特許第6391243号(P6391243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391243
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】エレベータへの停止階制御システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20180910BHJP
   B66B 1/16 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   B66B1/16 L
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-7552(P2014-7552)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-135033(P2015-135033A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(74)【代理人】
【識別番号】100128864
【弁理士】
【氏名又は名称】川岡 秀男
(72)【発明者】
【氏名】臼井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 和弥
(72)【発明者】
【氏名】今田 真悟
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−218262(JP,A)
【文献】 特開2007−132111(JP,A)
【文献】 特開2002−129793(JP,A)
【文献】 実開平02−036279(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0016121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
B66B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠装置に施解錠権限を認証するための認証用IDを出力する携帯器と、
一群の携帯器との間で交信可能な応答要求信号を送信するパッシブ送受信装置と、
前記パッシブ送受信装置において取得した各携帯器の認証用IDを認証する認証部と、
携帯器所有者の認証用IDと居住階とを対応させて記憶した制御信号格納部から居住階を抽出した後、該居住階情報を停止階情報としてエレベータの停止階制御部に出力し、エレベータを携帯器所有者の居住階に自動停止させる制御信号出力部とを有し、
前記携帯器は、前記パッシブ送受信装置からの応答要求信号の受信に対して応答信号を送信する応答可状態と、応答要求信号に対して応答信号を返さない応答否状態との間を遷移可能であり、
かつ、前記パッシブ送受信装置は、所定間隔で応答要求信号を出力した後、携帯器からの受信強度の最強な応答信号のみを受信して応答信号内の認証用IDを取得するとともに、該パッシブ送受信装置からの応答要求信号に対して受信強度の最強な応答信号を出力した携帯器に応答可状態への復帰時間情報を含む応答否状態への遷移信号を出力して前記復帰時間情報で指示される時間、該携帯器からの応答信号出力を停止させるエレベータへの停止階制御システム。
【請求項2】
前記パッシブ送受信装置は、
携帯器からの認証用IDにより応答信号受信携帯器を特定し、該応答信号受信携帯器に応答否状態への遷移信号を送信する請求項1記載のエレベータへの停止階制御システム。
【請求項3】
前記携帯器は、
前記パッシブ送受信装置から出力される応答要求信号に応答して認証用IDを含む応答信号を出力するリクエスト応答部と、
パッシブ送受信装置から出力される応答否状態への遷移信号を受信した際に前記リクエスト応答部からの応答信号の送信を所定時間停止する応答停止制御部とを有する請求項1または2記載のエレベータへの停止階制御システム。
【請求項4】
前記パッシブ送受信装置は、
一群の携帯器で受信可能な応答要求信号を所定間隔で出力するリクエスト信号送信部と、
応答要求信号出力後所定時間内に受信した複数の認証用IDを含む応答信号から最大強度信号のみを入力信号として取得するとともに、入力信号を発信した携帯器に向けて応答否状態への遷移信号を出力して該携帯器からの応答要求信号に対する応答を停止させる停止信号出力部とを有する請求項1、2または3記載のエレベータへの停止階制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータへの停止階制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
解錠キーを使用することなく電気錠装置の解錠が可能な、いわゆるキーレスエントリーシステムは、利用者の所持する携帯器から出力される認証用IDの認証部での認証を条件にアクチュエータを解錠駆動するように構成され、携帯器から認証部への認証用IDの出力にパッシブ送信を使用するものがある。
【0003】
パッシブ送信は、利用者が携帯器を直接操作して該携帯器から認証部、あるいは認証部につながる認証用ID受信部に認証用IDを出力するアクティブ送信とは異なり、認証部、あるいは認証部につながるパッシブ送受信部から出力される応答要求信号に応答して自動的に認証用IDをパッシブ送受信部に出力する。
【0004】
かかるパッシブ送信は、同一のパッシブ送受信部の周りに複数の携帯器がある環境で使用する場合には、単一の応答要求信号に対して同時に出力される複数の携帯器からの認証用ID間の衝突等に対する回避策が必要となり、かかる回避策を備えた受信システムとしては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0005】
この従来例において、携帯器は基地局(パッシブ送受信装置)からの応答要求信号を受信すると、携帯器ごとに異なったタイミグで認証用IDを出力してパッシブ送受信装置で受信され、パッシブ送受信装置での同時受信を回避する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-329744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した従来例は、各携帯器に応答遅延時間を固有値として設定する必要があるために、予めパッシブ送受信装置と、これに対応する携帯器を決定しておく必要が有り、汎用性に欠けるという問題がある。
【0008】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、汎用性の低下をもたらすことなく複数の携帯器からの認証用IDを正確に取得できる携帯器の認証用ID受信システムを利用したエレベータへの停止階制御システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば上記目的は、
電気錠装置1に施解錠権限を認証するための認証用IDを出力する携帯器2と、
一群の携帯器2との間で交信可能な応答要求信号を送信するパッシブ送受信装置3と、
前記パッシブ送受信装置3において取得した各携帯器2の認証用IDを認証する認証部8と、
携帯器2所有者の認証用IDと居住階とを対応させて記憶した制御信号格納部10から居住階を抽出した後、該居住階情報を停止階情報としてエレベータ(E)の停止階制御部11に出力し、エレベータ(E)を携帯器2所有者の居住階に自動停止させる制御信号出力部9とを有し、
前記携帯器2は、前記パッシブ送受信装置3からの応答要求信号の受信に対して応答信号を送信する応答可状態と、応答要求信号に対して応答信号を返さない応答否状態との間を遷移可能であり、
かつ、前記パッシブ送受信装置3は、所定間隔で応答要求信号を出力した後、携帯器2からの受信強度の最強な応答信号のみを受信して応答信号内の認証用IDを取得するとともに、該パッシブ送受信装置3からの応答要求信号に対して受信強度の最強な応答信号を出力した携帯器2に応答可状態への復帰時間情報を含む応答否状態への遷移信号を出力して前記復帰時間情報で指示される時間、該携帯器2からの応答信号出力を停止させるエレベータへの停止階制御システムを提供することにより達成される。
【0011】
本発明において、電気錠に対する操作権限を認証するための認証用IDを出力する携帯器2には、パッシブ送受信装置3から出力される応答要求信号を受信した際に認証用IDを含む応答信号を出力するリクエスト応答部4と、リクエスト応答部4からの応答信号の出力を制御する応答停止制御部5が設けられる。パッシブ送受信装置3から出力される応答要求信号は、製造メーカー、販売地域等、比較的広範囲な携帯器2を交信対象とするブロード信号で、パッシブ送受信装置3からの応答要求信号を受信した携帯器2は、同時に各々が各携帯器2に予め設定された認証用IDを含む応答信号を送信する。
【0012】
パッシブ送受信装置3は、各々の携帯器2から発信される応答信号のうち、受信強度が最大のもののみを受信し、この後、受信対象となった携帯器2に対して応答否状態への遷移信号を出力する。当該応答否状態への遷移信号を受信した携帯器2は、所定時間応答要求信号に対する応答信号の出力を停止するために、パッシブ送受信装置3からの次サイクル以降の応答要求信号に対して応答することがなく、該パッシブ送受信装置3は、残余の携帯器2のうち、受信強度が最大のものを順次受信することができる。
【0013】
したがって本発明において、パッシブ送受信装置3との交信可能範囲に存在するすべての携帯器2の認証用IDを混信することなく確実に取得することが可能になる。また、携帯器2にはパッシブ送受信装置3が発する応答要求信号を受信した際の応答遅延情報等を設定しておく必要がなく、応答要求信号に対する応答部を共通に設定しておくだけで広範囲なパッシブ送受信装置3による携帯器2のID取得が可能になる。
【0014】
パッシブ送受信装置3からの遷移信号の携帯器2への送信は、各携帯器2に予め設定された携帯器2固有のID情報を遷移信号に含めることにより実現可能であり、遷移信号を受信した各携帯器2は遷移信号中のID情報が自局を指定する場合に応答要求信号に対する応答信号の出力を停止する。
【0015】
また、携帯器2のID情報は別途設定することも可能であるが、認証用IDを利用することも可能である。
【0016】
また、上記携帯器2は、
前記パッシブ送受信装置3から出力される応答要求信号に応答して認証用IDを含む応答信号を出力するリクエスト応答部4と、
パッシブ送受信装置3から出力される応答否状態への遷移信号を受信した際に前記リクエスト応答部4からの応答信号の送信を所定時間停止する応答停止制御部5とを有して構成することができる。
【0017】
さらに、上記パッシブ送受信装置3は、
一群の携帯器2で受信可能な応答要求信号を所定間隔で出力するリクエスト信号送信部6と、
応答要求信号出力後所定時間内に受信した複数の認証用IDを含む応答信号から最大強度信号のみを入力信号として取得するとともに、入力信号を発信した携帯器2に向けて応答否状態への遷移信号を出力して該携帯器2からの応答要求信号に対する応答を停止させる停止信号出力部7とを有して構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、汎用性の低下をもたらすことなく複数の携帯器2から認証用IDを正確に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の機器制御システムを示すブロック図である。
図2図1の詳細を示すブロック図である。
図3】機器制御システムのタイミグチャートである。
図4】パッシブ送受信装置のフローチャートである。
図5】携帯器のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1、2に集合住宅におけるエレベータ(E)への停止階制御システムとして構成された本発明の機器制御システム(Sc)を示す。本システムは、エレベータ(E)への搭乗者が所持する携帯器2の認証用IDを順次読み取って携帯器2所持者の居住フロアにエレベータ(E)を自動停止させるように構成され、携帯器2から認証用IDを受信する認証用ID受信システム(Sr)と、認証用ID受信システム(Sr)により取得した認証用IDを認証する認証部8と、エレベータ(E)への制御信号出力部9とを有する。
【0022】
制御信号出力部9は、利用者が乗り込むカゴ等に配置される停止階操作パネル13への操作によりカゴ12を所望の停止階に停止させる停止階制御部11に停止階情報を出力するように構成され、図2に示すように、制御部9aにより制御される停止階情報生成部9bと、制御信号格納部10とを有する。制御信号格納部10には、制御信号出力部9が設置されるエレベータ(E)の到達階と、到達階の居住者が所持する各戸の扉の電気錠装置1を施解錠操作するための携帯器2の認証用IDとが関連付けられて格納されており、停止階情報生成部9bは、上記認証部8からの認証成立信号を受信すると、制御信号格納部10から携帯器2所持者の対応する居住階を検索した後、停止階制御部11に停止階情報として出力し、カゴ12を居住階に停止させる。
【0023】
上記認証用ID受信システム(Sr)は、上述した携帯器2と、パッシブ送受信装置3とを有する。
【0024】
本例において携帯器2は、各戸の扉に設置された電気錠装置1を施解錠するために使用されるもので、制御部2aにより制御され、電気錠装置1に対する操作権限を認証するための認証用IDを格納するID格納部2bと、認証用IDの電気錠装置1への送信操作を行うための施解錠操作ボタン2cとを有する。
【0025】
電気錠装置1は、電気錠装置1は適宜のアクチュエータを制御することにより扉に対する施解錠状態間を遷移可能であり、携帯器2から送信された認証用IDが制御部1aにより制御される認証部1bにおいて認証されると、上記アクチュエータを駆動して施解錠状態間の遷移駆動が行われる。
【0026】
また、携帯器2による電気錠装置1に対する施解錠操作は、上述したように施解錠操作ボタン2cへの操作によるいわゆるアクティブモードに加え、利用者による携帯器2への操作を要しないパッシブモードによることができる。パッシブモードによる運用を可能にするために、電気錠装置1には携帯器2に向けて応答要求信号を出力するリクエスト信号送信部1cが設けられるとともに、携帯器2には認証用IDを含む応答信号を出力するリクエスト応答部4が設けられる。リクエスト信号送信部1cは常時応答要求信号を出力するように構成することが可能であるが、ヒト検出センサによる検出、あるいは利用者によるリクエストボタン押下等の適宜の操作を出力のトリガとして省電力を図ることもできる。
【0027】
したがって本例において、電気錠装置1から応答要求信号が出力されている状態で応答要求信号との交信可能範囲内に携帯器2が持ち込まれると、携帯器2はリクエスト応答部4を介して応答要求信号に応答する形で応答信号を出力する。携帯器2からの応答信号を受信した電気錠装置1は、応答信号に含まれる認証用IDを抽出した後、認証部1bにおいて認証動作を行い、認証が成立すると所定の施解錠操作が行われる。
【0028】
また、本例において、リクエスト応答部4は、認証用IDを介して対応関係が予め決定され、認証不能な電気錠装置1からの応答要求信号に対してのみ応答信号を出力する狭域の応答部としてではなく、製造元、機種あるいは販売地域等が一致するすべての電気錠装置1が発する応答要求信号に対して応答信号を出力するブロードなリクエスト応答部4として構成され、電気錠装置1のリクエスト信号送信部6も、予めペアリングされた携帯器2以外にも応答可能な応答要求信号を出力するブロードな信号送信部として構成される。
【0029】
以上のように、パッシブ動作にあたって電気錠装置1と携帯器2とがブロード信号を使用して交信すると、電気錠装置1からの応答要求信号に対して応答する携帯器2の数が増加し、信号の衝突等の機会が多くなるために、電気錠装置1は、受信した応答信号のうち、信号強度が最強のもののみをゲート部1dにより選択して取り込むことによって上記問題を回避する。
【0030】
一方、パッシブ送受信装置3は、上述した電気錠装置1に配置されるリクエスト信号送信部1cと同様の応答要求信号を出力するリクエスト信号送信部6と、ゲート部3bとを有してエレベータ(E)のカゴ12に設置される。
【0031】
上記リクエスト信号送信部6は、エレベータ(E)運用にあわせて常時起動させておくことも、あるいはカゴに利用者が乗ったことを適宜のセンサにより検出すると起動するように構成することが可能であり、起動後には、所定の時間間隔(t_req)で応答要求信号を出力する。
【0032】
応答要求信号に応答した各携帯器2からの応答信号はゲート部3bを経由して信号強度が最大のもののみが取り込まれた後、応答要求信号に含まれる認証用IDがID取得部3cに格納され、認証部8に通知される。
【0033】
また、パッシブ送受信装置3には停止信号出力部7が設けられるとともに、携帯器2には応答停止制御部5が設けられる。停止信号出力部7は、ID取得部3cに認証用IDが格納されると取得された認証用IDを含む応答否状態への遷移信号(停止信号)を生成し、携帯器2に出力する。停止信号出力部7からの出力信号はリクエスト信号送信部6からの出力信号と同様に各携帯器2と交信可能なブロード出力であり、当該停止信号を受信した各携帯器2は停止信号内の認証用IDが自局の認証用IDに一致するか否かを確認し、一致が確認されると応答停止制御部5に停止信号受領を通知する。停止信号を受領した応答停止制御部5は、所定時間リクエスト応答部4からの応答信号の出力を停止する。
【0034】
図3に機器制御システム(Sc)の動作シーケンスを示す。パッシブ送受信装置3は、起動された状態において所定タイミング(t_req)で応答要求信号を送信する。上述したように、応答要求信号は、各住戸、マンション棟、マンション設置地域等が相違していても相互に交信可能なブロード信号として出力される。
【0035】
交信範囲内の携帯器2は応答要求信号を受信すると、各々応答要求信号に応答して応答信号を送信し、パッシブ送受信装置3において受信される。パッシブ送受信装置3における応答信号の受信強度は、空間での減衰等の影響により概ねパッシブ送受信装置3の受信アンテナ(図示せず)に近い順に大きくなり、ゲート部3bを介することにより受信強度が最大のものが選択されて取り込まれ、ID取得部3cにおいて認証用IDが抽出される。
【0036】
図3は、最初の応答要求信号(Sreq_1)に対する応答信号(Sres_1)は認証用IDが2の携帯器2Bからのものが最大であることを太線で囲って示しており、認証用IDを取得したパッシブ送受信装置3は停止信号出力部7において停止信号を生成し、各携帯器2に送信する。停止信号には携帯器2Bの認証用ID(2)が含まれており、該停止信号を受信した携帯器2は、停止信号内に含まれる認証用IDが自局のものであるか否かを判定し、自局を名宛にしている場合には、当該携帯器(この場合携帯器2B)の応答停止制御部5は停止フラグを”OFF”から”ON”にセットし、”ON”状態を予め設定された所定時間(t_stp)保持する。
【0037】
携帯器2は、停止フラグが”OFF”の場合にのみ応答信号を送信するように構成されており、結果、携帯器2Bは停止フラグが”ON”に反転するまでパッシブ送受信装置3からの応用要求信号に対応した応答信号の出力が停止される。
【0038】
また、携帯器2からの応答信号(Sres_1)から認証用IDを取得したパッシブ送受信装置3は、認証部8に認証用IDを出力し、認証部8において認証用IDが認証されると、制御信号出力部9に認証用IDを出力する。認証済みの認証用IDを受領した制御信号出力部9は制御信号格納部10から認証用IDを検索し、発見時には停止階情報を含む制御信号をエレベータ(E)の停止階制御部11に出力し、搭乗者が停止階操作パネルへの操作を行わなくとも停止階に加えられる。
【0039】
さらに、第2の応答要求信号(Sreq_2)に対する応答信号(Sres_2)のように、取得した認証用IDが認証部8で認証されなかった場合、集合住宅の住人でないか、あるいは当該エレベータ(E)の行き先階に住戸を有しない住人であると考えられるために、停止階情報が出力されることはない。
【0040】
この後、同様の手順で適数回の応答要求信号(Sreq_r)を出力すると、受信強度の高い順に携帯器2からの応答信号の出力が規制されるために、それ以前の応答要求信号(Sreq_(r-k))に対して受信レベルが最大でなかった応答信号(Sres_(r-k))が最大受信レベルとなって認証用IDが取得され、結果、すべての携帯器2の認証用IDが取得される。
【0041】
停止フラグの”ON”状態の保持時間(t_stp)は、予め携帯器2に設定しておくことも、あるいは、応答要求信号の送信タイミング(t_req)、エレベータ(E)の定員制限等を考慮した値を停止信号に含めて制御信号出力部9から送信することも可能である。
【0042】
図4にパッシブ送受信装置3の動作フローを示す。起動状態において、パッシブ送受信装置3は(t_req)の時間間隔をおいて応答要求信号を出力しており、制御の開始とともに、まず、応答要求信号送信のタイミングを計測するタイマーがタイムアップしていないか否かを検出し(ステップP1)、タイムアップの場合には、リクエスト信号送信部6から応答要求信号を送信し(ステップP2)、携帯器2からの応答信号を待ち受ける。
【0043】
この後、携帯器2からの応答信号を受信すると(ステップP3)、ID取得部3cは応答信号から認証用IDを抽出し(ステップP4)、停止信号出力部7に認証用IDを出力する(ステップP5)。認証用IDを受領した停止信号出力部7は、認証用IDを含む停止信号を生成して送信した後(ステップP6)、応答要求新信号送信のタイミングを計測するタイマーをスタートさせる(ステップP7)。
【0044】
一方、携帯器2は、図5に示すように、制御開始とともに、まず、停止フラグのセット時間を計測するタイマーがタイムアップしていないか否かを検出し(ステップM1)、タイムアップしている場合は停止フラグをリセットし(ステップM2)、タイムアップしていない場合には、停止フラグの反転をすることなく信号の受信を待機する(ステップM3)。
【0045】
ステップM3において受信した信号がパッシブ送受信装置3からのものである場合(ステップM4)、停止フラグがセット状態か否かを判定し(ステップM5)、リセット状態のときには応答信号を送信した後(ステップM6)、制御ルーチンの開始点に復帰し、ステップM5においてセット状態のときには応答信号を送信することなく制御ルーチンの開始点に復帰する。
【0046】
一方、ステップM4において受信信号が応答要求信号でなかった場合には、受信信号が応答停止信号か否かを判定し(ステップM7)、応答停止信号であった場合、自局宛であるか否かの判定のために応答停止信号中に含まれる認証用IDが自局のものと一致するか否かを判定し(ステップM8)、一致が確認されるとタイマーをスタートさせた後(ステップM9)、停止フラグをセットし(ステップM10)、制御ポイントをルーチンの開始点に移動させる。
【符号の説明】
【0047】
1 電気錠装置
2 携帯器
3 パッシブ送受信装置
4 リクエスト応答部
5 応答停止制御部
6 リクエスト信号送信部
7 停止信号出力部
8 認証部
9 制御信号出力部
10 制御信号格納部
11 停止階制御部
E エレベータ
Sc 機器制御システム
Sr 認証用ID受信システム
図1
図2
図3
図4
図5