(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前身頃外装体(1)と前記後身頃外装体(2)は,それぞれの左右両側部を対応させて重ね合わせた状態で接合する一対のサイドシール部(11,21)を有しており,
前記前身頃外装体(1)と前記後身頃外装体(2)は,
前記一対のサイドシール部(11,21)が形成された箇所からおむつの幅方向に亘る第1の領域(12,22)と,
前記第1の領域(12,22)から前記吸収性本体の股下域が存在する方向に延出した第2の領域(13,23)によって形成されており,
前記第2の領域(13,23)は,おむつの幅方向の幅が,前記第1の領域(12,22)よりも狭く,かつ,前記股下域に向かって漸次狭くなる形状であり,
前記吸収性本体(3)は,前記伸縮領域(52)が,前記前身頃外装体(1)と前記後身頃外装体(2)の第2の領域(13,23)を含む領域に位置するように,前記前身頃外装体(1)及び前記後身頃外装体(2)に接合されている
請求項1から請求項5のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで,前身頃外装体と後身頃外装体に固定される吸収性本体の左右両側部には,一般的に,吸収性本体の長さ方向に沿って複数の弾性伸縮部材を配置することが好ましいとされている。この弾性伸縮部材は,例えば,着用者の脚部周りの密着性を高めたり,尿などの液体が漏出することを防止するための一対の立体ギャザーを形成する用途で,吸収性本体に配置されるものである。例えば,この弾性伸縮部材は,吸収性本体を形成する複数のシート間に伸長状態で接合されており,弾性伸縮部材が収縮すると,その収縮力を利用して,弾性伸縮部材が接合されたシートが着用者の肌に当接する方向に起立する。このため,吸収性本体に複数の弾性伸縮部材を配置することで,吸収性本体と着用者の肌の密着性を高まり,尿漏れ防止や着用感の向上を達成することができる。
【0006】
ここで,上記した架橋型の使い捨ておむつの場合,吸収性本体の一端部側全体を前身頃外装体に固定し,他端部側全体を後身頃外装体に固定することとすると,弾性伸縮部材が存在する領域を含めて,吸収性本体が,前身頃外装体及び後身頃外装体に固定されることとなる。この弾性伸縮部材は,その収縮力によって,吸収性本体のシート材を着用者の肌に当接する方向に起立させることで,初めて密着性向上効果や尿漏防止効果を発揮する。しかしながら,この弾性伸縮部材の存在する領域を含めて,吸収性本体を前身頃外装体及び後身頃外装体に固定すると,固定された箇所において,弾性伸縮部材は吸収性本体のシート材を起立させることができなくなり,上記密着性向上効果や尿漏防止効果が効果的に発揮されないものとなっていた。
【0007】
一方,吸収性本体の弾性伸縮部材による密着性向上効果などを阻害しないようにするために,前身頃外装体及び後身頃外装体に対して,吸収性本体の幅方向中央部分のみを接合するということも考えられる。しかし,架橋型使い捨ておむつにおいて,吸収性本体と前身頃外装体の固定や,吸収性本体と後身頃外装体の固定が不十分であると,着用者がおむつを装着している状態において,吸収性本体に位置ズレやヨレが生じ,結果として,尿漏れや着用感の低下を招く恐れがある。従って,架橋型使い捨ておむつでは,前身頃外装体及び後身頃外装体に対して,吸収性本体を適切に固定することも重要である。
【0008】
このため,現在では,吸収性本体の両側部に配置される弾性伸縮部材の機能を損なうことなく,前身頃外装体及び後身頃外装体に対して,吸収性本体を安定的に固定することのできる使い捨ておむつが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで,本発明の発明者は,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,前身頃外装体と後身頃外装体に吸収性本体が取り付けられたタイプの使い捨ておむつであって,吸収性本体の長さ方向の両端領域においては,吸収性本体を幅方向全域に亘って前身頃外装体及び後身頃外装体に接合することで,吸収性本体の接合状態を安定させつつ,他方,吸収性本体の両側部に配置された弾性伸縮部材が存在する領域においては,吸収性本体を部分的に前身頃外装体及び後身頃外装体から離間させることにより,弾性伸縮部材の機能を効果的に発揮させることができるという知見を得た。そして,本発明者は,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に説明すると,本発明は以下の構成を有する。
【0010】
本発明は,使い捨ておむつに関する。
本発明の使い捨ておむつは,前身頃外装体1と,後身頃外装体2と,吸収性本体3を備える。吸収性本体3の前身頃側は,前身頃外装体1に固定され,吸収性本体3の後身頃側は,後身頃外装体2に固定される。また,吸収性本体3の前身頃側と後身頃側の間には,股下域が位置し,この股下域において,吸収性本体3は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2のいずれにも固定されない。
また,吸収性本体3は,幅方向の左右両側部に,複数の弾性伸縮部材4が配置される。
この複数の弾性伸縮部材4は,吸収性本体3の長さ方向に沿って,少なくとも吸収性本体3の長さ方向の両端領域51には達しない長さで配置されている。
ここで,吸収性本体3は,その長さ方向の両端領域51において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対して,幅方向全域に亘って接合されている。
さらに,吸収性本体3は,複数の弾性伸縮部材4が前身頃外装体1と後身頃外装体2に重なる箇所から,その幅方向に亘る伸縮領域52を有している。
この伸縮領域52は,幅方向の左右外側に位置する外側領域52aと,外側領域52aよりも幅方向の内側に位置する内側領域52bに区分される。
外側領域52aは,複数の弾性伸縮部材4のうち,少なくとも,吸収性本体3の幅方向の最も外側に位置する外側弾性伸縮部材4aが配置された領域である。この外側領域52aでは,吸収性本体3は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対して接合されずに,離間している。
一方,この外側領域52aよりも幅方向内側に位置する内側領域52bにおいて,吸収性本体3は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対して接合される。
【0011】
上記構成のように,まず,吸収性本体3は,その長さ方向の両端に位置する両端領域51において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対し,全面的に接合される。このように,吸収性本体3の両端部をしっかりと前身頃外装体1及び後身頃外装体2に固定することにより,吸収性本体の接合状態を安定させることができる。従って,例えば,着用者がおむつを装着している状態において,吸収性本体3に位置ズレやヨレが生じることを防止できる。
さらに,本発明では,少なくとも外側弾性伸縮部材4aが配置された吸収性本体3の左右両側部に位置する外側領域52aにおいて,吸収性本体3を,前身頃外装体1及び後身頃外装体2から離間させる。このため,少なくとも外側弾性伸縮部材4aは,吸収性本体3と前身頃外装体の固定や,吸収性本体3と後身頃外装体2の固定の影響を受けずに収縮する。従って,吸収性本体3は,外側弾性伸縮部材4aが配置された箇所において,外側弾性伸縮部材4aの収縮力を利用して,着用者の肌に当接する方向に起立することができる。よって,本発明は,吸収性本体3と着用者の肌の密着性を高め,尿漏れ防止や着用感の向上といった効果を適切に発揮することができる。
このように,本発明によれば,吸収性本体3の位置ズレやヨレを防止しつつも,弾性伸縮部材の機能を十分に発揮することができるため,使い捨ておむつ全体の使用感や着用感が向上する。
【0012】
本発明において,吸収性本体3は,両端領域51と伸縮領域52の間に,中間領域53を有することが好ましい。
そして,この中間領域53において,吸収性本体3は,両端領域51よりも狭く,かつ,伸縮領域52の内側領域52bよりも広い幅で,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対して接合されていることが好ましい。
なお,中間領域53における接合幅は一定であってもよいし,両端領域51から伸縮領域52に向かって段階的に狭くなるものであってもよいし,無段階的に徐々に狭くなるものであってもよい。
【0013】
上記構成のように,両端領域51と伸縮領域52の間に中間領域53を設けることにより,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対する吸収性本体3の固定状態を,より安定させることができる。すなわち,本発明では,両端領域51の接合幅と,伸縮領域52における内側領域52bの接合幅に差が生じることとなる。しかし,この接合幅の差が大きいと,例えば,着用者がおむつを着用しながら運動した場合など,吸収性本体3に負荷がかかったような場合に,吸収性本体3の両端領域51の接合が剥離し易くなる。この点,本発明は,両端領域51と伸縮領域52の間に中間領域53を設けて,各領域における接合幅の差を小さくすることにより,吸収性本体3全体の接合強度を向上させることが可能になるため,固定状態の安定化を図ることができる。
また,両端領域51の接合幅と伸縮領域52における内側領域52bの接合幅の差が大きいと,その差の生じた箇所において,外装体にシワが形成され,見映えや手触り感が悪くなる。この点,本発明は,両端領域51と伸縮領域52の間に中間領域53を設けて,各領域における接合幅の差を小さくすることにより,吸収性本体3の肌触りが滑らかなものとなり,着用感の向上を達成できる。
【0014】
また,本発明において,前身頃外装体1と後身頃外装体2は,それぞれの左右両側部を対応させて重ね合わせた状態で接合する一対のサイドシール部11,21を有する。
そして,前身頃外装体1と後身頃外装体2は,一対のサイドシール部11,21が形成された箇所からおむつの幅方向に亘る第1の領域12,22と,第1の領域12,22から吸収性本体の股下域が存在する方向に延出した第2の領域13,23によって形成されていることとしてもよい。
この場合,第2の領域13,23は,おむつの幅方向の幅が,第1の領域12,22よりも狭く,かつ,股下域に向かって漸次狭くなる形状であることが好ましい。
そして,吸収性本体3は,伸縮領域52が,前身頃外装体1と後身頃外装体2の第2の領域13,23を含む領域に位置するように,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に接合されていることが好ましい。
【0015】
上記構成のように,前身頃外装体1と後身頃外装体2の第2の領域13,23は,その幅方向外側にサイドシール部11,21が存在していない領域であるため,比較的自由になっている。このため,吸収性本体3の伸縮領域52が,前身頃外装体1と後身頃外装体2の第2の領域13,23を含む領域に位置するように固定することで,伸縮領域52に配置された複数の弾性伸縮部材4が,伸張又は収縮しやすくなり,吸収性本体3と着用者の肌の密着性を高め,尿漏れ防止や着用感の向上といった効果を適切に発揮することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は,吸収性本体3を,その長さ方向の両端に位置する両端領域51において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対して全面的に接合するものであるため,吸収性本体3の両端部をしっかりと固定することができる。これにより,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対する吸収性本体3の接合状態が安定し,吸収性本体3に位置ズレやヨレが生じることを防止できる。
【0017】
さらに,本発明は,少なくとも外側弾性伸縮部材4aが配置された吸収性本体3の左右両側部に位置する外側領域52aにおいて,吸収性本体3を,前身頃外装体1及び後身頃外装体2から離間させるため,少なくとも外側弾性伸縮部材4aは,前身頃外装体1や後身頃外装体2に対する固定の影響を受けずに収縮可能となる。従って,吸収性本体3は,外側弾性伸縮部材4aの収縮力を利用して,着用者の肌に当接する方向に起立するように機能するため,着用者の肌の密着性を高まり,尿漏れ防止や着用感の向上を達成できる。
【0018】
よって,本発明によれば,吸収性本体の両側部に配置される弾性伸縮部材の機能を損なうことなく,前身頃外装体及び後身頃外装体に対して,吸収性本体を安定的に固定可能な使い捨ておむつを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
ここで,本願明細書において,「A〜B」とは,「A以上B以下」であることを意味する。
また,本願明細書において,使い捨ておむつや吸収性本体の「長さ方向」というときは,基本的に,前身頃側と後身頃側を結ぶ方向(
図2における上下方向)を意味し,「幅方向」というときは,基本的に,長手方向に直交する方向(
図2における左右方向)を意味する。
【0021】
(1.使い捨ておむつの全体構成)
図1は,使い捨ておむつ100の例を示す概略図であり,使い捨ておむつ100を前身頃外装体1側からみた状態を示している。
図2は,
図1に示された使い捨ておむつ100の展開図であり,使い捨ておむつ100を,吸収性本体3のトップシート32側からみた状態を示している。なお,
図2においては,各所に配置された伸縮部材の位置関係を示すため,使い捨ておむつを構成する各種シート材を透過的に描画している。
【0022】
図1及び
図2に示されるように,使い捨ておむつ100は,前身頃外装体1と,後身頃外装体2と,吸収性本体3を有している。前身頃外装体1は,装着時において着用者の腹部に接触し,後身頃外装体2は,装着時において着用者の背部に接触する。吸収性本体3は,その長さ方向の一端部側が前身頃外装体1に固定され,他端部側が後身頃外装体2に固定される。このため,本発明では,吸収性本体3が,前身頃外装体1と後身頃外装体2との間に架橋された状態となっている。吸収性本体3を,前身頃外装体1と後身頃外装体2に固定する手段は,公知の方法を用いることができ,例えば,ホットメルト接着剤やその他流動性のある接着剤を用いた固定方法に固定することとしてもよいし,ヒートシールのような熱溶着や超音波溶着により固定することとしてもよい。
【0023】
また,前身頃外装体1と後身頃外装体2は,互いに幅方向両側縁に位置するサイドシール部11において接合されることにより,前身頃外装体1及び後身頃外装体2が環状に繋がっている。このため,
図1に示されるように,装着時に着用者の腰周りに位置する腰周り開口部5と,装着時に着用者の脚部周りに位置する脚部周り開口部6が形成される。このようにして,架橋型の使い捨ておむつ100が形成される。着用者は,その腹部が前身頃外装体1に接触し,背部が後身頃外装体2に接触するようにして,腰周り開口部5からに両脚部を入れ,それぞれの脚部を脚部周り開口部6から出すことで,架橋型の使い捨ておむつ100を装着することができるようになっている。
【0024】
(2.使い捨ておむつの各部構成)
以下,図面を用いて,本発明の使い捨ておむつ100の具体的な各部の構成について具体的に説明する。
【0025】
(2−1.前身頃外装体,及び後身頃外装体)
前身頃外装体1及び後身頃外装体2は,着用者の腹部及び背部に接触するとともに,使い捨ておむつ100の着用時において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の間に位置する吸収性本体3を,吊持するための部材である。
【0026】
前身頃外装体1と後身頃外装体2は,おむつの幅方向の左右両側縁部に,一対のサイドシール部11,21を有している。前身頃外装体1と後身頃外装体2は,おむつの幅方向の左右両側縁部を互いに重ね合わせた状態で,一対のサイドシール部11,21において接合される。この一対のサイドシール部11,21は,おむつの長さ方向に延びて直線的に形成される。サイドシール部11,21において,前身頃外装体1と後身頃外装体2は,例えば,熱エンボス溶着や超音波エンボス溶着のような公知の接合手段により接合される。
【0027】
また,前身頃外装体1と後身頃外装体2において,この一対のサイドシール部11,21が存在する箇所から,おむつ幅方向に亘る領域が,第1の領域12,22となる。
図2に示されるように第1の領域12,22は,略矩形状に形成される。また,前身頃外装体1と後身頃外装体2において,第1の領域12,22からは,おむつの股下域3aに向かって,第2の領域13,23が延出されている。この第2の領域13,23は,おむつの幅方向両側に,サイドシール部11,21が形成されていない領域である。
図2に示されるように,おむつの幅方向において,第2の領域13,23の幅は,第1の領域12,22と比較して,おむつの股下域3aに向かうにつれて,漸次幅狭となっている。
【0028】
具体的に説明すると,
図2に示された展開図において,前身頃外装体1は,腰周り端となる辺である長辺1aと,一対のサイドシール部11が形成された一対の両側辺1bと,長辺1aと略平行に形成され吸収性本体3が固定される辺である短辺1cと,一対の両側辺1bと短辺1cを結ぶ一対の斜辺1dを有する形状となっている。この場合に,一対の両側辺1bの一端同士を長辺1aで結び,一対の両側辺1bの他端同士を仮想の線で結んだ場合に,画定される略矩形状の領域が,前身頃外装体1の第1の領域12となる。他方,一対の斜辺1dの一端同士を短辺1cで結び,一対の斜辺1dの他端同士を仮想の線で結んだ場合に,画定される略台形状の領域が,前身頃外装体1の第2の領域13となる。
また,後身頃外装体2についても同様に,腰周り端となる辺である長辺2aと,一対のサイドシール部21が形成された一対の両側辺2bと,長辺2aと略平行に形成され吸収性本体3が固定される辺である短辺2cと,一対の両側辺2bと短辺2cを結ぶ一対の斜辺2dを有する形状となっている。この場合に,一対の両側辺2bの一端同士を長辺2aで結び,一対の両側辺2bの他端同士を仮想の線で結んだ場合に,画定される略矩形状の領域が,後身頃外装体2の第1の領域22となる。他方,一対の斜辺2dの一端同士を短辺2cで結び,一対の斜辺2dの他端同士を仮想の線で結んだ場合に,画定される略台形状の領域が,後身頃外装体2の第2の領域23となる。
ただし,
図2に示されるように,前身頃外装体1については,一対の斜辺1dの傾斜が,後身頃外装体2における一対の斜辺2dの傾斜よりも緩やかになっている。このため,前身頃外装体1と後身頃外装体2を接合した場合であっても,脚部周り開口部6は,前身頃外装体1側の方が比較的広く開けることとなり,着用者の脚部が動き易くなっている。
【0029】
(2−1−1.インナーシートとアウターシート)
前身頃外装体1と後身頃外装体2は,例えば,インナーシート14,24とアウターシート15,25を重ね合わせることにより構成されている。インナーシート14,24は,着用者の肌に接する面(肌当接面)側に配置され,アウターシート15,25は,着用者の肌に接しない面(肌非当接面)側に配置される。インナーシート14,24とアウターシート15,25は,別途形成されたシート材であってもよいし,例えば一枚のシート材を使い捨ておむつの腰周り開口部の端縁に相当する位置で折り返すことにより一体的に形成されたものであってもよい。インナーシート14,24とアウターシート15,25は,例えば,柔軟な繊維不織布やプラスチックシートや,それらのラミネートシートによって形成されている。インナーシート14,24とアウターシート15,25の間は,例えばホットメルト接着剤によって接着される。さらに,インナーシート14,24とアウターシート15,25の間には,使い捨ておむつの幅方向に沿って,複数のタミー伸縮部材16,26や,複数のウエスト伸縮部材17,27が,伸長状態で固定されている。
【0030】
(2−1−2.タミー伸縮部材とウエスト伸縮部材)
タミー伸縮部材16,26は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の幅方向にわたって伸長状態で配置されており,収縮することにより,使い捨ておむつの腰周りにタミーギャザーを形成するための部材である。
図2に示されるように,前身頃外装体1と後身頃外装体2には,使い捨ておむつの幅方向に沿って,複数のタミー伸縮部材16,26が配置されている。複数のタミー伸縮部材16,26は,前身頃外装体1と後身頃外装体2のうち,吸収性本体3が配置される腰周りの領域に配置される。また,複数のタミー伸縮部材16,26は,前身頃外装体1や後身頃外装体2を構成するインナーシート14,24とアウターシート15,25の間に伸長状態で固定されており,収縮することにより,前身頃外装体1と後身頃外装体2の腰周りの領域に,タミーギャザーを形成する。複数のタミー伸縮部材16,26の数は,例えば,10本〜30本,12本〜28本,15本〜25本であることが好ましい。また,複数のタミー伸縮部材16,26は,前身頃外装体1や後身頃外装体2の幅方向のほぼ全体にわたって,直線状に形成されていることが好ましく,複数のタミー伸縮部材16,26のそれぞれは,実質的に平行に配置されることが好ましい。
【0031】
図2に示されるように,使い捨ておむつを着用者の肌に接触する面(肌当接面)側から見ると,複数のタミー伸縮部材16,26の一部は,吸収性本体3と重畳して配置されている。また,複数のタミー伸縮部材16,26のうち,吸収性本体3の吸収体31と重畳するものは,前身頃外装体1と後身頃外装体2の幅方向中央部において,一部間欠的に形成されている。すなわち,複数のタミー伸縮部材16,26のうち,吸収性本体3の吸収体31と重畳するものは,前身頃外装体1と後身頃外装体2の幅方向両側部にのみ配置される。ここで,タミー伸縮部材16,26は,吸収性本体3の吸収体31と重畳する部分が完全に間欠するものではなく,タミー伸縮部材16,26は,部分的に,吸収性本体3の吸収体31と部分的に重畳するものであることが好ましい。
【0032】
ウエスト伸縮部材17,27は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の腹周り開口部5の端縁に沿って配置され,収縮することにより,使い捨ておむつの腹周り開口部5の近傍に,ウエストギャザーを形成するための部材である。複数のウエスト伸縮部材17,27は,インナーシート14,24とアウターシート15,25の間に伸長状態で固定されている。ウエスト伸縮部材17,27の数は,2本以上であればよく,例えば,2本〜15本,4本〜12本,又は6本〜9本であることとしても良い。複数のウエスト伸縮部材17,27は,
図2に示されるように,使い捨ておむつの長手方向に所定間隔で配置されている。また,複数のウエスト伸縮部材17,27は,略平行に並置されることが好ましい。
図2に示されるように,複数のウエスト伸縮部材17,27は,その伸長状態において,前身頃外装体1と後身頃外装体2の幅方向のほぼ全域に延びて配置されていることが好ましく,例えば,複数のウエスト伸縮部材17,27は,前身頃外装体1と後身頃外装体2の幅方向の長さに対して,80%〜99%,又は85%〜95程度の領域に伸長状態で配置されていることが好ましい。
【0033】
上記タミー伸縮部材16,26やウエスト伸縮部材17,27には,公知の弾性伸縮部材を用いることができる。例えば,これらの伸縮部材には,糸状弾性ゴムを適用することが好ましい。このようなゴム材としては,スチレン系ゴム,オレフィン系ゴム,ウレタン系ゴム,エステル系ゴム,ポリウレタン,ポリエチレン,ポリスチレン,スチレンブタジエン,シリコーン,又はポリエステル等の素材を用いることができる。なお,タミー伸縮部材16,26の形成材料は必ずしもこれらの材料に限定されるものではなく,例えば熱可塑性エラストマー,プラスチックシート,又はゴムシート等の伸縮性を有する公知の種々のものを用いることができる。
【0034】
(2−2.吸収性本体)
吸収性本体3は,前身頃外装体1と後身頃外装体2の間に架橋された状態で保持され,使い捨ておむつ100の着用時において,着用者の股下に位置し,着用者が排泄した尿などの液体を吸収保持するための部材である。
図2に示されるように,吸収性本体3は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に接合される両端の辺を一対の短辺とし,一対の短辺の両端同士を結ぶ辺を一対の長辺とした略矩形状で形成されている。
吸収性本体3は,吸収体31と,トップシート32と,バックシート33と,一対の立体ギャザー34と,カバーシート35と,複数の弾性伸縮部材4を基本構成とする。また,この弾性伸縮部材4は,外側ギャザー伸縮部材41と内側ギャザー伸縮部材42に分けられる。
図3は,
図2に示されたX−X線における使い捨ておむつ100の断面図を示している。以下,図面を参照して,吸収性本体3の各部の構成について説明する。
【0035】
(2−2−1.吸収体)
吸収体31は,尿などの液体を吸収し,吸収した液体を保持するための部材である。吸収体31は,液透過性のトップシート32と,液不透過性のバックシート33の間に配置される。吸収体31は,トップシート32を透過した液体を吸収する機能を有し,吸収性材料により構成される。吸収体31を構成する吸収性材料には,公知の材料を採用することができる。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートを用いることとしても良い。また,吸収性材料には,フラッフパルプ,高吸収性ポリマー,又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし,2種類以上を併用することとしてもよい。吸収性材料は,通常,単層又は複数層のマット状に形成され,用いられる。また,吸収体31は,トップシート32とバックシート33の間の領域に封入されることが好ましい。すなわち,
図3に示されるように,トップシート32とバックシート33は,吸収体31の周囲を囲うようして,互いに接合されることが好ましい。
【0036】
吸収体31の形状は,適宜,使い捨ておむつの形状や,大きさ,用途に合せて設計することができる。例えば,吸収体31の形状は,
図2に示されるように,砂時計型であることが好ましい。砂時計型とは,前身頃外装体1側と後身頃外装体2側において,吸収体31の両側縁が,幅方向外側に向かって延出した延出部を有することを意味する。砂時計型では,吸収体31の四隅に延出部が形成されることにより,吸収体31の長手方向中央部に,吸収体31の内方に向かって湾曲又は屈折したくびれ部が形成される。また,吸収体31は,一般的な使い捨ておむつに使用されている,矩形型,楕円形型,又はひょうたん型とすることとしてもよい。
【0037】
(2−2−2.トップシート)
トップシート32は,着用者の股下部の肌に直接接し,尿などの液体を吸収体31に透過させるための部材である。このため,トップシート32は,柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また,トップシート32は,吸収体31の表面を被覆するように配置される。トップシート32を構成する不透過性材料の例は,織布,不織布,又は多孔性フィルムである。また,例えばポリプロピレンやポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
【0038】
(2−2−3.バックシート)
バックシート33は,トップシート32を透過し吸収体31に吸収された液体が,漏出することを防止するための部材である。このため,バックシート33は,液不透過性材料によって構成される。そして,バックシート33は,吸収体31の底面からの液漏れを防止するため,吸収体31の底面を被覆するように配置される。バックシート33を構成する不透過材料の例は,ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に,0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。また,
図3に示されるように,バックシート33には吸収体31が載置され,載置された吸収体31の上面がトップシート32によって被覆され,吸収体31を被覆したトップシート32が,吸収体31の両側縁に沿って,バックシート33に接着されている。トップシート32とバックシート33は,例えば,ホットメルト接着剤やその他流動性のある接着剤を用いた接着方法により接着されてもよいし,ヒートシールのような熱溶着や超音波溶着により接着されていてもよい。
【0039】
(2−2−4.立体ギャザー)
一対の立体ギャザー34は,吸収性本体3の両側縁部に沿って起立し,着用者が排泄した尿の横漏れを防止するための部材である。一対の立体ギャザー34は,吸収性本体3の両側縁部に沿って一対形成されるものであってもよいし,2対以上形成されてもよい。立体ギャザー34は,起立した状態(弾性伸縮部材が収縮した状態)において尿の防漏壁となるため,トップシート32を透過しなかった尿や,吸収体31により吸収しきれなった尿が,使い捨ておむつの脚部周り開口部などから漏出する事態を防止できる。
【0040】
立体ギャザー34は,吸収体31の両側縁に沿っては配置されたサイドシート34aによって形成される。
図3にされるように,サイドシート34aは,使い捨ておむつの長手方向に沿って,トップシート32上に固定される。また,サイドシート34aは,トップシート32及びバックシート33の両側縁を挟みこむようにして,トップシート32の上面及びバックシート33の底面に固定されている。
【0041】
立体ギャザー34は,複数の弾性伸縮部材4が,使い捨ておむつの長手方向に沿って配設されており,複数の弾性伸縮部材4の収縮力を利用して起立するものである。つまり,弾性伸縮部材4は,伸張された状態で,サイドシート34aに固定されている。このため,弾性伸縮部材4が収縮すると,立体ギャザー34を構成するサイドシート34aも収縮し,立体ギャザー34が立ち上がる。弾性伸縮部材4を配設する位置は,立体ギャザーの形態や,使い捨ておむつの形状や大きさに合せて適宜変更可能である。
【0042】
また,
図2に示されるように,複数の弾性伸縮部材4は,吸収性本体3の長さ方向全体に亘って配設されるものではなく,吸収性本体3の長さ方向の股下域3aを中心に配設される。すなわち,サイドシート34aは,吸収性本体3の長さ方向の両端の領域において,立体ギャザー伸縮部材52が配設されていない領域を有している。なお,吸収性本体3の股下域3aとは,吸収性本体3が,前身頃外装体1と後身頃外装体2のいずれにも固定されていない領域を意味する。
ただし,少なくとも,複数の弾性伸縮部材4は,吸収性本体3の股下域3aを中心として,前身頃外装体1と後身頃外装体2に重畳する長さで形成される。すなわち,吸収性本体3の長手方向において,複数の弾性伸縮部材4が配置される長さは,吸収性本体3の股下域3aの長さよりも長くなる。例えば,吸収性本体3の股下域3aの長さに対して,複数の弾性伸縮部材4の長さは,110%〜200%,120%〜180%,又は130%〜170%で形成される。
【0043】
また,
図3に示されるように,立体ギャザー34のそれぞれは,外側ギャザー部341と内側ギャザー部342の2対のギャザー部で形成されるものであることが好ましい。また,外側ギャザー部341と内側ギャザー部342は,一枚のシート材(サイドシート34a)から構成されるものであってもよい。すなわち,
図3に示されるように,吸収体31の長手方向に沿って,バックシート33の裏面(肌非当接面)に一部固定されたサイドシート34aを,トップシート32とバックシート33の接合位置よりも幅方向外側において,吸収性本体3の内方に向かって折り返して,外側折返部341aを形成する。そして,サイドシート34aの外側折返部341aには,使い捨ておむつの長手方向に沿って,複数の外側ギャザー伸縮部材41が配置される。これにより,サイドシート34aは,外側折返部341aにおいて,外側ギャザー伸縮部材41の収縮力を利用して起立し,外側ギャザー部341を形成する。
また,外側折返部341aにおいて折り返されたサイドシート34aの一部は,トップシート32とバックシート33を挟み込むように,トップシート32の表面(肌当接面)上に固定される。さらに,サイドシート34aは,トップシート32との固定線より幅方向内側にも延在しており,この延在している部分が,吸収体31の幅方向内方又は幅方向外方に向かって折り返され,内側折返部342aを形成する。そして,サイドシート34aの内側折返部342aには,使い捨ておむつの長手方向に沿って,複数の内側ギャザー伸縮部材42が配置される。
これにより,立体ギャザー34には,外側ギャザー部341と内側ギャザー部342が形成される。
【0044】
立体ギャザー34を構成するサイドシート34aとしては,撥水性を有する材料を用いることが好ましい。撥水性の材料の例としては,撥水性が高くかつ通気性が良いという観点から,スパンボンドやカードエンボスのような不織布を用いることが好ましい。特に,耐水圧が高いという理由から,SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)や,SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)のような目の詰まった不織布を用いることが好ましい。
【0045】
(2−2−5.カバーシート)
カバーシート35は,バックシート33を補強し,かつ,その手触りを良くするための部材である。
図3に示されるように,カバーシート35は,バックシート33の衣類と対抗する側に貼り合わせられる。カバーシート35は,サイドシート34aの一部に重畳して貼り合わせられるものであってもよい。カバーシート35を構成する材料としては,織布や不織布が用いられる。特に,カバーシート35を構成する材料として,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
【0046】
(3.前身頃外装体及び後身頃外装体に対する吸収性本体の接合態様について)
続いて,
図4及び
図5を参照して,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対する吸収性本体3の接合態様について説明する。
図4は,基本的に
図2に示された平面図と同様のものであるが,吸収性本体3が前身頃外装体1及び後身頃外装体2に接合される部分を,斜線で示している。
また,
図5は,
図4に示した使い捨ておむつの断面図を示している。
図5(a)は,
図4に示されたX1−X1線における断面図であり,
図5(b)は,X2−X2線における断面図であり,
図5(c)は,X3−X3線における断面図である。なお,
図5は,基本的に,吸収性本体3と前身頃外装体1の接合部分の断面図を示しているが,これらの断面図は,対応する吸収性本体3と後身頃外装体2の接合部分の断面図と同様である。このため,吸収性本体3と後身頃外装体2の接合部分の断面図は省略する。
【0047】
図4に示された実施形態において,吸収性本体3が前身頃外装体1及び後身頃外装体2に重なる領域は,吸収性本体3の長手方向に,両端領域51と,伸縮領域52と,中間領域53に区分される。
【0048】
(3−1.両端領域)
両端領域51は,吸収性本体3の長さ方向の両端部分に形成される領域である。すなわち,両端領域51は,吸収性本体3と前身頃外装体1が接合する領域の端部と,吸収性本体3と後身頃外装体2が接合する領域の端部に形成される。両端領域51は,吸収性本体3の長さ方向の端縁から,所定長さ,吸収性本体3の股下域3aが存在する方向に延びて形成されている。例えば,両端領域51は,吸収性本体3の長さ方向の端縁から,5mm〜50mm,10mm〜45mm,又は15mm〜40mm程度の範囲で,吸収性本体3の股下域3aに向かって形成されることが好ましい。また,例えば,両端領域51は,吸収性本体3が前身頃外装体1に接合された領域と,吸収性本体3が後身頃外装体2に接合された領域のそれぞれにおいて,5%〜30%,又は10%〜20%の割合の面積で形成されていることが好ましい。
【0049】
図4に示されるように,吸収性本体3は,その幅方向の左右両側部に複数の弾性伸縮部材4を有している。この複数の弾性伸縮部材4は,吸収性本体3の股下域3aを中心として配置され,吸収性本体3の両端領域51に達しない長さとなっている。このため,吸収性本体の両端領域51には,弾性伸縮部材4が介在しない。
【0050】
そして,
図4に示されるように,吸収性本体3は,両端領域51において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2と,全域に亘って接合されている。両端領域51における具体的な接合状態は,
図5(a)に示されている。
図5(a)は,吸収性本体3の両端領域51の断面図を示している。
図5(a)に示されるように,吸収性本体3は,その幅方向の全域に亘って第1の接合部61が形成されており,この第1の接合部61において,前身頃外装体1と接合されている。このように,吸収性本体3は,両端領域51において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2と,離間する部分なく接合されていることが好ましい。
【0051】
また,
図4に示されるように,両端領域51は,吸収性本体3の吸収体31の長さ方向の両端部分に重なって形成されていることが特に好ましい。すなわち,両端領域51は,吸収性本体3の長さ方向端縁から,吸収性本体3の股下域に向かって,吸収体31の端部が存在する位置まで延びて形成されていることが好ましい。このように,両端領域51に,吸収性本体3の吸収体31を位置させることにより,例えば,着用者がおむつを装着している状態において,吸収性本体3の吸収体31に位置ズレやヨレが生じることを防止できる。
【0052】
(3−2.伸縮領域)
続いて,吸収性本体3が前身頃外装体1及び後身頃外装体2に重なる領域には,伸縮領域52が存在する。伸縮領域52は,吸収性本体3の左右両側部に配置された複数の弾性伸縮部材4が,前身頃外装体1と後身頃外装体2に重なる箇所から,吸収性本体3の幅方向に亘って形成された領域である。伸縮領域52は,吸収性本体3に形成される各領域のうち,最も股下域3aに近接した位置に形成される。すなわち,伸縮領域52は,吸収性本体3を,前身頃外装体1と後身頃外装体2の股下域3a側の端部に接合する領域である。
【0053】
例えば,伸縮領域52は,前身頃外装体1と後身頃外装体2の股下域3a側の端縁から,10mm〜100mm,20mm〜90mm,又は30mm〜80mm程度の範囲で,吸収性本体3の長手方向に形成されることが好ましい。また,例えば,伸縮領域52は,吸収性本体3が前身頃外装体1に接合された領域と,吸収性本体3が後身頃外装体2に接合された領域のそれぞれにおいて,20%〜60%,又は30%〜50%の割合の面積を占めることが好ましい。特に,伸縮領域52は,前身頃外装体1と後身頃外装体2の第2の領域13,23を含む領域に位置するものであることが好ましい。また,伸縮領域52は,吸収性本体3が前身頃外装体1される領域と,吸収性本体3が前身頃外装体1される領域とにおいて,占有面積率が異なるものであってもよい。
【0054】
伸縮領域52は,さらに,吸収性本体3の幅方向の左右外側に位置する外側領域52aと,外側領域52aの内側に位置する内側領域52bに区分される。左右一対の外側領域52aは,吸収性本体3の左右両側部に配置された複数の弾性伸縮部材4のうち,少なくとも,吸収性本体3の幅方向の最も外側に位置する外側弾性伸縮部材4aが配置された領域である。ただし,外側領域52aには,外側弾性伸縮部材4aの他,一又は複数の弾性伸縮部材4が配置されていてもよい。例えば,
図4に示した例において,外側領域52aには,外側弾性伸縮部材4aの他に,一本の弾性伸縮部材4が配置されている。
【0055】
また,伸縮領域52のうち,左右一対の外側領域52aの間の領域には,内側領域52bが形成される。伸縮領域52において,内側領域52bが占める面積の割合は,一対の外側領域52aが占める面積の割合よりも大きいものであることが好ましい。例えば,内側領域52bが占める面積の割合は,70〜95%,85%〜90%,又は80%〜85%であることが好ましい。
【0056】
そして,
図4に示されるように,吸収性本体3は,伸縮領域52において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対し,左右一対の外側領域52aでは離間し,その間の内側領域52bでは全面的に接合されている。伸縮領域52における具体的な接合状態は,
図5(b)に示されている。
図5(b)は,吸収性本体3の伸縮領域52の断面図を示している。
図5(b)に示されるように,吸収性本体3は,内側領域52bの全域に亘って,第2の接合部62が形成されており,この第2の接合部62において,前身頃外装体1と接合されている。他方,吸収性本体3は,内側領域52bの幅方向外側に位置する一対の外側領域52aに接合部を有しておらず,前身頃外装体1から離間している。すなわち,一対の外側領域52aには,少なくとも,吸収性本体3の幅方向の最も外側に位置する外側弾性伸縮部材4aが含まれており,外側弾性伸縮部材4aは,前身頃外装体1には固定されないようになっている。このように,吸収性本体3は,伸縮領域52においては,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対し,一対の外側領域52aで離間し,その間に位置する内側領域52bで接合されていることが好ましい。
【0057】
また,
図4に示されるように,伸縮領域52における内側領域52bの幅は,吸収性本体3の吸収体31の幅よりも大きいものであることが好ましい。すなわち,伸縮領域52における内側領域52bは,吸収性本体3の吸収体31よりも幅方向外側に広がって形成されたものであることが好ましい。このように,伸縮領域52における内側領域52bを,吸収性本体3の吸収体31よりも幅広に形成することにより,例えば,着用者がおむつを装着している状態において,吸収性本体3の吸収体31に位置ズレやヨレが生じることを防止できる。
【0058】
また,
図5(b)に示されるように,吸収性本体3に,外側ギャザー部341と内側ギャザー部342が形成された形態において,伸縮領域52における内側領域52bには,少なくとも,外側ギャザー部341を形成する複数の外側ギャザー伸縮部材41うちの一本以上が位置していることが好ましい。すなわち,複数の外側ギャザー伸縮部材41うち,吸収性本体3の幅方向において,最も外側に位置する外側ギャザー伸縮部材41(外側弾性伸縮部材4a)は,伸縮領域52の外側領域52aに位置し,他方,最も内側に位置する外側ギャザー伸縮部材41は,伸縮領域52の内側領域52bに位置するものであることが好ましい。これにより,最も外側に位置する外側ギャザー伸縮部材41(外側弾性伸縮部材4a)は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に接合されず,離間する。他方,最も内側に位置する外側ギャザー伸縮部材41は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に接合される。このように,複数の外側ギャザー伸縮部材41が,前身頃外装体1及び後身頃外装体2から離間するものと,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に接合されるものを有することにより,外側ギャザー伸縮部材41の機能を損なうことなく,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対して吸収性本体3を安定的に接合することができるようになる。
【0059】
(3−3.中間領域)
さらに,吸収性本体3が前身頃外装体1及び後身頃外装体2に重なる領域には,中間領域53が存在することが好ましい。中間領域53は,吸収性本体3の長さ方向において,両端領域51と伸縮領域52の間に位置する領域である。中間領域53には,両端領域51と同様に,吸収性本体3の両側部に配置された複数の弾性伸縮部材4が位置しないものであってもよいし,伸縮領域52に位置する弾性伸縮部材4の一部が延在するものであってもよい。なお,中間領域53は,両端領域51と伸縮領域52の間を繋ぐものであり,必須の要素ではない。
【0060】
例えば,中間領域53は,吸収性本体3が前身頃外装体1に接合された領域と,吸収性本体3が後身頃外装体2に接合された領域のそれぞれにおいて,10%〜75%,又は30%〜60%の割合の面積を占めることが好ましい。中間領域53の面積率は,両端領域51と伸縮領域52の面積率に応じて適宜変更可能である。また,中間領域53は,吸収性本体3が前身頃外装体1される領域と,吸収性本体3が後身頃外装体2に接合される領域とにおいて,占有面積率が異なるものであってもよい。
【0061】
中間領域53は,さらに,吸収性本体3の幅方向の中央に位置する接合領域53aと,接合領域53aの幅方向外側に位置する非接合領域53bに区分される。吸収性本体3の幅方向において,中間領域53の接合領域53aの幅は,両端領域51の幅よりも狭く,かつ,伸縮領域52の内側領域52bの幅よりも広く形成されている。例えば,中間領域53の接合領域53aの幅は,両端領域51の幅に対して,70%〜95%,75%〜90%,又は80%〜85%であることが好ましい。また,例えば,中間領域53の接合領域53aの幅は,伸縮領域52の内側領域52bの幅に対して,105%〜150%,110%〜130%,又は115%〜120%であることが好ましい。また,
図4に示された例において,中間領域53の接合領域53aの幅は,一定である。ただし,中間領域53の接合領域53aの幅は,両端領域51から伸縮領域52に向かって段階的に狭くなるものであってもよいし,無段階的に徐々に狭くなるものであってもよい。
【0062】
中間領域53において,接合領域53aが占める面積の割合は,一対の非接合領域53bが占める割合よりも大きいものであることが好ましい。例えば,非接合領域53bが占める割合は,70〜95%,85%〜90%,又は80%〜85%であることが好ましい。なお,中間領域53の非接合領域53bの幅は,接合領域53aの幅に応じて適宜変化させればよい
【0063】
そして,
図4に示されるように,吸収性本体3は,中間領域53において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対し,接合領域53aでは全面的に接合されて,その外側に位置する非接合領域53bでは離間している。具体的な接合状態は,
図5(c)に示されている。
図5(c)は,吸収性本体3の中間領域の断面図を示している。
図5(c)に示されるように,吸収性本体3は,接合領域53aの全域に亘って,第3の接合部63が形成されており,この第3の接合部63において,前身頃外装体1と接合されている。他方,吸収性本体3は,接合領域53aの幅方向外側に位置する一対の非接合領域53bに接合部を有しておらず,前身頃外装体1から離間している。
【0064】
また,
図4に示されるように,中間領域53における接合領域53aの幅は,吸収性本体3の吸収体31の幅よりも大きいものであることが好ましい。すなわち,中間領域53における接合領域53aは,吸収性本体3の吸収体31よりも幅方向外側に広がって形成されたものであることが好ましい。このように,接合領域53aを,吸収性本体3の吸収体31よりも幅広に形成することにより,例えば,着用者がおむつを装着している状態において,吸収性本体3の吸収体31に位置ズレやヨレが生じることを防止できる。
【0065】
本発明では,両端領域51の接合幅と,伸縮領域52における内側領域52bの接合幅に差が生じることとなるため,この接合幅の差が大きいと,例えば,着用者がおむつを着用しながら運動した場合など,吸収性本体3に負荷が掛かったような場合に,吸収性本体3の両端領域51の接合が剥離し易くなる。そこで,両端領域51と伸縮領域52の間に中間領域53を設けて,各領域における接合幅の差を小さくすることにより,吸収性本体3全体の接合強度を向上させることが可能になり,固定状態の安定化を図ることができる。
また,両端領域51と伸縮領域52の間に中間領域53を設けて,各領域における接合幅の差を小さくすることにより,外装体に不要なシワが入らず,見映えや手触り感が良好になる。
【0066】
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら発明の実施形態の説明を行った。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
例えば,吸収性本体3の伸縮領域52における外側領域52aには,吸収性本体3の左右両側部に配置された複数の弾性伸縮部材4のすべてが含まれ,弾性伸縮部材4のすべてが,前身頃外装体1及び後身頃外装体2から離間したものであってもよい。
また,例えば,吸収性本体3は,両端領域51と伸縮領域52の間に,中間領域53が複数形成されたものであってもよい。