(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転駆動装置は、手動操作される電動または流体圧作動のインパクト装置であることを特徴とする請求項1または2に記載のデッキプレートと接合部とをタッピングボルトで支圧接合する方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の実施の一形態のタッピングボルト20の案内装置200によって、タッピングボルト20を案内してねじ込む状態を示す断面図である。
図2は、本発明の実施の一形態におけるタッピングボルト20のための下穴削孔用環状回転刃物60と切屑からの保護装置100の一部を示す断面図である。
図3は、
図1の案内装置200ならびに
図2の下穴削孔用環状回転刃物60および切屑からの保護装置100を使用して補修した鋼橋の橋床構造を構成する鋼床版30を示す断面図である。
図3の鋼床版30は、鋼板から成るデッキプレート31が、Uリブと略称される逆台形閉断面を有する縦トラフリブ32によって補剛されて構成される。Uリブ32のウエブ33の上端部は、デッキプレート31の下面に、溶接金属35の連続隅肉溶接によって溶接接合される。Uリブ32は、橋の横方向(
図3の左右方向)に間隔をあけて複数、配置される。Uリブは、ウエブ33とフランジ34とから成る。デッキプレート31上には、防水層36およびアスファルト舗装37がこの順序で施工される。
【0023】
溶接金属35に疲労亀裂が生じたとき、デッキプレート31の下方でかつUリブ32の外方で、当て板40を用いて補修される。当て板40は、デッキプレート31の下面に当接して接合される一方の接合部41と、ウエブ33の外面に当接して接合される他方の接合部42とが、弯曲した連続部で連なって構成される。一方の接合部41とデッキプレート31とは、デッキプレート31の下方で片面施工されるタッピングボルト20によって支圧接合される。他方の接合部42とウエブ33とは、ウエブ33の外方で片面施工されるハック高力ボルト230によって摩擦接合される。これによって、デッキプレート31の上面で防水層36および舗装37を剥離する必要がなく、したがって、走行車両の交通規制、通行止めの必要がなく、施工工事に大きな労力、時間が軽減される。
【0024】
図4は、本発明の実施の一形態の補修方法を示すフローチャートである。補修にあたり、ステップa1では、先ず、たとえばビード貫通亀裂が生じた溶接金属35を当て板40に代えるために、当て板40を用いて補修する領域にわたって溶接金属35を切削除去する。
【0025】
図5は、鋼床版30の一部を簡略化して示す断面図であり、併せて溶接金属35付近を拡大して示す。鋼床版30を工場で製造するとき、
図5を上下逆にした状態で、溶接される。したがって、Uリブ32のウエブ33の
図5における上部では、内端部43がデッキプレート31に当接し、外端部にデッキプレート31とともに溶接金属35が形成され、応力のデッキプレート31とUリブ32の伝達が、内端部43の当接と溶接金属35とによって行なわれる。
【0026】
溶接金属35は、グラインダ45が手動操作されて、その回転切削刃46によって切削され、分断除去される。回転切削刃46によってデッキプレート31が損傷しないようにし、デッキプレート31の応力集中の発生を防ぐ。Uリブ32の内端部43は、回転切削刃46によって切削されず、デッキプレート31と当接したままである。
次に、当て板40が準備される。
【0027】
図6は、当て板40の橋軸方向に沿う縦断面図である。一方の接合部41には、タッピングボルト20の複数の下穴25および仮止めボルトのための複数の仮止めボルト挿通孔26が、当て板40の長手方向に等間隔に穿設される。仮止めボルトは、タッピングボルトによって実現され、仮止めボルトの軸部は、タッピングボルト20の軸部に比べて、小径である。一例として、仮止めボルトの軸部の長さは24mmであり、タッピングボルト20の軸部の長さは20mmであり、仮止めボルトの軸部が、デッキプレート31から防水層36側へ突出しないように、仮止めボルトの頭部と当て板40の一方の接合部41との間にスペーサが介在される。当て板40の下穴25と仮止めボルト挿通孔26とは1列を成し、仮止めボルト挿通孔26は、その列の中央位置付近に、隣接して、または中央位置に関して列方向(
図6の左右方向)に対称な位置に間隔をあけて、複数、たとえば2つ配置される。他方の接合部42には、ハック高力ボルト230ためのボルト挿通孔27が1列に、一方の接合部41における前記間隔と同様に、等間隔に穿設される。
【0028】
図4のステップa2では、デッキプレート31に穿設すべき仮止めボルトのための下穴28(次の
図7参照)を位置決めする。
【0029】
図7は、ステップa2、a3を説明するための鋼床版30の断面図である。ステップa2では、当て板40を補修すべき位置へ移動して、磁気吸着保持装置170によって、各接合部41、42を、デッキプレート31の下面およびUリブ32のウエブ33の外面にそれぞれ当接したままで、保持する。ステップa3では、保持された当て板40の仮止めボルト挿通孔26によって位置決めされた仮止めボルト下穴28を削孔する。
【0030】
図8は磁気吸着保持装置170を示す斜視図であり、
図9は磁気吸着保持装置170の正面図であり、
図10は磁気吸着保持装置170の側面図である。磁気吸着保持装置170は、磁気吸着面171の磁気吸着力を大小に切換えることができる磁気吸着具172と、磁気吸着具172の一側部に取付けられる保持体173とを含む。保持体173は、磁気吸着面171が磁気吸着する対象面であるデッキプレート31の下面に近接離反変位して、デッキプレート31の下面との間の距離L1(
図9)を設定可能である。
【0031】
保持体173は、磁気吸着具172の一側部から外方に突設されるブラケット175と、ブラケット175に固定されるナット部材176と、ナット部材176に螺合するボルト部材177と、ボルト部材177における対象面であるデッキプレート31の下面寄りの一端部に設けられる押付け片178と、ボルト部材177のデッキプレート31の下面とは反対側の他端部に設けられ、手動回転操作される蝶形操作片179とを含む。押付け片178は、ボルト部材177の一端部に固定される支持片181と、支持片181にデッキプレート31の下面に臨んで固定される弾発性材料、たとえばゴム、合成樹脂からなる押付け部182とを有する。ブラケット175は、突片183と固定片184とがL字状に形成され、リブ185で補強される。突片183には、ナット部材176が固定され、ボルト部材177が挿通する。固定片184は、ボルト186によって磁気吸着具172の一側部に螺着される。
【0032】
図11は、磁気吸着具172の磁気吸着力を大小に切換える原理を説明するための簡略化した斜視図である。
図8〜11は、図解の便宜のために、
図7の使用状態とは上下を逆にして示される。磁気吸着具172は、磁気吸着具本体191に固定される固定磁石片192と、操作部194によって固定磁石片192に対して180°往復角変位操作可能な移動磁石片193とを含む。固定磁石片192と移動磁石片193とは、NSの2磁極が角変位操作の軸線まわりに周方向に形成される永久磁石から成る。
【0033】
図11(1)のように、固定磁石片192と移動磁石片193との同一磁極が角変位軸線195の方向に重なっている状態では、大きな合成磁束が形成される。したがって、磁気吸着面171は、大きな磁気吸着力でデッキプレート31に吸着する。こうして、磁気吸着面171がデッキプレート31に吸着して、押付け片178によって、当て板40の接合部41をデッキプレート31の下面に押付けて保持することができる。
【0034】
図11(2)のように、固定磁石片192と移動磁石片193との異なる磁極が角変位軸線195の方向に重なっている状態では、合成磁束は小さく、またはその磁束は零となる。したがって、磁気吸着面171を、デッキプレート31から離脱できる。こうして、磁気吸着保持装置170によって当て板40をデッキプレート31下面へ保持している状態を解除できる。
【0035】
図12は、本発明の実施の他の形態の磁気吸着保持装置170aの側面図である。この実施の形態は、
図8〜11の実施の形態に類似し、対応する部分には、同一の参照符を付し、また同一の数字に添え字aを付して示す。注目すべきは、この磁気吸着保持装置170aでは、磁気吸着具172の一側部に前述の保持体173が固定されるだけでなく、反対の他側部に離脱防止体196が固定される。離脱防止体196は、磁気吸着具172の他側部から外方に突設される突片183aと固定片184aとがL字状に形成され、リブ185aで補強される。固定片184aは、ボルト186aによって磁気吸着具172の他側部に螺着される。突片183aの
図12における下面は、磁気吸着面171と面一である。
【0036】
使用中、保持体173の押付け片178が当て板40の接合部41をデッキプレート31の下面に押付けて保持している状態において、押付け片178が受ける反力によって磁気吸着具172には、モーメント197が作用する。このとき、離脱防止体196は、保持体173とは磁気吸着具172に関して反対側(
図12の左方)で、デッキプレート31の下面に当接するので、磁気吸着具172がモーメント197によって転倒することが防止され、磁気吸着具172の磁気吸着面171がデッキプレート31の下面から離脱することが防止される。離脱防止体196は、鋼などの強磁性体から成ってもよく、これによって磁気吸着力を増大できる。
磁気吸着保持装置170、170aの磁気吸着力は、面積などにもよるが、たとえば30〜250kgであって大きな値である。当て板40はたとえば長さ1m、重量15kgであるので、磁気吸着保持装置170、170aによれば、作業者による当て板40のデッキプレート31への保持作業の負担を大きく軽減できる。
【0037】
磁気吸着保持装置170、170aは、当て板40の他方の接合部42を保持するためにも使用できる。
【0038】
ステップa3では、
図7のように、ステップa2において磁気吸着保持装置170によって当て板40の接合部41をデッキプレート31の下面に当接した保持状態で、デッキプレート31に、デッキプレート31の厚みと等しい長さを有する仮止めボルト下穴28を、切削加工装置であるボール盤50のホールソーである環状回転刃物60aによって貫通して削孔する。このステップa3の操作は、
図2に関連して後述のステップa7で、デッキプレート31にタッピングボルト20の下穴23をボール盤50によって貫通して削孔する操作に類似し、類似の説明を繰返すことを避けるために、ステップa7におけるタッピングボルト20の下穴23の削孔について述べる。
【0039】
ボール盤50は、
図2に示されるように、タッピングボルト20の下穴23の削孔のために軸線61まわりに回転されるホールソーである環状回転刃物60と、装置本体51とを有する。装置本体51は、ボデイ56を磁気吸着力で当て板40の一方の接合部41に着脱自在に取付けるための磁気装置95を有する。装置本体51は、回転刃物60が装着されるチャックなどの装着部52と、装着部52を軸線61まわりに回転駆動する駆動部であるアーバ53と、支持部54とを備える。支持部54は、アーバ53を軸線61まわりに回転自在に支持してアーバ53を軸線61に沿って直線変位するクイル54aと、軸線61に沿って、クイル54aを直線変位するとともにボデイ56と相対的に直線変位するクイルガイド54bとを有する。クイルガイド54bは、ボデイ56の一部を構成する案内部96によって、軸線61に沿って直線変位自在に案内される。クイルガイド54bは、切刃65側(
図2の上方)に、案内部96の内径よりも隙間107をあけて小径に形成された突部97を有する。
【0040】
クイルガイド54bには、操作軸57が角変位自在に設けられる。操作軸57の一端部および他端部は、
図7および後述の
図17の紙面に垂直方向の手前および背後にそれぞれ突出して設けられ、これらの各端部には、送りハンドル55の基端部が着脱交換可能に取付けられる。操作軸57には、ピニオン58が固定される。ピニオン58は、ラック94に噛合し、ラック94は、ボデイ56に固定される。送りハンドル55を搖動操作することによって、クイル54aとクイルガイド54bとが個別的に、ボデイ56と相対的に直線変位し、これによって、アーバ53のボデイ56に対する昇降変位量を大きくできる。
【0041】
図13は、回転刃物60の全体の斜視図である。回転刃物60は、刃物本体62と、ストッパ80とを有する。刃物本体62は、軸線61まわりに回転されて切削する加工部である環状の刃先部63と、刃先部63に軸線61方向に連なる取付け部64とを有する。
【0042】
図14は回転刃物60の刃先部63から見た斜視図であり、
図15は回転刃物60の断面図である。刃物本体62には、刃先部63における複数の切刃65から軸線方向内方(
図13の左方、
図15の下方)に延びて、切刃65によって切削された円板状の切屑91(
図16)が入り込む中空部66が形成される。刃物本体62には、同軸に、中空部66に連なる取付け孔67が貫通して形成される。刃先部63の切刃65は、軸線61まわりの回転方向76の上流に臨む。刃先部63には、切刃65からの切屑を導く排出溝68が形成され、排出溝68の端は、軸直角断面が円形であるくびれ部69に連なる。取付け部64は、くびれ部69に連なる大径の胴部71と、装着部52に着脱自在に係合されて装着される装着軸部72とを有する。刃先部63は、切刃65から排出溝68の端付近までの領域では、その外径が取付け部64側になるにつれて軸線61に沿って小さくなる円錐台状の有底筒状である。くびれ部69の外径は、軸線61に沿って一様な直円柱状であり、または円錐台状であってもよい。
【0043】
ストッパ80は、中空部66内で、刃物本体62に設けられる。ストッパ80には、切刃65から軸線方向内方に、デッキプレート31に穿孔されるタッピングボルト20の下穴23(
図2)である切削孔の長さ、すなわち深さ、したがって、デッキプレート31の厚みに等しい位置に当接端81が形成される。
【0044】
ストッパ80は、保持棒82と、当接部材85とを含む。保持棒82は、取付け孔67に挿通され、一端部83が中空部66に臨み、他端部84が取付け部64の遊端部74に隅肉溶接によって固定される。その溶接金属75は、中空部66に連なる保持棒82の外周面と取付け孔67の内周面との隙間を気密に閉じる。当接部材85は、当接端81を有し、保持棒82の一端部83に、刃物本体62の軸線方向に当接端81の位置を調整可能に設けられる。
【0045】
図16は、当接部材85の拡大断面図である。当接部材85は、ボルト86とスペーサ89とを有する。ボルト86の頭部87の遊端面は、当接端81を形成する。ボルト86の軸部88は、保持棒82の一端部83に、軸線61と同軸に刻設されたねじ孔に着脱調整可能に螺着される。当接端81は、軸線61に垂直である。ボルト86は、皿小ねじなどであってもよい。スペーサ89は、偏平な円環状に形成され、ボルト86の軸部88に交換可能に挿通し、ボルト86の頭部87と保持棒82の一端部83の端面との間に挟持される。スペーサ89は、単一枚または複数枚であってもよく、切刃65と当接端81との軸線61に沿う長さL2(
図15)が、前述の切削孔の希望する深さであるデッキプレート31の厚みになるように、設定される。
【0046】
装置本体51のボデイ56には、プッシュロッド59が軸線61方向に変位自在に設けられる。プッシュロッド59には、軸線61方向の外方48にばね力が与えられている。
図45のボール盤7において、後述の
図24のように、従来のホールソー8が使用されるとき、プッシュロッド59は、ホールソー8内を移動自在なセンタ−ピン14を押して、切削後の切屑139をホールソー8の外方に排出する。本発明の実施の形態では、プッシュロッド59は、回転刃物60の保持棒82の他端部84に、弾発的に当接して停止したままである。
【0047】
デッキプレート31にタッピングボルト20の下穴23(
図2)を穿孔するにあたり、下穴23のための回転刃物60をボール盤50に装着し、切刃65を上向きにした姿勢で、中空部66に切削油77(
図15)を入れて貯留し、その後、回転刃物60が当て板40の一方の接合部41に予め形成されているタッピングボルト20の直下に位置するように、ボール盤50を、磁気吸着力で当て板40の一方の接合部41に取付ける。回転刃物60を、回転駆動し、タッピングボルト20の下穴25によって案内して、ボール盤50の送りハンドル55の操作によってデッキプレート31に向けて移動する。切削油77は、回転による遠心力によって中空部66の内周面を参照符78(
図15)のように上昇し、これによって、円滑な切削ができる。
【0048】
図45は、従来のホールソー8を装着したボール盤7を誤って操作して、当て板3の工場で予め形成されている下穴11によってホールソー8を案内して、デッキプレート2の下穴12を削孔する状態を示す断面図である。ボール盤7は、磁気吸着力で当て板3に取付けられ、作業者が送りハンドルを搖動操作して、ホールソー8をデッキプレート2へ押付けて移動する。
【0049】
デッキプレート2に、そのデッキプレート2の厚みと等しい長さだけ貫通した下穴12を削孔しようとする際、作業者が操作を誤ると、ホールソー8の切刃17が、デッキプレート2の上面に突出し、防水層13とアスファルト舗装5とを損傷しがちである。デッキプレート2の厚み分だけを切削するボール盤7の操作は、困難である。本発明では、環状回転刃物60のストッパ80によって、および後述の環状回転刃物140の磁気吸着体141によって、この問題を解決する。
【0050】
さらに
図45における従来のボール盤7では、ホールソー8と同軸のセンターピン14が自然状態ではホールソー8の切刃から軸線方向外方(
図44では上方)に突出している。ボール盤7を、切刃17が下方になる姿勢で操作するとき、センターピン14の先端が被加工物の上面に当接して、切削に伴なって、ホールソー8と相対的に軸線方向内方に弾発的に変位することによって、供給タンクからの切削油をその自重によって供給する通路が、閉から開に形成される。しかし、本発明では、
図7、
図15のように環状回転刃物8が上向きになるようにボール盤50が操作される姿勢では、切削油の供給タンクは、環状回転刃物8よりも
図45の下方に位置するので、切削油の自重による供給ができない。本発明では、回転刃物60を上向きにした姿勢で、中空部66に切削油77を入れて貯留し、この問題を解決する。
【0051】
切刃65は、デッキプレート31を下面から上方へ切削してゆき、切屑91(
図15)は、円板状になって中空部66に入り込む。切屑91がストッパ80の当接端81に当接したとき、切屑91の厚みは、切刃65と当接端81との間の長さL2であり、デッキプレート31の厚みだけ貫通した下穴23が形成され、切刃65によるそれ以上の切削が不可能になる。したがって、デッキプレート31上の防水層36および舗装37が回転刃物60の切刃65によって、損傷されることが防止される。本発明の実施の他の形態では、当接端81は、磁気吸着可能に磁化され、後述の
図26における磁気吸着端141によって実現されてもよい。
【0052】
図17はボール盤50の装置本体51を切屑から保護する保護装置100の側面図であり、
図18は保護装置100の平面図である。保護装置100は、カバー部材101と、切屑回収装置110とを含む。カバー部材101は、回転刃物60の切削作業によってデッキプレート31から落下飛散する切屑が、装置本体51の回転、直線変位などの運動をする部分の隙間に入り込んで、その円滑な運動を阻害することを防止する。切屑回収装置110は、その切屑が切削作業の周辺の環境を悪化させないように、切屑を回収する役目を果たす。
【0053】
図19は、カバー部材101の斜視図である。カバー部材101は、端壁部102と、端壁部102に軸線方向に連なる周壁部103とを有し、シリコンゴムなどのゴム、または合成樹脂などの弾発性を有し、透光性のある材料から成り、射出成形および機械加工によって製造される。この材料は、高温度の切屑が接触するので耐熱性に優れていなければならず、また切削油が使用されることが多いので耐油性に優れていることが好ましい。端壁部102には、回転刃物60のくびれ部69が挿通する取付け孔104が形成される。端壁部102の伸縮によって、取付け孔104には、回転刃物60が、切刃65から、または遊端部74から挿通され、取付け孔104の内周面は、くびれ部69の外周面に弾発的に隙間なく常に接触しており、したがって、くびれ部69とカバー部材101とは一体的に、たとえば1100rpmで回転する。これによって、切削時、カバー部材101は、落下してきて端壁部102と周壁部103との外面に接触する切屑を、遠心力で飛散し、端壁部102と周壁部103との空間105内に切屑が侵入することを防止する。
【0054】
カバー部材101が回転刃物60とともに停止している自然状態では、周壁部103の端壁部102とは反対側(
図2の下方)の端部252aの内径は、突部97を含むクイルガイド54bの外径よりも大きく、したがって、端部252aの内周面と突部97を含むクイルガイド54bの外周面とは、接触せず、隙間109が存在する。カバー部材101が回転刃物60とともに回転するとき、遠心力によって周壁部103は半径方向外方にわずかに拡がり、隙間109もさらに拡がり、したがって、端部252aの内周面と突部97を含むクイルガイド54bの外周面との接触が確実に回避される。
【0055】
回転刃物60の回転切削時、切屑が空間105内に侵入しないので、特に支持部54のクイル54aとクイルガイド54bとの隙間106、クイルガイド54bとボデイ56の案内部96との隙間107、アーバ53とクイル54aとの隙間108などへ侵入することがなく、また装着部52の内部へ侵入することがなく、これらの回転、直線変位などの部分の円滑な運動が阻害されることはない。カバー部材101は、透光性を有するので、作業者は、切削作業中に空間105内を観察することができる。
【0056】
図20は、切屑回収装置110の斜視図である。切屑回収装置110は、収納体111と、収納体111をデッキプレート31の下面の当て板40の一方の接合部41に磁気吸着する磁気吸着部材120〜122とを含む。収納体111は、カバー部材101と、刃先部63の下方で装置本体51の少なくとも一部分とを覆い、落下飛散する切屑を収納して回収する。
【0057】
収納体111は、ボデイ56の案内部96に関して、送りハンドル55の操作軸57の軸線方向の両側に配置される一対の側板112、113と、ボデイ56の案内部96とは反対の外方(
図17の左方)で側板112、113に連なる外端板114と、ボデイ56の下方で側板112、113に連なる内端板115と、これらの側板112、113と外端板114と内端板115との下端に連なる底板116とは、組合わされて切屑を収納して回収する内部の回収空間117を形成する。側板112、113と外端板114と内端板115と底板116とは、透光性のある合成樹脂製の板によって実現され、したがって、作業者は外方から回収空間117内およびカバー部材101内を観察することができる。内端板115の上端部115aと側板112、113の側部112a、113aとは、ボデイ56の案内部96が回収空間117内に込む開口部118を形成する。
【0058】
側板112、113の上端部と外端板114の上端部との回収空間117に臨む内面には、ほぼU字状に形成された、たとえば金属製の補強部材131が固定される。内端板115の上端部115aの回収空間117に臨む内面と、その上端部115aと同一位置で側板112、113および外端板114の回収空間117に臨む各内面とにわたって、閉ループ状に形成された、たとえば金属製の補強部材132が固定される。同様にして、底板116上で、内端板115と側板112、113と外端板114との回収空間117に臨む各内面にわたって、閉ループ状に形成された、たとえば金属製の補強部材133が固定される。補強部材131〜133は、たとえば非磁性材料、金属から成り、切屑を磁気吸着することを防ぐ。
【0059】
図21は、切屑回収装置110の側板112付近の一部を示す斜視図である。側板112には、送りハンドル55の操作軸57が挿通する長孔134が形成される。長孔134は、送りハンドル55の搖動によって、操作軸57が支持部54などとともにボデイ56に対して
図21における昇降移動を許容する上下の長さに定められる。切屑回収装置110の使用のために、送りハンドル55を一旦取外して、操作軸57の一端部を回収空間117の内部から長孔134に挿通し、その後、送りハンドル55の基端部を操作軸57の前記一端部に取付ける。もう1つの側板113にも、長孔134と同様な長孔135が形成され、操作軸57の他端部が挿通する。
【0060】
磁気吸着部材120は、側板112の上端部で回収空間117とは反対の外面に配置される永久磁石片123と、永久磁石片123を側板112の外面に固定するための皿小ねじであるボルト126と、ボルト126に螺合するナット127とによって構成される。
【0061】
図22は、磁気吸着部材120を示す図であり、
図22(1)は、永久磁石片123の正面図であり、
図22(2)は、永久磁石片123の断面図である。永久磁石片123は、矩形、たとえば正方形の平板状であり、ボルト挿通孔128は、皿もみ形成される。永久磁石片123の上端面123aは、側板112と補強部材131との各上端面とともに、一仮想平面内にある。したがって、永久磁石片123の上端面123aは、側板112と補強部材131との各上端面とともに、デッキプレート31の下面の当て板40の一方の接合部41に面接触し、磁気吸着力で強固に取付けられる。磁気吸着部材121も側板113に磁気吸着部材120と同様に固定される。
【0062】
図23は、磁気吸着部材122を示す斜視図である。磁気吸着部材122は、磁気吸着部材120と同様に構成され、同じ参照符を付す。磁気吸着部材122は、外端板114に固定され、磁気吸着部材122の上端面123aは、外端板114と補強部材131との各上端面とともに、一仮想平面内にあり、したがって、デッキプレート31の下面の当て板40の一方の接合部41に面接触し、磁気吸着力で強固に取付けられる。
【0063】
図4のステップa4では、仮止めボルトを打込んで、デッキプレート31と接合部41とを摩擦接合する。仮止めボルトは、
図7のように当て板40の一方の接合部41に形成されている仮止めボルト挿通孔26に挿通され、ステップa3で削孔された仮止めボルト下穴28に自らねじ切りをしつつ進んでねじ込まれて、ねじ接合する。
【0064】
ステップa5では、Uリブ32のウエブ33に、当て板40の他方の接合部42に形成されているボルト挿通孔27と一直線上に軸線を有するハック高力ボルト230のためのボルト挿通孔29(
図2、後述の
図25)を削孔する。
【0065】
図24は、ステップa5において、従来のホールソー8を用いて、ウエブ33にボルト挿通孔138を削孔する状態を、参考のために示す断面図である。従来のホールソー8によれば、円板状の切屑139は、Uリブ32内の空間に落下して残存し、回収できず、そのまま放置される。放置された切屑139は、空気、水分などによって錆を発生する。本発明の実施の一形態は、この問題を解決する。
【0066】
図25は、本発明に従う環状回転刃物140を用いて、Uリブ32のウエブ33にハック高力ボルト230のためのボルト挿通孔29を削孔する状態を示す断面図であり、セクションXXVの拡大断面も併せて示す。
図25のボール盤50では、装置本体51によって環状回転刃物140を回転駆動して送り、ボルト挿通孔29を削孔する。
【0067】
図26は回転刃物140の断面図であり、
図27は回転刃物140を分解して示す断面図である。回転刃物140は、前述の回転刃物60に部分的に類似し、対応する部分には、同一の数字に添え字cを付して示し、説明を簡略化する。回転刃物140は、刃物本体62cと、磁気吸着体141とを有する。刃物本体62cは、軸線61cまわりに回転されて切削する加工部である環状の刃先部63cと、刃先部63cに軸線61c方向に連なる取付け部64cとを有する。
【0068】
刃物本体62cには、刃先部63cにおける複数の切刃65cから軸線方向内方(
図26、
図27の下方)に延びて、切刃65cによって切削された円板状の切屑91c(後述の
図29)が入り込む中空部66cが形成される。刃物本体62cには、同軸に、中空部66cに連なる取付け孔67cが貫通して形成される。刃先部63cの切屑排出溝68cの端は、くびれ部69cに連なる。取付け部64cは、胴部71cと、装置本体51の装着部52に着脱自在に係合されて装着される装着軸部72cとを有する。
【0069】
磁気吸着体141は、中空部66c内で、刃物本体62cに設けられる。磁気吸着体141には、切刃65cから軸線方向内方に、ウエブ33に穿孔されるハック高力ボルト230のためのボルト挿通孔29である切削孔の深さ、したがって、ウエブ33の厚みに等しい位置に磁気吸着端145が形成される。
【0070】
磁気吸着体141は、保持棒82cと、永久磁石片142と、ボルト143と、スペーサ144とを含む。保持棒82cは、取付け孔67cに挿通され、一端部83cが中空部66cに臨み、他端部84cが取付け部64cの遊端部74cに隅肉溶接によって固定される。その溶接金属75cは、中空部66cに連なる保持棒82cの外周面と取付け孔67cの内周面との隙間を気密に閉じる。刃物本体62cと保持棒82cとはいずれも強磁性材料製としてもよく、これによって、近似した材料同士の溶接金属75cによる溶接が確実になる。
【0071】
永久磁石片142は、磁気吸着端145を有し、保持棒82の一端部83に、刃物本体62の軸線方向に磁気吸着端145の位置を調整可能に設けられる。ボルト143の頭部147の遊端面は、磁気吸着端145と面一に形成される。ボルト143の軸部148は、保持棒82cの一端部83cに、軸線61cと同軸に刻設されたねじ孔に着脱調整可能に螺着される。磁気吸着端145は、軸線61cに垂直である。ボルト143は、皿小ねじなどであってもよい。スペーサ144は、偏平な円環状に形成され、ボルト143の軸部148が交換可能に挿通し、ボルト143の頭部147と保持棒82cの一端部83cの端面との間に挟持される。スペーサ144は、単一枚または複数枚であってもよく、切刃65cと磁気吸着端145との軸線61に沿う長さL3(
図26)が、前述の切削孔の希望する深さになるように、設定される。ボルト143を強磁性材料製とすることによって、磁気吸着のための面積を増大できる。
【0072】
図28は、回転刃物140の刃先部63cから見た正面図である。回転刃物140は、切刃65cが回転方向151の下流に臨んで装置本体51によって駆動される。ボルト143の締付け方向152は、回転方向151とは逆に定められる。これによって回転刃物140の回転始動など、および切屑91,91cとボルト86,143との接触によるボルト143の緩みが防止される。したがって、永久磁石片142は保持棒82c一端部83cに取付けられた状態が保たれる。この構成は、前述の回転刃物60におけるボルト86と保持棒82に関しても同様である。
【0073】
図29は、回転刃物140を用いて、Uリブ32のウエブ33へのハック高力ボルト230のためのボルト挿通孔29の削孔を完了した状態を示す断面図である。
図25をも併せて参照して、回転刃物140をボール盤50に装着し、切刃65cを上向きにした姿勢で、中空部66cに切削油を入れて貯留し、その後、回転刃物140が当て板40の他方の接合部42に予め形成されているボルト挿通孔27に位置するように、ボール盤50を、磁気吸着力で当て板40の他方の接合部42に取付ける。回転刃物140を、回転駆動し、ボルト挿通孔27によって案内して、他方の接合部42にボルト挿通孔29を削孔する。
【0074】
切刃65cが他方の接合部42を切削してゆくにつれて、切屑91cは、円板状になって中空部66cに入り込む。切屑91cの一端面92が永久磁石片142の磁気吸着端145に当接したとき、切屑91cの厚みは、切刃65cと磁気吸着端145との間の長さL3であり、他方の接合部42の厚みだけ貫通したボルト挿通孔29が形成される。このとき、
図29のように切屑91cの一端面92は、磁気吸着端145に磁気吸着されたままであり、回転刃物140とともにUリブ32の外方へ取出して回収することができる。したがって、切屑91cがUリブ32内の空間に落下して残存することはなく、発錆の問題が解決される。
【0075】
磁気吸着体141は、前述のストッパ80の働きをすることもでき、回転刃物140は、デッキプレート31に下穴23、28などを削孔するためにも実施できる。
【0076】
図30は、切屑取出し装置160の断面図である。
図30(1)は回転刃物140の切削後、切屑91cが中空部66c内で磁気吸着端145に磁気吸着されている状態を示し、
図30(2)は磁気吸着端145に磁気吸着されている切屑91cを切屑取出し装置160によって中空部66cから取出す操作を示す。切屑取出し装置160は、操作棒161と、取出し吸着端163を有する永久磁石片162と、永久磁石片162を挿通するボルト164とを含む。取出し吸着端163は、切屑91cの切刃65cから外方(
図30の上方)に臨む他端面93に磁気吸着する。ボルト164は、操作棒161の一端部に刻設されたねじ孔165に螺着される。ボルト164は、皿小ねじなどであってもよい。磁気吸着端145と、切屑91cを介して対向する取出し吸着端163との磁極は、逆極性に定められる。
【0077】
操作棒161の他端部には、操作突部166が操作棒161の半径方向外方に突出して形成される。操作突部166は、作業者が手で操作棒161を把持して、切屑91cを中空部66cから操作棒161の長手方向に
図30の上方へ引き出す際、手に引っ掛かり、引張り操作が良好である。
【0078】
永久磁石片142の磁気吸着端145が切屑91cの一端面92に磁気吸着する吸着力F2に比べて、永久磁石片162の取出し吸着端163が切屑91cの他端面93に磁気吸着する吸着力F3が大きくなるように構成される(F2 < F3)。このために、永久磁石片142、162の磁気特性が同一であるとき、すなわち同一寸法、形状での単位面積あたりの吸着力が等しい特性を有するとき、たとえば、永久磁石片142に比べて、永久磁石片162の厚みを大きく構成する。あるいはさらに、切屑91cの他端面93には、切刃65cの逃げ角によって、半径方向外方に延びる鍔168が存在するので、磁気吸着端145に比べて、取出し吸着端163の軸直角断面積を大きく構成することもできる。
【0079】
図31は、切屑取出し装置160の使用状態を示す断面図である。切屑取出し装置160の使用中、永久磁石片142の磁気吸着端145には、円板状の切屑91cの一端面92との間に、微細な切屑169が入り込んで磁気吸着される。微細な切屑169は、磁気吸着端145と一端面92と離間させて、切屑91cが磁気吸着端145に充分に大きな磁気吸着されなくなるおそれがある。したがって、切屑取出し装置160の使用中、微細な切屑169を中空部66cから掻き出して除去する。
【0080】
図32は、本発明の実施の他の形態の切屑取出し装置160dの断面図である。この切屑取出し装置160dは、前述の切屑取出し装置160に類似し、対応する部分には、同一の参照符を付し、また同一の数字に添え字dを付して示す。注目すべきは、磁気吸着体141dは、永久磁石片142と、永久磁石片142がコイルばね154を介して取付けられる保持棒82cとを有し、保持棒82cは、コイルばね154を挿通し、取付け孔67c内で軸線61c方向に変位自在に案内される。永久磁石片142は、永久磁石片142と中空部66cの底との間に介在されるコイルばね154によって、軸線61c方向の外方48にばね力が与えられる。コイルばね154のばね定数は、プッシュロッド59よりも小さく、コイルばね154のばね力は、プッシュロッド59に与えられるばね力よりも小さい。保持棒82cには、抜け止め阻止片155が固定され、プッシュロッド59によって押される。抜け止め阻止片155は、刃物本体62cの遊端部74cに当接することができ、これによって、磁気吸着体141dが刃物本体62cから
図32の上方に分離せず離脱しないことを、確実にする。
【0081】
本発明の実施の他の形態では、永久磁石片141に代えて、中空部66cを負圧吸引源に接続し、磁気吸着端145と同一位置で切屑91cを停止保持し、吸着するようにしてもよく、このことは、環状回転刃物60でも同様に中空部66を負圧吸引源に接続して、当接端81で切屑91を停止保持するようにしてもよい。
【0082】
永久磁石片142および本件明細書中に開示される発明において使用される他の永久磁石片などは、ネオジム磁石、サマコバ磁石などであってもよい。
【0083】
永久磁石片142の磁気吸着端145は、切屑取出し装置160dが回転駆動されず、切削していない自然状態では、参照符145dのように切刃65cから外方に臨む。したがって、
図31に関連して前述した微細な切屑169を容易に除去できる。
【0084】
ステップa6では、ハック高力ボルト230が全てのボルト挿通孔26、28へ差し込まれて挿通される。その後、列を成すボルト挿通孔26、28の中央位置付近に、隣接して、または中央位置に関して列方向(
図7の左右方向)に対称な位置に間隔をあけて、複数、たとえば2本のハック高力ボルト230だけを1次締めする。ボルト列の中央付近の2本の2つのハック高力ボルト230が1次締めされることによって、Uリブ32と当て板40の他方の接合部42とが摩擦接合される。ステップsa4における当て板40の仮止めボルトによる仮止めと,ステップa6におけるハック高力ボルト230の1次締めとによって、ステップa7以降の作業中、当て板40がデッキプレート31に対して不所望にずれて変位することが防がれる。ハック高力ボルト230の構成および摩擦接合については、
図41〜43に関連して後述する。
【0085】
図33はハック高力ボルト230を、ステップa6,a9において、工具250を使用して1次締めとその後のステップa10で本締めとを行なう操作を示す橋軸に垂直な断面図であり、
図34はその橋軸に沿う断面図である。
図33では、当て板40の一方の接合部41とデッキプレート31との下穴25,23にタッピングボルト20を支圧接合した状態も示される。
【0086】
ステップa7、a8では、1本の各タッピングボルト20毎に、削孔、打込みの作業が繰返される。すなわち、デッキプレート31へのタッピングボルト20の下穴23の削孔を、
図13〜
図23で前述したとおり、
図34における当て板40の一端から他端へ(たとえば、
図34の左方から右方へ)当て板40の一方の接合部41に形成されている下穴25の各位置で、1個ずつこの順序で行ない、一方の接合部41の下穴25と、その1個の削孔した下穴23とに、タッピングボルト20の締込みを実施し、このような作業をタッピングボルト20の1本ずつ順次的に、繰返して、当て板40の一方の接合部41とデッキプレート31とが支圧接合される。こうして、1本のタッピングボルト20について、下穴23の削孔と、その削孔した下穴23および下穴25へのタッピングボルト20の締込とみを完了した後、隣接する次の1本のタッピングボルト20のための削孔、締込みを行ない、このような各タッピングボルト20毎の作業を、列方向に順次的に繰返す。当て板40の仮止めボルト挿通孔26およびデッキプレート31の仮止めボルト下穴28の位置では、それらに螺着されている仮止めボルトは、除去され、同一位置に下穴25、23を拡径して削孔し、タッピングボルト20を締込んで支圧接合する。
【0087】
図35は、ステップa8におけるタッピングボルト20の打込みのために使用されるタッピングボルト20の案内装置200を示す斜視図である。
図1をも併せて参照して、案内装置200は、タッピングボルト20を、被加工物である当て板40の一方の接合部41とデッキプレート31とに予め形成された下穴25、23に、タッピングボルト20のボルト軸線21が、下穴25、23の共通な一直線上にある下穴軸線22に一致する姿勢で、螺着するために使用される。ボルト軸線21および下穴軸線22
、したがって案内孔213の案内軸線は、この実施の形態では、一方の接合部41の
図1における下面と垂直である。
【0088】
タッピングボルト20は、たとえば6角レンチ用掛合部が形成されたボルト頭部201と、座金202と、ボルト軸部203とを有し、一体的に形成される。手動操作される電動または空気圧などの流体圧作動の回転駆動装置であるインパクトレンチまたはインパクトドライバ205は、装着部であるソケット206と、駆動部207とを含む。ボルト頭部201は、ソケット206の一端部に形成された掛合孔209に嵌合し、ソケット206は、タッピングボルト20のボルト軸線21を含む一直線上に回転軸線208を有し、ソケット206の外周面は、直円筒状に形成される。駆動部207は、ソケット206の他端部を回転軸線208まわりに回転駆動する。
【0089】
ボルト軸部203は、押し付け力を作用しながら回転駆動されることによって、めねじ加工が施されていない下穴25、23に、めねじを塑性変形によって形成しながら進み、タッピングボルト20は、当て板40の一方の接合部41とデッキプレート31との支圧接合を達成する。案内装置200は、タッピングボルト20が締め込まれるとき、タッピングボルト20へ曲げモーメントなどの不所望な応力が発生することを防ぐ。案内装置200は、案内筒211と、着座部212とを有する。
【0090】
図36は案内筒211と着座部212とを示す断面図であり、
図37は案内筒211と着座部212とを示す平面図であり、
図38は案内筒211と着座部212と含む案内装置200を示す底面図である。案内筒211は、案内孔213を有し、遊端部214から案内孔213にソケット206が相互に回転自在に挿入自在である。案内孔213は、回転軸線208と一致する案内軸線を有する。着座部212は、案内筒211の基端部215に連なり、下穴25、23が開口する取付け面である一方の接合部41の
図1における下面に着座する。ソケット206に装着されたタッピングボルト20は、着座部212から
図1の上方(
図35、
図36の下方)に突出することができる。
【0091】
案内筒211の基端部215には切欠き217が形成され、着座部212には切欠き217に連なる切欠き218が形成され、これらの切欠き217、218は、観察窓219を構成する。観察窓219は、ボルト頭部201、したがってボルト軸部203側の座金202における端面が、一方の接合部41の
図1における下面に当接したことを、作業者が観察することを可能にする。案内筒211と着座部212とは、透光性合成樹脂から成り、射出成形によって製造される。こうして、作業者によるタッピングボルト20の締付け操作の状態を観察することがさらに容易になる。
着座部212は、図35〜38に明らかに示されるように、案内筒211の基端部215から外向きに(すなわち、半径方向外方に)拡がって、切欠き218によって周方向に分断された円環の一部を成す板状である。観察窓219は、案内筒211の基端部215で、案内筒211の案内軸線内方(図1、図2の下方、図35、図36の上方)に延びる細長い切欠き217と、案内筒211の基端部215から切欠き217に連なって着座部212の半径方向外方に拡がって延びる切欠き218とから成る。
ソケット206である装着部に装着されたタッピングボルト20は、前述のとおり、着座部212から案内筒211の案内孔213の案内軸線外方(図1、図2の上方、図35、図36の下方)に突出することができる。
【0092】
着座部212には、案内筒211とは反対側(
図1の上方、
図35、
図36の下方)に、周方向に等間隔をあけて複数、たとえば3個の永久磁石片221が設けられる。永久磁石片221は、一方の接合部41の
図1における下面に磁気吸着することができる。
【0093】
図39は、永久磁石片221を示す図である。
図39(1)は永久磁石片221の平面図であり、
図39(2)は永久磁石片221の断面図である。永久磁石片221は、偏平な円板状に形成される。
取付けボルト222(図1を参照)は、皿小ねじなどであってもよく、永久磁石片221のボルト挿通孔223を挿通する。永久磁石片221と取付けボルト222のボルト頭部とは、案内筒211とは反対側で面一に形成され、これによって、一方の接合部41の
図1における下面に面接触して、磁気吸着力を増大し、タッピングボルト20の締付け操作時における案内装置200の姿勢を安定にする。取付けボルト222には、案内筒211側で
取付けナット224(図1を参照)が螺合される。
永久磁石片221は、その永久磁石片221と着座部212とを挿通する取付けボルト222が、取付けボルト222のボルト頭部を案内筒211の案内軸線外方(図1、図2の上方、図35、図36の下方)側に配置して、着座部212における案内筒211の案内軸線内方(図1、図2の下方、図35、図36の上方)側の面で取付けナット224と螺合することによって、着座部212に固定される。永久磁石片221と取付けボルト222のボルト頭部とは、案内筒211の案内軸線外方(図1、図2の上方、図35、図36の下方、すなわち、案内筒211とは反対側で)で面一に形成される。
【0094】
図40は、インパクトドライバ205を作業者が手204で手動操作して、タッピングボルト20を下穴25、23締付けて、当て板40の一方の接合部41とデッキプレート31との支圧接合を達成する手順を示す断面図である。
図40(1)のように、タッピングボルト20を装着したソケット206を案内装置200の案内筒211の遊端部214から挿入する。タッピングボルト20のボルト軸部203を、着座部212から突出した状態とし、タッピングボルト20のボルト軸線21が下穴25の下穴軸線22と一直線上にあるように、インパクトドライバ205の姿勢を設定する。
【0095】
次に
図40(2)のように、案内装置200を当て板40の一方の接合部41に移動して永久磁石片221を磁気吸着する。これによって、ボルト軸線21と下穴軸線22とが一直線上に安定に保たれる。
【0096】
図40(3)のように、インパクトドライバ205を動作して、インパクトドライバ205を下穴25,23に大きな衝撃トルクで締付けてゆく。作業者は、観察窓219から、座金202の端面が、一方の接合部41の
図1における下面に当接したことを、内筒211と着座部212とが透光性であることと相俟って、容易に観察することができ、支圧接合の完了を正確に知ることができ、したがって、タッピングボルト20に過度の締付けトルクを加えて破損することがなく、高強度のボルト接合が達成される。
【0097】
ステップa9では、1次締めされていない残余のハック高力ボルト230の全数の1次締めを行なう。この1次締めは、残余のハック高力ボルト230の列の中央付近から両側へ交互に、中央から遠ざかる方向に、1または複数本ずつ行なう。
【0098】
ステップa10では、前述のステップa9においてハック高力ボルト230の1次締めが完了した後、全数の本締めを行なう。全数の1次締め後、ハック高力ボルト230を本締めする順序は、ステップa9において1次締めを行なう順序と同様である。
【0099】
ハック高力ボルト230の構成および摩擦接合について、
図41〜43に関連して説明する。
図41はハック高力ボルト230を示す断面図である。ハック高力ボルト230は、ピン234と、この軸部232に挿通される第1スリーブ235と、第2スリーブ236と、シャーワッシヤ237と、支持ワッシヤ238と、ナット239とを含む。ピン234は、軸部232と、その軸部232の端部に形成された大径の頭部233とを有する。軸部232には、第1おねじ部241と、小径溝状の破断部242と、第2おねじ部243と、第3おねじ部244とが順次的に形成される。ナット239は、第1〜第3おねじ部241、243、244に螺合することができる。第1スリーブ235は、頭部233と第2スリーブ236との間の圧縮力によって半径方向外方に膨出して塑性変形する。シャーワッシヤ237の内周は第2スリーブ236の端面に当接し、その外周は支持ワッシヤ238に支持される。
【0100】
図42は、ハック高力ボルト230の1次締めおよび本締めの順次的な作用を説明する断面図である。ハック高力ボルト230は、工具250を用いて、Uリブ32のウエブ33と、当て板40の他方の接合部42とを、摩擦接合する。工具250は、ナット239を回転する駆動部251と、第3おねじ部244に螺合して回転駆動する駆動部252とを有する。
【0101】
図42(1)は、ハック高力ボルト230を、ステップa6でボルト挿通孔27、29に差し込んで挿通した状態を示す断面図である。
【0102】
図42(2)は、工具250の駆動部251、252によって、ナット239を、ピン234と相対的に回転駆動する状態を示す断面図である。これによって第1スリーブ235が、頭部233と、第2スリーブ236との間で圧縮されて、Uリブ32の閉空間で膨出部245が、ボルト挿通孔29の内径よりも半径方向外方に大きく形成される。
【0103】
図42(3)は、ハック高力ボルト230の1次締めの状態を示す断面図である。ナット239が、さらに回転駆動されると、シャーワッシヤ237の内周と外周とは、第2スリーブ236によって、
図42(3)の上下方向に剪断される。この状態では、ウエブ33と他方の接合部42とは、膨出部245と支持ワッシヤ238を介するナット239との間で、シャーワッシヤ237の剪断時のピン234の軸力によって当接して摩擦接合され、前述の1次締めが達成される。
【0104】
図42(4)は、ハック高力ボルト230がステップa10で本締めされて、ウエブ33と他方の接合部42とが摩擦接合した状態を示す断面図である。本締めのために、1次締めの後、ナット239の回転が阻止された状態で、第3おねじ部244が駆動され、当て板40の他方の接合部42と、ウエブ33とに、ピン234のさらに大きな軸力が導入される。これによって、ナット239よりも軸線方向外方で破断部242がねじられて剪断破壊され、前述の本締めが達成される。こうして、ハック高力ボルト230の本締めによるウエブ33と当て板40の他方の接合部42との摩擦接合が完了する。
【0105】
寸法の一例を述べる。
図22に示されるように、デッキプレート31の厚み12mm、Uリブ32、当て板40の厚み8mm、デッキプレート31に当て板40の一方の接合部41を仮止めする仮止めボルトの外径φ12mm、仮止めボルトのための仮止めボルト挿通孔26の内径φ12.5mm、仮止めボルト下穴28の内径φ11.5mmである。仮止めボルトの螺着長さはワッシャを介在して調整できる。
【0106】
タッピングボルト20の外径φ16mm、タッピングボルト20のためのデッキプレート31と当て板40の一方の接合部41との下穴23、25の内径φ15.5mmである。
【0107】
タッピングボルト20のボルト軸部203は、支圧接合強度を達成できる値に選ばれる。支圧接合によれば、デッキプレート31の鋼材の厚みが薄く、そのためボルト軸部203の軸長が短く、デッキプレート31と当て板40との摩擦接合に必要な高い軸力を発揮できなくても、またはタッピングボルト20の軸力がなくても、支圧接合を達成することができる。
【0108】
ハック高力ボルト230の使用前の外径φ20mm、Uリブ32のウエブ33と当て板40の他方の接合部42とのボルト挿通孔29、27の内径φ21.5mmである。
【0109】
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)環状の刃先部と刃先部に連なる取付け部とを有し、刃先部における切刃から軸線方向内方に延びて、切刃によって切削された切屑が入り込む中空部が形成される刃物本体と、
中空部内で、刃物本体に設けられ、切刃から軸線方向内方に、切削孔の深さに等しい位置に当接端を有するストッパとを含むことを特徴とする環状回転刃物。
環状回転刃物を回転駆動して、デッキプレートなどの被加工物に削孔するとき、たとえば円板状の切屑は刃物本体に形成された中空部へ入り込む。ストッパは、刃物本体の中空部内に設けられる当接端を有し、切削が進むにつれて中空部内へ入り込んだ切屑は、切刃から軸線方向内方に、切削孔の深さに等しい位置に設けてある当接端に当接し、それ以上の切削はできなくなる。こうして、被加工物には、希望する深さの切削孔が形成される。したがって、希望する深さが、たとえば被加工物の厚みに設定されているとき、その被加工物の厚みだけ切削された貫通孔が形成され、刃先部における切刃が、被加工物の厚みだけ切削し、さらにその背後、すなわち切削の深さ方向下流に隣接して積層される物体を切削することはない。そのため、被加工物がたとえば鋼床版のデッキプレートであって、下方から切削するとき、後述の実施の形態では、環状回転刃物60のストッパ80によって、および後述の環状回転刃物140の磁気吸着体141によって、そのデッキプレート上にある防水層、アスファルト舗装を損傷することはない。
【0110】
(2)刃物本体の軸線方向に当接端の位置を調整可能であることを特徴とする。
当接端の位置を刃物本体の軸線方向に調整可能であるので、切削の深さを、変化して予め定める値に設定できる。
【0111】
(3)刃物本体には、同軸に、中空部に連なる取付け孔が貫通して形成され、
ストッパは、この取付け孔に挿通され、刃物本体の取付け部に固定されることを特徴とする。
刃物本体にストッパが確実に固定され、刃物本体の回転駆動される軸線と、ストッパ、したがって当接端の軸線とを一直線に同軸に一致させることができ、中空部内の切屑が当接端に確実に当接できる。
【0112】
(4)ストッパは、
刃物本体の取付け孔に挿通され、一端部が中空部に臨み、他端部が取付け部に固定される保持棒と、
当接端を有し、保持棒の前記一端部に、刃物本体の軸線方向に当接端の位置を調整可能に設けられる当接部材とを含むことを特徴とする環状回転刃物。
ストッパの保持棒は、刃物本体の取付け孔に挿通され、中空部に臨む一端部に当接部材が、その当接端の位置を刃物本体の軸線方向に調整可能に設けられるので、刃物本体にストッパが同軸に確実に固定される。
【0113】
(5)保持棒の他端部は、取付け部の遊端部に気密に閉じて固定されることを特徴とする。
図7、
図15のように環状回転刃物8が上向きになるようにボール盤50が操作される姿勢では、切削油の供給タンクは、
図45の環状回転刃物8よりも下方に位置するので、従来では切削油の自重による供給ができなくても、たとえば溶接金属75によって中空部内に切削油を下方に流出させずに貯留することができ、円滑な切削が可能である。
【0114】
(6)当接端は、磁気吸着可能に磁化されていることを特徴とする。
図24〜
図32のように、被加工物が強磁性材料から成るとき、切屑は当接端に磁気吸着されたままで保持され、したがって、切屑を切削孔から取出すことが容易であり、
図24のように被加工物の背後に物体が存在していない状態でも、あるいはまた、たとえば
図1のように被加工物である鋼床版のデッキプレートの背後に、デッキプレートから分離可能な物体である防水層があるとき、切屑の回収が確実である。
【0115】
(7)環状の刃先と刃先に連なる取付け部とを有し、刃先における切刃から軸線方向内方に延びて、切刃によって切削された切屑が入り込む中空部が形成される刃物本体と、
中空部内で刃物本体に設けられ、切刃から軸線方向内方に、切削孔の深さに等しい位置に磁気吸着端を有する磁気吸着体とを含むことを特徴とする環状回転刃物。
図24〜
図32のように、磁気吸着体141は、切屑91cを磁気吸着して回収を可能にする。
【0116】
(8)刃物本体の軸線方向に磁気吸着端の位置を調整可能であることを特徴とする。
被加工物が強磁性材料から成るとき、切屑は当接端に磁気吸着されたままで保持される。
【0117】
(9)刃物本体には、同軸に、中空部に連なる取付け孔が貫通して形成され、
磁気吸着体は、
この取付け孔に挿通され、一端部が中空部に臨み、他端部が刃物本体の取付け部に固定される保持棒と、
磁気吸着端を有し、保持棒の前記一端部に刃物本体の軸線方向に磁気吸着端の位置を調整可能に設けられる永久磁石片とを含むことを特徴とする。
【0118】
(10)環状の刃先と刃先に連なる取付け部とを有し、刃先における切刃から軸線方向内方に延びて、切刃によって切削された切屑が入り込む中空部が形成される刃物本体と、
中空部内で刃物本体の軸線方向に変位可能に設けられ、中空部に臨む磁気吸着端を有する磁気吸着体と、
磁気吸着体に、軸線方向外方にばね力を与えるばねとを含み、
磁気吸着体は、刃物本体から離脱しないことを特徴とする環状回転刃物。
【0119】
(11)切削加工装置のためのカバー部材であって、
切削加工装置は、
(a)軸線まわりに回転されて切削加工する刃先部と、刃先部に軸線方向に連なる取付け部とを有する回転刃物と、
(b)装置本体であって、
(b1)回転刃物の取付け部が着脱自在に装着される装着部と、
(b2)装着部に前記軸線に沿って連なり、装着部を前記軸線まわりに回転駆動する駆動部と、
(b3)駆動部材を前記軸線まわりに回転自在に支持する支持部とを備える装置本体とを有し、
(c)カバー部材は、
挿通孔を有し、
この挿通孔に、装着部に装着された回転刃物の加工部から取付け部までの軸線方向の途中の一部分が挿通して回転刃物とともに回転し、
装着部、および駆動部と支持部との回転刃物に臨んで相互に変位する隙間106、107、108を覆う空間105を形成することを特徴とする切削加工装置のためのカバー部材。
図1、
図19のように、カバー部材101は、切削加工装置50を切屑から保護する。
【0120】
(12)カバー部材は、
弾発性を有する材料から成り、
挿通孔の内周面が回転刃物の外周面に弾発的に接触することを特徴とする切削加工装置のためのカバー部材。
【0121】
(13)切削加工装置のための切屑回収装置であって、
切削加工装置は、回転刃物を装置本体から上向きにした姿勢で操作され、
切屑回収装置は、
刃先部の下方で装置本体の少なくとも一部分を覆う回収空間117を有し、落下飛散する切屑を収納して回収する収納体111と、
収納体の上部に設けられ、磁気吸着する磁気吸着部材120とを含むことを特徴とする切削加工装置のための切屑回収装置。
図17〜
図22のように、切屑回収装置110は、環状回転刃物60、140からの切屑を回収空間117に収納回収する。
【0122】
(14)磁気吸着面の磁気吸着力を大小に切換えることができる磁気吸着具と、
磁気吸着具に取付けられ、磁気吸着面が磁気吸着する対象面に近接離反変位して対象面との間の距離を設定可能な保持体とを含むことを特徴とする磁気吸着保持装置。
【0123】
(15)保持体は、
磁気吸着具の側部から外方に突設されるブラケットと、
ブラケットに固定されるナット部材と、
ナット部材に螺合するボルト部材と、
ボルト部材の対象面寄りの一端部に設けられる押付け片と、
ボルト部材の対象面とは反対側の他端部に設けられ、手動回転操作される操作片とを含むことを特徴とする磁気吸着保持装置。
(16)(a)回転作用部材が装着される一端部を有し、回転作用部材の軸線を含む一直線上に回転軸線を有する装着部と、
装着部の他端部を前記回転軸線まわりに回転駆動する駆動部とを有する回転駆動装置によって、
回転作用部材によって、被加工物に、回転作用部材の軸線が被加工物の表面に予め定める角度をなす姿勢で、作業するための回転作用部材の案内装置であって、
(b)案内孔を有する案内筒であって、
案内孔には、その一端部から前記装着部が回転自在に挿入自在であり、
この案内孔は、前記回転軸線と一致する案内軸線を有し、
案内孔の他端部から、回転作用部材が装着された装着部の他端部が突出する案内筒と、
(c)案内筒の基端部に連なる着座部であって、
被加工物の前記表面に着座し、
この着座した状態では、回転作用部材の軸線が前記表面に予め定める角度をなす姿勢となる着座部とを含み、
(d)案内筒の基端部および着座部には、回転作用部材と前記表面とを観察するための観察窓が形成されることを特徴とする回転作用部材の案内装置。
回転作用部材は、タッピングボルトでもよいが、その他のボルトであってもよく、さらにナットなどでもよく、その他のねじ部材でもよい。さらに本発明によれば、回転作用部材は、穴あけのためのドリル、ホールソー、スチールコア、環状カッタなどの回転切削刃物でもよく、砥石などの回転切削または回転研削などのための刃物でもよく、さらにその他の機械製作のための部材でもよい。