(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391475
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】運転支援情報表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0482 20130101AFI20180910BHJP
G06F 3/0488 20130101ALI20180910BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20180910BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20180910BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
G06F3/0482
G06F3/0488 160
B62D49/00 N
B60K35/00 Z
B60R16/02 630L
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-4397(P2015-4397)
(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公開番号】特開2016-130911(P2016-130911A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭司
(72)【発明者】
【氏名】梅本 享
(72)【発明者】
【氏名】西 栄治
(72)【発明者】
【氏名】串田 吉広
【審査官】
岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0069485(US,A1)
【文献】
特開2008−027228(JP,A)
【文献】
特開2012−230588(JP,A)
【文献】
特開2004−234442(JP,A)
【文献】
特開平09−258895(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0298259(US,A1)
【文献】
特開2005−126017(JP,A)
【文献】
特開2002−307978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03− 3/0489
B60K 35/00−37/06
B60R 16/00−17/02
B62D 41/00−67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業走行のために複数の機能モジュールを有する作業車両の運転部に設けられた運転支援情報表示装置であって、
矩形の表示画面を有する表示部と前記表示画面上に設けられたタッチ入力部とからなる表示ユニットと、
前記表示画面の一方の側辺領域に縦並び配置された複数の状態表示区画を有する状態表示領域を管理する状態表示領域管理部と、
前記表示画面の上辺領域に横並び配置された複数の選択ボタン区画を有する上部メニュ表示領域及び前記表示画面の下辺領域に横並び配置された複数の選択ボタン区画を有する下部メニュ表示領域を管理するメニュ表示領域管理部と、
前記状態表示領域と前記上部メニュ表示領域と前記下部メニュ表示領域とによって包囲された、前記状態表示区画より大きな表示面積を有する主表示領域を管理する主表示領域管理部と、
タッチ入力された前記選択ボタン区画に割り当てられている機能モジュールに関する状態情報を前記状態表示領域管理部に与えて前記複数の状態表示区画の何れかに前記状態情報を表示させる状態情報管理部と、を備え、
第1タッチ入力としての前記選択ボタン区画に対するタッチ入力に続く第2タッチ入力としての前記状態表示領域に対するタッチ入力によって、前記複数の状態表示区画のうちの一つの前記状態表示区画が特定され、特定された前記状態表示区画に前記状態情報が表示される運転支援情報表示装置。
【請求項2】
前記表示部の上縁部を親指以外の指で支えた手の親指で前記選択ボタン区画に対するタッチ入力が可能なように、前記表示画面の大きさが規定されている請求項1に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項3】
前記表示部の上縁部には指載せ用ノンスリップ部が形成されている請求項2に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項4】
前記指載せ用ノンスリップ部は、複数の凹凸状部を有する請求項3に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項5】
前記タッチ入力された前記選択ボタン区画と当該選択ボタン区画に割り当てられている機能モジュールに関する状態情報を表示している状態表示区画とを関係づける識別情報が双方の区画に表示される請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項6】
前記タッチ入力された前記選択ボタン区画に割り当てられている機能モジュールに対するパラメータ設定画面情報を前記主表示領域管理部に与えて前記主表示領域に前記設定画面情報を表示させる機能モジュール設定管理部が備えられている請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項7】
前記主表示領域への前記設定画面情報の表示は、前記第1タッチ入力に続く前記主表示領域に対するタッチ入力によって実行される請求項6記載の運転支援情報表示装置。
【請求項8】
前記運転部の近傍に、前記表示ユニットと、運転者に種々の操作が可能な操作スイッチ群と、が互いに隣接して設けられ、
前記操作スイッチ群に設けられたショートカットボタンの操作によって、前記ショートカットボタンに割り当てられている機能モジュールに対するパラメータ設定画面情報を前記主表示領域管理部に与えて前記主表示領域に前記設定画面情報を表示させる機能モジュール設定管理部が備えられている請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項9】
前記ショートカットボタンに割り当てられている機能モジュールは、変更可能なように構成されている請求項8に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項10】
前記操作スイッチ群に隣接してアームレスト台が設けられている請求項8または9に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項11】
前記複数の状態表示区画の全てが、前記第2タッチ入力によって選択可能なように構成されている請求項1から10のいずれか一項に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項12】
前記複数の状態表示区画の夫々は、同一サイズで配置されている請求項1から11のいずれか一項に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項13】
前記第1タッチ入力によって選択された選択ボタン区画と、前記第2タッチ入力によって特定された前記状態表示区画と、の夫々に、前記選択された選択ボタン区画と前記特定された状態表示区画とを関係づける共通の識別情報が表示される請求項1から12のいずれか一項に記載の運転支援情報表示装置。
【請求項14】
前記識別情報として、前記選択された選択ボタン区画と前記特定された状態表示区画との夫々の境界線に、互いに一致する形態で描画された帯状線が、前記境界線の少なくとも一部に沿って表示され、
前記帯状線が、前記状態表示区画毎に相違する形態で描画され、かつ、前記選択ボタン区画毎に相違する形態で描画されている請求項13に記載の運転支援情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業走行のための複数の機能モジュールを有する作業車両に設けられた運転支援情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタやコンバインなどの作業車両の運転者は、エンジン回転数や冷却水温度や変速位置などの走行情報、装備されている作業装置に関する作業情報などのチェックや設定可能なパラメータの設定を行う必要がある。このため、作業車両の運転部には、これらの情報を表示する運転支援情報表示装置が設けられている。
【0003】
特許文献1に開示された表示装置は、その画面を複数の区画に分割して、種々の情報を表示可能である。例えば、下辺領域には、アイコン付きの小さな選択用区画が配置されており、特定の選択用区画をタッチすれば、その選択用区画がハイライトされるとともに、その選択用区画に割り当てられた詳細情報が大きな表示用区画に表示される。この特許文献1では、多くの表示項目の情報を表示するため、ズーミング機能を備えており、基本的な情報を表示するための基本情報表示区画を画面左下方向に縮小することによって作り出される余白に別な情報を表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許7337023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示されているような作業車両用の表示装置では、タッチ操作された選択ボタンに割り当てられた詳細情報を表示するための区画が予め決定されているので、選択ボタンに割り当てられる表示情報の種類が多くなると詳細情報を表示するための表示区画も多くなり、各表示区画が小さくなって見えにくくなるという問題がある。また、種々の組み合わせで同時に複数の詳細情報を見比べたい場合にも、必ずしもそれらの詳細情報が表示される区画が隣接していないので、相互のチェックが容易でないという問題も生じる。
上記実情に鑑み、作業車両における種々の機能の状態を画面使用効率に優れ、かつ使い勝手の良い表示画面を備えた運転支援情報表示装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業走行のために複数の機能モジュールを有する作業車両の運転部に設けられた、本発明による運転支援情報表示装置は、矩形の表示画面を有する表示部と前記表示画面上に設けられたタッチ入力部とからなる表示ユニットと、前記表示画面の一方の側辺領域に縦並び配置された複数の状態表示区画を有する状態表示領域を管理する状態表示領域管理部と、前記表示画面の上辺領域に横並び配置された複数の選択ボタン区画を有する上部メニュ表示領域及び前記表示画面の下辺領域に横並び配置された複数の選択ボタン区画を有する下部メニュ表示領域を管理するメニュ表示領域管理部と、前記状態表示領域と前記上部メニュ表示領域と前記下部メニュ表示領域とによって包囲された、前記状態表示区画より大きな表示面積を有する主表示領域を管理する主表示領域管理部と、タッチ入力された前記選択ボタン区画に割り当てられている機能モジュールに関する状態情報を前記状態表示領域管理部に与えて前記
複数の状態表示区画の何れかに前記状態情報を表示させる状態情報管理部と、を備え
、第1タッチ入力としての前記選択ボタン区画に対するタッチ入力に続く第2タッチ入力としての前記状態表示領域に対するタッチ入力によって、前記複数の状態表示区画のうちの一つの前記状態表示区画が特定され、特定された前記状態表示区画に前記状態情報が表示されることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、それぞれ特定の機能モジュールの状態情報の表示が割り当てられている複数の選択ボタン区画が表示画面の上辺と下辺に配置されており、運転者にタッチされた選択ボタン区画に割り当てられている状態情報は、状態表示領域管理部によって複数の状態表示区画の一つに表示されている。つまり、予め、選択ボタンとして機能する選択ボタン区画とその選択ボタン区画に割り与えられている状態情報の表示させる状態表示区画が決められているのではなく、その都度、状態表示領域管理部が利用する状態表示区画を決定する。したがって、選択ボタン区画の数だけ状態表示区画が必要ではなく、また表示すべき機能モジュールの状態情報に関連する状態情報を隣接する状態表示区画に表示することも可能となる。なお、本願発明で用いられている機能モジュールなる語句は、作業車両に搭載されている各種機器及びその組み合わせを意味しており、その状態情報には、機器それ自体の物理的数値(速度、回転数、位置など)や付随するスイッチやセンサの状態などが含まれている。
また、複数の状態表示区画の中から、選択した選択ボタン区画に割り当てられている状態情報を表示する状態表示区画が運転者によって自由に決定できると好都合である。このため、本発明であれば、例えば、複数の状態情報を比較したい場合には、そのような複数の状態情報が隣同士の状態表示区画に表示させることも可能となる。
【0008】
作業車両を運転しながら上部メニュ表示領域や下部メニュ表示領域に配置された選択ボタン区画を選択してタッチ操作する場合、車両が揺れている場合には誤操作し易くなる。このタッチ操作を用意するため方策の1つは、親指以外の指を表示ユニットの上辺にかけることでその手を安定させた状態で、その手の親指で上部メニュ表示領域や下部メニュ表示領域に配置された選択ボタン区画をタッチ操作することである。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記表示部の上縁部を親指以外の指で支えた手の親指で前記選択ボタン区画に対するタッチ入力が可能なように、前記表示画面の大きさが規定されている。その際のさらに、好ましい実施形態として、前記表示部の上縁部には指載せ用ノンスリップ部が形成されているなら、選択ボタン区画に対してタッチ入力しようとする親指の手がより安定し、確実な操作が可能となる。
【0009】
選択ボタンとしての選択ボタン区画に対するタッチ入力を通じて、当該選択ボタン区画に割り当てられた状態情報が複数の状態表示区画の1つに表示される。その際、選択操作された選択ボタン区画に割り当てられた状態情報が表示される状態表示区画は予め決められているわけではない。このため、対応する選択ボタン区画と状態表示区画とを関係づけるための指標のようなものがあればそれらの対応付けが簡単となり、好都合である。この目的のために、本発明の好適な実施形態の1つでは、タッチ入力された前記選択ボタン区画と当該選択ボタン区画に割り当てられている機能モジュールに関する状態情報を表示している状態表示区画とを関係づける識別情報が双方の区画に表示される。識別情報としては、共通の文字や記号やイラストをそれぞれに付与する具象的な形態や、色や帯状線などを付与する抽象的な形態を採用することができる。例えば、対応する選択ボタン区画と状態表示区画とのそれぞれの区画枠を共通の色で描画することは、直感的に見やすく好適な実施形態である。
【0010】
【0011】
所望する機能モジュールの状態情報の表示において、その内容をより正確に確認するためには状態表示区画より大きな表示面積を有する主表示領域に表示させると好都合である。また、機能モジュールの状態情報の単なる表示だけでなく、機能モジュールの状態を制御するパラメータの設定などを行う場合にも大きな表示面積を有する主表示領域が適している。例えば、エンジン回転数の設定や、作業装置の昇降範囲設定などである。このため、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記タッチ入力された前記選択ボタン区画に割り当てられている機能モジュールに対するパラメータ設定画面情報を前記主表示領域管理部に与えて前記主表示領域に前記設定画面情報を表示させる機能モジュール設定管理部が備えられている。そのような機能モジュールの状態情報を主表示領域に表示させるための具体的な構成として、本発明の好適な実施形態1つでは、前記主表示領域への前記設定画面情報の表示は、
前記第1タッチ入力に続く
前記主表示領域に対するタッチ入力によって実行される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による作業車両のための運転支援情報表示装置の表示画面の構成と表示画面における情報表示の制御の流れを示す模式図である。
【
図2】第1タッチ操作と第2タッチ操作とに基づく情報表示の変移を示す説明図である。
【
図3】本発明による運転支援情報表示装置を搭載した走行車両の一例であるトラクタの側面図である。
【
図4】運転支援情報表示装置を構成する表示ユニットを配置しているアームレスト操作装置の平面図である。
【
図5】アームレスト操作装置に配置された多機能操作具の斜視図である。
【
図6】トラクタの制御系で本発明に特に関する機能を示す機能ブロック図である。
【
図7】表示ユニットの画面の一例を示す画面図である。
【
図8】表示ユニットの主表示画面に表示される状態情報の一例を示す昇降制御設定画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による作業車両のための運転支援情報表示装置の具体的な実施形態を説明する前に、
図1と
図2とを用いて、本発明の基本的な特徴を説明する。
図1は、作業車両の運転部に搭載された運転支援情報表示装置の表示画面の構成と表示画面における情報表示の制御の流れを示しており、
図2は、表示画面の特定区画に対する第1タッチ操作と第2タッチ操作とに基づく情報表示の変移を示している。
【0014】
ここでは、運転支援情報表示装置の表示ユニット13は、作業車両の運転部に設けられたタッチパネル式液晶ディスプレイである。矩形の枠体13aで囲まれた表示画面130に対する運転者のタッチ入力で表示内容が変更される。表示画面130は、
図1の例では、表示画面の上辺領域と下辺領域とに位置するメニュ表示領域131、左側辺領域に位置する状態表示領域132、メニュ表示領域131と状態表示領域132とに囲まれた一番大きい面積を有する、多機能表示領域である主表示領域133に分割されている。上辺領域のメニュ表示領域である上部メニュ表示領域131及び下辺領域のメニュ表示領域である下部メニュ表示領域131にはそれぞれ5つの選択ボタン区画1310が横並びで配置されている。選択ボタン区画1310は選択ボタンとして機能するものである、その表面には各選択ボタンに割り当てられた特定内容を示すアイコンが付与されているが、
図1では省略されている。
図2では、アイコンに代えてアルファベット文字が付与されている。状態表示領域132には、3つの状態表示区画1320が縦並びで配置されている。各状態表示区画1320には、選択ボタンによって特定された状態情報が表示される。主表示領域133には、選択ボタンによって特定された状態情報のより詳しい内容またはその状態情報に関する設定を行う設定画面が表示可能である。
【0015】
各選択ボタン区画1310は、状態表示区画1320に表示されるべき状態情報を特定する機能を有する。つまり、選択ボタン区画1310に対するタッチ操作を通じて選択された選択ボタン区画1310に割り当てられている状態情報が、状態表示領域132のいずれかの状態表示区画1320に表示される。その際、当該状態情報が表示される状態表示区画1320もタッチ操作によって選択される。なお、上部メニュ表示領域131に配置される一連の選択ボタン区画1310と下部メニュ表示領域131に配置される一連の選択ボタン区画1310は、共通する作業や機能に基づいて振り分けられていると好都合である。
【0016】
以下、
図1を用いて、タッチ操作による状態情報表示に関する制御の流れの一例を説明する。
まず、表示させたい状態情報が割り当てられている選択ボタン区画1310に対してタッチ操作を行う(#01)。本明細書では、この最初のタッチ操作は第1タッチ入力として制御的に取り扱われる。この第1タッチ操作を通じて、タッチ操作された選択ボタン区画1310を特定するID(
図1ではB06で示されている)がメニュ表示領域管理部81を通じて状態情報管理部80に送られる(#02)。状態情報管理部80には、この作業車両が有する各種機能モジュールにおける状態情報が送られてきているので、それらの中から第1タッチ操作によって特定された状態情報を読み出す(#03)。ここでは、この状態情報を昇降操作される作業装置の上限高さとしている。
【0017】
続いて、第1タッチ操作によって選択された状態情報を表示する状態表示区画1320特定するため、所望の状態表示区画1320に対してタッチ操作を行う(#04)。本明細書では、第1タッチ入力に続くこのタッチ操作は第2タッチ入力として制御的に取り扱われる。この第2タッチ操作を通じて、タッチ操作された状態表示区画1320を特定するID(
図1ではA2で示されている)が状態表示領域管理部82を通じて状態情報管理部80に送られる(#05)。ここでは、IDがA2である状態表示区画1320は上から2番目の区画を意味している。
【0018】
状態情報管理部80は、第1タッチ操作を通じて読み出された状態情報を、第2タッチ操作を通じて特定された
状態表示区画1320に対応付け(#06)、当該状態情報を当該状態表示区画1320に表示するための表示データを状態表示領域管理部82に送る(#07)。これにより、上から2番目の状態表示区画1320に作業装置の上限高さに関する情報が表示される(#08)。
【0019】
次に、
図2を用いて、第1タッチ操作と第2タッチ操作とによる表示内容の変移の一例を説明する。なお、
図2における表示画面130の例では、3つの、数字で区別されている状態表示区画1320の右下コーナ部にはそれぞれ識別可能な帯状線136が付与されている。選択ボタン区画1310は識別子としてのアイコンの代わりにアルファベットが付与されている。ここでは、上部メニュ表示領域131に配置されている4つ選択ボタン区画1310(A〜Eのアルファベットで示されている)は作業車両の走行系に関する状態情報の表示を割り当てられているものであり、下部メニュ表示領域131に配置されている4つ選択ボタン区画1310(V〜Zのアルファベットで示されている)は作業車両の作業系に関する状態情報の表示を割り当てられているものである。
【0020】
図2の上段には、タッチ操作前の表示画面130が示されている。この状態において、
図2の中段の左側に図示されているように、「V」で示されている選択ボタン区画1310に対して第1タッチ操作を行い、「2」で示されている状態表示区画1320に対して第2タッチ操作を行う。その結果、第1タッチで特定された状態情報(「VVVVV」で示されている)が「2」で示されている上から2番目の状態表示区画1320に表示される。さらに、上から2番目の状態表示区画1320に付与されている帯状線136と同じ形態(例えば同じパターンや同じ色)の帯状線136が第1タッチ操作の対象となった選択ボタン区画1310の右下コーナに付与される。これにより、第1タッチ操作の対象となった選択ボタン区画1310とこの選択ボタン区画1310に割り当てられている操作情報が表示されている状態表示区画1320とのリンク関係が表示画面130から容易に確認することができる。
【0021】
図2の中段の右側に図示された例では、「W」で示されている選択ボタン区画1310に対して第1タッチ操作が行われ、主表示領域133に対して第2タッチ操作が行われている。その結果、第1タッチで特定された状態情報(「WWWWW」で示されている)が主表示領域133に表示される。主表示領域133に、状態表示区画1320と同様な識別情報が付与されてもよい。例えば、
図2で示されているように、第2タッチ操作が主表示領域133に対して行われた場合には、その第1タッチ操作を行った選択ボタン区画1310の上辺に、識別情報の一例として状態表示区画1320に付与されている帯状線136とは異なる線を付与してもよい。主表示領域133に表示される状態情報には、この状態情報に関連するパラメータやしきい値などの設定を行うための設定画面情報も含まれる。例えば、昇降可能な作業装置の作業高さ状態情報を割り当てられた選択ボタン区画1310をタッチしたのちに主表示領域133をタッチした場合、主表示領域133に現状の作業高さ状態を含む作業高さ設定画面が表示され、作業高さの上限高さや下限高さの設定も設定画面を通じて行うことができる。
【0022】
次に、本発明による運転支援情報表示装置の具体的な実施形態を説明する。
図3は、この運転支援情報表示装置を搭載した作業車両の一例であるトラクタの側面図である。このトラクタは、前輪2aと後輪2bとによって支持されているトラクタの車体1の前部にエンジン20が搭載され、エンジン20の後方にトランスミッション3が搭載されている。車体1の後方には対地作業装置22としてロータリ耕耘装置が昇降機構23を介して昇降自在に装備されている。このトラクタは四輪駆動型であり、エンジン20の動力は、トランスミッション3に内装された変速機構を介して駆動輪として機能可能な前輪2a及び後輪2bに伝達される。さらに、エンジン20の動力は、トランスミッション3から後方に突き出しているPTO軸24を介して対地作業装置22にも伝達される。エンジン20はボンネット21によって覆われている。ボンネット21の後方かつトランスミッション3の上方でキャビン10が車体1に支持されている。
【0023】
キャビン10の内部は運転部として機能し、その前部には、前輪2aの操向操作を行うステアリングハンドル11が、その後部で、左右一対の後輪フェンダ15の間には、運転座席12が配置されている。運転座席12の側方から前方にかけて、多機能操作具5を有するアームレスト操作装置4が設けられている。アームレスト操作装置4の前方には運転者に種々の情報を視覚的に報知する表示ユニット13が設けられている。
図4に示すように、表示ユニット13は、矩形の表示画面130を有する液晶ディスプレイである表示部13Aとその表示画面130に設けられたタッチパネルであるタッチ入力部13Bとからなり、その周囲が枠体13aで囲まれている。枠体13aの上縁部には、タッチパネルを操作する親指以外の指を載せてその手を安定させるための指載せ用ノンスリップ部13bが形成されている。
【0024】
アームレスト操作装置4は、平面視において、前領域4a、中間領域4b、後領域4cに区分けすることができる。後領域4cには腕を載せる、クッション性のあるアームレスト台40が設けられている。前領域4aのほぼ左半分に、後で詳しく説明する、多機能操作具5が設けられている。前領域4aのほぼ右半分には、操作スイッチ群9として、第1操作スイッチ群9aと第2操作スイッチ群9bとが配置されている。中間領域4bにも、操作スイッチ群9として、左から、第3操作スイッチ群9c、第4操作スイッチ群9d、第5操作スイッチ群9eが配置されている。各操作スイッチ群9には、ボタン、スイッチ、ダイヤル、レバー、ジョイスティックなどの各種の型式で形成される操作スイッチが設けられている。
【0025】
第2操作スイッチ群9bには、4つのショートカットボタン91と増減ダイヤル90が含まれている。
図4の例ではショートカットボタン91はその上面にF1からF4までの記号が付与されている。ショートカットボタン91は、設定可能なパラメータの設定を行うためのパラメータ設定画面を主表示領域133に表示させる機能を有し、各ショートカットボタン91には、特定のパラメータの設定が割り当てられている。ショートカットボタン91の押し操作によって表示されたパラメータの設定は、増減ダイヤル90を通じて行われる。増減ダイヤル90を時計方向に回すことにより、その設定値は増加し、増減ダイヤル90を反時計方向に回すことにより、その設定値は減少する。設定作業が終了すれば、ショートカットボタン91を再度押し操作することで、当該パラメータ設定画面が消えて、主表示領域133の元の表示内容に戻る。このショートカットボタン91に割り当てられるパラメータの設定等の機能は、自由に変更することができるので、運転者の熟練度、あるいは装備されている対地作業装置22や作業種別などに応じて、任意に所望の機能を割り当てることができる。これにより、このトラクタの走行操縦性や作業操作性が向上する。
【0026】
アームレスト台40の左側の前端領域に多機能操作具5が配置されている。
図5に示すように、多機能操作具5はグリップ本体5Aと揺動体5Bとからなり、揺動軸P1周りで揺動可能に支持されている。
【0027】
図4に示すように、グリップ本体5Aは、右側半分領域に形成された握り部50と、左側半分領域に形成された延長部51とからなる。握り部50の下端縁に、外方に突き出した舌片が小指球載せ55として形成されている。グリップ本体5Aには操作スイッチ群500が配置されている。
【0028】
図6には、このトラクタに装備されている制御系が機能ブロック図の形態で示されている。この制御系において、主にコンピュータプログラムによって実現される機能を構築している機能部を演算制御装置800として示しているが、この区分けは、あくまで説明目的であり、実際の制御系の構築に当たっては、自由に分割、統合が可能である。演算制御装置800は車載LANなどによってデータ伝送可能に他のユニットと接続されている。そのようなユニットとして、例えば、機器制御ユニット801、入力信号処理ユニット802、表示ユニット用入出力処理ユニット803などが挙げられる。また、演算制御装置800の内部においても、各機能部や機能ユニットは車載LANやその他のデータ伝送路と通じてデータ伝送可能に接続されている。
【0029】
機器制御ユニット801は、エンジン20、トランスミッション3、対地作業装置22などに備えられた各種動作機器に対して動作信号を与えて、その動作を制御する。このような動作機器単体及び動作機器の組み合わせによってこのトラクタの種々の機能が作り出されるので、ここでは、動作機器単体及び動作機器の組み合わせを機能モジュールと称している。入力信号処理ユニット802は、入力インターフェースの機能を有し、多機能操作具5や操作スイッチ群9や状態検知センサ群900からの信号を機能モジュールの状態情報として入力して、この制御系の各機能部に転送する。表示ユニット用入出力処理ユニット803は、入出力インターフェースの機能を有し、表示ユニット13の表示部13Aへの画像信号やタッチ入力部13Bからの入力信号を処理する。
【0030】
図6で例示された演算制御装置800には、走行制御ユニット6Aと作業制御ユニット6Bとを含む車両制御ユニット6、機能モジュール管理ユニット7、表示制御ユニット8などが含まれている。走行制御ユニット6Aは、機器制御ユニット801を介してトランスミッション3に変速制御指令を出力して所望の車両変速比を作り出す車速制御、エンジン制御部に制御指令を与えてエンジン回転数を調整するエンジン制御などを行う。作業制御ユニット6Bは、多機能操作具5が有する作業用の操作ボタンからの信号や作業用の操作スイッチ群9からの信号に基づいて昇降機構23及び対地作業装置22の制御を行う。機能モジュール管理ユニット7は、動作機器単体及び動作機器の組み合わせによって作り出される種々の機能を管理する。例えば、エンジン回転数の1つ以上回転数を設定し、操作スイッチ群9の操作信号に基づいてエンジン回転数を設定回転数に移行させる指令をエンジン制御部に送る。また、対地作業装置22の上限高さや下限高さを管理する。
【0031】
表示制御ユニット8は表示ユニット13に対する表示制御を行う機能を有し、基本的には、
図1及び
図2を用いて説明された表示制御機能を実現することができる。表示制御ユニット8によって、表示ユニット13に表示される表示画面130の初期画面の一例が
図7に示されている。この表示画面130の上部メニュ表示領域131と下部メニュ表示領域131とには、それぞれ7つの選択ボタン区画1310が含まれている。各選択ボタン区画1310には、割り当てられている状態情報を表すアイコンが付与されている。ここでも、上部メニュ表示領域131に配置される一連の選択ボタン区画1310と下部メニュ表示領域131に配置される一連の選択ボタン区画1310は、共通する作業や機能に基づいて振り分けられている。表示画面130の左辺の状態表示領域132には、3つの状態表示区画1320が含まれており、それぞれの区画の右コーナの枠には、色分けされた帯状線136が付与されている。図からは確認できないが、赤色と緑色と黄色によって色分けされている。メニュ表示領域131と状態表示領域132とに囲まれた主表示領域133は、表示画面130のほぼ半分の面積を占めている。
【0032】
表示制御ユニット8には、状態情報管理部80、メニュ表示領域管理部81、状態表示領域管理部82、主表示領域管理部83、機能モジュール設定管理部84が含まれている。上述したように、メニュ表示領域管理部81は選択ボタン区画1310に対するタッチ入力を管理し、状態表示領域管理部82は状態表示区画1320に対するタッチ入力を管理し、主表示領域管理部83は主表示領域133に対するタッチ入力を管理する。状態情報管理部80は、第1のタッチ入力によって特定された選択ボタン区画1310に割り当てられている機能モジュールに関する状態情報(パラメータ設定画面を含む)を、第2のタッチ入力によって特定された状態表示区画1320または主表示領域133に表示させる。なお、主表示領域133に表示される状態情報には、対応する機能モジュールの設定画面も含まれている。機能モジュール設定管理部84は、機能モジュール管理ユニット7と協働して、主表示領域133に表示された設定画面を通じてのパラメータ設定等のタッチ入力を管理する。
【0033】
なお、
図7では図示されていないが、第1のタッチ入力によって特定された選択ボタン区画1310の右下コーナ部には、第2のタッチ入力によって特定された状態表示区画1320に付与されている帯状線136の色と同じ色の帯状線136が付与される。
【0034】
図8には、主表示領域133に表示された設定画面の一例が示されている。この設定画面は、対地作業装置22の昇降制御のための状態表示画面兼設定画面である。この画面の左半分には、上から順に、状態表示アイコン表示領域101、昇降状況表示領域102、昇降速度表示領域103、後進深さ表示領域104、スリップ量表示領域105が配置されている。この昇降制御画面の中央右寄りには、増減ボタン表示領域110が配置されている。さらに、昇降制御画面の右端には、各種スイッチ表示領域120が配置されている。
【0035】
昇降状況表示領域102には、横棒グラフ状の昇降高さ表示メータ102aと、上限表示シンボル102b、作業位置(耕耘高さ)シンボル102cが表示されている。昇降高さ表示メータ102aの左端が下降側の昇降ストローク端を示し、右端が上昇側の昇降ストローク端を示している。対地作業装置22の実高さは塗りつぶしで表されている。同時に、その実高さを昇降ストロークに対するパーセントで示すための数値が昇降高さ表示メータ102aの右側に表示されている。上限表示シンボル102bには上限指針が付加されており、この上限指針で昇降ストロークにおける上限位置が示されている。上限表示シンボル102bの横には、上限を昇降ストロークに対するパーセントで示すための数値が表示されている。作業位置シンボル102cの横にも作業位置を昇降ストロークに対するパーセントで示すための数値が表示されている。また、上限表示シンボル102bの横並びで、増減ボタン表示領域110には、上限の位置を設定する上限設定スイッチ111が配置されている。この上限設定スイッチ111は、上限増加スイッチ111aと上限減少スイッチ111bとからなるソフトウエアスイッチであり、これらに対してタッチ入力することにより、上限の位置を調整することができる。
【0036】
さらに、昇降状況表示領域102を指で直接タッチすることで上限を設定するタッチ入力機能を追加してもよい。このタッチ入力機能は、上述した上限設定スイッチ111の代わりでもよいし、あるいは上限設定スイッチ111とともに用いてもよい。具体的には、上限表示シンボル102bに対するタッチによって、タッチ操作機能が起動し、昇降高さ表示メータ102aに対してタッチした位置を新たな上限位置とする2タッチ構成が採用可能である。このようなタッチ操作では、実高さより下の位置をタッチする可能性があるため、本発明による実高さ以下に上限が設定されないという規制は特に重要となる。また、上述の2タッチ構成に代えて、昇降高さ表示メータ102aにタッチしながら横にずらすこと(スワイプ操作)で上限高さを設定できる構成を採用してもよい。
【0037】
昇降速度表示領域103、後進深さ表示領域104、スリップ量表示領域105にも、それぞれ、設定値を示す横棒グラフ状の表示メータ103a、104a、105aが配置されている。またそれらの右側にはその設定値を全体のパーセントで示す数値が表示されている。さらに、その設定値を調整する増減スイッチ113、114、115も配置されている。
【0038】
図8の設定画面を用いて、上述したショートカットボタン91と増減ダイヤル90の機能の一例を説明する。ここでは、1つのショートカットボタン91(ここでは仮にF1ボタンと名付ける)が対地作業装置22の上限設定に割り当てられており、他の1つのショートカットボタン91(ここでは仮にF2ボタンと名付ける)が対地作業装置22の作業位置(耕耘高さ)設定に割り当てられているとする。F1ボタンであるショートカットボタン91を押し操作すると、主表示領域133には、今まで表示されていた内容に変わって、
図8で示す昇降高さ表示メータ102aと上限表示シンボル102bとが表示される。さらに、増減ダイヤル90を時計方向に回すと上限位置が上昇し、増減ダイヤル90を反時計方向に回すと上限位置が低下する。F1ボタンを再度押し操作すると、主表示領域133は元の表示内容に復帰する。同様に、F2ボタンであるショートカットボタン91を押し操作すると、主表示領域133には、今まで表示されていた内容に変わって、
図8で示す昇降高さ表示メータ102aと耕耘高さシンボル102cとが表示される。さらに、増減ダイヤル90を時計方向に回すと耕耘高さが上昇し、増減ダイヤル90を反時計方向に回すと耕耘高さが低下する。F2ボタンを再度押し操作すると、主表示領域133は元の表示内容に復帰する。装備された対地作業装置22に昇降機能がないような場合には、F1ボタンやF2ボタンなどのショートカットボタン91に、他の機能、例えば、目標エンジン回転数の設定機能などを割り与えることができる。各ショートカットボタン91に頻繁に用いられるパラメータ設定を割り当て直すことで、設定作業がスムーズに行われる。
【0039】
〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、状態表示区画1320は表示画面130の左辺に配置されていたが、右辺に配置されてもよい。また、状態表示区画1320の数は、3つ以外、2つあるいは4つ以上でもよい。
(2)上述した実施形態では、第1タッチ入力された選択ボタン区画1310には、第2タッチ入力された状態表示区画1320に付与されていた識別情報(例えば右下コーナでの赤色の帯状線136)と同様な識別情報が付与された。これに代えて、予め各状態表示区画1320に固有の識別情報を設定せずに、第1タッチ入力された選択ボタン区画1310と第2タッチ入力された状態表示区画1320とに共通の識別情報の識別情報を選択して付与するようにしてもよい。
(3)
図6で示された機能ブロックは、説明目的で記載されているだけであり、それらの各機能ユニットは、任意に統合することまたは任意に分割することが可能である。特に、演算制御装置800に構築されている各機能部は、互いにソフトウエア的に連係しているので、実際にはその機能は重なり合っている場合は多い。
図6で示した機能部は、模式的に示しているに過ぎず、ここで、その機能の区分けを限定しているわけでない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明による運転支援情報表示装置は、トラクタ以外、田植機、コンバインなどの農用作業車、あるいはフロントローダなどの建設土木作業車など、種々の作業車両に搭載可能である。
【符号の説明】
【0041】
13 :表示ユニット
13A :表示部
13B :タッチ入力部
13a :枠体
13b :指載せ用ノンスリップ部
130 :表示画面
131 :メニュ表示領域
1310 :選択ボタン区画
132 :状態表示領域
1320 :状態表示区画
133 :主表示領域
136 :帯状線
22 :対地作業装置
23 :昇降機構
7 :機能モジュール管理ユニット
8 :表示制御ユニット
80 :状態情報管理部
81 :メニュ表示領域管理部
82 :状態表示領域管理部
83 :主表示領域管理部
84 :機能モジュール設定管理部
800 :演算制御装置
801 :機器制御ユニット
802 :入力信号処理ユニット
803 :表示ユニット用入出力処理ユニット
9 :操作スイッチ群
9a :第1操作スイッチ群
9b :第2操作スイッチ群
9c :第3操作スイッチ群
9d :第4操作スイッチ群
9e :第5操作スイッチ群
900 :状態検知センサ群