(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
左右に配置した回転軸にカッターとスペーサーを交互に取り付けた左右の破砕ローターと、破砕ローターの上方に設けられた投入口と、破砕ローターの下方に排出口を備え、破砕ローターとして高速回転ローターと低速回転ローターとを有する二軸剪断式破砕機において、
破砕ローターの回転軸方向に設けた軸に排出口を閉鎖可能に軸支された、左右に設けられた揺動型の閉止ダンパーが排出口を開閉可能に配置されており、
閉止ダンパーの閉鎖状態で被破砕物が破砕ローターの回転に伴って周回回動する状態が形成されており、
左右に設けられた閉止ダンパーは、被破砕物を支える左右の閉止ダンパーの支持力を均衡する手段を備えていることを特徴とする二軸剪断式破砕機。
投入口の上方に被破砕物の供給機構を設け、破砕ローターの上方に投入された被破砕物のレベル計が設けられ、破砕ローターの駆動系と閉止ダンパーの駆動系及び制御盤を備えており、
被破砕物の供給機構と破砕ローターの駆動系と閉止ダンパーの駆動系が制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二軸剪断式破砕機。
【背景技術】
【0002】
廃棄物などの破砕機として、二軸剪断式破砕機が使用されている。従来の二軸剪断式破砕機として
図11に示す破砕機などがある。
特許文献1(特開平6−320037号公報)には、複数個のカッターと該カッターより小径のカラーとを回転軸の軸線方向に交互に配置して構成された切断処理装置が開示されている。
特許文献2(特開平11−300226号公報)には、二軸剪断式破砕機の排出部に目標破砕粒度と同一径の孔を設けたスクリーンを設置した一定粒度以下を確保する破砕機が開示されている。
特許文献3(特許第4757177号公報)には、破砕機本体内の横方向に切断刃を支持する複数の回転軸を平行に設け、該複数の回転軸の軸方向に、外周に複数の突出する刃部を設けた切断刃を該刃部が相互に噛み合う様に配置し、前記破砕機本体上部に被砕機物の投入口を設け、該破砕機本体下流側下部に被破砕物の排出口を設け、投入口と排出口の位置を回転軸の軸方向にずらして配置し、該切断刃の刃物よりも突出して被破砕物を掻き上げる部材を設けて、前記切断刃と共に回転し、該被破砕物を投入口側から排出口側に横送りしながら、下部から上部に掻き上げて複数回破砕するように構成した剪断破砕機が開示されている。
【0003】
二軸剪断式破砕機においては、被破砕物は、対向して互いに噛み込む方向に回転する複数のカッターのカッター間に引き込んで切断されるので、特許文献1の破砕機では被破砕物は通常1回のみの切断で排出される。
このため嵌合するカッターのクリアランス以下の被破砕物や、カッター間に圧縮された被破砕物は期待された目標破砕粒度にならない場合がある。
特許文献2の破砕機では目標破砕粒度が同一径の孔を設けたスクリーンの働きにより、排出される破砕物の粒度を一定とする。しかしながら焼却処理される廃棄物には多くのビニールや軟質物が含まれ、又金属の混入も一定量は避けられない。このため、スクリーンの孔は早い段階で目詰まりを起こし、処理量の大幅な低下を起こす。又、スクリーンとカッターの間に金属が挟まった場合、破砕ローターが回転不能になることが避けられず、回転を停止して復旧する必要がある。
特許文献3ではこれらの問題を解決する手段として、被破砕物を投入口側から排出口に横方向に送りながら下部から上部に掻き上げて複数回破砕して被破砕物を細かく破砕し、かつ破砕困難物を排出できるゲートを下流側に設けた破砕方式が開示されている。この方式では切断回数はカッター1枚当たり1回であり、破砕サイズを小さくしようとすると多くのカッターを設けることが必要となり、上流側に設けた側の投入口から破砕区間を挟んで下流側下部に設けた排出口の破砕区間の長さに破砕物の大きさが左右される装置である。破砕サイズを調整する場合は、破砕ローターの回転軸の軸長を変更することが必要になる。破砕ローターの軸長を変更することは、破砕装置の設置調整スペースを必要とし、破砕機の設置スペースの拡張や他の機器の平面配置の変更を伴うので迅速には対応できず、即応性は困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
廃棄物用破砕機の役割は廃棄物を焼却や埋立に適したサイズに破砕することにある。 近年焼却の安定性や廃ガス規制の厳格化から焼却前処理のための破砕に対する要求は厳しさを増し、破砕粒度を従来より細粒化することが求められている。例えば、従来の10cm程度から1〜2cm程度への変更である。
本発明は、設置スペースを取らずに、破砕粒度の調整が容易で、目詰まりを防止できる二軸剪断式破砕機を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、排出口に開閉する閉止ダンパーを設けて、被破砕物に対して繰り返し破砕作用を施して、細粒化破砕を実現する二軸剪断式破砕機である。
【0007】
本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(1)左右に配置した回転軸にカッターとスペーサーを交互に取り付けた左右の破砕ローターと、破砕ローターの上方に設けられた投入口と、破砕ローターの下方に排出口を備え、
破砕ローターとして高速回転ローターと低速回転ローターとを有する二軸剪断式破砕機において、
破砕ローターの回転軸方向に設けた軸に排出口を閉鎖可能に軸支された
、左右に設けられた揺動型の閉止ダンパー
が排出口を開閉可能に配置されており、
閉止ダンパーの閉鎖状態で被破砕物が破砕ローターの回転に伴って周回回動する状態が形成され
ており、
左右に設けられた閉止ダンパーは、被破砕物を支える左右の閉止ダンパーの支持力を均衡する手段を備えていることを特徴とする二軸剪断式破砕機。
(2)
閉止ダンパーは、破砕ローターの下部側の形状にそって湾曲した形状であり、閉止ダンパーの開閉度合いを調整して、破砕機の負荷制御機構を備えたことを特徴とする
(1)記載の二軸剪断式破砕機。
(3)左右の閉止ダンパーの支持力を均衡化する手段が、左右の閉止ダンパーの上面の面積及び/又は
負荷の小さい一方の閉止ダンパー先端が
負荷の大きい他方の閉止ダンパーの
下面側に当接する配置であることを特徴とする
(1)又は(2)記載の二軸剪断式破砕機。
(4)投入口の上方に被破砕物の供給機構を設け、破砕ローターの上方に投入された被破砕物のレベル計が設けられ、破砕ローターの駆動系と閉止ダンパーの駆動系及び制御盤を備えており、
被破砕物の供給機構と破砕ローターの駆動系と閉止ダンパーの駆動系が制御されることを特徴とする
(1)〜(3)のいずれかに記載の二軸剪断式破砕機。
(5)閉止ダンパーの駆動系の負荷状態を制御指標とする(4)記載の二軸剪断式破砕機。
(6)左右の閉止ダンパーは、破砕終了前に閉止ダンパーの過負荷を検知した場合に開方向に制御されることを特徴とする
(5)記載の二軸剪断式破砕機。
(7)被破砕物の投入、破砕、排出はバッチ制御され、被破砕物の状態と目的粒度に合わせて破砕ローターの回転数及びバッチ間隔を制御することを特徴とする
(1)〜(6)のいずれかに記載の二軸剪断式破砕機。
【発明の効果】
【0008】
1.本発明は、設置スペースを取らずに、破砕粒度の調整が容易で、目詰まりを防止できる二軸剪断式破砕機を開発した。
排出口に設けた揺動型閉止ダンパーを閉じることにより、被破砕物は落下せず破砕ローターで繰り返し破砕作用を受け続けることによって、細粒化される。その後、閉止ダンパーを開放することにより、細粒化された破砕物を排出する。この閉鎖時間や破砕ローターの回転数を調整することにより、粒度コントロールができる。
排出口に揺動型閉止ダンパーを設けた本発明の構造は、平面視的には従来の二軸剪断式破砕機と同じであって、設置スペースの拡張を必要としない。
閉止ダンパーを閉鎖して、破砕している間は新たな被破砕物の投入はせずに、バッチ的に破砕することが適している。なお、1回破砕で済む場合は、閉止ダンパーを開放した状態で運転できる。
二軸剪断式破砕機のカッターのフックによるひっかけ作用により、被破砕物は順次掻き上げられて、対向して配置された破砕ローターの間を通過して、カッターによる繰り返し切断作用を受けることとなり、多段型破砕機と同様の効果を発揮する。
2.閉止ダンパーとカッターの間隔を調整することにより、破砕物の粒度コントロールができる。間隔を大きくすると間隔より小さな粒はカッターに当たらずに残る確率が高くなり、間隔よりも大きな被破砕物が繰り返し、破砕を受けることとなる。
3.二軸剪断式破砕機を構成する2本の破砕ローターは、回転速度が異なっており、破砕ローターから発生する圧力も異なることとなる。左右に設けた閉止ダンパーが負担する圧力が均衡するようにダンパーの構成を工夫して、左右の閉止ダンパーの支持機構と駆動機構を共通化し、部品の共通化を図った。駆動部材を共通化できることはメンテナンス等機械の維持管理には有効である。
4.閉止ダンパーの支持力を均衡化する手段として、破砕ローターの回転数に応じた面積に設定することができ、ダンパーの面積のみによって、簡単に支持力の均衡化を図ることができる。
あるいは、高い負荷のかかるダンパーの下方を他方の先端が支えることによって、支持力の均衡負担を図ることができる。また、面積と配置関係の両方に着目して、調整することもできる。
支持力の均衡化によって、油圧シリンダ等の左右の閉止ダンパーの支持機構、駆動機構を共通化することができ、機器構成及びメンテナンスを容易にできる。
5.被破砕物供給機構、破砕ローター、閉止ダンパーを統合して制御する、二軸剪断式破砕機を実現した。これにより、被破砕物の供給、破砕を容易に制御できる。
6.閉止ダンパーの駆動系の負荷状態を指標にして制御する、二軸剪断式破砕機を実現した。
バッチ投入された都市ごみの破砕には当初大きなトルクを必要とし、滞留し、掻き上げられて繰り返し破砕されるに従い、必要トルクは低下する。このとき例えば、インバーターを介して破砕機を駆動し、当初は定格トルク・低速回転で破砕を行い、破砕必要トルクが低下するのに合わせ低トルク・高速回転で破砕を行うことにより繰り返し破砕の効果を大きく上げることができる。そして、この破砕の進行に応じて、閉止ダンパーの駆動系に負荷も大から小へ変化するので、この変化に着目して、細粒化の状況を把握し、閉止ダンパーの開閉コントロールをすることができる。この変化状態は、投入する廃棄物の種類や状態によって、プログラミングすることができ、PLC制御することができる。
7.金属など破砕困難物が混入された場合は、閉止ダンパーの駆動系に過大な異常負荷が発生するので、破砕終了前に閉止ダンパーの過負荷検知時に閉止ダンパーを開方向に制御することにより、過負荷対策を講ずることができる。都市ごみ中には金属を始めとする破砕不適物・困難物の混入が避けられないが、例えば、閉止ダンパーを油圧駆動にすればそれらの混入を圧力の変化で読み取れ、電動式とすれば電流値の変化として読み取れるので、それらの負荷に応じてダンパーと破砕ローターの隙間を変化させることにより、過負荷による破砕機の停止を防ぐことができる。
8. 破砕物の供給量は焼却設備のレイアウトや稼働状況により刻々変化する。このことに対応するために回転数を任意に変更可能とし、設備の稼働状況に合わせた供給量を確保できる。
これらの効果により、コンパクトで効率良く、細粒度破砕が可能な二軸剪断式破砕機を供給できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、排出口部に開閉可能な閉止ダンパーを設け、当該ダンパーの開閉角度、開閉時間、開閉条件等を制御することにより、破砕物を細粒度の調整が可能な二軸剪断式破砕機である。1台の破砕機では従来不可能であった細粒度破砕を、拡張スペースを取らずに実現するものである。破砕ローターは、公知の二軸剪断式破砕機を使用することが可能である。
以下図面を参照して本発明の実施態様を説明する。なお、本発明は以下の実施態様に限定されるものではない。
【0011】
本発明の二軸剪断式破砕機の平面図を
図1に、縦断面を
図2に、
左右の破砕ロータの下方の下面を
図4に示す。
二軸剪断式破砕機は、駆動用モーター1の動力を、減速機2を介して高速回転側軸4に伝え、同時にギヤ3を介して低速回転側軸5を駆動する形態のもので、軸4、5にはカッター6、スペーサー7が交互に配列されて左右の破砕ローター41、51を構成しており、対向して回転することにより被破砕物を破砕する。
縦断面方向には、左右に配置された破砕ローター41、51の上方に廃棄物等を供給する投入口17とレベル計8とを備えており、破砕ローター41、51の下方には排出口18と開閉して排出口を閉鎖できる左右の閉止ダンパー10、11を備えている。破砕ローター41、51のサイドにはケーシング16あるいは異物排出ゲート9が設けられている。異物排出ゲート9は、破砕困難な金属等が混入した場合に開放して排出する。閉止ダンパーが閉鎖された状態で、破砕室が形成される。
左右の閉止ダンパーは、高速回転する左側の回転軸側を、高速回転軸側用の閉止ダンパー10、ギヤ3によって左側より低速に回転する右側を、低速回転軸側用の閉止ダンパー11とする。
【0012】
これらの左右の閉止ダンパーは、左右の破砕ローターのそれぞれの下方側を覆う底蓋のように設けられており、破砕ローターの下方に揺動して開閉するように設けられている。
本図示の例では、左右の閉止ダンパー軸14R、14Lに軸支された腕状に伸びている。左右の閉止ダンパー10、11は閉止ダンパー軸14R、14Lに軸着されたアーム13R、13Lを介して油圧シリンダー12、12に連結されて、駆動される。
図示の例は、油圧駆動を示したが、モーター駆動系を採用することもできる。
油圧シリンダーなどの駆動系は、左右の閉止ダンパー10、11を稼働させる能力を備えていることが必要であるが、左右の閉止ダンパーの負荷が同程度になるように設定することにより、駆動系を共通化することができる。メンテナンスやコントロールを考慮すると、駆動系を共通化できるように工夫することが望ましい。
例えば、二軸剪断式破砕機に設けられた左右の閉止ダンパーは、底面図(
図4)に図示される左右の閉止ダンパー10、11が設けられ、左右の閉止ダンパー10、11は閉止ダンパー軸14と一体で形成されて軸受15で保持され、
図2に示す油圧シリンダー12の推力はアーム13を介してカッターの先端と閉止ダンパーの間隔(
図3(a)の隙間a参照)を最小とする位置から隙間を拡げる方向に回転する。
また、破砕ローターはギヤ比による回転数の差によって、破砕物の送り込み量に差が発生する。これらの違いによって、左右の閉止ダンパーの負荷に違いが生ずる。どの程度の差異になるかは機器の設計によって異なるので、それぞれに応じて閉止ダンパーは設計される。
例えば、早い回転の方の下方側には、多くの破砕物が送り込まれるので、負荷は大きくなり、高速回転軸側用閉止ダンパー10の長さを低速回転軸側用閉止ダンパー11よりも短く設定して、左右の閉止ダンパーの負荷を均衡するように調整する。長さの調整は、破砕ローターの回転数に着目して設定する。すなわち、閉止ダンパーの長さを変えることで、閉止ダンパーの上面の面積を変えることができ、負荷を均衡させることができる。
あるいは、高速回転側軸4:低速回転側軸5の回転比が2:1であれば、閉止ダンパー11には閉止ダンパー10の2倍の回転トルク(押しつけ力)が作用する可能性があ
る。
したがって、閉止ダンパーの設計は、ローターの回転トルク、ローターとダンパーの間隔、破砕対象物の性質や量などの要素に関係するので、全体バランスで設定される。駆動系を共通させる観点からは、左右の閉止ダンパーの負荷が均等に近くなることが望ましい。
【0013】
閉止ダンパー10、11を閉鎖している場合、被破砕物は、投入後、左右の破砕ローター41、51の間を通過するときに、カッターによって、砕かれ、裁断されて破砕され、閉止ダンパー10、11の表面に案内されて、回転するカッターに引き上げられ、繰り返し破砕作用を受け、細かくなる。
閉止ダンパー10、11の基本的な機能は、この破砕ローター下部側を閉鎖し、破砕終了後に、閉鎖を開放して、破砕物を機外へ排出することである。
さらに、左右の閉止ダンパーの衝合位置やダンパー表面の補強、開閉コントロールなどを工夫することにより、耐久性の向上、部材設計、粒度コントロール、全体制御などに活用することができる。
【0014】
閉止ダンパーの形態の例を
図3に示す。
図4に、二軸剪断式破砕機の底面図を示し、破砕ローターの下方全面をカバーするように、左右の閉止ダンパー10、11が配置されている。
左右の閉止ダンパー長を変えた例を
図3(a)に示す。高速回転軸側用閉止ダンパー10の長さが低速回転軸側用閉止ダンパー11よりも短く設定されている。右側の閉止ダンパー11の先端を左右の破砕ローターの中央部bよりも左側に寄せている。
また、閉止ダンパーとカッターとの間隔は、カッターによる破砕物の引き上げ作用および閉止ダンパーが受ける圧力に影響する。例えば、カッターの先端とダンパーの間隔によって設定することができる。間隔の設定は、破砕ローターの回転軸4、5の中心から鉛直方向の距離aなど適宜に基準で規定する。この設定箇所は任意である。閉止ダンパーの回転軸の角度によって設定することもできる。
閉止ダンパーが閉じているときには被破砕物Aは排出口18から排出されず、圧縮された状態で閉止ダンパー10、11に押し付けられて回転するため、軸4、5の回転トルクが閉止ダンパーに押し付け圧力として作用する。閉止ダンパー10には軸4の回転トルクに対応した押し付け圧力が作用し、閉止ダンパー11には軸5の回転トルクに対応した押し付け圧力が作用する。軸の回転トルクは
図1の減速機出力軸と同じであるが、軸5はギヤ3を介して回転が落とされるため、そのギヤ比に対応して増大したトルクで回転する。
この図示の例では、閉止ダンパー11の頂部を中央部bに合わせて、左右の破砕ローターの間を通過してくる破砕物は左右に2分されて流れるように設定されている。
【0015】
閉止ダンパーのカッターに対向する面に摩耗抵抗性を高めた耐摩耗措置エリアc1、c2を備えた例を
図3(b)に示す。耐摩耗処理は、対摩耗性の高い材料を表面に被覆したり、肉盛り溶接処理を適用することができる。また、溶射等を行っても良い。
閉止ダンパー10、11の先端を
図3(c)に図示するように左側の閉止ダンパー10の先端部eに対し、右側の閉止ダンパー11の先端
部fが接するように配置すれば、閉止ダンパー
10に作用するトルク(押し付け力)は閉止ダンパー
11にも作用するので、右側の閉止ダンパー
10の必要保持力を左右の閉止ダンパー10、11の2本の油圧機構で均等に分割できる。このことにより、左右の閉止ダンパーの駆動系の設計を、小型にすることができる。
【0016】
最も摩耗の激しい右側の閉止ダンパー11の先端部fを、分割タイプにして、摩耗に応じて交換可能とすることもできる。例えば締結ボルトj等で締結する手段を採用できる。
さらに、先端部fの上面k部に硬化肉盛りを施して対抗性を増強することもできる。また、図(3b)に示すd−d’矢視図のc1、c2の全領域の肉盛りを省略して、閉止ダンパー11の先端部のみに、硬化肉盛りをしてもよい。
図3(d)に図示するように、左右の閉止ダンパーの長さを同じにした場合は、閉止ダンパーの駆動機構の負担をそれぞれのダンパーが受ける圧力に対応できる構造に設計しなくてはならない。
【0017】
本発明の周辺機器を含む二軸剪断式破砕機の例を示す
図5に示す。
本例は、投入口17の上部に廃棄物等を供給する機構を配置し、破砕機全体を制御する制御盤を設けて、供給から破砕、排出に関わる全体を制御できる二軸剪断式破砕機を提供する。
具体的には、投入口17の上方に、投入プッシャー20、投入コンベヤ19などの被破砕物の供給機構を設け、破砕ローターの上方に投入された被破砕物の高さ、又は投入量を測定するレベル計8を設け、破砕ローター41、51の駆動を駆動する駆動用モーターM1、閉止ダンパー10、11を駆動する駆動機構、及び制御盤CP22を備えており、PLC(Programmable Logic Controller)制御にしたがって被破砕物の供給機構と破砕ローターの駆動系と閉止ダンパーの駆動系が制御される。駆動用モーターM1はインバーターINV21を介して制御される。
【0018】
図5に示される二軸剪断式破砕機の運転工程の概略を
図6に示す。
図6には、被破砕物投入時の状態(a)、破砕初期状態(b)、破砕中期状態(c)、破砕物排出状態(d)が示されている。
当該破砕機の制御は、
図5で図示される制御システムによって制御される。
被破砕物Aは、投入コンベヤ19或いは投入プッシャー20、その他の手段により破砕機投入口17に投入され、レベル計8その他の手段で一定量を検知すると、被破砕物の供給が停止され、破砕機の運転が開始され、矢印方向に回転する左右の破砕ローターに噛み込まれて破砕されて
図6(b)破砕初期状態の粗粒子A1となる。破砕機構の運転は、制御盤22内のPLC(Programmable Logic Controller)からの信号により運転・停止が行われ、又インバーター21を介して破砕ローターの回転数が指定されて駆動用モーター1が駆動される。
被破砕物Aは、対向する破砕ローターのカッターに引き込まれながら破砕・切断作用を受け、閉じている閉止ダンパー10、11とカッターのフックによりカッター背面に廻り込み、掻き上げられて再度破砕されるという順序を繰り返す。この連続した破砕状態が
図6(c)に示す破砕中期の中粒子A2の状態である。
必要な破砕サイズに到達するために繰り返される破砕時間は、対象物により変化するので、対象物に応じて決定されるが、繰り返し時間と共に回転数によっても変化するので、この要素からも適切な条件を設定する。
設定時間を経過し、必要破砕サイズの破砕粒物Bとなった時、左右の閉止ダンパー10、11を開いて
図6(d)に示される排出状態で破砕機の排出口18から排出される。
次に閉止ダンパーを閉じ、閉止ダンパーが閉止位置に戻った信号を制御盤内PLCが受け、投入コンベヤ等により新たな被破砕物の投入が開始される。本発明の二軸剪断式破砕機はこれらの動作を制御盤22内のPLCにより一括制御することにより、効率的な運転が行われる。インバーター21を使用せず、一定回転数で運転することもできる。
【0019】
被破砕物の破砕が開始された直後は、被破砕物が大きいのでカッターによる破砕トルク、及びカッターと閉止ダンパーの間を通り抜ける際の摩擦は大きく、大きな回転トルクが必要となる。この摩擦トルクを軽減するために、運転開始直後は回転トルクを電流値、或いは油圧圧力等で検知し、例えば定格トルクの90%となったとき、閉止ダンパーは
図7(a)の破砕初期状態のように回転ローターの刃先と閉止ダンパーの上面との間隔が大きくなるように調整し、破砕中期の状態では小さくなるよう調整する。図示の例では、ローター回転軸中心と直下の閉止ダンパー上面との間隔に着目し、初期は間隔a1の位置に開き、破砕中期状態(b)で小さな間隔a2(<a1)に調整する。なお、この間隔は、設計に応じて決定することができる。
この調整は例えば、
図5に示す閉止ダンパーの回転軸に設けたロータリーエンコーダー23の回転角度で調整することも可能で、定格トルクの90%で閉止ダンパーを閉位置から10度開く方向に開き、50%のときは同閉止ダンパーを閉位置から5度開き、25%になった時点で閉止ダンパー閉位置(0度)に調整する。なお、閉止ダンパーの負荷状態の計測には適宜の手段を採用することができる。
【0020】
この運転方式を採用することにより、過負荷運転が避けられ、常に最良の状態で掻き上げが行われる。但し、破砕トルクの小さな対象物ではこの運転をしないことも選択可能である。
閉止ダンパーの開閉角度は、破砕トルク、摩擦力の要素で変化させても良いが、一定角度(例えば10度開いた状態)に保つことで故意にカッターと閉止ダンパーの間を通り抜ける被破砕物を大きくし、低動力運転、及び過度の細粒度破砕をしない選択も可能である。
あるいは、細粒度破砕が必要でない場合、
図9に示すように、左右の閉止ダンパーを開放した状態で、被破砕物Aを1回通過でそのまま排出運転をすることもできる。
【0021】
都市ごみの中には一定量の金属や破砕困難物の混入は避けられない。
破砕ローターに詰まるような破砕困難物は
図2の異物排出ゲート9を開け排出するが、カッターの谷間やケーシングとカッターの隙間を通り抜けた破砕困難物(異物)(
図8(a)はカッターと閉止ダンパーの間に挟まり、ローターの回転を阻害する。このような場合、閉止ダンパーを
図8(b)のように開放して破砕困難な異物Cを機外に排出する。
具体的には、
図8(a)に示すように破砕困難な異物がカッター6と閉止ダンパー10、11の隙間に押し込まれ、回転トルクが上昇すると破砕ローターの駆動用モーター1の電流値が上昇し、これを制御盤22内のPLCが検知し、油圧シリンダー12を駆動し、左右の閉止ダンパー10、11を開く方向に制御して、
図8(b)に示すように閉止ダンパーを開いて異物を排出することができる。
閉止ダンパーの開く角度は、ロータリーエンコーダー23その他の手段で検知し、制御盤内のPLCに信号を送ることによりトルクに対応する開き角度をPLCが判断し、油圧シリンダー12を制御する。
【0022】
また、このように金属片など破砕困難物(異物)が投入されたときの他の手段としては、異物排出ゲート9を開く方向に駆動する信号を送り、軸4,5を逆転し、異物を異物排出口91から機外に排出することもできる。
【0023】
破砕効率を上げるために、インバーター駆動の場合は破砕開始直後に定格運転(周波数60Hz)を行い、破砕トルクが低下する一定時間後には周波数を100Hz程度まで上げて効率的な繰り返し運転を行うことが好ましいが、定回転数での運転でも良い。
【0024】
(試験データ)
閉止ダンパーの閉止時間を調整し、繰り返し破砕回数を変化させたときの破砕後の都市ごみの破砕サイズを測定した結果、閉止時間(破砕回数)を多くすれば破砕サイズが明らかに細かくなることが
図10に示すようにデータにより確認できた。
このデータが示すように、破砕回数とそれによって得られる破砕物の細粒化を調整できることが明らかであり、被破砕物の種類、状態に応じて、破砕状態をモデル化して、制御コントロールすることができる。