(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391683
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20180910BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
H05B6/10 311
H05B6/36 D
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520478(P2016-520478)
(86)(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公表番号】特表2016-525262(P2016-525262A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2014062900
(87)【国際公開番号】WO2014202699
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年2月8日
(31)【優先権主張番号】102013211559.8
(32)【優先日】2013年6月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513184828
【氏名又は名称】ベール−ヘラ サモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100074538
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 徹
(72)【発明者】
【氏名】ラーズ ヒーパー
(72)【発明者】
【氏名】カルシュテン マルクアス
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ナーゲル
(72)【発明者】
【氏名】マティアス シュタライン
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル シュタインカンプ
【審査官】
黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0135813(KR,A)
【文献】
特表2011−501094(JP,A)
【文献】
特開平09−092449(JP,A)
【文献】
特開2008−020096(JP,A)
【文献】
特開2013−058437(JP,A)
【文献】
特開2010−285930(JP,A)
【文献】
英国特許出願公告第00787125(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/10
H05B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体入口(6、7)と流体出口(6、7)とを有する流体通路が中に配置されたハウジング(3)を備えた加熱装置(1)であって、前記ハウジング(3)内に、交番磁界を生成する要素が備えられており、さらに少なくとも3つの金属製の面状加熱要素(18、19、20)が備えられていて、前記面状加熱要素(18、19、20)が前記交番磁界により加熱可能であり、前記面状加熱要素(18、19、20)が前記流体通路内に配置されている加熱装置(1)において、
前記交番磁界を生成する前記要素が、中空円筒状に成形されたコイル(8)によって形成されており、前記コイル(8)が交流電圧で駆動可能であり、前記コイル(8)が流体密封に前記流体通路から分離されており、
前記面状加熱要素(18、19、20)は、中空円筒状であることを特徴とする、
加熱装置(1)。
【請求項2】
前記コイル(8)がコイルハウジング(9)内に配置されていて、前記コイルハウジング(9)が前記ハウジング(3)内に挿入可能であり、また前記コイルハウジング(9)が熱伝導性を有することを特徴とする、
請求項1に記載の加熱装置(1)。
【請求項3】
前記コイルハウジング(9)が円筒状の中空体によって形成されており、前記円筒状の中空体が、一体的に形成されているまたは直径が異なる2つの中空円筒状の要素(10、11)で形成されていることを特徴とする、
請求項2に記載の加熱装置(1)。
【請求項4】
前記コイル(8)が直径の異なる前記2つの中空円筒状の要素(10、11)間における中間スペースに配置されていることを特徴とする、
請求項3に記載の加熱装置(1)。
【請求項5】
前記コイルハウジング(9)の周囲を、半径方向に内側に向いた外装面および/または半径方向に外側に向いた外装面において、流体が流通可能であることを特徴とする、
請求項2〜4のいずれか1項に記載の加熱装置(1)。
【請求項6】
前記ハウジング(3)がその軸方向の端部領域のうちの第1の端部領域において第1の蓋部(4、5)によって流体密封に閉鎖可能であり、かつその軸方向の端部領域のうちの第2の端部領域において第2の蓋部(4、5)によって流体密封に閉鎖可能であることを特徴とする、
請求項2〜5のいずれか1項に記載の加熱装置(1)。
【請求項7】
前記第1の蓋部(5)が環状に周回する溝を有し、前記溝に前記コイルハウジング(9)が差し込み可能であることを特徴とする、
請求項6に記載の加熱装置(1)。
【請求項8】
前記コイルハウジング(9)と前記第1の蓋部(5)とが一体的に製作されており、前記コイル(8)の電気接触部が前記第1の蓋部(5)に組み込まれていることを特徴とする、
請求項6または7に記載の加熱装置(1)。
【請求項9】
前記第1の蓋部(5)および/または前記第2の蓋部(4)および/または前記コイルハウジング(9)がプラスチックで製作されており、前記各蓋部(4、5)が前記交番磁界を遮蔽するための遮蔽要素を有することを特徴とする、
請求項6〜8のいずれか1項に記載の加熱装置(1)。
【請求項10】
前記コイルハウジング(9)に媒体が充填可能であり、前記媒体により、前記コイルハウジング(9)の流体密封な密封が実現できること、および/または、前記コイルハウジング(9)における熱伝導性を向上させることが可能であることを特徴とする、
請求項2〜9のいずれか1項に記載の加熱装置(1)。
【請求項11】
前記コイルハウジング(9)が周囲を流体が流通可能なその外装面のうちの少なくとも1つに旋回要素および/または乱流要素を有することを特徴とする、
請求項2〜10のいずれか1項に記載の加熱装置(1)。
【請求項12】
前記コイルハウジング(9)および/または前記コイル(8)が温度センサを有することを特徴とする、
請求項2〜11のいずれか1項に記載の加熱装置(1)。
【請求項13】
流体が貫流する領域に温度センサが配置されていることを特徴とする、
請求項1〜12のいずれか1項に記載の加熱装置(1)。
【請求項14】
ディスプレーサを内部に設けることによって、流体が貫流する少なくとも1つの領域の水力直径が可変であることを特徴とする、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の加熱装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体入口と流体出口とを有し、中に流体通路が配置されたハウジングを備えた加熱装置であって、前記ハウジング内に交番磁界を生成する要素が備えられており、さらに少なくとも1つの金属製の面状加熱要素が備えられていて、この面状加熱要素を前記交番磁界により加熱可能であり、前記少なくとも1つの面状加熱要素が前記流体通路内に配置されている加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において加熱装置は公知である。例えば、いわゆるPTC加熱要素を有する空気側の加熱装置が存在し、これらのPTC加熱要素は通電され、この通電により加熱される。PTC要素に接触している空気側の薄層を介して、流通する空気に熱が伝達される。しかし、これらの加熱装置は、液状の媒体にとって必要である構造とは基本的に異なった構造を有している。
【0003】
液状媒体用の加熱装置は閉じられたハウジングを具備し、流体通路を有するように形成されていて、流体通路と流体出口とを備えており、前記ハウジング内に加熱要素が張り出していて、この加熱要素がPTC要素で加熱される。
【0004】
液状媒体用のこの加熱装置が有する短所は、加熱されるべき液状媒体が流通する流体通路とは異なる領域で熱が生成されるという点である。これにより、境界抵抗が存在することで加熱の遅延が生じ、これが短所とみなされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、流体を加熱することに適しており、加熱されるべき流体が前記加熱された要素を直接伝って流れる加熱装置を提供することである。さらに、前記加熱装置は可能な限り簡単な構造を有し、かつ低コストであるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のこの課題は、請求項1に記載の特徴を備えた加熱装置によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一実施例は、流体入口と流体出口とを有し、中に流体通路が配置されたハウジングを備えた加熱装置であって、前記ハウジング内に交番磁界を生成する要素が備えられており、さらに少なくとも1つの金属製の面状加熱要素が備えられていて、この面状加熱要素を前記交番磁界により加熱可能であり、前記少なくとも1つの面状加熱要素が前記流体通路内に配置されていて、前記交番磁界を生成する前記要素が中空円筒状に成形されたコイルによって形成されており、このコイルが交流電圧で駆動可能であり、前記コイルが流体密に前記流体通路から分離されている加熱装置に関する。
【0008】
前記加熱装置の中を流通する流体から前記コイルを流体密に分離することは、このようにすることで短絡を防止できるので特に有利である。さらにまたこれにより、前記コイルは、前記コイルを損傷させる恐れのある腐食作用にさらされることがなくなる。
【0009】
また好ましいのは、前記コイルがコイルハウジング内に配置されていて、このコイルハウジングが前記ハウジング内に挿入可能であり、また前記コイルハウジングが熱伝導性を有する場合である。
【0010】
熱伝導性のコイルハウジングは、これにより前記コイルから前記流体への熱搬出が促進されるので有利であり、これによって、前記コイルをより効果的に冷却することが可能となり、同時にまた流体の加熱を改良することができる。
【0011】
さらにまた好ましいのは、前記コイルハウジングが円筒状の中空体によって形成されており、前記円筒状の中空体が単部材構成である場合、または直径が異なる2つの中空円筒状の要素で形成されている場合である。
【0012】
前記コイルハウジングは、有利には前記コイルの構造形態および/または加熱装置の残り部分の構造形態に適合されている。これにより、前記加熱装置のコンパクトな構造形態が可能となる。
【0013】
また好都合であるのは、前記コイルが直径の異なる前記2つの中空円筒状の要素間における中間スペースに配置されている場合である。
【0014】
これにより、前記流体が貫流しない領域内に前記コイルを配設することが可能となる。
【0015】
さらにまた有利であるのは、前記コイルハウジングの周囲を、半径方向に内側に向いた外装面および/または半径方向に外側に向いた外装面において、流体が流通可能である場合である。
【0016】
前記流体が前記コイルハウジングを直接伝って流れることは、これにより前記コイルの熱を特に良好に放出することができるので有利である。
【0017】
さらにまた好ましいのは、前記ハウジングがその軸方向の端部領域のうちの第1の端部領域において第1の蓋部によって流体密に閉鎖可能であり、かつその軸方向の端部領域のうちの第2の端部領域において第2の蓋部によって流体密に閉鎖可能である場合である。これにより、前記加熱装置内部における動作可能な流体回路が保証される。
【0018】
また有利であるのは、前記第1の蓋部が環状に周回する溝を有し、この溝に前記コイルハウジングが差し込み可能である場合である。
【0019】
前記コイルハウジングに模して形成された環状に周回する溝は、前記コイルハウジングのための収容部を形成し、これにより前記コイルハウジングを確実に前記加熱装置内に配設することができるので有利である。
【0020】
また有利であり得るのは、前記コイルハウジングと前記第1の蓋部とが一体的に製作されており、前記コイルの電気接触部が前記第1の蓋部に組み込まれている場合である。
【0021】
例えば共通の射出成形部材から成る一体的な実施態様は、前記加熱装置内への前記コイルの取り付けが著しく簡易化されるので特に有利である。さらにまた、前記コイルの電気接触を前記蓋部内に組み込まれた通路または領域を通じて行うことができるので、これにより、前記電気接触部の機械的なロバスト性が向上し、かつ取り付けが簡易化される。
【0022】
さらにまた好ましいのは、前記第1の蓋部および/または前記第2の蓋部および/または前記コイルハウジングがプラスチックで製作されており、前記各蓋部が前記交番磁界を遮蔽するための遮蔽要素を有する場合である。
【0023】
前記蓋部あるいは前記コイルハウジングをプラスチックで製作することは、可能な限り抵抗コストの製造を実現するために特に有利である。蓋部がプラスチックで製作されている場合、この蓋部は遮蔽要素を含むことができ、これらの遮蔽要素は、前記交番磁界が蓋部を通って非意図的に拡大することを制限する。このことは、隣接して配置された電気的な構成部材または金属製の構成部材に対する前記交番磁界の不都合な作用を低減するために、または完全に防止するために必要である。遮蔽要素としてはフェライト薄板が可能であり、このフェライト薄板は前記蓋部の内面または外面に設置される。あるいは、このようなフェライト薄板を前記蓋部内に注入成形しておくことも可能である。
【0024】
本発明の特に好都合な別態様では、前記コイルハウジングに媒体が充填可能であり、この媒体により、前記コイルハウジングの流体密な密封が実現でき、および/または前記コイルハウジングにおける熱伝導性を向上させることが可能となる。このことはまた短絡の回避および前記加熱装置の熱管理の改良に役立つ。
【0025】
さらにまた好都合であるのは、前記コイルハウジングが周囲を流体が流通可能なその外装面のうちの少なくとも1つに旋回要素および/または乱流要素を有する場合である。
【0026】
このようにすることで、前記流体の流れは前記加熱装置内において有利な作用を受けることができる。特に前記流体の撹拌を改良することができ、これにより、前記加熱装置内において均質な温度分布を生じさせることが可能となる。
【0027】
さらにまた好ましいのは、前記コイルハウジングおよび/または前記コイルが温度センサを有する場合である。このことは、前記コイルの温度を決定するために有利であり、これにより、必要に応じて過負荷を予防することができる。
【0028】
また有利であるのは、前記流体が貫流する領域に温度センサが配置されている場合である。これは、前記流体の温度レベルを確実に検出するために有利である。
【0029】
また特に有利であり得るのは、ディスプレーサを内部に設けることによって、前記流体が貫流する少なくとも1つの領域の水力直径が可変である場合である。
【0030】
これにより前記加熱装置の貫流が最適化でき、このことは前記加熱装置の性能の向上に役立ち得る。
【0031】
また有利であるのは、前記面状加熱要素の片側または両側を流体が流通可能である場合である。
【0032】
前記面状加熱要素は好ましくは前記流体通路の中を流通する流体に直接接触している。これにより前記流体は良好かつ迅速に加熱される。
【0033】
また特に有利であり得るのは、前記面状加熱要素の両側を流体が流通可能であり、前記面状加熱要素の一方の側における前記流体の流動方向が前記面状加熱要素のもう一方の側における流動方向と同じ方向、またはそれとは逆方向である場合である。これにより、前記流体は連続的にまず前記面状加熱要素の一方の側を通過し、その後、前記面状加熱要素のもう一方の側を通過する。これによって加熱の効率が向上する。
【0034】
好ましい一実施例は、交番磁界を生成する前記要素が実質上中空円筒状の要素であることを特徴とする。
【0035】
また好ましいのは、前記面状加熱要素が実質上中空円筒状の要素である場合である。
【0036】
さらにまた好ましいのは、交番磁界を生成する前記要素が中空円筒状の要素であり、少なくとも1つの面状加熱要素が、半径方向において、前記交番磁界を生成する前記中空円筒状の要素の内側および/または外側に配置されている場合である。これにより、構造スペースの点で有利な加熱装置が実現される。
【0037】
また好ましいのは、半径方向において、前記交番磁界を生成する前記中空円筒状の要素の内側および/または外側に1つまたは複数の中空円筒状の面状加熱要素が配置されている場合である。これによってまた熱出力を向上させることができる。
【0038】
さらにまた、交番磁界を生成する前記要素が実質上中空円筒状のコイルであることが可能である。
【0039】
また有利であるのは、制御ユニットが前記ハウジングに結合されている場合、または前記ハウジング内に組み込まれている場合である。
【0040】
さらにまた有利であり得るのは、前記ハウジングが磁界吸収材料または交番磁界に対して不透明な材料から成る場合である。
【0041】
また好都合であるのは、壁部が磁界に対して透明な材料から成る場合である。
【0042】
本発明の有利な別態様が従属請求項および以下の図説において説明されている。
【0043】
以下において、本発明について実施例に基づき図面を参照しながら詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】制御ユニットが組み込まれた加熱装置を示す斜視図である。
【実施例】
【0045】
図1は加熱装置1を示す斜視図である。前記加熱装置1はハウジング3を有し、このハウジングに制御ユニット2が結合されている。その際、前記制御ユニット2は例えばネジ接続部を介して前記ハウジング3に締結されている。前記ハウジング3は円筒状の内部スペースを形成し、この内部スペースに前記加熱装置1の諸構成部材が組み込まれている。前記ハウジング3の軸方向の端部領域には蓋部4、5が備えられており、これらの蓋部は前記ハウジング3を端部側において閉鎖する。前記蓋部4は流体接続部6と流体接続部7とを有し、これらの流体接続部は前記加熱装置1内の流動方向に応じてそれぞれ流体供給部として、あるいは流体排出部として用いることができる。
【0046】
図2は
図1に示された加熱装置1の断面図である。
図2の上方領域には制御ユニット2が示されており、この制御ユニットに関しては以下において詳細に取り上げることはない。
【0047】
前記ハウジング3の内部にはコイルハウジング9が配置されており、このコイルハウジングは2つの円筒状中空体10、11で形成されている。前記コイルハウジング9内にはコイル8が配置されている。このコイル8は中空円筒体を形成し、この中空円筒体は導電性材料の巻線で形成されている。
【0048】
前記コイル8は電気接触部12を介して前記制御ユニット2に接続されている。このために前記ハウジング3の外側に接続領域13が備えられており、この接続領域によって前記電気接触部12を前記制御ユニット2内に導くことができる。
【0049】
前記両円筒状中空体10、11によって形成されている前記コイルハウジング9は、その内部に前記コイル9に加えて媒体を有し、この媒体は一方では前記コイル8を流体密に前記コイルハウジング9の内部に包含し、もう一方では前記コイルハウジング9内の熱伝導性を向上させる。
【0050】
前記両円筒状中空体10、11は異なる直径を有し、これにより、前記両円筒状中空体10、11を互いに嵌め合わせることで前記円筒状中空体10、11の間に中空スペースが生じ、この中空スペースは前記コイル8のための収容領域を形成する。
【0051】
前記コイルハウジング9の中心に管18が配置されており、この管は通路14を形成し、この通路内を流体が流通することができる。この場合、前記通路14は直接前記流体接続部6に流体連通されている。
【0052】
図2では前記流体接続部6が流体供給部として形成されている。従って、流体は前記流体接続部6を通過して前記通路14に沿って前記管18内を流通することができ、そして、前記管18における前記流体接続部6とは反対側の端部領域から前記コイルハウジング9の前記円筒状中空体11内の領域へ流入することができる。
【0053】
この場合、前記管18は、前記蓋部4の内部あるいは前記流体接続部6に設置されているオフセット上に装着されて、そこでこのオフセットに結合されている。前記管18における前記流体接続部6とは反対側の端部領域は前記蓋部5に対して、前記管18と前記蓋部5との間に空隙が生じるように離間されていて、この空隙を通って流体が前記管18と前記円筒状中空体11との間に形成された通路15内に流入することができる。次に前記流体は前記通路15を通って前記蓋部4にまで流れる。前記コイルハウジング9と前記蓋部4との間には空隙が設けられていて、この空隙を通って前記流体は最終的に通路16内へ流入でき、この通路は、前記コイルハウジングとこれも中空円筒体として形成された面状加熱要素19との間に形成されている。
【0054】
そこで前記流体は再び前記蓋部5の方向に流れることができる。前記面状加熱要素19と前記蓋部5との間にも空隙が設けられていて、この空隙によって前記流体を前記面状加熱要素19と前記ハウジング3の壁部との間でもう一度転向させることができ、再び前記蓋部4の方向に流すことができる。前記面状加熱要素19と前記ハウジング壁部との間にはさらに別の面状加熱要素20を備えることができる。この場合、この面状加熱要素20は前記面状加熱要素19と前記ハウジング3の壁部との間の通路17を部分通路に区分する。
【0055】
前記蓋部4における半径方向に配置された開口部を介して、前記流体は最終的に
図2には示されていない流体接続部7を通じて前記加熱装置1から流出することができる。
【0056】
前記コイルハウジング9は、その両側周囲を流体が流通できるように前記加熱装置内に配置されている。このようにして、前記コイル8内に生じた熱を前記流体によって搬出でき、さらにまた前記流体に関する加熱効率を向上させることができる。
【0057】
前記コイルハウジング9における前記流体側を向いた外面に、有利には表面拡張要素、例えば旋回要素や乱流要素を設けておくことができる。このようにすることで、前記加熱装置1内の前記面状加熱要素と前記流体との間の伝熱が改善されるように流体の流れに有利な作用を与えることができる。
【0058】
金属材料から成る、前記加熱装置1内に示された諸要素、例えば前記管18、前記面状加熱要素19または前記面状加熱要素20は誘導作用によって加熱され得る。この場合、前記要素の周囲を流れる流体に熱を伝達でき、これにより前記流体は加熱される。
【0059】
前記コイル8は前記電気接触部12を介して好ましくは電流源を具備しており、この電流源は交流電圧を前記コイル8に印加する。このようにして交番磁界を生成でき、この交番磁界によって前記金属要素、例えば前記管18ならびに前記面状加熱要素19および20を加熱することが可能となる。
【0060】
図3は、既に
図1および
図2に示されたような前記加熱装置1を示す分解図である。
図3から特に見て取れることは、前記加熱装置1の前記個々の要素が互いにどのように嵌め合わせて配置されているかということである。すなわち、前記流体接続部6あるいは7は前記蓋部4の開口部に嵌め込み可能であり、前記管18あるいは前記面状加熱要素19および面状加熱要素20と共に前記ハウジング2内へ嵌め込むことができる。前記コイルハウジング9と電気接触部12を備えた前記コイル8とは、いわば反対側から前記ハウジング2内へ挿入できる。前記ハウジング3の上側には前記制御ユニット2が備えられており、この制御ユニットは前記コイル8を制御するために備えられている。
【0061】
前記コイルハウジング9の前記構成によって、前記加熱装置1内を流通する流体から前記コイル8を完全に分離しておくことが可能となる。このようにすることで、電気的短絡を回避することができる。また、前記コイル8と周囲を流体が流通する前記コイルハウジング9とを組み込むことによって、前記コイルから前記流体への有利な伝熱が可能となる。
【0062】
図1〜
図3に示された実施例は例示である。特に要素の寸法、各要素の幾何学的形態および各要素の互いに対する配置に関して、
図1〜
図3は何ら制限的な性質を有するものではない。前記様々な実施例の各特徴は互いに組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 加熱装置
2 制御ユニット
3 ハウジング
4 蓋部
5 蓋部
6 流体接続部、流体入口、流体出口
7 流体接続部、流体出口、流体入口
8 コイル
9 コイルハウジング
10 円筒状中空体、中空円筒状の要素
11 円筒状中空体、中空円筒状の要素
12 電気接触部
13 接続領域
14 通路
15 通路
16 通路
17 通路
18 管、面状加熱要素
19 面状加熱要素
20 面状加熱要素