(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の副画素は、前記複数の発光層が並置されている第1の副画素と、量子ドット材料を含む発光層を1つ備えた第2の副画素とを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
前記副画素は、第1の電極と第2の電極との間に設けられた第1の発光層と、第3の電極と前記第2の電極との間に設けられた第2の発光層とを有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
本明細書において、ある部材又は領域が、他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0014】
[第1の実施形態]
本実施形態は、複数の発光層を縦方向(垂直方向)に積層した構成を有する発光素子及び当該発光素子で画素を構成した画像表示装置の一態様について示す。
【0015】
<発光素子の構造>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の画素を構成する発光素子102aの構成を示す。発光素子102aは、複数の発光層が設けられている。複数の発光層のそれぞれは、電極に挟まれている。
図1で示す発光素子102aは、3つの電極によって2つの発光層が挟まれた構造を有している。具体的には、発光素子102aは、第1の発光層106が第1の電極104と第2の電極108に挟まれ、第2の発光層110が第2の電極108と第3の電極112に挟まれた構造を有している。第1の発光層106と第2の発光層110とは第2の電極108を挟んで積層されているので、第2の電極108は上下にある2つの発光層で共有されているとみなすこともできる。
【0016】
発光素子は発光層を挟む電極間の電位差によって発光強度を制御することができる。
図1で示す発光素子102aは、第1の電極104と第3の電極112が駆動電源114に接続されているが、第1の電極104、第2の電極108及び第3の電極112が分離されているので、これら3つの電極間の電位差によって2との発光層の発光強度を制御することができる。つまり、第1の発光層106は、第1の電極104と第2の電極108との間の電位差により発光強度が制御され、第2の発光層110は、第2の電極108と第3の電極112との間の電位差により発光強度が制御される。
【0017】
この発光素子102aは、第1の電極104、第1の発光層106及び第2の電極108で構成される第1の発光セルと、第2の電極108、第2の発光層110及び第3の電極112で構成される第2の発光セルが直列に接続された構造とみなすこともできる。
【0018】
このように、複数の発光層が設けられた発光素子において、複数の発光層のそれぞれを相互に積層させると共に、各発光層の間に電極を介在させることで、発光層の発光強度を個別に制御することが可能となる。
【0019】
発光素子102aの光出射方向は、電極の構成によって決められる。例えば、発光素子102aにおいて、第2の電極108が透光性の電極であり、第1の電極104及び第3の電極112の一方が透光性電極、他方が光反射性電極であると、透光性電極とされた側の電極面から第1の発光層106及び第2の発光層110で発光した光が出射される。具体的には、第1の電極104を光反射性電極とし、第2の電極108及び第3の電極112を光透過性電極とすれば、第1の発光層106及び第2の発光層110で発光した光は、第3の電極112から出射されるものとなる。
【0020】
光反射性電極は、金属材料を用いて形成される。金属材料としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)など可視光帯域の光に対して反射率が高い金属材料を用いて形成することが好ましい。金属材料は例示される金属の単体元素に限定されず、アルミニウム−チタンなどの各種の合金材料、窒化チタンなどの金属窒化物などを用いてもよい。また、光反射性の電極は金属材料でなる単一の層に限定されず、複数の導電性の被膜を積層することによって形成されていてもよい。例えば、光反射性電極として、最表面に酸化スズが添加された酸化インジウム(Indium Tin Oxide:ITO)などの透明導電膜を設け、その下層に前述のような金属層を設けた積層構造とすることで光反射面を設けるようにしてもよい。
【0021】
光透過性電極は、酸化スズを含む酸化インジウム(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化インジウム・酸化亜鉛(IZO)などの導電性の金属酸化物を用いて形成することができる。また、光を透過する程度の厚さを有する(概略100nm以下)金属の薄膜で形成してもよい。
【0022】
第1の発光層106及び第2の発光層の一方又は双方は、量子ドットを含んで構成される。量子ドットを含む発光層は各種の形態が適用可能である。例えば、量子ドットの集合体によって発光層が形成されていてもよく、または量子ドットが無機又は有機半導体でなる母体材料に分散されていてもよい。或いは、量子ドットを含む発光層が正孔又は電子注入層、正孔又は電子輸送層などのキャリア注入・輸送層に挟まれるように設けられていてもよい。
【0023】
量子ドットは、各種の材料を適用することができる。例えば、量子ドットとして、数nmから数十nmの大きさを有する化合物半導体や酸化物半導体の微粒子を用いることができる。そのような微粒子としては、例えば、II−VI族半導体で構成されたもの(CdSe、CdS、CdTe、ZnO、ZnS、ZnTe、HgS、HgTe、CdZnSe等)、III−V族半導体で構成されたもの(InAs、InP、InN、GaN、InSb、InAsP、InGaAs、GaAs、GaP、AlP、AlN、AlSb、CdSeTe、ZnCdSe等)、または、IV−VI族半導体で構成されたもの(PbSe、PbTe、PbS、PbSnTe、Tl2SnTe5等)が挙げられる。また、量子ドットとして、IV族半導体で構成されたものを用いてもよい。例えば、一原子層の炭素原子の炭素原子の六員環が連なって平面状に配列した、グラフェン(graphene)を用いることができる。
【0024】
量子ドットの構造は、発光部位であるコア部のみを有する構造でもよいし、コア部の周囲にシェル部を有するコア/シェル構造であってもよい。また、シェル/コア/シェル構造等のマルチシェル構造であってもよい。なお、シェルとは、コア部への電子及び正孔の閉じ込め機能を高めるために設ける物質であり、コア部よりバンドギャップエネルギーの大きい物質が好ましい。このシェル部により、非発光遷移による電子および正孔の損失が低減され、発光効率を向上することが可能となる。
【0025】
このような量子ドットを含む発光層は、各種の製法で作製することができる。例えば、量子ドットを含む発光層を、スピンキャスト法、ドロップキャスト法などの溶液薄膜堆積技術により作製することができる。
【0026】
量子ドットを用いた発光層の発光メカニズムは複雑であるが、量子井戸のモデルを使って説明することができる。エネルギーバンドモデルを念頭に説明すると、量子ドットは発光層に局在化した準位を形成し、この局在準位が量子井戸を形成すること考えられる。このとき量子井戸は、発光層で発光中心として作用する。すなわち、量子ドットは、発光層に注入されたキャリアをトラップし、トラップされたキャリアが再結合する過程で光子を放出し、発光するメカニズムを考えることができる。
【0027】
量子ドットは、材料の組成、粒子のサイズによって放出される光、すなわち発光波長を制御することができる。したがって、粒子径の揃った量子ドットを発光層に分散させることで、スペクトルピークが鋭く、色純度の高い発光を得ることができる。別言すれば、材料の組成、粒子径を異ならせることで、ピーク波長の異なる発光を得ることができる。
【0028】
本実施形態において、第1の発光層106及び第2の発光層110は、同じ材質及び粒径の量子ドットを用いて構成してもよいが、相互に異なる量子ドットを用い、発光波長の帯域を異ならせるようにすることが好ましい。例えば、第1の発光層106を発光波長のピークが435nm〜480nmにある青色発光とし、第2の発光層110を発光波長のピークが580nm〜595nmにある黄色発光、又は500nm〜560nmの緑色発光及び610nm〜750nmの赤色発光とすることで、発光素子102aからの出射光を、白色光又は見かけ上白色光に近い光を出射光とすることができる。
【0029】
なお、発光層は2層に限定されず、青色光に対応した発光層、緑色光に対応した発光層及び赤色光に対応した発光層の3層を用い、
図1で示す構造と同様に各発光層が電極で挟まれるように積層して、白色光又は白色光に近いスペクトルの光を発光素子から出射させるようにしてもよい。
【0030】
第1の発光層106は、第1の電極104と第2の電極108とで形成される電界強度によって発光する程度の厚さを有していればよく、例えば、100nmから1000nmの厚さで形成することができる。これは第2の電極108と第3の電極112に挟まれる第2の発光層110についても同様である。
【0031】
図1は、第1の電極104と第3の電極112との間にバイアスが印加される態様を示す。このとき第2の電極108はフローティング電位でもよいし、別途電位を制御するようにしてもよい。第2の電極108がフローティングであれば第1の電極104と第3の電極112との間の電位差に基づいて第1の発光層106と第2の発光層110を発光させることができ、第2の電極108の電位を制御すれば、第1の発光層106と第2の発光層110の発光強度を個別に制御することができる。第1の発光層106と第2の発光層110との発光スペクトルが異なる場合、それぞれの発光強度を個別に制御することで、発光素子102から出射される光の色調を調節することができる。例えば、発光素子102から出射される光を、赤みがかった白色光、青みがかった白色光のように、見かけ上白色光とみなせる出射光に対しても色調を調整することができる。
【0032】
図1に示す発光素子102aによれば、第1の発光層106と第2の発光層110とが直列に接続されることにより、電流経路は一つになるので、2つの発光素子を個別に発光させたときに比べ、少ない電流で発光させることができる。また、第1の発光層106と第2の発光層110を、量子ドットを用いて形成することにより、色純度の高い出射光、または色純度が高く輝度が十分な白色光を得ることができる。
【0033】
<画像表示装置の全体構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100の一態様を示す。画像表示装置100は、画素126が配列して構成される画素部124を有し、これによって画像表示画面が設けられている。素子基板116には、発光素子及びトランジスタなどによる能動素子によって画素126が設けられており、画素部124の上面が封止材118によって覆われている。素子基板116には、画素126の動作を制御する信号を出力するドライバ回路120が設けられていてもよい。また、素子基板116には、外部回路と接続するためのフレキシブルプリント配線基板122が取り付けられていてもよい。
【0034】
<画素の構成>
図3及び
図4を参照して、本実施形態に係る画像表示装置の画素部の構成を示す。なお、本実施形態において画素は複数の副画素によって構成されているものとする。
【0035】
図3は、一つの画素126aに、第1の副画素127a、第2の副画素
128a、第3の副画素129aが含まれている構成を示す。例えば、第1の副画素127aを赤色に対応する副画素、第2の副画素
128aを緑色に対応する副画素、第3の副画素
129aを青色に対応する副画素とすることができる。副画素はこれらの色に対応するものだけでなく、前述する色の中間色に対応する副画素や、白色に対応する副画素を追加が追加されて一つの画素が構成されてもよい。このように一つの画素を発光色の異なる複数の副画素で構成することによりカラー表示をすることができる。
【0036】
図4は画素の断面構造を説明する図である。
図4で示す画素の断面構造は、
図3中に示すA−B線に対応している。以下の説明では、
図3及び
図4の双方を参照して説明する。
【0037】
図4で示すように、副画素は、発光素子102aと第1のトランジスタ136を含んで構成されている。発光素子102aは、
図1で説明したものと同様の構成を有し、第1の電極104、第1の発光層106、第2の電極108、第2の発光層及び第3の電極112が積層された構成を有している。すなわち、発光素子102aは、第1の電極104と第2の電極108との間に第1の発光層106が設けられ、第2の電極108と第3の電極112との間に第2の発光層110が設けられている。
【0038】
第1の発光層106及び第2の発光層110は画素領域の略全面に設けられている。第1の発光層106は第1の電極104を覆っているため、第1の電極104と第2の電極108は直接接触することがない。同様に、第2の発光層110は第2の電極108を覆っているため、第2の電極108と第3の電極112とが直接接触して短絡することはない。したがって、
図3の平面図で示すように、各副画素において、第1の電極104、第2の電極108及び第3の電極112は重畳するように設けられているが、それらの間に第1の発光層106又は第2の発光層110が介在していることにより、電極同士が直接接して短絡してしまうことを防止している。
【0039】
第1の電極104は、副画素ごとに個別電極として設けられ、第1のコンタクト部130において第1のトランジスタ136に接続されている。また、第2の電極108も各副画素の個別電極として設けられ、第2のコンタクト部132において電位を制御する配線140と接続されている。本実施形態では、第1の発光層106が上述のように無機材料によって形成されているので、第1の発光層106の上面に形成される第2の電極108を、フォトリソグラフィーを用いた微細加工プロセスを適用してもダメージを受けることがない。なお、第1の電極104の周縁部にはバンク層152が設けられていてもよく、このバンク層152によって第1の電極104によって生じる段差を緩和するようにしてもよい。
【0040】
また、第2の電極108を配線140と接続せず、フローティング電極として用いることもできる。この場合、第2の電極108を配線140と接続する第2のコンタクト部132を設ける必要がないので、副画素における発光有効面積を拡大することができる。すなわち、画素の開口率を高めることができる。
【0041】
第3の電極112は、複数の副画素に共通の電位を与える共通電極として設けられている。そのため第3の電極112は、第2の発光層110の略全面に形成されている。さらに、第3の電極112上には封止層154が設けられている。封止層154は、透光性の有機樹脂材料、または透光性の無機絶縁材料、もしくは有機樹脂材料でなる層と無機材料でなる層を組み合わせて形成することができる。封止層154は保護層としても機能を有し、第3の電極112上に設けられることで発光素子102aが大気に直接晒されないようにすることができる。
【0042】
図4は、第1の発光層106及び第2の発光層110の発光を、第3の電極112側から出射する、いわゆるトップエミッション型の画素構造を有している。このため、第1の電極104は前述の光反射性電極であり、第2の電極108及び第3の電極112は光透過性電極の構成を有している。
【0043】
発光素子102aは、第1の電極104、第1の発光層106、第2の電極108、第2の発光層110及び第3の電極112が重なる領域が発光領域となる。第1の発光層106を青色波長帯の光を発光する層とし、第2の発光層110を黄色、または赤色及び緑色の発光波長帯の光を発光する層とすることで、第3の電極112側から白色光又は白色光に近いスペクトルの光を出射させることができる。
【0044】
この発光領域に重ねてカラーフィルタ156を設けることができる。例えば、カラーフィルタ156は封止層154に埋設されるように設けることができる。このとき、各副画素に対応して所定のカラーフィルタ156を設けることで、画像表示装置はカラー表示をすることができる。
【0045】
カラーフィルタ156は、所定の帯域の光を透過する着色層の塗布と、当該着色層をパターニングする工程によって作製される。カラーフィルタの形成には、薬液の塗布や水洗処理が伴うが、発光層が無機材料である量子ドットを用いて形成されていることで、これらの処理によってもダメージを受けることがない。したがって、本実施形態によれば、発光層の上方にカラーフィルタを設けることができる。これにより、発光素子102aが形成される素子基板116にカラーフィルタを形成することができるので、画像表示装置の薄型化、軽量化を図ることができる。
【0046】
本実施形態によれば、一つの副画素に複数の発光層を設け、白色又は擬似的に白色光をみなすことのできる光を出射するようにし、各副画素に対応してカラーフィルタを設けることで、発光素子の構成を各副画素で共通化することができる。すなわち、副画素ごとに発光層を作り分ける必要がないため、発光層を各副画素共通の層として設けることができる。そのため、第1の発光層106及び第2の発光層110を画素領域の略全面に形成することができる。また、これらの発光層を画素領域の略全面に設けることにより、第1の電極104と第2の電極108との短絡、および第2の電極108と第3の電極112との短絡を防止することができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、少なくとも第1の発光層106を無機材料である量子ドットを用いて設けているので、第1の発光層106の上で第2の電極108をドライエッチング又はウェットエッチングにより加工しても、第1の発光層106はダメージを受けることがない。このため、フォトリソグラフィーを使った工法により、副画素を微細化することができる。
【0048】
発光素子102aと第1のトランジスタ136との間には層間絶縁層が設けられている。
図4では、発光素子102aと第1のトランジスタ136との間に層間絶縁層142が設けられている。層間絶縁層142は、一層又は複数の層で形成されていればよく、
図4の例ではゲート電極150とソース・ドレイン電極144との間、ソース・ドレイン電極144と
配線140との間、および配線140と第1の電極104との間に設けられている態様を示す。発光素子102aの第1の電極104は、第1のコンタクト部130において第1のトランジスタ136と接続されている。第1のコンタクト部130は、層間絶縁層142を貫通するコンタクトホールが設けられ、第1のトランジスタ136のソース・ドレイン電極144と電気的に接続されている。第1の副画素127aにおけるこのような構成は、第2の副画素
128a及び第3の副画素
129aでも同様であり、それぞれの副画素の第1の電極は副画素に接続されることにより個別に発光が制御される。
【0049】
第1のトランジスタ136は、半導体層146とゲート電極150がゲート絶縁層148によって絶縁された電界効果トランジスタの構成を有している。第1のトランジスタ136は、半導体層146は、非晶質又は多結晶のシリコン若しくは酸化物半導体を用いて形成され、ゲート電極150にゲート電圧が印加されることにより半導体層146にチャネルが形成される薄膜トランジスタの形態を有している。
【0050】
本実施形態によれば、量子ドットを用いた発光層を複数層有する発光素子と、トランジスタとを同一基板上に設けることができる。トランジスタによって、同一基板上に各画素の発光を制御する画素回路や、画素に駆動信号を与える駆動回路を形成することで、画像表示装置の薄型化や小型化を図ることができる。
【0051】
図5(A)及び(B)は、
図4で示すような発光素子102aとトランジスタを含んで構成される画素の回路構成の一例を回路図で示す。
【0052】
図5(A)は、走査信号線158に与えられる走査信号によってスイッチング動作する第1の選択トランジスタ166と、その第1の選択トランジスタ166がオンすることによって第1の映像信号線160から与えられる映像信号に基づく電位がゲートに与えられる第1の駆動トランジスタ170と、第1の駆動トランジスタ170に接続される発光素子102aを有する画素回路の一例を示す。第1の駆動トランジスタ170は電源線164と発光素子102aとの間に接続されている。
【0053】
第1の駆動トランジスタ170のゲート電位は第1の容量素子174によって保持され、そのゲート電位に応じたドレイン電流が発光素子102aに供給される。
図5(A)は画素の等価回路を示す。
図5(A)において、発光素子102aの構造を
図4に対応付けて説明すると、第1の電極104が第1の駆動トランジスタ170に接続され、第3の電極112に共通電位が与えられている。第1の電極104と第3の電極112との間にある第2の電極108は所定の制御電位(Vc)が与えられるか、またはフォローティング電位とされていてもよい。
【0054】
発光素子102aは、第1の電極104と第2の電極108とに挟まれた第1の発光層106による第1の容量部と、第2の電極108と第3の電極とに挟まれた第2の発光層110による第2の容量部が直列に接続された容量性の素子とみなすこともできる。この場合において、第2の電極108に制御電位(Vc)が与えられる場合、第1の発光層106と第2の発光層110に与えられる電界強度を、この制御電位(Vc)によって制御することができ、それによって発光強度を調節することができる。また、第2の電極108をフローティング電位とした場合には、副画素に映像信号が与えられたとき、映像信号に応じた所定の電位を保持する、メモリーとして機能させることもできる。
【0055】
図5(B)は、走査信号線158に与えられる走査信号によってスイッチング動作する第1の選択トランジスタ166と、その第1の選択トランジスタ166を介して第1の映像信号線160から映像信号に応じた電位が第1の容量素子174に与えられ、第1の容量素子174に蓄積された電荷によって発光素子102aを発光させる画素回路の一例を示す。発光素子102aの第1の電極104は、第1の選択トランジスタ166及び第1の容量素子174と接続され、第3の電極112に共通電位が与えられる。第1の容量素子174に共通電位より高い所定の電位が与えられると、第1の容量素子174から発光素子102aに電荷が流れ込み、発光素子102aは発光する。このとき、第2の電極108の電位は
図5(A)の場合と同様であり、制御電位(Vc)又はフローティング電位とすることができる。
図5(B)の回路では、画素を構成するトランジスタが一つでよく、トップエミッションの場合には画素の開口率に影響を与えることなく、容量素子の面積を大きくすることができるので、第1の容量素子174に蓄積される電荷によって発光素子102aを十分な発光強度で発光させることができる。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、量子ドットを用いて発光層を形成することにより、中間電極を挟んで当該発光層を積層させることができる。その場合において、中間電極に相当する第2の電極は、各副画素で個別の電極とすることができる。そのため、第1の電極と第
3の電極との間に複数の発光層を、量子ドットを用いて形成し、各発光層の間に別途第2の電極を設けることにより、各発光層にかかる電界強度を制御して、発光強度を調節することができる。また、量子ドットを用いて、発光波長帯域の異なる複数の発光層を積層させることにより、白色発光素子とすることができるので、光出射面にカラーフィルタを設けることで、カラー表示をすることができる。このため、発光層を画素(各副画素)ごとにパターニングする必要がなく、工程の簡略化が容易となる。
【0057】
[第2の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態で説明した副画素において、第3の電極も副画素ごとに電位を制御することのできる構成について、
図6及び
図7を参照して説明する。
【0058】
<画素の構成>
図6は、一つ画素126bが、第1の副画素127b、第2の副画素128b、第3の副画素129bにより構成されている態様を示す。例えば、第1の副画素127bを赤色に対応する副画素、第2の副画素128bを緑色に対応する副画素、第3の副画素129bを青色に対応する副画素とすることができる。副画素はこれらの色に対応するものだけでなく、前述する色の中間色に対応する副画素や、白色に対応する副画素を追加が追加されて一つの画素が構成されてもよい。このように一つの画素を発光色の異なる複数の副画素で構成することによりカラー表示をすることができる。
【0059】
第1の副画素127bは、第1の電極104、第2の電極108及び第3の電極112が設けられている。第1の電極104、第2の電極108及び第3の電極112は、第1の副画素
127bに属する個別電極として設けられている。この電極構成は、第2の副画素128b及び第3の副画素129bについても同様である。すなわち、第1の実施形態における画素の構成との相違は、第3の電極112が各画素共通の電極ではなく、各副画素に対応して個々に設けられている点にある。
【0060】
図7は画素の断面構造を説明する図である。
図7で示す画素の断面構造は、
図6に示すC−D線に対応している。以下の説明では、
図6及び
図7の双方を参照して説明する。
【0061】
図7において、発光素子102bが、第1の電極104、第2の電極108及び第3の電極112、並びに第1の発光層106及び第2の発光層110を有し、第1の発光層106が第1の電極104と第2の電極108に挟まれ、第2の発光層110が第2の電極108と第3の電極112に挟まれた構成を有し、第1の電極104が第1のトランジスタ136と接続されている点は、第1の実施形態と同様である。
【0062】
本実施形態において、第1の副画素127bは、第3の電極112が第3のコンタクト部134において第2のトランジスタ138と接続されている。第2のトランジスタ138は、第1のトランジスタ136と同じ構成を有している。第3のコンタクト部134は、第1の発光層106、第2の発光層110、層間絶縁層142を貫通するコンタクトホールを有している。第3の電極112は第2の発光層110の上面に設けられ、第3のコンタクト部134において当該コンタクトホールによって第2のトランジスタ138のソース・ドレイン電極144bと電気的に接続されている。
【0063】
本実施形態では、第1の発光層106及び第2の発光層110を、量子ドットを含む無機半導体材料で形成されているので、ドライエッチング又はウェットエッチングによりコンタクトホールを形成することができる。そして、各副画素の第3の電極112が、第2のトランジスタ138と接続されることにより、副画素ごとに第3の電極112の電位を異ならせ、発光素子102bの輝度や色相を制御することができる。
【0064】
図8は、
図7で示す構成の副画素によって構成することのできる画素の回路構成の一例を示す。
【0065】
図8において、第1の選択トランジスタ166、第1の駆動トランジスタ170、第1の容量素子174と発光素子102bの接続関係は、
図5(A)で示す回路と同様である。本実施形態では、発光素子102bの第3の電極112の電位を制御するために、第2の選択トランジスタ168、第2の駆動トランジスタ172、第2の容量素子176を有している。
【0066】
第2の選択トランジスタ168は、ゲートが走査信号線158と接続され、入力端子が第2の映像信号線162と接続されている。第2の選択トランジスタ168の出力側の端子は第2の駆動トランジスタ172のゲートに接続され、第2の映像信号線162に与えられる映像信号に基づく電位が第2の駆動トランジスタ172のゲートに与えられる。第2の容量素子176はこのゲート電位が充電され、当該ゲート電位を保持する機能を有している。
【0067】
発光素子102bの第2の電極108は配線140と接続されている。
図8において、配線140はある一定の電位が与えられる。配線140の電位は、各副画素の発光素子に共通に与えられる電位であってもよく、例えば、接地電位又はローレベルの基準電位あってもよい。第2の電極108が、一定の共通電位が与えられる配線140と接続されていることにより、第1の映像信号線160と第2の映像信号線162に与える映像信号を異ならせることができる。すなわち、発光素子102bにおける第1の電極104の電位と第3の電極112の電位とを異ならせることができる。それにより、第1の発光層106の発光強度と、第2の発光層110の発光強度を異ならせることができる。
【0068】
この場合、第1の発光層106の発光スペクトルと、第2の発光層110の発光スペクトルは異なるので、双方の発光強度を個別に制御可能とすることにより、発光素子102bから出射される光の合成スペクトルを変化させることができる。
【0069】
本実施形態によれば、発光素子の第1の電極と第3の電極の電位を個別に制御可能とすることで、第1の発光層と第2の発光層の発光強度を個別に変化させることができる。それにより、発光素子から出射される光の色調を調整することができる。なお、本実施形態に係る画像表示装置は、第3の電極の電位を独立して制御可能としたこと以外は第1の実施形態と同様であるので、本実施形態についても第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
[第3の実施形態]
本実施形態は、複数の発光層を横方向(水平方向)に配置した構成を有する発光素子及び当該発光素子で画素を構成した画像表示装置の一態様について示す。
【0071】
<発光素子の構造>
図9は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の画素を構成する発光素子102cの構成を示す。発光素子102cは、複数の発光層を有し、これらが一対の電極間に設けられている。すなわち、
図9で示すように、第1の発光層106と第2の発光層110は並置され、共に第1の電極105と第2の電極109に挟まれている。第1の発光層106と第2の発光層110とは並置され、共に第1の電極105と第2の電極109によって挟まれているので、2つの発光セルが並列に接続されているとみなすこともできる。
【0072】
発光素子102cは、第1の電極105と第2の電極109とを駆動電源114につなぎ電位差を与えることにより、同じ電位差が第1の発光層106及び第2の発光層110に印加される。第1の発光層106と第2の発光層110は所定の電位差が与えられると発光する。なお、第1の発光層106及び第2の発光層110の構成は第1の実施形態で説明するものと同様である。すなわち、第1の発光層106を発光波長のピークが435nm〜480nmにある青色発光とし、第2の発光層110を発光波長のピークが580nm〜595nmにある黄色発光、又は500nm〜560nmの緑色発光及び610nm〜750nmの赤色発光とすることで、発光素子102cからの出射光を、白色光又は見かけ上白色光に近い光を出射光とすることができる。
【0073】
第1の発光層106と第2の発光層110の発光スペクトルが異なる場合でも、発光素子102cを点光源とみなすことができる状況においては、発光層が並置されていてもそれぞれの発光層の発光色が分離して視認される色分離の影響を無視することができる。また、第1の発光層106と第2の発光層110は同じ膜厚を有している必要はなく異なっていてもよい。
【0074】
図9に示すように、複数の発光層を水平方向に並置することにより、それぞれの発光層における発光を、光出射面の電極を通して出射させることができる。すなわち、発光層を縦方向に積層した場合には、下層側に位置する発光層の発光が上層の発光層で吸収され減衰してしまう場合があり得るが、本実施形態の発光素子102cによれば、そのような問題を解決することができる。
【0075】
発光素子102cの光出射方向は、電極の構成によって決めることができる。例えば、発光素子102cにおいて、第2の電極109が透光性の電極であり、第1の電極105が光反射性電極であると、透光性電極とされた第2の電極109側から第1の発光層106及び第2の発光層110で発光した光を出射させることができる。
【0076】
なお、発光層は2層に限定されず、青色光に対応した発光層、緑色光に対応した発光層及び赤色光に対応した発光層の3層を用い、
図9で示す構造と同様に各発光層が電極で挟まれるように積層して、白色光又は白色光に近いスペクトルの光を発光素子から出射させるようにしてもよい。
【0077】
図9で示す発光素子102cによれば、第1の発光層106と第2の発光層110の面積を異ならせることができるので、発光層の面積により色バランスを調整することができる。例えば、視感度の低い青色光を出射する第1の発光層106の面積を、第2の発光層110の面積と比較して大きくするようにしてもよい。また、発光輝度に対する電流効率が低い発光層の面積を、相対的に電流効率の高い発光層の面積に比べて、大きくすることで、発光素子102cの出射光の色バランスを調整することもできる。
【0078】
<画素の構成>
図10及び
図11を参照して、本実施形態に係る画像表示装置の画素部の構成を示す。本実施形態も、他の実施形態と同様に、画素は複数の副画素によって構成されているものとする。
【0079】
図10は、一つの画素126cに、第1の副画素127c、第2の副画素128c、第3の副画素129cが含まれている構成を示す。例えば、第1の副画素127cを赤色に対応する副画素、第2の副画素128cを緑色に対応する副画素、第3の副画素129cを青色に対応する副画素とすることができる。副画素はこれらの色に対応するものだけでなく、前述する色の中間色に対応する副画素や、白色に対応する副画素を追加が追加されて一つの画素が構成されてもよい。
【0080】
図10に示す画素126cは、白色光を出射する発光素子とカラーフィルタとの組み合わせを基本とするが、青色に対応する第3の副画素129cに対してはカラーフィルタ
156cを設けない構成としてもよい。すなわち、第3の
副画素129cは、第1の発光層106が青色光の帯域を発光するものであるとすれば、
補色の関係にある黄色光を発光する第2の発光層110を省略することができる。本実施形態によれば、第1の発光層106は量子ドットを用いて設けられるので、発光スペクトルの半値幅が狭く、色純度の高い青色発光が可能であるため、カラーフィルタを用いなくても色純度が低下することはない。むしろ、青色に対応する波長帯域の光を発光する第1の発光層106の発光効率が低い場合でも、当該発光層から出射される光がカラーフィルタで吸収され減衰するのを防ぐことができるので、光の有効利用を図ることができる。それにより、第3の
副画素
129cにおける第1の発光層106の発光強度を低くすることができ、発光素子の劣化を抑制することができる。
【0081】
なお、
図10において、第1の発光層106と第2の発光層110が並置されている態様を示すが、発光層の配置及び配列はこれに限定されない。例えば、発光層を複数のパターンに分割して、第1の発光層106と第2の発光層110の島状領域が交互に配列するようにしてもよい。
【0082】
図11は、このような画素の断面構造を示す。
図11で示す画素の断面構造は、
図10に示すE−F線に対応している。
【0083】
図11に示すように、発光素子102cは第1のトランジスタ136と第1のコンタクト部130で接続されている。発光素子102cは、第1の電極105上に第1の発光層106と第2の発光層110が並置されている。このような発光層の配列は、第1の電極105を形成した後に、第1の発光層106と第2の発光層110を、順次形成すれば実現することができる。
【0084】
本実施形態において、発光層は量子ドットを用いた無機材料で形成されるため、例えば、フォトリソグラフィーによるマスク形成とエッチングによる加工により微細パターンを形成することができる。これにより、一つの副画素に(第1の電極105上に)微細な発光層のパターンを形成することができる。
【0085】
発発光層の上には第2の電極109が設けられ、さらに封止層154により全面が覆われている。そして、光の出射面にカラーフィルタ156を設けることで、所定の波長帯域の光を出射光として出力させることができる。カラーフィルタ156を設ける場合においても、第1の発光層106及び第2の発光層110が無機材料である量子ドットを用いて形成されていることにより、当該発光層がダメージを受けることがない。本実施形態では、発光素子102cが形成される素子基板116上にカラーフィルタ156を設けることができるので、画像表示装置の薄型化、軽量化を図ることができる。
【0086】
本実施形態によれば、量子ドットを用いた発光層を、第1に電極上に複数個並置させることができる。第1の電極上に設けられる複数の発光層は、発光スペクトルを異ならせることにより、白色又は擬似的に白色とみなすことのできる光を出射する副画素を形成することができる。この場合において、個々の発光層の面積を異ならせることで、色度調整をすることができる。
【0087】
図12(A)及び(B)は、
図11で示すような発光素子102cとトランジスタを含んで構成される画素の回路構成の一例を回路図で示す。
【0088】
図12(A)において、第1の選択トランジスタ166、第1の駆動トランジスタ170、第1の容量素子174と発光素子102cの接続関係は、
図5(A)で示す回路と同様である。ただし、発光素子102cは、第1の発光層106と第2の発光層110が第1の駆動トランジスタ170に対して並列に接続される関係にある。そのため、駆動トランジスタのドレイン電流は、第1の発光層106と第2の発光層110の特性に応じて分流して流れることとなる。
【0089】
図12(B)において、第1の選択トランジスタ166、第1の容量素子174と発光素子102cの接続関係は、
図5(B)で示す回路と同様である。発光素子102cの第1の電極105は、第1の選択トランジスタ166及び第1の容量素子174と接続され、第2の電極109に共通電位が与えられるので、第1の容量素子174に共通電位より高い所定の電位が与えられると、第1の容量素子174から発光素子102cに電荷が供給され発光させることができる。
【0090】
以上のように、本実施形態によれば、量子ドットを用いて発光層を形成することにより、複数の発光層を同一の電極上に並列配置して設けることができる。この場合、発光スペクトルの異なる複数の発光層の面積を異ならせることができるので、当該複数の発光層の面積比を異ならせることにより、色調を調節することができる。また、当該発光波長の異なる複数の発光層の組み合わせにより、白色光を出射する発光素子とすることができるので、画素の光出射面にカラーフィルタを設けることで、カラー表示をする画像表示装置を実現することができる。
【0091】
[第4の実施形態]
本実施形態は、複数の発光層を横方向(水平方向)に配置すると共に、各発光層による発光を個別に制御することができる構成を有する発光素子及び当該発光素子で画素を構成した画像表示装置の一態様について示す。
【0092】
<発光素子の構造>
図13は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置の画素を構成する発光素子102dの構成を示す。発光素子102dは、第1の発光層106が第1の電極
105と第2の電極
109との間に設けられ、第2の発光層110が第3の電極113と第2の電極109との間に設けられている。すなわち、発光素子102dは、第2の電極109を共通とし、第1の電極105が第1の発光層106に対応し、第3の電極113が第2の発光層110に対応して設けられている。
【0093】
すなわち、本実施形態に係る発光素子102dは、並置された複数の発光層を挟み込む電極の一方が、各発光層に対応して分割して設けられている点で、第3の実施形態に係る発光素子と相違している。この相違により、
図13に例示される発光素子102dでは、第1の発光層106と第2の発光層110とを、個別に制御して発光をさせることができる。
図13では、第1の発光層106を挟む第1の電極105と第2の電極109が第1の駆動電源114aに接続され、第2の発光層110を挟む第3の電極113と第2の電極109が第2の駆動電源114bと接続されている。この場合、第1の駆動電源114aと第2の駆動電源114bの駆動電圧を異ならせて発光素子102dを発光させることができる。また、発光素子102dの一方の発光層を非発光の状態にし、他方の発光層のみで発光させることもできる。
【0094】
なお、第1の発光層106及び第2の発光層110の構成は第1の実施形態で説明するものと同様である。すなわち、第1の発光層106を発光波長のピークが435nm〜480nmにある青色発光とし、第2の発光層110を発光波長のピークが580nm〜595nmにある黄色発光、又は500nm〜560nmの緑色発光及び610nm〜750nmの赤色発光とすることで、発光素子102dからの出射光を、白色光又は見かけ上白色光に近い光を出射光とすることができる。なお、発光層はこれらの組み合わせに限定されず、青色光に対応した発光層、緑色光に対応した発光層及び赤色光に対応した発光層の3層を設けてもよい。
【0095】
発光素子102dの光出射方向は、電極の構成によって決めることができる。例えば、発光素子102dにおいて、第2の電極
109が透光性の電極であり、第1の電極
105、第3の電極113が光反射性電極であると、透光性電極とされた第2の電極
109側から第1の発光層106及び第2の発光層110で発光した光を出射させることができる。
【0096】
本実施形態の発光素子102dにおいても、第3の実施形態におけるものと同様に、第1の発光層106と第2の発光層110の面積を異ならせることができるので、発光層の面積により色バランスを調整することができる。
【0097】
<画素の構成>
図14及び
図15を参照して、本実施形態に係る画像表示装置の画素部の構成を示す。本実施形態も、他の実施形態と同様に、画素は複数の副画素によって構成されているものとする。
【0098】
図14は、第3の実施形態と同様に、一つの画素126dに、第1の副画素127d、第2の副画素128d、第3の副画素129dが含まれている構成を示す。また、青色に対応する第3の副画素129dはカラーフィルタを設けない構成としている。
【0099】
図15は、このような画素の断面構造を示す。
図15で示す画素の断面構造は、
図14に示すE−F線に対応している。
【0100】
図15に示すように、発光素子102dは、第1の電極105が第1のコンタクト部130において第1のトランジスタ136と接続され、第3の電極113が第2のコンタクト部132において第2のトランジスタ138と接続されている。第2の電極109は共通電位が与えられているので(例えば、接地電位)、第1のトランジスタ136と第2のトランジスタ138により、第1の発光層106と第2の発光層110に印加する電位を個別に異ならせて発光させることができる。
【0101】
なお、本実施形態において、第1の電極105と第3の電極113とは光反射性電極であり、第2の電極109は光透過性電極である。したがって、第2の電極109が光出射面となり、この上面側にカラーフィルタ156を設けることで特定の帯域の光を副画素の出射光とすることができる。この場合、一つの副画素を点光源とみなすことができれば、出射光の波長帯域が異なる複数の発光層が並置されていても、発光色が分離して視認される色分離の影響を無視することができる。
【0102】
本実施形態によれば、量子ドットを用いた発光層を複数個並置させ、個々に発光を制御することで、白色又は擬似的に白色とみなすことのできる光を出射する副画素を形成することができる。この場合において、それぞれの発光層に印加する電位を異ならせることで、色度調整をすることができる。
【0103】
図16(A)及び(B)は、
図15で示す発光素子102dとトランジスタにより構成される画素の回路構成の一例を回路図で示す。
【0104】
図16(A)において、第1の選択トランジスタ166、第1の駆動トランジスタ170、第1の容量素子174と発光素子102dの接続関係は、
図5(A)で示す回路と同様である。第2の選択トランジスタ168、第2の駆動トランジスタ172、第2の容量素子176と発光素子102dの接続関係も同様である。ただし、第1の駆動トランジスタ170が発光素子102dの第1の電極105と接続され、第2の駆動トランジスタ172が第3の電極113と接続されている点で異なっている。また、第1の選択トランジスタ166は第1の映像信号線160と接続され、第2の選択トランジスタ168は第2の映像信号線162と接続され、第1の駆動トランジスタ170と第2の駆動トランジスタ172は共に電源線164に接続されている。
【0105】
このような回路構成により、第1の映像信号線160と第2の映像信号線162に与える映像信号を異ならせれば、第1の電極105に印加される電位(第1の発光層106に流れる電流)と、第3の電極113に印加される電位(第2の発光層110に流れる電流)とを個別に制御することができる。
【0106】
図16(B)において、第1の選択トランジスタ166、第1の容量素子174と発光素子102dの接続関係は、および第2の選択トランジスタ168、第2の容量素子176と発光素子102dの接続関係は
図5(B)で示す回路と同様である。
【0107】
発光素子102dの第1の電極105は、第1の選択トランジスタ166及び第1の容量素子174と接続され、第3の電極113は、第2の選択トランジスタ168及び第2の容量素子176と接続され、第2の電極109に共通電位が与えられる。これにより、第1の容量素子174に共通電位より高い所定の電位が与えられると、第1の電極105と第2の電極109の電位差により第1の発光層106の発光をさせることができる。第2の発光層110についても同様である。
【0108】
以上のように、本実施形態によれば、量子ドットを用いて発光層を形成することにより、複数の発光層を同一の電極上に並列配置して設けることができる。そして、それぞれの発光層に対応して個別電極を設けることで、各発光層の発光を制御することができる。この場合、各発光層の発光強度は、個別電極に印加する電位によって制御することができるので、それにより発光強度を変化させ、色調を調節することができる。また、当該発光波長の異なる複数の発光層の組み合わせにより、白色光を出射する発光素子とすることができるので、画素の光出射面にカラーフィルタを設けることで、カラー表示をする画像表示装置を実現することができる。なお、本実施形態において、第3の電極を設けた構成以外は第3の実施形態と同様であるので、第
3の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、個別電極に対応する発光部分の発光強度については、図示しないが、個別電極に印加する電位を固定し、適切な回路を用いて、発光時間の長短を制御することでも調整することができる。