特許第6391507号(P6391507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6391507ナビゲーション装置、ナビゲーションプログラム、及びナビゲーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391507
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置、ナビゲーションプログラム、及びナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20180910BHJP
   G09B 29/00 20060101ALN20180910BHJP
   G09B 29/10 20060101ALN20180910BHJP
【FI】
   G01C21/26 A
   !G09B29/00 A
   !G09B29/10 A
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-54801(P2015-54801)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-176698(P2016-176698A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】前川 和輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畠 誠滋
(72)【発明者】
【氏名】松尾 由佳
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和紀
(72)【発明者】
【氏名】キン シン
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−265574(JP,A)
【文献】 特開平07−129740(JP,A)
【文献】 特開平10−187033(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/059386(WO,A1)
【文献】 特開2008−014975(JP,A)
【文献】 米国特許第6128573(US,A)
【文献】 特開2010−237124(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0054778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G09B 21/00−29/14
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1情報を有する第1地図データと、前記第1地図データと座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データには含まれていない第2情報を有する第2地図データと、を用いて案内を行うナビゲーション装置であって、
前記第1地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータと、当該第1道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータと、当該第2道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
前記第1地図データ及び前記第2地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記第1道路ネットワークデータ及び前記第2道路ネットワークデータをそれぞれ独立して更新可能なデータ更新部と、
前記第1道路ネットワークデータにおいて特定位置が指定された場合に、当該特定位置が存在するリンクを含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータから抽出する対応リンク群抽出部と、
前記第1道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンクの中の前記特定位置に対応する位置である対応位置を判定する対応位置判定部と、
前記対応位置に基づいて、前記第2地図データから前記第2情報を取得する第2情報取得部と、
前記第2情報を用いて案内を行う案内部と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記属性情報には、各リンクの形状を表す情報が含まれ、
前記対応位置判定部は、前記第1道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの形状と、前記対応リンク群に含まれるリンクの形状との形状マッチングを行って、前記特定位置の周辺のリンクと前記対応リンク群に含まれるリンクとの対応関係を判定し、当該対応関係に基づいて前記対応位置を判定する請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記形状マッチングを行って、一致する形状が存在しない場合には、前記対応位置を決定することなく、判定を終了する請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
互いに対応する前記第1リンク群と第2リンク群とは、実際の道路名称が同じ道路を構成する複数のリンクにより構成され、前記第1リンク群識別データ及び前記第2リンク群識別データは、実際の道路名称に対応した識別データである請求項1から3の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記第1地図データは二次元の地図データであり、前記第2地図データは三次元の地図データであり、前記第2情報は、地図データに含まれる地物の三次元形状、模様、及び色彩の少なくとも1つを含む情報である請求項1から4の何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
第1情報を有する第1地図データと、前記第1地図データと座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データには含まれていない第2情報を有する第2地図データと、を用いて案内を行うナビゲーション方法であって、
前記第1地図データ及び前記第2地図データは、地図データ記憶部に記憶されており、
前記第1地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータと、当該第1道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータと、当該第2道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
データ更新部により、前記第1道路ネットワークデータ及び前記第2道路ネットワークデータをそれぞれ独立して更新可能なデータ更新ステップと、
対応リンク群抽出部が、前記第1道路ネットワークデータにおいて特定位置が指定された場合に、当該特定位置が存在するリンクを含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータから抽出する対応リンク群抽出ステップと、
対応位置判定部が、前記第1道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンクの中の前記特定位置に対応する位置である対応位置を判定する対応位置判定ステップと、
第2情報取得部が、前記対応位置に基づいて、前記第2地図データから前記第2情報を取得する第2情報取得ステップと、
案内部が、前記第2情報を用いて案内を行う案内ステップと、
を備えるナビゲーション方法。
【請求項7】
第1情報を有する第1地図データと、前記第1地図データと座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データには含まれていない第2情報を有する第2地図データと、を用いて案内を行うナビゲーションプログラムであって、
前記第1地図データ及び前記第2地図データは、地図データ記憶部に記憶されており、
前記第1地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータと、当該第1道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータと、当該第2道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
データ更新部により、前記第1道路ネットワークデータ及び前記第2道路ネットワークデータをそれぞれ独立して更新可能なデータ更新機能と、
対応リンク群抽出部が、前記第1道路ネットワークデータにおいて特定位置が指定された場合に、当該特定位置が存在するリンクを含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータから抽出する対応リンク群抽出機能と、
対応位置判定部が、前記第1道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンクの中の前記特定位置に対応する位置である対応位置を判定する対応位置判定機能と、
第2情報取得部が、前記対応位置に基づいて、前記第2地図データから前記第2情報を取得する第2情報取得機能と、
案内部が、前記第2情報を用いて案内を行う案内機能と、
をコンピュータに実現させるナビゲーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに座標が重複し、第1情報を有する第1地図データと、第1地図データには含まれていない第2情報を有する第2地図データとを用いて案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路地図情報を用いて、自位置の表示や目的地までの経路案内を行うナビゲーション装置が、広く利用されている。ナビゲーション装置が利用する道路地図情報には、経路探索用のデータや背景データなど、異なる種別のデータが含まれる場合がある。ところで、現実の道路や地形などは、道路の新設、統合、土地の開発等によって、しばしば変化する。つまり、現実の道路や地形と、道路地図情報とが一致しなくなるため、ナビゲーション装置が利用する道路地図情報は、適切に更新されることが好ましい。但し、上述したように、道路地図情報には、異なる種別のデータが含まれる場合があり、それぞれのデータが更新される時期が異なることも多い。その結果、異なる種別のデータ間において不整合が生じ、例えば、案内経路と、表示装置に表示される道路との間にずれが生じて、ユーザーにとって不可解な表示となる可能性がある。
【0003】
特開2005−265574号公報(特許文献1)には、経路探索用のデータと背景データ(地図表示用データ)との間に不整合がある場合に、当該不整合がある部分をトーンダウンして表示するナビゲーション装置が開示されている。このように、更新状態に不整合がある場合に、その部分の表示形態を異ならせることで、ユーザーにデータの不整合が起因していることを視覚的に報知することができる。従って、ユーザーはそのような不可解な表示が出現した場合にも、慌てること無く、車両の運転操作などを継続することができる(特許文献1:第45〜47段落、図5等)。
【0004】
特許文献1の技術は、ユーザーを慌てさせること無く、データに不整合が生じていることを明瞭に知らせることができる。しかし、部分的に地図が表示されないなど、データの不整合に起因する事象を低減させることはできない。例えば、データに不整合が生じていても、可能な限り実際の道路や地形に近い状態の表示がなされる方が好ましく、データの不整合に起因する事象は可能な限り解消されることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−265574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記背景に鑑みて、更新時期が独立した複数の地図データを利用するナビゲーション装置において、異なる種類の地図データ間において更新状態に不整合があっても、可能な限り地図データ間の対応関係を保持する技術の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様として、上記に鑑みたナビゲーション装置は、
第1情報を有する第1地図データと、前記第1地図データと座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データには含まれていない第2情報を有する第2地図データと、を用いて案内を行うナビゲーション装置であって、
前記第1地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータと、当該第1道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータと、当該第2道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
前記第1地図データ及び前記第2地図データを記憶する地図データ記憶部と、
前記第1道路ネットワークデータ及び前記第2道路ネットワークデータをそれぞれ独立して更新可能なデータ更新部と、
前記第1道路ネットワークデータにおいて特定位置が指定された場合に、当該特定位置が存在するリンクを含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータから抽出する対応リンク群抽出部と、
前記第1道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンクの中の前記特定位置に対応する位置である対応位置を判定する対応位置判定部と、
前記対応位置に基づいて、前記第2地図データから前記第2情報を取得する第2情報取得部と、
前記第2情報を用いて案内を行う案内部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、第1地図データと第2地図データとを直接的に関連付けるためのテーブル等は設けられていない。しかし、第2リンク群識別データが第1リンク群識別データに対応付けられているので、第2地図データを間接的に第1地図データに関連付けることができる。従って、更新の時期が異なるなど、第1地図データと第2地図データとを直接的に関連付けることができない状態であっても、第1リンク群識別データと第2リンク群識別データとを照合することによって、第1地図データと第2地図データとを関連付けることができる。尚、この関連付けに当たっては、対応位置判定部が、特定位置に対する対応位置を判定する。従って、第1地図データと第2地図データとの間で、道路ネットワークデータに比較的大きな差がある状態では、第1地図データと第2地図データとが関連付けられない。このため、不適切な対応付けを回避することができる。このように、本構成によれば、更新時期が独立した複数の地図データを利用するナビゲーション装置において、異なる種類の地図データ間において更新状態に不整合があっても、可能な限り地図データ間の対応関係を保持することができる。
【0009】
上述したナビゲーション装置の種々の技術的特徴は、ナビゲーション方法やナビゲーションプログラムにも適用可能である。以下にその代表的な態様を例示する。例えば、ナビゲーション方法は、上述したナビゲーション装置の特徴を備えた各種のステップを有することができる。また、ナビゲーションプログラムは、上述したナビゲーション装置の特徴を備えた各種の機能をコンピュータに実現させることが可能である。当然ながらこれらのナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムも、上述したナビゲーション装置の作用効果を奏することができる。さらに、ナビゲーション装置の好適な態様として、下記の実施形態の説明において例示する種々の付加的特徴も、これらナビゲーション方法やナビゲーションプログラムに組み込むことが可能であり、当該方法及び当該プログラムはそれぞれの付加的特徴に対応する作用効果も奏することができる。
【0010】
1つの態様として、上記に鑑みたナビゲーション方法は、
第1情報を有する第1地図データと、前記第1地図データと座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データには含まれていない第2情報を有する第2地図データと、を用いて案内を行うナビゲーション方法であって、
前記第1地図データ及び前記第2地図データは、地図データ記憶部に記憶されており、
前記第1地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータと、当該第1道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータと、当該第2道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
データ更新部により、前記第1道路ネットワークデータ及び前記第2道路ネットワークデータをそれぞれ独立して更新可能なデータ更新ステップと、
対応リンク群抽出部が、前記第1道路ネットワークデータにおいて特定位置が指定された場合に、当該特定位置が存在するリンクを含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータから抽出する対応リンク群抽出ステップと、
対応位置判定部が、前記第1道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンクの中の前記特定位置に対応する位置である対応位置を判定する対応位置判定ステップと、
第2情報取得部が、前記対応位置に基づいて、前記第2地図データから前記第2情報を取得する第2情報取得ステップと、
案内部が、前記第2情報を用いて案内を行う案内ステップと、を備える。
【0011】
また、1つの態様として、上記に鑑みたナビゲーションプログラムは、
第1情報を有する第1地図データと、前記第1地図データと座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データには含まれていない第2情報を有する第2地図データと、を用いて案内を行うナビゲーションプログラムであって、
前記第1地図データ及び前記第2地図データは、地図データ記憶部に記憶されており、
前記第1地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータと、当該第1道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データは、複数のリンクの接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータと、当該第2道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
データ更新部により、前記第1道路ネットワークデータ及び前記第2道路ネットワークデータをそれぞれ独立して更新可能なデータ更新機能と、
対応リンク群抽出部が、前記第1道路ネットワークデータにおいて特定位置が指定された場合に、当該特定位置が存在するリンクを含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータから抽出する対応リンク群抽出機能と、
対応位置判定部が、前記第1道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータにおける前記特定位置の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンクの中の前記特定位置に対応する位置である対応位置を判定する対応位置判定機能と、
第2情報取得部が、前記対応位置に基づいて、前記第2地図データから前記第2情報を取得する第2情報取得機能と、
案内部が、前記第2情報を用いて案内を行う案内機能と、をコンピュータに実現させる。
【0012】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ナビゲーション装置の模式的ブロック図
図2】第1地図データのデータ構造の一例を模式的に示す図
図3】第2地図データのデータ構造の一例を模式的に示す図
図4】対応テーブルにより地図データ同士を対応させることができる例を示す図
図5】対応テーブルにより地図データ同士を対応させることができない例を示す図
図6】リンク群識別データを用いて地図データ同士を対応させる例を示す図
図7】リンク群識別データを用いて異なるバージョンの地図データ同士を対応させる例を示す図
図8】第1地図データにおいて指定された特定位置に対応する第2情報を第2地図データから取得する手順の一例を模式的に示すフローチャート
図9】リンク群識別データを用いても異なるバージョンの地図データ同士を対応させることができない場合の一例を示す図
図10】リンク群識別データを用いても異なるバージョンの地図データ同士を対応させることができない場合の他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、ナビゲーション装置の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載されたナビゲーション装置10を例示して説明する。但し、ナビゲーション装置10は、任意に移動可能なポータブルナビゲーション装置であってもよい。図1は、ナビゲーション装置10のシステム構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態において、ナビゲーション装置10は、マイクロコンピュータやDSP(Digital Signal Processor)などの演算処理装置を中核部材とする演算処理部1を中核として構成されている。演算処理部1は、マイクロコンピュータなどの演算処理装置をはじめ、メモリやディスク装置などの記憶媒体、周辺回路などのハードウェアと、当該ハードウェア上で用いられるプログラムやパラメータなどのソフトウェアとの協働によって、ナビゲーション装置10としての種々の機能を実現させる。尚、図1は、ナビゲーション装置10を構成する全ての記憶媒体や周辺回路などを図示しているものではない。
【0015】
演算処理部1には、自位置演算部2、ナビゲーション演算部3(案内部)、表示制御部4などの機能部が、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって構築されている。自位置演算部2は、ナビゲーション装置10の現在の位置を示す自位置を特定する機能部である。自位置は、例えば、ナビゲーション装置10が車両に固定的に搭載されている車載ナビゲーション装置である場合には、ナビゲーション装置10の位置であると共に当該車両の位置である。ナビゲーション装置10が、ポータブルナビゲーション装置である場合には、自位置は、少なくともナビゲーション装置10の位置である。ポータブルナビゲーション装置が、車両に持ち込まれている場合には、自位置に当該車両の位置が含まれる。
【0016】
詳細は後述するが、自位置演算部2は、速度センサ11、GPS受信機12、方位センサ13、距離センサ14から自位置情報を取得する自位置情報取得処理、並びに、自位置情報に基づいて自位置を特定する自位置特定処理を実行する。自位置演算部2は、GPS(Global Positioning System)による測量やデッドレコニング(Dead-Reckoning)による自律制御を利用して自位置を演算して取得する。GPSによる測量は、GPS受信機12を用いて行われる。また、自律制御は、速度センサ11によって検出される進行速度や、方位センサ13によって検出される進行方位や、距離センサ14によって検出される進行距離などに基づいて行われる。
【0017】
ナビゲーション演算部3は、少なくとも自位置の周辺の地図情報を地図データベース5(地図データ記憶部)から取得する地図情報取得処理、並びに目的地等が設定されている場合には目的地までの経路案内処理を実行する機能部である。表示制御部4は、例えばグラフィックコントローラなどを中核として構成されている。表示制御部4は、ナビゲーション演算部3と協働し、自位置情報及び地図情報に基づく地図画像を生成して、表示装置20に当該地図画像を表示させる。表示制御部4は、表示装置20の仕様に応じて画像データ(例えば地図画像)を出力する。
【0018】
ナビゲーション装置10が有する地図データベース5は、磁気ディスク装置やSSD(Solid State Drive)などによって実現される。本実施形態では、地図データベース5に、2種類の地図データが記憶されている形態を例示している。第1情報を有する第1地図データは、第1地図データベース5aに記憶され、第2情報を有する第2地図データは、第2地図データベース5bに記憶されている。第2地図データは、第1地図データと座標が重複する領域の地図データであって、第1地図データには含まれていない第2情報を有する地図データである。ナビゲーション装置10は、第1地図データ及び第2地図データを用いて、案内を行う。本実施形態において、地図データベース5は、図2及び図3に示すように、レイヤ構造を有して構築されている。図2は第1地図データベース5aに記憶された第1地図データM1のレイヤ構造を模式的に示しており、図3は第2地図データベース5bに記憶された第2地図データM2のレイヤ構造を模式的に示している。
【0019】
本実施形態では、第1地図データM1は、第1道路ネットワークレイヤL11と平面地物レイヤL12とを有している。第1道路ネットワークレイヤL11は、複数のリンクの接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータのレイヤである。平面地物レイヤL12は、道路周辺の各種地物の形状を示すレイヤであり、第1情報に相当する。各種地物には、建造物B、信号機、道路面の標章(区画線や横断歩道など)を含む。平面地物レイヤL12は、第1道路ネットワークレイヤL11に関連付けられて格納されている。第1道路ネットワークレイヤL11は、緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数のノードNの情報と、2つのノードNを連結して道路を構成する多数のリンクKの情報とを有して構成されている。また、各リンクKは、リンクの属性情報として、道路の種別(高速道路、有料道路、国道、県道等の種別)やリンク長さ、リンク形状等の情報を有している。平面地物レイヤL12は、2つのノードNの間(リンクK上)に配置されて緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数の道路形状補完点Sの情報や道路幅の情報等を有して構成されている。
【0020】
本実施形態では、第2地図データM2は、第2道路ネットワークレイヤL21と立体地物レイヤL22とを有している。第2道路ネットワークレイヤL21は、複数のリンクの接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータのレイヤである。立体地物レイヤL22は、道路周辺の各種地物の立体形状を示すレイヤであり、第2情報に相当する。立体地物レイヤL22は、第2道路ネットワークレイヤL21に関連付けられて格納されている。第2道路ネットワークレイヤL21も、第1道路ネットワークレイヤL11と同様に、緯度及び経度で表現された地図上の位置情報を有する多数のノードNの情報と、2つのノードNを連結して道路を構成する多数のリンクKの情報とを有して構成されている。また、各リンクKは、リンクの属性情報として、道路の種別(高速道路、有料道路、国道、県道等の種別)やリンク長さ、リンク形状等の情報を有している。立体地物レイヤL22は、例えば道路周辺の建造物Bや信号機、歩道橋などの立体地物の立体形状の他、道路の立体形状を示す情報を有していてもよい。第2地図データM2の第2情報は、地図データに含まれる地物の三次元形状、模様、及び色彩の少なくとも1つを含む情報である。
【0021】
上述したように、第1道路ネットワークデータと第2道路ネットワークデータとは、互いに座標が重複する領域の地図データである。つまり、第1道路ネットワークレイヤL11と第2道路ネットワークレイヤL21とは、互いに座標が重複する領域のレイヤである。また、上述したように、平面地物レイヤL12は、第1地図データM1に含まれる第1情報に相当する。また、立体地物レイヤL22は、第1地図データM1には含まれていない第2情報に相当する。
【0022】
ところで、平面地物レイヤL12は、第1道路ネットワークレイヤL11(第1道路ネットワークデータ)に関連付けられており、立体地物レイヤL22は、第2道路ネットワークレイヤL21(第2道路ネットワークデータ)に関連付けられている。しかし、第1道路ネットワークレイヤL11と立体地物レイヤL22とは関連づけられてはいない。例えば、第1道路ネットワークレイヤL11を利用して、ナビゲーション演算部3が経路案内を行い、表示制御部4を介して表示装置20に地図画像を表示させる場合、直接的には、演算結果と立体地物レイヤL22とを関連付けることはできない。平面地物レイヤL12と立体地物レイヤL22との関係も同様である。
【0023】
但し、第1道路ネットワークレイヤL11(第1道路ネットワークデータ)と、第2道路ネットワークレイヤL21(第2道路ネットワークデータ)との整合性が取れている場合には、間接的に、第1道路ネットワークレイヤL11と立体地物レイヤL22とを関連づけることができる。例えば、図4に示すように、2つの地図データを関連付ける対応テーブルMTを作成しておき、リンク同士を対応付けることで、第1道路ネットワークレイヤL11と立体地物レイヤL22とを関連づけることができる。平面地物レイヤL12と立体地物レイヤL22との関連付けも同様である。
【0024】
図4は、更新時期が同じ地図データ、本実施形態では共にバージョン1の第1地図データ(M1_1)のリンクKと、第2地図データ(M2_1)のリンクKとが、対応テーブルMTによって関連付けられている例を示している。対応テーブルMTは、第1地図データのLink:100と第2地図データのLink:1000、第1地図データのLink:110と第2地図データのLink:1010、第1地図データのLink:120と第2地図データのLink:1020、第1地図データのLink:200と第2地図データのLink:2000、をそれぞれ対応付けている。このような対応付けが行われることによって、例えば、ナビゲーション演算部3は、第1地図データM1を利用して経路を演算すると共に、第2地図データM2を利用して表示制御部4を介して立体的な案内画面を表示装置20に表示させることができる。
【0025】
ところで、現実の道路や地形などは、道路の新設、統合、土地の開発等によって、しばしば変化する。つまり、現実の道路や地形と、第1地図データM1や第2地図データM2が有する情報とが一致しなくなる。従って、第1地図データM1及び第2地図データM2は、適切に更新されることが好ましい。このため、ナビゲーション装置10には、データ更新部9が備えられている。データ更新部9は、不図示の通信I/Fや、メモリカードや光ディスクなどの外部記憶媒体とのI/Fを介して、新しい地図データを取得し、地図データベース5に記憶された地図データ(M1,M2)を更新する。
【0026】
上述したように、地図データベース5(地図データ記憶部)は、第1地図データM1が記憶される第1地図データベース5aと、第2地図データM2が記憶される第2地図データベースとを備えている。第1地図データM1と第2地図データM2とは、互いに独立した地図データである。データ更新部9は、第1地図データM1と第2地図データM2とをそれぞれ独立して更新することができる。例えば、データ更新部9は、第1道路ネットワークデータと第2道路ネットワークデータとをそれぞれ独立して更新可能である。このため、第1地図データM1及び第2地図データM2の内の一方の地図データのみが更新され、他方の地図データが更新されない場合もある。
【0027】
図5は、第1地図データM1のみがバージョン1からバージョン2へと更新され、第2地図データがバージョン1のままで更新されていない場合を例示している。対応テーブルMTも、バージョン1同士の対応関係を規定したままのものであり、更新されていない。即ち、図5では、バージョン2の第1地図データ(M1_2)と、バージョン1の第2地図データ(M2_1)とを、図4と同じ対応テーブルMTで関連付ける例を示している。
【0028】
対応テーブルMTが、第1地図データの更新に応じて更新されていないため、第1地図データM1と第2地図データM2との間で、対応付けることができないリンクが存在する。具体的には、第1地図データM1のLink:110は、更新によって2つのリンク、Link:111とLink:115とに分かれている。しかし、対応テーブルMTには、第1地図データM1のLink:110と第2地図データM2のLink:1010とが関連付けされているから、第1地図データM1のLink:111及びLink:115と、第2地図データM2のLink:1010とを関連付けることができない。
【0029】
地図データの更新に応じて、対応テーブルMTも更新すれば、このような不整合を回避することができる。しかし、対応テーブルMTを一方の地図データの更新に応じて追加していくとすれば、地図データのバージョンごとの組み合わせの数だけ、対応テーブルMTが必要となり、対応テーブルMTの数が増えてしまう。また、地図データには、地図データの全体を更新するものだけではなく、例えば特定の領域単位で更新するものもある。この場合には、さらに対応テーブルMTの組み合わせも多くなり、更新に応じて対応テーブルMTの数が膨大となる。そこで、本実施形態では、対応テーブルMTを用いること無く、第1地図データM1と第2地図データM2とを対応づけている。詳細は後述するが、本実施形態では、道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群をそれぞれ識別するリンク群識別データ(後述するStreetID)を用いて、第1地図データM1と第2地図データM2とを対応づけている。
【0030】
第1地図データM1は、上述した第1道路ネットワークデータに加え、第1道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データ(後述するStreetID)を含んで構成される。即ち、第1地図データM1は、第1道路ネットワークデータと、第1リンク群識別データ(StreetID)とを含んで構成されている。第2地図データM2は、上述した第2道路ネットワークデータに加え、第2道路ネットワークデータにおいて連続する複数のリンクにより構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データ(後述するStreetID)を含んで構成される。即ち、第2地図データM2は、第2道路ネットワークデータと、第2リンク群識別データ(StreetID)とを含んで構成されている。そして、第2リンク群識別データは、第1リンク群識別データに対応付けられている。具体的には、第1地図データM1と第2地図データM2とで同じ道路を表すリンク群には、同じリンク群識別データ(StreetID)が与えられており、第1リンク群識別データと第2リンク群識別データとは、互いに関連付けられている。
【0031】
図6及び図7は、リンク群とリンク群識別データとの関係を模式的に示す説明図である。図4及び図5の例では、対応テーブルMTが設けられていたが、図6及び図7の例では、第1地図データに対応する第1リンク群識別データ(StreetID)を表す識別テーブルST(第1識別テーブルST1)と、第2地図データに対応する第2リンク群識別データ(StreetID)を表す識別テーブルST(第2識別テーブルST2)とが、設けられている。図6は、図4に示した例と同様に、共にバージョン1の第1地図データ(M1_1)のリンクKと、第2地図データ(M2_1)のリンクKとが、リンク群識別データ(StreetIDが定義された識別テーブルST)を介して対応付けられる例を示している。図7は、図5に示した例と同様に、第1地図データM1のみが更新されてバージョン2の第1地図データ(M1_2)となっている例を示している。但し、詳細は後述するが、図7に例示する形態では、図5の例とは異なり、バージョン2の第1地図データ(M1_2)のリンクKと、バージョン1の第2地図データ(M2_1)のリンクKとが、リンク群識別データ(StreetIDが定義された識別テーブルST)を介して対応付けられる。
【0032】
以下、リンク群及びリンク群識別データ(StreetID)について説明する。図6に示すように、第1地図データM1において、連続する3つのリンク(Link:100, Link:110, Link:120)により構成されるリンク群には“Street:A”という第1リンク群識別データ(StreetID)が付与されている。また、図6では、リンクKの接続数は簡略化されているが、“Link:200”を含むリンク群には“Street:B”という第1リンク群識別データ(StreetID)が付与されている。
【0033】
また、第2地図データM2において、連続する3つのリンク(Link:1000, Link:1010, Link:1020)により構成されるリンク群にも“Street:A”という第2リンク群識別データ(StreetID)が付与されている。また、第2地図データM2において“Link:2000”を含むリンク群にも“Street:B”という第2リンク群識別データ(StreetID)が付与されている。
【0034】
ここで、第1地図データM1におけるリンク群“Link:100, Link:110, Link:120”は、第2地図データM2におけるリンク群“Link:1000, Link:1010, Link:1020”に対応する。上述したように、第1地図データM1におけるリンク群“Link:100, Link:110, Link:120”には、“Street:A”という第1リンク群識別データ(StreetID)が付与され、第2地図データM2におけるリンク群“Link:1000, Link:1010, Link:1020”にも“Street:A”という第2リンク群識別データ(StreetID)が付与されている。即ち、第1地図データM1と第2地図データM2との間で対応するリンク群には、同じリンク群識別データ(StreetID)が付与されている。また、第1地図データM1におけるリンク(リンク群)“Link:200”は、第2地図データM2におけるリンク(リンク群)“Link:2000”に対応する。これらについても同じリンク群識別データ(StreetID)として“Street:B”が付与されている。
【0035】
このように、図6に例示する態様では、第1地図データM1のリンクKと第2地図データM2のリンクKとを直接的に関連付けるためのテーブル(例えば対応テーブルMT)は設けられていない。しかし、“Street:A”や“Street:B”といったリンク群識別データ(StreetID)を照合することによって、第1地図データM1と第2地図データM2とを関連付けることができる。換言すれば、第1地図データM1と第2地図データM2とを直接的に関連付けることができない状態であっても、リンク群識別データ(StreetID)を照合することによって、第1地図データM1と第2地図データM2とを関連付けることができる。
【0036】
例えば、図7に例示する態様では、第1地図データ(M1_2)と第2地図データ(M2_1)とのバージョンが異なる。つまり、第1地図データM1は、更新の結果、“Street:A”を構成するリンク群が、図6に例示する態様とは異なるものとなっている。具体的には、バージョン1の第1地図データ(M1_1)における“Link:110”が、バージョン2の第1地図データ(M1_2)では“Link:111”と“Link:115”との2つに分割されている。その結果、バージョン2の第1地図データ(M1_2)において“Street:A”が付与されるリンク群は、4つのリンク(Link:100, Link:111, Link:115, Link:120)により構成されるリンク群となっている。一方、バージョン1の第2地図データ(M2_1)において“Street:A”が付与されるリンク群は、図6と同様、3つのリンクにより構成されている。しかし、第1地図データ(M1_2)及び第2地図データ(M2_1)の双方において、“Street:A”というリンク群識別データが付与されているリンク群が存在する。このため、“Street:A”というリンク群識別データを照合することによって、第1地図データ(M1_2)のリンクKと第2地図データ(M2_1)のリンクKとを関連付けることができる。
【0037】
以下、図8のフローチャートも参照して、リンク群識別データ(StreetID)を用いて異なるバージョンの地図データ同士を対応させる手順を説明する。地図データ同士の対応は、図1に示す地図データマッチング部30にて行われる。地図データマッチング部30は、マイクロコンピュータを中核として構成された演算処理部1の機能部として構成されており、他の機能部と同様に、ハードウェアとソフトウェア(プログラム等)との協働によってその機能が実現される。図1に示すように、地図データマッチング部30は、対応リンク群抽出部6と、対応位置判定部7と、第2情報取得部8とを有している。
【0038】
対応リンク群抽出部6は、第1道路ネットワークデータにおいて特定位置(後述する“P1”)が指定された場合に、この特定位置P1が存在するリンクKを含む第1リンク群識別データ(StreetID)を取得し、この第1リンク群識別データ(StreetID)に対応する第2リンク群識別データ(StreetID)が示すリンク群である対応リンク群を第2道路ネットワークデータから抽出する機能部である。対応位置判定部7は、対応リンク群に含まれるリンクKの中の特定位置P1に対応する位置である対応位置Q1を判定する機能部である。詳細は、後述するが、1つの態様として、対応位置判定部7は、第1道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクKの属性情報及び第2道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクの属性情報に基づく判定を行って、対応位置Q1を判定する。また、別の態様として、対応位置判定部7は、特定位置P1の座標情報及び第2道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクKの属性情報に基づく判定を行って、対応位置Q1を判定する。尚、リンクの属性情報には、各リンクの形状を表す情報が含まれる。第2情報取得部8は、対応位置Q1に基づいて、第2地図データM2から第2情報(L22)を取得する。そして、ナビゲーション演算部3(案内部)は、第2情報(L22)を用いて案内を行う。
【0039】
例えば、自位置演算部2により自位置が算出されると、この自位置が特定位置P1として指定される。対応リンク群抽出部6は、自位置(特定位置P1)に基づき、第1地図データM1のリンク情報“Link”を取得する(#1)。図8に示すように、本実施形態では、特定位置P1に基づき、バージョン2の第1地図データ(M1_2)からリンク情報“Link:111”が取得される。さらに、対応リンク群抽出部6は、バージョン2の第1地図データ(M1_2)に対応した識別テーブル(ST1_2)を参照して、特定位置P1が存在するリンク(Link:111)を含む第1リンク群識別データ(StreetID)である“Street:A”を取得する。
【0040】
ここで、第1リンク群識別データ(StreetID)の“Street:A”に対応する第2リンク群識別データ(StreetID)は、同じく“Street:A”である。対応リンク群抽出部6は、第2地図データ(M2_1)に対応した識別テーブル(ST2_1)を参照して、第2リンク群識別データ(StreetID)の“Street:A”が示すリンク群である対応リンク群を第2道路ネットワークデータから抽出する(#3)。具体的には、“Link:1000, Link:1010, Link:1020”が第2道路ネットワークデータから抽出される。以上、ステップ#1〜ステップ#3は、対応リンク群抽出ステップに相当する(対応リンク群抽出機能)。
【0041】
対応位置判定部7は、第1地図データ(M1_2)におけるリンクの形状(SP1)と、第2地図データ(M2_1)におけるリンクの形状(SP2)とが、基準内で一致しているか否かを判定する(#4)。即ち、対応位置判定部7は、第1道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクの形状(SP1)と、対応リンク群に含まれるリンクの形状(SP2)との形状マッチングを行って、特定位置P1の周辺のリンクKと対応リンク群に含まれるリンクKとの対応関係を判定する。属性情報に、各リンクKの形状を表す情報が含まれる場合、この判定は、第1道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクKの属性情報及び第2道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクKの属性情報に基づく判定に相当する。
【0042】
図8に例示する態様では、第1地図データ(M1_2)におけるリンク“Link:111, Link:115”の形状(SP1)と、第2地図データ(M2_1)におけるリンク“Link:1010”の形状(SP2)とが、基準内で一致する。従って、対応位置判定部7は、第1地図データ(M1_2)におけるリンク“Link:111”上の特定位置P1を、第2地図データ(M2_1)において対応するリンク“Link:1010”上にマッピングすることによって、対応位置Q1を判定する(#5)。例えば、第1地図データ(M1_2)におけるリンク“Link:111”の開始点から特定位置P1までの距離に相当する距離を、第2地図データ(M2_1)におけるリンク“Link:1010”の開始点からの距離に対応させて、対応位置Q1を決定する。第2情報取得部8は、判定された対応位置Q1に基づき、第2地図データM2から第2情報を取得する(#5)。ステップ#4、及び#5の前半は、対応位置判定ステップに相当する(対応位置判定機能)。ステップ#5の後半は、第2情報取得ステップに相当する(第2情報取得機能)。
【0043】
図8を参照して上述した例では、第1リンク群識別データ(StreetID)の“Street:A”に対応する第2リンク群識別データ“Street:A”が、第2地図データ(M2_1)に存在した。しかし、例えば、図9に例示するように、相対的に新しいバージョン“b”の第1地図データ(M1_b)には存在する道路が、相対的に古いバージョン“a”の第2地図データ(M2_a)には存在しない場合、第1リンク群識別データ(StreetID)の“Street:B”に対応する第2リンク群識別データ(StreetID)の“Street:B”も存在しない。ここで、第1地図データ(M1_b)において“Street:B”で規定されるリンク群の上に、自位置(特定位置P2)が指定された場合には、第2地図データ(M2_a)上において、対応位置Q1を判定することはできない。
【0044】
図8のステップ#3では、特定位置P2が指定されたリンク群の第1リンク群識別データ(StreetID)が、第2地図データ(M2_a)にも存在するか否かの判定を行うステップを省略している。しかし、好適には存否の判定が実行される。そして、特定位置P2が指定されたリンク群の第1リンク群識別データ(StreetID)が、第2地図データ(M2_a)に在在しない場合には、対応位置Q1の判定、並びに第2情報の取得を行わずに、処理が終了される。
【0045】
同様に、対応位置判定部7によるステップ#4において、リンクKの形状(SP1及びSP2)が基準内で一致しなかった場合には、特定位置P1が対応位置Q1にマッピングされることなく、また、第2情報も取得されることなく、処理が終了される。即ち、対応位置判定部7は、ステップ#4において、形状マッチングを行って、一致する形状が存在しない場合には、対応位置Q1を決定することなく、判定を終了する。
【0046】
例えば、図10の例では、バージョン“c”の第1地図データ(M1_c)及びバージョン“a”の第2地図データ(M2_a)の双方が、リンク群識別データ(StreetID)として“Street:A”を有している。しかし、特定位置P1の周辺のリンク形状は大きく異なっている。例えば、道路の付け替え等によって、同一路線の道路であっても、その経路が変更されている場合がある。このような場合には、対応位置判定部7が形状マッチングを行っても、一致する形状が存在しない可能性がある。このようなケースでも、対応位置判定部7は、対応位置Q1を決定することなく、判定を終了する。
【0047】
上記の説明においては、“StreetID”として、便宜的に“Street:A”、“Street:B”などの記号を用いたが、実際の道路には、「国道1号線」や、「〇〇通り」といった名称が付与されている場合が多い。従って、互いに対応する第1リンク群と第2リンク群とは、実際の道路名称が同じ道路を構成する複数のリンクにより構成されていると好適である。また、第1リンク群識別データ及び第2リンク群識別データは、実際の道路名称に対応した識別データであると好適である。尚、識別データは、例えば、文字、数字、記号、又はこれらの組合せによって生成されている。
【0048】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0049】
(1)上記では、第1地図データM1が二次元の地図データであり、第2地図データM2が三次元の地図データであり、第2情報は、地図データに含まれる地物の三次元形状、模様、及び色彩の少なくとも1つを含む情報である場合を例として説明した。しかし、この形態に限定されることはない。例えば、第1地図データM1が二次元又は三次元の地図データであり、第2地図データM2が駐車場やガソリンスタンド、その他の店などの所在位置を示す地図データであり、第2情報が、店などの種別や規模、表示用のアイコンなどの情報であってもよい。
【0050】
(2)上記においては、図8を参照して、対応位置判定部7が、第1道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクの形状(SP1)と、対応リンク群に含まれるリンクの形状(SP2)との形状マッチングを行って、特定位置P1の周辺のリンクKと対応リンク群に含まれるリンクKとの対応関係を判定すると説明した。これは、属性情報に、各リンクKの形状を表す情報が含まれる場合を想定している。従って、この判定は、第1道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクKの属性情報及び第2道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクKの属性情報に基づく判定に相当する。
【0051】
しかし、対応位置判定部7による判定は、この態様に限定されるものではない。例えば、リンクの形状によって第2道路ネットワークデータにおける対応リンクを特定し、特定位置P1の座標情報を用いて、この座標情報に最も近い対応リンク上の地点を対応位置Q1として判定してもよい。この判定は、特定位置P1の座標情報及び第2道路ネットワークデータにおける特定位置P1の周辺のリンクKの属性情報に基づく判定に相当する。
【0052】
さらに、別の態様として、対応位置判定部7は、形状マッチングを行うことなく、特定位置P1の座標情報から対応位置Q1を判定してもよい。例えば、特定位置P1の座標情報に基づき、第2道路ネットワークデータにおける対応リンク上で、特定位置P1の座標に最も近い座標を対応位置Q1としてもよい。或いは、特定位置P1の座標情報に基づき、第2道路ネットワークデータにおいて対応するリンク群(同一StreetIDのリンク群)上で、特定位置P1の座標に最も近い座標を対応位置Q1とし、対応位置Q1を含むリンクKを対応リンクとしてもよい。
【0053】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した、実施形態に係るナビゲーション装置(10)の概要について簡単に説明する。
【0054】
第1情報(L12)を有する第1地図データ(M1)と、前記第1地図データ(M1)と座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データ(M1)には含まれていない第2情報(L22)を有する第2地図データ(M2)と、を用いて案内を行うナビゲーション装置(10)は、1つの好適な態様として、
前記第1地図データ(M1)が、複数のリンク(K)の接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータ(L11)と、当該第1道路ネットワークデータ(L11)において連続する複数のリンク(K)により構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データ(M2)が、複数のリンク(K)の接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータ(L21)と、当該第2道路ネットワークデータ(L21)において連続する複数のリンク(K)により構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
前記第1地図データ(M1)及び前記第2地図データ(M2)を記憶する地図データ記憶部(5)と、
前記第1道路ネットワークデータ(L11)及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)をそれぞれ独立して更新可能なデータ更新部(9)と、
前記第1道路ネットワークデータ(L11)において特定位置(P1)が指定された場合に、当該特定位置(P1)が存在するリンク(K)を含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータ(L21)から抽出する対応リンク群抽出部(6)と、
前記第1道路ネットワークデータ(L11)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の属性情報及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置(P1)の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンク(K)の中の前記特定位置(P1)に対応する位置である対応位置(Q1)を判定する対応位置判定部(7)と、
前記対応位置(Q1)に基づいて、前記第2地図データ(M2)から前記第2情報(L22)を取得する第2情報取得部(8)と、
前記第2情報(L22)を用いて案内を行う案内部(3)と、を備える。
【0055】
この構成によれば、第1地図データ(M1)と第2地図データ(M2)とを直接的に関連付けるためのテーブル等は設けられていない。しかし、第2リンク群識別データが第1リンク群識別データに対応付けられているので、第2地図データ(M2)を間接的に第1地図データ(M1)に関連付けることができる。従って、更新の時期が異なるなど、第1地図データ(M1)と第2地図データ(M2)とを直接的に関連付けることができない状態であっても、第1リンク群識別データと第2リンク群識別データとを照合することによって、第1地図データ(M1)と第2地図データ(M2)とを関連付けることができる。尚、この関連付けに当たっては、対応位置判定部(7)が、特定位置(P1)に対する対応位置(Q1)を判定する。従って、第1地図データ(M1)と第2地図データ(M2)との間で、道路ネットワークデータに比較的大きな差がある状態では、第1地図データ(M1)と第2地図データ(M2)とが関連付けられない。このため、不適切な対応付けを回避することができる。このように、本構成によれば、更新時期が独立した複数の地図データを利用するナビゲーション装置において、異なる種類の地図データ間において更新状態に不整合があっても、可能な限り地図データ間の対応関係を保持することができる。
【0056】
ここで、前記属性情報には、各リンクの(K)形状を表す情報が含まれ、前記対応位置判定部(7)は、前記第1道路ネットワークデータ(L11)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の形状と、前記対応リンク群に含まれるリンク(K)の形状との形状マッチングを行って、前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)と前記対応リンク群に含まれるリンク(K)との対応関係を判定し、当該対応関係に基づいて前記対応位置(Q1)を判定すると好適である。リンク(K)の接続関係が変わっていても、第1リンク群識別データと第2リンク群識別データとで対応付けられるリンク(K)の形状が一致すれば、特定位置(P1)に対する対応位置(Q1)を適切に判定することができる。従って、形状マッチングにより、精度良く対応位置(Q1)を判定することができる。
【0057】
前記対応位置判定部(7)は、前記形状マッチングを行って、一致する形状が存在しない場合には、前記対応位置(Q1)を決定することなく、判定を終了すると好適である。道路形状が大きく変わってしまっている場合などでは、第1地図データ(M1)と第2地図データ(M2)とを無理に対応付けると不適切である。従って、形状マッチングの結果、一致する形状が存在しない場合には、対応位置(Q1)の決定を行わないと好適である。
【0058】
また、互いに対応する前記第1リンク群と第2リンク群とは、実際の道路名称が同じ道路を構成する複数のリンク(K)により構成され、前記第1リンク群識別データ及び前記第2リンク群識別データは、実際の道路名称に対応した識別データであると好適である。第1リンク群識別データ及び第2リンク群識別データが付与されるリンク群は、地図データの更新に伴う経年変化に対して変化が少なく、長期にわたって利用できるリンクのまとまりであることが好ましい。道路名称が与えられているような路線はそのような条件に合致し易い。また、当該路線名を識別データに利用すると地図データのメンテナンスも容易である。
【0059】
また、前記第1地図データ(M1)は二次元の地図データであり、前記第2地図データ(M2)は三次元の地図データであり、前記第2情報(L22)は、地図データに含まれる地物の三次元形状、模様、及び色彩の少なくとも1つを含む情報であると好適である。三次元データはデータサイズも大きく、二次元データに比べると更新も容易ではない。従って、二次元の地図データの方が頻繁に更新される可能性が高い。一方、情報処理装置の高性能化もあり、視認性の高い三次元データの需要は高まっている。このため、経路案内用には更新頻度が高い二次元の地図データを用い、表示等には三次元の地図データを用いるような協働も増加すると考えられる。更新時期が異なっても、地図データ同士の対応付けが可能な状態で、二次元の地図データと三次元の地図データとを利用できると利便性の高いナビゲーション装置(10)を実現することができる。
【0060】
上述したナビゲーション装置(10)の種々の技術的特徴は、ナビゲーション方法やナビゲーションプログラムにも適用可能である。以下にその代表的な態様を例示する。例えば、ナビゲーション方法は、上述したナビゲーション装置(10)の特徴を備えた各種のステップを有することができる。また、ナビゲーションプログラムは、上述したナビゲーション装置(10)の特徴を備えた各種の機能をコンピュータに実現させることが可能である。当然ながらこれらのナビゲーション方法及びナビゲーションプログラムも、上述したナビゲーション装置(10)の作用効果を奏することができる。さらに、ナビゲーション装置(10)の好適な態様として例示した種々の付加的特徴を、これらナビゲーション方法やナビゲーションプログラムに組み込むことも可能であり、当該方法及び当該プログラムはそれぞれの付加的特徴に対応する作用効果も奏することができる。
【0061】
1つの好適な態様として、第1情報(L12)を有する第1地図データ(M1)と、前記第1地図データ(M1)と座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データ(M1)には含まれていない第2情報(L22)を有する第2地図データ(M2)と、を用いて案内を行うナビゲーション方法は、
前記第1地図データ(M1)及び前記第2地図データ(M2)が、地図データ記憶部(5)に記憶されており、
前記第1地図データ(M1)が、複数のリンク(K)の接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータ(L11)と、当該第1道路ネットワークデータ(L11)において連続する複数のリンク(K)により構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データ(M2)が、複数のリンク(K)の接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータ(L21)と、当該第2道路ネットワークデータ(L21)において連続する複数のリンク(K)により構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
データ更新部(9)により、前記第1道路ネットワークデータ(L11)及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)をそれぞれ独立して更新可能なデータ更新ステップと、
対応リンク群抽出部(6)が、前記第1道路ネットワークデータ(L11)において特定位置(P1)が指定された場合に、当該特定位置(P1)が存在するリンク(K)を含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータ(L21)から抽出する対応リンク群抽出ステップ(#1,#2,#3)と、
対応位置判定部(7)が、前記第1道路ネットワークデータ(L11)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の属性情報及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置(P1)の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンク(K)の中の前記特定位置(P1)に対応する位置である対応位置(Q1)を判定する対応位置判定ステップ(#4,#5)と、
第2情報取得部(8)が、前記対応位置(Q1)に基づいて、前記第2地図データ(M2)から前記第2情報(L22)を取得する第2情報取得ステップ(#5)と、
案内部(3)が、前記第2情報(L22)を用いて案内を行う案内ステップと、を備える。
【0062】
また、1つの好適な態様として、第1情報(L12)を有する第1地図データ(M1)と、前記第1地図データ(M1)と座標が重複する領域の地図データであって前記第1地図データ(M1)には含まれていない第2情報(L22)を有する第2地図データ(M2)と、を用いて案内を行うナビゲーションプログラムは、
前記第1地図データ(M1)及び前記第2地図データ(M2)が、地図データ記憶部(5)に記憶されており、
前記第1地図データ(M1)が、複数のリンク(K)の接続関係により道路を表す第1道路ネットワークデータ(L11)と、当該第1道路ネットワークデータ(L11)において連続する複数のリンク(K)により構成されるリンク群である第1リンク群をそれぞれ識別する第1リンク群識別データと、を含み、
前記第2地図データ(M2)が、複数のリンク(K)の接続関係により道路を表す第2道路ネットワークデータ(L21)と、当該第2道路ネットワークデータ(L21)において連続する複数のリンク(K)により構成されるリンク群である第2リンク群をそれぞれ識別する第2リンク群識別データと、を含み、
前記第2リンク群識別データは、前記第1リンク群識別データに対応付けられており、
データ更新部(9)により、前記第1道路ネットワークデータ(L11)及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)をそれぞれ独立して更新可能なデータ更新機能と、
対応リンク群抽出部(6)が、前記第1道路ネットワークデータ(L11)において特定位置(P1)が指定された場合に、当該特定位置(P1)が存在するリンク(K)を含む前記第1リンク群識別データを取得し、当該第1リンク群識別データに対応する前記第2リンク群識別データが示すリンク群である対応リンク群を前記第2道路ネットワークデータ(L21)から抽出する対応リンク群抽出機能と、
対応位置判定部(7)が、前記第1道路ネットワークデータ(L11)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の属性情報及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)における前記特定位置(P1)の周辺のリンクの属性情報に基づく判定、及び、前記特定位置(P1)の座標情報及び前記第2道路ネットワークデータ(L21)における前記特定位置(P1)の周辺のリンク(K)の属性情報に基づく判定、の少なくとも一方の判定を行って、前記対応リンク群に含まれるリンク(K)の中の前記特定位置(P1)に対応する位置である対応位置(Q1)を判定する対応位置判定機能と、
第2情報取得部(8)が、前記対応位置(Q1)に基づいて、前記第2地図データ(M2)から前記第2情報(L22)を取得する第2情報取得機能と、
案内部(3)が、前記第2情報(L22)を用いて案内を行う案内機能と、をコンピュータに実現させる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、互いに座標が重複し、異なる情報を有する地図データを用いて案内を行うナビゲーション装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
3 :ナビゲーション演算部(案内部)
5 :地図データベース(地図データ記憶部)
6 :対応リンク群抽出部
7 :対応位置判定部
8 :第2情報取得部
9 :データ更新部
10 :ナビゲーション装置
L11 :第1道路ネットワークレイヤ(第1道路ネットワークデータ)
L12 :平面地物レイヤ(第1情報)
L21 :第2道路ネットワークレイヤ(第2道路ネットワークデータ)
L22 :立体地物レイヤ(第2情報)
P1 :特定位置
Q1 :対応位置
ST :識別テーブル
ST1 :第1識別テーブル(第1リンク群識別データ)
ST2 :第2識別テーブル(第2リンク群識別データ)
図1
図2
図3
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図10