特許第6391305号(P6391305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391305
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】光ファイバセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/41 20060101AFI20180910BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20180910BHJP
【FI】
   G01N21/41 102
   G01N21/359
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-119924(P2014-119924)
(22)【出願日】2014年6月10日
(65)【公開番号】特開2015-232522(P2015-232522A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2017年6月9日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 電子情報通信学会/2014年総合大会講演論文集(DVD),517頁,一般社団法人電子情報通信学会
(73)【特許権者】
【識別番号】598123138
【氏名又は名称】学校法人 創価大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 篤志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一弘
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−047018(JP,A)
【文献】 特開2007−170928(JP,A)
【文献】 特開2010−223817(JP,A)
【文献】 特開2010−223734(JP,A)
【文献】 特開2010−101801(JP,A)
【文献】 特開2006−030155(JP,A)
【文献】 佐々木博幸 (コアシステムジャパン), 関篤志, 渡辺一弘 (創価大 工),ヘテロコア光ファイバ型SPRセンサを用いるエタノール中のガソリン濃度の測定,電子情報通信学会技術研究報告,2012年 3月 2日,Vol.111 No.449,11-14
【文献】 プラズモニクス−基礎と応用,講談社サイエンティフィク,2010年10月 1日,6 局在型表面プラズモン、9.1.2 局在プラズモン共鳴
【文献】 Optimization of gold-nanoparticle-based optical fibre surface plasmon resonance (SPR)-based sensors,Sensors and Actuators B: Chemical,Elsevier B.V.,2010年 2月 4日,Vol. 164,pp. 43-53,doi: 10.1016/j.snb.2012.01.060
【文献】 関篤志,金ナノ粒子を固定化したヘテロコア光ファイバを用いる燃料成分センサの開発,科学研究費助成事業データベース,日本,2013年 5月21日,課題番号25420420、基盤研究(C),検索日2018年5月22日
【文献】 A surface plasmon resonance hydrogen sensor using Au/Ta2O5/Pd multi-layers on hetero-core optical fiber structures,Sensors and Actuators B: Chemical,Elsevier B.V.,2013年 5月14日,Vol. 185,pp. 53-58,doi: 10.1016/j.snb.2013.04.072
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/74
G01J 3/00− 9/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
KAKEN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア及びクラッドを有する光伝送部と、該光伝送部のコア及びクラッドに各々連なるコア及びクラッドを有するヘテロコア部とを備え、該ヘテロコア部が、前記光伝送部のコアよりも小径のコアを有する光ファイバと、
前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に固着された金ナノ粒子とを備え、
前記光伝送部と前記ヘテロコア部とを経由させて前記光ファイバでの光の伝送を行った場合に、前記ヘテロコア部での近赤外域の所定波長の光の吸収度合が、該ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率に応じて変化するように構成されており、
さらに、前記金ナノ粒子が固着されたヘテロコア部のクラッドの周囲の物質の屈折率を一定の屈折率に維持した状態で、前記光ファイバでの光の伝送を行った場合における該光の伝送強度の減衰度合いをXと定義し、前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に前記金ナノ粒子が固着されておらず、且つ、前記ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率を前記一定の屈折率に維持した状態で、前記光ファイバでの光の伝送を行った場合における該光の伝送強度の減衰度合いをX0と定義したとき、前記金ナノ粒子は、前記X0に対する前記Xの比率が1/100以下となる密度で、前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に固着されていることを特徴とする光ファイバセンサ装置。
【請求項2】
請求項1記載の光ファイバセンサ装置と、前記所定波長の光を少なくとも含む光を前記光ファイバに入射する光源と、前記光ファイバから出射する前記所定波長の光の強度を検出する光検出器とを備え、該光検出器の出力に基づいて前記ヘテロコア部のクラッドの周囲に存在する物質の特性を測定することを特徴とする測定システム。
【請求項3】
請求項記載の測定システムにおいて、前記物質は、ガソリンとアルコールとの混合燃料であり、該混合燃料におけるガソリン及びアルコールの混合割合を測定することを特徴とする測定システム。
【請求項4】
請求項1記載の光ファイバセンサ装置の製造方法であって、
記X0に対する前記Xの比率が飽和した状態となるまで、前記光ファイバのヘテロコア部を金ナノ粒子の懸濁液に浸漬させることにより、該ヘテロコア部のクラッドの外周面に前記金ナノ粒子を固着させたことを特徴とする光ファイバセンサ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを用いて構成されるセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の屈折率、あるいは、濃度等を測定するセンサ装置として、光ファイバを用いて構成されるセンサ装置が従来知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、光ファイバの一部に形成したヘテロコア部(コアの径が他の部分と異なる部分)のクラッドの外周面に、クロム膜に金膜を積層してなる金属膜と、エタノールにより収縮又は膨張することで屈折率が変化する交互積層膜とを装着した構造のエタノールセンサが本願出願人により提案されている。
【0004】
このエタノールセンサは、金属膜が装着された光ファイバのヘテロコア部のクラッドの外周面で表面プラズモン共鳴(SPR)を発生させることで、ヘテロコア部の周囲のエタノール濃度に応じた交互積層膜の屈折率の変化に応じて、光の伝送強度を変化させるように構成されている。
【0005】
また、例えば非特許文献1には、光ファイバの端部のクラッドを除去することで露出させたコアの外周面に、金ナノ粒子を固着させた構造のセンサが記載されている。該非特許文献1には、コアの外周面の金ナノ粒子によって、局在表面プラズモン共鳴という現象を発生させることで、光ファイバのコアの露出部分による光の吸収度合がピーク値となる波長が、該露出部分のコアの周囲の物質の屈折率に応じて変化することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−223817号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Optimization of gold-nanoparticle-based optical fibre surface plasmon resonance(SPR)-based sensors/M.H.Tu, T.Sun, K.T.V.Grattan/Sensors and Actuators B 164(2012)43-53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、液体等の物質の屈折率や濃度等を精度よく高感度に測定し得るセンサが望まれている。例えば、自動車産業等において、ガソリンとエタノール等のアルコールとの混合燃料におけるガソリン及びアルコールの混合割合を精度よく高感度に測定し得る安価なセンサが望まれている。
【0009】
しかるに、前記特許文献1、あるいは、非特許文献1に見られる如きセンサでは、液体などの物質の屈折率や濃度等の特性を高感度に計測する上では、不十分なものであった。
【0010】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、物質の屈折率や濃度等の特性を高感度に測定することを可能とする光ファイバセンサ装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、かかる光ファイバセンサ装置を容易に製造することができる方法を提供することを目的とする。
【0012】
また、物質の屈折率や濃度等の特性を安価なシステム構成で実現できる測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光ファイバセンサ装置は、上記目的を達成するために、コア及びクラッドを有する光伝送部と該光伝送部のコア及びクラッドに各々連なるコア及びクラッドを有するヘテロコア部とを備え、該ヘテロコア部が、前記光伝送部のコアよりも小径のコアを有する光ファイバと、前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に固着された金ナノ粒子とを備え、前記光伝送部と前記ヘテロコア部とを経由させて前記光ファイバでの光の伝送を行った場合に、前記ヘテロコア部での近赤外域の所定波長の光の吸収度合が、該ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率に応じて変化するように構成されており、
さらに、前記金ナノ粒子が固着されたヘテロコア部のクラッドの周囲の物質の屈折率を一定の屈折率に維持した状態で、前記光ファイバでの光の伝送を行った場合における該光の伝送強度の減衰度合いをXと定義し、前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に前記金ナノ粒子が固着されておらず、且つ、前記ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率を前記一定の屈折率に維持した状態で、前記光ファイバでの光の伝送を行った場合における該光の伝送強度の減衰度合いをX0と定義したとき、前記金ナノ粒子は、前記X0に対する前記Xの比率が1/100以下となる密度で、前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に固着されていることを特徴とする(第1発明)。
【0014】
ここで、本願発明者の各種実験、検討によって、前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に金ナノ粒子を固着させた構造の光ファイバセンサ装置では、前記光伝送部から前記ヘテロコア部のクラッドに進入する光が該クラッドの外周面の金ナノ粒子に作用するこで励起される局在表面プラズモン共鳴に起因して、前記ヘテロコア部での所定波長の光の吸収度合(ひいては、前記光ファイバでの所定波長の光の伝送強度の減衰度合)が、ヘテロコア部のクラッドの周囲の屈折率の変化に対して、前記特許文献1,2に見られる如き従来のセンサ装置に比して大幅に高感度なものとなることが判明した
さらに、本願発明者の各種実験、検討によれば、前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に固着された金ナノ粒子の密度(単位面積当たりの金ナノ粒子の個数)が大きいほど、X0に対する前記Xの比率が減少する傾向がある。そして、該比率が1/100以下となる状態は、ヘテロコア部のクラッドの外周面に固着されている金ナノ粒子の密度が高密度となっている状態である。
このような状態では、ヘテロコア部での光の吸収度合は、近赤外域の波長において、ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率の変化に対して顕著に高感度なものとなることが本願発明者の各種、実験、検討により判明した。
【0015】
そこで、本発明の光ファイバセンサ装置は、上記の如く構成した。これにより、本発明の光ファイバセンサ装置によれば、光ファイバでの近赤外域の波長の光の伝送強度の減衰度合を計測することで、ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率や濃度等の特性を高感度に測定することが可能となる
ここで、近赤外域の光は、可視光域の光に比べて、光ファイバの単位距離当たりの伝送強度の減衰が小さい。また、近赤外域の光は、一般に普及しているフォトダイオード等の安価な受光素子により検出できる。
このため、本発明の光ファイバセンサ装置を使用することで、ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率等の特性を測定するための安価な測定システムを構築することができる。また、光ファイバの必要長が長くなる環境下でも、ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率等の特性を高感度に測定し得る測定システムを構築することができる。
【0016】
補足すると、ヘテロコア部の周囲の物質が、例えば2種類以上の物質の混合物質である場合、該混合物質の屈折率は、一般に、該混合物質を構成する組成物質の濃度に応じて変化する。このため、ヘテロコア部での光の吸収度合は、該ヘテロコア部の周囲の物質の濃度に応じて変化し得る。従って、本発明の光ファイバセンサ装置は、物質の屈折率に限らず、該屈折率に影響を及ぼす物質の濃度等の他の特性を高感度に測定し得る装置としても利用できる。
【0023】
また、本発明の測定システムは、前記第1発明の光ファイバセンサ装置と、前記所定波長の光を少なくとも含む光を前記光ファイバに入射する光源と、前記光ファイバから出射する前記所定波長の光の強度を検出する光検出器とを備え、該光検出器の出力に基づいて前記ヘテロコア部のクラッドの周囲に存在する物質の特性を測定することを特徴とする(第発明)。
【0025】
この第2発明の測定システムによれば、ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率等の特性を、前記光検出器の出力を用いて高感度に測定できる。そして、前記光検出器は、前記所定波長の光の強度を検出し得るものでよいので、フォトダイオード等の一般に普及している安価な受光素子を使用できる。このため、測定システムを安価に構成できる。
【0026】
さらに、第2発明の測定システムでは、光ファイバの単位長当たりの近赤外域の波長の光の減衰度合が可視光域の波長の光に比べて比較的小さいことから、光源と光検出器との間の光ファイバの必要長が長いものとなる環境下でも、ヘテロコア部の周囲の物質の屈折率等の特性を、高感度に測定できる。
【0027】
上記第2発明の測定システムは、前記物質が、ガソリンとアルコールとの混合燃料であり、該混合燃料におけるガソリン及びアルコールの混合割合を測定するシステムである場合に好適である(第発明)。
【0028】
ここで、前記混合燃料の屈折率は、該混合燃料におけるガソリン濃度の増加(アルコール濃度の減少)に伴い増加する。従って、第発明によれば、前記混合燃料におけるガソリン及びアルコールの混合割合を、前記光検出器の出力に基づいて高感度に測定することができる。
【0029】
また、本発明の光ファイバセンサ装置の製造方法は、前記第1発明の光ファイバセンサ装置の製造方法であって、前記X0に対する前記Xの比率が飽和した状態となるまで、前記光ファイバのヘテロコア部を金ナノ粒子の懸濁液に浸漬させることにより、該ヘテロコア部のクラッドの外周面に前記金ナノ粒子を固着させたことを特徴とする(第発明)。
【0030】
ここで、本願発明者の各種実験、検討によれば、前記X0に対する前記Xの比率が飽和した状態となるまで、前記光ファイバのヘテロコア部を金ナノ粒子の懸濁液に浸漬させた場合に、前記比率が1/100以下となるような密度で、前記ヘテロコア部のクラッドの外周面に金ナノ粒子を固着させることができる。
【0031】
従って、第発明の製造方法によれば、前記第発明の光ファイバセンサ装置を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態の光ファイバセンサ装置の構成を示す図。
図2】本発明の一実施形態の測定システムの構成を示す図。
図3】(a),(b)は実施形態の光ファイバセンサ装置を使用した検証試験1の測定データを示すグラフ。
図4】(a),(b)は実施形態の光ファイバセンサ装置を使用した検証試験2の測定データを示すグラフ。
図5】(a),(b)は実施形態の光ファイバセンサ装置を使用した検証試験3の測定データを示すグラフ。
図6】本発明の測定システムの他の実施形態の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の一実施形態を図1図5を参照して以下に説明する。
【0034】
図1に示すように、本実施形態の光ファイバセンサ装置1は、所定長のヘテロコア部3を構成する光ファイバ2aの軸方向両端に、光伝送部4,4を構成する光ファイバ2b,2bを連接した構造の光ファイバ2と、ヘテロコア部3の外周面に固着された複数の金ナノ粒子10とを備える。
【0035】
光伝送部4を構成する各光ファイバ2bは、マルチモード光ファイバにより構成され、一定径(例えば50μm)のコア5bとその外周のクラッド6bとを有する。
【0036】
ヘテロコア部3を構成する光ファイバ2aは、シングルモード光ファイバにより構成され、光伝送部4のコア5bよりも小さい一定径(例えば3μm)のコア5aとその外周のクラッド6aとを有する。
【0037】
光伝送部4,4を構成する光ファイバ2b,2bは、ヘテロコア部3を構成する光ファイバ2aの軸方向両端に、融着等により同軸心に接合されている。これにより、ヘテロコア部3のコア5a及びクラッド6aは、各々、各光伝送部4のコア5b、クラッド6bに連なっている。
【0038】
なお、本実施形態では、ヘテロコア部3のコア5aの径は一定であるが、該コア5aの径は一定でなくてもよい。例えば、該コア5aの径は、ヘテロコア部3の両端寄りの部分で、徐々に変化する(光伝送部4から遠ざかるに伴い徐々に縮径する)ように形成されていてもよい。
【0039】
金ナノ粒子10は、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に固着されている。この固着は、例えば以下の手法によって行われる。
【0040】
まず、光ファイバ2のヘテロコア部3の外周面をシランカップリング剤を用いて表面処理することで、該ヘテロコア部3の外周面にアミノ基を導入する。
【0041】
次いで、このヘテロコア部3を粒径が5nm〜100nmの金ナノ粒子10を含む懸濁液(コロイド)に浸漬する。これにより、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に粒径が5nm〜100nmの複数の金ナノ粒子10が固着される。
【0042】
この場合、ヘテロコア部3を上記懸濁液に浸漬させる時間が長いほど、より多くの金ナノ粒子10がヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に固着される。従って、ヘテロコア部3を上記懸濁液に浸漬させる時間を適宜調整することで、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に固着される金ナノ粒子10の密度(単位面積あたりの金ナノ粒子10の個数)を調整できる。
【0043】
上記懸濁液は、例えば、クエン酸、L−アスコルビン酸、タンニン酸、水素化ホウ素ナトリウム、あるいは、水素化アルミニウムリチウム等の還元剤を用いて塩化金酸を還元することで作製される。なお、懸濁液中の金ナノ粒子10の粒径、ひいては、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に固着させる金ナノ粒子10の粒径は揃っていなくてもよい。
【0044】
本実施形態の光ファイバセンサ装置1は、上記如く構成されている。
【0045】
次に、本実施形態の光ファイバセンサ装置1を使用した測定システムの例を図2を参照して説明する。
【0046】
図2に示す測定システム20は、前記ヘテロコア部3を備える光ファイバ2に入射する光を出力する光源21と、光ファイバ2から出射する光を受光する光検出器22とを備える。
【0047】
光源21は、光ファイバ2の光伝送部4,4のうちの一方側の一端に接続される。この光源21としては、例えば多波長光としての白色光を出力する白色光源もしくは多波長光源、あるいは、所定波長のレーザ光を出力するレーザ光源が使用される。
【0048】
光検出器22は、光ファイバ2の光伝送部4,4のうちの他方側の他端に接続される。この光検出器22としては、例えばスペクトルアナライザ(分光器)、あるいは、所定波長もしくはその近辺の波長の光の受光強度に応じた出力を発生する受光素子等が使用される。
【0049】
なお、図示の測定システム20では、光検出器22は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ23に接続されている。そして、該光検出器22の計測データをコンピュータ23にに取り込んで、データ解析等を行うことが可能となっている。
【0050】
また、光ファイバ2の中間部のヘテロコア部3の軸心方向の両端部分は治具24に装着される。この治具24を動かすことで、ヘテロコア部3を測定対象の液体中に浸漬させたり、測定対象の気体中に移動させることが可能となっている。
【0051】
かかる測定システム20による測定は次のように行われる。すなわち、光ファイバセンサ装置1のヘテロコア部3をその周囲に測定対象の物質が存在するように配置する。例えば、測定対象の物質が液体である場合には、ヘテロコア部3を該液体に浸漬させる。また、測定対象の物質が気体である場合には、ヘテロコア部3を該気体の雰囲気中に配置する。
【0052】
この状態で、光源21から光ファイバ2の一端に光を入射する。
【0053】
光ファイバ2にその一端から入射した光は、光源21側の光伝送部4のコア5bを通ってヘテロコア部3に進入し、該ヘテロコア部3を経由した後、光検出器22側の光伝送部4のコア5bを通って光ファイバ2の他端から出射する。そして、光ファイバ2の他端から出射した光が光検出器22で受光され、該光検出器22により、出射光の強度、スペクトル分布(波長分布)等が測定される。
【0054】
ここで、光源21側の光伝送部4のコア5bからヘテロコア部3に進入する光の一部は、ヘテロコア部3のクラッド6aに進入し、該クラッド6aを光検出器22側の光伝送部4に向かって伝播する。
【0055】
そして、ヘテロコア部3のクラッド6aに進入した光のうち、該クラッド6aの外周面で全反射する光は、該クラッド6aの外周面(界面)の金ナノ粒子10に近接場光として作用することで、該クラッド6aの外周面において局在表面プラズモン共鳴(以降、LSPRという)が励起される。このLSPRの励起により、ヘテロコア部3を通る所定波長及びその近辺の波長の光のエネルギーが吸収される。
【0056】
この場合、LSPRに起因する所定波長の光の吸収度合い、ひいては、光ファイバ2での所定波長の光の伝送強度の減衰度合いは、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率に応じたものとなる。また、ヘテロコア部3の周囲の物質が、例えば、複数の物質の混合物質である場合、該混合物質の屈折率は、一般に該混合物質を組成する物質の含有割合に応じて変化する。
【0057】
このため、光ファイバ2における所定波長の光の伝送強度の減衰度合い(光ファイバ2の入射光の強度に対する出射光の強度の比率)は、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率あるいは濃度等の特性に応じたものとなる。そして、本実施形態の構造の光ファイバセンサ装置1では、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率に応じた光の伝送強度の減衰度合いの変化の感度が高いものとなる。
【0058】
従って、光ファイバセンサ装置1は、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率等の特性を測定するためのセンサとして使用することができる。
【0059】
以下に、光ファイバセンサ装置1の特性に関する検証試験について説明する。
【0060】
[検証試験1]
光ファイバセンサ装置1を作製するにあたって、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に金ナノ粒子10を固着させるために、金ナノ粒子10を含む前記懸濁液にヘテロコア部3を浸漬させる時間を異ならせた複数の光ファイバセンサ装置1を作製した。
【0061】
そして、当該浸漬時間が異なる各光ファイバセンサ装置1について、そのヘテロコア部3を一定の屈折率を有する気体としての空気中に配置した状態で、前記測定システム20により、光ファイバ2の出射光のスペクトル(波長分布)を測定した。その測定結果を、図3(a)及び図3(b)のグラフに示す。なお、この場合、測定システム20の光源21として白色光源を使用し、光検出器22としてスペクトルアナライザ(分光器)を使用した。
【0062】
図3(a)は、前記浸漬時間を異ならせた光ファイバセンサ装置1について、光の波長と、光ファイバ2の光の伝送強度の相対減衰度合いとの関係を示すグラフ、図3(b)は、所定波長(540nm)における光の伝送強度の相対減衰度合いと、前記浸漬時間との関係を示すグラフである。
【0063】
ここで、上記相対減衰度合いは、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に金ナノ粒子を固着していない状態での光の伝送強度の減衰度合いを基準とする相対減衰度合いである。
【0064】
より詳しくは、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に金ナノ粒子を固着していない状態での光の伝送強度の減衰度合い(光ファイバ2の入射光の強度に対する出射光の強度の比率)をX0、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に金ナノ粒子が固着した状態の光ファイバセンサ装置1における光の伝送強度の減衰度合いをXとしたとき、上記相対減衰度合いは、X/X0である。
【0065】
なお、本実施形態の説明では、上記相対減衰度合をデシベル単位で表わす。この場合、X/X0の比率で表される相対減衰度合を、デシベル単位で表したものは、10・log(X/X0)である。
【0066】
図3(a)に示されるように、相対減衰度合いの大きさ(絶対値)は、前記浸漬時間を異ならせたいずれの光ファイバセンサ装置1についても、ほぼ所定波長(540nmの波長)の近辺でピーク値となる。
【0067】
また、図3(b)に示されるように、相対減衰度合いの大きさ(絶対値)がピーク値となる540nmの波長での相対減衰度合いの大きさは、基本的には、前記浸漬時間が長くなるほど、大きくなる。これは、前記浸漬時間が長いほど、ヘテロコア部3のクラッド6bの外周面に固着する金ナノ粒子10の密度(単位面積当たりの個数)が高まり、ひいては、LSPRに起因する所定波長(ここでは、540nmの波長)の光の吸収度合いが高まるためと考えられる。
【0068】
ただし、上記相対減衰度合いの大きさは、前記浸漬時間が概ね15分を超えると、飽和する。これは、前記浸漬時間が概ね15分を超えると、ヘテロコア部3のクラッド6bの外周面への金ナノ粒子10の固着が飽和するためと考えられる。この飽和状態での、相対減衰度合いは、約−20dB(X/X0=1/100)である。従って、相対減衰度合(X/X0)が1/100以下となった状態は、該相対減衰度合が飽和した状態(換言すれば、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面への金ナノ粒子10の固着が飽和した状態)とみなすことができる。以降、このように相対減衰度合いが飽和した状態を、金ナノ粒子10の固着飽和状態ということがある。
【0069】
[検証試験2]
次に、前記浸漬時間を、前記相対減衰度合いが、金ナノ粒子10の固着飽和状態における相対減衰度合い(≒−20dB)の約80%の相対減衰度合い(≒−17dB)に達するまでの時間とした光ファイバセンサ装置1を作製した。そして、この光ファイバセンサ装置1のヘテロコア部3をガソリン及びエタノールの混合燃料に浸漬させた状態(ヘテロコア部3の周囲の物質を混合燃料とした状態)で、前記測定システム20により、光ファイバ2の出射光のスペクトル(波長分布)を測定した。
【0070】
この場合、上記混合燃料におけるガソリン及びエタノールの混合割合(ひいては、ガソリン濃度及びエタノール濃度)を複数の値に変化させて測定を行った。その測定結果を、図4(a)及び図4(b)のグラフに示す。なお、この場合、光源21として白色光源を使用し、光検出器22としてスペクトルアナライザ(分光器)を使用した。
【0071】
図4(a)は、前記混合割合を異ならせた各混合燃料毎の測定における光の波長と、光ファイバ2の光の伝送強度の相対減衰度合いとの関係を示すグラフ、図4(b)は、所定波長(545nm)における光の伝送強度の相対減衰度合いと、前記混合割合に対応するガソリン濃度との関係を示すグラフである。
【0072】
図4(a)に示されるように、相対減衰度合いの大きさ(絶対値)は、前記混合割合を異ならせたいずれの混合燃料についても、ほぼ所定波長(545nmの波長)の近辺でピーク値となる。
【0073】
また、図4(b)に示されるように、相対減衰度合いの大きさ(絶対値)がほぼピーク値となる545nmの波長での相対減衰度合いの大きさは、混合燃料のガソリン濃度が高くなるほど(換言すれば、混合燃料のエタノール濃度が低くなるほど)、大きくなる。
【0074】
ここで、ガソリン及びエタノールの混合燃料の屈折率は、ガソリンの濃度が高くなるほど、増加する。従って、ヘテロコア部3の周囲の混合燃料のガソリン濃度が高くなるほど、光の伝送強度の相対減衰度合いが大きくなるということは、ヘテロコア部3の周囲の混合燃料の屈折率が大きいほど、光の伝送強度の相対減衰度合いが大きくなるということに相当する。
【0075】
この場合、混合燃料のガソリン濃度が、0%から100%まで変化すると、相対減衰度合いは、11dB程度変化する。すなわち、光ファイバ2における光の伝送強度の相対減衰度合い(X/X0)は、混合燃料のガソリン濃度が0%である場合と、100%である場合とで10倍以上変化する。
【0076】
従って、ガソリン及びエタノールの混合燃料の混合割合(あるいはガソリン濃度、あるいは、エタノール濃度)を、検証試験2で作製した光ファイバセンサ装置1を使用して高感度に測定できることが判る。このため、検証試験2で作製した光ファイバセンサ装置1は、上記混合燃料の混合割合(あるいはガソリン濃度、あるいは、エタノール濃度)を検出するためのセンサとして利用できる。
【0077】
このように、混合燃料の混合割合を検出するためのセンサとして光ファイバセンサ装置1を使用した場合、例えば、該混合燃料により運転可能な内燃機関の運転制御(燃料噴射量の制御等)を、該混合燃料の混合割合の検出値に応じて行うことができる。
【0078】
また、この場合、545nm付近の波長の光に対して、相対減衰度合いが混合燃料の混合割合に応じて高感度に変化することから、光ファイバ2の出射光の強度を検出する光検出器22は、スペクトルアナライザ等の分光器でなくてもよく、545nm付近の一定波長の光を検出し得るフォトダイオード等の一般に普及している受光素子でよい。従って、測定システム20を安価に構成できる。
【0079】
[検証試験3]
次に、前記金ナノ粒子10の固着飽和状態となるまで(前記相対減衰度合X/X0が飽和するまで)前記懸濁液にヘテロコア部3を浸漬させた光ファイバセンサ装置1を作製した。そして、この光ファイバセンサ装置1のヘテロコア部3を、前記検証試験2の場合と同様に、ガソリン及びエタノールの混合燃料に浸漬させた状態で、前記測定システム20により、光ファイバ2の出射光のスペクトル(波長分布)を測定した。
【0080】
この場合、上記混合燃料におけるガソリン及びエタノールの混合割合(ひいては、ガソリン濃度及びエタノール濃度)を複数の値に変化させて測定を行った。その測定結果を、図5(a)及び図5(b)のグラフに示す。なお、この場合、測定システム20の光源21として白色光源を使用し、光検出器22としてスペクトルアナライザ(分光器)を使用した。
【0081】
図5(a)は、前記混合割合を異ならせた各混合燃料毎の測定における光の波長と、光ファイバ2の光の伝送強度の相対減衰度合いとの関係を示すグラフ、図5(b)は、3種類の所定波長(415nm、580nm、900nm)における光の伝送強度の相対減衰度合いと、前記混合割合に対応するガソリン濃度との関係を示すグラフである。
【0082】
図5(a)に示されるように、相対減衰度合いの大きさ(絶対値)は、前記混合割合を異ならせたいずれの混合燃料についても、概ね415nm、580nm、900nmの3種類の所定波長の近辺でピーク値となる。
【0083】
この場合、検証試験3で作製した光ファイバセンサ装置1は、前記検証試験2で作製した光ファイバセンサ装置1よりも、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に高密度で金ナノ粒子10が固着されているため、光の伝送時に、相互に近接した金ナノ粒子10間で強い電場が発生する。このことに起因して、検証試験3で作製した光ファイバセンサ装置1での光の伝送強度の相対減衰度合いのスペクトル特性(波長分布特性)は、前記検証試験2で作製した光ファイバセンサ装置1と比較的大きく相違するものとなっていると考えられる。
【0084】
また、検証試験3で作製した光ファイバセンサ装置1では、図5(b)に示されるように、相対減衰度合いの大きさ(絶対値)がほぼピーク値となる415nmの波長、あるいは、580nmの波長、あるいは、900nmの波長での相対減衰度合いの大きさは、基本的には、混合燃料のガソリン濃度が高くなるほど(換言すれば、混合燃料のエタノール濃度が低くなるほど、あるいは、混合燃料の屈折率が大きいほど)、大きくなる。
【0085】
ここで、図5(a)と前記検証試験2に関する図4(a)とを比較して判るように、ヘテロコア部3への金ナノ粒子10の固着が前記固着飽和状態に達していない状態の光ファイバセンサ装置1(検証試験2で作製した光ファイバセンサ装置1)では、580nm付近の波長では、混合燃料の混合割合に対する相対減衰度合いの感度が比較的高いものとなるが、金ナノ粒子10の固着飽和状態となっている光ファイバセンサ装置1(検証試験3で作製した光ファイバセンサ装置1)では、580nm付近の波長では、混合燃料の混合割合に対する相対減衰度合いの変化の感度が比較的低いものとなる。
【0086】
一方、ヘテロコア部3への金ナノ粒子10の固着が前記固着飽和状態に達していない状態の光ファイバセンサ装置1(検証試験2で作製した光ファイバセンサ装置1)では、近赤外域の波長である900nmの波長では、混合燃料の混合割合に対する相対減衰度合いの変化の感度が低いのに対して、金ナノ粒子10の固着飽和状態となっている光ファイバセンサ装置1(検証試験3で作製した光ファイバセンサ装置1)では、900nm付近の波長では、混合燃料の混合割合に対する相対減衰度合いの変化の感度が高いものとなる。
【0087】
具体的には、検証試験3で作製した光ファイバセンサ装置1では、900nm付近の波長での相対減衰度合いの大きさは、混合燃料のガソリン濃度が、0%から100%まで変化すると、11dB程度変化する。すなわち、光ファイバ2における近赤外域の光の伝送強度の減衰度合い(X/X0)は、混合燃料のガソリン濃度が0%である場合と、100%である場合とで10倍以上変化する。
【0088】
従って、ガソリン及びエタノールの混合燃料の混合割合(あるいはガソリン濃度、あるいは、エタノール濃度)を、検証試験3で作製した光ファイバセンサ装置1を使用して高感度に測定できることが判る。このため、検証試験3で作製した光ファイバセンサ装置1は、上記混合燃料の混合割合(あるいはガソリン濃度、あるいは、エタノール濃度)を検出するためのセンサとして利用できる。
【0089】
また、この場合、特に、近赤外域の波長の光に対して、相対減衰度合いが混合燃料の混合割合に応じて高感度に変化することから、光ファイバ2の出射光の強度を検出する光検出器22は、スペクトルアナライザ等の分光器でなくてもよく、近赤外域の一定波長の光を検出し得る受光素子を使用できる。そして、このような受光素子は、一般に広く普及している。従って、測定システム20を安価に構成できる。
【0090】
さらに、近赤外域の波長の光は、それよりも低い波長(例えば415nm、580nm等)の光に比べて、光ファイバ2の光伝送部4での減衰が生じにくいために、該光伝送部4での単位長当たりの光の減衰度合が小さい。このため、光ファイバ2の必要長が比較的長いものとなる測定システム20においても、前記混合燃料の混合割合、あるいは、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率などを高感度に測定することができる。
【0091】
以上の如く、本実施形態の光ファイバセンサ装置1によれば、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に、金ナノ粒子10を固着させたことによって、光ファイバ2で光の伝送を行った場合に、ある所定波長での光の伝送強度の相対減衰度合が、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率に応じて高感度に変化する。このため、該物質の屈折率、あるいは、該屈折率を規定する濃度等の特性を、光ファイバ2から出射する所定波長の光の強度を検出する光検出器22の出力に基づいて高感度に測定することができる。
【0092】
また、所定波長の光の強度を検出し得る比較的安価な光検出器22を使用して測定システム20を構成できるので、該測定システム20を安価に構成できる。
【0093】
また、特に、ヘテロコア部3のクラッド6aの外周面に、金ナノ粒子10を固着飽和状態まで固着させた場合には、近赤外域の波長において、光の伝送強度の相対減衰度合が、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率に応じて高感度に変化する。
【0094】
このため、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率、あるいは、該屈折率を規定する濃度等の特性を高感度に測定し得る測定システム20を安価に構成できるだけでなく、光ファイバ2の必要長が比較的長いものとなる場合でも、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率あるいは濃度等を、高出力の光源21等を使用せずとも適切に測定できる。
【0095】
なお、以上説明した実施形態では、測定対象の物質の一例として、ガソリン及びエタノールの混合燃料を例示したが、ガソリンとエタノール以外のアルコール(メタノール等)との混合燃料の混合割合(あるいはガソリン濃度、あるいは、アルコール濃度)を、前記実施形態の光ファイバセンサ装置1を使用した測定システム20により高感度に測定することもできる。
【0096】
また、前記実施形態では、ヘテロコア部3を中間部に備える光ファイバ2の一端から他端まで光を伝送する測定システム20を例示したが、例えば、図6に示す如く測定システムを構成してもよい。
【0097】
図6に示す測定システム30では、光ファイバセンサ装置1のヘテロコア部3を構成する光ファイバ2aの一端に光伝送部4を構成する光ファイバ2bが連接される一方、ヘテロコア部3を構成する光ファイバ2aの他端部には、反射鏡7が装着されている。そして、光伝送部4を構成する光ファイバ2bは、カプラ25を介して光源21と、光検出器22とに接続されている。
【0098】
このように構成された測定システム30では、光源21から光ファイバ2bにカプラ25を介して入射される光は、光ファイバ2bからヘテロコア部3に進入した後、反射鏡7で反射されて光ファイバ2bに戻る。そして、この戻り光は、カプラ25を経由して光検出器22で受光される。
【0099】
かかる測定システム30においても、光検出器22で受光される所定波長の光の強度は、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率に応じて高感度に変化する。このため、ヘテロコア部3の周囲の物質の屈折率、あるいは、これを規定する濃度等を光検出器22で受光される所定波長の光の強度に基づいて高感度に測定することができる。
【符号の説明】
【0100】
1…光ファイバセンサ装置、2,2a,2b…光ファイバ、3…ヘテロコア部、4…光伝送部、5a,5b…コア、6a,6b…クラッド、10…金ナノ粒子、20…測定システム、21…光源、22…光検出器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6