特許第6391215号(P6391215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391215
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】温度ベースの切除完了アルゴリズム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-106946(P2013-106946)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2013-240600(P2013-240600A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2016年5月19日
(31)【優先権主張番号】13/477,307
(32)【優先日】2012年5月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー エム. ラドコー
【審査官】 後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0183165(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/042443(WO,A1)
【文献】 特表2004−523272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12−18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織に対する切除手順の完了を決定するためのシステムであって、該システムは、
電気外科用エネルギー供給源と、
該電気外科用供給源に接続されている電極プローブアセンブリであって、該電極プローブアセンブリは、電気外科用エネルギーを該標的組織に送達するように構成されている針を有する電極アセンブリを含む、電極プローブアセンブリと、
該電気外科用供給源に接続されている熱的フィードバックアセンブリであって、該熱的フィードバックアセンブリは、少なくとも1つの温度センサーアセンブリを含む、熱的フィードバックアセンブリと、
コンピューターと
を含み、
該コンピューターは、(1)該標的組織に送達されるエネルギーの時間を測定することと、(2)該熱的フィードバックアセンブリから温度測定値を受け取ることと、(3)該温度測定値と、該電極プローブアセンブリと各温度センサーアセンブリとの間の距離とに基づいて切除体積のサイズを推定することと、(4)該切除体積の推定されたサイズに基づいて該切除体積の成長速度を計算することとを行うように構成されており、
該コンピューターは、該成長速度が閾値以下である場合に、該切除手順の完了を決定するようにさらに構成されている、システム。
【請求項2】
前記電極プローブアセンブリおよび前記熱的フィードバックアセンブリを選択的に支えるように構成されているハブをさらに含み、該電極プローブアセンブリの前記針と各温度センサーアセンブリとは、既知の距離を離して位置決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記熱的フィードバックアセンブリは、複数の温度センサーを含み、前記コンピューターは、各センサーにおける温度と、前記電極プローブアセンブリからの各温度センサーの距離とに基づいて切除のサイズを推定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピューターは、成長速度の閾値に達したかどうかを示す温度および前記電極アセンブリからの距離を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
標的組織に対する切除手順の完了を決定するためのシステムであって、該システムは、
患者の該標的組織の最も近くに挿入されるように構成されている電極プローブアセンブリおよび熱的フィードバックアセンブリの温度センサーと、
電気外科用エネルギーを該標的組織に供給するように構成されている該電極プローブと、
該標的組織への電気外科用エネルギー送達の時間を測定する手段と、
該電極プローブアセンブリからの既知の距離において温度を測定する手段と、
測定された温度と、該電極プローブアセンブリからの既知の距離とに基づいて、切除体積のサイズを推定する手段と、
該切除体積の推定されたサイズに基づいて、該切除体積の成長速度を計算する手段と
を含む、システム。
【請求項6】
前記成長速度が閾値以下である場合に、前記切除手順の完了を決定する手段をさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記成長速度の閾値に達したことを示す温度および前記電極アセンブリからの距離を決定する手段をさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
1つ以上の計算方法を電気外科用発電機内に格納する手段をさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記切除体積のサイズは、各熱的フィードバックアセンブリから受け取った情報に基づいて、アレニウスモデル計算を用いて推定される、請求項5に記載のシステム。
【請求項10】
前記電極プローブアセンブリの特性および処置されるべき前記標的組織の特性に基づいて、該電極プローブアセンブリに送達されるべき特性エネルギー値を選択する手段をさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記電極プローブアセンブリおよび前記熱的フィードバックアセンブリを保持するためのハブをさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項12】
前記電極プローブアセンブリおよび複数の熱的フィードバックアセンブリを保持するためのハブをさらに含み、各熱的フィードバックアセンブリは、該電極プローブアセンブリから既知の距離に保持されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項13】
複数の測定された温度および前記電極からの既知の距離に基づいて、前記切除体積のサイズを推定する手段をさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
標的組織に対する切除手順の完了を決定するためのシステムであって、該システムは、
標的組織への電気外科用エネルギー送達の時間を測定する手段と、
電極プローブアセンブリからの既知の距離において温度を測定する手段と、
測定された温度と、該電極プローブアセンブリからの既知の距離とに基づいて、切除体積のサイズを推定する手段と、
該切除体積の推定されたサイズに基づいて、該切除体積の成長速度を計算する手段と
を含む、システム。
【請求項15】
前記電極プローブアセンブリからの1つより多くの既知の距離において1つより多くの温度を測定する手段であって、該1つより多くの温度を測定する手段は、前記温度を測定する手段とは別である、手段と、
測定され1つより多くの温度補間する手段と、
閾値に達した場合の前記標的組織の温度および該電極プローブアセンブリからの該標的組織の距離を決定する手段と
をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記測定された1つより多くの温度は、対数減衰計算を用いて補間される、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2011年3月17日に出願された、発明の名称「Energy−Based Ablation Completion Algorithm」の米国出願第13/050,729号の一部継続出願であり、それは、これにより参考として援用される。
【0002】
背景
技術分野
本開示は、エネルギー送達フィードバックシステムに関し、より具体的には、温度を用いて切除の完了を決定するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術分野の背景
身体における組織の切除のための、または痛みの処置のための、電気エネルギー(無線周波エネルギーおよびマイクロ波エネルギー(「RFエネルギーおよびMWエネルギー」)が挙げられる)、および特に無線周波電極またはマイクロ波アンテナ(「RF−電極/MW−アンテナ」)の使用が知られている。一般に、そのようなRF電極(例えば、プローブおよび抵抗性発熱体など)は、処置されるべきまたは切除されるべき標的組織まで身体内に挿入するための細長い円筒形の構成を含む。上記RF電極は、露出した伝導性先端部分および絶縁部分をさらに含み得る。上記RF電極(例えば、Rittman,IIIらに対して2003年1月14日に発行された、発明の名称「COOL−TIP ELECTRODE THERMOSURGERY SYSTEM」の特許文献1、およびCosmanらに対して2003年3月11日に発行された、発明の名称「CLUSTER ABLATION ELECTRODE SYSTEM」の特許文献2に示され、記載されるRF電極(上記特許の内容全体は、本明細書中で参考として援用される))はまた、内部冷却(例えば、Cool−tipTMなど)の方法を含み得る。従って、上記RF電極が外部の無線周波電源、例えば、電気外科用発電機(治療エネルギー(例えば、無線周波(RF)、マイクロ波(MW)、または超音波(US))を生み出すために使用されるデバイス)に接続され、電流がRF電極に送達される場合、組織の加熱は、その露出した伝導性先端部分の近くおよびまわりで起こり、それにより、標的組織における治療変化が上記伝導性先端近くで組織の温度の上昇によって作り出される。
【0004】
いくつかの適用、例えば、腫瘍切除手順において、切除体積を大きくするために複数の電極が身体内に整列して挿入される。
【0005】
特定の適用において、並んだ高周波電極が腫瘍に挿入される。上記電極は代表的に、均一な熱で腫瘍体積を覆うために、腫瘍体積中に分散された様式で置かれる。上記複数の電極は、各電極が周囲組織を加熱するように、高周波エネルギーで同時に作動され得るかまたは連続して高周波エネルギーが適用され得る。連続作動中、エネルギーは、1度につき1つの各電極に適用される。上記電極を介したエネルギーのこの一連のサイクルは、所定の頻度で、ある期間の間続く。
【0006】
上で言及した電極システムは、上記システムが生み出す病変体積の実用的なサイズによって制限される。状況に応じて、冷却された伝導性先端を有する電極が提案されている。しかし、より多くのフィードバックを使用中に提供する改善された切除システムおよび方法の必要性は依然として存在する。特に、改善されたシステムおよび方法は、いつ切除が完了したかを外科医に知らせるために必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,506,189号明細書
【特許文献2】米国特許第6,530,922号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
図面において、および以下の記載において、用語「近位」は、慣例の通り、操作者に最も近い、システムの末端またはその構成要素を指し、用語「遠位」は、操作者からより離れた、システムの末端またはその構成要素を指す。
【0009】
本開示は、温度を用いて切除の完了を決定するためのシステムおよび方法に関する。
【0010】
本開示の局面に従って、切除手順の完了を決定するためのシステムおよび方法が提供される。電気外科用発電機は、電気外科用エネルギー供給源を電極プローブアセンブリに提供する。上記発電機は、少なくとも1つの温度センサーアセンブリを含む熱的(thermal)フィードバックアセンブリに接続される。上記発電機は、コンピューターを含み、上記コンピューターは、(1)標的組織に送達されるエネルギーの時間を測定することと、(2)上記熱的フィードバックアセンブリから温度度数を受け取ることと、(3)上記温度度数、上記電極プローブアセンブリと各温度センサーアセンブリとの間の距離、および測定された時間に基づいて切除体積のサイズを推定することと、(4)推定されたサイズに基づいて切除体積の成長速度を計算することとを行うように構成されている。上記コンピューターはまた、成長速度が閾値以下である場合に、切除手順の完了を決定し得る。
【0011】
本開示の別の局面に従って、標的組織において切除手順の完了を決定するためのシステムは、電気外科用エネルギー供給源と、上記電気外科用供給源に接続されている電極プローブアセンブリとを含む。上記電極プローブアセンブリは、電気外科用エネルギーを標的組織に送達するように構成されている針を有する電極アセンブリを含む。上記システムは、電気外科用供給源に接続されている熱的フィードバックアセンブリをさらに含み、上記熱的フィードバックアセンブリは、少なくとも1つの温度センサーアセンブリを含む。上記システムはまた、コンピューターを含み、上記コンピューターは、(1)標的組織に送達されるエネルギーの時間を測定することと、(2)上記熱的フィードバックアセンブリから温度度数を受け取ることと、(3)上記温度度数、上記電極プローブアセンブリと各温度センサーアセンブリとの間の距離、および測定された時間に基づいて切除体積のサイズを推定することと、(4)推定されたサイズに基づいて切除体積の成長速度を計算することとを行うように構成されている。
【0012】
本開示のさらなる局面に従って、上記システムは、上記電極プローブアセンブリおよび上記熱的フィードバックアセンブリを選択的に支えるように構成されているハブをさらに含み得、上記電極プローブアセンブリの針と各温度センサーアセンブリとは、既知の距離を離して位置決めされている。
【0013】
本開示の別の局面に従って、上記熱的フィードバックアセンブリは、複数の温度センサーを含み得、上記コンピューターは、各センサーにおける温度と、上記電極プローブアセンブリからの各温度センサーの距離とに基づいて切除のサイズを推定し得る。
【0014】
本開示のさらなる局面に従って、上記コンピューターは、成長速度が閾値以下である場合に、切除手順の完了を決定するようにさらに構成され得る。
【0015】
本開示の別の局面に従って、上記コンピューターは、境界条件と単一の測定された温度とに基づいて、1つ以上の温度を補間するように構成され得る。上記コンピューターはまた、成長速度の閾値に達したかどうかを示す温度および電極アセンブリからの距離を決定し得る。
【0016】
本開示の別の局面に従って、標的組織における切除手順の完了を決定するための方法は、電極プローブアセンブリと熱的フィードバックアセンブリの温度センサーとを患者の標的組織の最も近くに挿入するステップを含む。上記方法は、上記電極プローブを介して電気外科用エネルギーを上記標的組織に供給するステップをさらに含む。また、上記方法は、上記標的組織への電気外科用エネルギー送達の時間を測定するステップと、上記電極プローブアセンブリからの既知の距離において温度を測定するステップとを含む。さらに、上記方法は、測定された温度、上記電極プローブアセンブリからの既知の距離、およびエネルギー送達の測定された時間に基づいて、切除体積の温度を推定するステップと、推定されたサイズに基づいて、切除体積の成長速度を計算するステップとを含む。
【0017】
上記方法は、成長速度が閾値以下である場合に、切除手順の完了を決定するステップをさらに含み得る。
【0018】
あるいは、または加えて、上記方法は、境界条件と単一の測定された温度とに基づいて、1つ以上の温度を補間するステップをさらに含み得る。
【0019】
あるいは、または加えて、上記方法は、成長速度の閾値に達したことを示す温度および上記電極アセンブリからの距離を決定するステップをさらに含み得る。
【0020】
あるいは、または加えて、上記方法は、1つ以上の計算方法を電気外科用発電機内に格納するステップを含み得る。
【0021】
あるいは、または加えて、切除体積のサイズは、各熱的フィードバックアセンブリから受け取った情報に基づいて、アレニウスモデル計算を用いて推定され得る。
【0022】
あるいは、または加えて、上記方法は、上記電極プローブアセンブリの特性および処置されるべき上記標的組織の特性に基づいて上記電極プローブアセンブリに送達されるべき特性エネルギー値を選択するステップを含み得る。
【0023】
あるいは、または加えて、上記方法は、上記電極プローブアセンブリおよび上記熱的フィードバックアセンブリを保持するためのハブを提供するステップを含み得る。あるいは、上記ハブは、上記電極プローブアセンブリおよび複数の熱的フィードバックアセンブリを保持するように構成され得、各熱的フィードバックアセンブリは、上記電極プローブアセンブリから既知の距離に保持されている。
【0024】
あるいは、または加えて、上記方法は、複数の測定された温度と上記電極からの既知の距離とに基づいて切除体積のサイズを推定するステップを含み得る。
【0025】
本開示の別の局面に従って、標的組織における切除手順の完了を決定するための方法は、標的組織への電気外科用エネルギー送達の時間を測定するステップと、電極プローブアセンブリからの既知の距離において温度を測定するステップとを含む。上記方法は、測定された温度、上記電極プローブアセンブリからの既知の距離、およびエネルギー送達の測定された時間に基づいて、切除体積の温度を推定するステップと、推定されたサイズに基づいて、切除体積の成長速度を計算するステップとをさらに含む。
【0026】
上記方法は、境界条件に基づいて、1つ以上の温度および上記電極プローブアセンブリからの距離を補間するステップと、閾値に達した場合の温度および上記電極プローブアセンブリからの距離を決定するステップとをさらに含み得る。上記1つ以上の温度は、対数減衰(decay)計算を用いて補間され得る。
【0027】
あるいは、または加えて、上記方法は、1つより多くの温度を測定するステップと、1つ以上の温度および測定された上記1つより多くの温度に基づいて上記電極プローブアセンブリからの距離を補間するステップと、閾値に達した場合の温度および上記電極プローブアセンブリからの距離を決定するステップとを含み得る。
【0028】
これら、ならびに本開示の他の局面および利点は、例として本開示の特徴を例示する以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになる。
【0029】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
標的組織における切除手順の完了を決定するためのシステムであって、該システムは、
電気外科用エネルギー供給源と、
該電気外科用供給源に接続されている電極プローブアセンブリであって、該電極プローブアセンブリは、電気外科用エネルギーを該標的組織に送達するように構成されている針を有する電極アセンブリを含む、電極プローブアセンブリと、
該電気外科用供給源に接続されている熱的フィードバックアセンブリであって、該熱的フィードバックアセンブリは、少なくとも1つの温度センサーアセンブリを含む、熱的フィードバックアセンブリと、
コンピューターとを含み、該コンピューターは、(1)該標的組織に送達されるエネルギーの時間を測定することと、(2)該熱的フィードバックアセンブリから温度度数を受け取ることと、(3)該温度度数、該電極プローブアセンブリと各温度センサーアセンブリとの間の距離、および測定された時間に基づいて切除体積のサイズを推定することと、(4)推定されたサイズに基づいて切除体積の成長速度を計算することとを行うように構成されている、
システム。
(項目2)
上記電極プローブアセンブリおよび上記熱的フィードバックアセンブリを選択的に支えるように構成されているハブをさらに含み、該電極プローブアセンブリの上記針と各温度センサーアセンブリとは、既知の距離を離して位置決めされている、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
上記熱的フィードバックアセンブリは、複数の温度センサーを含み、上記コンピューターは、各センサーにおける温度と、上記電極プローブアセンブリからの各温度センサーの距離とに基づいて切除のサイズを推定する、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目4)
上記コンピューターは、上記成長速度が閾値以下である場合に、上記切除手順の完了を決定するようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目5)
上記コンピューターは、境界条件と単一の測定された温度とに基づいて、1つ以上の温度を補間する、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目6)
上記コンピューターは、成長速度の閾値に達したかどうかを示す温度および上記電極アセンブリからの距離を決定する、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目7)
標的組織における切除手順の完了を決定するための方法であって、該方法は、
電極プローブアセンブリと熱的フィードバックアセンブリの温度センサーとを患者の該標的組織の最も近くに挿入することと、
該電極プローブを介して電気外科用エネルギーを該標的組織に供給することと、
該標的組織への電気外科用エネルギー送達の時間を測定することと、
該電極プローブアセンブリからの既知の距離において温度を測定することと、
測定された温度、該電極プローブアセンブリからの既知の距離、およびエネルギー送達の測定された時間に基づいて、切除体積の温度を推定することと、
推定されたサイズに基づいて、該切除体積の成長速度を計算することと
を含む、
方法。
(項目8)
上記成長速度が閾値以下である場合に、上記切除手順の完了を決定することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
境界条件と単一の測定された温度に基づいて、1つ以上の温度を補間することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
上記成長速度の閾値に達したことを示す温度および上記電極アセンブリからの距離を決定することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
1つ以上の計算方法を電気外科用発電機内に格納することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
上記切除体積のサイズは、各熱的フィードバックアセンブリから受け取った情報に基づいて、アレニウスモデル計算を用いて推定される、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
上記電極プローブアセンブリの特性および処置されるべき上記標的組織の特性に基づいて、該電極プローブアセンブリに送達されるべき特性エネルギー値を選択することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
上記電極プローブアセンブリおよび上記熱的フィードバックアセンブリを保持するためのハブを提供することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
上記電極プローブアセンブリおよび複数の熱的フィードバックアセンブリを保持するためのハブを提供することをさらに含み、各熱的フィードバックアセンブリは、該電極プローブアセンブリから既知の距離に保持されている、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
複数の測定された温度および上記電極からの既知の距離に基づいて、上記切除体積のサイズを推定することをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
標的組織における切除手順の完了を決定するための方法であって、該方法は、
標的組織への電気外科用エネルギー送達の時間を測定することと、
電極プローブアセンブリからの既知の距離において温度を測定することと、
測定された温度、該電極プローブアセンブリからの既知の距離、およびエネルギー送達の測定された時間に基づいて、切除体積の温度を推定することと、
推定されたサイズに基づいて、該切除体積の成長速度を計算することと
を含む、
方法。
(項目18)
境界条件に基づいて、1つ以上の温度および上記電極プローブアセンブリからの距離を補間することと、
閾値に達した場合の温度および該電極プローブアセンブリからの距離を決定することと
をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
上記1つ以上の温度は、対数減衰計算を用いて補間される、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
1つより多くの温度を測定することと、
1つ以上の温度および測定された該1つより多くの温度に基づいて上記電極プローブアセンブリからの距離を補間することと、
閾値に達した場合の温度および該電極プローブアセンブリからの距離を決定することと
をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載の方法。
(項目1A)
標的組織における切除手順の完了を決定するためのシステムであって、該システムは、
電気外科用エネルギー供給源と、
該電気外科用供給源に接続されている電極プローブアセンブリであって、該電極プローブアセンブリは、電気外科用エネルギーを該標的組織に送達するように構成されている針を有する電極アセンブリを含む、電極プローブアセンブリと、
該電気外科用供給源に接続されている熱的フィードバックアセンブリであって、該熱的フィードバックアセンブリは、少なくとも1つの温度センサーアセンブリを含む、熱的フィードバックアセンブリと、
コンピューターとを含み、該コンピューターは、(1)該標的組織に送達されるエネルギーの時間を測定することと、(2)該熱的フィードバックアセンブリから温度度数を受け取ることと、(3)該温度度数、該電極プローブアセンブリと各温度センサーアセンブリとの間の距離、および測定された時間に基づいて切除体積のサイズを推定することと、(4)推定されたサイズに基づいて切除体積の成長速度を計算することとを行うように構成されている、
システム。
(項目2A)
上記電極プローブアセンブリおよび上記熱的フィードバックアセンブリを選択的に支えるように構成されているハブをさらに含み、該電極プローブアセンブリの上記針と各温度センサーアセンブリとは、既知の距離を離して位置決めされている、上記項目に記載のシステム。
(項目3A)
上記熱的フィードバックアセンブリは、複数の温度センサーを含み、上記コンピューターは、各センサーにおける温度と、上記電極プローブアセンブリからの各温度センサーの距離とに基づいて切除のサイズを推定する、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目4A)
上記コンピューターは、上記成長速度が閾値以下である場合に、上記切除手順の完了を決定するようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目5A)
上記コンピューターは、境界条件と単一の測定された温度とに基づいて、1つ以上の温度を補間する、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目6A)
上記コンピューターは、成長速度の閾値に達したかどうかを示す温度および上記電極アセンブリからの距離を決定する、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目7A)
標的組織における切除手順の完了を決定するためのシステムであって、該システムは、
患者の該標的組織の最も近くに挿入されるように構成されている電極プローブアセンブリおよび熱的フィードバックアセンブリの温度センサーと、
電気外科用エネルギーを該標的組織に供給するように構成されている該電極プローブと、
該標的組織への電気外科用エネルギー送達の時間を測定する手段と、
該電極プローブアセンブリからの既知の距離において温度を測定する手段と、
測定された温度、該電極プローブアセンブリからの既知の距離、およびエネルギー送達の測定された時間に基づいて、切除体積の温度を推定する手段と、
推定されたサイズに基づいて、該切除体積の成長速度を計算する手段と
を含む、
システム。
(項目8A)
上記成長速度が閾値以下である場合に、上記切除手順の完了を決定する手段をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目9A)
境界条件と単一の測定された温度に基づいて、1つ以上の温度を補間する手段をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目10A)
上記成長速度の閾値に達したことを示す温度および上記電極アセンブリからの距離を決定する手段をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目11A)
1つ以上の計算方法を電気外科用発電機内に格納する手段をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目12A)
上記切除体積のサイズは、各熱的フィードバックアセンブリから受け取った情報に基づいて、アレニウスモデル計算を用いて推定される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目13A)
上記電極プローブアセンブリの特性および処置されるべき上記標的組織の特性に基づいて、該電極プローブアセンブリに送達されるべき特性エネルギー値を選択する手段をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目14A)
上記電極プローブアセンブリおよび上記熱的フィードバックアセンブリを保持するためのハブをさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目15A)
上記電極プローブアセンブリおよび複数の熱的フィードバックアセンブリを保持するためのハブをさらに含み、各熱的フィードバックアセンブリは、該電極プローブアセンブリから既知の距離に保持されている、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目16A)
複数の測定された温度および上記電極からの既知の距離に基づいて、上記切除体積のサイズを推定する手段をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目17A)
標的組織における切除手順の完了を決定するためのシステムであって、該システムは、
標的組織への電気外科用エネルギー送達の時間を測定する手段と、
電極プローブアセンブリからの既知の距離において温度を測定する手段と、
測定された温度、該電極プローブアセンブリからの既知の距離、およびエネルギー送達の測定された時間に基づいて、切除体積の温度を推定する手段と、
推定されたサイズに基づいて、該切除体積の成長速度を計算する手段と
を含む、
システム。
(項目18A)
境界条件に基づいて、1つ以上の温度および上記電極プローブアセンブリからの距離を補間する手段と、
閾値に達した場合の温度および該電極プローブアセンブリからの距離を決定する手段と
をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目19A)
上記1つ以上の温度は、対数減衰計算を用いて補間される、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
(項目20A)
1つより多くの温度を測定する手段と、
1つ以上の温度および測定された該1つより多くの温度に基づいて上記電極プローブアセンブリからの距離を補間する手段と、
閾値に達した場合の温度および該電極プローブアセンブリからの距離を決定する手段と
をさらに含む、上記項目のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【0030】
(摘要)
切除手順の完了を決定するためのシステムおよび方法が提供される。電気外科用発電機は、電気外科用エネルギー供給源を電極プローブアセンブリに提供する。上記発電機は、少なくとも1つの温度センサーアセンブリを含む熱的フィードバックアセンブリに接続される。上記発電機は、コンピューターを含み、上記コンピューターは、(1)標的組織に送達されるエネルギーの時間を測定することと、(2)上記熱的フィードバックアセンブリから温度度数を受け取ることと、(3)上記温度度数、上記電極プローブアセンブリと各温度センサーアセンブリとの間の距離、および測定された時間に基づいて切除体積のサイズを推定することと、(4)推定されたサイズに基づいて切除体積の成長速度を計算することとを行うように構成されている。上記コンピューターはまた、成長速度が閾値以下である場合に、切除手順の完了を決定し得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示の種々の実施形態は、図面を参照して本明細書中に記載される。
図1図1は、標的外科部位と操作可能に結合した本開示の熱的フィードバックシステムの1つの実施形態の概略的な例示である。
図2図2は、図1の電極プローブアセンブリおよび熱的フィードバックアセンブリの例示である。
図3図3は、標的外科部位と操作可能に結合した熱的フィードバックシステムのさらなる実施形態の概略的な例示である。
図4A図4Aは、図3の熱的フィードバックアセンブリの例示である。
図4B図4Bは、本発明の実施形態に従う熱的フィードバックアセンブリの例示である。
図5図5は、本開示の実施形態に従う電極からの距離に関する温度のプロットである。
図6図6A〜6Cは、本開示の実施形態に従う電極からの距離に関する温度のプロットである。
図7図7は、本開示の実施形態に従う方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施形態の詳細な説明
本開示のシステムおよび方法は、標的外科部位における(例えば、がん腫瘍における)治療上の使用中に、電極プローブのより正確な制御されたモニタリングおよび/またはフィードバックを提供する。さらに、本開示のシステムおよび方法は、電気外科処置デバイスの上記電極プローブが特定のまたは種々の操作パラメーターに対して設定される場合、上記電極プローブによって可能である処置の深さおよび/または体積を予測および/または推定するための改善された能力を提供する。
【0033】
経皮もしくは内視鏡カテーテル、または開腹・開胸技術(open surgical technique)によってアクセス可能である任意の体腔または組織の場所において、身体組織の処置中にモニタリングするため、またはフィードバックを提供するために、上記システムおよび上記システムの使用方法が使用され得ることは、当業者にとって容易に明らかであり、それは、がん腫瘍などに限定されない。任意の身体の器官および/または組織におけるシステムおよび方法の適用は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0034】
図1を参照すると、熱的フィードバックシステムは、本開示の実施形態に従って、全般的に100と指定される。フィードバックシステム100は、電気外科用発電機および/もしくはエネルギー供給源10に操作可能に接続されている熱的フィードバックアセンブリ200ならびに/またはコンピューター20を含む。
【0035】
フィードバックアセンブリ200と操作可能に結合した、組織切除などを行うために電気外科用エネルギー供給源10に接続可能である、少なくとも1つの電極プローブアセンブリ300が提供される。各電極プローブアセンブリ300は、標的組織または器官「OR」への挿入のために構成されている剛体であるシャフト、アンテナ、または針310を含み得る。各プローブアセンブリ300の針310は、身体の器官「OR」への針310の経皮挿入を容易にするためのとがった構成を有する露出した遠位先端312において終端し得る。各電極プローブアセンブリ300の針310の外表面の一部分は、図1において斜線(hatched line)領域によって示されるような絶縁物質で覆われる。遠位先端312は、覆われていないままであり、針310を通してケーブル12に接続され、それにより電気外科用エネルギー供給源10に接続される。電極プローブアセンブリ300は、導管(複数可)32を介して針310に流体を循環させるための、針310に流動的に接続されている冷却液供給部30を含み得る。
【0036】
電極プローブアセンブリ300の構築および操作の詳細な議論について、2006年7月28日に出願された、同一人に譲渡された、発明の名称「COOL−TIP THERMOCOUPLE INCLUDING TWO−PIECE HUB」の米国出願第11/495,033号に対して参照がなされ得る。
【0037】
針(複数可)310の露出した遠位先端(複数可)312における温度またはその近くの温度は、針310を通る流動性冷却液の流れを調整することによって制御され得る。従って、遠位先端(複数可)312においてまたはその近くで接触する組織の温度は制御される。作動中、冷却液供給部30からの流体は、針310の長さ分を、針310を通して延在する内部チューブ(示されない)を通って針310の遠位末端に運ばれ、遠位先端312の開放末端または空洞(示されない)において終端する。針310の反対側の末端において、上記内部チューブは、流体を受け取るように接続される。遠位先端(複数可)312からの逆流は、針310の出口ポート(示されない)を通る。
【0038】
フィードバックシステム100は、電気外科用エネルギー供給源10への接続42とともに、患者の皮膚または器官「OR」の外表面と接触して置かれ得る基準電極40をさらに含み得る。基準電極40および接続42は、電極プローブアセンブリ300の針310を通る電気外科用エネルギー供給源10からのリターン電流のための路として働く。
【0039】
例示としてのみだが、図1に見られ得るように、切除されるべき標的領域は、断面図において線「T」によって表される。ある体積の致死の熱上昇で標的領域「T」を完全に包み込むことによって上記標的領域「T」を切除することが所望される。上記標的領域「T」は、例えば、画像スキャナー50によって検出された腫瘍であり得る。例えば、CT、MRI、蛍光透視法、または超音波画像スキャナーが使用され得、その画像データは、コンピューター20に転送される。代替の例としては、超音波スキャナーヘッド52は、線52aによって例示される画像を提供するために器官「OR」と接触して配置され得る。
【0040】
例えば、図1において、破線「T1」は、器官「OR」を通った断面図における切除等温線を表す。そのような切除等温線は、約50℃以上という可能性のある温度を達成する表面のものであり得る。約30秒間から約数分間まで持続されるその温度範囲において、組織細胞は、切除される。上記切除体積の形状およびサイズは、破線「T1」によって例示されるように、使用される上記電極プローブアセンブリ300の構成、電極プローブアセンブリ300の遠位先端312の幾何学的形状(geometry)、適用されるRF電力の量、電力が適用される継続時間、電極プローブアセンブリ300の針310の冷却などによって、状況に応じて制御され得る。
【0041】
データプロセッサーは、切除手順中にリアルタイムで標的領域「T」および/または切除体積「T1」を可視化するためにディスプレーデバイスに接続され得る。
【0042】
図1に例示されるように、フィードバックシステム100は、複数の熱的プロフィール/オーバーレイ62を含むライブラリ60をさらに含み得る。本明細書中で用いられる場合、ライブラリという用語は、保管場所、データバンク、データベース、キャッシュ、および保存ユニットなどを含み、それらに限定されないことが理解される。各オーバーレイ62は、熱的プロフィールを含み、上記熱的プロフィールは、カニューレ/電極アセンブリの特定の構成もしくはカニューレ/電極アセンブリの特定の露出の量の特性であり、そして/またはカニューレ/電極アセンブリの特定の構成もしくはカニューレ/電極アセンブリの特定の露出の量に特定的である(すなわち、針310の遠位先端312の露出の長さ、またはカニューレの遠位先端から延びる針310の量に特定的である)。さらに、上記カニューレ/電極アセンブリの各露出量または構成について、例えば、電極プローブアセンブリ300が作動する時間の量、電極プローブアセンブリ300が加熱される温度などに関わる熱的プロフィールを含む複数のオーバーレイ62が提供される。
【0043】
図1を引き続き参照すると、上で言及したようにフィードバックシステム100は、電気外科用発電機10および/またはコンピューター20に操作可能に接続されている熱的フィードバックアセンブリ200を含む。熱的フィードバックアセンブリ200は、少なくとも1つの電極プローブアセンブリ300に操作可能に結合する。
【0044】
図1に示されるように、フィードバックアセンブリ200は、少なくとも1つの電極プローブアセンブリ300および少なくとも1つの温度センサーアセンブリ220を選択的に支えるように構成されているハブまたはハウジング210を含む。単一の電極プローブアセンブリ300の両側でハウジング210において支えられる複数の温度センサーアセンブリ220が示される。任意の数の温度センサーアセンブリ220が、上記単一の電極プローブアセンブリ300の単一の側に、両側に、もしくは複数の側に、または複数の電極プローブアセンブリ300に対して配置され得ることが企図される。複数の温度センサーアセンブリ220が、複数の電極プローブアセンブリ300の間に散在し得ることがさらに企図される。個々の針、カニューレ、または導入器223は、温度センサー222を標的部位または器官「OR」に導入するために使用され得る。
【0045】
図2に示されるように、ハウジング210は、単一の軸または面を画定するために、単一の電極プローブアセンブリ300の両側に温度センサーアセンブリ220を位置決めするために使用される。ハウジング210は、温度センサーアセンブリ220のカニューレ223および温度センサー222を電極プローブアセンブリ300から、ならびに/もしくは互いに、既知の距離で位置決めするように構成され得るか、または等距離すなわち互いに均一に間隔をあけられる。
【0046】
各温度センサーアセンブリ220は、適切な電気的コネクターなど230を介して電気外科用発電機10に電気的または光学的に接続される。
【0047】
温度センサー222は、電極アセンブリ310に対して特別な関係を提供するために、エミッター、センサー、またはマーカーのうちの1つ以上を含む。各温度センサーアセンブリ220は、標的外科部位への挿入および/または貫入のために構成されている剛体であるかまたは半剛体であるカニューレ223および/または針の形態で温度センサー222を含み得る。適切な温度センサー222は、熱電対、測温抵抗体(resistive temperature device)(RTD)、または光ファイバーの温度プローブを含み得る。温度センサーの1つの例は、Luxtron(登録商標),Santa Clara,CAから入手可能である商標名「Fluoroptic(登録商標)Thermometer」の下で販売される。そのようなセンサーの型は、リン光性物質(例えば、リン光体)から発せられる光の減衰時間を測定するように構成されている。減衰時間は、センサーの持続性のある特性(persistent property)であり、温度により直接的に変動する。さらに、温度センサーは、米国特許第4,075,497号;同第4,215,275号;同第4,448,547号;同第4,560,286号;同第4,752,141号;同第4,883,354号;および同第4,988,212号に示され、記載される。
【0048】
標的外科部位における温度を測定するために、温度センサーアセンブリ220と使用するための他の適切な温度センサーとしては、光学センサー(例えば、Flouroptic(登録商標)、赤外など)、熱電対、測温抵抗体(Resistance−Temperature−Detector)(RTD)、サーミスター、MRI、蛍光透視法、超音波、CT、および放射測定などが挙げられ、それらに限定されない。
【0049】
温度センサー222は、約60℃より高い温度を測定またはモニタリングするように構成され得る。1つの実施形態において、フィードバックシステム100は、温度値を少なくとも2つの温度センサー222から補間するため、および/または少なくとも2つの温度センサー222から熱的損傷を積分するために、適切なアルゴリズムなどとともに提供され得る。1つのリアルタイム温度センサーは、ルックアップ表または同様の方法からの、仮定または所定の値と関連づけて使用され得る。
【0050】
フィードバックシステム100に送達される温度測定値は、標的領域の熱的地図を生み出すために使用され得、そして/または積分の際に、特定の組織の特性(例えば、灌流、伝導、抵抗、および/もしくは密度など)を説明するために使用され得る。
【0051】
1つの実施形態において、温度センサー222は、上記電極プローブアセンブリ300の針310のまわりに配備され得る。そのような温度センサーは、温度センサーが針310のまわりを包むことを可能にするために適切な形状記憶合金で構築され得る。さらに、1つの実施形態において、温度センサーを含むカニューレは、上記電極プローブアセンブリ300の針310の周囲に配備され得る。
【0052】
電気外科用発電機10および電極プローブアセンブリ300は、エネルギーを無線周波針、マイクロ波針、超音波針、および寒冷療法の針のうちの少なくとも1つに送達するように構成され得る。
【0053】
フィードバックシステム100は、熱的手順中に切除体積が所定の体積を超える前に、作り出されるべき切除体積についてのサイズ予測性を標的領域の熱的手順中に提供することが可能である。例えば、フィードバックシステム100は、熱的治療の体積(例えば、直径)、熱的治療の体積の全体サイズの推定、熱的治療の体積の成長の速度の推定、および/または熱的治療の完了の時間の推定に関してフィードバックを提供し得る。この情報の全ては、モニター54(図1を参照のこと)などに表示され得る。さらに、モニター54は、上記手順が進むに従って、リアルタイムで切除体積の成長を例示し得る。
【0054】
図3および4Aは、温度フィードバックアセンブリ500を含むフィードバックシステム400の代替の実施形態を示す。明瞭にする目的のために、および不必要な繰り返しを避けるために、図1の実施形態の説明において上で言及したシステムに含まれる電気外科用発電機および/もしくはエネルギー供給源、ならびに/またはコンピューターは示されない。温度フィードバックアセンブリ500は、1つの電極プローブアセンブリ300と、1つの温度センサーアセンブリ220を選択的に支えるように構成されているハブまたはハウジング210とを含む。上記温度センサーアセンブリ220が単一の電極プローブアセンブリのいずれかの側に配置され得ることが企図される。図1と同様に、個々の針、カニューレ、または導入器223は、温度センサー222を標的部位または器官「OR」に導入するために使用され得る。
【0055】
図4Bは、温度フィードバックアセンブリ510を含む代替のフィードバックシステム410を示す。温度フィードバックアセンブリ510は、1つの電極プローブアセンブリ300と1つの温度センサーアセンブリ220とを含む。上記温度センサーアセンブリ220が単一の電極プローブアセンブリ300のいずれかの側に配置され得ることが企図される。上記温度センサーアセンブリ220は、上記電極プローブアセンブリ300に対して任意の角度または距離で挿入され得る。超音波、CT、または他の同様の画像化技術は、上記温度センサー222と上記電極プローブアセンブリ300の遠位先端312との間の距離を測定するために使用される。図1と同様に、個々の針、カニューレ、または導入器223は、温度センサー222を標的部位または器官「OR」に導入するために使用され得る。
【0056】
本開示の方法は、測定された時間および測定された温度に基づいて切除手順の完了を決定するステップを含む。上記方法は、標的組織または器官「OR」の温度を、標的組織または器官「OR」の処置中および/またはその処置後に、標的組織または器官「OR」に対する既知の距離で測定するステップを含み得る。既知の距離での標的組織または器官「OR」の温度は、絶対温度および/または補間される温度であり得る。さらに、上記方法は、熱的処置の程度を決定するために、時間の経過により温度を積分するステップを含み得る。そのような積分は、「アレニウスの熱的処置の積分」または熱的損傷の推定の他の方法を用いて計算され得る。
【0057】
本明細書中で用いられる場合、「熱的損傷」は、組織の構成要素に対する破壊の相対量を表す量を記載する用語である。目的の構成要素は、非細胞の構成要素(例えば、タンパク質または小器官など)から多くの細胞を持った系(例えば、腫瘍または器官など)までの適用間で広く変動し得る。そのような広範囲の規模に及ぶシステムを研究するために、異なる技術が適用され得る。比較的小さいシステムのために、1つのアプローチは、「アブイニシオ」法またはいくつかの他の分子動力学的アプローチであり得る。比較的大きいシステムのために、1つのアプローチは、経験的方法(例えば、本明細書中に記載される「アレニウス」の方法など)または臨界温度基準を使用することであり得る。
【0058】
用語「アレニウスの熱的処置」は、基礎をなす組織に与える熱的作用を定量する方法を指す。本方法は、従って、多くの異なる反応が行われている、組織における微視的作用(例えば、単一の種のタンパク質の変性など)を設計するか、または組織における巨視的作用(例えば、熱的処置に関係する組織の色の変化など)を設計する。
【0059】
「アレニウスモデル」についての方程式は、以下の方程式によって表され得る:
【0060】
【数1】
(式中、
Ωは、組織または器官によって持続される熱的作用であり(組織損傷または損傷積分);
C(τ)は、特定の時間τの関数としての濃度であり;
C(0)は、時間0における最初の濃度であり;
Aは、約7.39×1039l/sの頻度因子であり(肝臓組織に特定的である);
ΔEは、約2.577×10J/molの活性化エネルギーであり(肝臓組織に特定的である);
Rは、理想気体定数であり、そして
T(t)は、変動可能な時間tの関数としての温度である)。
【0061】
「アレニウスモデル」は、組み合わせたプロセスの他に、個々のプロセスにも適用されるので、「アレニウスモデル」は使用される。目的のものであり得る個々のプロセスとしては、細胞の脂質二重層の変性、ミトコンドリアタンパク質の変性、および核タンパク質の変性が挙げられ、これらに限定されない。脂質二重層は、細胞の多くの他の部分よりも前に、その構造を失うので、脂質二重層の変性は目的のものである。ミトコンドリアおよび核タンパク質の変性は、それらが約42℃〜約60℃の範囲における温度で変性するので、目的のものである。
【0062】
図5に示されるプロット800は、複数の測定された温度820a〜820d(図1および2におけるフィードバックアセンブリ200を参照のこと)を電極からの距離に相関させ、測定された温度値820a〜820dを繋ぐこと(線850)に基づいて曲線を補間する方法を可視化する。
【0063】
温度と切除サイズの関係は、単一の温度センサーアセンブリ220のみを有する温度フィードバックアセンブリ500を用いる場合、それぞれ図6A〜Cのプロット600、640、および660に示される。プロット600は、温度測定に適用された境界条件620、630を用いた温度グラフを示す。一般に、上記プロット600は、既知の距離における単一の温度測定値610で補間され得る。境界条件620、630は、切除体積の外縁を表す。上記境界条件620、630は、それぞれ上記電極アセンブリから約0.5cmにおいて約100℃、約3cmにおいて約37.5℃(平均体温または特定の器官の平均温度について)であり得る。
【0064】
次に、プロット640に示されるように、1つ以上の補間された値650は計算され得る。上記の補間された値は、対数減衰方程式を用いて計算される。プロット660の線670は、閾値に達するのがどの温度においてか、および上記電極からのどの距離においてかを示す。損傷積分(Ω)が約4.6(閾値)である場合に、次いで約99.9%の細胞死に達する。
【0065】
上記プロット600、640、および660は、温度を電極からの距離に相関させるための方法を可視化し、単一の測定された温度610に基づいて温度場を概算するために対数適合(logarithmic fit)を利用する。損傷積分(Ω)は、組織になされた損傷を推定するために使用される。
【0066】
図7は、発電機10によって測定される時間および温度に基づいて切除の完了を決定するための方法700を示す。上記方法は、ブロック705において場所を測定し、ブロック710において時間を測定する。上記方法はまた、ブロック715において温度を測定する。測定された温度は、ブロック720において、境界条件が適用された単一の温度または測定された複数の温度であり得る。
【0067】
ブロック725においてアルゴリズムは開始し、サイズおよび成長速度を計算するための式は、プレインストールされている。上に記載されるように、ブロック730において、現在のサイズは、図6A〜Cのプロットおよびアレニウスモデル式に基づくプレインストールされている式に基づいて、速度型計算(rate type calculation)(例えば、一次速度計算)を用いて計算される。
【0068】
ブロック735において現在のサイズはまた、以前のサイズとして保存され、ブロック740において時間は、所望される間隔分、増分される。次にブロック745において、現在の時間は次に、温度、時間、およびサイズが相関し始める時点に対応する最初の時間の閾値と比較される。上記アルゴリズムは、約90秒の期間を利用する。実施形態において、上記期間は、多様な組織およびエネルギーのパラメーターに基づいて選択される任意の適切な間隔であり得る。
【0069】
ブロック750において、最初の期間が終了すると、上記アルゴリズムは、成長速度を計算し、比較し始める。
【0070】
【数2】
特に上記方法は、ブロック755において切除体積のサイズを計算し、現在のサイズとしてその値を保存する。ブロック765において、現在のサイズは次に、微分法によって成長速度を決定するために、以前に計算されたサイズ(ブロック760)と関連づけて使用される。次に、ブロック770において、成長速度が所定の閾値よりも下である場合、ブロック775において、現在のサイズは以前のサイズとして保存され、上記方法は、時間増分ステップ(ブロック740)に戻って、サイズおよび成長速度の計算を繰り返す。上記成長速度が閾値よりも上である場合、ブロック780において、上記方法は切除が完了したと考え、その点において、上記発電機10はアラームを発し得、そして/またはエネルギー供給を終わらせ得る。
【0071】
上の記載は、多くの具体的な例を含むが、これらの具体的なものは、本開示の範囲における限定として解釈されるべきではなく、その好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義されるような、本開示の範囲および趣旨内にある他の多くの可能性のあるバリエーションを想定する。
【符号の説明】
【0072】
10 電気外科用エネルギー供給源、電気外科用発電機
20 コンピューター
100、400、410 フィードバックシステム
200、500、510 フィードバックアセンブリ
220 温度センサーアセンブリ
300 電極プローブアセンブリ
310 針
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7