(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
繊維製品の生地pHが4〜11であり、JIS−L−1096F2法の高温洗濯50回後のアンモニア消臭性が80%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維製品。
20℃65%RHにおける生地水分率が0.7%以上、且つ生地pHが5.5〜11であり、JIS−L−1096F2法の高温洗濯50回後の生地水分率が0.6%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維製品。
ポリ(メタ)アクリル酸系重合体と、αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体が多価アミンで架橋されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維製品。
重量平均分子量3000〜50000のポリ(メタ)アクリル酸系重合体と、αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の混合皮膜を繊維製品の表面に形成する方法であって、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体がポリアクリル酸重合体、ポリメタアクリル酸重合体、またはその塩から選択され、α−オレフィン−無水マレイン酸系共重合体の中和物を溶解した水溶液と、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の中和物を溶解した水溶液を調製し、これらの水溶液を混合した後、この混合水溶液を繊維製品に付着させて加熱乾燥することによって繊維製品の表面に混合皮膜を形成することを特徴とする繊維製品の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の繊維製品及びその製造方法について詳細に説明する。
【0012】
本発明の繊維製品は、特定の重量平均分子量のポリ(メタ)アクリル酸系重合体と、αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体を特定の重量比率で混合した機能性の樹脂皮膜を表面に有することを特徴とするものである。かかる特徴の本発明の繊維製品は、α−オレフィン−無水マレイン酸系共重合体の中和物と、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の中和物との混合水溶液を作製し、この混合水溶液を繊維製品に付着させて皮膜化させることによって繊維製品の表面に強固な機能性混合皮膜を形成することによって得られる。
【0013】
上記のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸由来の構造を含む重合体を表し、該(メタ)アクリル酸由来の構造とは、(メタ)アクリル酸がラジカル重合することにより形成される構造であって、−CH
2CR(COOM)−の形で表される構造である。該構造中、Rは、水素原子又はメチル基を表し、Mは、水素原子、金属原子、アンモニウム塩、又は有機アミン塩を表す。上記金属原子としては、Li、Na、K等のアルカリ金属原子、Ca、Mg等のアルカリ土類金属原子等が例示される。上記(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸、又はその塩を表し、これらの中でも、アクリル酸、アクリル酸塩が好ましい。これら(メタ)アクリル酸は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0014】
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、(メタ)アクリル酸由来の構造のみを有していても構わないが、(メタ)アクリル酸と共重合可能なその他の単量体由来の構造を含んでいても構わない。その他の単量体としては、具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−メチレングルタル酸、及びそれらの塩等の(メタ)アクリル酸以外のカルボキシル基含有単量体及びその塩;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアルキル基のエステルである、アルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸基を有する単量体及びそれらの塩;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸等のホスホン酸基を有する単量体;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール、ビニルピロリドン等のその他の官能基含有単量体類;ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、モノアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコールにアルキレンオキシドが1〜300モル付加した構造を有する単量体等のポリアルキレングリコール鎖含有単量体等が挙げられる。これらその他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0015】
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体に含まれる全単量体由来の構造(すなわち、(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造とその他の単量体由来の構造との合計)100重量%に対して、(メタ)アクリル酸由来の構造を酸型換算で80重量%以上含むことが好ましい。より好ましくは90重量%以上である。この重量%以上であれば、本発明の繊維製品の吸湿性や消臭性等の機能を有意に高めることができる。ここで、酸型換算とは、塩型の単量体を対応する酸型単量体として質量割合を計算することをいい、例えば(メタ)アクリル酸ナトリウム由来の構造であれば、(メタ)アクリル酸由来の構造として質量割合を計算する。その他の単量体も同様に酸型換算で計算する。
【0016】
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体に含まれる全単量体由来の構造100重量%に対して、その他の単量体由来の構造が0〜20重量%であることが好ましく、0〜10重量%であることがより好ましい。
【0017】
本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量は、3000〜50000であり、好ましくは4000〜30000であり、更に好ましくは5000〜20000である。この重量平均分子量が上記範囲を超えると、粘度が高くなり、取扱いが煩雑になるおそれがある。一方、この重量平均分子量が上記範囲より小さいと、洗濯耐久性が低下しやすくなる。また、重量平均分子量が上記範囲を超えると加工液の粘度が高くなりすぎて均一な加工が難しくなったり、風合が硬くなりすぎる場合がある。但しポリ(メタ)アクリル酸系重合体の重量全体に対して25重量%未満の範囲で重量平均分子量が3000未満または50000超のポリ(メタ)アクリル酸系重合体を含めることは構わない。特に重量平均分子量が50000を超えるポリ(メタ)アクリル酸を少量加えることで皮膜強度を高めることができる場合もあるので、適宜使用してよい。上記のようなポリ(メタ)アクリル酸の具体的な市販商品としては、アクアリック(登録商標)Lシリーズ、Hシリーズ(日本触媒製)、モイスキャッチャーRD−148(互応化学工業製)、アロンHM110(アロン化成製)等が挙げられる。
【0018】
なお、本発明のポリ(メタ)アクリル酸系重合体の重量平均分子量の値は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール換算の重量平均分子量であり、以下のGPC測定条件により測定したものである。使用カラム:東ソー社製TSKguardColumn SWXL+TSKge1 G4000SWXL+G3000SWXL+G2000SWXL。
【0019】
本発明の繊維製品において、繊維に付着した状態におけるポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、全部が酸型カルボキシル基であっても構わないが、吸湿性と各種臭気の消臭性を両立するために、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体が有するカルボキシル基の一部が中和された構造になっていることが好ましい。繊維製品のpHを3以下まで低くするとポリ(メタ)アクリル酸系重合体が有するカルボキシル基を全て酸型にすることができ、同じくpHを12以上にするとカルボキシル基を殆ど塩型にすることができるので、繊維製品のpHをコントロールすることにより酸型/塩型の比率を適宜調整することができる。繊維に付着するポリ(メタ)アクリル酸系重合体が有するカルボキシル基のうち、塩型カルボキシル基/全カルボキシル基の割合は限定されないが、吸湿性や酸性臭の消臭性をより高めたいときは塩型カルボキシル基を増やすことが好ましい。その場合には塩型カルボキシル基はNa塩型、Li塩型等の一価の金属塩型が好ましい。より好ましくはNa塩型である。また、アンモニア臭等の塩基性臭の消臭性をより高めたいときは酸型カルボキシル基を増やすことが好ましい。これらの場合の好ましい繊維製品pHは後述する。各種消臭性のバランスや吸湿性を両立したい場合、(メタ)アクリル酸に由来する構造とナトリウム塩やアミン塩の塩型に由来する構造とのモル比が90:10〜10:90であることが好ましい。より好ましくは、80:20〜20:80である。
【0020】
上記のポリ(メタ)アクリル酸系重合体が有するカルボキシル基は、繊維製品に加工する時点では少なくとも一部が有機アミン塩で中和されていることが好ましい。有機アミン塩にすることで、加工液の粘度上昇を低減することができ、その結果、αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体と均一に混合しやすく、また、均一な加工を行いやすくできる利点がある。但し、繊維製品の吸湿性や消臭性をより高めたい場合には、繊維上に皮膜を形成した後にポリ(メタ)アクリル酸系重合体の少なくとも一部をNa塩等の一価の金属塩型に置換することが好ましい。
【0021】
上記の有機アミン(塩)としては、1級アミン、2級アミン、3級アミン、4級アミン、及びそれらの塩のいずれでもよく、1種が単独で用いられても良いし、2種以上を併用しても構わない。そのような有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等のアルキルアミン;シクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン;ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、ピラジン、ピロール、モルホリン等の環状アミン;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のポリアルキレンアミンが例示される。この中でも、重合体水溶液の経時的な顔料分散性能が顕著に向上すること、取扱いのしやすさ、比較的安価であること等の点から、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の水溶液は、アルカノールアミン又はその塩に由来する構造を含むことが好ましい。
【0022】
本発明のαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体におけるα−オレフィンとしては、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12、好ましくは2〜8を有する不飽和炭化水素が挙げられる。その例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレン(リターンB.B.を含む)、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ペンテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−4−ジメチル−2−ペンテン等が挙げられるが、イソブチレンが本発明の目的を達成するためには好適である。
【0023】
本発明のαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体における無水マレイン酸系(化合物)は、αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体を製造する原料として、無水マレイン酸、マレイミド、及びマレイン酸エステル等を指す。ここで、マレイン酸エステルとしては、マレイン酸モノエステルまたはジエステルが挙げられ、エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル等が挙げられるが、本発明では無水マレイン酸、マレイミドが好適に用いられる。特に好適なものは無水マレイン酸である。
【0024】
αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体におけるα−オレフィンと無水マレイン酸系化合物との組成比は、共重合体とアルカリ金属水酸化物との反応物が水に溶解するようなものであればいかなる程度のものであっても良い。本発明において好ましく用いられるエチレン、イソブチレン、スチレン又はメチルビニルエーテルと無水マレイン酸との共重合体の場合には、無水マレイン酸1モルに対してエチレン、イソブチレン、スチレン又はメチルビニルエーテル1〜3モル程度、多くの場合1モル程度である。このような共重合体は1種あるいは2種以上を組合わせて使用することができる。
【0025】
αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の分子量は、ジメチルホルムアミド溶液中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.2〜10(dl/g)、さらには0.3〜8(dl/g)に相当するものが好ましい。これらの共重合体のなかでも反応溶液の粘度が低く、高濃度での反応が可能である点からイソブチレン−無水マレイン酸系共重合体が好ましい。上記のαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体として好ましく使用できる市販品としては、イソバン(登録商標)シリーズ(クラレ製)等が挙げられる。
【0026】
これらの共重合体をアルカリ性化合物と反応させることにより、共重合体のカルボキシル基がアルカリ中和物となって親水性を持たせることができる。これは、例えば共重合体をアンモニアやアルカリ金属の水酸化物の水溶液に添加して反応させることによって行われる。ここで、アルカリ金属の水酸化物とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどをいい、水溶性、または水に完溶しなくても親水性を付与するものである。共重合体に対する中和度(反応割合)は0.5〜1.0が好ましい。さらには0.6〜0.8が好適である。この共重合体は、加工後にはマレイン酸がカルボキシル基となって存在するので、中和度により酸性臭気とアルカリ臭の消臭効果をコントロールすることができる。
【0027】
本発明では、多価アミン化合物や、エポキシ化合物、カルボジイミド、オキサゾリン基を持つ化合物を用いて、前記ポリ(メタ)アクリル酸系共重合体と、αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体を架橋させることによって、洗濯耐久性をさらに向上させることができる。例えば、多価アミン化合物は、共重合体100重量部に対し0.5〜20重量部使用することが好ましく、好適には5〜15重量部である。多価アミン化合物の使用量が上記範囲未満では皮膜の耐久性を高める効果が低い。多価アミン化合物の使用量が上記範囲を超えると、風合いが硬くなったり、変色が起こりやすくなる。
【0028】
このような多価アミン化合物は、分子中に2個以上のアミノ基を有する水溶性多価アミンであり、その例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、直鎖状又は分岐を有するポリエチレンイミンなどが挙げられる。
【0029】
ポリ(メタ)アクリル酸系重合体は、親水性が高いため、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の高い機能性を維持したままに繊維製品に洗濯耐久性よく固着させることが非常に難しかった。本発明者らは、αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体を使用することによってポリ(メタ)アクリル酸系重合体を洗濯耐久性良く繊維上に固着させることができることを見出した。本発明によれば、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体と、αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体との混合皮膜を繊維上に形成させているので、繊維の風合いが良く、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体の吸湿性や消臭性を維持したまま、高い洗濯耐久性を得ることができる。ポリ(メタ)アクリル酸系重合体とαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の混合皮膜の好ましい形態は、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体とαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体が混ざり合った水溶液を繊維に付与することで両者が完全に混ざり合った混合皮膜として繊維上に形成されたものである。その他の形態としては、予めポリ(メタ)アクリル酸系重合体の皮膜を形成しておいて、その上からαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の皮膜を形成させる二層構造の皮膜が挙げられる。
【0030】
繊維製品に対するポリ(メタ)アクリル酸系重合体とαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の混合皮膜の付着量としては、繊維重量に対して0.5〜50重量%とするのが好ましい。より好ましくは1〜15重量%である。付着量が上記範囲未満であると、吸湿性、消臭性の効果が低くなる可能性があり、上記範囲を超えると、繊維製品に柔軟性がなくなり、風合いが非常に硬くなる可能性がある。
【0031】
混合皮膜中のポリアクリル酸系重合体とαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の重量比率は、10:90〜90:10であり、より好ましくは75:25〜25:75である。αオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の比率が上記範囲未満であると高い洗濯耐久性を得ることが難しくなり、上記範囲を超えるとポリ(メタ)アクリル酸系共重合体の高い吸湿効果が低下する可能性がある。
【0032】
繊維製品にポリ(メタ)アクリル酸系重合体とαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の混合皮膜を形成させる方法としては、繊維製品が布状の場合、DIP−NIP法が好適に用いられる。これは繊維製品を加工液に含浸してからマングル等を用いて絞ることで加工液の付着量をコントロールし、その後、乾燥・熱処理を行う方法である。これ以外にも印捺、グラビヤ加工、スプレー法等を用いることができる。繊維製品が衣料製品等の場合にはスプレー法、浸漬−遠心脱水等の方法が好ましく用いられる。繊維製品が糸条の場合は、糊付機等を用いて付与したり、カセやチーズ状で浸漬処理してもよい。中綿等ではスプレー法が好適であり、繊維製品の形態によって最適な方法を選択すればよい。
【0033】
DIP−NIP法により混合皮膜を形成させる場合の具体的な方法の一例を以下に説明する。まず、α−オレフィン−無水マレイン酸系共重合体を中和してから水に溶解して水溶液を調製したものと、同じくポリ(メタ)アクリル酸系重合体を中和してから水に溶解した水溶液を調整したものを混合してそれぞれ特定の濃度の混合水溶液を作製する。このとき、水に溶かすのと中和の順番は逆にしても構わないが、個々に適切な中和剤を使って中和してから混合することがより好ましい。更に繊維製品をこの混合水溶液でパディングして混合液が特定付着量になるように絞り率を調整して絞ることで繊維製品に均一に付着させる。その後、熱処理等を行って乾燥することにより繊維製品(繊維)の表面に混合皮膜を形成することができる。さらに、繊維製品を所望の生地pHに調整することにより希望の機能性を有する繊維製品が得られる。
【0034】
繊維製品に上記混合水溶液を付着させた後、強固な混合皮膜を形成させるために、乾熱熱処理、蒸熱処理、電磁波処理等を行ってもよい。特に架橋剤や三次元架橋させ得る官能基がある場合には好適に処理できる。例えば乾熱処理する場合には120℃〜220℃で0.5〜2分程度処理すると効果的である。蒸熱処理の場合は飽和水蒸気で1〜30分処理するとよい。勿論これらの処理を併用してもよい。
【0035】
本発明において、加工上がりの繊維製品の生地pHは、機能性の性能を十分に発揮させるために重要である。繊維製品の生地pHは4〜11が好ましく、より好ましくは5〜10である。繊維製品の生地pHが上記範囲未満になると吸湿性が殆ど向上しなくなり、上記範囲を超えると洗濯耐久性が低下したり黄変が起こりやすくなる。本発明ではpH4〜11の間で所望の機能性をコントロールすることが可能である。吸湿性を重視する場合はpH5.5〜11とすると繊維製品の吸湿性を高めることができ、酢酸やイソ吉草酸の消臭性能が高まる。pHを4〜8とすることでアンモニア等の塩基性の臭いの消臭性を高めることができる。吸湿性と各種臭いの消臭性にバランス良く性能を引き出すにはpH5〜10が好ましい。繊維製品のpHを調整する方法としては、ポリ(メタ)アクリル酸系重合体とαオレフィン−無水マレイン酸系共重合体の混合液のpHを予め調整してから繊維製品に付与する方法でもよいし、繊維製品に混合皮膜を形成した後に、所望のpH液で洗浄したり、或いは工程最後にpH調整液に含浸したり、スプレーなどで付与することで繊維製品のpHを調整することができる。
【0036】
ポリ(メタ)アクリル酸の付与量は、吸湿性、アンモニア等の消臭性の性能に影響する。これらの機能を十分に発揮させるためには繊維製品の重量に対する付与量を1〜20重量%とすることが好適であり、より好ましくは2〜15重量%である。付与量が上記範囲未満では吸湿性を達成することが困難となり、上記範囲を超えると風合が硬くなり、繊維製品としては好適ではなくなる。
【0037】
本発明の繊維製品の形態は、特に制約はなく、織物、編物、不織布、糸、ワタ等のいずれの形態であってもよいし、衣料品やインテリア、寝装品等の最終製品の形態でも構わない。繊維製品を構成する繊維素材としても特に制限されないが、例えば、綿、絹、ウール等の天然繊維;ポリアミド系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維等の合成繊維;アセテート等の半合成繊維;レーヨン等の再生繊維;綿/ポリエステル、ナイロン/スパンデックス等の複合繊維;混紡繊維を挙げることができる。
【0038】
本発明の繊維製品には、上述の混合皮膜による機能性付与以外に他の機能加工を施してもよい。例えば防汚加工、UVカット加工、スキンケア加工、抗菌防臭、制菌、抗ウイルス、制電加工などの機能加工を併用することができる。本発明において好ましく併用される機能加工としては、抗菌防臭や制菌加工がある。これらの抗菌処理には、銀、銅あるいは亜鉛などの無機系抗菌剤や、第四級アンモニウム塩などの有機系抗菌剤が好ましく用いられる。これらの加工は染色加工中で行うのが好ましい。ポリアクリル酸の加工と同時に行ってもよいし、前後の工程で別々に行ってもよい。加工方法としては、染色機等の液中で吸尽加工する方法、スプレー処理して付与する方法、あるいはパディング処理して付与する方法等が用いられる。好ましくは、本発明の混合皮膜を形成した後に加工する二段法で加工するのが好ましい。
【0039】
繊維製品の吸湿性に関して、20℃、65%RHの標準状態における生地、例えばポリエステル繊維の水分率は0.3〜0.4%であるが、本発明のような皮膜を表面に形成すると水分率を0.7%以上、5%以下程度に向上させることができる。すなわち、本発明の混合皮膜が寄与する水分率増加は0.4〜4.6%程度である。但し衣料品等の場合、風合いとの兼ね合いから0.3〜2.0%程度の生地水分率とするのが好ましい。なお、20℃、95%RHの高湿度の環境では従来のポリエステル繊維の水分率は0.6%程度であるが、本発明の繊維製品は1.0〜10%程度で水分率を保持することができ、高湿度下でも蒸れにくい繊維製品にすることができる。
【0040】
従来の技術で付与された吸湿性の繊維製品であればJIS−L−1096F2法の高温洗濯50回後では吸湿効果は殆どなくなってしまうが、本発明では、かかる場合でも吸湿効果を効果的に持続することができる。高温洗濯50回後でも混合皮膜による生地水分率は0.6%以上、増加水分率は0.2〜2.0%に維持することができる。
【0041】
本発明の繊維製品は、酢酸、イソ吉草酸等の酸性臭にも、アンモニア等の塩基臭にも高い消臭性があり、最適なpHに調整した繊維製品であれば、酢酸は95%以上、イソ吉草酸は85%以上、アンモニアは90%以上消臭することができる。また、JIS−L−1096F2法の高温洗濯50回後でもそれぞれ80%以上の高い消臭性を維持することができる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例により本発明の効果を示すが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。本実施例における特性値の評価は以下の方法で行った。
【0043】
(繊維製品の吸湿率)
(1)絶乾重量
試料を120℃×3時間乾燥して絶乾した後、シリカゲル入りデシケータに入れ、20℃、65%RHの環境試験室で調温調湿後、重量測定を行った。
(2)吸湿重量
秤量ビンの蓋を開け恒温恒湿器で20℃、65%RH(又は20℃、90%RH)で12時間調温調湿後、蓋をして密閉してから恒温恒湿器から取り出し、秤量瓶ごと重量測定を行い、後で秤量瓶単体の重量を引いて試料のみの吸湿重量を求めた。
吸湿率(%)={(吸湿重量−絶乾重量)/絶乾重量}×100
【0044】
(繊維製品の消臭性)
繊維製品の各臭気成分の減少率は、以下の方法で測定した。なお、繊維製品が生地の場合は10cm×10cmの面積の大きさに採取し(生地でない形態の場合は試料を1.0g採取)、50℃×2時間、絶乾処理した後、65%×20℃×24時間以上、調湿した。
【0045】
(1)アンモニア臭気減少率、酢酸臭気減少率
試料をガス3L(濃度:アンモニア100ppm、酢酸30ppm)中、2時間放置した後、検知管で残留ガス濃度を測定した。
【0046】
(2)イソ吉草酸臭気減少率
試料をガス3L(濃度:イソ吉草酸38ppm)中、2時間放置した後、ガスクロマトグラフィーで残留ガス濃度を測定した。
【0047】
臭気減少率は、上記の残留ガス濃度測定値から以下の式を用いて求めた。
臭気減少率(%)=((空試験の平均値−測定値の平均値)/空試験の平均値)×100
一般社団法人繊維評価技術協議会の消臭性繊維製品の認証基準(平成27年4月1日改定)に準じて、以下の全てを同時に満足した場合、消臭性判定を「良好」と判断した。
・アンモニア臭気減少率(%):70%以上
・酢酸臭気減少率(%) :70%以上
・イソ吉草酸臭気減少率(%):85%以上
【0048】
(制菌性)
JIS−L1902繊維製品の抗菌性試験方法及び抗菌効果に準拠して測定した。試料0.4gをバイアル瓶に入れ、試験菌液0.2mlを接種し、37±2℃で18±1時間培養した。非イオン界面活性剤を0.2重量%含む生理食塩水20mlを加えて試料から菌を洗い出し、洗い出し液中の菌数を混釈平板培養法(コロニー法)により測定し、下記の式に従い殺菌活性値を算出した。試験菌種は黄色ぶどう球菌Staph−ylococcus aureus ATCC 6538P)とし、殺菌活性値≧0の場合に制菌性が良好と判断した。
殺菌活性値=log(標準布・接種直後生菌数)−log(加工試料・培養後生菌数)
【0049】
(洗濯方法)
JIS−L1096F2法に基づいて洗濯を実施した。但し、洗い時の初期洗液温度を80℃にして行った。洗濯は連続して50回行い、最後にライン乾燥した。乾燥後の試料は20℃及び65%RHの条件下に24時間放置してから各評価に供した。
【0050】
(生地pH)
JIS−L1096A法に準拠して測定した。
【0051】
(摩擦堅牢度)
JIS−L0849A法(II型)に準拠して測定した。乾燥4級、及び湿潤3級以上のものを良好と判断した。
【0052】
(風合)
繊維製品の風合は、3人のモニターで比較評価した。機能性樹脂皮膜の加工する直前のセット上がり繊維製品の風合の柔らかさを“◎”とした。また、実施例、比較例の中で最も風合いが硬くなった比較例2の処方で加工した繊維製品(経編,丸編,織物)を“×”として、“◎、○、△、×”の4段階の比較評価を行った。尚、織編の違う素材同士では比較せず、比較例2の処方で加工した織物、丸編、経編それぞれに“×”サンプルを作り、比較例2、未加工品と各実施例の3者で比較して評価した。
【0053】
本実施例で用いた基布として経編、丸編、織物の製造は以下の方法で行った。
【0054】
(1)丸編:編物に用いる糸として、次の加工糸A、B、C、紡績糸D、制電糸Eを用意した。加工糸Aとして、TiO
2を1.5重量%含有する84dtex、48フィラメントの丸断面のポリエステル仮撚加工糸を用いた。加工糸Bとして、TiO
2を0.5重量%含有する110dtex、36フィラメントの丸断面のポリエステル仮撚加工糸を用いた。加工糸Cとして、TiO
2を1.5重量%含有する167dtex48フィラメントの丸断面のポリエステル仮撚加工糸を用いた。紡績糸Dとして、綿100%のリング紡績糸 英式番手50/1を用いた。制電糸Eとして、KBセーレン製ベルトロン(登録商標)22dtex3フィラメント(B68タイプ)を用いた。
【0055】
福原精機製ダブル丸編機(V−4AL)を用いて、口径33inch、28ゲージ/inch、針本数2916本で
図1に示す組織でコードリバースを編み上げた。できあがった編地の混率は、ポリエステル95%、綿5%であった。この生機を常法にて精練・過酸化漂白を行ったのち、開反してテンターで180℃×1分プレセットを行った。
【0056】
(2)経編:経編に用いる糸として、加工糸A、加工糸F、合撚糸Gを用意した。加工糸Fとして、TiO
2を0.5重量%含有する167dtex48フィラメントの丸断面のポリエステル仮撚加工糸を用いた。合撚糸Gとして、制電糸(22dtex3フィラメント ケービーセーレン製ベルトロン(登録商標))と加工糸AをZ撚400T/mで合撚した糸を用いた。
【0057】
カールマイヤー製トリコット編機を用いて、第一筬(フロント)に加工糸Aを、第二、第三筬に加工糸Fと合撚糸Gを29本毎に1本の割合で配列した。そして、第四筬に加工糸Aを使用して、フロント10/12、ミドル11/00、バック23/10として筬番手28ゲージ/inchとしてトリコットハーフを作製した。この生機をプレウェットした後、精練を行い、テンターにて180℃×1分プレセットを行った。
【0058】
(3)織物:織物に用いる糸として、次の加工糸A、合撚糸H、合撚糸Iを用意した。加工糸Aは、甘撚(S撚400T/m)とした。合撚糸Hは、制電糸Eと加工糸AをS撚400T/mで合撚した。合撚糸Iは、TiO
2を1.5重量%含有するY字型断面(異形度2.5)の84dtex、48フィラメントのポリエステル仮撚加工と加工糸AをZ撚で400T/mにて合撚して167dtexとした。
【0059】
経糸として、加工糸A71本毎に合撚糸Hを1本を配列して整経・糊付して経糸総数5768本の織機ビームを作製した。緯糸に合撚糸Iを用いてウォータージェットルームにて、筬番手 鯨寸62番手、引込2本として、織上密度 経90本/inch、緯糸68本/inchの平織(平織)を織り上げた。できあがった生機は、連続精練機にて糊抜き・精練を実施したのち、テンターにて180℃×1分プレセットを行った。
【0060】
実施例1
日本触媒製のアクアリック(登録商標)HL415(ポリアクリル酸水溶液 固形分35重量%、重量平均分子量10000)をモノエタノールアミン(GR)でpH7に中和して用いた。
【0061】
前記経編生地に、前記の中和したポリアクリル酸と、クラレ製イソバン(登録商標)104(イソブチレン−無水マレイン酸共重合ポリマーをアンモニア変性した(アンモニアで中和された)タイプ(重量平均分子量55000〜65000))を混合して下記の濃度になるように水で希釈して処方液1を作製した。
処方液1
・ポリアクリル酸固形分濃度として所定濃度5%solution(soln.)
(水100ml中に5g含む)
・イソバン104 5%soln.
処方液1をパッド−ドライ−キュア法にて加工した。パディング時の処方液の生地付着率(液付着量/生地重量×100)は100%であった。このときのポリアクリル酸、イソバンの理論付着量は5%soln.×100/100=5%owf(on the weight of fiber)である。また、乾燥は120℃、キュアは150℃×1分で行った。キュア後は水洗して蓚酸にてpHを調整した。pH調整後の生地pHは5.0であった。実施例1の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0062】
実施例2
実施例1の処方液1の各薬剤濃度を二倍に変更(ポリアクリル酸を10%soln.イソバン104を10%soln.に変更)した以外は、実施例1と同様に加工した。実施例2の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0063】
実施例3
生地は前記織物を用いて、ポリアクリル酸(アクアリックHL415、重量平均分子量10000)4.2%soln.及びイソバン104 4.2%soln.の処方液2(加工剤濃度70重量%)で加工した。このとき加工液の絞り率は60%(ウェットピックアップ率W.P.U=60%)であった。この生地への薬剤固形分の理論付着量はポリアクリル酸 約2.5%owfであり、イソバン104も2.5%owfであった。実施例3の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0064】
実施例4
実施例1の処方液1のポリアクリル酸濃度を二倍に変更(ポリアクリル酸を10%soln.に変更)した以外は、実施例1と同様に加工した。実施例4の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0065】
実施例5
実施例1の処方液1のイソバン104の濃度を二倍に変更(イソバン104を10%soln.に変更)した以外は、実施例1と同様に加工した。実施例5の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0066】
実施例6
実施例3において処方液2のポリアクリル酸(アクアリックHL415、重量平均分子量10000)に加えて重量平均分子量220000の日本触媒製アクアリックHL321を0.6%soln.用いた(総ポリアクリル酸濃度4.8%soln.)。この際、処方液の粘度が上がりすぎるのを防ぐため、ポリアクリル酸は中和せずにそのまま使用して、キュア後の水洗にて中和を兼ねてpHを調整した。実施例6の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0067】
実施例7
アクアリックHL415の代わりに、アクアリックDL365(ポリアクリル酸ナトリウム、重量平均分子量5500)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。実施例7の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0068】
実施例8
生地は前記丸編を用いて、架橋剤として、エチレンジアミン0.5%soln.を処方液1に追加して加工した以外は、実施例1と同様に実施した。実施例8の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0069】
実施例9
アクアリックHL415の代わりにナカライテスク社製ポリアクリル酸ナトリウム(ポリマー)(重量平均分子量30000〜40000)を水に溶かして用い、イソバン104の代わりにイソバン110(イソブチレン−無水マレイン酸共重合ポリマーをアンモニア変性した(アンモニアで中和された)タイプ(重量平均分子量165000))を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。実施例9の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0070】
実施例10
キュア後の水洗工程にて苛性ソーダを用いて生地pHを10.2に調整した以外は、実施例1と同様に実施した。実施例10の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0071】
実施例11
実施例1の処方液1の加工後に2段目処理として、更に日華化学製ニッカノン(登録商標)NS−30(第四級アンモニウム塩系抗菌剤 不揮発分40重量%)2%soln.でW.P.U=60%にて抗菌加工を実施した。実施例11の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0072】
比較例1
前記丸編を用いて、日本エクスラン工業製の高吸湿性アクリレート微粒子分散液タフチック(登録商標)HU707E(固形分15〜20重量%)、及び日本触媒製のエポクロス(登録商標)WS700(オキサゾリン系バインダー固形分25重量%)をHU707E 5%soln.及びエポクロスWS−700 3%soln.になるようにしてW.P.U=100%で加工した。比較例1の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0073】
比較例2
前記丸編を用いて、イソバン104の代わりに、大和化学工業製のバインダーU−30NP(ポリウレタン系バインダー)を同量5%soln.使用した以外は、実施例1と同様に実施した。比較例2の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0074】
比較例3
前記丸編の染色180℃×1分中間セット上がりをそのまま評価した。比較例3の加工の詳細と評価結果を表1に示す。
【0075】
【表1】