(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記図形パターン表示手段が、前記多角含有図形パターンを車両の進行方向に複数配列して縞模様の図形パターンを表示すること特徴とする請求項1に記載の車両用表示システム。
前記図形パターン表示手段が、前記多角含有図形パターンに加え、車両の進行方向に向かって凸となる凸型図形パターンを車両の進行方向の路面または路上設置物に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭乗したドライバーは、路面上の警告マークを斜め下方に見下ろす位置にいるため、ドライバーには、警告マークの前後の長さが実際の長さよりも短く見える。従って、特許文献1の
図4に記載されたような真円形状の警告マーク53をドライバーに「真円」と視認させる場合、特許文献1に記載された描画システムは、車両の進行方向に沿って前後に長い縦長の楕円マークを路面に描画する必要があり、ドライバーは、前方の縦長の楕円マークを見ることによって真円形状の警告マークとして視認することが出来る。
【0005】
しかし、ドライバーから真円形状に見える縦長の楕円マークは、特許文献1の
図4、
図5に示される進入禁止道路の上にいる歩行者から見た場合、交差する道路に沿って伸びた横長の楕円マークにしか見えない。従って、ドライバーに取って予定された形状に見える路面上の警告マークや文字等の警告表示は、交差道路上の歩行者にとってゆがんだ意味不明のマークにしか見えない。その結果、交差道路上の歩行者は、ゆがんだ意味不明の表示を見ても、車両が接近している情報として認識出来ずに車道に飛び出し、接触事故を起こすおそれがある。
【0006】
本願は、上記問題に鑑みて、歩行者に認識しやすい単純な図形パターンを路面等の所定位置に表示して、ドライバーの死角となる交差道路にいる歩行者等に車両の接近や接近する方向を容易に認識させることのできる車両用表示システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
車両用表示システムが、車線の左端縁部及び右端縁部の位置及び形状を検出して前記車線を特定する車線検出手段と、検出された前記左端縁部及び右端縁部に沿って伸びる一対の左右縁線と、一対の左右縁線の各前端に連続する前縁線と、一対の左右縁線の各後端に連続する後縁線と、によって囲まれてなる多角含有図形パターンを車両の進行方向の車線の内側に表示する図形パターン表示手段と、を備える。
【0008】
車線とは、車両の進行方向の車線または対向車線を示し、車両の進行方向の車線とは、走行中の車線または追い越し車線の少なくとも一方を示す。車線の左端縁部及び右端縁部とは、路肩用のレーンマーク、車線分割用のレーンマーク、中央分離帯を示すレーンマーク、路肩の縁部、中央分離帯の縁部等を示す。
【0009】
(作用)車両が進行する方向の車線にのみ図形パターンが表示され、前記図形パターンが対向車線や歩道にはみ出して表示されない。
【0010】
また、車両用表示システムにおいては、前記図形パターン表示手段が、前記多角含有図形パターンを車両の進行方向に複数配列して縞模様の図形パターンを表示するようにした。
【0011】
(作用)縞模様の図形パターンが車両と共に車両の進行方向に前進する。
【0012】
また、車両用表示システムにおいては、前記図形パターン表示手段が、前記多角含有図形パターンに加え、車両の進行方向に向かって凸となる凸型図形パターンを車両の進行方向の路面または路上設置物に表示するようにした。
【0013】
(作用)車両の進行方向の路面や路上設置物に予め車両の進行方向を示す図形パターンが表示される。
【0014】
また、車両用表示システムにおいては、前記車線検出手段が、走行中の車線の左右両端縁部と、車線変更先の車線の左右両端縁部の双方を検出し、前記図形パターン表示手段が、多角含有図形からなる図形パターンを走行中の車線から車線変更先の車線にまたがって延出するように表示するようにした。
【0015】
(作用)車線変更先の車線上に走行中の車線から伸びる図形パターンが表示される。
【0016】
車両用表示システムにおいては、前記図形パターン表示手段が、道路の危険形状からなる図形パターンを表示するようにした
危険形状とは、幅が徐々に狭くなる道路の形状、道路上の穴、段差及び道路
上に配置された障害物等を示す。
【0017】
(作用)自車両のドライバーに運転の危険性が高まった認識を持たせる。
【発明の効果】
【0018】
車両用表示システムによれば、車両の接近している車線のみが図形パターンの表示によって明るくなるため、図形パターンを見た歩行者は、図形パターンの表示されている車線から車両の接近する方向を明確に認識出来る。また、図形パターンが対向車線のドライバーや歩道上の人に直接照射されないため、歩行者や対向車線のドライバーが、図形パターンによって幻惑されることもない。
【0019】
また、車両用表示システムによれば、前進する縞模様を視認させることにより歩行者に接近中の車両の進行方向を更に正確に認識させることができる。
【0020】
また、車両用表示システムによれば、歩行者に車両の接近方向のみならず車両の今後の進行方向を容易に認識させることができる。
【0021】
また、車両用表示システムによれば、隣接する車線において自車両の後方から接近する他車両のドライバーに自車両のウインカーが見えなくても自車両が他車両の車線に車線変更しようとしていることを視認させることが出来、交差道路上の歩行者にも車線変更しようとする車の接近を認識させることが出来る。
【0022】
また、車両用表示システムによれば、減速するなど慎重な運転を自車両のドライバーに促すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を
図1から図に示す第1実施例から第10実施例に基づいて説明する。各図においては、ドライバーが運転席から見たと仮定した車両及び車両用灯具の各方向を(上方:下方:左方:右方:前方:後方=Up:Lo:Le:Ri:Fr:Re)として説明する。
【0025】
図1と
図2により車両用表示システムの第1実施例を含む車両用灯具1を示す。車両用灯具1は、右側前照灯の一例を示すものであり、車両前方側に開口部を有するランプボディ2と、前記開口部を閉塞する透明または半透明の前面カバー3とを備える。ランプボディ2と前面カバー3の内側に形成された灯室Sの内側には、板状の支持部材4と、ハイビーム配光パターンを形成用のLED光源ユニット5,ロービーム配光パターンを形成用のLED光源ユニット6、レーザー光による車両用表示システム100及びエクステンションリフレクター34が収容される。尚、車両用表示システム100は、車両用灯具1の内側に配置することに限られず、車両の前方に向けて車両用灯具1の外側に配置したり、例えば、車両の屋根に配置したりしてもよい。
【0026】
車両用表示システム100は、後述する車線検出手段101と、図形パターン表示手段102を有し、図形パターン表示手段102は、複数のレーザー光を出射して照射光の色を変更可能にした光源であるレーザー光源ユニット7と、レーザー光源ユニット7からのレーザー光を走査して照射先に線や図などの図形を描画する光学機構8を有する。車線検出手段101及び図形パターン表示手段102は、共に制御装置9によって制御される。
【0027】
LED光源ユニット(5,6)は、支持部材4に固定された金属製のブラケット10にLED発光素子11、リフレクター12及び透明または半透明の投影レンズ13を設けることで構成される。LED発光素子11の出射光B1は、リフレクター12の反射面12aによって前方に反射され、投影レンズ13及び前面カバー3を通過して車両前方に出射する。
【0028】
図1と
図2に示されるレーザー光源ユニット7及び光学機構8は、LED光源ユニット6の上方で支持部材4に取り付けられ、支持部材4は、複数のエイミングスクリュー14によってランプボディ2に取り付けられる。光学機構8は、支持部材4の前方に突出する固定部33の前端に固定される。制御装置9は、ランプボディ2に固定される。車両用灯具1の光軸は、各エイミングスクリュー14を回転させることにより、水平方向及び鉛直方向に調整される。
【0029】
図3(a)に示されるレーザー光源ユニット7は、赤色光(符号Rを参照)を発生する第1光源15、緑色光(符号Gを参照)を発生する第2光源16、青色光(符号Bを参照)を発生する第3光源17、熱伝導率の高いアルミニウム等の金属で形成された放熱部材18、第1集光レンズ20、第2集光レンズ21、第3集光レンズ22、第4集光レンズ23、及び集光部24を有する。レーザー光源ユニット7は、放熱部材18を介して支持部材4の前面に固定される。
【0030】
図3(a)に示される第1から第3光源(15〜17)は、それぞれ赤、緑、青色のレーザー光を発生する。第1から第3光源(15〜17)は、それぞれ半導体レーザー素子である赤、緑、青色のレーザーダイオード(15a,16a,17a)及び基板(15b,16b,17b)から構成され、基板(15b〜17b)は、それぞれ放熱部材18に取り付けられる。尚、レーザー光源ユニット7の光源は、RGBの3つの光源を有する構成に限られず、単色単体の光源としたり、RGBの3つに橙色のレーザーダイオードを追加した4つの光源を備えたり、青色レーザーダイオ−ドの出射光を黄色の蛍光体に通過させる構成を備えることにより白色光を発生できるようにしてもよい。また、各光源は、レーザーダイオード以外の他のレーザー装置によって構成されてもよい。
【0031】
図3(a)に示される第1から第3集光レンズ(20〜22)は、それぞれ、コリメートレンズ等で構成される。集光部24は、第1から第3ダイクロイックミラー(25〜27)を有する。
【0032】
図2及び
図3(a)に示すように第1光源15から出射した赤色レーザー光Rは、第1集光レンズ20を透過することで平行光に変換された後、第1ダイクロイックミラー25によって
図3(b)に示す光学機構8の後述する反射部32に向けて直接反射される。第2光源16から出射した緑色レーザー光Gは、第2集光レンズ21を透過して平行光に変換された後、第2ダイクロイックミラー26によって反射され、第1ダイクロイックミラー25を透過した後、光学機構8の反射部32に入射する。第3光源17を出射した青色レーザー光Bは、第3集光レンズ22を透過して平行光に変換された後、第3ダイクロイックミラー27によって反射され、第2及び第1ダイクロイックミラー(26、25)を順に透過した後、光学機構8の反射部32に入射する。集光部24で反射された赤色レーザー光R、緑色レーザー光G及び青色レーザー光Bは、合成色からなるレーザー光B2となり、
図3(b)に示すように光学機構8の反射部32に向けて出射する。
【0033】
灯室S内のエクステンションリフレクター34は、開口部34aを有し、LED光源ユニット(5,6)の各投影レンズ13は、開口部34aから前方に露出する。レーザー光源ユニット7及び光学機構8は、エクステンションリフレクター34の後方でロービーム配光パターンを形成するLED光源ユニット6の上に配置される。
図3(b)に示される光学機構8は、MEMSミラーであり、ベース部37、第1回動体38、第2回動体39、第1トーションバー40、第2トーションバー41、永久磁石42,43、端子部44を有する。板状のベース部37と第1回動体38は、それぞれ中央に開口部(37a,38a)を有し、板状の第2回動体39の前面には、銀蒸着やメッキなど処理等によって反射部32が形成される。尚、光学機構8には、MEMSミラー以外にもガルバノミラー等の多様な光学機構を採用出来る。
【0034】
第1回動体38は、開口部37aの上下端部(37b,37c)に設けられた一対の第1トーションバー40により、ベース部37に対して左右に回動可能に支持され、第2回動体39は、開口部38aの左右端部(38b,38c)に設けられた一対の第2トーションバー41により、第1回動体38に対して上下に回動可能に支持される。ベース部37、第1及び第2回動体(38,39)は、
図2に示すように車両用灯具の前後方向に対して下方に傾斜した状態で
図2に示す支持部材4の固定部33に固定される。
【0035】
図3(b)に示されるようにベース部37には、第1トーションバー40が延びる方向と直交する位置に、一対の永久磁石42が設けられ、更に第2トーションバー41が延びる方向と直交する位置に、一対の永久磁石43が設けられる。第1及び第2回動体(38、39)には、制御装置9に接続された図示しない第1及び第2のコイルがそれぞれ設けられる。
【0036】
第1コイル及び永久磁石42と、第2コイル及び永久磁石43は、後述する
図5の走査用アクチュエータ35を構成する。走査用アクチュエータ35は、第1及び第2コイルに流れる駆動電流の大きさと向きを個別に変化させることにより、第1回動体38をベース部37に対して上下に回動させ、かつ第2回動体39を第1回動体38に対して左右に回動させる。反射部32の向きは、第1及び第2回動体(38,39)の回動に基づいて上下左右に変化する。
【0037】
図2及び
図3(b)に示す光学機構8は、
図3(a)のレーザー光源ユニット7から出射したレーザー光B2を第2回動体39の反射部32において前方に反射させる。反射部32の出射端32a(反射点)において前方に反射されたレーザー光B2は、第2回動体39の反射部32を上下左右に往復回動させることにより、車両前方を走査する。
【0038】
次に
図4により、制御装置9を説明する。制御装置9は、灯具ECU(電子制御装置)51、ROM52、RAM59等を有する。灯具ECU51は、アクチュエータ制御部36及びレーザー光源制御部54を有する。ROM52には、各種制御プログラムが記録され、灯具ECU51は、ROM52に記録された制御プログラムをRAM59において実行し、各種制御信号を生成する。
【0039】
レーザー光源制御部54は、第1〜第3光源(15〜17)によるレーザー光の色、第1〜第3光源(15〜17)の出射強度及び点消灯を光源毎に制御する。アクチュエータ制御部36は、走査用アクチュエータ35を制御してレーザー光B2によって車両前方を高速で走査し、ドライバーや歩行者等に注意喚起を行うマークや文字等の図形を車両の周囲の路面や建造物等に描画する。
【0040】
また、ECU51には、画像処理装置56、ナビゲーションシステム57、速度計58、ターンシグナルランプスイッチ64、ステアリング動作検出機構65等が接続される。画像処理装置56には、車載カメラ60や道路監視カメラ61、等が接続される。車載カメラ60には、自車両または他車に車載されて車両周辺を動画または静止画で撮影するカメラ等が含まれ、道路監視カメラ61には、交差点に配置される交差点カメラや、道路の近辺に設置されて、路面状況、歩行者、自転車、バイク、自動車等の車両、障害物等を動画または静止画で撮影する監視カメラなどが含まれる。画像処理装置56は、インターネット等の通信回線を介して道路監視カメラ61に接続され、道路監視カメラ61による映像及び画像データを取得する。
【0041】
画像処理装置56は、車載カメラ60や通信回線を介して接続された交差点カメラ等の道路監視カメラ61等で撮影された道路や道路上のレーンマーク、歩行者、自転車、対向車両、建造物及び障害物等に関する映像等を解析処理したデータとして灯具ECU51に送り、灯具ECU51は、レーンマークの位置や歩行者及び対向車の位置や有無等を特定する。画像処理装置56、車載カメラ60(または道路監視カメラ61)は、車線検出手段101を形成する。また、ナビゲーションシステム57は、自車両の現在位置や今後の進行方向に関するデータ信号を灯具ECU51に送る。
【0042】
灯具ECU51は、画像処理装置56の映像データやナビゲーションシステム57から得られた道路上の自車両の状況、ターンシグナルランプスイッチ64やステアリング動作検出機構65から得られるドライバーによる自車両の操作を解析した上で、自車両や他車両のドライバーに注意を促す所定の図形を路面等の所定の位置に描画するように、レーザー光源ユニット7と光学機構8を制御する。
【0043】
車両用表示システム100による図形の描画は、例えば、
図5のように行われる。符号S1は、レーザー光源ユニット7からレーザー光B2を受けた光学機構8による走査線の軌跡を示す。光学機構8は、レーザー光B2を受けた反射部32(
図3(b)を参照)を車両前方の矩形の走査領域(符号Sc1)内の左端位置から右端位置まで回動させて、左方から右方への走査を行った後、反射部32を左斜め下方に回動させて、最初の走査開始位置から微小距離d1だけ下方にずれた次の走査開始位置に反射部32の向きを戻し、再び左方から右方へ走査する動作を繰り返し行う。尚、光学機構8による走査は、右端位置から左左端位置に向けて行っても良いし、左右に往復させながら行っても良い。
【0044】
また、レーザー光源制御部54は、
図5に示すように光学機構8による左方から右方への走査が行われる際に第1から第3光源(15〜17)の点灯または消灯を行い、光学機構8の反射部32の向きを右方から左斜め下の次の走査開始位置に戻す際に第1から第3光源(15〜17)を全て消灯させる。
図5に記載した走査線S1の点線部分は、第1から第3光源(15〜17)を全て消灯させた範囲を示し、走査線S1の実線部分は、第1から第3光源(15〜17)の一部または全部を点灯させ、緑色等のレーザー光B2による図形を路面に描画する範囲を示す。レーザー光B2は、点灯時における左右方向の軌跡を上下に積層されることでマーク等の図形を描画する。
【0045】
ここで、
図5及び
図6(a)(b)により、自車両Myの進行方向の車線に沿ってその内側にのみ多角含有図形パターンM1を表示して、歩行者Huに自車両Myの接近方向を認知させる、車両用表示システム100の第1実施例を説明する。
図5及び
図6(a)(b)には、自車両Myが走行する自車線MR1と対向車線OR1からなる片側一車線の道路R1が示されている。符号CM1は、自車線MR1の右端縁部となるセンターライン(中央分離帯のレーンマーク)を示し、符号SM1は、自車線MR1の左端縁部となる自車線側の路肩用レーンマークを示し、符号SM2は、(自車両Myのドライバーから見て)対向車線OR1の右側縁部となる対向車線側の路肩用レーンマークを示す。
【0046】
図5及び
図6(a)(b)においては、白色のロービーム配光パターンLbで照らされた路面R1において、まず灯具ECU51が、自車両の車載カメラ60または道路監視カメラ61で撮影された道路R1の映像データから自車線MR1の路肩用レーンマークSM1及びセンターラインCM1の位置と設置間隔を検出し、自車線MR1の位置及び範囲を特定する。その上で灯具ECU51は、路肩用レーンマークSM1及びセンターラインCM1の位置等の検出結果に基づき、アクチュエータ制御部36とレーザー光源制御部54を介して第1から第3光源(15〜17)と光学機構8に以下の制御を行わせる。
【0047】
光学機構8が走査を行う際に、レーザー光源制御部54は、まず、
図5に示す描画を行わない走査の左端限界位置P1から自車線の路肩用レーンマークSM1の右縁部Sr1若しくはその近傍位置を示すP2までの区間においてレーザー光源ユニット7の第1から第3光源(15〜17)を全て消灯させる。次に、レーザー光源制御部54は、自車線MR1上のP2からセンターラインSM1の左縁部Cr1若しくはその近傍位置を示すP3までの区間において、第1から第3光源(15〜17)の一部または全てを点灯させて白色以外の色のレーザー光B2を発生させることにより、線L1を自車線MR1上に描画する。その後、レーザー光源制御部54は、描画を行わないP3から走査の右端限界位置P4までの区間において第1から第3光源(15〜17)を全て消灯させる。
【0048】
レーザー光源ユニット7と光学機構8は、走査の位置を微少長さd1ずつ下方にずらしつつ、上述した左方から右方への走査を高速で繰り返すことにより、レーザー光による線L1を自車線MR1の伸びる方向に積層し、
図5及び
図6(a)(b)に示す矩形の多角含有図形パターンM1を形成する。その結果、自車線MR1の内側には、路肩用レーンマークSM1とセンターラインCM1に沿って、かつ対向車線OR1にはみ出さない矩形の多数のコーナーを有する
図5及び
図6(a)(b)の多角含有図形パターンM1がレーザー光で形成される。
【0049】
多角含有図形とは、コーナーを多数備えた図形を示す。図形パターンM1は、レーンマークSM1及びセンターラインCM1に沿って伸びる左右の縁線(M11、M12)と、左右縁線の前端及び後端にそれぞれ連続する前後の縁線(M13,M14)に囲まれた形状を有する。左右の縁線(M11、M12)は、自車線MR1が直線道路の場合、レーンマークSM1及びセンターラインCM1に沿って直線状に描画されることにより、矩形の図形パターンM1を形成する。しかし、自車線MR1がカーブを描く曲線道路の場合、左右の縁線(M11、M12)は、レーンマークSM1及びセンターラインCM1に沿った曲線状に描画されるため、図形パターンM1は、左右の縁線(M11、M12)が曲線となる多角含有図形として描画される。
【0050】
図5,
図6(a)(b)前照灯用配光パターンLbと異なる色等のレーザー光で形成された図形パターンM1は、車線検出手段101によって検出された自車線MR1の幅一杯の大きさに形成され、かつ自車線MR1の外にはみ出さない状態で図示しない自車両Myと共に進行する。
図6(a)(b)に示すように道路R1に交差する道路CR1上の歩行者は、建築物K1に邪魔されることによって自車線MR1上を走行する自車両Myを目視できず、更に建築物K2に邪魔されることによって図形パターンM1の前縁線M13の進行方向も見えないため、車両の接近する方向を認識できない。
【0051】
しかし、歩行者Huは、自車両Myや図形パターンM1の前縁線M13の移動を目視できなくても、配光パターンLbと異なる白色以外の色の図形パターンM1が、自車線MR1のみを自車線MR1の幅一杯に明るく正確に照らしているのを予め目視することが出来る。従って、歩行者Huは、図形パターンM1の表示されている車線が自車線MR1であるため、
図6(b)の自車線MR1上をFr方向に進行する自車両Myが歩行者Huの右側から接近していることを容易に認識出来る。その結果、歩行者は、誤って自車両の接近する自車線MR1に進入しにくくなる。また、図形パターンM1を形成するレーザー光B2は、対向車線OR1上の対向車のドライバーや路肩上の歩行者(共に図示せず)に直接照射されないため、歩行者等を幻惑させることがない。
【0052】
図形パターンM1は、ロービーム配光パターンLbよりも照度の強い白色光で描画しても良いが、白色以外の色で描画する方が見やすい。また、図形パターンM1は、歩行者への注意喚起を促しやすくするように点滅させてもよい。また、第1実施例と後述する第2〜第5実施例、第9及び第10実施例では、レーザー光により
図6(a)に示す矩形の図形パターンM1、M2〜M5、M9、M10を形成しているが、実際には、LED光源、ディスチャージランプ等による光を矩形などの可動型のシェードに設けた穴の形を変えることの出来るスリット等に透過させることによって、矩形等の所定形状の図形パターンを検出されたレーンマークの位置に基づいて描画させてもよい。
【0053】
次に
図7により、矩形からなる多角含有図形パターンm1を自車線MR1に沿って複数配列した縞模様からなる図形パターンM2を描画することで、歩行者Huに自車両Myの接近方向を認知させる、車両用表示システム100の第2実施例を説明する。
【0054】
第2実施例の車両用表示システム100においては、第1実施例と同様に車線検出手段101が自車線MR1の路肩用レーンマークSM1とセンターラインCM1を検出することで自車線MR1の位置と幅を特定する。また、図形パターン表示手段102は、自車線MR1の検出結果に基づいて、レーザー光源ユニット7と光学機構8でレーザー光B2の走査を行うことにより、路肩用レーンマークSM1またはその近傍からセンターラインCM1またはその近傍までの幅を有する矩形の図形パターンm1を自車線MR1に沿って複数描画する。
【0055】
複数の矩形の図形パターンm1は、自車両Myの前方に等間隔等の所定のクリアランスm4を空けて描画されることによって縞模様からなる図形パターンM2を形成する。前記クリアランスは、図形パターンm1の描画を行う走査と第1から第3光源(15〜17)を全て消灯させつつ行う走査を交互に行うことで形成される。また、
図7(a)に示すように図形パターンM2には、複数の図形パターンm1の左右縁部を連結する左右縁部(m2、m3)を描画しているが、左右縁部(m2、m3)は、描画しなくてもよい。
【0056】
図形パターンM2の縞模様は、
図7(b)に示すように自車両Myのドライバーから見ると
図7(a)のクリアランスm4が前後に潰れて見えにくいことによって縞模様ではなく矩形の図形パターンに見えるため、ドライバーの目障りにならない。一方、自車線MR1に交差する道路CR1の歩行者Huには、図形パターンM2の縞模様が、自車線MR1を前進するように見えるため、歩行者Huは、
図7(c)の自車線MR1上をFr方向に進行する自車両Myが歩行者Huの右側から接近していることを容易に認識出来る。
【0057】
次に
図8により、自車線MR1内にのみ描画される多角含有図形パターンに加え、自車両Myの進行方向を歩行者Huまたは図示しない自車両のドライバーに近くさせるための凸型図形パターンを描画する車両用表示システム100の第3実施例を説明する。
【0058】
第3実施例の車両用表示システム100においては、
図8(a)(b)に示すように第1実施例の図形パターンM1に加え、凸型図形パターンM3を描画する。
図8(a)に示す自車線MR1を走行中の自車両Myは、歩行者Huのいる道路CR1に向かって左折する。第3実施例の車両用表示システム100においては、車線検出手段101が車載カメラ60または道路監視カメラ61で撮影された映像から道路CR1の位置を検出し、図形パターン表示手段102が道路CR1の検出結果に基づいて、レーザー光源ユニット7と光学機構8による走査を行い、左向きに凸となる凸型図形パターンM3を自車線MR1と道路CR1の境界に描画する。その際、図形パターン表示手段102は、図形パターンM1の左上端部の左方に延出するように凸型図形パターンM3を描画する。
【0059】
その結果、道路CR1上の歩行者Huは、建築物K1によって自車両Myが目視できなくても、図形パターンM1を目視することで自車線MR1上を走行する自車両Myが歩行者の右側から接近していることに加え、図形パターンM3を目視することで自車両Myが歩行者に向かって左折してくることを容易に認識出来る。また、自車両Myのドライバーには、凸型図形パターンM3が前後に潰れることで凸型に見えないため、違和感や煩わしさがない。
【0060】
尚、第1実施例から第3実施例の図形パターンM1からM3の自車線MR1への描画は、例えば道路監視カメラ61の映像によって歩行者Huの存在が交差する道路CR1上に確認された時にのみ行うことで、描画用の電力の消費を低減させてもよい。また第3実施例においては、凸型図形パターンM3のみを表示して図形パターンM1を描画しないことにより、レーザー光源ユニット7の消費電力を低減させてもよい。また、凸型図形パターンM3は、図形パターンM1と同じ色で描画してもよいが、M1と異なる色で描画した場合、より視認しやすくなる。
【0061】
また、図形パターン表示手段102においては、
図8(c)に示すように、図形パターンM1の前端に前向きに凸となる凸型図形パターンM31を一体に描画することにより、車両が左折せずに前進することを歩行者等に知らせてもよい。また、図形パターン表示手段102は、例えば、ナビゲーションシステム57によって自車両Myのドライバーに音声による左折の指示が与えられる場合において、左折の指示と同時かまたは指示からワンテンポ遅れて左折用の凸型図形パターンM3を自車両Myの前方に描画することが望ましい。その場合、ドライバーは、音声による左折の指示を聞き逃しても、自車両Myの前方に描画される凸型図形パターンM3を目視することで今後の進路を認識出来る。
次に、
図9により、自車両の車線変更を隣接レーンの後続車ドライバーに知らせるマークをレーザー光で路面に描画する、車両用表示システム100の第4実施例を説明する。
図9(a)(b)は、自車線MR11と追越車線MR12からなる片側2車線の道路R2を示す。尚、
図9においては、道路R2の対向車線を省略している。
【0062】
まず、灯具ECU51は、左右いずれかのターンシグナルランプがONにされたかターンシグナルランプスイッチ64の動作を検出し、またはステアリング動作検出機構65によってステアリングが左右いずれの方向に回されたかを検出する。その際、車線検出手段101は、自車両Myの車載カメラ60または道路監視カメラ61で撮影された道路R2の映像データから自車両Myが走行中の自車線MR11の左端縁部となる路肩用レーンマークSM11と、自車線MR11の左端縁部かつ追い越し車線MR12の左端縁部となる車線分離用のレーンマークSM12と、追い越し車線の右端縁部となるセンターライン用のレーンマークCM11を検出し、自車線MR11及び対向車線MR12の位置及び範囲を特定する。図形パターン表示手段102は、ステアリング操作の検出や、各車線の特定結果に基づいて、路面に所定の色のレーザー光による所定形状のマークを形成する。尚、白色の配光パターンの内側に図形を描画する際のレーザー光の色は、白色にせず緑色等にすること、または、白色とした上で図形を点滅させることが望ましい。
【0063】
図9の符号Otrは、車線MR12上で自車両Myのやや後方を並走する他車両を示す。例えば、自車両Myのドライバーが右側の車線R12に車線変更しようとすると、灯具ECU51は、右方向のターンシグナルランプの点灯またはステアリングが右折方向に回動することを検知して、レーザー光源ユニット7と光学機構8を駆動させて車線変更用の図形パターンM4を自車線MR11から追越車線MR12にまたがって自車両Myの進行方向に描画させる。車線変更用の図形パターンM4は、自車線MR11の幅一杯に描画されつつ自車線MR11に沿って伸びる帯状の第1マーク66と、第1マーク66の先端からから追越車線MR12に延出する帯状の第2マーク67と、第2マーク67の先端から追越車線MR12に沿って延出すると共に追越車線MR12の幅一杯に描画される第3マーク68から構成される。
【0064】
自車両Myのターンシグナルランプが見えない位置で隣接する車線MR12を並走する他車両Otrのドライバーは、自車両Myのターンシグナルランプが見えなくても、自車両Myの前方から追越車線MR12に伸びる図形パターンM4を他車両Otrの前方の路面に視認することにより、自車両Myが追越車線MR12に車両変更することを認識出来るため、自車両Myへの追突事故や接触事故を回避出来る。また、道路R2に交差する道路(図示せず)上の歩行者もまた、車線変更しようとする自車両Myの存在を認識出来る。
【0065】
次に、
図10〜
図13により、道路の危険形状からなる図形パターンM5〜M8を自車線MR1上に表示して自車両Myのドライバーや歩行者に注意を喚起する車両用表示システム100の第5実施例〜第8実施例をそれぞれ説明する。
【0066】
図10の第5実施例の車両用表示システム100においては、第1実施例の図形パターンM1の内側に幅W1が前方に向かって徐々に狭くなる道路の形状からなる図形パターンM5を図形パターン表示手段102のレーザー光源ユニット7と光学機構8によって描画する。図形パターンM5は、図形パターンM1と異なる緑色等のレーザー光かまたは、図形パターンM1と濃淡の異なる同色のレーザー光で描画することにより、図形パターンM1の内側に描画しても図形パターンM5の輪郭が明確になるようにする。一般に車両を運転中のドライバーがスピードを出し過ぎた場合、ドライバーの視界に入る道路は、スピードに比例して狭くなる。従って、徐々に狭くなる道路形状からなる図形パターンM5を見た自車両Myのドライバーは、スピードを出し過ぎているという認識を持ち、自車両のスピードを落とす。
【0067】
図11の第6実施例の車両用表示システム100においては、第1実施例の図形パターンM1を前後の帯状パターンM11とM12に2分割し、かつ段差パターンM15によって連結することで、段差のある道路形状の図形パターンM6を図形パターン表示手段102のレーザー光源ユニット7と光学機構8によって自車線MR1上に描画する。帯状パターンM11及びM12は、同色のレーザー光で描画され、段差パターンM15は、帯状パターンM11及びM12の双方よりも明るい白色等のレーザー光で描画された左右に伸びる矩形の明線である。帯状パターンM12は、帯状パターンM11に対して左方に少しずれた状態で矩形の段差パターンM15によって連結されることにより、段差のある道路を表現した図形パターンM6となる。図形パターンM6を見た自車両Myのドライバーは、道路に段差があることで危険を認識し、自車両のスピードを落とす等の慎重な運転を促される。
【0068】
図12及び
図13の第7実施例及び第8の車両用表示システム100においては、第1実施例の図形パターンM1の内側に道路上に形成された穴の形状からなる図形パターンM7とM8を図形パターン表示手段102のレーザー光源ユニット7と光学機構8によって描画する。穴の形状から成る図形パターン(M7,M8)は、それぞれ穴の壁面を示す図形パターン(M71,M81)と、穴の底部を示す図形パターン(M72,M82)によって形成される。穴の壁面の図形パターン(M71,M81)は、図形パターンM1よりも明るい同色またはM1と異なる色の白色レーザー光等で描画され、穴の底部の図形パターン(M72,M82)は、図形パターンM1よりも暗いM1と同色または異なる色のレーザー光
によって描画される。
【0069】
穴の図形パターンM7は、
図12(a)に示すように、自車線MR1に沿って伸びる楕円状の外周を備えるように描画される。その結果、斜め後方から見た自車両Myのドライバーには、
図12(b)に示すように図形パターンM7が道路に開いたマンホール等の円形の凹みに見えるため、自車両Myのドライバーは、自車両Myのスピードを落とす等の慎重な運転を促される。
【0070】
一方、穴の図形パターンM8は、車線MR1の幅方向に沿って伸びる横広の楕円状の外周を備えるように描画される。その結果、自車線MR1に交差する道路CR1上の歩行者Huには、
図13(a)に示すように図形パターンM8が道路に開いたマンホール等の円形の凹みに見えるため、歩行者Huは、建築物K1によって視認出来ない方向(歩行者の右側)から自車両Myが接近している自車線MR1に進入しないように促される。一方、自車両Myのドライバーにおいて、横長の楕円状の図形パターンM8は、前後に潰れて見えることによって穴の形状に見えないため、図形パターンM8は、ドライバーに煩わしさを感じさせない。尚、道路の危険形状を示す図形パターンとして、穴の図形パターンM7及びM8の代わりに水たまりの形状を示す図形パターンをレーザー光で描画しても良い。また、第5実施例から第8実施例の道路の危険形状を示す図形パターンM5からM8は、速度計58によって検出される自車両MYのスピードが所定の速度を超えたときに図形パターン表示手段102によって自動的に描画されるようにしてもよい。
【0071】
次に
図14により、矩形からなる多角含有図形パターンM9を自車両Myの前方で自車線MR1に沿って前後に揺動するか、または前方に向かって繰り返し移動するように描画させることで、歩行者Huに自車両Myの接近を認知させる、車両用表示システム100の第9実施例を説明する。
【0072】
第9実施例の車両用表示システム100においては、車線検出手段101が自車線MR1の路肩用レーンマークSM1とセンターラインCM1を検出することで自車線MR1の位置と幅を特定する。また、図形パターン表示手段102は、自車線MR1の検出結果に基づいて、レーザー光源ユニット7と光学機構8で走査を行い、自車線MR1の幅一杯に伸びる横長の矩形の図形パターンM9を自車両Myの前方において自車線MR1からはみ出ないように描画する。図形パターン表示手段102は、図形パターンM9を車両の前方で前後に揺動させる。自車線MR1に交差する道路CR1上の歩行者Huは、自車線MR1の内側からはみ出ることなく往復動作する図形パターンM9を見ることで、建築物K1によって見えない方向から自車両Myが接近していることを認識させられる。尚、図形パターンM9は、自車両Myに近づく程遅く、自車両Myから離れるほど早く動かすことが望ましい。そうすることにより、歩行者は、車両の接近をより認識しやすくなり、ドライバーは、図形パターンM9が前方で早く動くことによる煩わしさを低減される。
【0073】
次に
図15により、対向車線に対向車がいない場合に、自車両が進行する方向の車線及び対向車線の双方に沿って伸びる図形パターンを描画する、車両用表示システム100の第10実施例を説明する。
図15においては、車線分離用のレーンマークSM13によって分離された左右の車線(MR131,MR14)からなる車両Myの進行方向の車線と、対向車線OR11との合計3車線からなる道路R3が示されている。
【0074】
第10実施例の車両用表示システム100においては、車載カメラ60または道路監視カメラ61によって対向車線上を走行する対向車Otsが検出された場合、車線検出手段101は、自車両Myの進行方向の車線M131の左側縁部である路肩用レーンマークSM3と、車線M14の右側縁部であるセンターラインCM1を検出することで自車両Myの進行方向の車線(MR13,MR14)の位置と幅を特定する。また、図形パターン表示手段102は、車線(MR13,MR14)の検出結果に基づいて、レーザー光源ユニット7と光学機構8で走査を行い、車線(MR13,MR14)を併せた幅一杯に伸びる横長の矩形の図形パターンM10を自車両Myの前方において車線(MR13,MR14)からはみ出ないように描画する。図形パターンM10を描画するレーザー光は、対向車線OR11に照射されないため、対向車Otsのドライバーは、図形パターンM10によって幻惑されない。
【0075】
一方、車載カメラ60または道路監視カメラ61によって対向車線上の対向車が検出されない場合、車線検出手段101は、自車両Myの進行方向の車線M131の左側縁部である路肩用レーンマークSM3と、対向車線OR11の右側縁部である路肩用レーンマークSM4を検出することで道路R3の位置と幅を特定する。また、図形パターン表示手段102は、道路R3の検出結果に基づいて、レーザー光源ユニット7と光学機構8で走査を行い、車線(MR13,MR14)のみならず対向車線OR11の幅一杯に伸びる横長の矩形の図形パターンM10を自車両Myの前方において道路R3からはみ出ないように描画する。図形パターンM10を描画するレーザー光は、車道のみに照射されるため、路肩上の図示しない歩行者は、図形パターンM10によって幻惑されない。