特許第6391495号(P6391495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6391495フォトマスク、フォトマスクセット、フォトマスクの製造方法、及び表示装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391495
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】フォトマスク、フォトマスクセット、フォトマスクの製造方法、及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/00 20120101AFI20180910BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20180910BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALN20180910BHJP
【FI】
   G03F1/00 Z
   H01L21/30 502P
   !G02F1/1335 505
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-32683(P2015-32683)
(22)【出願日】2015年2月23日
(65)【公開番号】特開2016-156857(P2016-156857A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(72)【発明者】
【氏名】山口 昇
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−008545(JP,A)
【文献】 特開2007−178662(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0162177(US,A1)
【文献】 特開平08−272072(JP,A)
【文献】 特開2012−137643(JP,A)
【文献】 特開2011−013382(JP,A)
【文献】 特開2013−235036(JP,A)
【文献】 特開2003−121977(JP,A)
【文献】 特開2012−008546(JP,A)
【文献】 特開2002−151381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00−1/86
H01L 21/027
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上の半透光膜及び遮光膜がそれぞれパターニングされて形成された透光部、遮光部、半透光部、及び半透光リム部を含む転写用パターンを備えた、フォトスペーサ製造用のフォトマスクの製造方法であって、
前記フォトマスクの製造方法が、描画工程を1回のみ有し、
前記フォトマスクの製造方法が、
前記透明基板上に、前記半透光膜、前記遮光膜、及びレジスト膜がこの順に積層されたフォトマスクブランクを用意する工程と、
描画装置を用い、領域によって異なる照射エネルギーを適用して、前記レジスト膜に対して描画するための前記描画工程を行い、現像することによって、前記遮光膜の一部を露出するとともに、残膜部分においては領域によって残膜厚が異なる第1レジストパターンを形成する、レジストパターン形成工程と、
前記第1レジストパターンをマスクとして前記遮光膜及び前記半透光膜をエッチングする、第1エッチング工程と、
前記第1レジストパターンを減膜して、新たに前記遮光膜の一部を露出する第2レジストパターンとなすレジスト減膜工程と、
前記第2レジストパターンをマスクとして、前記遮光膜をエッチングする、第2エッチング工程と、を有し、
前記第1エッチング工程及び前記第2エッチング工程により、前記透光部、前記遮光部、前記半透光部、及び、前記半透光リム部を含むパターンであって、前記透光部は、幅W(μm)の前記半透光リム部を介して、前記遮光部に隣接するパターンが形成され、かつ、
0<W≦0.3
であることを特徴とする、フォトマスクの製造方法。
【請求項2】
透明基板上の半透光膜及び遮光膜がそれぞれパターニングされて形成された透光部、遮光部、半透光部、及び半透光リム部を含む転写用パターンを備えた、フォトスペーサ製造用のフォトマスクの製造方法であって、
前記フォトマスクの製造方法が、描画工程を1回のみ有し、
前記フォトマスクの製造方法が、
前記透明基板上に、前記半透光膜、エッチングストッパ膜、前記遮光膜、及びレジスト膜がこの順に積層されたフォトマスクブランクを用意する工程と、
描画装置を用い、領域によって異なる照射エネルギーを適用して、前記レジスト膜に対して描画するための前記描画工程を行い、現像することによって、前記遮光膜の一部を露出するとともに、残膜部分においては領域によって残膜厚が異なる第1レジストパターンを形成する、レジストパターン形成工程と、
前記第1レジストパターンをマスクとして前記遮光膜、前記エッチングストッパ膜、及び前記半透光膜をエッチングする、第1エッチング工程と、
前記第1レジストパターンを減膜して、新たに前記遮光膜の一部を露出する第2レジストパターンとなすレジスト減膜工程と、
前記第2レジストパターンをマスクとして、少なくとも前記遮光膜をエッチングする、第2エッチング工程と、を有し、
前記第1エッチング工程及び前記第2エッチング工程により、前記透光部、前記遮光部、前記半透光部、及び前記半透光リム部を含むパターンであって、前記透光部は、幅W(μm)の前記半透光リム部を介して、前記遮光部に隣接するパターンが形成され、かつ、
0<W≦0.3
であることを特徴とする、フォトマスクの製造方法。
【請求項3】
前記透光部には、少なくとも対称な2方向から前記半透光リム部が隣接することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項4】
前記転写用パターンにおいて、前記半透光部は、前記遮光部に隣接し、かつ前記遮光部により囲まれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項5】
前記転写用パターンにおいて、前記透光部は、前記半透光部とは隣接しないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
前記転写用パターンにおいて、前記透光部の周囲に前記半透光リム部が配置されることにより、前記透光部は、前記半透光リム部により囲まれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
前記半透光部の径をD2(μm)とするとき、D2≦20であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記透光部の径をD1(μm)とするとき、D1≦20であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項9】
前記遮光部は、前記透明基板上に前記半透光膜と前記遮光膜がこの順に積層した積層体を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項10】
前記積層体は、前記透明基板上に前記半透光膜、エッチングストッパ膜、及び前記遮光膜がこの順に積層した積層体を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法により、第1フォトマスクを製造する工程と、
前記第1フォトマスクと重ね合わせて露光される転写用パターンであって、幅M(μm)(但し5<M<25)のライン状パターンを含む第2フォトマスクを用意する工程と、
を含む、フォトマスクセットの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のフォトマスクの製造方法によるフォトマスク又は請求項11に記載のフォトマスクセットの製造方法によるフォトマスクセットを使用し、露光装置を用いて、前記転写用パターンを被転写体に転写する工程を有する、表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンの位置精度に優れたフォトマスクに関する。特に、表示装置製造用のフォトマスクとして有利に用いることができるフォトマスク及びフォトマスクセット、フォトマスクの製造方法、並びにフォトマスクを用いた表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の製造の際、3階調以上のフォトマスクを用いることにより、リソグラフィー工程を減らしたパターン形成方法を用いることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、透明基板と、遮光膜と、透過率調整機能を有する半透明膜とが順不同に積層され、上記透明基板上に前記遮光膜が設けられた遮光領域と、上記透明基板上に前記半透明膜のみが設けられた半透明領域と、上記透明基板上に前記遮光膜及び前記半透明膜のいずれも設けられていない透過領域とを有し、表示装置の製造に用いられる表示装置製造用階調マスクが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−61670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置の製造においては、得ようとするデバイスの設計に基づいた転写用パターンを備えたフォトマスクが多く利用される。デバイスとして、スマートフォンやタブレット端末などに搭載されている液晶表示装置や有機EL表示装置には、明るく省電力、動作速度が速いのみでなく、高解像度、広視野角などの高い画質が要求される。このため、上述の用途に使用されるフォトマスクのもつパターンに対し、益々の微細化、高密度化の要求が生じる動向にある。
【0006】
ところで、表示装置等の電子デバイスは、パターンが形成された複数の薄膜(レイヤ:Layer)の積層によって立体的に形成される。従って、これら複数のレイヤのそれぞれにおける座標精度の向上、及び互いの座標の整合が肝要になる。すなわち、個々のレイヤのパターン座標精度が、すべて所定レベルを充足していなければ、完成したデバイスにおいて誤動作などの不都合が起きる。従って、各レイヤに求められる座標ずれの許容範囲は益々厳しくなる方向にある。
【0007】
例えば、液晶表示装置に適用されるカラーフィルタにおいても、より明るい表示画面を実現するため、ブラックマトリックス(BM)、並びにメインフォトスペーサ及びサブフォトスペーサのようなフォトスペーサ(PS)の配置面積をより狭くする方向にある。また、ブラックマトリックス上にフォトスペーサを配置することで、明るさ、消費電力の点で、より有利なカラーフィルタが製造できることになる。そこで、フォトマスクが備える転写用パターンにおいては、CD(Critical Dimension:以下、パターンの線幅の意味で用いる)精度、及び、位置精度の向上が必要になる。
【0008】
上述のとおり、カラーフィルタなどの表示装置においては、その製造工程において、複数のフォトマスクを用い、パターニングと成膜を必要な回数行い、必要な機能を奏するレイヤを積層する。これら複数のフォトマスクの位置あわせは、露光機上で、フォトマスクに形成されたアライメントマークを参照して行う。但し、アライメントマークの読み取り精度、及び、マスク配置精度には限界があり、異なるフォトマスクの転写用パターン同士の重ね合わせには、±1μm程度のずれが生じることが、完全には避けられない。本発明者は、こうした状況下、フォトマスクのCD精度、位置精度に関する新たな課題を見出した。
【0009】
図2には、同一の被転写体(カラーフィルタ基板)に、重ね合わせて転写される転写用パターンをそれぞれ備えた2枚のマスク(マスクAとマスクB)の例を模式的に示す。
【0010】
マスクAの転写用パターンには、所定の径の透光部と半透光部からなる抜きパターンが、遮光部に囲まれて配列している。例えば、透光部はメインフォトスペーサ(以下、単にメインスペーサともいう。)、半透光部は、メインスペーサより高さが低いサブフォトスペーサ(以下、単にサブスペーサともいう。)を形成するためのパターンであることができる。この、2種類の抜きパターンは、遮光膜が除去されて、半透光膜又は透明基板が露出している部分である。
【0011】
一方、マスクBの転写用パターンには、所定幅Mの透光部からなるライン状パターン形成されている。このライン状パターンは、例えば、ブラックマトリックス形成用パターンであることができる。
【0012】
被転写体上でこの2つの転写用パターンを正確に重ね合わせたときの配置を、図1に示す。尚、図1及び後述の図3では、マスクBがもつ幅Mのライン状パターンを黒色にして見やすくしている。但し、このライン状パターンは、遮光部中に形成された透光部又は半透光部からなるものでもよく、透光部中に形成された遮光部からなるものでもよく、得ようとする感光性樹脂パターンと、マスクを使用する際に用いる感光性樹脂の特性によって選択可能である。
【0013】
本例では、ブラックマトリックスの幅がM(μm)であり、サブスペーサ(径D2(μm))とメインスペーサ(径D1(μm))は、それぞれ八角形の同一形状とする。
【0014】
もちろん、D1とD2は必ずしも等しい必要はなく、D2<D1、又はD2>D1とすることもできる。また形状は必ずしも八角形である必要はなく、円形やその他の多角形であってもよい。
【0015】
また、ここでは、サブスペーサとメインスペーサの重心が、直線上にあり、この直線は、重ね合わせ転写されるブラックマトリックスのライン中心線上に位置する例で説明する(図2の点線参照)。そして、図1でM=24μm、D1=D2=20μmとする。このときメインスペーサパターン又はサブスペーサパターンのエッジと、ブラックマトリックスパターンのエッジとの間隙(N)は、片側あたり2μmである。
【0016】
図3を用いて、上記のメインスペーサパターン、サブスペーサパターン及びブラックマトリックスパターンの、位置ずれについて説明する。図3(a)は、マスクAとマスクBの転写用パターンが被転写体上に理想的に転写された場合、すなわち、設計どおりにメインスペーサ、及びサブスペーサがブラックマトリックス上に配置された場合を示す。
【0017】
但し、現実には、マスクBの製造過程において、2種類のスペーサパターン(メインとサブ)の形成位置に相互に位置ずれが生じやすい。この場合を図3(b)に示す。すなわち、マスクの製造においては、透光部の他に半透光部と遮光部とを形成する必要があり、遮光膜と半透光膜にそれぞれパターンを描画する工程が必要になる。つまり、この2回の描画工程の間には、フォトマスク基板を描画装置から取り外して、遮光膜、又は半透光膜の現像、エッチング等の処理を施す。このとき、1回目と2回目の描画位置を、面内全体で完全に一致させることはむずかしい。
【0018】
本発明者らの検討によると、この2回の描画相互の間に、±0.3〜0.5μm程度の位置ずれの発生が生じ得ることが判明している。例えば、図3(b)に示す例では、メインスペーサとサブスペーサのそれぞれのパターンの重心が、ブラックマトリックスの幅方向に、0.5μmずれた状態となっている。
【0019】
次に、このように形成されたフォトマスク、すなわち図3(b)に示す転写用パターンをもつフォトマスクAを用いて、その転写用パターンを被転写体上に転写した場合を考える。このときの被転写体上での位置決めは、フォトマスク上に形成された、アライメントパターンを露光装置によって検出して行う。アライメントマークは、フォトマスクに転写用パターンを形成するときに、その領域外の適切な位置に形成することができる。従って、上記のように2回の描画によって形成された転写用パターンをもつ場合は、1回目又は2回目の描画の際の描画データに、アライメントマークのデータを含ませておくことができる。
【0020】
但し、露光装置によってこのアライメントマークを検出し、位置合わせを行う段階においても、その精度に限界がある。このため、たとえ同じ露光装置を用いるとしても、順次重ね合わせて露光する複数のフォトマスクの、相互の転写用パターンの位置合わせにおいては、通常±2.0μmの範囲程度の位置ずれが生じえる情況にある。
【0021】
そこで、露光装置によって生じる、複数のフォトマスク(ここではフォトマスクAとフォトマスクB)の相互位置ずれ分を2.0μmとして、フォトマスクAのもつ上記位置ずれ(±0.5μmとする)とあわせると、図3(c)に示すとおり、被転写体上では、これらの累積による位置ずれが生じる。この例では、スペーサパターンをもつフォトマスクAと、ブラックマトリックスパターンをもつフォトマスクBとの、被転写体(例えばカラーフィルタ基板)上での相対的位置ずれが、上記位置ずれの累積した結果、図3(c)に示すように、メインスペーサの一部がブラックマトリックスの幅からはみ出してしまう。
【0022】
従来、メインスペーサ又はサブスペーサがブラックマトリックスの上に配列するためのマージン(上記でいう、メインスペーサパターン又はサブスペーサパターンのエッジと、ブラックマトリックスのエッジとの間隙N(μm))が十分に大きかったため、このような複数層(レイヤ)間のアライメントずれは、特段問題とならなかった。しかしながら、最近、マスクパターンの微細化、高集積化に伴い、間隙(マージン)Nが急速に小さくなり(上記例では2.0μm)これが、マスク製造や露光装置におけるアライメントずれ(上記例では2.5μm)を吸収できなくなってきている。そのため、メインスペーサパターン又はサブスペーサパターンのエッジと、ブラックマトリックスのエッジとの間隙(マージン)Nが小さい場合にも、メインスペーサ又はサブスペーサの一部がブラックマトリックスの幅からはみ出してしまうというような問題が生じないように、複数層(レイヤ)間のアライメントずれを抑制することが新たな技術課題となる。
【0023】
このため、遮光部、透光部、及び半透光部をもつフォトマスクの製造工程において、特許文献1に記載されたように、第1パターニング工程と第2パターニング工程(それぞれ描画工程を含む)を適用すると、高精度な表示装置を製造することは困難であるという問題に、本発明者は着目した。
【0024】
本発明は、上述の課題を解消し、より微細化し、集積度の高くなった表示装置においても、歩留よく、安定して生産可能となるフォトマスク、及びその製造方法を提供する。具体的には、表示装置の製造工程において、メインスペーサパターン又はサブスペーサパターンのエッジと、ブラックマトリックスのエッジとの間隙(マージン)Nが小さい場合にも、メインスペーサ又はサブスペーサの一部がブラックマトリックスの幅からはみ出してしまうというような問題が生じないように、複数層(レイヤ)間のアライメントずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。本発明は、下記の構成1〜11であることを特徴とするフォトマスク、下記の構成12であることを特徴とするフォトマスクセット、下記の構成14〜15であることを特徴とするフォトマスクの製造方法、下記の構成16であることを特徴とする表示装置の製造方法である。
【0026】
(構成1)
本発明の構成1は、透明基板上に形成された半透光膜及び遮光膜がそれぞれパターニングされて得られた転写用パターンを有するフォトマスクであって、前記転写用パターンは、透光部と、遮光部と、半透光部と、半透光リム部とを含み、前記透光部は、幅W(μm)の前記半透光リム部と隣接し、前記半透光リム部は前記遮光部に隣接し、かつ、0<W≦0.3であることを特徴とする、フォトマスクである。
【0027】
(構成2)
本発明の構成2は、前記透光部には、少なくとも対称な2方向から前記半透光リム部が隣接することを特徴とする、構成1記載のフォトマスクである。
【0028】
(構成3)
本発明の構成3は、前記転写用パターンにおいて、前記半透光部は、前記遮光部に隣接し、かつ前記遮光部により囲まれていることを特徴とする、構成1又は2に記載のフォトマスクである。
【0029】
(構成4)
本発明の構成4は、前記転写用パターンにおいて、前記透光部は、前記半透光部とは隣接しないことを特徴とする、構成1〜3のいずれかに記載のフォトマスクである。
【0030】
(構成5)
本発明の構成5は、前記転写用パターンにおいて、前記透光部の周囲に前記半透光リム部が配置されることにより、前記透光部は、前記半透光リム部により囲まれていることを特徴とする、構成1〜4のいずれかに記載のフォトマスクである。
【0031】
(構成6)
本発明の構成6は、前記半透光部の径をD2(μm)とするとき、D2≦20であることを特徴とする、構成1〜5のいずれかに記載のフォトマスクである。
【0032】
(構成7)
本発明の構成7は、前記透光部の径をD1(μm)とするとき、D1≦20であることを特徴とする、構成1〜6のいずれかに記載のフォトマスクである。
【0033】
(構成8)
本発明の構成8は、前記遮光部は、前記透明基板上に前記半透光膜と前記遮光膜がこの順に積層した積層体を含むことを特徴とする、構成1〜7のいずれかに記載のフォトマスクである。
【0034】
(構成9)
本発明の構成9は、前記積層体は、前記透明基板上に前記半透光膜、エッチングストッパ膜、及び前記遮光膜がこの順に積層した積層体を含むことを特徴とする、構成8に記載のフォトマスクである。
【0035】
(構成10)
本発明の構成10は、表示装置製造用フォトマスクであることを特徴とする、構成1〜9のいずれかに記載のフォトマスクである。
【0036】
(構成11)
本発明の構成11は、カラーフィルタ製造用であることを特徴とする、構成10に記載のフォトマスクである。
【0037】
(構成12)
発明の構成12は、構成1〜11のいずれかに記載のフォトマスクを第1フォトマスクとするとき、前記第1フォトマスクと、前記第1フォトマスクとは異なる第2フォトマスクを含む、フォトマスクセットであって、前記第2フォトマスクは、前記第1フォトマスクと重ね合わせて露光される転写用パターンを含み、前記第2フォトマスクの転写用パターンは、幅M(μm)(但し5<M<25)のライン状パターンを含むことを特徴とする、フォトマスクセットである。
【0038】
(構成13)
発明の構成13は、透明基板上の半透光膜及び遮光膜がそれぞれパターニングされて形成された透光部、遮光部、半透光部、及び半透光リム部を含む転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、前記透明基板上に、前記半透光膜、前記遮光膜、及びレジスト膜がこの順に積層されたフォトマスクブランクを用意する工程と、描画装置を用い、領域によって異なる照射エネルギーを適用して、前記レジスト膜に対して描画を行い、現像することによって、前記遮光膜の一部を露出するとともに、残膜部分においては領域によって残膜厚が異なる第1レジストパターンを形成する、レジストパターン形成工程と、前記第1レジストパターンをマスクとして前記遮光膜及び前記半透光膜をエッチングする、第1エッチング工程と、前記第1レジストパターンを減膜して、新たに前記遮光膜の一部を露出する第2レジストパターンとなすレジスト減膜工程と、前記第2レジストパターンをマスクとして、前記遮光膜をエッチングする、第2エッチング工程と、を有し、前記第1エッチング工程及び前記第2エッチング工程により、前記透光部、前記遮光部、前記半透光部、及び、前記半透光リム部を含むパターンであって、前記透光部は、幅W(μm)の前記半透光リム部を介して、前記遮光部に隣接するパターンが形成され、かつ、0<W≦0.3であることを特徴とする、フォトマスクの製造方法である。
【0039】
(構成14)
本発明の構成14は、透明基板上の半透光膜及び遮光膜がそれぞれパターニングされて形成された透光部、遮光部、半透光部、及び半透光リム部を含む転写用パターンを備えたフォトマスクの製造方法であって、前記透明基板上に、前記半透光膜、エッチングストッパ膜、前記遮光膜、及びレジスト膜がこの順に積層されたフォトマスクブランクを用意する工程と、描画装置を用い、領域によって異なる照射エネルギーを適用して、前記レジスト膜に対して描画を行い、現像することによって、前記遮光膜の一部を露出するとともに、残膜部分においては領域によって残膜厚が異なる第1レジストパターンを形成する、レジストパターン形成工程と、前記第1レジストパターンをマスクとして前記遮光膜、前記エッチングストッパ膜、及び前記半透光膜をエッチングする、第1エッチング工程と、前記第1レジストパターンを減膜して、新たに前記遮光膜の一部を露出する第2レジストパターンとなすレジスト減膜工程と、前記第2レジストパターンをマスクとして、少なくとも前記遮光膜をエッチングする、第2エッチング工程と、を有し、前記第1エッチング工程及び前記第2エッチング工程により、前記透光部、前記遮光部、前記半透光部、及び前記半透光リム部を含むパターンであって、前記透光部は、幅W(μm)の前記半透光リム部を介して、前記遮光部に隣接するパターンが形成され、かつ、0<W≦0.3であることを特徴とする、フォトマスクの製造方法である。
【0040】
(構成15)
本発明の構成15は、描画工程を1回のみ有することを特徴とする、構成13又は14に記載のフォトマスクの製造方法である。
【0041】
(構成16)
発明の構成16は、構成1〜11のいずれかに記載のフォトマスク、構成12に記載のフォトマスクセット、又は構成13〜15に記載の製造方法によるフォトマスクのもつ前記転写用パターンを、露光装置を用いて被転写体に転写する工程を有する、表示装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、より微細化し、集積度の高くなった表示装置においても、歩留よく、安定して生産可能となるフォトマスク、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】被転写体上で2つの転写用パターンを正確に重ね合わせたときの配置の一例を示す模式図である。
図2】同一の被転写体に、重ね合わせて転写される転写用パターンをそれぞれ備えた2枚のマスク(マスクAとマスクB)の一例を示す模式図である。
図3】メインスペーサパターン、サブスペーサパターン及びブラックマトリックスパターンの、位置ずれについて説明するための模式図である。
図4】本発明のフォトマスクの転写用パターンの一例を示す平面模式図である。
図5】本発明のフォトマスクの製造方法1を示す断面模式図である。
図6】本発明のフォトマスクの製造方法2を示す断面模式図である。
図7】パターン位置精度検査の一例を示す模式図である。
図8】半透光リム部の幅Wを変化させたときの、透光部の周囲のエッジ検出の可否の結果を示す図である。
図9図4(b)に示すパターンにおいて、半透光リム部の幅W(Rim幅W)を変化させたときの、光強度曲線の変化を示す図である。
図10】従来のフォトマスクの製造工程の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
従来のフォトマスク、例えば特許文献1に記載されているようなフォトマスクは以下の工程で製造されている。図10に、従来のフォトマスクの製造工程を示す。
【0045】
図10に示す従来のフォトマスクの製造工程では、まず透明基板2上に半透明膜3a及び遮光膜4aがこの順に積層されたマスクブランクを準備する(図10(a))。次に、遮光膜4a上にレジスト材料を塗布し、第1レジスト膜23aを形成する(図10(b))。次に、半透明膜及び遮光膜のパターン露光を行う。続いて、第1レジスト膜23aを現像し、第1レジストパターン23bを形成する(図10(c))。次に、第1レジストパターン23bより露出している透明膜3a及び遮光膜4aをエッチングして、半透明膜パターン3b及び遮光膜中間パターン4bを形成する(図10(d))。次に、残存している第1レジストパターン23bを除去する(図10(e))。次に、レジスト材料を塗布し、第2レジスト膜24aを形成する(図10(f))。続いて、遮光膜のパターン露光し、現像することにより、第2レジストパターン24bを形成する(図10(g))。次に、第2レジストパターン24bより露出している遮光膜中間パターン4bをエッチングして、遮光膜パターン4cを形成する(図10(h))。そして、残存している第2レジストパターン24bを除去し、フォトマスクを得る(図10(i))。
【0046】
上述の従来のフォトマスクの製造工程において、第1レジストパターンの形成位置と、第2レジストパターンの形成位置が相互にずれることが避けられない。これは、それぞれのレジストパターンを形成するための描画工程の間に、描画装置からの基板の取り外し、再載置が必要になるからである。このため、例えば、図10(g2)に示すように、第2レジストパターン24bの位置が、第1レジストパターンによって形成されたパターンとの間でずれを生じる(図10(g2)の一点鎖線参照)。そこで、本発明では、第1及び第2レジストパターンをそれぞれ形成する描画工程に、相対的な位置ずれが生じることを完全に阻止するため、1回で必要なパターンをすべて描画する工程を検討する。
【0047】
<製造方法1>
図5に、製造方法1として、透光部、遮光部、半透光部を備えたフォトマスクの描画工程を1回としたフォトマスクの製造方法を示す。
【0048】
まず、上記図10と同様に、透明基板上に半透光膜と遮光膜をこの順に積層し、更にレジスト膜を形成したフォトマスクブランクを用意する(図5(a))。
【0049】
透明基板としては、例えば合成石英などからなり、両主表面を平坦、平滑に研磨したものを用いる。第1主表面は一辺が300mm〜1400mmの四角形であり、厚みは5〜13mm程度である。
【0050】
半透光膜は、フォトマスクを使用する際の露光光を一部透過するものであり、その透過率は、透明基板を100%としたときに、好ましくは5〜60%、より好ましくは10〜50%である。これは、露光光に含まれる代表波長に対するものである。ここで、露光光とは、波長域が365nm(i線)〜436nm(g線)の範囲内の光であることが好ましく、好ましくは、i線、h線、g線をすべて含む光源を用いて露光する。上記でいう代表波長とは、上記範囲内の波長とすることができる。例えば、i線、h線、g線のいずれかを代表波長とする。
【0051】
尚、半透光膜のもつ、露光光の位相シフト効果については特に制約はない。
【0052】
半透光膜の上に形成される遮光膜は、実質的に露光光を透過しないものであり、例えば、光学濃度ODが3以上、好ましくはOD4以上とすることができる。
【0053】
尚、半透光膜と遮光膜の素材については、特に制約はないが、エッチング可能なものが好ましく、特にウェットエッチング可能なものが好ましい。ここでは、遮光膜としては、Crを主成分とするものとし、半透光膜としては、モリブデンシリサイドを含むものとする。他に使用可能な素材例については、後述する。
【0054】
いずれの膜も、スパッタ装置など、公知の成膜装置で形成することができる。本製造方法においては、半透光膜及び遮光膜の素材の相違により、互いにエッチング選択性をもつ、すなわち、一方のエッチング剤に対して、他方がエッチング耐性を有する。
【0055】
半透光膜や遮光膜の膜厚は、用いる材料や、該光学膜によって得ようとする光透過率によって決定される。半透光膜や遮光膜の膜厚は、例えば20〜2000Å(オングストローム)とし、特に遮光膜は、1000〜2000Åとすることができる。また、半透光膜の膜厚は、20Å〜500Åとすることができる。
【0056】
レジストは、フォトレジストを用いることができる。フォトレジストは、ポジ型でもネガ型でも良いが、本実施態様の例ではポジ型を用いて説明する。スリットコータやスピンコータなどの公知の塗布装置によって、レジスト膜を形成できる。膜厚は、3000〜10000Åが好ましい。
【0057】
次いで、1回の描画中に、レジスト膜を感光させるためのエネルギー強度(ここでは、レーザービームのドーズ(dose))を、2種類適用している。このドーズ変化は、得ようとするパターンに基づいて決定する。例えば、半透光部とする領域には低ドーズ、透光部とするところには、高ドーズを用いて描画(図5(b))する。
【0058】
描画方法としては、ラスター描画が適用できる。描画の際、1回の走査中にドーズを変更しながら描画することにより、領域によって照射ドーズ量が異なる描画としても良い。又は、標準的なドーズを100%としたときに、これより低いドーズを適用しつつ、領域に応じて1回又は複数回照射することにより、領域によって、照射ドーズが異なる描画としても良い。すなわち、描画開始から完了までの間に、描画装置からフォトマスクブランクを取り外さないことが必要であり、これを本願では、1回の描画という。
【0059】
尚、描画装置としては、電子ビーム描画装置でもレーザー描画装置でも良いが、表示装置製造用のフォトマスクとしては、レーザー描画装置が有用である。
【0060】
次いでレジスト膜を現像する。領域によって描画のドーズが異なるため、この領域によって、残膜厚の異なる、立体的な形状をもつレジストパターンを形成することができる。ここではポジレジストを用いているので、高ドーズ描画を行った部分はレジストが完全に溶出して除去され、透明基板表面が露出する。これによって透光部が形成される。一方、低ドーズ描画を行った部分は、レジストの感光が不完全であるために一部のみが溶出し、所定膜厚分が残存する(薄膜部分)。また、未描画部分は、初期膜厚に近い膜厚のレジストが残存している(厚膜部分)。
【0061】
このレジストパターンをマスクとして、露出している部分の遮光膜をエッチング除去し、更に、半透光膜をエッチング除去する(図5(c))。
【0062】
エッチング剤としては、Cr系膜に対しては、硝酸第2セリウムアンモニウムを含むエッチング液が使用でき、モリブデンシリサイド系膜に対しては、バッファードフッ酸を含むエッチング液が使用できる。
【0063】
次に、上記レジストパターンを減膜する(図5(d))。すなわち、レジストパターンの厚みを一様に減少させる。このためには、レジスト表面に薬液(酸化剤など)や気体(プラズマアッシングやオゾンなどを接触させ、或いは現像剤による追加の現像を行うなどして、レジスト表面から一部を消失させても良い。上記薄膜部分のレジストが除去されて、半透光部に対応する位置に遮光膜が露出し、また、上記厚膜部分は、一様に膜厚が減少した状態で残存する(図5(d))。
【0064】
上記図5(d)の工程で新たに露出した遮光膜をエッチング除去することで、半透光部が形成される(図5(e))。
【0065】
残ったレジストパターンを除去すると、透光部、遮光部、及び半透光部を有する、3階調の転写用パターンを供えたフォトマスクが完成する(図5(f))。尚、本発明のフォトマスクは、半透光リム部を更に有している。
【0066】
ここで、最終的に形成される透光部(メインスペーサに相当)と、半透光部(サブスペーサに相当)の相互位置関係は、図5(b)に示す工程で行われる1回の描画工程で決まる。従って、透光部及び半透光部の、相互の位置ずれは生じない。
【0067】
但し、この製造方法によって形成される転写用パターンには以下の特徴がある。すなわち、図5(f)に示されるとおり、透光部と遮光部は直接隣接せず、その間には、細幅の半透光リム部が形成される。つまり、透光部は、半透光リム部に隣接し、その半透光リム部が、遮光部に隣接することになる。この半透光リム部は、透明基板上に半透光膜が形成されてなり、W(μm)の一定幅をもつ。
【0068】
この半透光リム部は、図5(c)から図5(d)の工程で、レジスト膜を減膜する際、レジストパターンの側面が侵食されることによって形成される。そしてこの半透光リム部の幅W(単に「リム幅W」ともいう。)は、減膜の方法や条件によって、W>0の範囲で変化する。
【0069】
上述のように、本発明では、1回の描画で、上記3階調を形成することができることに特徴がある。換言すれば、本発明のように、透光部と遮光部の間に、上記半透光リム部が配置された転写用パターンにおいては、転写パターン内の位置ずれを完全に排除することができることになる。そして、この半透光リム部の存在をふまえて転写用パターンを設計すれば、上述の用途に対して優れた精度、適性をもったフォトマスクが提供できることになる。
【0070】
そこで、半透光リム部を含む転写用パターンの設計について、本発明者は鋭意検討した。
【0071】
フォトマスク製造工程においては、転写用パターンが形成された後、この転写用パターンのできばえを評価する検査工程がある。ここでは、パターンのエッジ位置を光学的に検出し、設計どおりのパターンが形成されているか否かを確認する。
【0072】
図7には、上記工程で形成された、図4(b)のパターンに検査光を照射して行う、パターン位置精度検査の模式図を示す。すなわち、転写用パターンに座標測定機のレーザー光を照射し、その反射光を検出することで、それぞれの膜のエッジ位置を検出する。
【0073】
ここでは、遮光膜、半透光膜、及び透明基板のそれぞれからの反射光が適切なコントラストをもって受光できることが理想である。実際には、半透光リム部の幅Wが十分に小さければ、遮光膜のエッジ(すなわち遮光部のエッジ)が検出可能である。このとき半透光リム部は、独立したパターンとして認識されないが、重心測定によってパターンの位置精度が検査できるため、支障は生じない。
【0074】
また、半透光リム部の幅Wが、十分に大きければ、遮光膜のエッジと、半透光リム部を形成する半透光膜のエッジがそれぞれ独立に検出可能である。このため、正確な検査が行える。
【0075】
ところが、半透光リム部の幅Wの大きさによっては、遮光膜のエッジを示す信号と、半透光リム部のエッジを検出する信号とが識別不能に混在し、検査値の評価が正確に行えない。
【0076】
図8に、半透光リム部の幅W(Rim幅W)を0.3μm〜0.45μmに変化させたときの、遮光部の周囲のエッジ検出(Edge検出)の可否の結果を示す。本発明者の検討によると、図8に示すとおり、半透光リム部の幅Wを、W≦0.3μm、又は、W≧0.45μmのいずれかにすれば、検査が可能であることがわかった。
【0077】
但し、半透光リム部の幅Wが大きい場合には、透光部の透過光量が減少し、露光量が一部損なわれることと等しいことになる。半透光リム部を含む転写用パターンを露光したときに、被転写体上に届く光強度の分布においては、十分な光量により、適切なコントラストを得たいという点から、上記の点は必ずしもは好ましいこととはいえない。
【0078】
そこで、図4(b)に示す、半透光リム部と隣接し、囲まれている透光部のパターンを、露光装置によって露光し、被転写体(例えばカラーフィルタ基板)上に形成される光強度分布をシミュレーションにより求めた。その結果を図9に示す。
【0079】
露光条件としては、FPD用露光装置(ここでは、プロキシミティ露光装置)に用いられる光学条件を適用した。すなわち、光源波長はi線、h線、g線を含むものとし、プロキシミティギャップを100μmとした。
【0080】
図9では、図4(b)に示すパターンにおいて、半透光リム部の幅W(Rim幅W)を0から0.5μmの間で変化させたときに、光強度曲線の変化を示す。図9に示すように、リム幅Wが拡大するとともに、光強度曲線のピーク位置が下がり、またサイドの傾きが次第に小さくなる。例えば、径D1を10μmとし、リム幅Wが0.4μmを超えたとき、光強度のピーク値は10%低下した(図9)。
【0081】
すなわち、パターンの位置精度検査の観点からは、リム幅Wが所定範囲より小さいか、又は大きいことが望ましいが、マスクを使用する際の露光光の損失による転写性の変化を考慮すると、リム幅Wは大きすぎないことが好ましい。従って、半透光リム部の幅Wは、
0<W≦0.3
とすることが最も好ましい。
【0082】
リム幅Wを調整するためには、上記製造方法1においては、上記図5(d)に示す工程にて、レジスト減膜の条件を調整する。減膜作用のある液剤やアッシングの条件、時間などを調整し、又は、減膜を生じさせる現像液や現像時間の選択を行うなど、最適なものを選択することができる。また、所望のリム幅Wとするために、あらかじめ塗布するレジスト膜の厚みを調整しておく方法、更には、所望の現像時間を適用するために、描画時のドーズ量を調整する方法もある。また、第2エッチング工程で採用するエッチング時間、エッチング剤によって、リム幅Wを調整する方法もある。
【0083】
以上により、本発明のフォトマスクは、透明基板上に形成された半透光膜と遮光膜がそれぞれパターニングされて得られた転写用パターンを有するフォトマスクであって、
前記転写用パターンは、透光部と、遮光部と、半透光部と、半透光リム部を含み、
前記透光部は、幅W(μm)の前記半透光リム部と隣接し、前記半透光リム部は前記遮光部に隣接し、かつ、
0<W≦0.3
である。
【0084】
尚、本発明のフォトマスクの用途には特に制約はないが、表示装置製造用フォトマスク、特に表示装置のカラーフィルタ製造用フォトマスクとして、極めて有利である。そこで、透光部は、液晶表示装置のカラーフィルタにおいて、メインスペーサに対応し、半透光部はサブスペーサを形成するためのマスクとして、以下に説明する。
【0085】
図4(a)に、本発明のフォトマスクの転写用パターンの一例につき、平面模式図を示す。図4(a)に示す透光部の拡大図を図4(b)に、半透光部の拡大図を図4(c)に示す。またこのフォトマスク断面図を、図5(f)、及び図6(f)に示す。
【0086】
すなわち、図4に示された本発明のフォトマスクのもつ転写用パターンにおいて、透光部は、遮光部と直接隣接せず、幅W(μm)の半透光リム部を介して、遮光部に隣接する。この半透光リム部は、透明基板上に半透光膜が形成されてなり、幅W(μm)の一定幅をもつ。リム幅Wは、0<W≦0.3を満たす。
【0087】
また好ましくは、透光部は、半透光リム部に隣接し、囲まれている。また、この半透光リム部は、更に遮光部と隣接し、囲まれている。これは、カラーフィルタの、メインスペーサを形成するパターンとして有用である。
【0088】
また、図4のパターンにおいて、透光部は、前記半透光リム部以外の半透光部とは隣接しない。つまり、図4に示す転写用パターンにおいて、すべての透光部は、半透光リム部に隣接している。半透光リム部から見れば、その幅の一方のエッジが透光部に隣接し、他方のエッジが遮光部に隣接する。透光部と遮光部の間には、必ず半透光リム部が介在していることになる。すなわち、図4に示す転写用パターンでは、透光部の周囲に半透光リム部が配置されることにより、前記透光部は、前記半透光リム部により囲まれている。
【0089】
一方、図4の転写用パターンにおいて、半透光部は遮光部に隣接し、遮光部により囲まれている。これは、カラーフィルタのサブスペーサを形成するパターンとして有用である。
【0090】
図4に示すフォトマスクにおいて、サブスペーサを形成するための半透光部は径D2の正八角形となっている。そして、この半透光部の径をD2(μm)とするとき、D2≦20であることが好ましい。これは、微細化する表示装置用パターンとして有利な寸法であり、特に、より視野の明るい表示装置とするために、好ましい寸法である。
【0091】
径とは、正多角形の場合は内接円の又は外接円の直径とする。長方形や楕円の場合は、長径又は短径とすることができる。サブスペーサとなる半透光部をブラックマトリックス(BM)のレイヤと重ね合わせる場合に、サブスペーサのパターンの径であって、そのブラックマトリックスの幅方向となる方のを径D2とする。より好ましくは、径D2は、
2≦D2≦20
である。更に好ましくは、
5≦D2≦12
である。更にメインスペーサを形成するための透光部の径をD1(μm)とするとき、
D1≦20
であることが好ましい。より好ましくは、
2≦D1≦20
である。更に好ましくは、
5≦D1≦12
である。
【0092】
本発明においては、パターン形状は必ずしも図4に記載の形状に限定されない。すなわち、図4に示す転写用パターンでは、透光部及び半透光部ともに、正八角形とされているが、形状はこれに限定されない。透光部及び半透光部の形状は、例えば、所定の径をもつ閉じた形状(円形又は多角形など)のパターンであって、回転対称の形状であることが好ましい。透光部及び半透光部の形状として、例えば、正八角形、正六角形、正方形などが挙げられる。
【0093】
また、透光部と半透光部の形状や、径は必ずしも同一でなくても良い。
【0094】
図4のフォトマスク(転写用パターン)では、透光部は、幅W(μm)の半透光リム部によって囲まれ、更にその外周を、遮光部が囲んでいる。従って、図4のフォトマスクの半透光リム部は、透光部に隣接し、幅Wの正八角帯として透光部を取り囲む。更に、その外周を、遮光部が隣接して取り囲む配置となっている。
【0095】
半透光リム部の幅W(μm)は、
0<W≦0.3
の範囲内であり、実質的に一定幅である。すなわち、マスク上のリム幅Wの面内分布を考慮し、リム幅Wの中心値をWA(μm)としたとき、
(WA−0.05)≦W≦(WA+0.05)
の範囲内である。
【0096】
特に、本発明の転写用パターンは透光部には、少なくとも対称な2方向から(図5(f)に示す、中央の透光部に対して左右両方向から)前記半透光リム部が隣接している。また、図4(b)の平面模式図では、透光部に対して、8方向から半透光リム部が隣接している。ここで、いずれかの一方向(例えば図4(b)において上下方向)をとってみると、上下方向の半透光リム部の幅W1及びW2(μm)は、その中央値から、0.05μmの範囲内である。
【0097】
尚、上述のとおり、例えば特許文献1に記載の方法のように、従来技術である複数回の描画を必要とするフォトマスクの製造工程では、半透明膜パターン及び遮光膜パターンなどの膜パターン同士の位置ずれが避けられない。従って、例えば特許文献1に記載の方法では、本発明のような一定のリム幅Wのリムパターンを形成することはできない。これに対して、本発明の製造方法を適用すれば、細い一定のリム幅Wのリムパターンを精緻に形成できる。
【0098】
また、図4に示す転写用パターンにおいて、透光部は、半透光リム部以外の半透光部とは隣接しない。すなわち、半透光リム部以外の半透光部は、透光部との隣接部をもたない転写用パターンにおいて、本発明の効果が顕著である。半透光部と透光部が隣接するパターンにおいて、位置ずれを抑えるために後述の製造方法2を適用すると、その半透光部と透光部において、CD精度が劣化する傾向があるからである。
【0099】
また、透光部、半透光部は、それぞれが規則的に配置していることが好ましい。図4に示すパターンでは、遮光部に囲まれた領域において、複数の透光部と半透光部が、規則性をもって配置されている。また、この例では、複数の半透光部の重心を結ぶと一直線S1上にのり、また、複数の透光部の重心を結ぶと一直線S2上にのる。更に、この2つの一直線は同一の一直線となる。
【0100】
ここで、必ずしも直線S1及びS2は、同一の一直線上にのる必要はない。但し、直線S1と直線S2との距離(すなわち、透光部の重心をつなぐ直線に対する、半透光部の重心のオフセット量)は常に一定値であることが好ましい。このようにすることで、透光部と半透光部が規則的に狭い領域上に配置され、一定の領域(例えばブラックマトリックスのレイヤ)をもつ他のフォトマスクパターンとの重ね合わせが容易になる。
【0101】
本発明の転写用パターンは、図5(f)に示す断面構造をもつことができる。すなわち、遮光部は、透明基板上に半透光膜と遮光膜がこの順に積層した積層体として形成することができる。
【0102】
また、半透光部、及び半透光リム部は、透明基板上に、半透光膜が形成され、遮光膜が形成されていない構成をもつことができる。そして、透光部は透明基板の表面が露出してなる。
【0103】
従って、本発明では、半透光リム部は、遮光部と透光部に挟まれた幅Wの領域であって、透明基板上に半透光膜が形成され、遮光膜は形成されていない領域である。また、半透光部は、透明基板上に半透光膜が形成され、遮光膜が形成されていない領域であって、上記半透光リム部以外の領域である。好ましくは、半透光部は、0.5μmを超えた幅をもつ。
【0104】
尚、本発明の作用効果を損なわない範囲で、上記以外の他の膜がこれらの上、下、又は中間に存在しても良い。例えば、半透光膜と遮光膜のエッチング特性が共通する場合に、半透光膜と遮光膜との間にエッチングストッパ膜を介在させることがあるが、これについては製造方法2において、説明する。
【0105】
<製造方法2>
図6に、製造方法2の工程を示す。製造方法1(図5)との相違点は、半透光膜及び遮光膜がいずれも共通のエッチング特性をもち(例えば、いずれもCrを含む)、このため、半透光膜及び遮光膜の間にエッチングストッパ膜を配置したものであること、及びそれに応じた工程上の変更点である。
【0106】
まず、透明基板上に半透光膜、エッチングストッパ膜(E.S.膜)、及び遮光膜をこの順に積層し、更にレジスト膜を形成したフォトマスクブランクを用意する(図6(a))。ここでは、半透光膜として、Crを含む膜とし、遮光膜もCrを含む膜とし、エッチングストッパ膜として、モリブデンシリサイドを含む膜とした。
【0107】
次いで、製造方法1と同様に描画を行う(図6(b))。
【0108】
製造方法1と同様にレジスト膜を現像し、レジストパターンを形成する。製造方法1と同様に、領域によって残膜厚が異なる、三次元構造をもったレジストパターンが形成される。この後、このレジストパターンをマスクとして、露出している部分の遮光膜をエッチング除去し、次いでエッチングストッパ、更に、半透光膜をエッチング除去する(図6(c))。
【0109】
次に、上記レジストパターンを減膜する。この減膜の際に、形成しようとする半透光リム部の幅Wを得るための適切な条件を採用する。レジストパターンの減膜により、半透光部に対応する位置に遮光膜の一部が新たに露出する(図6(d))。
【0110】
上記(d)で新たに露出した半透光膜をエッチング除去する。好ましくは、半透光膜に続いて、エッチングストッパ膜もエッチング除去する。これによって、半透光部が形成される(図6(e))。
【0111】
残ったレジストパターンを除去すると、製造方法1と同様の、透光部、遮光部、及び半透光部を有する、3階調の転写用パターンを供えたフォトマスクが完成する(図6(f))。
【0112】
製造方法2によるフォトマスクは、製造方法1に比べて、膜素材と積層構造が異なる。すなわち、ここで形成された遮光部は、透明基板上に半透光膜、エッチングストッパ膜、及び遮光膜がこの順に積層した積層体を含む。但し、平面視の転写用パターン形状は製造方法1と同一であり、更に重要なことは、透光部(メインスペーサに相当)と、半透光部(サブスペーサに相当)の相互位置関係は、図6(b)に示す工程で行われる1回の描画工程で決まるため、相互の位置ずれは生じない。
【0113】
製造方法1、及び2に適用するフォトマスクブランクの素材として、使用可能なものを以下に例示する。
【0114】
半透光膜の材料としては、例えば、シリコンを含有する、SiONやSOGが例示される。また、金属シリサイドやその酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物を使用することもできる。金属シリサイドの例としては、モリブデンシリサイド、及びタンタルシリサイドなどがある。
【0115】
半透光膜の他の材料としては、クロム(Cr)を含む膜がある。例えばクロムの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物のいずれかを含む膜とすることができる。更に、クロム以外の金属、例えば、Mo、Ta、W、Zr、Nb、Ti、又はそれら化合物(酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物)などでもよい。
【0116】
遮光膜の材料としては、例えば、クロム(Cr)を含む膜が挙げられる。クロムからなる膜の他、クロムの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物のいずれかを含む膜が利用できる。更に、クロム以外の金属、例えば、Mo、Ta、W、Zr、Nb、Ti、又はそれら化合物からなる光学膜も適用できる。例えば、金属シリサイドやその酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化窒化炭化物を含む材料とすることもできる。金属シリサイドの例としては、モリブデンシリサイド、及びタンタルシリサイドなどがある。
【0117】
上記の製造方法1においては、遮光膜と半透光膜の材料は、互いにエッチング選択性をもつものとする。例えば、半透光膜にSi系を用いたら、遮光膜にCr系を用いる。又はその逆とすることができる。
【0118】
一方、製造方法2においては、遮光膜と半透光膜にCr系を用い、エッチングストッパ膜にSi系を用いることができる。
【0119】
遮光膜は、その表面に、光反射率を抑制するための反射防止層を備えることが好ましい。その場合、例えば、Crを主成分とする遮光膜の表面部分に、反射防止層として、Cr化合物(酸化物、窒化物、炭化物など)からなる層を配置できる。この反射防止層は、フォトマスクを使用する際に用いる露光光に対して反射を抑える機能をもつが、描画に用いるレーザー光に対する反射防止機能も有する。
【0120】
尚、本発明は、フォトマスクセットを含む。
【0121】
本発明のフォトマスクセットは、例えば、上記に説明したように、図4に示す転写用パターンを備えたフォトマスクを第1フォトマスクとするとき、この第1フォトマスクと、これとは異なる第2フォトマスクを含む、フォトマスクセットである。本発明のフォトマスクセットに含まれる第2フォトマスクは、第1フォトマスクと重ね合わせて露光される転写用パターンを含む。また、第2フォトマスクの転写用パターンは、幅M(μm)(但し5<M<25)のライン状パターンを含む。より好ましくは、5<M<15である。
【0122】
また、本発明は、上記フォトマスク、フォトマスクセット、又は、上記製造方法によって得たフォトマスクを用いて行う、表示装置の製造方法を含む。本発明の製造方法においては、フォトマスクの有する転写用パターンを、被転写体に転写する転写工程を含む。転写工程に使用する露光装置として、FPD用として用いられる、プロジェクション露光、又は、プロキシミティ露光用の装置を用いることが好ましい。
【0123】
プロジェクション露光においては、光学系の開口数(NA)が0.08〜0.15(コヒレンスファクタ(σ)が0.4〜0.9)であり、i線、h線及びg線の少なくとも一つを露光光に含む光源を用いる、等倍露光の露光装置が好ましく使用できる。
【0124】
又は、プロキシミティ露光を用い、生産効率及びコストを最適化しつつ、CD、座標精度の高い転写用パターンを得ることにも、本発明は極めて有効である。
【0125】
以上から明らかなとおり、本発明によると、より微細化し、集積度の高くなった表示装置においても、歩留よく、安定して表示装置等が生産可能である。特に、表示装置の製造工程において、メインスペーサパターン又はサブスペーサパターンのエッジと、ブラックマトリックスのエッジとの間隙(マージン)Nが小さい場合にも、メインスペーサ又はサブスペーサの一部がブラックマトリックスの幅からはみ出してしまうというような問題が生じないように、複数層(レイヤ)間のアライメントずれを抑制することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10