特許第6391608号(P6391608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通テン株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000002
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000003
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000004
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000005
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000006
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000007
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000008
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000009
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000010
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000011
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000012
  • 特許6391608-異常検知装置及び異常検知方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391608
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】異常検知装置及び異常検知方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20060101AFI20180910BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   B60L3/00 S
   G01R31/02
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-23759(P2016-23759)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-143662(P2017-143662A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2017年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川中 翔太
(72)【発明者】
【氏名】田村 祥
(72)【発明者】
【氏名】岡田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏昌
【審査官】 大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−214264(JP,A)
【文献】 特開2015−21845(JP,A)
【文献】 特開2010−19603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00− 3/12
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される、電源、キャパシタ、負荷回路、前記電源と前記負荷回路を接続するスイッチ、前記車両のボディ接地のうち、前記スイッチをオフに制御した状態で、前記電源、前記キャパシタ及び前記ボディ接地を直列接続させて充電される前記キャパシタの第1の電圧を計測する計測部と、
前記計測部が計測した前記第1の電圧が第1の閾値未満である際、前記スイッチがオンでの固着状態でなく、かつ、前記車両の絶縁抵抗が正常であると判定する判定部と
を備え
前記計測部は、前記第1の電圧が第1の閾値以上である際、前記スイッチをオンに制御した状態で、前記電源、前記キャパシタ及び前記ボディ接地を直列接続させて充電される前記キャパシタの第2の電圧を計測し、
前記判定部は、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電圧差が第2の閾値以上である際、前記車両の絶縁抵抗が正常か否かを判定し、前記電圧差が前記第2の閾値未満である際、前記スイッチが正常か否かを判定する
ことを特徴とする異常検知装置。
【請求項2】
前記計測部は、前記車両のイグニション・オン時に前記第1の電圧を計測する
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知装置。
【請求項3】
前記計測部は、前記車両のイグニション・オフ時に前記第1の電圧を計測する
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知装置。
【請求項4】
異常検知装置が実行する異常検知方法であって、
車両に搭載される、電源、キャパシタ、負荷回路、前記電源と前記負荷回路を接続するスイッチ、前記車両のボディ接地のうち、前記スイッチをオフに制御した状態で、前記電源、前記キャパシタ及び前記ボディ接地を直列接続させて充電される前記キャパシタの第1の電圧を計測する計測ステップと、
前記計測ステップが計測した前記第1の電圧が第1の閾値未満である場合に、前記スイッチがオンでの固着状態でなく、かつ、前記車両の絶縁抵抗が正常であると判定する判定ステップと
を含み、
前記計測ステップは、前記第1の電圧が第1の閾値以上である際、前記スイッチをオンに制御した状態で、前記電源、前記キャパシタ及び前記ボディ接地を直列接続させて充電される前記キャパシタの第2の電圧を計測し、
前記判定ステップは、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電圧差が第2の閾値以上である際、前記車両の絶縁抵抗が正常か否かを判定し、前記電圧差が前記第2の閾値未満である際、前記スイッチが正常か否かを判定する
ことを特徴とする異常検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検知装置及び異常検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年普及してきているハイブリッド自動車や電気自動車等の車両は、動力源であるモータ等へ電力を供給する電源を備える。電源は、複数の蓄電セルをスタックした組電池を含む。電源から出力された電圧は、SMR(System Main Relay)等のスイッチを介して電源と接続された昇圧回路により昇圧されてモータへ供給される。
【0003】
かかる構成のもと、例えば、電源の過充電を監視する機能を、電源と直列接続して充電されたキャパシタの充電電圧をもとに監視する二重監視により、電源の過充電を防止する技術がある。また、例えば、電源、キャパシタ、車両絶縁抵抗及び車両ボディ接地を接続した状態で充電したキャパシタの電圧をもとに、車両の絶縁異常検知を行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。また、例えば、車両の絶縁異常検知を行うと共に、電源、キャパシタ及び昇圧回路を接続した状態で充電したキャパシタの電圧をもとにSMRの溶着検知を行う技術がある(例えば、特許文献2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−020914号公報
【特許文献2】特開2011−166950号公報
【特許文献3】特開2012−202723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、溶着検知対象のスイッチのオンオフを交互に制御したり、絶縁異常検知とは異なる溶着検知のための回路を設けたりする等、制御処理や回路構成が複雑になるという問題がある。
【0006】
本願の実施形態の一例は、例えば、簡易な制御処理や回路構成で、SMRの溶着検知を行うことができる異常検知装置及び異常検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の実施形態の一例は、例えば、異常検知装置は、計測部、判定部を含む。計測部は、車両に搭載される、電源、キャパシタ、負荷回路、電源と負荷回路を接続するスイッチ、車両のボディ接地のうち、スイッチをオフに制御した状態で、電源、キャパシタ及びボディ接地を直列接続させて充電されるキャパシタの第1の電圧を計測する。判定部は、計測部が計測した第1の電圧が第1の閾値未満である際、スイッチがオンでの固着状態でなく、かつ、車両の絶縁抵抗が正常であると判定する。
【発明の効果】
【0008】
本願の実施形態の一例によれば、例えば、簡易な制御処理や回路構成で、SMRの溶着検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る車載システムの一例を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係る電圧検出回路の一例を示す図である。
図3A図3Aは、実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
図3B図3Bは、実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
図4図4は、実施形態1に係る絶縁判定処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態1に係る溶着判定処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理の一例を示すタイミングチャートである。
図7A図7Aは、実施形態1に係るSMRオフ時のフライングキャパシタの充電電圧の経時変化を示す図である。
図7B図7Bは、実施形態1に係るSMRオフ時及びSMRオン時のフライングキャパシタの充電電圧差の経時変化を示す図である。
図8A図8Aは、実施形態1に係るバッテリ及びSMRの各状態におけるフライングキャパシタの充電電圧を示す図である。
図8B図8Bは、実施形態1に係るバッテリ及びSMRの各状態におけるフライングキャパシタの充電電圧の経時変化を示す図である。
図9図9は、実施形態2に係る絶縁及び溶着検知処理の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して本願に係る異常検知装置及び異常検知方法の実施形態の一例について説明する。なお、以下に示す実施形態は、開示の技術に係る構成及び処理について主に示し、その他の構成及び処理の説明を省略する。また、以下に示す実施形態は、開示の技術を限定するものではない。そして、各実施形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせてもよい。また、各実施形態において、同一の構成及び処理には同一の符号を付与し、既出の構成及び処理の説明は省略する。
【0011】
[実施形態1]
(実施形態1に係る車載システムについて)
図1は、実施形態1に係る車載システムの一例を示す図である。車載システム1は、例えば、ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等の車両に搭載されるシステムである。車載システム1は、車両の動力源であるモータへ電力を供給する電源の充放電を含む制御を行う。
【0012】
車載システム1は、組電池2、SMR(System Main Relay)3a及び3b、モータ4、電池ECU10、PCU(Power Control Unit)20、MG_ECU(Motor Generator ECU)30、HV_ECU(Hybrid ECU)40を含む。PCU20、MG_ECU30、図示しないエアコンECU等の電装部品は、負荷回路の一例である。なお、ECUは、Electric Control Unitの略である。
【0013】
組電池2は、図示しない車体と絶縁された電源(バッテリ)であり、直列に接続された複数、例えば2個の電池スタック2A、電池スタック2Bを含んで構成される。電池スタック2A、電池スタック2Bは、直列に接続された複数、例えば3個の電池セル2a、電池セル2bをそれぞれ含んで構成される。すなわち、組電池2は、高圧直流電源である。
【0014】
なお、電池スタックの数、電池セルの数は、上記あるいは図示のものに限定されない。また、電池セルは、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0015】
SMR3aは、電池ECU10又はHV_ECU40の制御によりオン及びオフされ、オンのときに、組電池2の最上位の電圧側とPCU20とを接続する。また、SMR3bは、電池ECU10又はHV_ECU40の制御によりオン及びオフされ、オンのときに、組電池2の最低位の電圧側とPCU20とを接続する。
【0016】
(実施形態1に係る電池ECUについて)
電池ECU10は、組電池2の状態監視及び制御を行う電子制御装置である。電池ECU10は、監視IC(Integrated Circuit)11a、監視IC11b、電圧検出回路12、A/D(Analog/Digital)変換部13、制御部14、電源IC15を含む。電源IC15は、監視IC11a、監視IC11b、電圧検出回路12、A/D変換部13、制御部14へ電力を供給する。
【0017】
監視IC11aは、複数の電池セル2aそれぞれと接続され、各電池セル2aの電圧を監視する。また、監視IC11aは、電池スタック2Aの最上位の電圧側及び最低位の電圧側と接続され、電池スタック2Aの電圧を監視する。また、監視IC11bは、複数の電池セル2bそれぞれと接続され、各電池セル2bの電圧を監視する。また、監視IC11bは、電池スタック2Bの最上位の電圧側及び最低位の電圧側と接続され、電池スタック2Bの電圧を監視する。
【0018】
なお、1つの電池セルに対してそれぞれ1つの監視ICが設けられるとしてもよいし、組電池2に対して1つの監視ICが設けられるとしてもよい。1つの電池セルに対してそれぞれ1つの監視ICが設けられる場合には、制御部14は、各監視ICが監視する各電池スタックの電圧の合計を、組電池2の総電圧として用いる。また、組電池2に対して1つの監視ICが設けられる場合には、制御部14は、監視ICが監視する組電池2の総電圧を用いる。なお、監視IC11a及び11bは、制御部14に対する外部装置である。
【0019】
(電圧検出回路について)
図2は、実施形態1に係る電圧検出回路の一例を示す図である。なお、図2は、電圧検出回路の一例を示すに過ぎず、同様の機能を有する他の回路構成も採用できる。図2に示すように、電圧検出回路12は、第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7、キャパシタ12c−1、キャパシタ12c−2、第1抵抗12r−1、第2抵抗12r−2を含む。なお、第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7としては、例えばソリッドステートリレー(SSR:Solid State Relay)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0020】
ここで、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2は、フライングキャパシタとして用いられる。第5スイッチ12−5がオンとされると、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2が並列接続状態となり、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2が共にフライングキャパシタとして機能する。また、第5スイッチ12−5がオフとされると、キャパシタ12c−2が電圧検出回路12から切り離され、キャパシタ12c−1のみがフライングキャパシタとして機能する。
【0021】
なお、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2をフライングキャパシタとして用いるか、キャパシタ12c−1のみをフライングキャパシタとして用いるかは、充電されたフライングキャパシタの電圧に基づく計測対象に応じて適宜変更できる。例えば、キャパシタ12c−1のみをフライングキャパシタとして用いる場合には、フライングキャパシタの容量を相対的に小さくできるため、充電時間が相対的に短時間となる。以下では、第5スイッチ12−5がオフとされ、キャパシタ12c−1のみがフライングキャパシタとして機能する場合を説明する。しかし、これに限らず、第5スイッチ12−5がオンとされ、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2が共にフライングキャパシタとして機能する場合も同様である。
【0022】
また、図2に示すように、電池スタック2Aの正極側がSMR3aを介してPCU20の抵抗23a−1と接続され、電池スタック2Bの負極側がSMR3bを介してPCU20の抵抗23a−2と接続される。抵抗23a−1及び23a−2の抵抗値は、等しい。
【0023】
電圧検出回路12では、キャパシタ12c−1が、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2の総電圧のそれぞれにより充電される。そして、電圧検出回路12では、充電されたキャパシタ12c−1の電圧が、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2それぞれの総電圧として検出される。
【0024】
具体的には、電圧検出回路12は、キャパシタ12c−1を介して充電側経路と放電側経路とに分かれる。充電側経路は、組電池2の電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2それぞれに対してキャパシタ12c−1が並列接続され、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2の総電圧それぞれでキャパシタ12c−1を充電する経路を含む。また、放電側経路は、充電されたキャパシタ12c−1が放電する経路を含む。
【0025】
そして、第1スイッチ12−1〜第4スイッチ12−4、第6スイッチ12−6〜第7スイッチ12−7のオン及びオフが制御されることで、キャパシタ12c−1への充電及び放電が制御される。
【0026】
電圧検出回路12の充電側経路には、電池スタック2Aの正極側とキャパシタ12c−1との間に、第1スイッチ12−1が直列に設けられ、電池スタック2Aの負極側とキャパシタ12c−1との間に、第2スイッチ12−2が直列に設けられる。
【0027】
また、電圧検出回路12の充電側経路には、電池スタック2Bの正極側とキャパシタ12c−1との間に、第3スイッチ12−3が直列に設けられ、電池スタック2Bの負極側とキャパシタ12c−1との間に、第4スイッチ12−4が直列に設けられる。
【0028】
電圧検出回路12の放電側経路には、電池スタック2A及び電池スタック2Bの正極側の経路に第6スイッチ12−6が設けられ、第6スイッチ12−6の一端がキャパシタ12c−1と接続される。また、電池スタック2A及び電池スタック2Bの負極側の経路には、第7スイッチ12−7が設けられ、第7スイッチ12−7の一端がキャパシタ12c−1と接続される。
【0029】
そして、第6スイッチ12−6の他端は、A/D変換部13に接続されると共に、分岐点Aで分岐して第1抵抗12r−1を介して車体GNDに接続される。また、第7スイッチ12−7の他端は、A/D変換部13に接続されると共に、分岐点Bで分岐して第2抵抗12r−2を介して車体GNDに接続される。なお、車体GNDは、ボディ接地の一例であり、かかる接地点の電圧を以下では「ボディ電圧」という。
【0030】
A/D変換部13は、電圧検出回路12の分岐点Aにおける電圧を示すアナログ値をデジタル値へ変換し、変換されたデジタル値を制御部14へ出力する。
【0031】
ここで、電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2それぞれの電圧を検出する、いわゆるスタック二重監視を行うために行われるキャパシタ12c−1の充放電について説明する。なお、第5スイッチ12−5をオンとされ、キャパシタ12c−1及びキャパシタ12c−2が並列に接続されて用いられる場合も同様である。また、電池スタック電圧とは、ブロック電圧とも称される電圧である。
【0032】
電圧検出回路12では、電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2毎にキャパシタ12c−1が充電される。以下、電池スタック2A、電池スタック2Bそれぞれの電圧でキャパシタ12c−1を充電し、充電されたキャパシタ12c−1の電圧から電池スタック2A、電池スタック2Bそれぞれの電圧を計測する処理を「スタック計測」という。また、スタック計測は、組電池2の総電圧でキャパシタ12c−1を充電し、キャパシタ12c−1の電圧から組電池2の総電圧を計測する処理を含む場合もある。以下、スタック計測により行う電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2の充放電を含む状態監視を、「スタック二重監視」という。
【0033】
電池スタック2Aの電圧でキャパシタ12c−1を充電する場合は、図2において、第1スイッチ12−1及び第2スイッチ12−2がオンとされ、第3スイッチ12−3〜第4スイッチ12−4、第6スイッチ12−6〜第7スイッチ12−7がオフとされる。これにより、電池スタック2A及びキャパシタ12c−1を含む経路(以下「第1経路」という)が形成され、電池スタック2Aの電圧によりキャパシタ12c−1が充電される。
【0034】
そして、第1経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ12c−1を放電させる。具体的には、第1スイッチ12−1及び第2スイッチ12−2がオフとされ、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされる。これにより、キャパシタ12c−1、第1抵抗12r−1及び第2抵抗12r−2を含む経路(以下「第2経路」という)が形成され、キャパシタ12c−1が放電する。
【0035】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電池スタック2Aの電圧が検出されることとなる。
【0036】
また、電池スタック2Bの電圧でキャパシタ12c−1を充電する場合は、図2において、第3スイッチ12−3〜第4スイッチ12−4がオンとされ、第1スイッチ12−1〜第2スイッチ12−2、第6スイッチ12−6〜第7スイッチ12−7がオフとされる。これにより、電池スタック2B及びキャパシタ12c−1を含む経路(以下「第3経路」という)が形成され、電池スタック2Bの電圧によりキャパシタ12c−1が充電される。
【0037】
そして、第3経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ12c−1を放電させる。具体的には、第3スイッチ12−3及び第4スイッチ12−4がオフとされ、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされる。これにより、第2経路が形成され、キャパシタ12c−1が放電する。
【0038】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンしたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電池スタック2Bの電圧が検出されることとなる。
【0039】
また、組電池2の総電圧でキャパシタ12c−1を充電する場合は、図2において、第1スイッチ12−1及び第4スイッチ12−4がオンとされ、第2スイッチ12−2〜第3スイッチ12−3、第6スイッチ12−6〜第7スイッチ12−7がオフとされる。これにより、組電池2及びキャパシタ12c−1を含む経路(以下「第4経路」という)が形成され、組電池2の総電圧によりキャパシタ12c−1が充電される。
【0040】
そして、第4経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ12c−1を放電させる。具体的には、第1スイッチ12−1及び第4スイッチ12−4がオフとされ、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされる。これにより、第2経路が形成され、キャパシタ12c−1が放電する。
【0041】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ12−6及び第7スイッチ12−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、組電池2の総電圧が検出されることとなる。
【0042】
また、電圧検出回路12には、第1抵抗12r−1と、第2抵抗12r−2とが設けられる。また、電圧検出回路12の外部には、組電池2の正極側の絶縁抵抗Rpと組電池2の負極側の絶縁抵抗Rnとが設けられる。絶縁抵抗Rpは、組電池2の総正電圧とボディ電圧との間の絶縁抵抗である。また、絶縁抵抗Rnは、組電池2の総負電圧とボディ電圧との間の絶縁抵抗である。車両絶縁抵抗の劣化は、後述のように電圧検出回路12の各スイッチのオン及びオフを制御することによりキャパシタ12c−1が充電された際の電圧をもとに判定される。実施形態1では、車両絶縁抵抗の計測は、DC(Direct Current)電圧印加方式を採用する。
【0043】
なお、実施形態1において、絶縁抵抗Rp及びRnは、実装された抵抗と、車体GNDに対する絶縁を仮想的に表した抵抗との合成抵抗値を示すが、実装した抵抗、仮想的な抵抗のいずれであるかは問わない。
【0044】
絶縁抵抗Rp及びRnの各抵抗値は、正常時にはほとんど通電することが無い程度に十分に大きい値、例えば数MΩとされる。しかし、絶縁抵抗Rp、絶縁抵抗Rnが劣化した異常時には、例えば組電池2が車体GND等と短絡して、あるいは短絡に近い状態となって通電してしまう程度の抵抗値に低下する。
【0045】
ここで、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化を検出するために行われる、キャパシタ12c−1の充電及び放電について説明する。絶縁抵抗Rpの劣化を検出する計測処理を「Rp計測」という。Rp計測において、第4スイッチ12−4及び第6スイッチ12−6がオンとされ、第1スイッチ12−1〜第3スイッチ12−3、第7スイッチ12−7がオフとされる。これにより、絶縁抵抗Rp、電池スタック2Bの負極側、第4スイッチ12−4、キャパシタ12c−1、第6スイッチ12−6、第1抵抗12r−1、車体GNDが接続される。
【0046】
すなわち、絶縁抵抗Rp、電池スタック2Bの負極側、第4スイッチ12−4、キャパシタ12c−1、第6スイッチ12−6、第1抵抗12r−1、車体GNDを結ぶ経路(以下「第5経路」という)が形成される。この際、絶縁抵抗Rpの抵抗値が正常である場合には、第5経路はほとんど導通せず、キャパシタ12c−1は充電されない。一方、絶縁抵抗Rpが劣化して抵抗値が低下していた場合には、第5経路は導通し、キャパシタ12c−1が正極性(正電圧)で充電される。
【0047】
そして、第5経路が形成されてから所定時間、例えばキャパシタ12c−1の満充電に要する時間よりも短い所定時間の経過後、第4スイッチ12−4がオフとされる。そして、第4スイッチ12−4がオフされると共に、第7スイッチ12−7がオンとされて第2経路が形成され、キャパシタ12c−1を放電させる。
【0048】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第4スイッチ12−4がオフとされ第7スイッチ12−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧(以下「電圧VRp」という)をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電圧VRpが検出されることとなる。制御部14は、電圧VRpに基づいて絶縁抵抗Rpの劣化を検出する。
【0049】
なお、Rp計測の際に、SMR3a及び3bがオン状態に制御されると、フライングキャパシタであるキャパシタ12c−1は、第5経路に抵抗23a−1が追加されるため、抵抗23a−1の電圧に相当する電荷がチャージされる。よって、SMR3aがオン状態で溶着又は固着していると、SMR3aをオンとオフの間で切り替え制御しても、キャパシタ12c−1へチャージされる電荷による電圧が変化しないため、SMR3aの溶着又は固着を検知できる。
【0050】
また、絶縁抵抗Rnの劣化を検出する計測処理を「Rn計測」という。Rn計測において、第1スイッチ12−1及び第7スイッチ12−7がオンとされ、第2スイッチ12−2〜第4スイッチ12−4、第6スイッチ12−6がオフとされる。これにより、絶縁抵抗Rn、電池スタック2Aの正極側、第1スイッチ12−1、キャパシタ12c−1、第7スイッチ12−7、第2抵抗12r−2、車体GNDが接続される。
【0051】
すなわち、絶縁抵抗Rn、電池スタック2Aの正極側、第1スイッチ12−1、キャパシタ12c−1、第7スイッチ12−7、第2抵抗12r−2、車体GNDを結ぶ経路(以下「第6経路」という)が形成される。この際、絶縁抵抗Rnの抵抗値が正常である場合には、第6経路はほとんど導通せず、キャパシタ12c−1は充電されない。一方、絶縁抵抗Rnが劣化して抵抗値が低下していた場合には、第6経路が導通することとなる。
【0052】
そして、第6経路が形成されてから所定時間、例えばキャパシタ12c−1の満充電に要する時間よりも短い所定時間の経過後、第1スイッチ12−1がオフとされる。そして、第1スイッチ12−1がオフとされると共に、第6スイッチ12−6がオンとされて第2経路が形成され、キャパシタ12c−1を放電させる。
【0053】
そして、第6スイッチ12−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ12c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第1スイッチ12−1がオフとされ第6スイッチ12−6がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧(以下「電圧VRn」という)をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電圧VRnが検出されることとなる。制御部14は、電圧VRnに基づいて絶縁抵抗Rnの劣化を検出する。
【0054】
なお、Rn計測の際に、SMR3a及び3bがオン状態に制御されると、フライングキャパシタであるキャパシタ12c−1は、第6経路に抵抗23a−2が追加されるため、抵抗23a−2の電圧に相当する電荷がチャージされる。よって、SMR3bがオン状態で溶着又は固着していると、SMR3bをオンとオフの間で切り替え制御しても、キャパシタ12c−1へチャージされる電荷による電圧が変化しないため、SMR3bの溶着又は固着を検知できる。
【0055】
なお、同一サイクルのRp計測及びRn計測の際には、SMR3a及び3bがオン又はオフの同一状態が継続する。具体的には、ある期間においてSMR3a及び3bがオフとされた状態でRp計測及びRn計測が実行され、電圧VRp及びVRnが計測され、電圧VRp+VRnが算出される。また、他の期間においてSMR3a及び3bがオンとされた状態でRp計測及びRn計測が実行され、電圧VRp及びVRnが計測され、電圧VRp+VRnが算出される。
【0056】
(A/D変換部について)
A/D変換部13は、電圧検出回路12から出力されたアナログの電圧を分岐点A(図2)において検知し、デジタルの電圧へ変換する。そして、A/D変換部13は、変換したデジタルの電圧を、制御部14へ出力する。なお、A/D変換部13は、入力電圧を所定範囲の電圧へ変換して検出する。
【0057】
(制御部について)
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有するマイクロコンピュータ等の処理装置である。制御部14は、車載システム1のIG_ON(イグニション・オン)及びIG_OFF(イグニション・オフ)を制御する。また、制御部14は、SMR3a及び3bのオン及びオフを制御する。また、制御部14は、監視IC11a、監視IC11b、電圧検出回路12、A/D変換部13等を含む電池ECU10全体を制御する。制御部14は、充電経路形成部14a、放電経路形成部14b、計測部14c、判定部14dを含む。
【0058】
充電経路形成部14aは、電圧検出回路12が有する第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7(図2参照)のオン及びオフを制御し、電圧検出回路12において充電経路を形成する。また、放電経路形成部14bは、電圧検出回路12が有する第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7のオン及びオフを制御し、電圧検出回路12において放電経路を形成する。
【0059】
なお、SMR3a及び3b、第1スイッチ12−1〜第7スイッチ12−7のスイッチングパターンは、RAM及びROM等の記憶部に予め記憶させておくものとする。そして、充電経路形成部14a及び放電経路形成部14bは、適切なタイミングで記憶部からスイッチングパターンを読み出すことによって、充電経路又は放電経路を形成する。
【0060】
計測部14cは、放電経路形成部14bにより放電経路が形成されると、充電されたキャパシタ12c−1の電圧をA/D変換部13を介して検出する。
【0061】
具体的には、計測部14cは、充電されたキャパシタ12c−1の電圧に基づいて電圧VRpを計測する。同様に、計測部14cは、充電されたキャパシタ12c−1の電圧に基づいて電圧VRnを計測する。
【0062】
判定部14dは、SMR3a及び3bをオン及びオフにしてそれぞれ計測したキャパシタ12c−1の電圧VRp及びVRn、組電池2の総電圧等に基づいて、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化やSMB3a又は3bのオン状態での溶着を検出する。なお、組電池2の総電圧等は、計測値であっても、HV_ECU40や監視IC11a及び11bから取得した値であってもよい。ここで、組電池2の総電圧及び昇圧電圧を取得する場合は、この取得は電圧VRp及びVRnの計測とタイミング同期している。そして、判定部14dは、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化やSMB3a又は3bのオン状態での溶着の判定結果(絶縁異常検知)を示す情報を、上位装置であるHV_ECU40(図1参照)へ出力する。
【0063】
すなわち、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化もしくはSMR3a又は3bのオン状態での溶着が生じると、SMR3a及び3bをオフに制御した状態でキャパシタ12c−1に充電される電圧が増加する。これにより、充電されたキャパシタ12c−1の電圧が増加した場合に、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化もしくはSMR3a又は3bのオン状態での溶着を検出する。
【0064】
例えば、計測部14cが、車載システム1をIG_ONとしたときに、制御部14によりSMR3a及び3bをオフに制御した状態で第5経路及び第6経路が形成されて充電されたキャパシタ12c−1の電圧VRp及びVRnを計測したとする。このとき、判定部14dは、電圧VRp+VRnが閾値1以上であれば、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化もしくはSMR3a又は3bのオン状態での溶着が発生した可能性があると検知する。なお、判定部14dは、電圧VRp+VRnが閾値1未満であれば、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化ならびにSMR3a及び3bのオン状態での溶着のいずれも発生していない正常状態であると検知する。
【0065】
さらに、計測部14cは、判定部14dにより絶縁抵抗Rp又はRnの劣化もしくはSMR3a又は3bのオン状態での溶着が発生した可能性があると検知された場合に、次の処理を実行する。すなわち、計測部14cは、制御部14によりSMR3a及び3bをオンに制御した状態で第5経路及び第6経路によりそれぞれ充電されたキャパシタ12c−1の電圧VRp及びVRnを計測する。そして、判定部14dは、電圧VRp+VRnが閾値2以上であれば、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化が発生した可能性があると検知する。一方、判定部14dは、電圧VRp+VRnが閾値2未満であればSMR3a又は3bのオン状態での溶着が発生した可能性があると検知する。
【0066】
そして、判定部14dは、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化が発生した可能性がある場合に、電圧VRp+VRnを閾値判定し、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化の発生の有無を判定する。また、判定部14dは、SMR3a又は3bのオン状態での溶着が発生した可能性がある場合に、電圧VRpと電圧VRnを比較判定し、SMB3a又は3bのいずれが溶着しているかを判定する。そして、判定部14dは、検知結果をHV_ECU40へ通知する。
【0067】
なお、上記の閾値判定及び比較判定は、差の判定に限らず、比の判定であってもよい。また、上記の閾値1及び閾値2は、仕様に基づく値であってもよいし、異常の誤検知が発生しない電圧VRp+VRnの値の範囲の統計を取り、統計処理した結果に基づいた値であってもよい。
【0068】
(PCUについて)
PCU20は、モータ4や車両の電装機器等へ供給する電源電圧を昇圧すると共に、直流から交流の電圧に変換する。図1に示すように、PCU20は、組電池2の正極側及び負極側と接続される。PCU20は、DCDCコンバータ21、3相インバータ22、低圧側平滑用キャパシタ23a(以下「VL」という)、抵抗23a−1及び23a−2、高圧側平滑用キャパシタ23b(以下「VH」という)を含む。低圧側平滑用キャパシタ23aは、正極側に抵抗23a−1が接続され、負極側に抵抗23a−2が接続される。そして、抵抗23a−1及び23a−2は、接地される。
【0069】
(MG_ECUについて)
MG_ECU30は、PCU20の状態監視及び制御を行う電子制御装置である。具体的には、MG_ECU30は、DCDCコンバータ21及び3相インバータ22の各動作状態や、低圧側平滑用キャパシタ23a及び高圧側平滑用キャパシタ23bの充電状態を監視する。そして、MG_ECU30は、PCU20における昇圧の有無や昇圧電圧に関する情報を取得し、上位装置であるHV_ECU40へ通知する。また、MG_ECU30は、HV_ECU40の指示に応じて、PCU20の動作を制御する。
【0070】
(HV_ECUについて)
HV_ECU40は、電池ECU10からの組電池2の充電状態等の監視結果の通知、及び、MG_ECU30からのPCU20における昇圧の有無や昇圧電圧に関する情報に応じて、電池ECU10及びMG_ECU30の制御を含む車両制御を行う。
【0071】
(実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理について)
図3Aは、実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理の一例を示すフローチャート(その1)である。また、図3Bは、実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理の一例を示すフローチャート(その2)である。実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理は、電池ECU10の制御部14により、車載システム1におけるIG_ONを契機として実行される。
【0072】
なお、以下では、図2に示す、第1スイッチ12−1を“SW1”、第2スイッチ12−2を“SW2”、第3スイッチ12−3を“SW3”、第4スイッチ12−4を“SW4”と、それぞれ略記する。同様に、以下では、図2に示す、第5スイッチ12−5を“SW5”、第6スイッチ12−6を“SW6”、第7スイッチ12−7を“SW7”と略記する。また、以下では、図2に示す、SMR3aを“SMR_B”(B軸のSMR)、SMR3bを“SMR_G”(G軸のSMR)と略記する。
【0073】
先ず、図3Aに示すように、制御部14は、車両をIG_ONにする(ステップS11)。次に、計測部14cは、フライングキャパシタ(すなわちキャパシタ12c−1)の電圧Vcが0(もしくは略0)、つまり十分放電された状態であるか否かを判定する(ステップS12)。計測部14cは、フライングキャパシタの電圧Vcが0である場合に(ステップS12:Yes)、ステップS14へ処理を移す。一方、計測部14cは、フライングキャパシタの電圧Vcが0でない場合に(ステップS12:No)、ステップS13へ処理を移す。
【0074】
ステップS13では、放電経路形成部14bは、放電経路を形成し、フライングキャパシタ(すなわちキャパシタ12c−1)の放電処理を行う。ステップS13が終了すると、制御部14は、ステップS14へ処理を移す。
【0075】
ステップS14では、制御部14は、SMR_B及びSMR_G(すなわちSMR3a及び3b)を共にオフにする。次に、充電経路形成部14aは、SW5をオフにし、キャパシタ12c−2を電圧検出回路12から切り離し、キャパシタ12c−1のみによりフライングキャパシタを構成する(ステップS15)。ステップS15により、相対的に小容量の、プリチャージ等のオーバーヘッドを要さず、速やかに充電されるフライングキャパシタを用いて、迅速に処理を行うことができる。なお、ステップS15は、フライングキャパシタの切り替え構成がない場合は、省略される。
【0076】
次に、充電経路形成部14aは、SW4及び6をオンにする(ステップS16)。ステップS16により、上記した第5経路の充電経路が形成され、Rp計測が実行され、フライングキャパシタが所定時間だけ充電される(ステップS17)。次に、充電経路形成部14aは、SW4及び6をオフにする(ステップS18)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオンにする(ステップS19)。次に、計測部14cは、A/D変換部13がサンプリングしたフライングキャパシタの電圧をもとに、電圧VRp1を取得する(ステップS20)。次に、放電経路形成部14bは、SW2及び3をオンにし(ステップS21)、フライングキャパシタの放電処理を行う(ステップS22)。
【0077】
なお、上記のステップS16〜S22が、Rp計測である。なお、フライングキャパシタの充電中の昇圧電圧や組電池2の総電圧の変動を平準化するために、ステップS16〜S22を所定回数繰り返して取得した各電圧の平均を最終的な電圧VRp1としてもよい。
【0078】
次に、充電経路形成部14aは、SW1及び7をオンにする(ステップS23)。ステップS23の結果、上記した第6経路の充電経路が形成され、Rn計測が実行され、フライングキャパシタが所定時間だけ充電される(ステップS24)。次に、充電経路形成部14aは、SW1及び7をオフにする(ステップS25)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオンにする(ステップS26)。次に、計測部14cは、A/D変換部13がサンプリングしたフライングキャパシタの電圧をもとに、電圧VRn1を取得する(ステップS27)。
【0079】
ステップS27が終了すると、ステップS28〜S30の処理と、ステップS31〜S32の処理とが並行して実行される。
【0080】
ステップS28では、計測部14cは、Voff=VRp1+VRn1により電圧Voffを算出する。次に、判定部14dは、電圧Voffが閾値1以上か否かを判定する(ステップS29)。判定部14dは、電圧Voffが閾値1以上である場合(ステップS29:Yes)に、ステップS33へ処理を移す。一方、判定部14dは、電圧Voffが閾値1未満である場合(ステップS29:No)に、ステップS30へ処理を移す。ステップS30では、判定部14dは、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化ならびにSMR3a及び3bのオン状態での溶着のいずれも発生していない正常状態であると判定する。ステップS30が終了すると、制御部14は、絶縁及び溶着検知処理を終了する。
【0081】
他方、ステップS31では、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオフにし、SW2及び3をオンにする。ステップS31の結果、フライングキャパシタの放電処理が行われる(ステップS32)。ステップS32が終了すると、制御部14は、ステップS33へ処理を移す。
【0082】
ステップS33では、制御部14は、フライングキャパシタのプリチャージを行う。なお、フライングキャパシタがプリチャージを要さない程度に十分小さな容量である場合には、ステップS33のプリチャージを省略できる。
【0083】
なお、上記のステップS23〜S27、S31、S32が、Rn計測である。なお、フライングキャパシタの充電中の昇圧電圧や組電池2の総電圧の変動を平準化するために、ステップS23〜S27、S31、S32を所定回数繰り返して取得した各電圧の平均を最終的な電圧VRn1としてもよい。
【0084】
また、ステップS16〜S22のRp計測の処理群と、ステップS23〜S27、S31、S32のRn計測の処理群とは、各処理群内の処理順序を変えずに、処理群単位で処理を入れ替えてもよい。つまり、Rn計測後にRp計測を行うとしてもよい。
【0085】
次に、図3Bに示すように、制御部14は、SMR(SMR_B及びSMR_G、すなわちSMR3a及び3b)をオンに制御する(ステップS34)。次に、充電経路形成部14aは、SW4及び6をオンにする(ステップS35)。ステップS35により、上記した第5経路の充電経路が形成され、Rp計測が実行され、フライングキャパシタが所定時間だけ充電される(ステップS36)。
【0086】
次に、充電経路形成部14aは、SW4及び6をオフにする(ステップS37)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオンにする(ステップS38)。次に、計測部14cは、A/D変換部13がサンプリングしたフライングキャパシタの電圧をもとに、電圧VRp2を取得する(ステップS39)。次に、放電経路形成部14bは、SW2及び3をオンにし(ステップS40)、フライングキャパシタの放電処理を行う(ステップS41)。
【0087】
なお、上記のステップS35〜S41が、Rp計測である。なお、フライングキャパシタの充電中の昇圧電圧や組電池2の総電圧の変動を平準化するために、ステップS35〜S41を所定回数繰り返して取得した各電圧の平均を最終的な電圧VRp2としてもよい。
【0088】
次に、充電経路形成部14aは、SW1及び7をオンにする(ステップS42)。ステップS42の結果、上記した第6経路の充電経路が形成され、Rn計測が実行され、フライングキャパシタが所定時間だけ充電される(ステップS43)。次に、充電経路形成部14aは、SW1及び7をオフにする(ステップS44)。次に、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオンにする(ステップS45)。次に、計測部14cは、A/D変換部13がサンプリングしたフライングキャパシタの電圧をもとに、電圧VRn2を取得する(ステップS46)。
【0089】
ステップS46が終了すると、ステップS47〜S50、S51の処理と、ステップS52〜S53の処理とが並行して実行される。
【0090】
ステップS47では、計測部14cは、Von=VRp2+VRn2により電圧Vonを算出する。次に、計測部14cは、ΔV=Von−Voffにより電圧ΔVを算出する(ステップS48)。次に、判定部14dは、電圧ΔVが閾値2以上か否かを判定する(ステップS49)。判定部14dは、電圧ΔVが閾値2以上である場合(ステップS49:Yes)に、ステップS50へ処理を移す。一方、判定部14dは、電圧ΔVが閾値2未満である場合(ステップS49:No)に、ステップS51へ処理を移す。ステップS50では、判定部14dは、図4を参照して後述する、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化を判定する絶縁判定処理を実行する。一方、ステップS51では、判定部14dは、図5を参照して後述する、SMR_B又はSMR_G(SMR3a又は3b)のオン状態での溶着を判定する溶着判定処理を実行する。ステップS50又はS51が終了すると、制御部14は、絶縁及び溶着検知処理を終了する。
【0091】
他方、ステップS52では、放電経路形成部14bは、SW6及び7をオフにし、SW2及び3をオンにする。ステップS52の結果、フライングキャパシタの放電処理が行われる(ステップS53)。ステップS53が終了すると、制御部14は、絶縁及び溶着検知処理を終了する。
【0092】
なお、上記のステップS42〜S46、S52、S53が、Rn計測である。なお、フライングキャパシタの充電中の昇圧電圧や組電池2の総電圧の変動を平準化するために、ステップS42〜S46、S52、S53を所定回数繰り返して取得した各電圧の平均を最終的な電圧VRn2としてもよい。
【0093】
また、ステップS35〜S41のRp計測の処理群と、ステップS42〜S46、S52、S53のRn計測の処理群とは、各処理群内の処理順序を変えずに、処理群単位で処理を入れ替えてもよい。つまり、Rn計測後にRp計測を行うとしてもよい。
【0094】
(実施形態1に係る絶縁判定処理について)
図4は、実施形態1に係る絶縁判定処理の一例を示すフローチャートである。図4は、図3BのステップS50のサブルーチンを示す。
【0095】
先ず、判定部14dは、組電池2の総電圧Vから判定閾値Vthを決定する(ステップS50−1)。次に、判定部14dは、Voff≧Vthか否かを判定する(ステップS50−2)。判定部14dは、Voff≧Vthと判定した場合(ステップS50−2:Yes)に、ステップS50−3へ処理を移す。一方、判定部14dは、Voff<Vthと判定した場合(ステップS50−2:No)に、ステップS50−4へ処理を移す。
【0096】
ステップS50−3では、判定部14dは、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化を検出し、絶縁抵抗異常と判定する。一方、ステップS50−4では判定部14dは、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化を検出せず、絶縁抵抗正常と判定する。ステップS50−3又はS50−4が終了すると、判定部14dは、絶縁判定処理を終了して図3Bの絶縁及び溶着検知処理を終了する。
【0097】
(実施形態1に係る溶着判定処理について)
図5は、実施形態1に係る溶着判定処理の一例を示すフローチャートである。図5は、図3BのステップS51のサブルーチンを示す。
【0098】
先ず、判定部14dは、電圧VRp2及びVRn2について、VRp2≧VRn2であるか否かを判定する(ステップS51−1)。判定部14dは、VRp2≧VRn2である場合(ステップS51−1:Yes)に、ステップS51−2へ処理を移す。一方、判定部14dは、VRp2<VRn2である場合(ステップS51−1:No)に、ステップS51−3へ処理を移す。
【0099】
ステップS51−2では、判定部14dは、SMR_B(すなわちSMR3a)がオン状態で溶着していると判定する。一方、ステップS51−3では、判定部14dは、SMR_G(すなわちSMR3b)がオン状態で溶着していると判定する。なお、判定部14dは、ステップS51−1において、VRp2=VRn2である場合には、判定部14dは、SMR_B(すなわちSMR3a)及びSMR_G(すなわちSMR3b)の両方がオン状態で溶着していると判定してもよい。ステップS51−2又はS51−3が終了すると、判定部14dは、溶着判定処理を終了して図3Bの絶縁及び溶着検知処理を終了する。
【0100】
(実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理のタイミングチャート)
図6は、実施形態1に係る絶縁及び溶着検知処理の一例を示すタイミングチャートである。図7Aは、実施形態1に係るSMRオフ時のフライングキャパシタの充電電圧の経時変化を示す図である。図7Bは、実施形態1に係るSMRオフ時及びSMRオン時のフライングキャパシタの充電電圧差の経時変化を示す図である。
【0101】
図6に示すように、電池ECU10は、タイミングt11〜t16において、Rp計測を行う。電池ECU10は、Rp計測中に、タイミングt11〜t12において、SW4及び6をオンにしてフライングキャパシタの電荷チャージ(充電)を行う。
【0102】
また、電池ECU10は、タイミングt13〜t14において、SW6及び7をオンにして、フライングキャパシタの電圧のA/Dサンプリングにより、電圧VRp1を計測する。そして、電池ECU10は、タイミングt15〜t16において、SW2及び3をオンにして、フライングキャパシタのディスチャージ(放電)を行う。
【0103】
また、電池ECU10は、タイミングt17〜t22において、Rn計測を行う。電池ECU10は、Rn計測中に、タイミングt17〜t18において、SW1及び7をオンにしてフライングキャパシタの電荷チャージ(充電)を行う。
【0104】
また、電池ECU10は、タイミングt19〜t20において、SW6及び7をオンにして、フライングキャパシタの電圧のA/Dサンプリングにより、電圧VRn1を計測する。そして、電池ECU10は、タイミングt21〜t22において、SW2及び3をオンにして、フライングキャパシタのディスチャージ(放電)を行う。
【0105】
次に、電池ECU10は、タイミングt23以降においてSMR_B及びSMR_G(すなわちSMR3a及び3b)をオフ状態からオン状態へ制御する。この制御に伴い、低圧側平滑用キャパシタ23a(VL)及び高圧側平滑用キャパシタ23b(VH)がプリチャージされ、タイミングt24に至るまでに概ね満充電状態となる。
【0106】
そして、電池ECU10は、タイミングt24〜t29において、Rp計測を行う。電池ECU10は、Rp計測中に、タイミングt24〜t25において、SW4及び6をオンにしてフライングキャパシタの電荷チャージ(充電)を行う。
【0107】
また、電池ECU10は、タイミングt26〜t27において、SW6及び7をオンにして、フライングキャパシタの電圧のA/Dサンプリングにより、電圧VRp2を計測する。そして、電池ECU10は、タイミングt28〜t29において、SW2及び3をオンにして、フライングキャパシタのディスチャージ(放電)を行う。
【0108】
また、電池ECU10は、タイミングt30〜t35において、Rn計測を行う。電池ECU10は、Rn計測中に、タイミングt30〜t31において、SW1及び7をオンにしてフライングキャパシタの電荷チャージ(充電)を行う。
【0109】
また、電池ECU10は、タイミングt32〜t33において、SW6及び7をオンにして、フライングキャパシタの電圧のA/Dサンプリングにより、電圧VRn2を計測する。そして、電池ECU10は、タイミングt34〜t35において、SW2及び3をオンにして、フライングキャパシタのディスチャージ(放電)を行う。
【0110】
ここで、図6に示すように、VL及びVHのチャージ曲線は、タイミングt23を境にチャージ電荷が上限まで逓増する曲線となり、所定時間経過後、VL及びVHは満充電状態となる。VL(低圧側平滑用キャパシタ23a)が満充電状態になると、SMR_B及びSMR_G(SMR3a及び3b)がオン状態に制御されたときに、SMR_Bと抵抗23a−1、SMR_Gと抵抗23a−2のそれぞれが接続された状態になる。そして、Vp計測時に抵抗23a−1に相当する電荷がフライングキャパシタにチャージされ、Vn計測時に抵抗23a−2に相当する電荷がフライングキャパシタにチャージされる。ここで、例えば、SMR_B(SMR3a)が溶着していると、タイミングt23以前であってもVp計測時に抵抗23a−1に相当する電荷がフライングキャパシタにチャージされる。また、例えば、SMR_G(SMR3b)が溶着していると、タイミングt23以前であってもVn計測時に抵抗23a−2に相当する電荷がフライングキャパシタにチャージされる。よって、タイミングt11〜t22で取得した電圧VRp1+VRn1が、SMR_B又はSMR_G(SMR3a又は3b)の溶着の影響のために、SMR_B及びSMR_G(SMR3a及び3b)の溶着がない場合の電圧を超える所定閾値以上となる。
【0111】
すなわち、図7Aに示すように、電圧VRp1+VRn1が、閾値1以上のVoff2となる場合に、SMR_B又はSMR_Gのオン状態での溶着もしくは絶縁抵抗Rp又はRnの異常の可能がある。また、図7Aに示すように、電圧VRp1+VRn1が、閾値1未満のVoff1となる場合に、SMR_B及びSMR_Gのオン状態での溶着ならびに絶縁抵抗Rp及びRnの異常はない。図3Aに示すステップS29は、この異常を切り分けるために行う判定処理である。
【0112】
また、例えば、SMR_Bが溶着していると、タイミングt23以前であってもVp計測時に抵抗23a−1に相当する電荷がフライングキャパシタにチャージされる。また、例えば、SMR_Gが溶着していると、タイミングt23以前であってもVn計測時に抵抗22a−2に相当する電荷がフライングキャパシタにチャージされる。このため、タイミングt11〜t23で取得した電圧VRp1+VRn1と、タイミングt24〜t35で取得した電圧VRp2+VRn2は、溶着したSMRと対応する抵抗23a−1又は23a−2によるチャージ分が共に上乗せされており、差がほとんどない。
【0113】
このため、図7Bに示すように、電圧{(VRp1+VRn1)−(VRp2+VRn2)}が、閾値2を下回るΔV1となる場合には、SMR_B又はSMR_G(SMR3a又は3b)の溶着が発生していると判定できる。また、図7Bに示すように、電圧{(VRp1+VRn1)−(VRp2+VRn2)}が、閾値2を上回るΔV2となる場合には、SMR_B又はSMR_G(SMR3a又は3b)の溶着ではなく、絶縁抵抗Rp又はRnの異常と判定できる。図3Bに示すステップS49は、この異常を切り分けるために行う判定処理である。
【0114】
図8Aは、実施形態1に係るバッテリ及びSMRの各状態におけるフライングキャパシタの充電電圧を示す図である。また、図8Bは、実施形態1に係るバッテリ及びSMRの各状態におけるフライングキャパシタの充電電圧の経時変化を示す図である。図8Aのマトリクスに示すように、バッテリの絶縁状態が正常かつSMR正常の場合には、フライングキャパシタの総充電電圧Vは、SMRのオンオフに関わらず概ね0となる。また、バッテリの絶縁状態が正常かつSMR異常の場合には、フライングキャパシタの総充電電圧Vは、SMRのオンオフに関わらずSMRオン(もしくはSMR溶着)による充電電圧VLと概ね等しくなる。
【0115】
また、バッテリの絶縁状態が異常かつSMR正常の場合には、SMRオフのとき、フライングキャパシタの総充電電圧Vは、バッテリの絶縁状態が異常による充電電圧Vpと概ね等しくなる。また、バッテリの絶縁状態が異常かつSMR正常の場合には、SMRオンのとき、フライングキャパシタの総充電電圧Vは、バッテリの絶縁状態が異常による充電電圧VpとSMRオンによる充電電圧VLの和Vp+VLと概ね等しくなる。また、バッテリの絶縁状態が異常かつSMR異常の場合には、フライングキャパシタの総充電電圧VはSMRのオンオフに関わらずVp+VLと概ね等しくなる。
【0116】
すなわち、図8Aから、少なくとも、バッテリの絶縁状態又はSMRのいずれかが異常もしくはバッテリの絶縁状態及びSMRが共に正常である場合は、フライングキャパシタの充電電圧をもとにこれらの異常又は正常を判定できることが分かる。
【0117】
よって、図8Bに示す曲線c1のように、フライングキャパシタの充電電圧Vが、時刻が十分経過後においてSMRオン溶着による充電電圧VLの閾値(VL閾値)を下回る場合には、バッテリの絶縁状態及びSMRのいずれも正常であると判定できる。また、図8Bに示す曲線c2のように、フライングキャパシタの充電電圧Vが、時刻が十分経過後においてVL閾値を超えかつバッテリの絶縁状態が異常による充電電圧Vpの閾値(Vp閾値)を下回る場合には、SMRが異常かつバッテリの絶縁状態が正常であると判定できる。また、図8Bに示す曲線c3のように、フライングキャパシタの充電電圧Vが、時刻が十分経過後においてVp閾値を超える場合には、SMRが正常であり、バッテリの絶縁状態が異常であると判定できる。
【0118】
実施形態1によれば、既存の絶縁検知のための回路及び処理を用いてSMRの溶着検知を行うため、簡易な制御処理及び回路構成で、SMRの溶着検知を行うことができる。また、実施形態1によれば、キャパシタ12c−1により構成される相対的に小容量のフライングキャパシタを用いることでフライングキャパシタのチャージ時間等を省略し、SMRの溶着検知処理時間を短縮できる。また、実施形態1は、車両のイグニション・オン時に電圧Voff及びVonを取得し、その差分を閾値判定するので、絶縁抵抗Rp又はRnの劣化時であってもSMRの溶着検知を行うことができる。また、実施形態1によれば、SMRがB軸及びG軸の2軸構成であっても、電圧VonのうちのRp計測による電圧VRp及びRn計測による電圧VRnの比較により、SMRの溶着検知かついずれのSMRが溶着したかの検知を行うことができる。また、実施形態1では、SMRをオフにした状態で計測した電圧Voffが所定閾値未満である場合に、絶縁異常も溶着も発生していない正常と判定し、SMRをオンにした状態での電圧Vonの計測をキャンセルするので、処理の効率化を図ることができる。
【0119】
[実施形態2]
実施形態1では、IG_ON後において取得した電圧Voff及びVonをもとに、絶縁検知及びSMR溶着検知を行う。しかし、これに限らず、IG_OFF後において取得した電圧Voff及びVonをもとに、絶縁検知及びSMR溶着検知を行ってもよい。以下、IG_OFF後において取得した電圧Voff及びVonをもとに絶縁検知及びSMR溶着検知を行う例を、実施形態2として、実施形態1と異なる点について説明する。
【0120】
実施形態2は、実施形態1における絶縁及び溶着検知処理(図3A参照)のステップS11において、IG_OFF→IG_ONとする代わりにIG_ON→IG_OFFとする。図9は、実施形態2に係る絶縁及び溶着検知処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0121】
図9に示す実施形態2に係るタイミングt51〜t62、t64〜t75におけるSW1〜SW7のオンオフ制御は、図6に示す実施形態1に係るタイミングt11〜t22、t24〜t35におけるSW1〜SW7のオンオフ制御と同一である。しかし、実施形態2に係る絶縁及び溶着検知処理において、電池ECU10は、タイミングt63以降でSMR_B及びSMR_G(すなわちSMR3a及び3b)をオン状態からオフ状態へ制御する。この制御に伴い、低圧側平滑用キャパシタ23a(VL)及び高圧側平滑用キャパシタ23b(VH)がディスチャージされ、タイミングt64に至るまでに概ね放電完了状態となる。このように、IG_OFF時においても、SMR_B(SMR3a)及びSMRG(SMR3b)のオンオフ制御が行われるため、実施形態1と同様に溶着検知を行うことができる。
【0122】
実施形態1〜2において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともできる。もしくは、実施形態1〜2において説明した各処理のうち、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述及び図示の処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて適宜変更することができる。
【0123】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、開示の技術のより広範な態様は、上記のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0124】
1 車載システム
2 組電池
2A、2B 電池スタック
2a、2b 電池セル
3a、3b SMR
4 モータ
10 電池ECU
11a、11b 監視IC
12 電圧検出回路
13 A/D変換部
14 制御部
14a 充電経路形成部
14b 放電経路形成部
14c 計測部
14d 判定部
15 電源IC
20 PCU
30 MG_ECU
40 HV_ECU
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9