(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発泡倍率が80〜140倍で融着率が90%以上であり、曲げ強さ(JISK7221−2)が70〜120kPaで、曲げ弾性率(JISK7221−2)が1000〜4000kPaであることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡体は、発泡倍率が80〜140倍で融着率が90%以上であり、曲げ強さ(JISK7221−2)が70〜120kPaの範囲で、曲げ弾性率(JISK7221−2)が1000〜4000kPaの範囲のものである。
これまでのポリスチレン系樹脂発泡体では、発泡倍率が通常、50〜70倍程度の範囲で使用されるのが一般的であるが、本願発明のポリスチレン系樹脂発泡体では、少なくとも80倍であり、80倍から140倍の範囲の発泡倍率とされる。
発泡倍率を高い範囲とすることで、ポリスチレン系樹脂発泡体の軽量性を一層高めることができる。
また、ポリスチレン系樹脂発泡体の発泡倍率を高くすることで、発泡させた後、一旦ポ
リスチレン系樹脂発泡体を収縮させ、これを復元することで柔軟性を向上することを可能とするものである。
なお、本発明における発泡倍率が80〜140倍であるポリスチレン系樹脂発泡体は復元後の最終製品の状態(最終発泡体)での値である。
【0012】
本発明のポリスチレン系樹脂発泡体では、融着率を90%以上とする。発泡倍率を高い範囲とすると、割れやすくなることから、これを防止するため融着率を90%以上にする必要がある。
この融着率は、ポリスチレン系樹脂発泡体を構成する個々の発泡粒子の接着度合いを表すものであり、融着率の測定は、ポリスチレン系樹脂発泡体を板状に加工し、外力を加えて曲げて破断させ、破断面を目視観察することで行う。破断面の任意の範囲において、発泡粒子同士の界面ではなく、粒子内で破断している割合を数えて算出する。例えば50個の粒子について、粒子内で破断しているものが45個以上であれば、45/50×100=90%であり、45個以上であれば融着率が90%以上である。
また、割れ性とは、衝撃時のこわれやすさであるが、従来のポリスチレン系樹脂発泡体では、柔軟性に欠け、小さなたわみ量で亀裂が入り割れやすい性質だったものを、本発明のポリスチレン系樹脂発泡体は、柔軟性に優れ、より大きなたわみ量でも割れにくくなり、割れ性も向上させることができた。
【0013】
本発明のポリスチレン系樹脂発泡体では、曲げ強さ(JISK7221−2)が70〜120kPaの範囲で、曲げ弾性率(JISK7221−2)が1000〜4000kPaの範囲とされる。
曲げ強さをこのような70〜120kPaの範囲とすることで、これまでのポリスチレン系樹脂発泡体に比べ、柔軟性を向上することができる。
曲げ強さが70kPaより小さくなると、ポリスチレン系樹脂発泡体として機械的な強度が不十分となり、弱い衝撃荷重でポリスチレン系樹脂発泡体自体が破損してしまい、梱包用緩衝材として使用する場合にも問題となる。
一方、曲げ強さが120kPaを越え大きくなると、これまでのポリスチレン系樹脂発泡体と同程度の値となり、ポリスチレン系樹脂発泡体の柔軟性の向上を図ることができなくなる。
【0014】
また、ポリスチレン系樹脂発泡体の柔軟性の向上を図るために、曲げ弾性率についても1000〜4000kPaの範囲とされる。
曲げ弾性率をこのような1000〜4000kPaの範囲とすることで、これまでのポリスチレン系樹脂発泡体に比べ、柔軟性を向上することができる。
【0015】
このような発泡倍率が80〜140倍で融着率が90%以上であり、曲げ強さ(JISK7221−2)が70〜120kPaの範囲で、曲げ弾性率(JISK7221−2)が1000〜4000kPaの範囲の本発明のポリスチレン系樹脂発泡体では、柔軟性が向上したことにより、落下衝撃性試験結果においてもこれまでのポリスチレン系樹脂発泡体の値に比べ、10%以上衝撃作用時間が長くなり、最大加速度も減少する。
【0016】
落下衝撃試験は、縦385mm、横310mm、厚さ80mm、総重量10.5kgのおもりを用意し、その底面に、厚さ30mmの供試体を貼り付けた。供試体の受け面積を153cm
2とし、おもりに加速度計を取付け、プラスチックダンボールで梱包した。
梱包したおもりと供試体を衝撃試験装置(吉田精機(株)製:ASQ−700型)の基板上に設置する。なお、おもりは落下衝撃を加えたときに移動しないよう治具で固定する。
この落下衝撃試験では、衝撃試験装置を使用して高さ60cmからの自由落下と同等の衝撃をおもりに加え、落下衝突時に発生する衝撃作用時間(ms)及び最大加速度(G)を測定した。なお、最大加速度は、値が小さいほど優れた衝撃吸収性を示す。
その結果、本発明のポリスチレン系樹脂発泡体では、従来のものよりも衝撃作用時間が10%以上長くなり、最大加速度も減少し、衝撃吸収性が向上した。
【0017】
本発明のポリスチレン系樹脂発泡体のおけるポリスチレン系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、スチレンを50質量%以上含有するポリスチレン系樹脂が好ましく、なかでもポリスチレンがより好ましい。
【0018】
また、ポリスチレン系樹脂としては、スチレンモノマーを主成分とする、スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であっても良く、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーなどを挙げることができる。
【0019】
また、ポリスチレン系樹脂が主成分であれば、他の樹脂を添加しても良く、添加する樹脂としては、例えば、発泡成形体の耐衝撃性を向上させるために、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性ポリスチレン系樹脂、いわゆるハイインパクトポリスチレンを挙げることができる。あるいは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などを挙げることができる。
【0020】
原料となるポリスチレン系樹脂としては、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂(バージンポリスチレン)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたリサイクル原料を使用することができる。このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料の中から、質量平均分子量Mwが12万〜40万の範囲となる原料を適宜選択し、または質量平均分子量Mwが異なる複数のリサイクル原料を適宜組み合わせたものを用いることができる。
【0021】
次に、本発明の物性を備えたポリスチレン系樹脂発泡体を得るためには、型内発泡法が用いられ、押出発泡成形法は用いない。
型内発泡法によりポリスチレン系樹脂発泡体を得る方法として2の方法がある。
【0022】
A)圧縮成形により復元させて柔軟性を得る方法
原料となる発泡性ポリスチレン系樹脂ビーズ(発泡剤が含有されている)を用い、加熱媒体として蒸気を使用し、所定の発泡倍率(密度)まで発泡させることで予備発泡粒子とする。
この予備発泡工程は攪拌装置の付いた円筒形の予備発泡装置を用いて行い、加熱後の予備発泡粒子は送風機によってサイロと呼ばれる通気性の良い布袋に送り、室温下で一定時間貯蔵する。そして、発泡倍率を80〜140倍まで高倍率で発泡させる場合は、予備発泡を2回以上に分けて行い、貯蔵後の予備発泡粒子を、予備発泡装置を用いて再度発泡させる。
得られた予備発泡粒子を型内発泡成形用金型装置に充填後、蒸気を圧入して予備発泡粒子同士を熱融着させることで、発泡倍率が80〜140倍で、融着率が90%以上の型内発泡成形体を得る。
次いで、2段予備発泡粒子を用いて成形した型内発泡成形体に対して圧縮処理を行う。
この圧縮処理では、型内発泡成形体に圧縮荷重をかけ、元の厚さの70〜30%となるように圧縮する。また、圧縮条件として、荷重を開放した後1分後の発泡成形体の復元率が、元の厚さの90〜97%となるように調整する。
なお、圧縮手段としては、高圧プレス機やロールプレス機が用いられて圧縮加工が行われる。
【0023】
このような圧縮処理と復元とによれば、ポリスチレン系樹脂発泡体は発泡粒子の集合体であり、高荷重の圧縮処理を施すことで、個々の発泡粒子が押しつぶされて破損し、復元された発泡粒子で構成されるポリスチレン系樹脂発泡成形体に柔軟性および衝撃吸収性が付与されると考えられる。
このようにポリスチレン系樹脂を発泡倍率が80〜140倍で、融着率が90%以上の型内発泡成形体を得たのち、圧縮処理を行って復元させることで、ポリスチレン系樹脂発泡体に柔軟性を付与することができ、曲げ強さ(JISK7221−2)が70〜120kPaの範囲で、曲げ弾性率(JISK7221−2)が1000〜4000kPaの範囲のポリスチレン系樹脂発泡体とすることができる。なお、復元後のポリスチレン系樹脂発泡体の発泡倍率は、型内発泡成形体よりも若干小さくなる傾向にあるが、発泡倍率は80〜140倍の範囲となる。
したがって、ブロック状、板状に成形されたポリスチレン系樹脂発泡体を用途に応じて設計された形状、例えばコーナーパッド等の形状に合わせて熱線や抜き型により加工することで、梱包用緩衝材とすることができる。
【0024】
B)加熱による圧縮成形で復元させて柔軟性を得る方法
圧縮成形による場合と同様に、2段発泡させた発泡倍率が80〜140倍の2段予備発泡粒子を用いる。
この2段予備発泡粒子を成形型に充填し、通常の型内発泡成形と同様に、ブローバック工程、真空排気工程を経て、蒸気を用いて加熱する成形工程の総加熱時間を調整して融着率が90%以上の発泡成形体としたのち、水冷と空冷を行って冷却する。
さらに、発泡成形体を成形型に入れたままの状態で、低圧蒸気を用いて再加熱時間を調整して再加熱し、成形型内の発泡成形体に収縮変形が生じるようにした後、真空放冷時間を調整して真空放冷を行って型内から取り出す(脱型)。
そして、成形型内から取り出した圧縮変形が生じている発泡成形体を温度が40〜70℃、好ましくは50℃以上に保たれた乾燥室内で4〜72時間、好ましくは24間程度乾燥する。
すると、高温に保たれた乾燥室に保持することで、収縮変形した発泡成形体の残留ひずみが除去され、ほぼ元の形状に復元される。
【0025】
このようにポリスチレン系樹脂を発泡倍率が80〜140倍で、融着率が90%以上の型内発泡成形体を得たのち、型内発泡成形と再加熱を行うことで、圧縮して復元させることで、ポリスチレン系樹脂発泡体に柔軟性を付与することができ、曲げ強さ(JISK7221−2)が70〜120kPaの範囲で、曲げ弾性率(JISK7221−2)が1000〜4000kPaの範囲のポリスチレン系樹脂発泡体とすることができる。なお、復元後のポリスチレン系樹脂発泡体の発泡倍率は、型内発泡成形体よりも若干小さくなる傾向にあるが、発泡倍率は80〜140倍の範囲となる。
したがって、型内発泡成形の成形型を用途に応じて設計された形状、例えば複雑な形状に合わせておくことで、複雑な形状の梱包用緩衝材とすることができる。
【実施例】
【0026】
以下に、本願発明のポリスチレン系樹脂発泡体の実施例について、比較例とともに説明する。
[実施例1]
まず、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡倍率100倍以上に予備発泡させ、得られた予備発泡粒子を室温で24時間以上熟成させた後、型物成形機(DAISEN株式会社製、VS300)を使用して、0.12MPaの蒸気圧力で30秒以上の加熱工程を加え、冷却後に金型から取り出し、型内発泡成形体を得る。
得られた型内発泡成形体から縦300mm×横300mm×厚さ50mmの試験体を作成し、高圧プレス機を使い、縦300mm×横300mmの面に対して約4トンの圧縮荷重を加えた状態で60秒間保持する。
この後、圧縮荷重を取り除いて復元された発泡粒子で構成されるポリスチレン系樹脂発泡成形体に対し、フォーム状態、発泡倍率、曲げ強さ(JISK7221−2)、曲げ弾性率(JISK7221−2)、衝撃作用時間、最大加速度、融着率、割れ性について測定・評価し、その結果を表1に示した。
【0027】
ここで、衝撃作用時間及び融着率の測定方法は、前述した通りであり、発泡倍率は、次式により算出される値である。
発泡倍率=1/密度(g/cm
3)
なお、密度は、JISA9511に準拠して測定した値である。
【0028】
また、最大加速度、融着率及び割れ性の評価基準は、以下の通りである。
〔最大加速度〕
○ 最大加速度が55G以下
△ 最大加速度が56G以上75G以下
× 最大加速度が76G以上
〔融着率〕
◎ 融着率が90%以上
○ 融着率が70%以上90%未満
△ 融着率が50%以上70%未満
〔割れ性〕
◎ 柔軟性に優れ、大きなたわみ量でも割れない
○ 柔軟性を有し、多少のたわみ量でも割れない
△ 柔軟性に欠け、小さなたわみ量で割れてしまう
【0029】
この実施例1のポリスチレン系樹脂発泡成形体では、フォーム状態は良好であり、発泡倍率は103倍、曲げ強さは107kPa、曲げ弾性率は2434kPa、衝撃作用時間は20.6ms、最大加速度は55G以下の○、融着率は90%以上の◎、割れ性は良好の○であった。
【0030】
[実施例2]
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡倍率100倍以上に予備発泡させ、得られた予備発泡粒子を室温で24時間以上熟成させた後、型物成形機(DAISEN株式会社製、VS300)を使用して、以下の成形条件でポリスチレン系樹脂発泡成形体を作成した。
成形条件
成形蒸気圧:ゲージ圧0.12MPa、原料充填時間:11秒、ブローバック時間:3秒、真空排気時間:2秒、加熱時間:82秒、水冷時間:10秒、空冷時間:9秒として型成形を行った。
この後、脱型せずに、再加熱蒸気圧:ゲージ圧0.02MPaで、再加熱時間:1200秒、真空放冷時間:600秒として再加熱を行った。
この後、成形金型から脱型した発泡成形体を50℃以上に保たれた乾燥室に24時間保持して、収縮・変形した発泡成形体をほぼ元の形状に復元させた。
得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体に対し、フォーム状態、発泡倍率、曲げ強さ(JISK7221−2)、曲げ弾性率(JISK7221−2)、衝撃作用時間、最大加速度、融着率、割れ性について測定・評価し、その結果を表1に示した。
この実施例2のポリスチレン系樹脂発泡成形体では、フォーム状態は良好であり、発泡倍率は106倍、曲げ強さは113kPa、曲げ弾性率は1399kPa、衝撃作用時間は20.6ms、最大加速度は55G以下の○、融着率は90%以上の◎、割れ性は良好の○であった。
【0031】
[実施例3]
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡倍率110倍以上に予備発泡させ、得られた予備発泡粒子を室温で24時間以上熟成させた後、型物成形機(DAISEN株式会社製、VS300)を使用して、以下の成形条件でポリスチレン系樹脂発泡成形体を作成した。
成形条件
成形蒸気圧:ゲージ圧0.12MPa、原料充填時間:11秒、ブローバック時間:3秒、真空排気時間:2秒、加熱時間:82秒、水冷時間:10秒、空冷時間:9秒として型成形を行った。
この後、脱型せずに、600秒間の真空放冷を行った。
この後、成形金型から脱型した発泡成形体を50℃以上に保たれた乾燥室に24時間保持して、収縮・変形した発泡成形体をほぼ元の形状に復元させた。
得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体に対し、フォーム状態、発泡倍率、曲げ強さ(JISK7221−2)、曲げ弾性率(JISK7221−2)、衝撃作用時間、最大加速度、融着率、割れ性について測定・評価し、その結果を表1に示した。
この実施例3のポリスチレン系樹脂発泡成形体では、フォーム状態は良好であり、発泡倍率は115倍、曲げ強さは74kPa、曲げ弾性率は1072kPa、衝撃作用時間は20.7ms、最大加速度は55G以下の○、融着率は90%以上の◎、割れ性は良好の○であった。
【0032】
[比較例1]
実施例1と同様にして、ポリスチレン系樹脂発泡体として発泡倍率が100倍の発泡成形体を作成し、その後の圧縮処理や復元を行わないものを用意した。
得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体に対し、フォーム状態、発泡倍率、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃作用時間、最大加速度、融着率、割れ性について測定・評価し、その結果を表1に示した。
この比較例1のポリスチレン系樹脂発泡成形体では、フォーム状態は良好であり、発泡倍率は107倍、曲げ強さは129kPa、曲げ弾性率は4407kPa、衝撃作用時間は18.2ms、最大加速度は56G以上75G以下の△、融着率は90%以上の◎、割れ性はやや劣る△であった。
【0033】
[比較例2]
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡倍率50倍以上に予備発泡させ、得られた予備発泡粒子を室温で24時間以上熟成させた後、型物成形機(DAISEN株式会社製、VS300)を使用して、0.12MPaの蒸気圧力で30秒以上の加熱工程を加え、冷却後に金型から取り出し、ポリスチレン系樹脂発泡体として発泡倍率が50倍の発泡成形体を作成し、その後の圧縮処理や復元を行わないものを用意した。
得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体に対し、フォーム状態、発泡倍率、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃作用時間、最大加速度、融着率、割れ性について測定・評価し、その結果を表1に示した。
この比較例2のポリスチレン系樹脂発泡成形体では、フォーム状態は良好であり、発泡倍率は52倍、曲げ強さは285kPa、曲げ弾性率は12316kPa、衝撃作用時間は3.6ms、最大加速度は76G以上の×、融着率は70以上90%未満の○、割れ性はやや劣る△であった。
【0034】
[比較例3]
ポリスチレン・ポリオレフィン共重合体樹脂粒子を発泡倍率50倍以上に予備発泡させ、得られた予備発泡粒子を室温で24時間以上熟成させた後、型物成形機(DAISEN株式会社製、VS300)を使用して、0.12MPaの蒸気圧力で30秒以上の加熱工程を加え、冷却後に金型から取り出し、ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体として発泡倍率が50倍の発泡成形体を作成し、その後の圧縮処理や復元を行わないものを用意した。
得られたポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡成形体に対し、フォーム状態、発泡倍率、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃作用時間、最大加速度、融着率、割れ性について測定・評価し、その結果を表1に示した。
この比較例3のポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡成形体では、フォーム状態は良好であり、発泡倍率は51倍、曲げ強さは248kPa、曲げ弾性率は10550kPa、衝撃作用時間は15.5ms、最大加速度は56G以上75G以下の△、融着率は90%以上の◎、割れ性は良好の◎であった。
【0035】
[比較例4]
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡倍率50倍以上に予備発泡させ、得られた予備発泡粒子を室温で24時間以上熟成させた後、型物成形機(DAISEN株式会社製、VS300)を使用して、実施例2と同様の成形条件でポリスチレン系樹脂発泡成形体を作成した。
しかし、得られたポリスチレン樹脂発泡成形体では、完全に復元できず、収縮状態となり、発泡倍率、曲げ強さ、曲げ弾性率、衝撃作用時間、最大加速度、融着率、割れ性について測定・評価することができなかった。
【0036】
以上の実施例および比較例によれば、従来の同発泡倍率のポリスチレン樹脂発泡体である比較例1に比べて、実施例1〜3では、曲げ強さが70〜120kPa、曲げ弾性率が1000〜4000kPaとなり、柔軟性が向上したことが確認された。
また、落下衝撃試験では、衝撃作用時間が長くなることで、より大きな落下衝撃を緩和することができ、短くなると、衝突箇所の局部的な破損を招くおそれがあるが、実施例1〜3では、衝撃作用時間が比較例1よりも10%以上長くなり、最大加速度(G)も減少したことから、衝撃吸収性が増加したことが確認された。
融着率と割れ性について、発泡倍率を高くしたにもかかわらず、融着度を高くしたことで、割れ性を同一発泡倍率の従来のポリスチレン樹脂発泡体(比較例1)に比べ向上できたことが確認された。
また、実施例1〜3は、低発泡倍率の比較例2、及びポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体の比較例3と比べても、柔軟性に優れるとともに、衝撃作用時間が長く、最大加速度(G)も減少し、割れ性も同等以上に向上できた。
また、比較例4では、発泡倍率が低く、そのため復元が生じなかったものと考えられる。
【0037】
【表1】
【0038】
なお、本願発明のポリスチレン系樹脂発泡体を、梱包用緩衝材として使用することで、緩衝性能を向上することができ、梱包用緩衝材の使用量を減らすことができる。また、これにより、梱包した電化製品や事務機器などを在庫しておくためのスペースを削減することができ、輸送も効率的に行うことができる。さらに、高い緩衝性能を必要とするため、ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体を使用する必要がなく、ポリスチレン系樹脂発泡体を用いることで、複合材に比べ、単体の方がリサイクルの面で優れている。