(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材は、前記アンカーボルト配列プレートに上方から下方へ向かって挿通される前記芯材にその側方から係脱可能な複数の保持片に分割されていることを特徴とする請求項1に記載のアンカー装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明にかかるアンカー装置の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係るアンカー装置の第1実施形態を示す斜視図、
図2は、
図1に示したアンカー装置の側面図、
図3は、
図1に示したアンカー装置に適用される内側架台の説明図、
図4は、芯材を地組みする場合の部品図、
図5は、芯材の地組み作業の説明図、
図6は、
図1に示したアンカー装置に適用される保持部材の斜視図、
図7は、本発明に係るアンカー装置を用いて構築される鋼製柱部材の柱脚部の一例を示す平面断面図、
図8は、
図7中、A−A線矢視断面図、
図9は、本発明に係るアンカー装置を用いて構築される鋼製柱部材の柱脚部の他の例を示す平面断面図である。
【0022】
図1及び
図2に示すように、第1実施形態に係るアンカー装置1は、地盤G上に打設したコンクリートで構築される鉄筋コンクリート製基礎2中に埋設され、鋼製柱部材3を当該基礎2上に接合固定するのに用いられる。鋼製柱部材3は例えば、従来周知のCFT構造やSRC構造で構築される。
【0023】
アンカー装置1には、鋼製柱部材3を基礎2に接合するための部材として、複数のアンカーボルト4と、複数の芯鉄筋5が組み付けられる。本実施形態では、アンカーボルト4としては端部にネジ部を有する丸鋼が、芯鉄筋5としてはネジ鉄筋(異形鉄筋)が示されているが、それ以外のものであってもよい。
【0024】
図7及び
図8に示すように、アンカーボルト4は、鋼製柱部材3の柱脚部下端に設けられるベースプレート6と接合される。芯鉄筋5は、鋼製柱部材3を構成するコンクリートCの内部深くに定着される。
【0025】
複数のアンカーボルト4は
図1,
図2,
図7及び
図8に示すように、鋼製柱部材3の外周囲を取り囲む矩形環状の配置で、互いに間隔を隔てて配列される。複数のアンカーボルト4は、ベースプレート6のアンカーボルト挿通孔から上方に突出されるそれらの上端にナット7が螺合されることにより、ベースプレート6に締結され、これによって、ベースプレート6、ひいては鋼製柱部材3が基礎2上に接合固定される。
【0026】
複数の芯鉄筋5は、矩形環状に配列されるアンカーボルト4よりも内方にまとめて配設される。これら芯鉄筋5は、ベースプレート6中央の挿通穴6a(
図8参照)に挿通されて、基礎2側から鋼製柱部材3内部へ向かって配筋される。芯鉄筋5は、鋼製柱部材3の平断面ほぼ中央位置に配設される。芯鉄筋5は、基礎2側のコンクリートに下端側が定着され、上端側が鋼製柱部材3を形成するコンクリートCに定着される。
【0027】
以下、鋼製柱部材3が立設される基礎2を構築する前段階のアンカー装置1について説明する。アンカー装置1は主に、複数のアンカーボルト4が一括して接合固定されるアンカーボルト配列プレート8と、アンカーボルト配列プレート8を介して、複数のアンカーボルト4すべての重量を支持する外側架台9と、外側架台9とは別に、複数の芯鉄筋5の重量を一括して支持する内側架台10と、内側架台10を外側架台9に対して位置決めし、両者を連結する連結パーツ11と、アンカーボルト配列プレート8の高さ位置で、アンカーボルト配列プレート8に芯鉄筋5を保持させるための保持部材12とを備える。
【0028】
アンカーボルト配列プレート8は、アンカーボルト4の上端部4aに配置される。アンカーボルト配列プレート8は、アンカーボルト4の上記配列に沿う矩形枠状に形成され、矩形形態を形成する4つの枠辺部8aで取り囲まれた中央に、四角形状の開口部13を有する。アンカーボルト配列プレート8には、ベースプレート6のアンカーボルト挿通孔位置に合わせて通孔が形成される。
【0029】
複数のアンカーボルト4の上端部4aは、ベースプレート6と締結される以前の段階では、アンカーボルト配列プレート8に、その表裏から螺合されるナット14によって接合固定される。アンカーボルト配列プレート8には、これを補剛するために、四角形状の開口部13の各辺の口縁に下向きの折り曲げによって、4つのリブ15が形成される。
【0030】
外側架台9は、地盤G上に設置されて、地盤G側に定着される。外側架台9は、基枠16を構成する4本の枠材16aと、矩形枠状のアンカーボルト配列プレート8の四隅に対して配される4本の支持柱17を有する。枠材16a及び支持柱17はすべて、L型アングル材で構成される。外側架台9は、L型アングル材を組むことにより、骨組み形態で形成される。
【0031】
以下、L型アングル材については、折り曲げによる隅角部pによって狭まる側を入隅側q、入隅側qとは反対側を出隅側rと称する(
図3及び
図13参照)。4本の支持柱17は、入隅側qがアンカーボルト配列プレート8の矩形枠状の内方に向くように、すなわち開口部13側に向かうように立設される。
【0032】
支持柱17の下端は本実施形態では、おおよそ矩形状の基枠16に接合され、基枠16によってすべての支持柱17が地盤G上に立設される。基枠16は、4本の枠材16aを組み合わせることで構成される。枠材16aは、入隅側qが基枠16の外側に向くようにして、横に寝かせて配設される。
【0033】
基枠16は、第1の枠材16aの一端を、隣接する第2の枠材16aの長さ方向中途部に突き合わせて接合し、また、第2の枠材16aの一端を、隣接する第3の枠材16aに対し同様に突き合わせて接合し、このような接合を、第3と第4の枠材16a、第4と第1の枠材16aについて巡るように繰り返すことで、矩形枠状に形成される。そして基枠16には、各枠材16aの一部が基枠16の四隅から90度ずつ角度を変えて、基枠16の周りに前後左右異なる方向へ張り出すように、迫り出し脚部18が形成される。
【0034】
また、枠材16a同士の突き合わせによる接合箇所は、ほぼ直角に形成される。L型アングル材で構成される支持柱17は、出隅側rがこの直角の接合箇所に位置合わせされて、基枠16に接合され、これにより外側架台9が構成される。
【0035】
本実施形態では、外側架台9に関し、矩形状の基枠16の四隅に対し、各支持柱17の下端を接合するようにしているが、四隅で隣り合う枠材16a同士がほぼ直角をなす配置であれば、4本の枠材16aのうち、向かい合う一組の枠材16aを、支持柱17の下端と接合するように地盤G上に横に寝かせて設置すると共に、向かい合う他の一組の枠材16aを、支持柱17の高さ方向中間部と接合するように地盤Gから上方に浮かせて横向きに配置し、これら地盤G上の枠材16aと地盤Gから浮かせた枠材16aとを支持柱17でつなぐことによって、骨組み形態の外側架台9を構成するようにしても良いことはもちろんである。
【0036】
本実施形態にあっては、4本の支持柱17には、アンカーボルト4の下端部4bと外側架台9との取り合いを確保するために、アンカーボルト配列プレート8の下方に位置させて、これら支持柱17の周囲を取り囲んで、下側アンカーボルト配列プレート19が設けられる。
【0037】
下側アンカーボルト配列プレート19は、上方のアンカーボルト配列プレート8と同様に、矩形枠状であって、中央に四角形状の開口部20を有し、ベースプレート6のアンカーボルト挿通孔位置に合わせて形成された通孔に挿通されるアンカーボルト4の下端部4bが、その表裏から螺合されるナット21によって接合固定される。開口部20の向かい合う一組の口縁位置には、互いに平行に、板状の上向きリブ22が接合される。
【0038】
下側アンカーボルト配列プレート19の設置高さ位置は、これにアンカーボルト4の下端部4bが接合固定されたときに、アンカーボルト4の上端をベースプレート6に接合固定できる高さ位置となるように設定される。従ってまた、アンカーボルト配列プレート8の設置高さ位置は、ベースプレート6の設置高さ位置とほぼ同じかわずかに低い位置に設定される。
【0039】
また、支持柱17の高さは、基礎2に配筋される鉄筋やベースプレート6と干渉しないように、アンカーボルト配列プレート8の設置高さ位置よりも十分に低い高さに設定される。4本の支持柱17はそれぞれ、開口部20に下方から上方へ向かって挿通され、それらの出隅側rが下側アンカーボルト配列プレート19の開口部20の4つの隅角部それぞれに接合される。これにより、下側アンカーボルト配列プレート19は、外側架台9の支持柱17に取付固定される。
【0040】
アンカーボルト配列プレート8及び下側アンカーボルト配列プレート19双方に接合固定された複数のアンカーボルト4の全重量が、4本の支持柱17を有する外側架台9により、地盤G上に支持される。
【0041】
上述した形態の下側アンカーボルト配列プレート19は、必ずしも設けなくても良い。下側アンカーボルト配列プレート19に代えて、各支持柱17に、アンカーボルト取付用のアングル材などを接合し、このアングル材にアンカーボルト4の下端部4bを接合固定することで、各支持柱17で支持させるようにしても良い。
【0042】
外側架台9の内方には、内側架台10が配される。内側架台10は
図3にも示すように、1本の支柱23と、支柱23の上端にその中央部が接合された板状の受け座24から構成される。支柱23も、L型アングル材で構成される。支柱23が地盤G上に立設されることにより、内側架台10は地盤G側に定着される。
【0043】
受け座24上には、アンカーボルト配列プレート8及び下側アンカーボルト配列プレート19の開口部13,20に上方から下方へ向かって挿通される複数の芯鉄筋5の下端5aが一括して当接され、載置される。これにより、地盤G上に芯鉄筋5が支持される。支柱23の高さは、鋼製柱部材3に対する芯鉄筋5の定着長さに応じて設定される。
【0044】
連結パーツ11は、外側架台9とその内方に配される内側架台10を連結する。また、連結パーツ11は、連結するにあたり、外側架台9に対し、内側架台10を位置決めする。これら架台9,10同士を位置決めすることにより、アンカーボルト4及び芯鉄筋5相互の位置決めがなされる。
【0045】
連結パーツ11は、長短2本の位置決め材11a,11bから構成される。位置決め材11a,11bも、L型アングル材で構成される。連結パーツ11は、これら位置決め材11a,11bを横に寝かせた状態で、長い方の位置決め材11aの長さ方向中央の出隅側rに、短い方の位置決め材11bの長さ方向一端を接合することにより、接合箇所にほぼ直角な隅角部が得られるT字の形態で形成される。
【0046】
長い方の位置決め材11aは、外側架台9の基枠16を構成する、向かい合う一組の枠材16a間に差し渡される長さ寸法で形成される。当該長い方の位置決め材11aの長さ方向両端は、突き合わせによる枠材16a同士の接合箇所の間の中央に接合される。
【0047】
短い方の位置決め材11bは、平行関係で配置される長い方の位置決め材11aとこれに向かい合ういずれかの枠材16aとの間に差し渡される長さ寸法で形成される。当該短い方の位置決め材11bの長さ方向他端は、突き合わせによる枠材16a同士の接合箇所の間の中央に接合される。簡単には、連結パーツ11は、T字の形態に組まれる位置決め材11a,11bの直角な隅角部が矩形状の基枠16内方の空間の中心に位置するように、当該基枠16に対して接合される。
【0048】
そして、内側架台10のL型アングル材で構成される支柱23は、その下端の出隅側rが位置決め材11a,11bの直角な隅角部に位置合わせされて、連結パーツ11に接合され、この連結パーツ11を介して、外側架台9と内側架台10が相互に位置決めされ、両者が互いに連結される。
【0049】
上述した外側架台9と連結パーツ11、連結パーツ11と内側架台10の接合は、予め接合して現場に搬入したり、現場で接合すればよい。接合は、溶接接合であっても、あるいはボルト・ナットによる接合であってもよい。
【0050】
芯鉄筋5について説明すると、芯鉄筋5は、
図8にも示すように個別に取り扱うこととし、アンカーボルト配列プレート8及び下側アンカーボルト配列プレート19の開口部13,20から一本一本挿入して、内側架台10の受け座24上に載置してもよい。なお、
図8では、芯鉄筋5の上端5b及び下端5aに、基礎2側のコンクリート及び鋼製柱部材3側のコンクリートCに対する定着を確保するための定着ピース25が設けられている。定着ピース25を設けた場合、内側架台10には、当該定着ピース25を介して芯鉄筋5の下端5aが載置される。
【0051】
他方、芯鉄筋5は、
図4(a)に示すように、地組み等により、複数本を組んで取り扱うようにしても良い。芯鉄筋5の下端5a側及び上端5b側には、芯鉄筋5の下端5a同士及び上端5b同士の間隔を保持してそれらを位置決めする下スペーサ26及び上スペーサ27が設けられる。
【0052】
下スペーサ26は、受け座24上に設置可能な下プレート26aと、芯鉄筋5の下端5aが挿入されかつビス等の締め込みにより芯鉄筋5の下端5aを保持するスリーブ26bとから構成される。他方、上スペーサ27は、芯鉄筋5の上端5bが挿通される透孔27aを有する上プレート27bと、上スペーサ27bの表裏から芯鉄筋5の上端5bに螺合されるナット27cとから構成される。
【0053】
上スペーサ27及び下スペーサ26に対し、芯鉄筋5を接合する際には、
図5に示すように、いずれか一本の芯鉄筋5の下端5aを下スペーサ26のスリーブ26bに挿入して保持し、かつ当該芯鉄筋5の上端5bを上スペーサ27にナット27cで接合して、下スペーサ26及び上スペーサ27を芯鉄筋5に組んだ状態で、他の芯鉄筋5については、上端5bを先に上スペーサ27の透孔27aに差し入れ、次いで、芯鉄筋5を下スペーサ26側へ引き戻して下端5aをスリーブ26bに挿入し、最後に、ナット27cで上端5bを上スペーサ27の上プレート27bに接合固定するようにすればよい。
【0054】
これにより、複数本の芯鉄筋5を、上下のスペーサ26,27に、位置決めした状態で一体に組み付けることができる。上下のスペーサ26,27、特に上スペーサ27は、鋼製柱部材3側のコンクリートCに対して芯鉄筋5を定着させる定着部材として機能させることができる。
【0055】
芯鉄筋5は、このように複数本を一体化した場合であっても、アンカーボルト配列プレート8及び下側アンカーボルト配列プレート19の開口部13,20から差し入れて、内側架台10に載置し、地盤G側に支持させることができる。下スペーサ26を用いる場合、下スペーサ26は内側架台10の受け座24と、ボルト・ナットを用いて、あるいは溶接により接合固定される。
【0056】
保持部材12は
図1に示すように、アンカーボルト配列プレート8にボルト等で着脱自在に設けられる。保持部材12は、芯鉄筋5の上端5b側をアンカーボルト配列プレート8で保持するために、当該アンカーボルト配列プレート8に取り付けられることで芯鉄筋5と係合され、また、アンカーボルト4の上端部4aからアンカーボルト配列プレート8を取り外す際に、予め当該アンカーボルト配列プレート8から取り外され、これにより芯鉄筋5から離脱される。
【0057】
本実施形態では、保持部材12は
図6に示すように、2枚の帯板状の保持片28に分割して構成される。各保持片28は、開口部13を跨いで、アンカーボルト配列プレート8の向かい合う枠辺部8aに掛け渡される長さで形成される。保持片28には、芯鉄筋5に横方向から係合させるための凹部28aが形成される。保持片28は、開口部13に平行に配設され、向かい合う凹部28aで複数の芯鉄筋5をそれらの横方向から包囲するように、2枚一組で用いられる。
【0058】
従って、これら保持片28は、アンカーボルト配列プレート8の開口部13に上方から下方へ向かって挿通される芯鉄筋5に、それらの側方から係脱可能に係合される。芯鉄筋5を凹部28aで取り囲んだ2枚の保持片28は、それらの長さ方向両端部28bがアンカーボルト配列プレート8の枠辺部8a上面に接合固定され、これにより、芯鉄筋5は、保持部材12を介して、アンカーボルト配列プレート8に位置決め保持される。
【0059】
保持部材12(保持片28)については、芯鉄筋5に対して係脱可能でさえあれば、図示の例に限られることはなく、どのような形状であってもよい。また、保持部材12は2つに分割することが好ましいが、それ以上の個数に分割して構成しても良いことはもちろんである。
【0060】
第1実施形態に係るアンカー装置1の作用について説明する。アンカー装置1は、基礎2のコンクリート中に埋設されるアンカーボルト4や芯鉄筋5を予め精度良く組み立てておくのに用いられる。最初に、支持柱17を有する外側架台9と、支柱23を有する内側架台10が連結パーツ11で連結され、連結パーツ11により、外側架台9及び内側架台10相互の位置決めがなされる。この際、基枠16に対し、連結パーツ1で内側架台10を接合した後で、支持柱17を基枠16に接合することが好ましい。また、下側アンカーボルト配列プレート19は、外側架台9に最後に取付固定することが好ましい。
【0061】
連結パーツ11を介して一体化した外側架台9及び内側架台10を、地盤G上の所定位置に定着して設置する。外側架台9の下側アンカーボルト配列プレート19とアンカーボルト配列プレート8との間に、複数のアンカーボルト4を配設し、これら配列プレート8,19に接合固定する。
【0062】
例えば、すべてのアンカーボルト4の下端部4bを最初に下側アンカーボルト配列プレート19に接合固定し、その後、配列されたアンカーボルト4の上端部4aを、その上方から装着されるアンカーボルト配列プレート8に接合固定する。
【0063】
あるいは、アンカーボルト配列プレート8に、複数のアンカーボルト4の上端部4aを接合固定し、吊り下げ状態としたアンカーボルト4の下端部4bを、下側アンカーボルト配列プレート19に接合固定する。いずれの組み付け方法であっても、複数のアンカーボルト4すべての重量が、外側架台9の支持柱17や基枠16を介して、地盤G側に支持される。
【0064】
芯鉄筋5については、一本一本の状態あるいは上下スペーサ26,27でひとまとめに組んだ状態で準備される。芯鉄筋5を一本一本、あるいは組んだ状態で、アンカーボルト配列プレート8及び下側アンカーボルト配列プレート19の開口部13,20に上方から下方へ向かって挿通し、内側架台10の受け座24上に載置する。
【0065】
これにより、複数の芯鉄筋5すべての重量が、内側架台10の受け座24や支柱23を介して、地盤G側に支持される。この際、アンカーボルト配列プレート8等の開口部13は、芯鉄筋5の挿通を制限したり妨げることがないので、定着機能を有する下スペーサ26を装着した芯鉄筋5であっても、支障なく挿通することができる。
【0066】
この作業段階では、アンカーボルト4と芯鉄筋5とは、芯鉄筋5の建て込みがアンカーボルト4の設置位置精度に影響しないように、外側架台9と内側架台10で別々に支持されている。最後に、2枚一組の保持片28を、アンカーボルト配列プレート8の上方で、芯鉄筋5にその側方から係合し、それらの凹部28aで芯鉄筋5を取り囲んだ状態で、アンカーボルト配列プレート8に接合固定する。
【0067】
保持片28をアンカーボルト配列プレート8に取り付けることにより、内側架台10上に支持されている芯鉄筋5が、さらにアンカーボルト配列プレート8によって支えられ、位置保持される。この際、芯鉄筋5の重量は内側架台10によって支持されていて、アンカーボルト配列プレート8に取り付けた保持片28は、芯鉄筋5の傾きを押さえる程度の荷重を負担する。以上により、基礎2に埋設されるアンカーボルト4及び芯鉄筋5の配置が完了する。
【0068】
アンカーボルト4及び芯鉄筋5の配置が完了すると、地盤G上に設置されているアンカー装置1を埋設するように、基礎2のコンクリートが打設される。コンクリートは、少なくともアンカーボルト配列プレート8及びその周辺が露出されるように打設され、これによりアンカーボルト4及び芯鉄筋5の下方部分がコンクリート中に埋設される。
【0069】
コンクリートの養生後、保持片28をアンカーボルト配列プレート8から撤去する。この際、保持片28は、芯鉄筋5にその側方から係脱可能に保持部材12を分割した形態であるので、芯鉄筋5の上端部5bに向かって抜き出す必要がなく、当該上端部5bに上スペーサ27を取り付けていても、何ら支障なく芯鉄筋5から離脱させることができる。
【0070】
次いで、すべてのアンカーボルト4の上端部4aのナット14を外して、アンカーボルト配列プレート8を撤去する。これにより、アンカーボルト4の上端に、鋼製柱部材3の柱脚部のベースプレート6を接合固定することが可能となる。
【0071】
すなわち、CFT構造の鋼製柱部材3を示している
図7及び
図8を参照すると、ベースプレート6付きの柱鋼管3aを基礎2上に吊り込んで設置することにより、アンカーボルト4がベースプレート6のアンカーボルト挿通孔に挿通されると同時に、芯鉄筋5は、ベースプレート6の挿通穴6aを通じて、鋼製柱部材3の内部深くに達するように配設される。そして、ベースプレート6にアンカーボルト4を接合固定した後、柱鋼管3a内部にコンクリートCを打設することにより、基礎2から突出する芯鉄筋5が内部に定着された鋼製柱部材3の柱脚部構造が構築される。
【0072】
図9には、第1実施形態に係るアンカー装置1を、他のSRC構造に採用した場合の鋼製柱部材3の例が示されている。
図9(a)は、十字鉄骨3bを用いた場合であり、芯鉄筋5は、交差するウエブの隅角周辺に挿通され、柱コンクリートCによって定着される。
図9(b)は、H形鋼3cを用いた場合であり、芯鉄筋5は、ウエブを挟んで柱中央に挿通され、柱コンクリートCにより定着される。第1実施形態に係るアンカー装置1は、このような鋼製柱部材3に対しても、好ましく適用することができる。
【0073】
以上説明した第1実施形態に係るアンカー装置1にあっては、アンカーボルト4及び芯鉄筋5の配設途中の段階では、これらアンカーボルト4及び芯鉄筋5をそれぞれ個別独立に支持する外側架台9及び内側架台10を備えるようにしたので、これらアンカーボルト4及び芯鉄筋5の両者を最初から一体的に組み付けて支持する構造に比べ、芯鉄筋5の影響によりアンカー装置1の重心が高くなってしまうことを避けることができ、芯鉄筋5の高さに関係なく、これらアンカーボルト4及び芯鉄筋5の組付け施工を高い位置精度で行うことができる。
【0074】
外側架台9と内側架台10の相互位置関係については、連結パーツ11で両者を高い精度で位置決めして連結することができ、外側架台9及び内側架台10で個別に支持されるアンカーボルト4及び芯鉄筋5の相互位置関係についても、高い位置精度を確保することができる。
【0075】
また、重心が高くなることを避けることができるので、アンカー装置1全体が傾いてしまうような事態も防止できて、アンカー装置1を安定して地盤G側に据え付けることができ、従って良好な施工性でアンカーボルト4等の配設位置精度を高く確保することができる。
【0076】
このように、据付施工中で、アンカーボルト4と芯鉄筋5を分けて支持することによりアンカー装置1の安定性を確保できるので、アンカー装置1を大型化したり重量を重くする必要がなく、施工性を向上できると共に、コストアップも防止することができる。
【0077】
アンカーボルト配列プレート8に着脱自在に設けられ、芯鉄筋5をアンカーボルト配列プレート8に保持するために芯鉄筋5に係脱される保持部材12を備えたので、スペーサ26,27で複数の芯鉄筋5を組んで取り扱う場合であっても、芯鉄筋5の建て込み時には、保持部材12を外しておき、芯鉄筋5を建て込んだ後に保持部材12をアンカーボルト配列プレート8に接合して芯鉄筋5を位置保持できるので、上端5b及び下端5aにスペーサ26,27等を備える芯鉄筋5であっても、支障なくアンカー装置1に組み付けることができて、施工効率を向上することができる。
【0078】
また、アンカーボルト配列プレート8には、芯鉄筋5を一括して挿通可能な開口部13が形成されているので、芯鉄筋5のアンカー装置1への組み込みやアンカー装置1からのアンカーボルト配列プレート8の撤去を、きわめて容易かつスムーズに行うことができ、施工性を向上することができる。従ってまた、どのような段階でも、自在にスペーサ26,27を芯鉄筋5に装着して施工することができる。
【0079】
保持部材12を、アンカーボルト配列プレート8に上方から下方へ向かって挿通される芯鉄筋5に対して、その側方から係脱可能な複数の保持片28に分割して構成したので、芯鉄筋5の挿通作業や、当該芯鉄筋5へのスペーサ26,27の取り付けの自由度をさらに向上することができ、施工性を向上することができる。
【0080】
具体的には、基礎2のコンクリートの養生後であっても、保持片28を芯鉄筋5から容易に撤去することができる。従って、保持片28の撤去後、容易にアンカーボルト配列プレート8を取り外すことができる。他方、保持片28は、いつでもアンカーボルト配列プレート8に取り付け・取り外しできるので、芯鉄筋5へのスペーサ26,27の取り付け時期の自由度も高めることができる。これにより、スペーサ26,27を用いる場合の芯鉄筋5の施工性を大幅に向上することができる。
【0081】
複数の芯鉄筋5の上端5b及び下端5aにそれぞれ、これら芯鉄筋5同士の間隔を保持する上スペーサ27及び下スペーサ26を設け、下スペーサ26を、内側架台10と接合するようにしたので、芯鉄筋5の本数が多い場合、予め地組み等でセットして取り扱うことができ、施工性を向上することができる。
【0082】
また、内側架台10、外側架台9及び連結パーツ11を、L型アングル材の組み合わせで構成するようにしたので、L型アングル材のほぼ直角な隅角を利用して、これら内側架台10等を組立精度高くかつ簡便に組み立てることができる。
【0083】
図10には、第1実施形態の変形例が示されている。
図10は、内側架台10と芯鉄筋5を示す斜視図である。芯鉄筋5には、下スペーサ26に代えて、当該芯鉄筋5の長さ方向中途位置に、芯鉄筋5が個別に挿通される通孔を有するガイドプレート29が設けられ、これらガイドプレート29と上スペーサ27により、芯鉄筋5がひとまとめに組まれている。
【0084】
内側架台10には、支柱23と位置を合わせて受け座24上に立設された脚材30aと、脚材30aの上端に接合された天板30bとからなるガイドユニット30が設けられる。天板30bは、ガイドプレート29と同様な構成で、通孔30cを有する。
【0085】
天板30bの通孔30cを案内として、受け座24上への芯鉄筋5の挿通が案内されるようになっている。ガイドユニット30により、芯鉄筋5の下端5aを受け座24上に円滑に案内して設置することができ、施工性を向上することができる。この変形例にあっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0086】
次に、第2実施形態に係るアンカー装置を、図面を参照して詳細に説明する。
図11は、本発明に係るアンカー装置の第2実施形態を示す斜視図、
図12は、
図11に示したアンカー装置の側面図、
図13は、
図11に示したアンカー装置に適用される内側架台の説明図である。第1実施形態のアンカー装置と同様の構成については、その説明を省略する。
【0087】
第2実施形態に係るアンカー装置1は、芯鉄筋5の本数が多い場合に、上述したスペーサ26,27で地組み等して取り扱う場合に好ましく用いられる。図示例では、芯鉄筋5が9本の場合が示されている。
【0088】
図4(b)に示すように、これら9本の芯鉄筋5は、第1実施形態で説明したように、上スペーサ27と下スペーサ26により、互いの間隔が保持されて組み付けられる。下スペーサ26については、上記スリーブ26bが菱形の配列で配置され、下スペーサ26の四隅及び中央には、芯鉄筋5の下端5aが単に差し込まれるパイプ26cが配設され、このパイプ26cにより、9本のうち、5本の芯鉄筋5が下スペーサ26と上スペーサ27との間で保持される。
【0089】
図4(c)には、8本の芯鉄筋5をスペーサ26,27の周方向に環状に配列する場合が示されていて、中央のパイプ26cが省略されている。このように、芯鉄筋5は8本であっても、9本であっても、スペーサ26,27で組み付けることができる。
【0090】
芯鉄筋5の本数が多く、下スペーサ26で芯鉄筋5を予め組み付けて取り扱うことに対応して、内側架台10及び連結パーツ11が第1実施形態とは異なる形態で構成される。
【0091】
図11及び
図13に示すように、連結パーツ11は、L型アングル材で構成される4本の連結材11cを組み合わせることにより、4本の枠材16aで構成される外側架台9の基枠16と同じ形態で構成され、当該基枠16内部に設けられる。連結パーツ11は、4つの迫り出し脚部31の先端が、基枠16の各枠材16aの出隅側rに、ほぼ直角に突き合わせて接合される。従って、互いに向かい合う連結パーツ11の4本の連結材11cと基枠16の枠材16aとは、互いに平行関係で配置される。
【0092】
内側架台10は、外側架台9の支持柱17の下端が矩形状の基枠16に接合されるのと同様に、連結パーツ11の四隅に、入隅側qが矩形枠状の連結パーツ11内方の空間に向くように立設される4本のL型アングル材でなる柱材32と、斜めに向かい合う一対の柱材32同士の間に掛け渡して設けられる2枚の帯状プレート33から構成される。
【0093】
帯状プレート33は、上下に重ね合わせてX字状に組まれ、X字状の各端部が柱材32の入隅側qに接合固定される。X字状に組まれた帯状プレート33が、上記受け座24の役割を果たす。帯状プレート33は、柱材32の高さ方向中間位置に設けられる。内側架台10は、これら柱材32及び帯状プレート33により、骨組み形態で形成され、地盤G側に定着される。
【0094】
帯状プレート33上には、芯鉄筋5を組む下スペーサ26が載置される。帯状プレート33よりも上方へ突出する4本の柱材32の入隅側qは、内側架台10に芯鉄筋5を載置する際に、下スペーサ26の下降を案内する。
【0095】
第2実施形態では、内側架台10に関し、矩形状の連結パーツ11の四隅に対し、各柱材32の下端を接合するようにしているが、四隅で隣り合う連結材11c同士がほぼ直角をなす配置であれば、4本の連結材11cのうち、向かい合う一組の連結材11cを、柱材32の下端に接合するように地盤G上に横に寝かせて設置すると共に、向かい合う他の一組の連結材11cを、柱材32の高さ方向中間部と接合するように地盤Gから上方に浮かせて横向きに配置し、これら地盤G上の連結材11cと地盤Gから浮かせた連結材11cとを柱材32でつなぐことによって、骨組み形態の内側架台10を構成するようにしても良いことはもちろんである。
【0096】
このような第2実施形態であっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0097】
内側架台10を、4本の柱材32を四隅に配した骨組み形態で形成し、これら柱材32相互間に、高さ方向中間位置に位置させて、下スペーサ26を載置する帯状プレート33を設けるようにしたので、柱材32の入隅側qを案内として、下スペーサ26等で一体に組んだ芯鉄筋5を内側架台10に容易かつ円滑に載置することができる。
【0098】
図14には、第2実施形態の変形例が示されている。
図14は、内側架台10と芯鉄筋5を示す斜視図である。芯鉄筋5には、下スペーサ26に代えて、当該芯鉄筋5の長さ方向中途位置に、芯鉄筋5が個別に挿通される通孔を有するガイドプレート29が設けられ、これらガイドプレート29と上スペーサ27により、芯鉄筋5がひとまとめに組まれている。
【0099】
内側架台10には、X字状に組まれる帯状プレート33に代えて、4本の柱材32の上端に位置させて、板材で形成した矩形状の受け板34が接合される。芯鉄筋5の下端5aは、この受け板34上に載置される。受け板34には、スリーブ26bやパイプ26cを設けても良い。あるいは、芯鉄筋5に下スペーサ26を取り付け、この下スペーサ26を受け板34に対して接合しても良い。これにより、芯鉄筋5の下端5aを受け板34上に適切に設置することができ、施工性を向上することができる。
【0100】
図15には、第2実施形態の他の変形例が示されている。
図15も、内側架台10と芯鉄筋5を示す斜視図である。複数の芯鉄筋5の組み立て状態は、
図14の場合と同様であり、ガイドプレート29により、芯鉄筋5がそれらの長さ方向中途位置で、ひとまとめに組まれている。
【0101】
内側架台10では、帯状プレート33の取付位置に、これに代えて、板材で形成した矩形状の受け板34が接合固定されている。柱材32には、受け板34から上方に間隔を隔てて、4本の柱材32の上端に位置させて、矩形状の案内板35が接合される。
【0102】
案内板35には、中央に口径の大きな菱形の貫通穴35aが形成されると共に、四隅に小孔35bが形成される。四隅の小孔35bそれぞれには、ガイドプレート29で組んだ芯鉄筋5のうち、四隅に位置する芯鉄筋5が挿通される。貫通穴35aには、残りの芯鉄筋5が挿通される。
【0103】
すなわち、案内板35の小孔35b及び貫通穴35aを案内にして、受け板34上への芯鉄筋5の挿通が案内されるようになっている。受け板34には、スリーブ26bやパイプ26cを設けても良い。これにより、芯鉄筋5の下端5aを受け板34上に円滑に案内して設置することができ、施工性を向上することができる。
【0104】
これらの変形例にあっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0105】
図16及び
図17には、上述した保持部材12の変形例が示されている。
図16は、保持部材12の取り付け・取り外しの様子を説明する説明図であって、
図16(a)は保持部材12の取り付け完了状態を示す斜視図、
図16(b)は保持部材12の取り付け・取り外し途中の斜視図である。
図17は、
図16に示した保持部材12を構成する保持片40a,40bを説明する説明図であって、
図17(a)は第1保持片40aの平面外形輪郭を示す平面図、
図17(b)は第2保持片40bの平面外形輪郭を示す平面図、
図17(c)は第1及び第2保持片40a,40bを上下に重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0106】
この変形例に係る保持部材12は、2本以上の芯鉄筋5を2列で配列する場合に用いて好適なものである。保持部材12は、2枚の板状保持片40a,40bから構成される。図示例では、保持片40a,40bは、長方形の板材から形成されている。以下、芯鉄筋5が4本の場合について説明するが、2列配置であれば、2本以上、何本の芯鉄筋5に対しても、適用することができる。
【0107】
第1保持片40aには、芯鉄筋5を三方から取り囲む3つの辺a1,a2,a3を形成する第1凹部36が形成され、芯鉄筋(5)4本分として、第1凹部36が4つ形成される。図示では、第1凹部36はそれぞれ、上下の縁辺それぞれに切り欠き開口36aを有する形態で形成される。
【0108】
第2保持片40bには、第1凹部36の3つの辺a1,a2,a3で取り囲まれる芯鉄筋5を四方から取り囲むために、当該芯鉄筋5に面する残りの1つの辺a4を形成する縁辺が形成され、この縁辺は、芯鉄筋5の2列の配列に対応させて、2つ形成される。具体的には、辺a4を形成する2つの縁辺は、第2保持片40bに第2凹部37を形成することによって形成される。図示では、第2凹部37は、右側の縁辺に切り欠き開口37aを有する形態で形成される。
【0109】
そして、第1保持片40aに第2保持片40bを、芯鉄筋5の長さ方向、すなわちアンカー装置1の高さ方向に上下に重ね合わせると、第1保持片40aの第1凹部36が第2保持片40bの縁辺(辺a4)で仕切られて、すべての芯鉄筋5を個々に四方から取り囲んで係脱可能に保持する保持孔38が形成される。図示例では、4つの保持孔38が形成される。
【0110】
各保持孔38はもちろん、芯鉄筋5の配置間隔に合わせて形成されるもので、従って、第1凹部36同士の相互間隔や、第2凹部37で形成される2つの縁辺(辺a4)の間隔は、芯鉄筋5の外径寸法や配筋ピッチに合わせて設定される。
【0111】
また、第1及び第2保持片40a,40bは
図16に示すように、芯鉄筋5を保持した状態で、少なくともその端縁がアンカーボルト配列プレート8に係止可能な外形寸法で形成され、これにより、アンカーボルト配列プレート8に取り付け・取り外し可能に着脱自在に設けられる。
【0112】
図16(a)に示した例では、第1及び第2保持片40a,40bの端縁には、アンカーボルト配列プレート8に形成した係止孔8bやリブ15に係脱自在に係止可能な折曲片39が形成され、この折曲片39を係止孔8bやリブ15に係止することで各保持片40a,40bはアンカーボルト配列プレート8に取り付けられる。
【0113】
取り付け及び取り外し作業では、第2保持片40bについては、第2凹部37の切り欠き開口37aを、配列された芯鉄筋5に向け、水平横方向から複数の芯鉄筋5の外回りに抜き差しするようにすればよい。
【0114】
他方、第1保持片40aについては、芯鉄筋5の上端5b位置で、各第1凹部36を各芯鉄筋5に合わせ、その後、上方から下方に向けて抜き差しするようにすればよい。あるいは、第1保持片40aの上下の縁辺それぞれの切り欠き開口36aが上向き及び下向きになるようにして、第1保持片40aを2列の芯鉄筋5間に差し入れ、その後、第1保持片40aを回転させ(図中、Rで示す)、これにより各切り欠き開口36aを介して各第1凹部36に各芯鉄筋5を嵌め入れるようにし、取り外し作業では逆の手順で行うようにしても良い。
【0115】
図18及び
図19には、保持部材12の他の変形例が示されている。
図18は、保持部材12の取り付け・取り外しの様子を説明する説明図であって、
図18(a)は保持部材12の取り付け完了状態を示す斜視図、
図18(b)は保持部材12の取り付け・取り外し途中の斜視図である。
図19は、
図18に示した保持部材12を構成する保持片40c,40dを説明する説明図であって、
図19(a)は第1保持片40cの平面外形輪郭を示す平面図、
図19(b)は第2保持片40dの平面外形輪郭を示す平面図、
図19(c)は第1及び第2保持片40c,40dを上下に重ね合わせた状態を示す平面図である。
【0116】
この変形例に係る保持部材12は、3本以上の芯鉄筋5を3列で配列する場合に用いて好適なものである。保持部材12は、2枚の板状保持片から構成される。図示例では、保持片40c,40dは、長方形の板材から形成されている。以下、芯鉄筋5が9本の場合について説明するが、3列配置であれば、3本以上、何本の芯鉄筋5に対しても、適用することができる。
【0117】
第1保持片40cには、長さの長い第3凹部41と、長さの短い第4凹部42が3つずつ形成される。長さの短い第4凹部42は、芯鉄筋5を三方から取り囲む3つの辺a5,a6,a7を形成するもので、3つの第4凹部42で芯鉄筋(5)3本を保持するようになっている。
【0118】
他方、長さの長い第3凹部41は、芯鉄筋5を三方から取り囲む3つの辺a8,a9,a10を備え、かつ、これら3つの辺a8,a9,a10のうちの相対向する2辺a9,a10によって、芯鉄筋5を向かい合う二方から挟むようになっている。すなわち、第3凹部41は3つで、6本の芯鉄筋5を保持するようになっている。図示では、第3凹部41及び第4凹部42はそれぞれ、上下の縁辺それぞれに切り欠き開口41a,42aを有する形態で形成される。
【0119】
第2保持片40dには、第3凹部41及び第4凹部42の3つの辺a5〜a10で取り囲まれる芯鉄筋(5)6本を四方から取り囲むために、当該芯鉄筋5に面する残りの1つの辺a11を形成する縁辺が形成され、縁辺は、芯鉄筋5の2列(第1列及び第2列)の配列に対応させて、2つ形成される。具体的には、辺a11を形成する2つの縁辺は、第2保持片40dに第5凹部43を形成することによって形成される。
【0120】
また、第2保持片40dには、第3凹部41の2つの辺a9,a10で二方から挟まれる芯鉄筋(5)3本を四方から取り囲むために、当該芯鉄筋5に面する残りの2つの辺a12,a13を形成する縁辺が形成され、縁辺は、芯鉄筋5の一列(第3列)の配列に対応させて、向かい合わせて形成される。具体的には、辺a12,a13を形成するこの2つの縁辺は、第2保持片40dに第6凹部44を形成することによって形成される。図示では、第5凹部43及び第6凹部44は、右側の縁辺に切り欠き開口43a,44aを有する形態で形成される。
【0121】
そして、第1保持片40cに第2保持片40dを、芯鉄筋5の長さ方向、すなわちアンカー装置1の高さ方向に上下に重ね合わせると、第1保持片40cの第3凹部42及び第4凹部43が第2保持片40dの4つ縁辺(辺a11,a11,a12,a13)で仕切られて、すべての芯鉄筋5を個々に四方から取り囲んで係脱可能に保持する保持孔38が形成される。図示例では、9つの保持孔38が形成される。
【0122】
各保持孔38はもちろん、芯鉄筋5の配筋間隔に合わせて形成されるもので、従って、第3凹部41同士、第4凹部42同士、そして第3及び第4凹部41,42同士の相互間隔や、第5凹部43及び第6凹部44で形成される4つの縁辺(辺a11,a11,a12,a13)の間隔は、芯鉄筋5の外径寸法や配筋ピッチに合わせて設定される。
【0123】
また、第1及び第2保持片40c,40dは上記変形例と同様に、
図18に示すように、芯鉄筋5を保持した状態で、少なくともその端縁がアンカーボルト配列プレート8に係止可能な外形寸法で形成され、これにより、アンカーボルト配列プレート8に取り付け・取り外し可能に着脱自在に設けられる。
【0124】
図18(a)に示した例では、第1及び第2保持片40c,40dの端縁には、アンカーボルト配列プレート8の係止孔8bやリブ15に係脱自在に係止可能な折曲片39が形成され、この折曲片39を係止孔8bやリブ15に係止することで各保持片40c,40dはアンカーボルト配列プレート8に取り付けられる。
【0125】
取り付け及び取り外し作業では、第2保持片40dについては、第5凹部43及び第6凹部44の切り欠き開口43a,44aを、配列された芯鉄筋5に向け、水平横方向から列に沿って複数の芯鉄筋5の間に抜き差しするようにすればよい。
【0126】
他方、第1保持片40cについては、芯鉄筋5の上端5a位置で、各第3凹部41及び第4凹部42を芯鉄筋5の位置に合わせ、その後、上方から下方に向けて抜き差しするようにすればよい。あるいは、第1保持片40cの上下の縁辺それぞれの切り欠き開口41a,42aが上向き及び下向きになるようにして、第1保持片40cを第1列と第2列の芯鉄筋5間に差し入れ、その後、第1保持片40cを回転させ(図中、Rで示す)、これにより各切り欠き開口41a,42aを介して各第3凹部41及び第4凹部42に各芯鉄筋5を嵌め入れるようにし、取り外し作業では逆の手順で行うようにしても良い。
【0127】
図16〜
図19に示した変形例に係る保持部材12は、上記実施形態で説明した保持部材12と同様の作用効果を奏することはもちろんのこと、芯鉄筋5を個々に保持する保持孔38が形成されて、芯鉄筋(5)1本毎の設置位置精度をさらに向上することができる。
【0128】
図20は、上述した内側架台10の支柱23に関する変形例を示す斜視図である。この変形例では、支柱23は、上下方向に高さ調整可能にその長さ寸法が伸縮自在に構成される。具体的には、支柱23は、連結パーツ11に連結される下部支柱46と、受け座24を有する上部支柱47とから構成される。
【0129】
下部支柱46には、テレスコピック様もしくは入れ子形態で、上部支柱47をスライド自在に受容するガイド部48が形成される。ガイド部48には、押しボルト49が設けられ、この押しボルト49を締め付けることにより、ガイド部48にスライド自在に受容された上部支柱47が下部支柱46に対して位置固定され、これにより上部支柱47の高さ位置、ひいては支柱12の高さ寸法が設定される。上部支柱47にガイド部48を設け、下部支柱45をガイド部48にスライド自在に受容するようにしても良い。
【0130】
当該変形例に係る支柱12によれば、その高さ調整が可能なので、現場で組み立てる際に、芯鉄筋5の定着長さを適宜に自在に設定することができる。上記実施形態では、支柱12はL型アングル材であったが、この変形例に係る支柱12を構成する上部支柱47及び下部支柱46は、アングル材同士の組み合わせであっても、アングル材と棒鋼材などとの組み合わせであっても、組み合わせ構成はどのようなものであっても良い。そしてまた、この高さ調整可能な支柱12は、上述した実施形態のいずれに対しても、好ましく適用することができる。
【0131】
図21は、上記実施形態に係るアンカー装置1すべてに関し、その設置形態の変形例を示す斜視図である。地盤G側に杭頭露出部Xが存在する場合、例えばその杭頭露出部Xの位置に、上述したアンカー装置1を設置する場合の実施形態が示されている。
【0132】
このような場合には、アンカー装置1とこれを設置するための地盤G側との間に、地盤G上に組み上げて、杭頭露出部Xを避けてアンカー装置1の設置が可能なフレーム構造等の基台50が設けられ、この基台50の上にアンカー装置1が設けられる。基台50は、アンカー装置1が設置される地盤強度相当の強度で構成することが好ましい。そして、上記いずれの実施形態のアンカー装置1についても、地盤G上とは、地盤Gそのものに対し直接設置する場合だけに限られず、上記基台50を介して地盤Gに設置する場合も含まれるものである。