048】
図8に示すように、アーム部材55は、シャフト51sの中心軸を挟んでその両側に配置された二個一対で設けられている。
そして、二個一対のアーム部材55は、一端側55aと他端側55bとでそれぞれ一体に連結されている。このようにして、二個一対のアーム部材55は、複数箇所に設けられた連結部55jにより、互いに間隔を空けて対向した状態で一体に連結されている。これにより、二個一対のアーム部材55,55の間には、平面視すると中空部分55hが形成され、この中空部分55hに接地部材51が挿通されている。このような二個一対のアーム部材55,55およびこれらを連結する連結部55jは、金属材料からなる鋳造品、樹脂材料からなる成形品等により一体に形成することができる。
【0049】
各アーム部材55の一端側55aには、水平方向に中心軸を有し、ホルダー部材53aのアーム収容部53dの内周面に向かって突出する回転軸56が設けられている。回転軸56は、アーム収容部53dの内周面に形成された軸支穴53hに回動自在に保持されている。これによりアーム部材55は、一端側55aが回転軸56回りに回転自在に支持されている。
【0050】
図7に示すように、各アーム部材55の他端側55bには、下方に向けて延びるフック部55fが形成されている。フック部55fには下方に向けて開放された係止凹部55gが形成されている。二個一対のアーム部材55の係止凹部55gには、連結ピン52の両端部が係止されている。この連結ピン52の中央部に、操作レバー40によって操作される操作ロッド(操作伝達部材)58の先端が連結されている。この操作ロッド58は、支柱部23内に設けられた筒状の管体58K内に挿通されている。操作ロッド58の上端部は、
図5に示した浮動レバー部材36の第一ガイド突起36cに連結されている。
これにより、
図7、
図9、
図10に示すように、アーム部材55は、操作レバー40の操作によって操作ロッド58がその中心軸方向に変位することによって、回転軸56を中心として他端側55bが上下方向に揺動可能とされている。
【0051】
アーム部材55の上面には、一端側55aと他端側55bとの間の中間部において、下方に向けて凹となる湾曲凹部55wが形成されている。この湾曲凹部55wには、シャフト51sの連係ピン54が突き当たるようになっている。
このアーム部材55においては、連係ピン54がアーム部材55の中間部の上面(上部)の湾曲凹部55wに突き当たった状態で、操作レバー40によってアーム部材55を上下に揺動させると、連係ピン54がアーム部材55の揺動に連係して上下に変位する。すると、接地部材51が上下に変位し、支持脚20から下方に向けて出没する。なおここで、下方に向けて出没する動作とは、下方に向けて突出し、元の位置に戻る動作である。
湾曲凹部55wは、上記のようにアーム部材55を揺動させて接地部材51を上下方向に移動させるときに連係ピン54が突き当たる部分が、常に接地部材51の移動方向(シャフト51sの中心軸方向)に直交するよう連続した湾曲面により形成されている。
【0052】
アーム部材55は、一端側55aと他端側55bとに、それぞれ湾曲凹部55wから上方に向けて延出する延出部55c,55dを有し、全体として略U字状をなしている。
ここで、上方に向けて延出したアーム部材55の他端側55bにおいて、操作ロッド58の先端が連結された連結ピン52は、ホルダー53に保持された管体58Kの下端部58bの鉛直下方に位置するよう設けられている。
より具体的には、後述するロック手段60の突起61と係合凹部62とが係合し、接地部材51が床面Fに接地した状態で、連結ピン52は、ホルダー53に保持された管体58Kの下端部58bの鉛直下方に位置するよう設けられている。これにより、操作レバー40を操作してアーム部材55の他端側55bを上方に向けて揺動させ、突起61と係合凹部62との係合を解除する際に、操作ロッド58から連結ピン52を介してアーム部材55に加わる操作力が最も効率的に伝わる。
さらに、連結ピン52は、アーム部材55において、その回動中心となる回転軸56に対して最も外周側に配置されているのが好ましい。これにより、連結ピン52を最外周側に配置することで、アーム部材55が揺動したときの連結ピン52の移動軌跡の曲率半径が大きくなる。加えて、連結ピン52は、アーム部材55が揺動したときの連結ピン52の移動範囲が、回転軸56とほぼ同じ高さの領域となるように設けるのが好ましい。このようにすると、操作レバー40を操作することによってアーム部材55が揺動したときに、上下方向に直交する水平方向(
図7に示す紙面左右方向)において、操作ロッド58の先端が連結された連結ピン52の移動幅を小さく抑えることができる。よって、操作ロッド58の上下方向に直交する水平方向(
図7に示す紙面左右方向)における振れ幅が小さくなる。これにより、操作ロッド58が他の部材などに緩衝するのを抑えることができ、管体58Kの内周面との摩擦による抵抗力も抑えることができる。
【0053】
アーム部材55の延出部55cにおいて、一端側55aの回転軸56を挟んで他端側55bとは反対側に、アーム部材55を上方に付勢するアーム付勢部材59が設けられている。二個一対のアーム部材55,55には、これらを連結する方向に延びる支持軸部55sの両端部が支持されている。アーム付勢部材59の下端59aは支持軸部55sの中央部に係止されている。このアーム付勢部材59は、その上端59bが、ホルダー部材53aのアーム付勢部材収容部53eに設けられた支持軸部53zに係止されている。この支持軸部53zは、ホルダー部材53a、53aどうしを結ぶ方向に延び、その両端部がホルダー部材53a,53aに支持されている。
このアーム付勢部材59は、下端59aと上端59bとを互いに接近させる方向の引張力を付与する引張バネにより形成されている。
【0054】
ロック手段60は、アーム部材55に形成された突起61と、接地部材51のシャフト51sに形成され、突起61が係合する係合凹部62と、を備えている。突起61は、二個一対のアーム部材55,55どうしを結ぶ方向に延びる軸状部材61sであり、この軸状部材61sの両端部がアーム部材55,55に支持されることによって形成されている。係合凹部62は、シャフト51sの外周面からシャフト51sの中心側に向かうにしたがって漸次下方に向かうよう傾斜して形成されている。
図10に示すように、ロック手段60は、アーム部材55の突起61が接地部材51の係合凹部62に係合することで、接地部材51が上方に変位するのを拘束する。
ここで、
図9、
図10に示すように、アーム部材55は、接地部材51の下降にともなって他端側55bが下方に向けて揺動する。そして、
図10に示すように、ロック手段60は、接地部材51が下降端位置の直前に到達したときに、突起61が係合凹部62に入り込み、接地部材51が下降端位置に到達すると突起61が係合凹部62に係合するようになっている。係合凹部62は、アーム部材55に形成された突起61の揺動軌跡に沿って、円弧状に湾曲して形成されている。
【0055】
また、
図10に示すように、ロック手段60の突起61と係合凹部62とが係合することによってアーム部材55と接地部材51とが係合した状態では、連係ピン54とアーム部材55とが上下に離間して非連係状態となる。このため、接地部材51の連係ピン54が案内溝53mの下端部に突き当たることで、接地部材51の下方の移動ストロークが規制された後、さらにアーム部材55が一定角度揺動した状態で、突起61が係合凹部62に係合する。
【0056】
このような構成のストッパ機構50においては、
図7に示すように、接地部材51が引き上げられた状態では、付勢部材57によって下方に付勢された接地部材51に設けられた連係ピン54が、アーム部材55の湾曲凹部55wに突き当たって連係している。
【0057】
図7に示した状態から、
図9、
図10に示すように接地部材51を下方に突出させるときには、操作レバー40を操作し、アーム部材55の他端側55bを下方に向けて揺動させる。すると、アーム部材55の揺動に連係して接地部材51が下方に向けて変位する。接地部材51は付勢部材57によって下方に付勢されている。またアーム部材55は、アーム付勢部材59によって、他端側55bが下方に向けて付勢されている。これにより、操作レバー40を軽い力で操作して接地部材51を下方に突出させることができる。
【0058】
図10に示すように、接地部材51がキャスター24,25よりも下方に突出して床面Fに接地すると、接地部材51の下面と床面Fとの間に生じる摩擦抵抗によってキャスター24,25によるテーブル装置10の移動を拘束できる。このとき、付勢部材57によって接地部材51が下方に付勢されているので、接地部材51の下面と床面Fとの間に生じる摩擦力を増大し、テーブル装置10の移動拘束力を高めることができる。
また、この状態で、アーム部材55と接地部材51とがロック手段60によって係合し、接地部材51が突出した状態で拘束される。ロック手段60を構成する突起61が形成されたアーム部材55は、アーム付勢部材59により、突起61が係合凹部62に食い込む方向に付勢されている。これにより、ロック手段60によるアーム部材55と接地部材51との係合状態が確実に維持される。
また、接地部材51を床面Fに接地する直前には、案内溝53mの上下端部に連係ピン54が突き当たることによって接地部材51の下方への移動が規制されると、連係ピン54とアーム部材55とが上下方向に離間して非連係状態となる。すると、シャフト51sを下方に付勢する付勢部材57の付勢力がシャフト51sのみに伝達され、付勢部材57の付勢力が効果的に発揮される。また、接地部材51に作用する荷重が、連係ピン54を介してアーム部材55に作用しない。
【0059】
図10に示した状態から、操作レバー40を操作してアーム部材55の他端側55bを上方に向けて揺動させると、
図9に示すように、ロック手段60によるアーム部材55と接地部材51との係合が解除され、接地部材51が上方に移動して床面Fから離れる。これにより、キャスター24,25によるテーブル装置10の拘束を解除できる。
【0060】
(操作レバーによる切り換え)
上記したような構成のテーブル装置10においては、天板30を上面30aが水平となる使用状態で回転不能な状態とし、キャスター24,25によるテーブル装置10の移動を拘束した第一の状態、天板30を上面30aが水平となる使用状態で回転不能としたまま、テーブル装置10の移動の拘束のロックを解除した第二の状態、天板30を回転可能としたままテーブル装置10の移動の拘束のロックを解除した第三の状態とに、操作レバー40の回転操作により切り換え可能とされている。そして、第三の状態では、使用者が天板30を回転させて使用状態から収納状態へと移行できる状態となる。
以下、詳細を示す。
【0061】
(第一の状態)
図11(a)に示すように、天板30の上面30aが水平で、幕板15が天板30の背面側でほぼ垂直となる第一の状態とされたときには、ユーザは、天板30上のスペースを利用することができる。この状態で、幕板15は、連結プレート47のピン48A,48Bの間隔に応じて、リンクプレート45Aがピン46Aに対してピン46B側が上方に位置し、幕板15が天板30の背面側の下方でほぼ鉛直に位置するようになっている。
この状態で、係止爪41Sがロック爪係合溝29bに係止された状態であり、天板30は、その回転が拘束されて、上面30aが水平な使用状態とされている。
また、
図7、
図8に示したように、この状態では、浮動レバー部材36の第一ガイド突起36cがスイングプレート37のガイド溝37cの下端に位置し、これと対応して接地部材51の接地パッド51pは床面Fに接地し、付勢部材57の付勢力によって床面Fに押し付けられている。この状態で、キャスター24,25は床面Fから浮上することなく接地されたままの状態とされ、接地パッド51pと床面Fとの間の摩擦力によって、テーブル装置10の移動が拘束されている。
【0062】
(第二の状態)
図11(b)に示すように、第一の状態から、ユーザが操作レバー40を一定量上方に引き上げると、係止爪部材41およびアーム部材42が、回転シャフト39の軸線周りに回動する。すると、アーム部材42より、浮動レバー部材36が押圧される。これにより、浮動レバー部材36が回転シャフト36bを中心として回動し、第一ガイド突起36cが、スイングプレート37のガイド溝37cに沿って上方に移動する。
これによって、操作ロッド58が上方に移動する。すると、回転軸56を中心としてアーム部材55が回転し、他端側55bが上昇する。これにより、
図9に示すように、接地部材51の接地パッド51pが上昇して床面Fから離れ、第二の状態となる。これにより、テーブル装置10は、キャスター24,25により床面F上で移動可能となる。
また、
図11(b)に示すように、この状態では、係止爪部材41の先端部に形成された係止爪41Sが、カムプレート29のロック爪係合溝29bからは完全に抜けておらず係止されたままとされ、天板30の回動はロックされた状態を維持している。
【0063】
(第三の状態)
図1に示したように、操作レバー40をさらに上方に引き上げ操作すると、係止爪部材41の先端部に形成された係止爪41Sが、カムプレート29のロック爪係合溝29bから抜けて非係止状態とされる。これによって、キャスター24,25により床面F上で移動可能としつつ、天板30のロックが解除され、これを上方に撥ね上げ可能な第三の状態となる。
この状態では、接地部材51のシャフト51sおよび接地パッド51pは、第二の状態と同じ状態、すなわち床面Fから離れた状態を維持しており、テーブル装置10は、キャスター24,25により床面F上で移動可能となっている。
【0064】
(第四の状態)
上記の第三の状態から、ユーザが天板30の前端部30fを上方に引き上げると、天板30は、シャフト33,33を中心として回転する。すると、天板30の背面側に一端が連結された連結プレート47が、天板30の回転に伴って下方に移動し、これによってリンクプレート45Aの中間部が下方に向けて押圧される。リンクプレート45Aは、ピン46Aを中心として回動し、ピン46B側が下方に向けて移動する。その結果、幕板15が下方に押し下げられる。このとき、幕板15の下端部15bは、支柱部23のスライド溝23aに沿って下方に向けてスライド移動する。
そして、サポートフレーム31に形成された凹部31bに連結シャフト26が突き当たった時点で、天板30の回転が規制される。この状態で、
図4に示すように、係止爪部材41の係止爪41Sが、カムプレート29に形成された段部29dに嵌まり込み、これによって、天板30を跳ね上がった状態となる収納状態で回転不能に拘束する。このようにして、最終的に、天板30および幕板15は、支柱部23の背面側に沿って位置する状態まで引き起こされる。
これにより、テーブル装置10は、複数台を前後に重合させて収容することが可能となる。
【0065】
また、この状態では、浮動レバー部材36の第一ガイド突起36cがスイングプレート37のガイド溝37cの下端に位置しているが、天板30の回動動作にともなってスイングプレート37がシャフト33を中心として回動し、第一ガイド突起36cの位置は、第二、第三の状態と同じ状態に維持されている。これによって、接地パッド51pが床面Fから離れたままであり、テーブル装置10は、キャスター24,25により床面F上で移動可能な状態を維持している。
【0066】
第四の状態から天板30の前端部30fを押し下げると、天板30がシャフト33,33を中心として回転しつつ、リンクプレート45Aと連結プレート47とによって、幕板15が上方に引き上げられる。
天板30のサポートフレーム31の下面31aが連結シャフト26上に突き当たった時点で、
図11(b)に示すように、天板30が水平な第二の状態となる。この状態で、操作レバー40を下げると、付勢部材57の付勢力によって、アーム部材55が回転して、他端側55bが下降する。これによって、接地部材51の接地パッド51pが下降して床面Fに接地し、
図11(a)に示したような第一の状態となる。
【0067】
上述したような構成によれば、付勢部材57によって接地部材51を下方に直接付勢することによって、接地部材51の下面と床面Fとの間に生じる摩擦力を増大し、テーブル装置10の移動拘束力を高めることができる。接地部材51を操作するに際し、アーム部材55は、一端側55aが回転中心となる支点とされ、他端側55bが操作レバー40による操作力が伝達する力点とされ、中間部が連係ピン54を介して接地部材51を上下方向に変位させる作用点となっている。付勢部材57を設けると、テーブル装置10の拘束を解除するために接地部材51を上方に移動させるには、付勢部材57のる下方への付勢力に抗して接地部材51を操作する必要がある。しかし、このような構成において、アーム部材55の作用点が力点よりも支点に近いため、より軽い力でアーム部材55を操作することができる。
したがって、テーブル装置10の拘束力を高めつつ、軽い操作力でストッパ機構50を操作することが可能となる。
【0068】
また、上述したような構成によれば、アーム部材55の上面に、下方に向けて凹となる湾曲凹部55wが形成されている。そして、湾曲凹部55wは、アーム部材55を揺動させて接地部材51を上下方向に移動させるときに連係ピン54が突き当たる部分が常に接地部材51の移動方向に直交するよう形成されている。
アーム部材55の上面が一端側55aから他端側55bに向けて直線状である場合、アーム部材55の上面は、アーム部材55の揺動によって傾斜する。すると、アーム部材55を揺動させて接地部材51を上下方向に移動させる際、アーム部材55から連係ピン54に伝達する力は、垂直方向と水平方向とに分散してしまう。
これに対し、上記のように、アーム部材55の中間部の上面に湾曲凹部55wを形成すると、アーム部材55を揺動させて接地部材51を上下方向に移動させる際にアーム部材55の上面において連係ピン54が突き当たる部分を連係ピン54の移動方向に対して直交した水平面とすることができる。したがって、アーム部材55から連係ピン54に伝達する力が水平方向に分散してしまうのを抑えることができる。したがって、この点においても、アーム部材55の操作力を軽減することができる。
【0069】
また、アーム部材55は、接地部材51の中心軸を挟んでその両側に配置された二個一対で設けられ、連係ピン54は、接地部材51の中心軸を挟んだ両側にそれぞれ突出するよう設けられている。
これにより、接地部材51は、中心軸を挟んだその両側のそれぞれにおいて、アーム部材55に連係ピン54が突き当たりながら上下方向に移動する。これにより、接地部材51が安定的に上下方向に移動する。
【0070】
さらに、二個一対のアーム部材55は、一端側55aと他端側55bとでそれぞれ一体に連結され、その中空部分55hに接地部材51が挿通されている。これにより、接地部材51が中心軸に直交する方向(水平方向)に位置ズレするのを防ぐことができる。また、組み立ての際には、接地部材51を、中空部分55hに挿通させればよく、組み立てを容易に行うことができる。
【0071】
また、アーム部材55において、一端側55aの回転軸56を挟んで他端側55bとは反対側に、アーム部材55を上方に付勢するアーム付勢部材59が設けられている。これにより、接地部材51を下方に変位させる方向へのアーム部材55の揺動を付勢することができ、接地部材51を下方に突出させる際の操作力を軽減することができる。また、ロック手段60の突起61と係合凹部62とが係合した状態で、アーム付勢部材59は、アーム部材55を、係合凹部62から突起61が抜けない方向に付勢するので、アーム部材55と接地部材51との係合状態を確実に維持することができる。
【0072】
また、ロック手段60は、接地部材51が下降端位置に到達したときに、下方に向けて揺動したアーム部材55と接地部材51とが係合するようになっている。さらに、ロック手段60においては、係合凹部62はアーム部材55の揺動軌跡に沿って形成されている。これによって、接地部材51が下降端位置に到達するに伴ってアーム部材55が下方に向けて揺動すると、突起61が係合凹部62に入り込んで係合する。したがって、アーム部材55と接地部材51とがスムーズに係合する。その結果、ロック手段60によりアーム部材55と接地部材51とが係合する際に、衝撃や音が生じるのを抑え、テーブル装置10を上質な操作感を備えたものとすることができる。
【0073】
さらに、接地部材51を床面Fに接地させてロック手段60によりアーム部材55と接地部材51とが係合した状態で、連係ピン54とアーム部材55とが非連係状態となるようになっている。すると、接地部材51に作用する荷重が、連係ピン54を介してアーム部材55に作用しない。これにより、荷重の反力によって連係ピン54が曲がったり変形するのを防ぐことができる。また、天板30を上面30aが水平となる使用状態で回転不能な状態とし、キャスター24,25によるテーブル装置10の移動を拘束した第一の状態において、連係ピン54を上方に持ち上げる力が発生しなくなる。したがって、操作レバー40の回転操作を行うことなく、不意に接地部材51が上方に移動して、第一の状態から解除されることが防止される。
【0074】
加えて、操作レバー40を操作することによって、係止爪部材41により天板30の回転の拘束・解除がなされるとともに、アーム部材42により接地パッド51pを昇降させる操作ロッド58が操作される。このように、テーブル装置10においては、使用者の操作レバー40の操作に応じて、天板30の撥ね上げの有無、キャスター24,25のロックの有無を容易に選択することができる。
そして、操作レバー40の操作で、天板30の回転のロックを解除した状態では、天板30を軽い操作力で容易に回転させることが可能となる。また、操作レバー40の回転は、天板30の回転動作とは独立しているため、軽い操作力で操作レバー40を操作できる。
【0075】
また、操作レバー40の操作のみで、天板30を撥ね上げることなく、接地パッド51pを操作して、テーブル装置10の移動の拘束を解除することができる。これにより、天板30上に物品等を載せたままでも、テーブル装置10を容易に移動させることができ、利便性を高めることができる。また、天板30を撥ね上げた状態では、常にテーブル装置10を容易に移動させることができる。
【0076】
(その他の実施形態)
なお、本発明のテーブル装置は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、アーム部材55の上面に湾曲凹部55wを備える構成としたがこれに限らない。
図12に示すように、アーム部材55の上面が一端側55aから他端側55bにかけて直線状に形成されているようにしてもよい。
【0077】
また、テーブル装置10の各部の構成は、本発明の主旨に沿った構成を実現できる形状、構造であれば、他のいかなる構成としても良い。例えば、天板30は、前端部30f側ではなく、後端部30r側を撥ね上げるような構成とすることも可能である。また、幕板15は、天板30と連動して移動するのではなく、支柱部23に一体に固定された構成としてもよい。また、使用状態では、天板30は、水平となる状態としたが、これに限らず、傾斜した状態としても良い。
さらには、天板30が撥ね上がらない構成のテーブル装置においても、本発明の構成を適用することができる。
【0078】
また、操作レバー40を上方に回転させることで、天板30、テーブル装置10の移動の拘束を解除するようにしたが、その操作方向は限定するものではない。さらには、操作レバー40は、回転動作ではなく、スライド操作等によって操作を行う構成とすることも可能である。
さらに、ストッパ機構50の操作は、操作レバー40の操作に限らず、例えば天板30の回動操作等に連動させるようにしてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。