(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
幅方向に長くスラリーを溜める空間からなる第1のマニホールドと、当該幅方向に広いスリットを経由して当該第1のマニホールドと繋がり、スラリーを基材に対して吐出する吐出口とが形成されたダイと、
前記スリットの途中に設けられた前記幅方向に長い第2のマニホールドと、
前記第1のマニホールドに連通している流入部から前記第1のマニホールドにスラリーを供給する供給手段と、を備え、
前記第2のマニホールドの容積は、前記第1のマニホールドの容積よりも小さく、
前記第2のマニホールド上において前記流入部から前記吐出口への最短経路と交わる部分には、スラリーを流出させることにより前記吐出口からのスラリーの吐出量を調整する調整部が1つ設けられていることを特徴とする、電池用極板の製造装置。
前記第2のマニホールドは、下部は前記スリットを形成する面と面一の平坦面であり、前記スリットとの接続部より上の部分は角部を有しないことを特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載の電池用極板の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に示すような従来の電池用極板の製造装置では、基材に塗布されたスラリーの塗膜層の膜厚が幅方向にわたって均一になりにくいという問題があった。具体的には、幅方向に長いマニホールドに対し、そのマニホールドに連通してスラリーを供給する流入部は1点にのみ設けられているため、マニホールドにおいてスラリーの流量を幅方向に均一化させるといえどもマニホールド内でのスラリーの圧力は流入部からマニホールドの端部に向かって低くなる傾向がある。そのため、スラリーの流量は流入部近傍で多くなり、
図5に示すように基材2に塗布されたスラリー3の塗膜層の形状は、マニホールドの幅方向に関して流入部に近い部分で厚い凸形状となっていた。
【0006】
特に、電池用極板を製造するために用いるスラリーは粘度が高く、マニホールド内で幅方向に広がりにくいため、上記のようにスラリー3の塗膜層が凸形状になりやすくなり、また、スラリー3を高速で塗布するためにスラリー3の供給速度を増加させると、塗膜層が凸形状になる傾向がますます強くなるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基材上に平坦度の高い塗膜層を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池用極板の製造装置は、幅方向に長くスラリーを溜める空間からなる第1のマニホールドと、当該幅方向に広いスリットを経由して当該第1のマニホールドと繋がり、スラリーを基材に対して吐出する吐出口とが形成されたダイと、前記スリットの途中に設けられた前記幅方向に長い第2のマニホールドと、前記第1のマニホールドに連通している流入部から前記第1のマニホールドにスラリーを供給する供給手段と、を備え、
前記第2のマニホールドの容積は、前記第1のマニホールドの容積よりも小さく、前記第2のマニホールド上において前記流入部から前記吐出口への最短経路と交わる部分には、スラリーを流出させることにより前記吐出口からのスラリーの吐出量を調整する調整部が1つ設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第2のマニホールド上において流入部から吐出口への最短経路と交わる部分には、スラリーを流出させることにより吐出口からのスラリーの吐出量を調整する調整部が1つ設けられていることから、幅方向にわたって吐出口へ流れるスラリーの量を調整部において調整することができ、吐出口からのスラリーの吐出量を幅方向にわたって所定の量に維持して平坦度の高い塗膜層を形成することができる。具体的には、第1のマニホールドからスリットに流れ込む際にスラリーの流量が多くなりやすい流入部から吐出口への最短経路上において、調整部によってスラリーの流量を減らし、吐出口から吐出されるスラリーの流量を幅方向において均一に近づけることが可能である。
【0010】
また、前記流入部および前記調整部は、前記スリットの中心線に沿って設けられていることが望ましい。
【0011】
この場合、調整部を機能させずに塗布した場合の塗膜層の厚みが最も厚い部分(流入部近傍)と最も薄い部分(端部近傍)との厚みの差が最も小さくなり、調整部でスラリーの吐出を調整した際に容易に高い平坦度を実現することができる。
【0014】
また、前記第2のマニホールドは、下部は前記スリットを形成する面と面一の平坦面であり、前記スリットとの接続部より上の部分は角部を有しない形状であっても良い。
【0015】
この場合、第2のマニホールド内におけるスラリーの滞留を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基材上に平坦度の高い塗膜層を形成することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、電池用極板の製造装置の概略構成を示す説明図である。この製造装置1は、ロールツーロールで送られる金属箔からなる基材2に、活物質、バインダー、導電助剤及び溶媒を含むスラリー3を塗布するための装置である。この製造装置によれば、塗布したスラリー3を乾燥させることで基材2上に活物質を含む層が形成され、この基材2が所定形状に切断され電池用極板となる。基材2上に形成される活物質を含む層の厚さは、電池の充放電量に直接影響を与えることから、基材2に塗布するスラリー3によって形成される塗膜層の膜厚管理は非常に重要であり、この製造装置1によれば、以下の実施形態において説明するように、スラリー3は、基材2の送り方向に沿って均一な厚さ(均一な塗膜量)で塗布される。なお、基材2の幅方向は、基材2の送り方向に直交する方向であり、
図1におけるY軸方向がこれに相当する。
【0020】
製造装置1は、基材2の幅方向に沿って長く構成されたダイ10と、このダイ10にスラリー3を供給する供給手段20とを備えている。ダイ10において、その長手方向(
図1におけるY軸方向)を幅方向という。この製造装置1では、ダイ10に対向するローラ5が設置されており、ダイ10の幅方向とローラ5の回転中心線の方向とは平行である。基材2は、このローラ5に案内され、基材2とダイ10(後述のスリット12の先端)との間隔(隙間)が一定に保たれ、この状態でスラリー3の塗布が行われる。
【0021】
本実施形態のダイ10は、先細り形状である第一リップ13aを有する第一分割体13と、先細り形状である第二リップ14aを有する第二分割体14とを、これらの間にシム板15を挟んで、組み合わせた構成からなる。
図2は、
図1のa矢視の断面図である。ダイ10は、その内部に、幅方向に長い空間からなる第1のマニホールド11と、この第1のマニホールド11と繋がるスリット12とが形成され、また、第一リップ13aと第二リップ14aとの間には、スリット12の解放端である吐出口18が形成されている。すなわち、第1のマニホールド11と吐出口18とは、スリット12を経由して繋がっている。
【0022】
この構成により、供給手段20により供給されたスラリー3は、先ず第1のマニホールド11に溜められ、次に、スリット12を経由して吐出口18から吐出される。
【0023】
スリット12は、第1のマニホールド11と同様に幅方向に長く形成されており、スリット12の幅方向寸法は、シム板15の内寸Wによって決定され、スリット12の幅方向寸法と略同一の幅方向寸法のスラリー3を、基材2上に塗布することができる。スリット12の隙間寸法(高さ寸法)は、例えば0.4〜1.5mmである。本実施形態では、スリット12の隙間方向が上下方向であり、幅方向が水平方向となる姿勢でダイ10は設置されている。つまり、第1のマニホールド11とスリット12とが水平方向に並んで配置される姿勢でダイ10は設置されている。したがって、第1のマニホールド11に溜められているスラリー3をスリット12および吐出口18を通じて基材2へと流す方向は水平方向となる。
【0024】
なお、シム板15の厚さを変更することにより、第1のマニホールド11内部の圧力(塗工圧力)を調整することができ、この調整によって、様々な特性を有するスラリー3で均一な膜厚の塗工を行うことが可能となる。
【0025】
また、スラリー3の流れる方向(
図1におけるX軸方向)におけるスリット12の途中には、幅方向(Y軸方向)の長さが第1のマニホールドおよびスリット12と同等である第2のマニホールド24が設けられている。この第2のマニホールド24の幅方向の断面積は、第1のマニホールドよりも小さい。すなわち第2のマニホールド24の容積は、第1のマニホールドより小さい。
【0026】
また、第2のマニホールド24の形状は、下部はスリット12を形成する面と面一の平坦面であり、スリット12との接続部より上の部分は角部を有しないものとなっている。こうすることにより、第2のマニホールド24内でスラリー3が滞留しやすい箇所が無いようにしている。
【0027】
また、ダイ10の幅方向の中央部であり、スリット12の中心線上にあたる部分には、流入部16が設けられており、この流入部16は、ダイ10の外部から第1のマニホールド11へ繋がる貫通孔(流入口)からなる。供給手段20は、この流入部16に一端部が接続されている流入パイプ21と、スラリー3を貯留しているタンク22と、このタンク22内のスラリー3を、パイプ21を通じてダイ10へ供給するためのポンプ23とを有している。以上より、供給手段20は、第1のマニホールド11に流入部16からスラリー3を供給することができる。なお、本実施形態では、
図1に示すように、流入部16は、第1のマニホールド11の底部17と繋がっており、この底部17からスラリー3を流入させる構成としている。
【0028】
そして、第1のマニホールド11は、供給手段20から供給されたスラリー3を溜めることができ、第1のマニホールド11に溜められているスラリー3を、スリット12を通って吐出口18からロールツーロールで送られる基材2に対して吐出し、この基材2に対してスラリー3を連続的に塗布することができる。スリット12の隙間寸法はその幅方向に一定であり、基材2上に塗布されるスラリー3の厚さは幅方向に一定となる。
【0029】
スラリー3は一定量を供給するポンプによりダイ10に供給され、この供給量は適宜調整されるが、後述の通りセンサ36及び制御装置37によるフィードバック制御により供給が調整される。
【0030】
また、ダイ10には圧力センサ(図示せず)が設けられて、この圧力センサは、第1のマニホールド11のスラリー3の内圧を計測するようにしても良い。そして、この計測結果に基づいて供給手段20によるスラリー3の供給が制御され、第1のマニホールド11のスラリー3の内圧を一定に保つ。第1のマニホールド11で内圧が一定とされるスラリー3は、スリット12から幅方向全長にわたって均等の量で吐出され、また、前記圧力センサの計測結果に基づいて、スリット12から吐出されるスラリー3の量が変動しないように制御され、基材2上に塗布されるスラリー3の送り方向の厚さを一定とする。また、図示しないが、パイプ21の途中にはスラリー3用のフィルタが設けられている。
【0031】
また、第2のマニホールド24には、第1のマニホールド11から吐出口18へ流されるスラリー3を吐出口18以外からダイ10の外部へ流出させる調整部31が設けられている。本実施形態では、
図2に鎖線で示したスリット12の中心線上にあたる部分に、調整部31が設けられている。ここで、上記の通り流入部16もスリット12の中心線上に設けられており、すなわち、調整部31は流入部16から吐出口18への最短経路と第2のマニホールド24とが交わる部分に設けられている。
【0032】
調整部31は、スリット12とダイ10の外部とを繋ぐ貫通孔と、貫通孔に接続されているパイプ51とからなる。本実施形態では、パイプ51の一端はタンク22に繋がれており、タンク22に貯留されるスラリー3が流入部16から第1のマニホールド11に流入するのとは別に、調整部31から流出したスラリー3がタンク22に戻される。なお、パイプ51の途中に、図示しないがフィルタが設けられていても良い。
【0033】
さらに、本実施形態では、この調整部31には、第2のマニホールド24から流出させるスラリー3の量の調整を行う制御装置が設けられている。具体的に説明すると、
図2に示すように、パイプ51に前記制御装置としてバルブ61が接続されている。バルブ61には、調整部31から流出するスラリー3の流量を調整する機能を有している。なお、バルブ61は、調整部31から流出するスラリー3の圧力を調整してもよい。または、調整部31とタンク22とを繋ぐパイプ51の途中に、スラリー3の流量管理(流出量調整)を行う機器(例えば、ポンプ)が設けられていてもよく、この場合、この機器が、第2のマニホールド24から流出させるスラリー3の排出調整を行う制御装置として機能する。
【0034】
次に、本実施形態の製造装置1によって基材2上に形成されたスラリー3の塗膜層の形状を
図3に示す。
【0035】
前述の通り、本発明では、ダイ10の第2のマニホールド24には、スラリー3を吐出口18以外からダイ10の外部へ流出させる調整部31が設けられている。そしてこの調整部31が、流入部16から吐出口18への最短経路と第2のマニホールド24とが交わる部分に設けられていることにより、
図3にハッチングで示すように平坦度の高いスラリー3の塗膜層を基材2上に形成させることができる。具体的には、以下の通りである。
【0036】
仮に調整部31を機能させずにダイ10から基材2にスラリー3を吐出した場合、基材2に形成されるスラリー3の塗膜層の形状は
図3に二点鎖線で示すように幅方向(Y軸方向)に凸形状となる傾向がある。これは、ダイ10の第1のマニホールド11から吐出口18へ流れるスラリー3の流量が流入部16近傍で最も多くなり、流入部16からマニホールド11の端部へ離れていくにしたがってスラリー3の流量が少なくなるためであり、流量が多い部分であるほど膜厚が大きくなり、塗膜層は流入部16近傍から吐出された部分が最も厚くなるような凸形状となる。
【0037】
これに対し、本発明では流入部16から吐出口18への最短経路と第2のマニホールド24とが交わる部分に調整部31が設けられているため、調整部31からスラリー3をダイ10の外部へ流出させることによって、流入部16の近傍の吐出口18から吐出されるスラリー3の量を減らすよう制御することができる。その結果、スラリー3の塗膜層において本来膜厚が最も大きくなる部分の膜厚を小さくすることができ、
図3に示すように平坦度が高くなった塗膜層が得られる。
【0038】
こうすることにより、流入部16から吐出口18への最短経路上に設けられた1つの調整部31のみによるスラリー3の吐出量の調整によって、基材2に形成されるスラリー3の塗膜層を高度に平坦化することができるため、簡便な制御で高い平坦度の塗膜層を得ることができる。また、調整部31の洗浄などのメンテナンスも、調整部31の個数が少ないため容易である。
【0039】
なお、第1のマニホールド11の端部において、吐出口18からのスラリー3の吐出量が流入部16の近傍よりも少なくなる理由は、この端部には、第1のマニホールド11の幅方向端面を構成する壁が存在していることから、流入部16から供給され幅方向両側へ広がるスラリー3は、端部において圧力が低くなり、それにしたがって流速が低下するためである。特に、スラリー3は粘度(粘性)が高いため、端部において流速が低下しやすい。
【0040】
なお、本実施形態の製造装置1のダイ10から吐出されるスラリー3として、粘度が数千から数万cP(剪断速度=1の場合)のものを採用することができる。
【0041】
ここで、本発明では、調整部31は第1のマニホールド11にではなく、第2のマニホールド24に設けられている。これは、第1のマニホールド11は流入部16から流入したスラリー3を第1のマニホールド11全体に行き渡らせるために幅方向の断面積を大きく、すなわち容積を大きく形成されているためであり、仮に第1にマニホールド11に調整部31を設けた場合、調整部31による局所的なスラリー3の流量の調整を行っても、感度が悪く十分に調整の効果が得られにくい。
【0042】
一方、仮に第2のマニホールド24ではなくスリット12に直接調整部31を設けた場合、調整の感度が良すぎて吐出口18からのスラリー3の吐出量の制御が困難であるとともに、調整部31による吐出量の調整が影響する幅方向(Y軸方向)の範囲が狭くなって、塗膜層の形状は平坦化されず、調整部31で調整された部分のみがへこんだ形状になるおそれがある。
【0043】
これに対し、第1のマニホールド11よりも幅方向の断面積が小さい第2のマニホールド24に調整部31を設けることにより、調整部31における調整を適度に感度良く、また幅方向に広い領域に対して吐出口18からの吐出量に反映させ、塗膜層を平坦化させることが可能である。
【0044】
また、本実施形態では、流入部16および調整部31がスリット12の中心軸に沿って設けられている。ここで、第1のマニホールド11内において流入部16とその流入部16から最も離れた部分(マニホールド11の端部)との距離は、流入部16をマニホールド11の中央(スリット12の中心軸上)に設けた場合に最小となる。基材2に形成されたスラリー3の塗膜層の膜厚は、流入部16から離れた位置から吐出されて形成された部分であるほど小さくなるため、調整部31を機能させずに塗布した場合の塗膜層の厚みが最も厚い部分(流入部近傍)と最も薄い部分(端部近傍)との厚みの差は、流入部16をマニホールド11の中央(スリット12の中心軸上)に設けた場合に最も小さくなり、調整部31でスラリー3の吐出を調整した際に容易に高い平坦度を実現することができる。
【0045】
また、製造装置1は、基材2上へ塗布したスラリー3の膜厚を測定するセンサ36(
図1参照)を備えていても良い。このセンサ36は、幅方向に沿って複数設けられていてもよい。センサ36は、非接触式であり、基材2上のスラリー3の膜厚を、幅方向に沿って複数カ所、又は、幅方向の全長にわたって計測可能であり、計測結果は、製造装置1が備えている制御装置(コンピュータ)37に出力される。制御装置37はセンサ36からの計測結果に基づくフィードバック制御を行い、バルブ61の開度を調整する。つまり、スラリー3の膜厚の計測結果に応じて、制御装置37は、バルブ61に対して制御信号を出力し、バルブ61の開度を調整する。これにより、たとえばマニホールド11内でのスラリー3の滞留などによりスラリー3の流れに経時的な変化が生じても対応することができ、スラリー3の塗膜層の膜厚を幅方向に平坦化することが容易となる。
【0046】
なお、センサ36の代わりに制御装置37が有するタイマ機能により、バルブ61の開度を制御してもよい。つまり、塗布開始からある時間が経過すると第1のマニホールド11の端部などでスラリー3の固形成分の沈殿や凝集が生じて、スラリー3の流れに変化が生じる場合、この時間が経過する前の所定時間をタイマで計測し、その所定時間が経過すると、制御装置37はバルブ61の開度を大きくする制御を行ってもよい。
【0047】
以上の電池用極板の製造装置により、基材上に平坦度の高い塗膜層を形成することが可能となる。
【0048】
また、本発明の製造装置1は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。例えば、本実施形態(
図2参照)では、流入部16および調整部31は、スリット12の中心線に沿って設けられた構成としているが、中心線に沿った位置に限らず、たとえば
図4に示すようにダイ10の端部近傍に設けられた構成であってもよい。この構成であったとしても、調整部31を機能させなかった場合にスラリー3の塗膜層の膜厚が最も大きくなる流入部16近傍において、調整部31がスラリー3の吐出量を減らすことができ、幅方向の塗膜層の平坦度を高めることができる。
【0049】
また、前記実施形態では、第1のマニホールド11のスラリー3をスリット12を通じて吐出口18から基材2へと流す方向が水平方向となるようにダイ10が設置されている場合について説明したが、ダイ10の設置姿勢はこれ以外であってもよい。例えば、第1のマニホールド11とスリット12とが鉛直方向に並んで配置される姿勢でダイ10は設置されていてもよく、この場合において、第1のマニホールド11のスラリー3をスリット12を通じて吐出口18から基材2へと流す方向が鉛直方向上向きとなるようにダイ10が設置されていてもよい。
【0050】
なお、本発明の製造装置1は、塗布する塗布液が粘度の高いスラリーである場合に有効であり、粘度の高いスラリーを塗布して製品(例えば、光学フィルム)を製造する場合に適用してもよい。