特許第6391452号(P6391452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391452
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】サンルーフデフレクタの支持構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/22 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   B60J7/22
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-248373(P2014-248373)
(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公開番号】特開2016-60480(P2016-60480A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年7月13日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0122143
(32)【優先日】2014年9月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】イ、ホ−ユル
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭64−36215(JP,U)
【文献】 特開2003−341368(JP,A)
【文献】 特開2012−206579(JP,A)
【文献】 特開2008−137502(JP,A)
【文献】 実開平6−6044(JP,U)
【文献】 特開2000−85368(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1745965(EP,A2)
【文献】 特開昭58−73478(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0236052(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00−9/04
11/00−11/10
E05B 1/00−85/28
E05C 1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の天井部に配置されたデフレクタベースに一端が回動可能なように結合し、他端がデフレクタ布と連結するデフレクタアーム、
前記デフレクタベースとデフレクタアームの間に設置され、デフレクタアームに弾性力を提供するデフレクタスプリング、および
前記デフレクタアームにヒンジピンを介して回動可能なように結合し、前端に環部が形成されるロッキングレバー、
を備え、
車両のサンルーフガラスの開放時に、前記ロッキングレバーの環部がデフレクタスプリングの端部に掛かることによってデフレクタアームの下降を防ぐことを特徴とする、サンルーフデフレクタの支持構造。
【請求項2】
一端が前記デフレクタアームに結合し、他端がロッキングレバーに結合するヒンジスプリング
をさらに備え、
前記ヒンジスプリングは、ロッキングレバーをデフレクタスプリング方向に加圧することを特徴とする、請求項1に記載のサンルーフデフレクタの支持構造。
【請求項3】
前記ロッキングレバーは、
前記ヒンジピンが貫通結合するヒンジホールを基準として後方を上側に湾曲させて湾曲部を形成し、
車両のサンルーフガラスの閉鎖時に、前記ロッキングレバーの湾曲部がサンルーフガラスと結合するコマンドシュによって押されることにより、ロッキングレバーとデフレクタスプリングの係止を解除することを特徴とする、請求項1に記載のサンルーフデフレクタの支持構造。
【請求項4】
前記デフレクタスプリングは、
前記デフレクタベースに形成された多数の結合突起に挿入されるように形成された挿入部、
前記挿入部から上側に湾曲延長した中央部、および
前記中央部から水平方向に延長し、ロッキングレバーの環部と掛かるように形成された係止部
を備えることを特徴とする、請求項1に記載のサンルーフデフレクタの支持構造。
【請求項5】
車両の天井部に配置されたデフレクタベースに一端が回動可能なように結合し、他端がデフレクタ布と連結するデフレクタアーム、
前記デフレクタベースとデフレクタアームの間に設置され、デフレクタアームに弾性力を提供するデフレクタスプリング、
前記デフレクタアームにヒンジピンを介して回動可能なように結合し、前端に環部が形成されるロッキングレバー、および
一端が前記デフレクタベースに回動可能なように結合し、他端が選択的にロッキングレバーの環部に掛かる支持レバー
を備え、
車両のサンルーフガラスの開放時に、前記ロッキングレバーの環部が支持レバーの端部に掛かることによってデフレクタアームの下降を防ぐことを特徴とする、サンルーフデフレクタの支持構造。
【請求項6】
前記支持レバーは、
前記デフレクタスプリングの端部が挿入されてスライディングできるように長さ方向に形成されたスロット
を備え、
前記デフレクタスプリングの端部がスロット上でスライディングすることによって支持レバーがロッキングレバー方向に回転することを特徴とする、請求項5に記載のサンルーフデフレクタの支持構造。
【請求項7】
一端が前記デフレクタアームに結合し、他端がロッキングレバーに結合するヒンジスプリング
をさらに備え
前記ヒンジスプリングは、ロッキングレバーを支持レバー方向に加圧することを特徴とする、請求項5に記載のサンルーフデフレクタの支持構造。
【請求項8】
前記ロッキングレバーは、
前記ヒンジピンが貫通結合するヒンジホールを基準として後方を上側に湾曲させて湾曲部を形成し、
車両のサンルーフガラスの閉鎖時に、前記ロッキングレバーの湾曲部がサンルーフガラスと結合するコマンドシュによって押されることにより、ロッキングレバーと支持レバーの係止を解除することを特徴とする、請求項5に記載のサンルーフデフレクタ支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の天井部に配置されるサンルーフデフレクタの支持構造に関し、より詳細には、デフレクタアームにヒンジピンを介して回動可能なように結合するロッキングレバーが車両のサンルーフガラスの開放時にデフレクタスプリングの端部に掛かることによってデフレクタアームの下降を防ぐことを特徴とする、サンルーフデフレクタの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフパネル上には、車両内部の空気を外部に排出させたり外部の空気を車両内部に流入させたりするために、サンルーフガラスを通じて開閉可能な開口部が形成されることがある。
【0003】
特に、最近は、爽快な開放感と優れた審美的デザインのために、車両のルーフパネルの大部分をガラスで製作し、その一部を選択的に開閉する方式のパノラマサンルーフが多く使用されている。
【0004】
このようなパノラマサンルーフにより、搭乗者は車両の走行時または停車時に自然の太陽光をより多く受けることができるようになり、車両の走行中にパノラマサンルーフを開放して爽快な走行感を感じることができるようになった。
【0005】
一般的に、パノラマサンルーフの前方には、サンルーフガラスを開放した状態で車両を走行するときに、走行風が開口部を通じて車両の内部に流入しないように走行風の方向を上に上げる役割をするサンルーフデフレクタが設置される。
【0006】
このようなサンルーフデフレクタは、デフレクタアームを別途の電動装置を使用してチルト−アップ(tilt−up)作動させる方式や、サンルーフガラスの開放と共にデフレクタアームの圧縮を解除しながらデフレクタスプリングの弾性力を利用してデフレクタアームをチルト−アップ作動させる方式によって作動する。
【0007】
図1は、一般的な車両のサンルーフデフレクタを示した断面図である。
図1に示すように、従来のサンルーフデフレクタは、車両の天井部に配置されたデフレクタベース1に一端が回動可能なように結合し、他端がデフレクタ布3と連結するデフレクタアーム2、および前記デフレクタベース1とデフレクタアーム2の間に設置され、デフレクタアーム2に弾性力を提供するデフレクタスプリング4で構成される。
【0008】
車両のサンルーフガラスを開放するとき、前記デフレクタスプリング4の弾性力によってデフレクタアーム2は上昇し、このとき、デフレクタアーム2と連結するデフレクタ布3が開口部5の前方を塞ぐことにより、走行風が車両の内部に流入することを防ぐようになる。
【0009】
また、車両のサンルーフガラスを閉鎖するとき、前記デフレクタアーム2は、サンルーフガラス(図示せず)に結合するコマンドシュ(図示せず)によって押されながら下降し、これによってデフレクタアーム2と連結するデフレクタ布3が収納される。
【0010】
しかし、図1に示すように、従来のサンルーフデフレクタは、車両の高速走行時にデフレクタ布3に過多な空気抵抗が発生することにより、デフレクタアーム2が全体的に下降しながら風音が発生するという問題がある。
【0011】
また、これを改善するために、デフレクタスプリング4の剛性を増大させることによってデフレクタアームの高さが下降することを減少させることはできるが、デフレクタスプリングの剛性を増大させるときには、デフレクタスプリングの作動耐久寿命が低下し、サンルーフガラスの閉鎖負荷の増加による誤反転現象(サンルーフガラスが物体の挟まりを判断し間違えて反転する現象)が発生するという問題がある。
【0012】
このような誤反転現象を改善するためには、モータセーフティ値(サンルーフガラスの閉鎖時、物体が挟まったときに反転させる基準値)を増大させて対応することもできるが、これにはセーフティ機能の敏感度を低下させるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために案出されたものであって、サンルーフガラスの開放時に空気抵抗によってデフレクタアームの高さが下がることを防ぎ、風音の性能が向上したサンルーフデフレクタの支持構造を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、デフレクタスプリングの剛性を最小化することにより、デフレクタスプリングの耐久性能の増大、サンルーフガラスの誤反転可能性の減少、およびセーフティ機能の敏感度を向上させることができるサンルーフデフレクタの支持構造を提供することを他の目的とする。
【0015】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した技術的課題に制限されるものではなく、言及されていないさらに他の技術的課題は、本発明の記載から当該分野において通常の知識を有する者によって明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述したような目的を達成するために、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造は、車両の天井部に配置されたデフレクタベースに一端が回動可能なように結合し、他端がデフレクタ布と連結するデフレクタアーム、前記デフレクタベースとデフレクタアームの間に設置され、デフレクタアームに弾性力を提供するデフレクタスプリング、および前記デフレクタアームにヒンジピンを介して回動可能なように結合し、前端に環部が形成されるロッキングレバーを備え、車両のサンルーフガラスの開放時に、前記ロッキングレバーの環部がデフレクタスプリングの端部に掛かることによってデフレクタアームの下降を防ぐことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造は、一端が前記デフレクタアームに結合し、他端がロッキングレバーに結合するヒンジスプリングをさらに備え、前記ヒンジスプリングは、ロッキングレバーをデフレクタスプリング方向に加圧することが好ましい。
【0018】
なお、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造において、前記ロッキングレバーは、前記ヒンジピンが貫通結合するヒンジホールを基準として後方を上側に湾曲させて湾曲部を形成し、車両のサンルーフガラスの閉鎖時に、前記ロッキングレバーの湾曲部がサンルーフガラスと結合したコマンドシュによって押されることによってロッキングレバーとデフレクタスプリングの係止が解除されることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造において、前記デフレクタスプリングは、前記デフレクタベースに形成された多数の結合突起に挿入されるように形成された挿入部、前記挿入部から上側に湾曲延長した中央部、および前記中央部から水平方向に延長し、ロッキングレバーの環部に掛かるように形成された係止部を備えることが好ましい。
【0020】
本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造は、車両の天井部に配置されたデフレクタベースに一端が回動可能なように結合し、他端がデフレクタ布と連結するデフレクタアーム、前記デフレクタベースとデフレクタアームの間に設置され、デフレクタアームに弾性力を提供するデフレクタスプリング、前記デフレクタアームにヒンジピンを介して回動可能なように結合し、前端に環部が形成されたロッキングレバー、および一端が前記デフレクタベースに回動可能なように結合し、他端が選択的にロッキングレバーの環部に掛かる支持レバーを備え、車両のサンルーフガラスの開放時に、前記ロッキングレバーの環部が支持レバーの端部に掛かることによってデフレクタアームの下降を防ぐことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造において、前記支持レバーは、前記デフレクタスプリングの端部が挿入されてスライディングできるように長さ方向に形成されたスロットを備え、前記デフレクタスプリングの端部がスロット上でスライディングすることによってレバーがロッキングレバー方向に回転することが好ましい。
【0022】
なお、本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造は、一端が前記デフレクタアームに結合し、他端がロッキングレバーに結合するヒンジスプリングをさらに備え、前記ヒンジスプリングは、ロッキングレバーを支持レバー方向に加圧することが好ましい。
【0023】
さらに、本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造において、前記ロッキングレバーは、前記ヒンジピンが貫通結合するヒンジホールを基準として後方を上側に湾曲させて湾曲部を形成し、車両のサンルーフガラスの閉鎖時に、前記ロッキングレバーの湾曲部がサンルーフガラスと結合するコマンドシュによって押されることによってロッキングレバーと支持レバーの係止が解除されることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
上述したような構成をもつ本発明は、車両のサンルーフガラスの開放時に、ロッキングレバーの環部がデフレクタスプリングの前端または支持レバーの前端に掛かるようにすることにより、車両の高速走行時に空気抵抗によるデフレクタアームの下降を防ぐことができ、車両の風音性能の向上させる効果がある。
【0025】
また、本発明は、このようなデフレクタアームの下降防止構造によってデフレクタスプリングの剛性を最小化することができ、これによってデフレクタスプリングの作動耐久寿命を向上させる効果がある。
【0026】
なお、デフレクタスプリングの剛性を最小化することにより、サンルーフガラスの閉鎖時に閉鎖負荷が減少することによってサンルーフガラスが誤反転する可能性が著しく減少し、サンルーフガラスのセーフティ機能の敏感度を増大させることができる長所がある。
【0027】
さらに、本発明は、ヒンジスプリング、ロッキングレバー、および支持レバーからなる比較的簡単な構造によってデフレクタアームの支持構造を実現することにより、生産原価および作業工数が大きく増大しない上に風音は減少させることができ、車両の商品性を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一般的な車両のサンルーフデフレクタを示した断面図である。
図2】本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造を示した断面図である。
図3】本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造の各部品を展開した様子を示した分解図である。
図4】本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造が組み立てられた様子を示した投影斜視図である。
図5a図5aは、図4に示されたサンルーフデフレクタ構造のA部分を示した拡大図である。
図5b図5bは、図4に示されたサンルーフデフレクタ構造をB方向から眺めた様子を示した拡大図である。
図6】本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造の作動過程を概略的に示した断面図である。
図7】本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造を示した断面図である。
図8】本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造の作動過程を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は多様に相違した形態で実現されてもよく、ここで説明する実施形態に限定されることはない。
【0030】
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体に渡って同一または類似する構成要素には同じ参照符号を付与した。
【0031】
また、本明細書および特許請求の範囲で使用されている用語や単語は、通常的あるいは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に立脚した上で、本発明の技術的思想に符合する意味や概念として解釈されなければならない。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造を示した断面図であり、図3は、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造の各部品を展開した様子を示した分解図であり、図4は、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造が組み立てられた様子を示した投影斜視図であり、図5aは、図4に示されたサンルーフデフレクタ構造のA部分を示した拡大図であり、図5bは、図4に示されたサンルーフデフレクタ構造をB方向から眺めた様子を示した拡大図である。
【0033】
図2図5bに示すように、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造は、車両の天井部に配置されたデフレクタベース20に一端が回動可能なように結合し、他端がデフレクタ布34と連結するデフレクタアーム30、前記デフレクタベース20とデフレクタアーム30の間に設置され、デフレクタアーム30に弾性力を提供するデフレクタスプリング40、および前記デフレクタアーム30にヒンジピン62を介して回動可能なように結合し、前端に環部52が形成されるロッキングレバー50を備えることを特徴とする。
【0034】
図に示す実施形態のように、車両の天井部には、前後方向に移動するサンルーフガラス(図6(a)〜(d)の符号10)を通じて開閉する開口部14が形成され、車両内部を換気して搭乗者に開放感を提供する役割をする。
【0035】
前記サンルーフガラス10は、モータ(図示せず)のような駆動装置を利用して車両の前後方向にスライドする方式、または車両の上下方向にチルト−アップする方式などの多様な方式によって開口部14を開閉してもよいが、本発明の実施形態によるサンルーフデフレクタ支持構造では、車両の前後方向にスライドする方式を基準として説明する。
【0036】
通常、このようなサンルーフガラス10は、紫外線および赤外線を効果的に遮断することができる素材で形成され、具体的には、透明ガラス、不透明ガラス、または合成樹脂などで形成される。
【0037】
図2に示すように、車両の天井部に形成された開口部14の左右両側には、車両の前後方向に沿ってデフレクタベース20が配置され、前記デフレクタベース20には、デフレクタアーム30およびデフレクタスプリング40が結合する。
【0038】
前記デフレクタアーム30は、その一端(図に示す実施形態において右側終端)はデフレクタベース20とヒンジ結合して上下に回動可能であり、その他端(図に示す実施形態において左側終端)はデフレクタ布34と連結している。
【0039】
このようなデフレクタアーム30の上下回動は、別途の電動装置(図示せず)と連結してチルト−アップする方式、またはサンルーフガラスの開放と共にデフレクタスプリングの弾性力によってチルト−アップする方式などによってなされるが、本発明の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造では、デフレクタスプリング40を利用した方式を基準として説明する。
【0040】
通常、前記デフレクタスプリング40は、一側脚は固定されて反対側脚は回転しながら発生する荷重を利用したトーションスプリングが主に使用されるが、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタ支持構造では、後述するように特殊に形成された板スプリングが使用される。
【0041】
図3に示すように、前記デフレクタアーム30には長さ方向に所定の大きさを有する空間部32が形成され、このような空間部32の内部にロッキングレバー50がヒンジピン62を介して上下に回動可能なように結合する。
【0042】
前記ロッキングレバー50の前端には、下側に延長したフック(hook)形態の環部52が形成され、前記環部52は、図5aに示すように、サンルーフガラスの開放時にデフレクタスプリング40の前端に掛かるようになる。
【0043】
図3に示すように、前記デフレクタスプリング40は、デフレクタベース20に形成された多数の結合突起22に挿入されるように形成された挿入部42、前記挿入部42から上側に湾曲延長した中央部44、および前記中央部44から水平方向に延長してロッキングレバー50の環部52に掛かるように形成された係止部46を備え、全体的に「S」字形態で形成される。
【0044】
前記デフレクタスプリング40の形状は、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造をさらに効率的に実現するための形状であり、デフレクタスプリング40がこのような形状を採択することにより、デフレクタアーム30をさらに強健に支持する。
【0045】
前記デフレクタアーム30の空間部32には、トーションスプリング形態に形成されたヒンジスプリング60がさらに結合してロッキングレバー50に弾性力を提供してもよく、前記ヒンジスプリング60は、一端はデフレクタアーム30に結合し、他端はロッキングレバー50に結合し、中心はヒンジピン62によって貫通結合する。
【0046】
図5bに示すように、前記ヒンジスプリング60は、ロッキングレバー50を常にデフレクタスプリング40方向(図に示す実施形態において反時計方向)に加圧する役割をし、このようなヒンジスプリング60により、ロッキングレバー50の環部52は常にデフレクタスプリング40にかかろうとする傾向を保つ。
【0047】
図3に示すように、前記ロッキングレバー50は、ヒンジホール54を基準として後方を上側に湾曲させて湾曲部56を形成しており、サンルーフガラスの閉鎖時に、このような湾曲部56はサンルーフガラスと結合するコマンドシュ(図6(a)〜(d)の符号12)によって押されるようになり、ロッキングレバー50とデフレクタスプリング40の係止が解除される。
【0048】
本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造の作動過程を詳察すると、以下のとおりである。
【0049】
図6(a)〜(d)は、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造の作動過程を概略的に示した断面図である。
図6(a)に示すように、車両のサンルーフガラス10が開放した状態において、前記ロッキングレバー50の環部52はデフレクタスプリング40に掛かっており、デフレクタアーム30はデフレクタスプリング40によって支持される。
【0050】
図6(b)に示すように、サンルーフガラス10が徐々に前進しながら、サンルーフガラス10と結合するコマンドシュ12はロッキングレバー50の湾曲部56を押すようになり、これによってロッキングレバー50は時計方向に回転し、ロッキングレバー50の環部52とデフレクタスプリング40の係止は解除される。
【0051】
図6(c)に示すように、ロッキングレバー50とデフレクタスプリングの係止が解除された状態で、サンルーフガラス10がさらに前進しながらコマンドシュ12はデフレクタアーム30を押すようになり、これによってデフレクタアーム30は徐々に下降するようになる。
【0052】
図6(d)に示すように、サンルーフガラス10が車両の開口部14の大部分を閉鎖する程度まで前方移動すると、デフレクタアーム30は完全に下降してデフレクタ布34は収納され、このとき、ロッキングレバー50はヒンジスプリング60によって反時計方向に回転し、最初の状態に復帰するようになる。
【0053】
図7は、本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造を示した断面図である。
【0054】
図7に示すように、本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造は、車両の天井部に配置されたデフレクタベース20に一端が回動可能なように結合し、他端がデフレクタ布34と連結するデフレクタアーム30、前記デフレクタベース20とデフレクタアーム30の間に設置され、デフレクタアーム30に弾性力を提供するデフレクタスプリング40、前記デフレクタアーム30にヒンジピン62を介して回動可能なように結合され、前端に環部52が形成されるロッキングレバー50、および一端が前記デフレクタベース20に回動可能なように結合し、他端が選択的にロッキングレバー50の環部52に掛かる支持レバー70を備えることを特徴とする。
【0055】
前記デフレクタベース20、デフレクタアーム30、ロッキングレバー50、およびヒンジスプリング60は、上述した本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造で使用したものと大部分が同一あるいは類似するように形成される。
【0056】
ただし、前記デフレクタスプリング40は、本発明の一実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造で使用したデフレクタスプリングと同じ形態で形成されてもよいが、図に示す実施形態では、支持レバー70のスロット72でより適切にスライディングできるようにトーションスプリング形態を採択するものとして説明する。
【0057】
図7に示すように、前記支持レバー70は一端(図に示す実施形態において右側終端)が回動可能なように連結した棒形態で形成され、その他端(図に示す実施形態において左側終端)は選択的にロッキングレバー50の環部52に掛かるように形成される。
【0058】
前記支持レバー70は、本発明の一実施形態において、デフレクタアームが単純にデフレクタスプリング40によって支持されることを補い、デフレクタアーム30がより剛健な構造によって支持されるように支援する役割をする。
【0059】
前記支持レバー70の内部には、長さ方向に沿ってデフレクタスプリング40の端部が挿入してスライディングできるようにスロット72が形成され、前記デフレクタスプリング40がスライディングすることにより、レバー70はロッキングレバー50方向(図に示す実施形態において時計方向)に回転するようになる。
【0060】
本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造の作動過程を詳察すると、以下のとおりである。
【0061】
図8(a)〜(d)は、本発明の他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造の作動過程を概略的に示した断面図である。
【0062】
図8(a)に示すように、車両のサンルーフガラス10が開放した状態において、前記ロッキングレバー50の環部52は支持レバー70に掛かっており、デフレクタアーム30は支持レバー70によって支持される。
【0063】
図8(b)に示すように、サンルーフガラス10が徐々に前進しながら、サンルーフガラス10と結合するコマンドシュ12はロッキングレバー50の湾曲部56を押すようになり、これによってロッキングレバー50は時計方向に回転し、ロッキングレバー50の環部52と支持レバー70の係止は解除される。
【0064】
図8(c)に示すように、ロッキングレバー50と支持レバー70の係止が解除された状態で、サンルーフガラス10がさらに前進しながらコマンドシュ12はデフレクタアーム30を押すようになり、これによってデフレクタアーム30は徐々に下降するようになる。
【0065】
図8(d)に示すように、サンルーフガラス10が車両の開口部14の大部分を閉鎖する程度まで前方移動すると、デフレクタアーム30は完全に下降してデフレクタ布34は収納され、このとき、ロッキングレバー50はヒンジスプリング60によって反時計方向に回転し、最初の状態に復帰するようになる。
【0066】
上述したように、本発明の一実施形態および他の実施形態によるサンルーフデフレクタの支持構造は、このような構成によって車両の高速走行時に空気抵抗によるデフレクタアーム30の下降を防ぎ、車両の風音性能を著しく向上させる長所がある。
【0067】
以上で説明された本発明は、上述した実施形態および添付の図面によって限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形、および変更が可能であるということは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって明白であろう。
【符号の説明】
【0068】
10 ・・・サンルーフガラス
12 ・・・コマンドシュ
14 ・・・開口部
20 ・・・デフレクタベース
22 ・・・結合突起
30 ・・・デフレクタアーム
32 ・・・空間部
34 ・・・デフレクタ布
40 ・・・デフレクタスプリング
42 ・・・挿入部
44 ・・・中央部
46 ・・・係止部
50 ・・・ロッキングレバー
52 ・・・環部
54 ・・・ヒンジホール
56 ・・・湾曲部
60 ・・・ヒンジスプリング
62 ・・・ヒンジピン
70 ・・・支持レバー
72 ・・・スロット
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8