(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391585
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】X線ビーム透過プロファイル成形器の並進移動
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
A61B6/03 320M
A61B6/03 330A
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-544571(P2015-544571)
(86)(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公表番号】特表2015-536731(P2015-536731A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】IB2013060219
(87)【国際公開番号】WO2014087283
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年11月14日
(31)【優先権主張番号】61/732,516
(32)【優先日】2012年12月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】オフェル オーレン
(72)【発明者】
【氏名】ヅァルチン オーレン
【審査官】
原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−077705(JP,U)
【文献】
特開2009−273745(JP,A)
【文献】
特表昭63−501735(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/001386(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステムであって、
スキャン中、検査領域の方向にすすむ放射線を放出する放射線源と、
前記検査領域をはさんで前記放射線源の反対側に位置するとともに、前記スキャン中、前記検査領域を横切る放射線を検出し、検出した放射線を表す信号を生成する検出器アレイと、
前記放射線源と前記検査領域との間に位置するとともに、前記検査領域を横切る放射線ビームのフラックス強度プロファイルを規定するビーム成形器であって、その上に入射するX線を減衰させる複数のX線減衰素子を有し、前記複数のX線減衰素子は、X線を減衰されないまま通過させる複数の減衰材料フリーな領域によってインタリーブされており、X線の透過率が、前記ビーム成形器の端部領域と比べて、前記ビーム成形器の中央領域に近づくほど大きくなる、ビーム成形器と、
スキャンの少なくとも1の取得間隔の間、前記ビーム成形器を並進させるビーム成形器移動手段であって、1の取得間隔は1の投影データを取得する期間である、ビーム成形器移動手段と、
を有し、前記ビーム成形器移動手段は、前記少なくとも1の取得間隔の間、X線減衰素子の幅にほぼ等しい距離前記ビーム成形器を並進させる、イメージングシステム。
【請求項2】
前記ビーム成形器移動手段は、前記ビーム成形器の少なくとも1の端部に固定されて該端部に位置する少なくとも1の移動手段を有し、前記移動手段が並進移動を制御する、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項3】
前記ビーム成形器移動手段は、前記ビーム成形器の少なくとも1の端部に位置し、前記ビーム成形器の少なくとも1の側面に固定される少なくとも1の移動手段を有し、前記移動手段が並進移動を制御する、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項4】
前記ビーム成形器移動手段は、前記ビーム成形器の少なくとも1の側面に位置する少なくとも1の移動手段を有し、前記移動手段が並進移動を制御する、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項5】
前記ビーム成形器移動手段は、一方向に前記ビーム成形器を並進させる、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項6】
前記ビーム成形器移動手段は、2以上の方向に前記ビーム成形器を並進させる、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項7】
前記ビーム成形器移動手段は、同時に2以上の方向に前記ビーム成形器を並進させる、請求項6に記載のイメージングシステム。
【請求項8】
前記ビーム成形器移動手段は、少なくとも1の取得間隔の間、予め決められた頻度で前記ビーム成形器を往復並進させる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項9】
前記ビーム成形器移動手段は、前記ビーム成形器を制御可能に振動させることによって前記ビーム成形器を並進させる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項10】
前記ビーム成形器を並進させることは、前記少なくとも1の取得間隔の間、該取得間隔にわたって減衰を拡散させる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項11】
前記ビーム成形器を並進させることは、前記少なくとも1の取得間隔の間、前記検出器におけるフラックスプロファイルの強度揺らぎを低減する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項12】
前記ビーム成形器を並進させることは、前記少なくとも1の取得間隔の間、シェーディングアーチファクトを低減する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項13】
イメージングシステムの作動方法であって、
放射線源が、スキャン中、検査領域の方向にX線を放出するステップと、
ビーム成形器が、放射線ビームの強度プロファイルを規定するように、前記放出されたビームをフィルタリングするステップであって、前記ビーム成形器が、その上に入射するX線を減衰させる複数のX線減衰素子を有し、前記複数のX線減衰素子は、X線を減衰されないまま通過させる複数の減衰材料フリーな領域によってインタリーブされている、ステップと、
ビーム成形器移動手段が、前記スキャンの少なくとも1の取得間隔の間、前記ビーム成形器を並進させるステップであって、1の取得間隔は1の投影データを取得する期間である、ステップと、
検出手段が、前記スキャンの間、前記検査領域を横切る放射線を検出し、検出された放射線を表す信号を生成するステップと、
を実行することを含み、前記ビーム成形器移動手段は、前記少なくとも1の取得間隔の間、X線減衰素子の幅にほぼ等しい距離前記ビーム成形器を並進させる、作動方法。
【請求項14】
X線の透過率は、前記ビーム成形器の端部領域と比べて、前記ビーム成形器の中央領域に近いほど大きくなる、請求項13に記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、減衰及び非減衰領域を有し、少なくとも1の取得間隔の間に透過フラックスプロファイルを成形するように構成されるX線ビーム成形器を並進させることに関し、特にコンピュータトモグラフィ(CT)に対する応用に関して記述される。しかしながら、本発明は、例えばX線のような他のイメージングモダリティにも受け入れられる。
【背景技術】
【0002】
CTスキャナは、検査領域の方向に焦点スポットからの放射線を放出するX線管を有する。線源コリメータは、焦点スポットと検査領域との間で配置され、予め決められた幾何学的形状(例えば、扇形、円錐形、その他)を有するビームを生成するように、放出された放射線をコリメートする。コリメートされたビームは、検査領域及びその中の対象又は被検体の一部を横切る(これは、対象又は被検体の放射線濃度の関数としてビームを減衰させる)、検査領域をはさんでX線管の反対側に配置された検出器アレイを照射する。検出器は、検出された放射線を表す投影データを生成する。投影データは、それを表すボリュメトリック画像データが生成するように再構成される。ボリュメトリック画像データは、それを表す1又は複数の画像を生成するように処理されることができる。
【0003】
プレ患者放射フィルタ(多くの場合その形状によりボウタイフィルタと呼ばれる)が、空間的に放出された放射線を減衰させて透過プロファイルを成形するために、焦点スポットとコリメータとの間に位置付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、焦点スポット104、線源コリメータ106、X線ビーム108、検出器アレイ110、検査領域112、及びその中の被検体又は対象114と共にボウタイフィルタ102の例を概略的に示している。その形状により、ボウタイフィルタ102は、空気のみを横切るビーム108の領域を重くフィルタリングし、被検体114を横切るビーム108の領域を軽くフィルタリングし、それらの領域の間の遷移部分のフィルタリングの程度を変化させる。
図2は、ビーム角の関数として、結果として得られる透過プロファイル200を例示的に示す。
【0005】
y軸202が透過を表し、x軸204がビーム角を表す。プロファイル200は、フィルタ102の厚さに関して変化することに注意されたい。
【0006】
残念なことに、ボウタイフィルタ102は、より高いエネルギーの線よりもより低いエネルギーの光線を優先的にフィルタリングし、それによって、フィルタ102に入射するビームに対して、フィルタ102を出射するビームのX線スペクトルを変える。これは、ビームハードニングと呼ばれる。従って、被検体又は対象を走査するために使用されるビームのX線スペクトルは、最適な及び/又は所望のX線スペクトルでないことがあり、これは画像品質を劣化させうる。更に、ボウタイフィルタ102フィルタは、不所望の散乱をもたらすことがあり、それは画像品質を劣化させ、患者線量を増大させうる。少なくとも上述したことに関して、ビーム成形装置の他の構成の未だ解決されていないニーズがある。
【0007】
ここに記述される見地は、上述した問題及びその他に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの見地において、イメージングシステムは、スキャン中、検査領域の方向に進む放射線を放出する放射線源と、検査領域をはさんで放射線源の反対側に位置し、スキャン中、検査領域を横切る放射線を検出し、検出した放射線を表す信号を生成する検出器アレイと、を有する。放射線源と検査領域との間に位置するビーム成形器が、検査領域を横切る放射線ビームのフラックス強度プロファイルを規定する。ビーム成形器は、複数のX線減衰素子を有し、複数のX線減衰素子は、その上に入射するX線を減衰させ、X線を減衰させないまま通過させる複数の材料フリーな領域によってインタリーブされる。X線の透過率は、ビーム成形器の端部領域と比べて、ビーム成形器の中央領域に近いほど大きくなる。ビーム成形器移動手段は、スキャンの少なくとも1の取得間隔の間、ビーム成形器を並進させる。
【0009】
別の見地において、方法は、スキャン中、検査領域の方向にX線を放出することを含む。方法は更に、放射線ビームの強度プロファイルを規定するために、ビーム成形器によって、放出されたビームをフィルタリングすることを含む。ビーム成形器は、その上に入射するX線を減衰させる複数のX線減衰素子を有し、複数のX線減衰素子は、その上に入射するX線を減衰させ、X線を減衰させないまま通過させる複数の材料フリーな領域によってインタリーブされる。X線の透過率は、ビーム成形器の端部領域と比べて、ビーム成形器の中央領域に近いほど大きくなる。方法は更に、スキャンの少なくとも1の取得間隔の間、ビーム成形器を並進させることを含む。方法は、更に、スキャン中に検査領域を横切る放射線を検出し、検出した放射線を表す信号を生成することを含む。
【0010】
別の見地において、方法は、少なくとも1の取得間隔の間、ビーム成形器を並進させることを含み、これは、少なくとも1の取得間隔にわたってビーム成形器の減衰を拡散させ、ビーム成形器を並進させない場合と比べて、検出器アレイにわたって一様なフラックス強度プロファイルを生成する。
【0011】
本発明は、さまざまな構成要素及び構成要素の取り合わせ並びにさまざまなステップ及びステップの取り合わせの形をとることができる。図面は、好適な実施形態を例示する目的でのみ示されており、本発明を制限するものとして解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】CTスキャナ用の放射線ビームの透過プロファイルを成形するための従来のアプローチを概略的に示す図。
【
図2】
図1の従来技術のアプローチを使用して成形される透過プロファイルを示す図。
【
図3】ビーム成形器及びビーム成形器移動手段を有する例示のイメージングシステムを概略的に示す図。
【
図6】取得間隔の間、第1のロケーションにある並進ビーム成形器を概略的に示す図。
【
図7】取得間隔の間、次のロケーションにある
図6の並進ビーム成形器を概略的に示す図。
【
図8】取得間隔の間、最後のロケーションにある
図6の並進ビーム成形器を概略的に示す図。
【
図9】ビーム成形器が並進されない場合の例示のフラックスプロファイルを示す図。
【
図10】ビーム成形器が並進される場合の例示のフラックスプロファイルを示す図。
【
図11】ビーム成形器移動手段の例示の構成を概略的に示す図。
【
図12】ビーム成形器移動手段の別の例示の構成を概略的に示す図。
【
図13】ビーム成形器移動手段の別の例示の構成を概略的に示す図。
【
図14】ビーム成形器移動手段の別の例示の構成を概略的に示す図。
【
図15】ビーム成形器移動手段の別の例示の構成を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図3は、コンピュータトモグラフィ(CT)スキャナのようなイメージングシステム300を示す。イメージングシステム300は、静止ガントリ302と、静止ガントリ302によって回転可能に支持される回転ガントリ304と、を有する。回転ガントリ304は、長手軸又はz軸を中心に検査領域306のまわりを回転する。
【0014】
X線管のような放射線源308が、回転ガントリ304によって支持され、検査領域306のまわりを回転ガントリ304と共に回転する。放射線源308は、線源308のアノード(図示せず)の焦点スポット312から、検査領域306の方向を含む本質的に全方向に放射線ビーム310を放出する。
【0015】
線源コリメータ314が、扇形、円錐形、くさび形又は検査領域306を横切る他の形状の310を含む関心のある予め決められた幾何学的形状に、ビーム310をコリメートする。
【0016】
放射線感受性検出器アレイ316は、検査領域306をはさんで放射線源308の反対側に位置する。検出器アレイ316は、検査領域306を横切る放射線を検出し及び検出した放射線を表す投影データを生成する検出器ピクセルの1次元(1D)又は2次元(2D)アレイを含む。
【0017】
ビーム成形器318は、焦点スポット312と検査領域306との間に、例えば線源308のビームポートに配置され、かかるビームポートは、焦点スポット312とコリメータ314との間にあって、従来のCTスキャナX線管の焦点スポット312のすぐ近くに位置し、及び/又は他の場所にある。図示されるビーム成形器318は、ビーム310の透過プロファイルを成形するように構成される。これは、透過がビーム310の中心光線322に近いほど大きくなり、光線322から離れて外側の光線324に向かう方向に減少するように、ビームを成形することを含む。
【0018】
透過は、例えばx方向に沿って1次元に、又は例えばx−z平面のような複数次元において、(線形に又は非線形に、決定論的に又は局所的にランダムに、しかし全体として規定された態様で)変化する。1つの例において、ビーム成形器318は、材料フリーな領域によってインタリーブされる複数の減衰素子326を有する。減衰素子326は、その上に入射する光線を完全に又はほぼ減衰させ、材料フリーな領域を通って進む光線は、減衰されずに進む。ビーム成形器318は、
図1に示されるボウタイフィルタのような従来のボウタイフィルタの位置で、又はそれと組み合わされて使用されることができる。
【0019】
図4及び
図5は、ビーム成形器318の非限定的な例を示す。他の構成もここで企図されることが理解されるべきである。
図4及び
図5は共に、焦点スポット312から検出器アレイ316の方向にビーム成形器318を見た上面図を示す。
【0020】
図4において、ビーム成形器318は、その上に入射するX線を完全に又はほぼ減衰させる高Z材料を含むロッド形状の減衰素子326の2次元アレイを有する。ロッド形状の減衰素子326は、外側の光線が通過するビーム成形器318の外側の領域404が、中心光線が通過するビーム成形器318の中央領域406よりも、ロッド326のより大きな密度を有するように構成される。
【0021】
その結果、ビーム成形器318は、透過が、ビームの中心光線322(
図3)に近いほど大きく、中心光線から離れる方向に外側の光線324(
図3)に向かって減少するように、放出される放射線の透過プロファイルを成形する。このビーム成形器は、「X-Ray Beam Transmission Profile Shaper」というタイトルの国際出願番号PCT/IB2012/052814号(2012年6月5日出願、出願人Koninklijke Philips Electronics N.V.)の明細書に詳しく記述されており、その内容は全体が参照によってここに盛り込まれるものとする。
【0022】
図5において、ビーム成形器318は、その上に入射するX線を完全に又はほぼ減衰させる高Z材料を有する細長いストリップ形状の減衰素子326の1次元アレイを有する。細長いストリップの形状の減衰素子326は、z軸に沿って互いに平行に配置され、より外側の光線が通過する外側の領域504ではより狭い間隙を有し、間隙は、中心光線が通過する中央領域506に近づくほど広くなる。
【0023】
その結果、ビーム成形器318は、透過がビームの中心光線に近いほど大きくなり、中心光線から離れて外側の光線に向かう方向に低減していくように、放出される放射線の透過プロファイルを成形する。ビーム成形器は、「Radiation Beam intensity Profile Shaper」というタイトルの米国特許出願第60/503,141号(2012年6月20日出願、Koninklijke Philips Electronics N.V.に譲渡された)により詳しく記述されており、その内容は全体が参照によってここに盛り込まれるものとする。
【0024】
非限定的な例として
図4のビーム成形器及び
図5のビーム成形器の組み合わせを含むビーム成形器の他の構成が更に企図される。これは、矩形以外の形状を有するビーム成形器を有する。ビーム成形器318の別の例は、Mattsonによる米国特許4,672,648号明細書に記述されている。
【0025】
図3に戻って、ビーム成形器移動手段328は、ビーム成形器318を制御可能に震動させるように構成される。1つの非限定的な例において、これは、減衰素子326が取得間隔の間並進するように取得間隔の間少なくともx方向にビーム成形器318を並進させることを含む。ビーム成形器318は、付加的に(同時に又は逐次的に)又は代替として、z方向に並進することもできる。変形例において、ビーム成形器移動手段328は、ビーム成形器318を震動させるようにビーム成形器318を制御可能に振動させる。
【0026】
図5のビーム成形器に関する上述の例は、
図6、
図7及び
図8に示されている。
図6は、取得間隔の開始時の、第1のロケーションにおける減衰素子326の組を示す。
図7において、減衰素子326の組は、約1/4周期並進しており、すなわち減衰素子326の組の1つの減衰素子の1/2の幅に等しい距離並進した。
図8において、減衰素子326の組は、取得間隔の終了時にあり、約1/2周期並進した。
【0027】
図6、
図7及び
図8において、減衰素子326は、等しい幅及びそれらの間の等しい間隔を有する。他の実施形態において、減衰素子326の少なくとも2つが、それぞれ異なる幅を有してもよく、及び/又は減衰素子326の少なくとも2つのペアが、それらの間の異なる間隔を有してもよい。更に、取得間隔の間、少なくとも1の減衰素子326が、1/2周期より短い時間並進することができ、及び/又は少なくとも1の減衰素子326が、1/2周期より長い時間並進することができる。
【0028】
例えば、減衰素子326は、取得間隔当たり1周期、又は取得間隔当たり2、3、4周期のように複数周期の頻度で並進されることができる。このような並進移動は、取得中、一方向(直前の及び/又は次の取得間隔と同じ方向又は反対の方向でありうる)においてのみビーム成形器318を移動させることによって、又は少なくとも1の取得間隔の間ビーム成形器318を往復運動させることによって、生成されることができる。
【0029】
このような並進移動がない場合、例えば
図5のビーム成形器に関連して、透過なし及びフル透過の交互する領域がありえ、これは、検出器アレイ316上にストライプの照射強度をもたらしうる。これは、
図9のフラックスプロファイルに示されており、黒色領域902は、減衰素子326に対応し、白色領域904は、減衰素子の間の間隙に対応する。
【0030】
しかしながら、ここに記述されるようにビーム成形器318を並進させることによって、減衰素子326は、取得間隔にわたって拡散され、例えば減衰を平滑化し又はぼかすことによって、ストライプを低減する。これは、
図10のフラックスプロファイルに示されており、グレースケールの揺らぎによって示されるように、フラックスプロファイル
図9と比べて、検出器アレイ316にわたってより滑らかなフラックス強度を有する。並進移動は更に、ビーム散乱を低減し、シェーディングアーチファクトを低減することができ、更に、システムの固有振動に対処することを容易にすることができる。
【0031】
図3に戻って、寝台のような支持体330が、検査領域306において被検体を支持し、スキャニングの前、間、及び/又は後に、x、y及び/又はz軸に関して被検体を位置付けるために使用されることができる。
【0032】
再構成器332は、投影データを再構成し、検査領域306及びその中の対象タ又は被検体を表す3次元(3D)ボリュメトリック画像データを生成する。結果的に得られるボリュメトリック画像データは、1又は複数の画像を生成するために、画像プロセッサ等によって処理されることができる。
【0033】
汎用コンピューティングシステムは、オペレーターコンソール334として機能し、ディスプレイのような出力装置、キーボード、マウスのような入力装置、及び/又はその他を有する。コンソール334上に常駐するソフトウェアは、例えば操作者がスキャニングを開始することを可能にするように、操作者がシステム300の動作を制御することを可能にする。
【0034】
図11、
図12、
図13、
図14及び
図15は、ビーム成形器318に関連するビーム成形器移動手段328の非限定的な例を示す。以下の例は非限定的であり、他の構成がここで企図されることが理解されるべきである。
【0035】
図11において、ビーム成形器移動手段328は、ビーム成形器318の各端部1104にモータ1102を有する。モータ1102は、ビーム成形器318の端部1104に機械的に固定されるシャフト1106を有し、シャフト1106を駆動し、それにより、ここに記述されるように本例ではx方向に沿ってビーム成形器318を往復並進させる。図示されるモータ1102は、超音波圧電モータである。しかしながら、他のモータもここで企図される。
【0036】
同様に、
図12において、ビーム成形器移動手段328は、ビーム成形器318の各端部1200にモータ1202を有する。モータ1202は、ビーム成形器318の側面1206に機械的に固定されるアーム1204を駆動し、それにより、ここに記述されるように本例ではx方向に沿ってビーム成形器318を往復並進させる。図示されるモータ1202は、リニアモータである。しかしながら、高速サーボ及び/又は他のモータのような他のモータもここで企図される。
【0037】
図13において、ビーム成形器移動手段328は、ビーム成形器318の各側面1304に圧電又は振動コンポーネント1302を有する。圧電コンポーネント1302は、ビーム成形器318を振動させることによって、ビーム成形器318を並進させる。この例において、ビーム成形器は、
図11及び
図12の並進方向を横切るz方向に並進する。
【0038】
図14において、ビーム成形器移動手段328は、ビーム成形器318の角部にブラケット1402を有する。この実施形態において、ビーム成形器移動手段328は、x/y軸及び/又はz軸に沿って、同時に及び/又は個別に、ビーム成形器を並進させるために使用されることができる。
図11、
図12及び/又は
図13の作動機構及び/又は他の作動機構が、ブラケット1402を動かすために使用されることもできる。
【0039】
図15において、ビーム成形器移動手段328は、ビーム成形器318を並進させるために2又はそれ以上のコンポーネントが使用される
図11−
図14とは異なり、ビーム成形器318を並進させるための単一のコンポーネント1502を有する。
【0040】
図11−
図15の例は非限定的であり、説明の目的で示されており、
図11−
図15の組み合わせ及び/又は他のアプローチを含む他の構成がここで企図されることが理解されるべきである。
【0041】
例えば、
図11及び
図12において、2つのモータ1102及び1202が、ビーム成形器318を並進させるために協働的に使用される。しかしながら、変形例において、ただ1つのモータ1102又は1202が使用され、他のモータは、並進移動を支援する受動素子(例えばバネ)と置き換えられる。同様に、
図13において、コンポーネント1302の一方が、並進移動を支援する受動素子と置き換えられることができる。更に、
図15は、ただ1つのコンポーネント1502を示す。しかしながら、別の実施形態において、他端に、1又は複数の側面に、1又は複数の角部等に位置する1又は複数の支援素子が含められることもできる。
【0042】
図11−
図15において、ビーム成形器318は、概して矩形の形状である。他の実施形態において、ビーム成形器318は、楕円形、円形、その他の形状でありうる。
【0043】
図16は、ここに記述される実施形態による例示の方法を示す。
【0044】
ここに記述される方法の工程の順序は制限的ではない。従って、他の順序がここで企図される。更に、1又は複数の工程が省かれることができ、及び/又は1又は複数の付加の工程が含められることができる。
【0045】
工程1602において、X線が、スキャンの取得間隔の間生成される。
【0046】
工程1604において、X線が、ビーム成形器の方向に進む。
【0047】
工程1606において、ビーム成形器は、中央領域に近いほど減衰の程度が小さく、中央領域から離れるほど減衰の程度が大きくなるように、ビーム成形器を横切るX線を減衰させる。
【0048】
ここに記述されるように、ビーム成形器は、複数の減衰素子及び材料フリーな領域を有し、減衰素子は、その上に入射する光線を完全に又はほぼ減衰させ、材料フリーな領域を通って経路を進む光線は、減衰されないまま進み、減衰素子は、例えば、透過が、ビームの中心光線に近いほど大きくなり、光線から離れて外側の光線へ向かう方向に減少していくように、ビームの透過プロファイルを成形するように構成される。
【0049】
工程1608において、処理1606と同時に、ビーム成形器は、予め決められた周波数で、x/y方向及び/又はz方向に、少なくとも1の方向に並進する。
【0050】
上述したように、これは、取得間隔にわたって減衰を拡散させ、検出器アレイに入射するフラックスプロファイルにおけるストライプを低減し、ビーム散乱を低減し、及び/又はシェーディングアーチファクトを減らす。
【0051】
工程1610において、ビーム成形器を出るビームは、コリメートされ、検査領域及びその中の被検体又は対象の一部を横切り、検出器アレイを照射し、検出器アレイは、入射ビームを検出し、検出したビームを表す信号を生成する。
【0052】
工程1612において、スキャンが付加の取得間隔を含む場合、工程1602〜1610が繰り返される。そうでない場合、工程1614において、信号が、被検体又は対象のスキャンの一部を表すボリュメトリック画像データを生成するように、再構成される。
【0053】
上述したものは、コンピュータ可読の記憶媒体上に符号化され又は埋め込まれることができるコンピュータ可読命令を通じて実現され、コンピュータ可読命令は、コンピュータプロセッサによって実行されるとき、記述された工程をプロセッサに実行させる。付加的に又は代替として、コンピュータ可読命令のうち少なくとも1つは、信号、搬送波又は他の一時媒体によって担持される。
【0054】
本発明は、好適な実施形態に関して記述された。変形及び変更は、上述の詳細な説明を読み理解することにより当業者には思いつく。このような変形及び変更が添付の請求項又はそれらと等価なものの範囲内にある限り、本発明は、すべてのそれらの変形及び変更を含むものとして構成されることが意図される。