(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、電子機器の一例として携帯型電話機を例に挙げて説明する。以下の説明では、図面中の同一の部材には同一の参照符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、以下の説明では、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0015】
<技術思想>
本実施の形態に係る技術思想は、以下のとおりである。
【0016】
電子機器は、ユーザの操作を受付ける操作受付部に、物理的に分離された複数のキーが2次元に配列(格子状に配列)されたキー部と、キー部に重ねて配置されたタッチパッドを有する。タッチパッドは、キー部の各キー列,各キー行に対応したタッチセンサ群を有する。制御部は、各行および各列に対応したタッチセンサ群の各キーに対応したタッチセンサからの出力に基づき、いずれの列または行においてユーザがスライド操作したかを判断する。制御部は、判断されたスライド操作の内容に基づき、電子機器を制御するための制御パラメータを決定する。
【0017】
[実施の形態1]
(携帯型電話機1の外観)
図1は、本実施の形態1に係る携帯型電話機1の外観を表した斜視図である。
図1を参照して、携帯型電話機1は、上部筐体101、下部筐体102およびヒンジ部103を備える。上部筐体101と下部筐体102とは、ヒンジ部103により折り畳み可能なように接続されている。上部筐体101と下部筐体102は、それぞれ、略直方体の形状を有する。上部筐体101は、液晶等からなる表示部160を備える。下部筐体102は、ユーザによる携帯型電話機1に対する情報の入力操作を受付けるための操作受付部130を備える。携帯型電話機1は、折り畳み型であるが、折り畳むことができないフラットタイプであってもよい。本実施の形態の携帯型電話機1は、「電子機器」の一実施列である。
【0018】
本実施の形態では、携帯型電話機1は、折り畳み型であるが、折り畳むことができないフラットタイプであってもよい。また、電子機器は、携帯型電話機1に限定されず、例えば、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、オーディオプレイヤ、スマートフォン、ウェアラブル端末等であってもよい。
【0019】
実施の形態1では、上部筐体101と下部筐体102それぞれの長手方向に沿って延びる仮想の軸をY軸と称する。上部筐体101と下部筐体102それぞれの短手方向に沿って延びる仮想の軸であって、Y軸と直交する軸をX軸と称する。X軸とY軸との交差点を点Oと称する。
【0020】
また、Y軸が延びる方向であって、上部筐体101が位置する側の方向を“上方向”と称し、Y軸が延びる方向であって、“上方向”とは反対側の方向を“下方向”と称する。また、X軸が延びる方向であって、点O(
図1参照)が位置する側の方向を“左方向”と称し、“左方向”とは反対側の方向を“右方向”と称する。
【0021】
また、下部筐体102の面であって、上部筐体101と下部筐体102とが折り畳まれた状態において、表示部160の表示面と対向する面を主面と称する。
【0022】
(操作受付部130の構成)
操作受付部130は、下部筐体102の主面において、複数のキーからなるテンキー300、十字キー等の他の操作キー30Aおよびタッチパッド350(
図2参照)を備える。操作キー30Aには、周知のハードウェアキーが適用されるので、その詳細な説明は繰返さない。ここでは、テンキー300を主体に説明する。
【0023】
テンキー300の各キーは、物理的に分離されている。ユーザは、各キーを個別に操作可能である。当該各キーは、樹脂等からなり、例えば、半球形のドーム形状を有する。当該各キーの表面側(露出面側)には、数値(「0」、「1」、「2」、「3」、「4」…、「9」),文字,記号等が印字されている。
【0024】
テンキー300では、複数のキーが主面において2次元に配列される。2次元配列において複数のキーは、X軸と平行な複数の行1,行2,行3,行4と、Y軸と平行な複数の列1,列2,列3を構成する。また、テンキー300では、隣接するキーの間において各キーのドームの側面(斜面)により形成された窪みを有する。2次元配列の各列の間および各行の間には、これら窪みが連なった溝302が形成される。テンキー300では2次元配列における各キーの位置は(X,Y)座標で示される。この(X,Y)座標を、以下、キー位置と称する。
【0025】
操作受付部130において、タッチパッド350は、下部筐体102に内蔵された基板(図示せず)の上に実装されている。タッチパッド350は複数のタッチセンサの電極が配されたパターンを有する。テンキー300の各キーは、タッチパッド350の各タッチセンサ上に実装されている。タッチパッド350の各タッチセンサとテンキー300の各キーとは、1対1で対応する。指が接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する方式である。
【0026】
タッチパッド350の複数のタッチセンサは、上記の各列について、当該列の複数のキーに対応したタッチセンサからなる群を構成する。また、上記の各行について、当該行の各キーに対応したタッチセンサからなる群を構成する。
【0027】
図1では、列1のタッチセンサの群をタッチセンサ群81、列2のタッチセンサの群をタッチセンサ群82、および列3のタッチセンサの群をタッチセンサ群83と、それぞれ称する。また、行1のタッチセンサの群をタッチセンサ群91、行2のタッチセンサの群をタッチセンサ群92、行3のタッチセンサの群をタッチセンサ群93、および行4のタッチセンサの群をタッチセンサ群94と、それぞれ称する。複数のタッチセンサ群は、テンキー300のキー配列に整合するように、格子状に配置される。
【0028】
テンキー300の各キーが、指により操作されると、当該キーの表面側とは反対の裏面側に設けられたタッチセンサは、指の接近により生じた電極間の静電容量の変化を検出する。なお、キーの操作は、指に限定されず、スタイラスを用いてもよい。
【0029】
操作受付部130は、各タッチセンサから検出信号を入力したとき、当該検出信号に基づき、操作されたキーのキー位置を判断する。また、操作受付部130は、当該検出信号により示される静電容量の変化の大きさに基づき、キー操作の種類を判断する。ここでは、説明を簡単にするために、キー操作の種類は、押下操作およびタッチ操作のいずれかであるとする。操作受付部130は、判断されたキー操作の種類を示す操作種類データ131と、判断されたキー位置を示すキー位置データ132とを、静電キードライバ140(
図2参照)に出力する。
【0030】
本実施の形態では、タッチパッド350は、テンキー300に重ねて設けられている。典型的には、
図1に示すように、タッチパッド350はテンキー300の裏面側に設置される。なお、タッチパッド350はテンキー300の表面側に設置されてもよい。以下では、テンキー300を構成する複数のキーに対する操作に着目して説明する。
【0031】
(携帯型電話機1のハードウェア構成)
図2は、携帯型電話機1のハードウェア構成を説明するための図である。
図2を参照して、携帯型電話機1は、携帯型電話機1の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)110、メモリ120、操作受付部130、静電キードライバ140、表示ドライバ150、表示部160およびタイマ部170を備える。携帯型電話機1は、さらに、被写体を撮影するためのカメラ180、カメラ180を制御するためのカメラ制御部190、音声を出力するためのスピーカ200、およびスピーカ200を制御するための音声出力制御部210を備える。CPU110等は、携帯型電話機1の「制御部」の一実施列である。
【0032】
カメラ制御部190は、カメラ180により撮像された画像データを処理する画像処理部191を含む。カメラ制御部190は、制御パラメータに基づき画像処理部191を制御する。画像処理部191は、制御パラメータの値に基づき画像データを処理する。処理後の画像データは、メモリ120に格納される。また、当該画像データに基づく画像が、表示部160に表示される。
【0033】
音声出力制御部210は、メモリ120に格納された音声(楽曲等)データについて再生処理を実施する音声再生部211を含む。音声出力制御部210は、制御パラメータに基づき音声再生部211を制御する。音声出力制御部210は、音声再生部211により再生された音声信号に基づきスピーカ200を駆動する。
【0034】
タイマ部170は、目覚まし等のアラームを設定するアラーム設定部171を含む。タイマ部170は、制御パラメータに基づきアラーム設定部171を制御する。これにより、タイマ部170は、アラーム設定部171により設定された時間において、スピーカ200等を介してアラームを出力する。
【0035】
操作受付部130は、上述したように、複数のキーからなるテンキー300と、タッチパッド350とを含む。メモリ120は、プログラムおよびデータを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)、プログラムおよびデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)、プログラムおよびデータを不揮発的に格納するHDD(Hard Disc Drive)等を含む。メモリ120は、携帯型電話機1の現在の動作モードを示すモードデータ121、および制御パラメータ情報122(
図3参照)を記憶する。制御パラメータ情報122の詳細については後述する。
【0036】
携帯型電話機1は、複数の動作モードを有する。本実施の形態では、複数の動作モードには、例えば、カメラ180により撮影するためのカメラモード、音楽データの音声をスピーカ200から出力するための音楽プレーヤモード、およびアラームを出力するためのアラーム設定モードが含まれる。上述のモードデータ121は、携帯型電話機1に設定されている現在の動作モードを示す。ユーザは、操作受付部130を操作することにより、携帯型電話機1の動作モードを切替えることができる。
【0037】
静電キードライバ140は、操作受付部130のためのドライバ回路である。静電キードライバ140は、操作受付部130のタッチパッド350の動作を制御するとともに、操作受付部130から操作種類データ131とキー位置データ132を受け付ける。静電キードライバ140は、操作種類データ131と、当該操作種類データ131とともに受け付けられたキー位置データ132とからなる組を、CPU110に出力する。
【0038】
CPU110は、静電キードライバ140から操作種類データ131とキー位置データ132の組を受け付けると、当該組に基づきメモリ120の制御パラメータ情報122からパラメータデータ126(後述する)を読出す。
【0039】
また、CPU110は、操作受付部130のユーザの操作内容に基づき、携帯型電話機1の動作モードを切替える。CPU110は、切替え後の動作モードを示すように、メモリ120のモードデータ121を書換える。
【0040】
(制御パラメータ情報122)
図3は、本実施の形態1に係る制御パラメータ情報122を説明するための図である。
図3を参照して、制御パラメータ情報122は、携帯型電話機1の各動作モードに対応したテーブル123を含む。
【0041】
各テーブル123は、対応する動作モードを識別するための識別子124、複数の位置データ125、および各位置データ125に対応して制御パラメータの種類を表すパラメータデータ126を含む。
【0042】
例えば、
図3を参照して、カメラモードに対応したテーブル123は、位置データ125として、列1の各キーのキー位置を示すデータP1、列2の各キーのキー位置を示すデータP2、および列3の各キーのキー位置を示すデータP3を含む。また、パラメータデータ126は、データP1〜P3のそれぞれに対応した制御パラメータの種類を含む。
図3では、データP1に対応の制御パラメータの種類は“ズーム”、データP2に対応の制御パラメータの種類は“露出”、およびデータP3に対応の制御パラメータの種類は“ISO感度”である。
【0043】
(カメラモードにおける処理)
図4は、本実施の形態1に係るカメラモードで表示される画像とともに携帯型電話機1の外観を示す図である。
図4では、説明のために、テンキー300には列1,列2,列3のそれぞれに対応したタッチセンサ群81,82,83のみが示されて、各行についてのタッチセンサ群91〜94の図示は略されている。
【0044】
携帯型電話機1の動作モードが、カメラモードに切替えられたとき、カメラ180は撮影を開始する。また、CPU110は、モードデータ121を“カメラモード”を示すように書換える。
【0045】
カメラ制御部190の画像処理部191は、カメラ180からの画像データを、CPU110から与えられる制御パラメータ(ズームの倍率、露出度、ISO感度)に基づき処理する。処理後の画像データに基づく画像は表示部160に表示される(
図4参照)。また、カメラ制御部190は、CPU110からの制御パラメータの値を、表示部160に画像とともに表示する(
図4参照)。
【0046】
カメラモードにおいて、ユーザは、操作受付部130を操作することにより、上記の制御パラメータを変更することができる。実施の形態1では、当該制御パラメータの種類を変更するための操作は、テンキー300の列1,列2,列3のいずれかの列のキーをタッチする操作である。また、制御パラメータの値を変更するための操作は、いわゆるスライド操作である。スライド操作は、列1,列2,列3のいずれかの列において隣接する一連のキーを、キーに指をタッチしたまま(指をキーから離すことなく)、“上方向”または“下方向”(
図4の太い破線矢印を参照)になぞるような操作を示す。
【0047】
CPU110は、操作内容に基づき制御パラメータの値を変更する。カメラ制御部190は、変更後の制御パラメータに基づき、画像処理部191を制御する。画像処理部191は、制御パラメータの値に基づき、カメラ180により撮像された画像のデータを処理する。
【0048】
図5は、本実施の形態1に係る処理を説明するためのフローチャートである。
図4を参照しながら、
図5のフローチャートに従い、カメラモードの具体的な処理を説明する。CPU110は、モードデータ121に基づき、制御パラメータ情報122の複数のテーブル123のうち、識別子124が“カメラモード”を示すテーブル123を検索の対象に設定する。
【0049】
まず、CPU110は、静電キードライバ140からの入力(操作種類データ131,キー位置データ132の組)に基づき、テンキー300のタッチ操作を検出すると(ステップS1でYES)、ユーザによる操作の対象なった制御パラメータ(以下、操作対象パラメータと称する)の種類を選択する(ステップS3)。
【0050】
例えば、ユーザは、列1の「4」のキー(数値“4”が印字されたキー)をタッチ操作したとする。ステップS3では、CPU110は、静電キードライバ140からの入力(操作種類データ131,キー位置データ132の組)に基づき、操作内容は“タッチ操作”であると判断する。
【0051】
CPU110は、静電キードライバ140からのキー位置データ132に基づき、
図3のカメラモードのテーブル123を検索する。CPU110は、検索結果に基づき、テーブル123から、キー位置データ132(「4」のキー位置)が該当するデータP1に対応のパラメータデータ126(「ズーム」)を読出す。これにより、CPU110は、操作対象パラメータの種類は、「ズーム」であると判断する。CPU110は、判断された制御パラメータの種類(「ズーム」)をメモリ120に格納する。
【0052】
その後、CPU110は、静電キードライバ140からの入力に基づき、「4」のキーが、タッチ操作に続いて押下操作されたかを判断する(ステップS4)。CPU110は、「4」のキーが押下されたと判断すると(ステップS4でYES)、すなわちユーザの操作は、制御パラメータ設定のための操作ではないと判断すると、処理はステップS5に移行する。ステップS5では、CPU110は、ステップS1で検出されたタッチキーに関する情報、すなわちステップS3でメモリ120に格納された制御パラメータの種類を、メモリ120から削除する。CPU110は、「4」のキーの押下に従った他の処理を実施する(ステップS7)。その後、処理はステップS1に戻る。
【0053】
一方、CPU110は、静電キードライバ140からの入力に基づき、「4」のキーが押下されないと判断した場合は(ステップS4でNO)、CPU110は列1におけるスライド操作の方向を判断する(ステップS9,S13,S17)。
【0054】
まず、CPU110は、静電キードライバ140からの入力に基づき、ユーザは、タッチ操作したまま、ステップS1で検出された「4」のキー位置から列1の“上方向”のキー位置に移動したか否かを判断する(ステップS9)。
【0055】
CPU110は、タッチ操作のキー位置が列1の“上方向”に移動していると判断すると(ステップS9でYES)、列1に対応の制御パラメータの値を増加させる(ステップS11)。すなわち、CPU110は、ステップS1でメモリ120に格納された「ズーム」の制御パラメータの値を、望遠寄りに画角を変化させるための値に変更する。CPU110は、変更後の当該制御パラメータの値を、カメラ制御部190に出力する。その後、処理はステップS1に戻る。
【0056】
カメラ制御部190の画像処理部191は、変更後の制御パラメータ(ズームの倍率)の値に基づき、カメラ180からの画像データを処理する。処理後の画像データに基づく画像は表示部160に表示される(
図4参照)。また、カメラ制御部190は、変更後の制御パラメータ(ズームの倍率)の値を、表示部160に表示する(
図4参照)。
【0057】
一方、CPU110は、タッチ操作のキー位置が列1の“上方向”に移動していないと判断すると(ステップS9でNO)、CPU110は、静電キードライバ140からの入力に基づき、当該キー位置が列1の“下方向”に移動しているかを判断する(ステップS13)。
【0058】
CPU110は、タッチ操作のキー位置が列1の“下方向”に移動していると判断すると(ステップS13でYES)、CPU110は、制御パラメータの値を減少させる(ステップS15)。すなわち、CPU110は、ステップS1でメモリ120に格納された「ズーム」の制御パラメータの値を、広角寄りに画角を変化させるための値に変更する。CPU110は、変更後の当該制御パラメータの値を、カメラ制御部190に出力する。その後、処理はステップS1に戻る。
【0059】
カメラ制御部190は、変更後の制御パラメータ(ズームの倍率)の値に基づき、画像処理部191を制御する。画像処理部191は、カメラ180からの画像データを制御パラメータの値に従い処理する。処理後の広角寄りの画像が表示部160に表示される(
図4参照)。また、カメラ制御部190は、変更後の制御パラメータ(ズームの倍率)の値を、表示部160に表示する(
図4参照)。
【0060】
一方、CPU110は、タッチ操作のキー位置が列1の“下方向”に移動していないと判断すると(ステップS13でNO)、CPU110は、静電キードライバ140からの入力に基づき、タッチ操作のキー位置が、X軸方向の隣の列2に移動したか否かを判断する(ステップS17)。
【0061】
CPU110は、キー位置データ132が列2のキー位置を示すと判断した場合には(ステップS17でYES)、操作対象パラメータの種類を変更する(ステップS19)。その後、処理はステップS4に戻る。
【0062】
具体的には、ステップS19では、CPU110は、キー位置データ132に基づき
図3のカメラモードのテーブル123を検索する。CPU110は、検索結果に基づき、キー位置データ132(例えば、列2の「5」のキー位置)が該当するデータP2に対応のパラメータデータ126(「露出」)を、テーブル123から読出す。これにより、CPU110は、操作対象パラメータの種類は、「露出」であると判断する。CPU110は、先にメモリ120に格納されていた操作対象パラメータの種類(「ズーム」)を削除し、ステップS19で判断された制御パラメータの種類(「露出」)をメモリ120に格納する。その後、処理はステップS4に戻る。
【0063】
その後は、ステップS4以降の処理が、変更後の制御パラメータの種類「露出」について、上述した「ズーム」の場合と同様に行われる。すなわち、列2においてスライド操作の方向が“上方向”である場合には、制御パラメータの値は、撮像画像の露出度が増加するように変更される。また、列2においてスライド操作の方向が“下方向”である場合には、制御パラメータの値は、撮像画像の露出度が減少するように変更される。
【0064】
ステップS17において、CPU110は、静電キードライバ140からのキー位置データ132が、列2のキー位置を示さない(列1のキー位置のままである)と判断した場合には(ステップS17でNO)、処理をステップS1に戻す。その後は、ステップS1以降の処理が、上述と同様に実施される。
【0065】
なお、タッチ操作されたキー位置が列3に該当すると判断された場合には、操作対象パラメータの種類は「ISO感度」に設定(変更)される。また、列3においてスライド操作の方向が“上方向”である場合には、「ISO感度」の値は、撮像画像のISO感度が増加するように変更される。また、列3においてスライド操作の方向が“下方向”である場合には、「ISO感度」の値は、撮像画像のISO感度が減少するように変更される。
【0066】
図5では、操作対象パラメータの種類を変更するためには、ユーザは、タッチ操作する指を隣接する列にスライド移動するだけでよく、特別な操作は必要とされない。なお、操作対象パラメータを変更するための操作パターンは、この操作パターンに限定されない。例えば、列1のキーをタッチ操作し、その後、一旦、テンキー300から指を離す。その後、改めて、他の列(列2または列3)に属するキーをタッチ操作する、というような操作パターンであってもよい。
【0067】
また、
図5では、操作対象パラメータの値は、スライド操作の移動量、すなわち“上方向”または“下方向”により増減されることで可変に決定される。また、スライド操作の移動量には、スライド操作の開始時のキー位置から、スライド操作終了時のキー位置までの距離(キー位置の変化,変位)が含まれてもよい。CPU110は、当該距離(キー位置の変化,変位)の大きさに基づき、操作対象パラメータの値の増減量を決定してもよい。
【0068】
[実施の形態2]
本実施の形態2は、実施の形態1の変形例である。実施の形態2では、携帯型電話機1の動作モードが、音楽プレーヤモードである場合の処理を説明する。実施の形態2の携帯型電話機1の構成および各部の機能は、実施の形態1と同様であり、説明は繰返さない。
【0069】
図6は、本実施の形態2に係る音楽プレーヤモードで表示される画像とともに携帯型電話機1の外観を示す図である。
図6では、説明のために、テンキー300には行1,行2,行3,行4のそれぞれに対応したタッチセンサ群91,92,93,94のみが示されて、各列についてのタッチセンサ群81〜83の図示は略されている。
【0070】
携帯型電話機1の動作モードが、音楽プレーヤモードに切替えられたとき、CPU110は、モードデータ121を“音楽プレーヤモード”を示すように書換える。
【0071】
CPU110は、モードデータ121に従い、表示ドライバ150を介して表示部160に音楽プレーヤの画像を表示する。音楽プレーヤの画像は、再生の対象である楽曲のアーティストの名前、当該楽曲のアルバム名、当該楽曲のタイトル名、および当該楽曲データの再生位置を示すデータを含む(
図6参照)。実施の形態2では、再生対象の楽曲のタイトル、アーティスト名、アルバムのタイトル、および再生位置は、音声再生部211を制御するための制御パラメータに相当する。音声出力制御部210は、これら制御パラメータに基づき音声再生部211を制御する。
【0072】
ユーザは、音楽プレーヤモードにおいて、操作受付部130を操作することにより、上記の制御パラメータを変更することができる。実施の形態2では、当該制御パラメータの種類(楽曲のタイトル、アーティスト名、アルバムのタイトル、および再生位置)を変更するための操作は、テンキー300の行1,行2,行3,行4のいずれかのキーのタッチ操作である。また、当該制御パラメータの値(各楽曲のタイトル、各アーティストの名前、各アルバムのタイトル、および楽曲データの先頭からの位置)を変更するための操作は、行1〜行4のいずれかの行における“左方向”または“右方向”(
図6の太い破線矢印を参照)へのスライド操作である。
図6の画面では、現在、選択されている制御パラメータの値が、反転表示されることで、ユーザに通知されている。
【0073】
なお、制御パラメータの値は、楽曲のタイトルであれば、例えば「景色」、「夏景色」「秋景」等を示す。また、アーティスト名であれば、例えば「太郎」、「山田次郎」、「佐藤」等を示す。また、アルバムのタイトルであれば、例えば「ntemps」、「ete」、「autom」等を示す。再生位置は、楽曲データが予め定められたデータサイズ(単位:Byte)を有している場合には、当該楽曲データの先頭からのアドレス位置を示す。
【0074】
CPU110は、テンキー300の操作内容に基づき制御パラメータの種類または値を変更する。音声出力制御部210は、CPU110から与えられる制御パラメータに基づき、音声再生部211を制御する。
【0075】
図7は、本実施の形態2に係る音楽プレーヤモードの処理を説明するためのフローチャートである。
図5と
図7の各処理を比較して異なる点は、
図7のでは、ステップS9a、S13aにおいて各行のX軸の“左方向”,“右方向”へのスライド操作を判断する点と、ステップS17aにおいてキー位置についてY軸方向に隣接する行への移動を判断する点と、ステップS11a,S15a,S19aにおいてタッチ操作されている行に対応の操作対象パラメータの値を増減させる点にある。他の処理は、
図5のそれらと同じであるので、説明は繰返さない。
【0076】
上記の相違点に関して、音楽プレーヤモードに対応したテーブル123(図示せず)は、位置データ125として、行1の各キーのキー位置を示すデータP1、行2の各キーのキー位置を示すデータP2、行3の各キーのキー位置を示すデータP3、および行4の各キーのキー位置を示すデータP4を含む。また、パラメータデータ126は、データP1〜P4のそれぞれに対応した制御パラメータの種類を含む。音楽プレーヤモードの場合には、データP1に対応の制御パラメータの種類は“アーティスト名”、データP2に対応の制御パラメータの種類は“アルバムのタイトル”、データP3に対応の制御パラメータの種類は“楽曲のタイトル”、およびデータP4に対応の制御パラメータの種類は“再生位置”である。
【0077】
このように、音楽プレーヤモードにおいても、実施の形態1のカメラモードと同様に、ユーザは行1〜行4のいずれか行のキーをタッチ操作することで、操作対象パラメータを選択することができる。また、ユーザは、当該行において“左方向"、“右方向”に指をスライド操作することで、操作対象パラメータの値を変更することができる。
【0078】
具体的には、操作対象パラメータが“アーティスト名”である場合には、“左方向”のスライド操作により、現在値(次郎)から“太郎”に変更され、“右方向”のスライド操作により、現在値(次郎)から“佐藤”に変更される。同様に、操作対象パラメータが“アルバムのタイトル”である場合には、“左方向”のスライド操作により、現在値(ete)から“ntemps”に変更され、“右方向”のスライド操作により、現在値(ete)から“autom”に変更される。同様に、操作対象パラメータが“楽曲のタイトル”である場合には、“左方向”のスライド操作により、現在値(夏景色)から“景色”に変更され、“右方向”のスライド操作により、現在値(夏景色)から“秋景”に変更される。
【0079】
また、操作対象パラメータが“再生位置”である場合には、“左方向”のスライド操作により、現在の再生位置から先頭側の位置に戻る(巻き戻し)ように変更され、“右方向”のスライド操作により、現在の再生位置から先に進む(早送り)ように変更される。
図6では、画面において再生位置は棒グラフGにより示される。棒グラフGのX軸方向に沿った長さは、スライド操作に連動して変化する。ユーザは、棒グラフGの長さの変化により、再生位置が変更されたことを確認する。
【0080】
[実施の形態3]
本実施の形態3は、実施の形態1と2の変形例である。実施の形態3では、実施の形態1と2で説明した携帯型電話機1の動作モードが、アラーム設定モードである場合の処理を説明する。実施の形態3では、携帯型電話機1の構成および各部の機能は、実施の形態1と同様であり、説明は繰返さない。
【0081】
図8は、本実施の形態3に係るアラーム設定モードで表示される画像とともに携帯型電話機1の外観を示す図である。
図8では、説明のために、テンキー300には行1,行2,行3,行4のそれぞれに対応したタッチセンサ群91,92,93,94のみが示されて、各列についてのタッチセンサ群81〜83の図示は略されている。
【0082】
携帯型電話機1の動作モードが、アラーム設定モードに切替えられると、CPU110は、モードデータ121を“アラーム設定モード”を示すように書換える。
【0083】
CPU110は、モードデータ121に従い、表示ドライバ150を介して表示部160にアラーム設定のための情報を表示する。この情報は、設定されているアラーム時間を表す「時」,「分」の各単位の数値を含む(
図8参照)。実施の形態3では、アラーム時間の「時」,「分」の各単位が制御パラメータに相当し、各単位の値が、制御パラメータの値に相当する。タイマ部170は、これら制御パラメータに基づき、アラーム設定部171を制御する。
【0084】
ユーザは、アラーム設定モードにおいて、操作受付部130を操作することにより、上記の制御パラメータを変更することができる。実施の形態3では、制御パラメータの種類を変更するための操作は、テンキー300の行1,行2,行3,行4のいずれかのキーのタッチ操作である。また、制御パラメータの値を変更するための操作は、行1〜行4のいずれかの行における“左方向”または“右方向”(
図8の太い破線矢印を参照)へのスライド操作である。
【0085】
なお、制御パラメータの種類が「時」であれば、制御パラメータの値は、十の位の値と一の位の値を含む。制御パラメータの種類が 「分」であれば、制御パラメータの値は、十の位の値と一の位の値である。
【0086】
CPU110は、静電キードライバ140からの入力(操作種類データ131,キー位置データ132)に基づき、操作対象パラメータの種類または値を決定する。例えば、列1において上下方向にスライド操作がされると、「時」の十の位の値が増減される。また、列2において上下方向のスライド操作がされると、「時」の一の位の値が増減される。また、列3において上下方向にスライド操作がされると、「分」の十の位の値が増減される。また、列4において上下方向にスライド操作がされると、「分」の一の位の値が増減される。タイマ部170は、CPU110からの制御パラメータに基づき、アラーム設定部171を制御する。
【0087】
このように、アラーム設定モードにおいても、実施の形態1のカメラモードまたは実施の形態2の音楽プレーヤモードと同様に、ユーザは行1〜行4のいずれか行のキーをタッチ操作することで、操作対象パラメータを選択することができる。また、ユーザは、行において“左方向"、“右方向”へのスライド操作をすることで、操作対象パラメータの値を変更する(増減させる)ことができる。
【0088】
[実施の形態4]
上述した各実施の形態では、フローチャートに従うプログラムは、携帯型電話機1に付属するメモリカード(図示せず)などのように、CPU110がメモリドライバ(図示せず)を介して読取り可能な記録媒体に記録させて、プログラム製品として携帯型電話機1に提供することもできる。あるいは、ネットワークを介して携帯型電話機1のアンテナ(図示せず)により受信しメモリ120の記憶領域へのダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0089】
提供されるプログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが非一時的に記録された記録媒体とを含む。
【0090】
上記の各実施の形態では、タッチパッド350のタッチセンサによる検出方式は、静電容量の変化を検出する方式であったが、この検出方式に限定されない。例えば、タッチパッド350のタッチセンサは、タッチ操作または押し下げ操作に応じた圧力の変化を検出する方式であってもよい。タッチパッド350が圧力の変化を検出する方式であっても上記の各実施の形態の構成および機能を実現することができる。
【0091】
[実施の形態の効果]
各実施の形態では、ユーザは、テンキー300においてスライド操作した場合に、各行の間、および各列の間に形成された溝302を指で感触することができる。これにより、スライド操作において、キー位置が隣の行/列に移動したことを感触から認識することができる。また、当該感触により、ユーザは、視線をテンキー300に移さなくとも、操作すべき行,列を把握して、所望のスライド操作をすることができる。
【0092】
構造においては、テンキー300の裏面側において、一次元の複数の静電気パッドに相当するタッチセンサ群81〜83,91〜94が、テンキー300の各列または各行に設置される。したがって、表示部160の画面に静電気検出部を設けることができない場合であっても、タッチセンサ群81〜83,91〜94を利用したタッチ操作,スライド操作による、直感的な操作が可能となる。
【0093】
また、携帯型電話機1に情報を入力するために、画面にポインタを表示し、当該ポインタを移動させるキー操作に代えて、実施の形態1〜3に示したタッチセンサ群81〜83,91〜94を利用したタッチ操作,スライド操作を提供することができる。
【0094】
制御においては、CPU110は、テーブル123を介して、テンキー300の各列または各行に割当てられた制御パラメータの種類を判断することができる。また、CPU110は、静電キードライバ140からの入力(操作種類データ131,キー位置データ132)に基づき、いずれの行,列がどのように操作(タッチ操作,スライド操作)されているかを判断することができる。したがって、CPU110は、携帯型電話機1に対するユーザの情報入力のための操作内容に基づき、操作対象パラメータの種類と値を正確に判断し、また変更することができる。
【0095】
また、各実施の形態では、特許文献1のスライダー装置等のUI(ユーザインターフェイス)に代えて、各行および各列におけるスライド操作が提供される。ユーザは、同様のスライド操作により、携帯型電話機1の動作モード毎に、異なる制御パラメータを携帯型電話機1に対し入力することができる。これにより、携帯型電話機1の操作受付部130の設置スペースをテンキー300の設置スペースと共有をしつつ、すなわち専用の設置スペースを必要とせずに、携帯型電話機1に対して、複数種類の制御パラメータについて値を入力することができる。
【0096】
したがって、操作受付部130の設置スペースが狭いという制限がある携帯型電話機1のような電子機器であっても、各実施の形態で示されたような制御パラメータの種類と値を含む多くの情報を入力可能な操作受付部130を搭載することが可能となる。
【0097】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。