特許第6391195号(P6391195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6391195紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391195
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】紫外線硬化型樹脂組成物、硬化物及び物品
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/28 20060101AFI20180910BHJP
   C08F 290/00 20060101ALI20180910BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20180910BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20180910BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180910BHJP
   C09J 175/14 20060101ALI20180910BHJP
   C09J 109/00 20060101ALI20180910BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   C08F20/28
   C08F290/00
   G06F3/041 400
   G06F3/041 630
   G06F3/041 660
   C09J4/02
   C09J11/06
   C09J175/14
   C09J109/00
   C09J5/00
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-143278(P2017-143278)
(22)【出願日】2017年7月25日
(62)【分割の表示】特願2016-145107(P2016-145107)の分割
【原出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2017-222876(P2017-222876A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年7月25日
(31)【優先権主張番号】特願2011-231464(P2011-231464)
(32)【優先日】2011年10月21日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-149206(P2012-149206)
(32)【優先日】2012年7月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 大祐
(72)【発明者】
【氏名】本橋 隼
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄一朗
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−111572(JP,A)
【文献】 特開2011−122013(JP,A)
【文献】 特開2011−148965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F20,283,290−299、C08L
C09J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される構造を有する化合物(A)、(メタ)アクリレート化合物(B)として4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及び光重合開始剤(C)を含有するタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物。
【化1】
(式中、nは0〜40の整数、mは10〜80の整数、RおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基又は炭素数5〜18のアリール基である。)
【請求項2】
柔軟化剤を含有する請求項1に記載のタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する請求項1又は請求項2に記載のタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
(メタ)アクリレートオリゴマーとして、ポリイソプレン又は/及びポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、又はウレタン(メタ)アクリレート(D)を含有する請求項3に記載のタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
前記化合物(A)の含量が10〜60重量%であり、光重合開始剤(C)の含量が0.2〜5重量%、残部が(メタ)アクリレート化合物(B)である請求項1〜4のいずれか一項に記載のタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層により、少なくとも二つの光学基材が接着されたタッチパネル。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
【請求項8】
請求項7に記載のタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層により、少なくとも二つの光学基材が接着されたタッチパネル。
【請求項9】
請求項7に記載のタッチパネル用紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層により、保護用光学基材又はタッチパネルと表示装置が接着された、保護用光学基材又はタッチパネルを有する表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学透明部材の貼り合わせに有用な紫外線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置の表示画面に、タッチパネルを貼り合わせ、画面入力を可能とした表示装置が広く利用されている。 該表示装置は、その表示画面上に、透明電極が形成されたガラス板又は樹脂製フィルムを透明電極が向き合うように貼りあわされたタッチパネルが積層され、更に、タッチパネルのタッチ面に、ガラス製又は樹脂製の透明保護板を積層した構造を有している。また、タッチパネルを有しない表示装置においては、表示画面上に、ガラス又は樹脂製の透明保護板を積層した構造となっている。
【0003】
タッチパネルにおける、透明電極が形成された、ガラス板又はフィルムのタッチ面への、ガラス又は樹脂製の透明保護板の貼り合わせ、又は、表示装置とその画面への透明保護板との貼り合わせ、又は、表示装置とその画面へのタッチパネルの貼り合わせ等には、両面粘着シートを用いる技術があるが、気泡が入りやすいという問題があった。両面粘着シートに代わる技術として光硬化型樹脂組成物で貼り合せる技術が提案されている(特許文献1〜3)。
【0004】
一方で、表示装置の薄型化や大画面化が進んでいる。そのため、例えば、タッチパネルの透明保護板、又は基板、また、表示装置における表示画面用のガラス板又は樹脂製透明板等も薄くなってきている。そのため上記の積層又は貼り合わせに、光硬化型樹脂組成物を用いて、貼り合わせた場合、該脂組成物の硬化収縮によって、タッチパネルや表示画面が変形してしまう問題があった。また、被接着体における両者の材質がガラス/アクリル樹脂、ガラス/ポリカーボネート樹脂等のように異なる場合、両材質の熱膨張や吸湿性の違いから、耐湿熱試験において接着面が剥がれる問題があった。これらの問題を解決するため、硬化時の収縮を抑え、基材への接着性および柔軟性に優れた硬化物を与える光硬化型樹脂組成物が求められていた。しかし、特許文献1に記載されているポリイソプレンを主成分として使用した場合、リワークする際にヘプタン、ヘキサン等といった有機溶剤で除去しなければならず、リワーク性に劣る問題があった。また、特許文献2に記載されているようなシクロアルカン骨格を有するエポキシ樹脂を使用した場合には、柔軟性に劣り、特許文献3に記載されているような組成物においても硬化時の黄変が懸念されている。そのため、特許文献1〜3では満足するものが得られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/027041号
【特許文献2】特開2010−248387号公報
【特許文献3】特表2011−511851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性に優れる光学透明接着剤を得ることが出来る紫外線硬化型樹脂組成物、それを用いて得られた光学部材、例えば、タッチパネル又は表示装置、それらを組み込んだ電子機器等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記式(1)の構造を有する化合物、(メタ)アクリレート化合物、光重合開始剤を含有する紫外線硬化型樹脂組成物が、上記の課題を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、次の(1)〜(22)に関するものである。
(1)下記一般式(1)で示される構造を有する化合物(A)、(メタ)アクリレート化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含有する紫外線硬化型樹脂組成物、
式(1)
式中、nは0〜40の整数、mは10〜80の整数、RおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基又は炭素数5〜18のアリール基である。
(2) RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜10のアルケニル基である上記(1)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(3)上記化合物(A)が、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジブチルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジブチルエーテル及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一つである上記(1)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(4)(メタ)アクリレート化合物(B)として、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)又は(メタ)アクリロイル基を2個有する(メタ)アクリレート化合物を含有する上記(1)〜(3)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(5)(メタ)アクリレート化合物(B)として、ウレタン(メタ)アクリレート(D)を含有する上記(1)〜(4)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0009】
(6)(メタ)アクリレート化合物(B)として、ウレタン(メタ)アクリレート(D)及び(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)を含有する上記(1)〜(5)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(7)前記化合物(A)の含量が10〜60重量%であり、光重合開始剤(C)の含量が0.2〜5重量%、残部が(メタ)アクリレート化合物(B)である上記(1)〜(6)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(8)(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)として、炭素数10〜30のアルキル(メタ)アクリレート;ポリC2〜C4アルキレングリコール(メタ)アクリレート;ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート;水酸基を有する炭素数1〜5のアルキル(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する請求項6に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(9)(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)として、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する上記(4)〜(8)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0010】
(10) 上記化合物(A)が、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジブチルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジブチルエーテル及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)として、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する、
上記(4)〜(9)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(11)(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)及びウレタン(メタ)アクリレート(D)を含有し、一般式(1)におけるmが10〜50の整数である上記(1)〜(10)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(12) ウレタン(メタ)アクリレート(D)が、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物である上記(1)〜(11)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0011】
(13)(メタ)アクリレート化合物(B)として、ウレタン(メタ)アクリレート(D)及び(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)を含み、組成物の総量に対して、上記化合物(A)を1〜60重量%、ウレタン(メタ)アクリレート(D)を20〜80重量%、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)を10〜70重量%、及び光重合開始剤(C)を0.2〜5重量%含有する上記(1)〜(12)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(14)(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)とウレタン(メタ)アクリレート(D)の合計含量が、樹脂組成物の総量に対して、少なくとも40重量%である上記(13)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(15)硬化収縮率が3.0%以下である上記(1)〜(14)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(16)(i)上記化合物(A)が、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジブチルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジブチルエーテル及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
(ii)(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)として、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有し、
(iii)ウレタン(メタ)アクリレート(D)が、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物である、
上記(6)〜(15)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0012】
(17)ウレタン(メタ)アクリレート(D)の重量平均分子量が7000〜25000である上記(6)〜(16)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(18)上記化合物(A)が、一般式(1)におけるRおよびRはそれぞれ同一であっても異なっても良く、RおよびRは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜10のアルケニル基である化合物であり、ウレタン(メタ)アクリレート(D)がポリエーテルポリオールとポリイソシアネート、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物であり、その反応物の重量平均分子量が7000〜25000であり、(メタ)アクリレート化合物(B)として、ウレタン(メタ)アクリレート(D)及び(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)を含み、そして、組成物の総量に対して、上記化合物(A)を1〜60重量%、ウレタン(メタ)アクリレート(D)を20〜80重量%、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)を10〜70重量%、及び光重合開始剤(C)を0.2〜5重量%含有し、かつ、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)とウレタン(メタ)アクリレート(D)の合計含量が、組成物の総量に対して、40〜90重量%である上記(6)〜(18)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(19)上記(1)〜(18)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層により、少なくとも二つの光学基材が接着された光学部材。
(20)上記(1)〜(18)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物。
(21)上記(1)〜(18)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層により、少なくとも二つの光学基材が接着されたタッチパネル。
(22)上記(1)〜(18)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層により、保護用光学基材又はタッチパネルと表示装置が接着された、保護用光学基材又はタッチパネルを有する表示装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性に優れる光学透明接着剤として用いることができる紫外線硬化型樹脂組成物、該樹脂組成物の硬化物層で貼りあわされた光学部材、を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の紫外線硬化型樹脂組成物(以下本発明の樹脂組成物、又は本発明の組成物という)は、一般式(1)で示される構造を有する化合物(A)、(メタ)アクリレート化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含有する。
【0015】
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で示される構造を有する化合物(A)を含有する。
式(1)
式中、nは0〜40の整数、mは10〜80の整数を示す。RおよびRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。RおよびRは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、又は炭素数5〜18のアリール基である。
【0016】
式(1)において、好ましい一つの態様として、nが0であるか、又は、nが5〜40、より好ましくは10〜30である態様を挙げることが出来る。mは20〜80が好ましく、30〜70がより好ましい。ここで、基材との密着性を付与し、ウレタン(メタ)アクリレートとの相溶性を向上させる観点から、m/(m+n)は、好ましくは、0.2〜1であり、より好ましくは0.4〜1である。
また、RおよびRは、好ましくは、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数2〜18のアルケニル基であり、より好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜10のアルケニル基である。更に好ましくは、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜5のアルケニル基である。最も好ましい一つの態様は、nが5〜40、mが10〜40であり、RおよびRの何れか一方がブチル基で、他方がアリル基であるか、又は、nが0で、mが20〜80であり、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基である態様である。
【0017】
一般式(1)で示される構造を有する化合物(A)は接着剤の柔軟性を付与することができる。一般式(1)で示される構造を有する化合物(A)としては、nが0〜40の整数、mが10〜80の範囲であれば制限なく使用することができる。
該化合物(A)の具体例としては、例えば、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジブチルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテルが挙げられる。
【0018】
該化合物(A)は、市販品として容易に入手することも可能できる。例えば、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル(ユニセーフPKA−5015、PKA−5016、PKA−5017、日油株式会社製)、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル(ユニセーフPKA−5018、日油株式会社製)として入手できる。特にポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル(PKA−5016、PKA−5017、日油株式会社製)はウレタン(メタ)アクリレートとの相溶性が優れているため好ましい。
該化合物(A)の数平均分子量は通常100〜10000であり、500〜8000が好ましく、1000〜8000がより好ましく、1500〜5000が特に好ましい。数平均分子量が小さすぎる場合には、柔軟性、接着性に劣る恐れがあり、大きすぎる場合には相溶性に劣る恐れがあるためである。
【0019】
本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における、該化合物(A)の重量割合は1重量%〜60重量%程度が好ましく、10重量%〜50重量%程度が特に好ましい。少な過ぎると柔軟性が劣り、多過ぎると硬化性が悪くなる。
【0020】
本発明の組成物においては(メタ)アクリレート化合物(B)(以下(B)成分とも云う)を含有する。(メタ)アクリレート化合物であれば、公知のものであれば特に限定することなく使用することができる。
(メタ)アクリレート化合物(B)としては、(メタ)アクリロイル基を1又は2個有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、これらの成分で(B)成分が100重量%となる場合より好ましい。
特に、(B)成分として、下記する(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)(以下(B’)成分とも云う)及び後記ウレタン(メタ)アクリレート(D)(以下(D)成分とも云う)が好ましい。その他の多官能(メタ)アクリレートも使用することが出来る。好ましい態様としては、(メタ)アクリレート化合物(B)の総量に対して、(B’)成分と(D)成分の合計含量が50〜100重量%(以下%は特に断りの無い限り重量%を意味する)、より好ましくは70〜100%、更に好ましくは90〜100%である態様を挙げることができる。残部はその他の(メタ)アクリレート化合物である。最も好ましくは(B)成分が上記両者からなる場合(両者の合計で(B)成分が100%となる場合)である。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートのいずれか一方又は両者を意味する。
【0021】
本発明の樹脂組成物に含有される(メタ)アクリレート化合物(B)としては(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)が好適に用いられる。
具体的には、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレート等の炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート、より好ましくは炭素数10〜30のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、等の環状構造を有する(メタ)アクリレート、好ましくは炭素原子を3〜10個含み、酸素原子または窒素原子の何れか一方若しくは両者を含んでも良い3〜10員環、より好ましくは同3〜10員脂肪族環またはベンジル基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する炭素数1〜5のアルキル(メタ)アクリレート;エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジエチレングリコール(メタ)アクリレート(別称2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート)、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリアルキレングリコール変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、好ましくはポリC2〜C4アルキレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート;エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド変性オクチルオキシ化リン酸(メタ)アクリレート等のエチレンオキシド変性−フェノキシ化またはC3−C10アルコキシ化−リン酸(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0022】
(B’)成分として好ましい化合物としては、炭素数10〜30のアルキル(メタ)アクリレート;ポリC2〜C4アルキレングリコール(メタ)アクリレート;ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート;水酸基を有する炭素数1〜5のアルキル(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートまたは/及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
中でも、炭素数10〜30のアルキル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート(例えばプロピレンオキサイド2〜10モル変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート)が好ましい。特に、樹脂の柔軟性の観点から、炭素数10〜30のアルキル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート(例えばプロピレンオキサイド2〜10モル変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート)、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。
一方、ガラスへの密着性を向上させる観点からは、水酸基を有する炭素数1〜5のアルキル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリンが好ましく、アクリロイルモルホリンが特に好ましい。
(B’)成分が、上記の好ましい化合物で、全部(100%)構成される時、より好ましい。
炭素数10〜30のアルキル(メタ)アクリレートとして、好ましい化合物は炭素数12〜25のアルキル(メタ)アクリレートであり、具体的には上記例示のラウリル(メタ)アクリレートから2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートまでの例示化合物であり、最も好ましくはラウリル(メタ)アクリレート及び2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートである。
【0023】
本発明の樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲で多官能(メタ)アクリレート化合物を含有することができる。例えば、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及びエチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールC2〜C10アルカントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールC2〜C10アルカンポリアルコキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレ−ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明においては、硬化収縮を抑えるために、1又は2官能の(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
硬化収縮をより小さくするため、本発明の樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート(D)以外の(B)成分として、前記(B’)成分を、該(D)成分以外の(B)成分の総量に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは100重量%含有する。
【0024】
本発明の樹脂組成物においては、これら、ウレタン(メタ)アクリレート(D)以外の、(B)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。ウレタン(メタ)アクリレート(D)以外の、(B)成分の本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は通常5〜70重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40%である。
特に、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)が上記含量であるとき好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート(D)以外の、上記(B)成分の含量があまり少なすぎると硬化性が乏しくなり、あまり多すぎると収縮が大きくなる。
【0025】
本発明の組成物に含有させることができるウレタン(メタ)アクリレート(D)は、ウレタン(メタ)アクリレートであれば何れも使用できる。好ましくは、多価アルコール、ポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレートである。より好ましくはポリエーテル構造を有するポリエーテルウレタン(メタ)アクリレートである。
【0026】
ウレタン(メタ)アクリレートの合成に使用される、多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の炭素数1〜10のアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のトリオール、トリシクロデカンジメチロール、ビス−〔ヒドロキシメチル〕−シクロヘキサン等の環状骨格を有するアルコール等、これら多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール、多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール、ポリカーボネートポリオール(例えば1,6−ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等)又はポリエーテルポリオール(例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等)等が挙げられる。硬化後の樹脂の柔軟性の観点からポリエーテルポリオールが好ましい。(A)成分との相溶性の観点からポリプロピレングリコールがより好ましく、基材への密着性の観点から分子量が2000以上のポリプロピレングリコールが特に好ましい。
【0027】
有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。
透明性の観点から、イソホロンジイソシアネートまたはトリレンジイソシアネートが好ましい。
【0028】
又、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシC2〜C4アルキル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0029】
前記反応は、例えば、以下のようにして行う。即ち、多価アルコールにその水酸基1当量あたり有機ポリイソシアネートをそのイソシアネート基が好ましくは1.1〜2.0当量、さらに好ましくは1.1〜1.5当量になるように混合し、反応温度を好ましくは70〜90℃で反応させ、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで、ウレタンオリゴマーのイソシアネート基1当量あたり、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1〜1.5当量となるように混合し、70〜90℃で反応させて目的とするウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0030】
ウレタン(メタ)アクリレート(D)の重量平均分子量としては7000〜25000程度が好ましく、10000〜20000がより好ましい。重量平均分子量が小さ過ぎると収縮が大きくなり、重量平均分子量が大き過ぎると硬化性が乏しくなる。
【0031】
本発明の樹脂組成物においては、これら(D)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(D)成分の本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は通常20〜80重量%、好ましくは25〜50重量%である。
本発明の樹脂組成物においては、上記(D)成分と前記(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)の合計含量が該樹脂組成物の総量に対して、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%である。
【0032】
本発明の樹脂組成物には、(メタ)アクリレート化合物(B)として、ポリイソプレン又は/及びポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを含有させることができる。ポリイソプレン又は/及びポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、公知のものであれば特に限定することなく使用することができる。
上記ポリイソプレン又は/及びポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーとして、好適には(a)イソプレン重合体、ブタジエン重合体またはこれらの共重合体をまず合成し、次にこれらの重合体に不飽和酸無水物を反応させ、その後に得られたポリマー中の一部または全部に、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物を反応させることにより得られるオリゴマー、または(b)水酸基末端イソプレン重合体、水酸基末端ブタジエン重合体またはこれらの共重合体に不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させて得られるオリゴマーを使用することができる。
【0033】
まず、(a)イソプレン重合体、ブタジエン重合体またはこれらの共重合体をまず合成し、次にこれらの重合体に不飽和酸無水物を反応させ、その後に得られたポリマー中の一部または全部に、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物を反応させることにより得られるオリゴマーについて説明する。
上記イソプレン重合体、ブタジエン重合体としては、イソプレンまたはブタジエンの1種類を単独で重合することにより得られるイソプレン重合体またはブタジエン重合体を使用しても良いし、イソプレン及びブタジエンの混合物を共重合させることにより得られるイソプレン−ブタジエン共重合体を使用しても構わない。以下、これらを合わせて、単にオリゴマー用重合体という。
【0034】
重合させる方法としては、イソプレンおよび/またはブタジエンをメチルリチウム、エチルリチウム、s−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、ペンチルリチウムなどのアルキルリチウム、ナトリウムナフタレン錯体、を開始剤としてアニオン重合させることにより得ることもできるし、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾビスニトリル化合物を開始剤としてラジカル重合させることによって製造することもできる。
なお、これらの重合反応は、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の溶媒の存在下に−100℃〜200℃で0.5〜100時間反応させて行うことができる。
【0035】
本発明に使用する前記オリゴマー用重合体の数平均分子量は、柔軟性を付与する観点から、通常2000〜100000であり、5000〜50000が好ましく、20000〜50000が特に好ましい。
次に、上述の方法により得られたオリゴマー用重合体に不飽和酸無水物を反応させる。この反応は、例えば、前記重合体と不飽和酸無水物をヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の溶媒などの、反応に不活性な溶媒の存在下、または無溶媒で通常、常温〜300℃、0.5〜100時間反応させることで行うことができる。
【0036】
不飽和酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などを使用することができる。
該酸無水物の使用量は、通常、前記オリゴマー用重合体100重量部に対して0.1〜200重量部の範囲であるのが好ましく、0.1〜100重量部の範囲内であることがより好ましい。
前記重合体に対しての酸無水物基の反応による付加は、上記の条件で反応させることにより、通常、1分子あたりの付加数が1〜30個の範囲であり、2〜20個の範囲であることが好ましい。
次に、上記重合体に導入された酸無水物基の一部または全部にヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物を反応させることにより、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリイソプレン−ポリブタジエン共重合体骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを得ることが出来る。
反応は、ヘキサン、ヘプタン等の溶媒または無溶媒で通常、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1〜1.5当量となるように混合し、20〜200℃で0.1〜100時間反応させて得ることができる。
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシC2〜C4アルキル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等を使用することができる。
【0037】
次に、(b)ヒドロキシ基を含有するイソプレン重合体、ブタジエン重合体またはこれらの共重合体に不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させて得られるオリゴマーを得る方法について説明する。
【0038】
水酸基末端イソプレン重合体、水酸基末端ブタジエン重合体、又は水酸基末端イソプレン−ブタジエン共重合体の一部または全部に不飽和カルボン酸またはその誘導体を反応させることにより、ポリイソプレン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー、又はイソプレン−ブタジエン共重合体骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーを得ることが出来る。
反応は、ヘキサン、ヘプタン等の溶媒または無溶媒で通常、不飽和カルボン酸またはその誘導体を20〜200℃で0.1〜100時間反応させて得ることができる。
【0039】
不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、α−エチルアクリル酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、及びこれらの酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等の誘導体を使用することができる。
【0040】
このようにして得られる化合物の具体例としては、クラレ社製UC−203(イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2−ヒドロキシエチルメタクリレートのエステル化物オリゴマー)、日本曹達社製NISSO―PB TE―2000(両末端メタクリレート変性ブタジエン系オリゴマー)等を例示することができる。
【0041】
本発明の樹脂組成物においては、これらポリイソプレン、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーは、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。ポリイソプレン、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーの本発明の紫外線硬化型接着剤中における重量割合は通常5〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは25〜50重量%である。
(メタ)アクリレートオリゴマーは、上記ウレタン(メタ)アクリレート(D)と併用しても良く、場合によっては、ウレタン(メタ)アクリレート(D)の代わりに用いてもよい。
【0042】
本発明の組成物に含有される光重合開始剤(C)としては、特に限定はされないが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン{イルガキュアー(登録商標、以下同じ)184;BASF製}、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(エサキュアONE;ランバルティ製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュアー2959;BASF製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(イルガキュアー127;BASF製)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュアー651;BASF製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン{ダロキュア(登録商標、以下同じ1173;BASF製}、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュアー907;BASF製)、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルの混合物(イルガキュアー754;BASF製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。透明性から1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュアー184;BASF製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー(エサキュアKIP−150;ランバルティ製)、フェニルグルコキシル酸メチルエステル(ダロキュアMBF;BASF製)、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステルとオキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステルの混合物(イルガキュアー754;BASF製)、が好ましい。また、接着剤内部硬化性を良好にする観点から2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(スピードキュアTPO;LAMBSON社製)が好ましい。
【0043】
本発明の樹脂組成物においては、これら(C)成分は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。(C)成分の本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は通常0.2〜5重量%、好ましくは2〜5重量%である。
ここで、透明性を向上させるために2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドのみを光重合開始剤として使用する場合、好適な本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は通常0.3〜1.0重量%であり、0.3〜0.8重量%が特に好ましい。
【0044】
更に、上記(A)、(B)及び(C)以外のその他の成分として、必要に応じて、光重合開始助剤となりうるアミン類等を上記の光重合開始剤と併用することもできる。使用しうるアミン類等としては、安息香酸2−ジメチルアミノエチルエステル、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルまたはp−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル等が挙げられる。該アミン類等の光重合開始助剤を使用する場合、本発明の接着用樹脂組成物中の含有量は通常0〜5重量%、添加する場合は0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%である。
【0045】
また、その他の成分として、必要によりオキセタン化合物を含有させることができる。使用できるオキセタン化合物は公知のものであれば特に限定されない。
オキセタン化合物の具体例としては、例えば、4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3−メチル−3−グリシジルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、ジ(1−エチル(3−オキセタニル))メチルエーテル、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−(シクロヘキシルオキシ)メチル−3−エチルオキセタン、キシリレンビスオキセタン、フェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。通常用いられるオキセタン化合物であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0046】
本発明の紫外線硬化型接着剤においては、これらオキセタン化合物は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。オキセタン化合物の本発明の光硬化型接着剤組成物中における重量割合は通常0〜70重量%、添加する場合は5〜70重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0047】
また、本発明の組成物には、その他の成分として、本発明の特性を損なわない範囲でエポキシ(メタ)アクリレートを使用することができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、硬化性の向上や硬化物の硬度や硬化速度を向上させる機能がある。また、エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られたものであればいずれも使用できるが、好ましく使用されるエポキシ(メタ)アクリレートを得るためのグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールF或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、へキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0048】
エポキシ(メタ)アクリレートは、これらグリシジルエーテル型エポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸を、下記のような条件で反応させることにより得られる。
【0049】
グリシジルエーテル型エポキシ化合物のエポキシ基1当量に対して、(メタ)アクリル酸を0.9〜1.5モル、より好ましくは0.95〜1.1モルの比率で反応させる。反応温度は80〜120℃が好ましく、反応時間は10〜35時間程度である。反応を促進させるために、例えばトリフェニルフォスフィン、TAP、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムクロライド等の触媒を使用するのが好ましい。又、反応中、重合を防止するために重合禁止剤として、例えば、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン等を使用することもできる。
【0050】
本発明において好適に使用することができるエポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型のエポキシ化合物より得られた、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレートである。本発明において、エポキシ(メタ)アクリレート(G)の重量平均分子量としては500〜10000が好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、これらエポキシ(メタ)アクリレートは、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。エポキシ(メタ)アクリレートの本発明の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は通常0〜90重量%、添加する場合は5〜90重量%、好ましくは10〜85重量%である。
【0051】
本発明の樹脂組成物には、その他の成分として、必要に応じて柔軟化成分を使用することができる。使用できる柔軟化成分の具体的としては、ポリイソプレン、ポリブタジエン骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマー又はそのエステル化物、ポリマー、オリゴマー、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、グリコールエステル類、脂肪族二塩基酸エステル類、脂肪酸エステル類、クエン酸エステル類、エポキシ系可塑剤、ヒマシ油類、テルペン系水素添加樹脂等が挙げられる。オリゴマー、ポリマーの例としては、ポリイソプレン系、ポリブタジエン系又はキシレン系のオリゴマー又はポリマーを例示することができる。
かかる柔軟化成分の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は、通常10〜80重量%、好ましくは10〜70重量%である。
【0052】
また柔軟化成分として、(メタ)アクリルポリマーを使用することができる。
【0053】
(メタ)アクリルポリマーは、アクリル系又はメタクリル系モノマーを原料として重合させたポリマー、又は、該モノマー以外の他の重合性モノマーと該モノマーとの共重合体が挙げられ、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の通常の方法によって製造できる。
特に好ましい製造方法としては、高温で連続的にラジカル重合を行って製造することが好ましい。具体的には、以下のプロセスによって製造するものである。まず、アクリル系又はメタクリル系モノマーに対して微量の重合開始剤と微量の溶剤を混合させる。そして、150℃以上の温度において、10分以上高圧下で反応させる。その後、分離機で未反応成分と反応して得られた(メタ)アクリルポリマーに分離して、得ることができる。
ここで、重合開始剤が混入していると、保存安定性に劣る恐れがあるため、溶剤を留去しながら反応を行うか、(メタ)アクリルポリマーを分離して得た後に溶剤を留去することが好ましい。
【0054】
(メタ)アクリルポリマーの原料として使用されるアクリル系又はメタクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、α−エチルアクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−(ヒドロキシメチル)エチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等のエステル系(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0055】
共重合させてもよい他の重合性モノマーとしては、不飽和二重結合を有する公知の化合物を用いることができ、例えば、スチレン、3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルトルエン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレン等のアルキルスチレン類;4−クロロスチレン、3−クロロスチレン、3−ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン類;クロトン酸、α−メチルクロトン酸、α−エチルクロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸等の不飽和二重結合を有するカルボン酸類が挙げられる。
【0056】
これらのうち、組成物の他の成分への溶解性、硬化物の接着性の面から、アクリル系又はメタクリル系モノマーとしてはメチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等のC1〜C10アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するC1〜C10アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、他の重合性モノマーとしてはスチレン等が好ましい。
【0057】
本発明においては、(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量としては、1500〜30000であり、好ましくは3000〜20000、特に好ましくは5000〜15000である。重量平均分子量が小さ過ぎる場合は、硬化物の接着性が劣る傾向にあり、一方、大き過ぎる場合には、他のモノマーに溶解しにくくなったり白濁したりするため好ましくない。
【0058】
(メタ)アクリルポリマーは、市販品として容易に入手することもできる。例えば、東亞合成株式会社製「ARUFONシリーズ」が挙げられ、UP−1170やUH−2190として入手できる。
【0059】
(メタ)アクリルポリマーの本発明の光硬化型接着剤組成物中における重量割合は通常20重量%〜95重量%であり、50重量%〜95重量%が好ましく、70重量%〜95重量%程度がより好ましく、70重量%〜90重量%が特に好ましい。
【0060】
本発明の樹脂組成物には、更に、その他の成分として、必要に応じて酸化防止剤、有機溶剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤、帯電防止剤、表面潤滑剤、蛍光増白剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン化合物等)、充填剤等の添加剤を加えてもよい。
【0061】
酸化防止剤の具体例としては、例えば、BHT、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル−O−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0062】
有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0063】
シランカップリング剤の具体例としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
【0064】
重合禁止剤の具体例としては、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン等が挙げられる。
【0065】
光安定剤の具体例としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアルコール、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアルコール、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート(アデカ(株)製、LA−82)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−トトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5,1,11,2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダードアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ヒンダードアミン系化合物である。
【0066】
充填剤の具体例としては、例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられる。
【0067】
各種添加剤は任意成分であるので、通常ゼロでも良い。各種添加剤が組成物中に存在する場合、各種添加剤の光硬化型透明接着剤組成物中における重量割合は、0.01〜3重量%、好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.02〜0.5重量%である。
【0068】
本発明の樹脂組成物は、相溶性、密着性を向上させるために、プロピレン骨格を有する成分で組み合わせることが好ましい。
具体的には、一般式(1)において、mの値/(mの値+nの値)が0.4〜1.0の化合物、ポリプロピレングリコールから得られるウレタン(メタ)アクリレートを含有する樹脂組成物が好適に使用できる。
【0069】
本発明の樹脂組成物は、前記した各成分を常温〜80℃で混合溶解して得ることができ、必要により夾雑物をろ過等の操作により取り除いてもよい。本発明の接着用樹脂組成物は、塗布性を考え、25℃の粘度が300〜15000mPa・sの範囲となるように、成分の配合比を適宜調節することが好ましい。
【0070】
本発明の樹脂組成物の硬化収縮率は3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることが特に好ましい。これにより、紫外線硬化型樹脂組成物が硬化する際に、樹脂硬化物に蓄積される内部応力を低減することができ、基材と紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物からなる層との界面に歪みができることを有効に防止することができる。
また、ガラス等の基材が薄い場合には、硬化収縮率が大きい場合には硬化時の反りが大きくなることから、表示性能に大きな悪影響を及ぼすため、当該観点からも、硬化収縮率は少ない方が好ましい。
【0071】
本発明の樹脂組成物の硬化物(厚さ200μm)の400nm〜800nmでの平均透過率が90%以上であることが好ましい。透過率が低過ぎる場合、光が透過し難く、表示装置に使用した場合に視認性が低下してしまうためである。
また、硬化物の400〜450nmでの透過率が高いと視認性の向上が一層期待できることから、400〜450nmでの透過率が90%以上であることが好ましい。透過率は高い程好ましく、上限は100%まで良い。実際は99%以下である。
【0072】
本発明の樹脂組成物は、一般式(1)で示される構造を有する化合物、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレートを含有しており、リワーク性にも優れる。
通常、リワークするために、張り合わされた基材を加熱した後、ワイヤーを用いて接着剤層を切り進むことによって基材と接着剤層の剥離を行う。その際に剥離を容易にするために溶剤を使用するが、本発明においては、組成物の成分が剥離性に優れるため、溶剤としてイソプロピルアルコール等のアルコール類を使用しても容易に剥離を行うことができる。
【0073】
以下に、本発明の樹脂組成物の好ましい態様を例示する。
(i) 式(1)の化合物(A)、(メタ)アクリレート化合物(B)及び光重合開始剤(C)を含有する紫外線硬化型樹脂組成物において、式(1)の化合物(A)の分子量が100〜10000である紫外線硬化型樹脂組成物。
(ii)式(1)の化合物(A)の分子量が500〜8000である上記(i)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(iii)式(1)の化合物(A)の分子量が1000〜8000である上記(i)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(iv)式(1)の化合物(A)の分子量が1500〜5000である上記(i)紫外線硬化型樹脂組成物。
(v)式(1)の化合物(A)におけるRおよびRはそれぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜10のアルケニル基である上記(i)〜(iv)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(vi)RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜5のアルケニル基である上記(v)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(vii)m/(m+n)が、0.2〜1である上記(i)〜(vi)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(viii)m/(m+n)が、0.4〜1である上記(vii)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(ix)nが5〜40、mが10〜40であり、RおよびRの何れか一方がブチル基で、他方がアリル基であるか、又は、nが0で、mが20〜80であり、RおよびRはそれぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、好ましくはメチル基である上記(vi)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0074】
(x)上記化合物(A)が、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジブチルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジブチルエーテル及びポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも一つである上記(vi)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xi)(メタ)アクリレート化合物(B)として、ウレタン(メタ)アクリレート(D)及び(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)を含有する上記(i)〜(x)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xii)ウレタン(メタ)アクリレート(D)の重量平均分子量が7000〜25000である上記(xi)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xiii)ウレタン(メタ)アクリレート(D)の重量平均分子量が10000〜20000である上記(xi)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xiv)ウレタン(メタ)アクリレート(D)が、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの反応物である上記(xi)〜(xiii)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xv) (メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)として炭素数10〜30のアルキル(メタ)アクリレート;ポリC2〜C4アルキレングリコール(メタ)アクリレート;ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート;水酸基を有する炭素数1〜5のアルキル(メタ)アクリレート;アクリロイルモルホリン;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する上記(xi)〜(xiv)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0075】
(xvi)(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)として、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、アクリロイルモルホリン、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−デシルテトラデカニル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する上記(xv)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xvii) 前記化合物(A)の含量が10〜60重量%であり、光重合開始剤(C)の含量が0.2〜5重量%、残部が(メタ)アクリレート化合物(B)である上記(xi)〜(xiv)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xviii)(メタ)アクリレート化合物(B)の総量に対して、ウレタン(メタ)アクリレート(D)及び(メタ)アクリロイル基を1個有する(メタ)アクリレート化合物(B’)の合計含量が50〜100重量%である上記(xvii)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xix)(B)成分の総量に対して、(D)成分及び(B’)成分の合計含量が90〜100重量%である上記(xviii)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xx)硬化収縮率が3%以下である上記(i)〜(xix)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xxi)硬化収縮率が2%以下である上記(xx)に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xxii)厚さ200μmの硬化物の400〜800nmでの平均透過率が少なくとも90%である上記(i)〜(xxi)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
(xxiii)厚さ200μmの硬化物の400〜450nmでの平均透過率が少なくとも90%である上記(i)〜(xxii)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物。
【0076】
本発明の樹脂組成物は、片方の基材に、スリットコーター、ロールコーター、スピンコーター、スクリーン印刷法等の塗工装置を用いて、塗布した樹脂の膜厚が10〜300μmとなるように塗布し、もう片方の基材を貼り合わせ、透明基材側から活性エネルギー線として、例えば、紫外〜近紫外(波長200〜400nm付近)の光線を照射して硬化させることで接着させることができる。照射量は約100〜4000mJ/cm2が好ましく、特に好ましくは、200〜3000mJ/cm2程度である。紫外〜近紫外の光線照射による硬化には、紫外〜近紫外の光線を照射するランプであれば光源を問わない。例えば、低圧、高圧若しくは超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、(パルス)キセノンランプ、または無電極ランプ等が挙げられる。
【0077】
本発明の樹脂組成物は2以上の光学基材を貼り合わせるのに好適に使用することができる。そして、本発明の光学部材は、上記した少なくとも二つの光学基材を貼り合わせることにより、得ることが出来る。より詳しくは、少なくとも二つの光学基材を、本発明の樹脂組成物を用いて貼り合わせた後、二つの光学基材の間に挟まれている紫外線硬化型樹脂組成物層に、紫外線を照射することにより、該樹脂組成物層を硬化させ、硬化物層とすることにより、本発明の光学部材を得ることが出来る。
光学基材の貼り合わせは、例えば、一方の光学基材の貼り合わせ面に、本発明の樹脂組成物を塗布するか、又は、貼り合わせる二つの光学基材の貼り合わせ面の両者に本発明の樹脂組成物を塗布して、二つの光学基材の貼り合わせ面で、本発明の樹脂組成物の塗布層を挟むように貼り合わせればよい。
該光学基材としては、特に限定されないが、板状又はシート状の光学基材が好ましい。板状又はシート状の光学基材としては、下記の透明板を含む板、シート、表示体(又は表示体ユニット)、タッチパネル(又はタッチパネルユニット)等が例として挙げられる。
【0078】
本発明の好ましい光学部材の一つとして、保護用光学基材を有するタッチパネルを挙げることが出来る。
例えば、タッチパネルにおいては、一方の表面に電極用のITO膜等の透明電極を有するガラス製又は樹脂製の透明シート状又は透明板状の光学基材2枚が、透明電極面が向き合うように、僅かなすき間を開けて、接着剤で張り合わされる。一方の光学基材は基板であり、他方の光学基材はタッチ面用の光学基材となる。更に、必要に応じて、タッチ面用の光学基材のタッチ面側の表面に、接着剤で保護シート(又は板)、アイコンシート(又は板)、又は化粧シート(又は板)等の保護用光学基材が接着剤で張り合わされた構造を持っている。本発明の光学部材としてのタッチパネルは、該構造のタッチパネルにおける接着剤として、少なくとも一個所の接着剤として、本発明の樹脂組成物を用いて、得られたタッチパネルである。従って、該タッチパネルは、少なくとも、二つの光学基材が、本発明の樹脂組成物の硬化物層で接着されているものである。
本発明の好ましい態様におけるタッチパネルとしては、タッチパネルのタッチ面とその上に、本発明の樹脂組成物の硬化物層により接着された保護用光学基材を有するタッチパネルを挙げることができる。
また、他の好ましい態様の一つは、保護用光学基材を有するタッチパネルを表示面に、本発明の樹脂組成物の硬化物層により接着された、タッチパネル付き表示装置を挙げることが出来る。
また、本発明の他の好ましい光学部材の一つとして、上記の光学基材の少なくとも二つが、本発明の樹脂組成物の硬化物層で接着されている光学部材を含む画像表示用の表示装置を挙げることが出来る。最も、代表的な一例として、保護用光学基材又はタッチパネルを、画像表示画面の表面に、本発明の樹脂組成物の硬化物層で貼り合わされた表示装置を挙げることが出来る。このような場合には、貼り合わせる前のタッチパネル、及び、表示体の両者は、本発明においては、光学基材に含まれる。
【0079】
また、本発明の樹脂組成物は、タッチパネルにおいて、複数の透明板又はシートを張り合わせる接着剤として好適に使用することができる。
透明板又はシートとしては、様々な材料を使用した透明板又はシートが使用できる。
具体的には、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、PCとPMMAの複合体、ガラス、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)、アクリル樹脂等の樹脂(プラスチック)から作製された透明板又はシート、また、それを複数枚積層した偏光板等の機能性透明積層板又はシート、無機ガラスから作製された透明板{無機ガラス板、及びその加工品(例えば、レンズ、プリズム、ITOガラス)}等を使用することができる。
また、本発明において、板状又はシート状の光学基材には、上記した、透明板又はシート、偏光板など機能性透明積層板又はシートの他、タッチパネル、又は、液晶表示板又はLED等の表示体、等のように複数の機能板又はシートの積層体(以下機能性積層体ともいう)が含まれる。
本発明においては上記した、板状又はシート状の光学基材が好ましい。
【0080】
本発明の樹脂組成物は、タッチパネルとシート又は板を貼り合わせる接着剤としても使用することができる。
ここで、シートとしては、アイコンシート、化粧シート、保護シートが挙げられ、板としては化粧板、保護板が挙げられる。そして、シートないし板の材質としては、透明板の材質として列挙したものが適用できる。また、タッチパネル面の材質としては、ガラス、PET、PC、PMMA、PCとPMMAの複合体、COC、COPが挙げられる。
【0081】
本発明の樹脂組成物は、表示装置の表示面へ、光学機能材料を貼り合わせるためにも好適に使用することができる。表示装置体としては、ガラスに偏光板を貼り付けてあるLCD、ELディスプレイ、EL照明、電子ペーパーやプラズマディスプレイ等の表示装置が挙げられる。また、光学機能材料としては、アクリル板、PC板、PET板、PEN板等の透明プラスチック板、強化ガラス、タッチパネル等が挙げられる。
【0082】
透明板を張り合わせる接着材として使用した場合に、視認性向上のために硬化物の屈折率が1.45〜1.55であることが好ましい。
当該屈折率の範囲内であれば、透明板として使用される基材との屈折率の差を低減させることができ、光の乱反射を抑えて光損失を低減させることが可能となる。
【0083】
また、本発明の樹脂組成物で張り合わせた、光学基剤(例えば光学機能材料)を有する表示装置を組み込んだ電子機器、例えば、テレビ、小型ゲーム機、携帯電話、パソコンなども本発明における光学部材に含まれる。
以下に本発明の光学部材の好ましい態様を下記に示す。
(I)本発明の前記(i)〜(xxiii)の何れか一項に記載の紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層により、少なくとも二つの光学基材が貼りあわされた光学部材。
(II)貼りあわされる光学基材が板状又はシート状の光学基材である上記(I)に記載の光学部材。
(III)貼りあわされる一方の板状又はシート状の光学基材が保護用光学基材であり、他方の板状又はシート状の光学基材がタッチパネルであり、得られる光学部材が保護用光学基材を有するタッチパネルである上記(II)に記載の光学部材。
(IV)一方の光学基材が保護用光学基材又はタッチパネルであり、他方の光学基材が表示装置であり、得られる光学部材が、表示装置の表示画面上に、上記硬化物層で貼りあわされた保護用光学基材又はタッチパネルを有する表示装置。
【実施例】
【0084】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。尚、以下実施例2〜11を参考例1〜10と読み替えるものとする。
【0085】
実施例1〜11及び比較例1
下記表1に示した組成となるように各原料化合物を混合して、均一な組成からなるそれぞれの紫外線硬化型樹脂組成物を調製し、本発明及び比較用の樹脂組成物を得た。
【0086】
【表1】
【0087】
なお、表1中に略称で示した各成分は下記の通りである。
ユニセーフPKA−5016(商品名):ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル(一般式(1)において、Rがアリル、Rがブチル、n=15、m=15、数平均分子量1600である化合物)、日油株式会社製
ユニセーフPKA−5017(商品名):ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルブチルエーテル(一般式(1)において、Rがアリル、Rがブチル、n=23、m=23、数平均分子量2500である化合物)、日油株式会社製
PPG2000−DME:ポリプロピレングリコールジメチルエーテル(一般式(1)において、Rがメチル、Rがメチル、n=0、m=34、数平均分子量2000である化合物)
PPG4000−DME:ポリプロピレングリコールジメチルエーテル(一般式(1)において、Rがメチル、Rがメチル、n=0、m=68、数平均分子量4000である化合物)
UA−1:ポリプロピレングリコール(分子量3000)、イソホロンジイソシアネート、2−ヒドロキシエチルアクリレートの3成分をモル比1:1.3:2の反応物。
ACMO:アクリロイルモルホリン、興人株式会社製
4−HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製
LA:ラウリルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製
FA−512AS:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、日立化成工業株式会社製
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製
M−117:プロピレンオキサイド2.5モル変性ノニルフェニルアクリレート、東亜合成株式会社製
NP−5P:プロピレンオキサイド5モル変性ノニルフェニルアクリレート、第一工業製薬株式会社製
S−1800A:イソステアリルアクリレート、新中村化学工業株式会社製DTD−A:2−デシルテトラデカニルアクリレート、共栄社化学工業株式会社製
イルガキュアー184(商品名):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製
KIP−150(商品名):2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、ランバルティ社製
スピードキュアTPO(商品名):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、LAMBSON社製
Z−6062(商品番号):3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、東レ・ダウコーニング社製
【0088】
得られた本発明の樹脂組成物を用いて以下の評価を行った。
硬化性:
得られた樹脂組成物の膜厚が200μmとなるように、厚さ1mmのスライドガラス2枚を貼り合わせた。スライドガラスで挟まれた樹脂組成物に、ガラス越しに高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で2000mJ/cmの紫外線照射を行い、樹脂組成物を硬化させ、その硬化状態を確認した。
○・・・完全に硬化していた
△・・・半硬化状態
×・・・未硬化
【0089】
硬化収縮率:
フッ素系離型剤を塗布した厚さ1mmのスライドガラス2枚を、得られた樹脂組成物の膜厚が200μmとなるように貼り合わせた。スライドガラスで挟まれた樹脂組成物に、ガラス越しに高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で2000mJ/cmの紫外線照射を行い、硬化させ、膜比重測定用の硬化物を作製した。これを、JIS K7112 B法に準拠し、硬化物の比重(DS)を測定した。また、25℃で樹脂組成物の液比重(DL)を測定し、次式より硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率(%)=(DS−DL)÷DS×100
◎・・・2.0%未満
○・・・2.0%以上、3.0%未満
×・・・3.0%以上
【0090】
接着性:
厚さ0.8mmのスライドガラスと厚さ0.8mmのアクリル板を、得られた紫外線硬化型樹脂組成物の膜厚が200μmとなるように貼り合わせた。スライドガラスで挟まれた樹脂組成物に、ガラス越しに高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で2000mJ/cmの紫外線照射を行い、評価用サンプルを作製した。これを、85℃、85%RH環境下、250時間放置し、目視にて剥がれを確認した。
○・・・剥がれなし
×・・・剥がれあり
【0091】
柔軟性:
得られた紫外線硬化型樹脂組成物を充分に硬化させ、JIS K7215に準じて、デュロメータE硬さを測定し、柔軟性を評価した。
◎・・・10未満
○・・・10以上、20未満
×・・・20以上
【0092】
透明性:
フッ素系離型剤を塗布した厚さ1mmのスライドガラス2枚を、得られた紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層の膜厚が200μmとなるように貼り合わせた。スライドガラスで挟まれた樹脂組成物に、ガラス越しに高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で2000mJ/cmの紫外線照射を行い、透明性測定用の硬化物を作製した。透明性は分光光度計(U−3310、日立ハイテクノロジーズ株式会社)を用いて、400〜800nm及び400〜450nmの透過率を測定した。
◎・・・400〜800nmの透過率90%以上かつ400〜450nmの透過率が90%
○・・・400〜800nmの透過率90%以上かつ400〜450nmの透過率が88〜90%
×・・・400〜800nmの透過率90%未満
【0093】
表1の結果より、一般式(1)で示される構造を有するポリエーテル化合物(()成分)及び(メタ)アクリレート化合物(()成分)を含有する実施例1〜11の本発明の樹脂組成物は、硬化性に優れ、硬化時の収縮が小さく、硬化物の透明性、基材との接着性かつ柔軟性に優れる光学透明接着剤を得られることが確認出来た。