特許第6391696号(P6391696)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391696
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】臭気制御材料を備える吸収性製品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20180910BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20180910BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20180910BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   A61F13/15 141
   A61F13/53 300
   B32B7/02
   B32B7/12
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-541025(P2016-541025)
(86)(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公表番号】特表2017-509358(P2017-509358A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】SE2013051602
(87)【国際公開番号】WO2015094067
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2016年8月16日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イングリッド・グスタフソン
(72)【発明者】
【氏名】カトリーネ・ストリドフェルト
【審査官】 山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭48−020296(JP,U)
【文献】 米国特許第03340875(US,A)
【文献】 特表平08−508424(JP,A)
【文献】 特開2008−142464(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0142709(US,A1)
【文献】 実開昭48−072800(JP,U)
【文献】 特開昭64−083264(JP,A)
【文献】 実開昭63−008022(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体透過性表面と反対側の液体不透過性表面とを有する吸収性製品(200)であって、前記吸収性製品(200)が、キャリア材料(2)と前記キャリア材料(2)に接着された複数の臭気制御粒子(5)とを含む臭気制御材料(1)を備え、前記吸収性製品(200)が、液体透過性のトップシート(24)、液体不透過性のバックシート(8)、及び前記トップシート(24)と前記バックシート(8)との間に封入された吸収性コア(9)を備える吸収性製品(200)において、前記臭気制御材料(1)が、前記トップシート(24)と前記吸収性コア(9)との間に位置し、前記キャリア材料(2)は、前記吸収性製品(200)の前記液体透過性表面の方に位置する第1の表面と、前記吸収性コア(9)の方に位置する反対側の第2の表面とを有しており、複数の臭気制御粒子(5)が、活性炭で構成され、且つ、水溶性のバインダー物質で前記キャリア材料(2)の第2の表面に結合されており、前記バインダー物質は、水溶液に接触したときに少なくとも部分的に溶解し、
前記複数の臭気制御粒子は、前記キャリア材料の前記第2の表面上にのみあることを特徴とする、吸収性製品(200)。
【請求項2】
前記水溶性のバインダーが、40kDa以下の分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の吸収性製品(200)。
【請求項3】
前記水溶性のバインダーが、親水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項2に記載の吸収性製品(200)。
【請求項4】
前記親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドポリアクリル酸、澱粉、または澱粉の誘導体であることを特徴とする、請求項3に記載の吸収性製品(200)。
【請求項5】
前記水溶性のバインダーが、親水性の低分子量化合物を含むことを特徴とする、請求項2〜4の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【請求項6】
前記親水性の低分子量化合物が、単糖類、二糖類、糖アルコール類、またはポリオール類であることを特徴とする、請求項5に記載の吸収性製品(200)。
【請求項7】
前記キャリア材料(2)の前記第1の表面が界面活性剤で処理されることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【請求項8】
前記水溶性のバインダー物質が、添加剤を含むことを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【請求項9】
前記添加剤が、可塑剤、安定剤、分散性改善剤、pH調整剤、抗菌物質、界面活性剤、又はそれらの混合物であることを特徴とする、請求項8に記載の吸収性製品(200)。
【請求項10】
バインダー物質対臭気制御粒子(5)の重量比が、1:10から10:1であることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【請求項11】
前記キャリア材料(2)が不織布材料であることを特徴とする、請求項1から10の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【請求項12】
前記キャリア材料(2)が発泡体材料であることを特徴とする、請求項1から10の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【請求項13】
前記臭気制御材料(1)が、前記吸収性製品(200)の水平面における総表面積の5〜100%を覆うことを特徴とする、請求項1から12の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【請求項14】
前記臭気制御材料(1)が、前記吸収性製品(200)の水平面における総表面積の5〜60%を覆うことを特徴とする、請求項1から13の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【請求項15】
前記キャリア材料(2)が、複数の開口を設けるために、穿孔され、又はスリットが入れられていることを特徴とする、請求項1から14の何れか一項に記載の吸収性製品(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体透過性表面と反対側の液体不透過性表面とを有する吸収性製品であって、キャリア材料とキャリア材料に接着された複数の臭気制御粒子とを含む臭気制御材料を備える吸収性製品に関する。
【背景技術】
【0002】
失禁用製品のような吸収性製品の使用に関連する臭気防止は、消費者にとって重要な心地良さの要因である。尿などの体液は吸収性製品に集められて蓄えられ、且つ、臭気は容易に立ちのぼる。着用者にとって、これらの臭気が周囲に広がらないことが重要である。着用者は、吸収性製品を使用する際に、漏れおよび臭気の防止または制御の両方に関して、安心を感じる必要がある。
【0003】
吸収性製品の分野において、臭気を防止するためにいくつかの異なる解決策が用いられる。例えば、臭気は、香料または脱臭化合物の使用によって隠され得る。また、臭気は、活性炭、ゼオライトおよび澱粉系微粒子材料などの、大きい表面積を持つ粒子に吸着または吸収されてもよい。また、酸性および/またはアルカリ性の臭気は、重曹および/またはクエン酸などの物質の使用によって中和されてもよい。細菌抑制に関して、低いpHを有する物質または金属塩は使用され得る。したがって、異なる臭気制御剤が、異なる方法で臭気を防止するために使用されてもよい。
【0004】
活性炭、ゼオライトおよび澱粉系材料のような粒子形状の臭気制御剤は、粒子の大きい表面積に起因して、優れた臭気−吸着特性を有することが証明されている。しかしながら、粉末形状であってもよいそのような臭気制御剤の使用に関していくつかの欠点があり、例えば、そのような粉末は、ダスティングの問題に起因して、乾式工程において取り扱いが非常に困難である。粉末は、処理設備および製品の両方を汚染する可能性がある。
【0005】
先行技術において、例えば下記の特許文献1によって開示されるような粉末のダスティングの問題を低減させる試みがあり、その中で、臭気制御剤の粒子は不織布または紙ウェブのような繊維状ベースのウェブに結合される。多孔質ベースのウェブは、臭気−吸収粒子および結合剤を界面活性剤と一緒に含有する飽和したスラリーに浸漬される。過剰なスラリーは、次いで、ウェブから絞られ、ウェブは乾燥される。
【0006】
また、粒子形状の臭気制御剤は、吸収性製品において均一な様式で分散するのが困難である可能性がある。例えば、雰囲気の湿気は粒子に塊を形成させ、およびこれは、製造工程においておよびその結果として最終製品において、不均一な分布を引き起こす可能性がある。
【0007】
例えば活性炭粒子のような、ある臭気吸着粒子は疎水性であるので、これらの粒子が製品における吸収性を損なわないことも重要である。
【0008】
したがって、吸収性製品の製造の間の粒子形状の臭気制御剤の取り扱いを改善する必要性、およびまた、臭気吸着/吸収性および液体吸収性が維持されまたは改善されることを保証する必要性が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0392528号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、効果的な臭気制御システムを有する吸収性製品を提供することである。本発明のさらなる目的は、最終製品における吸収性を損なうことなく効果的な臭気制御システムが得られるように、最終製品における臭気制御粒子の分布を改善することである。本発明のさらなる目的は、製造工程における臭気制御粒子の取り扱いを改善することである。
【0011】
これらの目的は、流体透過性表面及び反対側の液体不透過性表面を有する吸収性製品であって、キャリア材料及びキャリア材料に接着された複数の臭気制御粒子を含む臭気制御材料を備える吸収性製品によって達成される。さらに、キャリア材料は、吸収性製品の流体透過性表面の方に位置する第1の表面と、吸収性製品の液体不透過性表面の方に位置する反対側の第2の表面と、を有しており、ここで、複数の臭気制御粒子は、水溶性バインダー物質でキャリア材料の第2の表面に結合されている。水溶性バインダー物質は、水溶液に接触したときに少なくとも部分的に溶解する能力がある。吸収性製品の液体不透過性表面の方に位置するキャリア層の表面に結合された複数の臭気制御粒子を有することによって、使用者からの水溶液は、それが臭気制御粒子に入る前にバインダー物質に入る。尿などの使用者からの水溶液は、このようにして、バインダーを素早く溶解させることができる。このように、臭気制御粒子の大きな総表面積は、臭気吸着に利用できる。
【0012】
吸収性製品は、流体透過性のトップシート及び液体不透過性のバックシートと、トップシートとバックシートとの間に封入された吸収性コアと、を備えており、臭気制御材料が、キャリア材料の第2の表面が吸収性コアの方に位置する状態で、トップシートと吸収性コアとの間に位置してもよい。
【0013】
臭気制御粒子は、活性炭、ゼオライトもしくは澱粉系臭気制御粒子、またはそれらの混合物であってもよい。これにより、例えば臭気制御粒子が活性炭粒子である場合、尿などの使用者からの水溶液は、まずキャリア材料に入り、その後、バインダー物質に入り、最後に活性炭粒子に入る。炭素粒子が大きい表面積を有することは臭気吸着にとって重要であるので、使用者からの水溶液がバインダー物質に非常に素早く入り、それによって、活性炭粒子の表面積の大部分が臭気吸着に利用されるように、バインダー物質が溶解してキャリア材料から活性炭粒子を放出させることができることが重要であることがわかった。
【0014】
1つの実施形態によると、水溶性バインダー物質は、40kDa以下の分子量を有する。
【0015】
水溶性バインダーは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドポリアクリル酸、澱粉、または澱粉の誘導体などの親水性ポリマーを含んでいてもよい。
【0016】
水溶性バインダーは、グルコースまたはその類似物などの単糖類、スクロースまたはその類似物などの二糖類、キシリトールまたはその類似物などの糖アルコール類、またはポリエチレングリコールまたはその類似物などのポリオール類のような親水性の低分子量化合物を含んでいてもよい。
【0017】
また、水溶性バインダーは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドポリアクリル酸、澱粉または澱粉の誘導体、のような親水性ポリマーと、グルコースまたは類似物のような単糖類、スクロースまたは類似物のような二糖類、キシリトールまたは類似物のような糖アルコール類、またはポリエチレングリコールまたは類似物のようなポリオール類、のような低分子量化合物と、の混合物を含んでいてもよい。
【0018】
バインダーは、液体が臭気制御材料を濡らした後、直ちに、少なくとも部分的に溶解する必要がある。「直ちに」とは、液体がバインダー物質に到達してから2秒未満内を意味する。
【0019】
1つの実施形態によると、水溶性バインダー物質は、可塑剤や、安定剤、分散性改善剤、pH調整剤、抗菌物質、界面活性剤などの添加剤も含んでいてもよい。
【0020】
水溶性バインダー物質が1つの界面活性剤や異なる界面活性剤の混合物を含む利点は、水溶性バインダー物質が、界面活性剤が無いものよりも容易に水溶液に溶解されることである。
【0021】
1つの実施形態によると、水溶性バインダー物質対臭気制御粒子の重量比は、1:10から10:1である。
【0022】
キャリア材料は、不織布材料、織物材料、又は発泡体材料であってもよい。不織布や織物は、15から40g/mの間、或いは18から25g/mの米坪を有してもよい。発泡体材料は、15から100g/mの米坪を有してもよい。
【0023】
1つの実施形態によると、キャリア材料の表面の少なくとも一方が界面活性剤で処理される。また、界面活性剤はキャリア材料の両面に塗布されてもよい。界面活性剤は、キャリア材料の一方または両方の表面に、後で別の過程で塗布されるバインダー物質とは別の1つの過程で塗布されてもよい。しかしながら、別の実施形態によると、界面活性剤は、バインダーと混合され、その後、混合物が、塗布される。また、別の過程でキャリア材料を界面活性剤で処理しつつ、バインダー物質と混合された1つ又は複数の界面活性剤を有することもも可能である。
【0024】
さらに別の実施形態によると、キャリア材料が穿孔されたりスリットが入れられたりして複数の開口がもたらされる。しかしながら、液体が水溶性バインダー物質に接触することが必須である。そもなければ、水溶性バインダー物質を溶解させることができないであろう。したがって、小さいサイズの多数の開口部は、大きいサイズのほんの少しの開口部に比べて有利である。
【0025】
臭気制御材料は、吸収性製品の水平面における総表面積の5〜100%を覆ってもよい。別の実施形態では、臭気制御材料は、吸収性製品の水平面における総表面積の5〜60%を覆ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明に係る様々な実施形態の実施例が、下記の添付図面にさらに図示されている。
【0027】
図1】本発明に係る臭気制御材料を示す図である。
図2A】吸収性製品が着用されたときに使用者に面するであろう側から見た、臭気制御材料を備える吸収性製品を示す図である。
図2B】線II−IIに沿った、図2Aの吸収性製品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明に係る臭気制御材料を示している。臭気制御材料1は、第1の表面3を有するキャリア材料2を含む。複数の臭気制御粒子5は、キャリア材料2の第2の表面4に水溶性バインダー物質で結合されており、バインダー物質は、水溶液と接触したときに少なくとも部分的に溶解する。
【0029】
活性炭の粒子5は、ASTM−D5158に従って測定される約0.1μm〜1000μmの粒子サイズを有していてもよく、好ましくは、約1μmから約250μmである。0.1μmよりも小さなサイズを有する粒子は、しばしば取り扱いが困難である。一方で、250μmより大きい粒子は、吸収性製品において、臭気制御剤が使用された最終製品において、心地が悪く、または平らでなく感じる可能性がある。したがって、粒子は、それらの粒子が例えば皮膚刺激を生じさせないように、十分に微細である、すなわち小さいべきである。
【0030】
比表面積は製品の物理的特性に依存し、例えば、澱粉系微粒子剤のBET比表面積が約5m/gから500m/gであってもよい。粒子の比表面積が大きいほど、臭気吸着性能は良くなる。
【0031】
バインダーは少なくとも部分的に溶解するので、活性炭粒子の表面の一部には、バインダー物質が無く、臭気物質を吸着する効率を増大させることができる。好ましくは、水溶性材料は、水又は水溶液に完全に溶解する。
【0032】
図2Aおよび図2Bに示される吸収性製品は、パッド200の形状の尿失禁プロテクターである。パッド200は、着用されているときに着用者の身体に向かって面するように意図されたパッドの側から見られる。パッド200は、液体透過性トップシート24と、液体不透過性バックシート8と、トップシート24とバックシート8との間に封入された吸収性コア9と、トップシート24と吸収性コア9との間に配置される臭気制御材料1と、を含む。
【0033】
パッド200のトップシート24およびバックシート8は、吸収性コア9の全周に沿って吸収性コア9の横方向外側に共に延び、および吸収性コア9の周辺を囲む縁接合部10において互いに接続される。
【0034】
トップシート24は、目的のために適当な、すなわち柔軟なおよび液体浸透性の、任意の材料からなる。一般にみられるトップシート24の材料の例は、不織布材料、穿孔されたプラスチックフィルム、プラスチックまたは布地のメッシュおよび流体透過性の発泡体層である。また、トップシートは、流体透過性の着用者に面する表面の異なる部分内で異なる材料からなるので、2つ以上のトップシート材料からなる積層体も、一般に採用される。
【0035】
バックシート8は、流体不透過性である。しかしながら、単に流体をはじくバックシートの材料は、特に、相対的に少量の尿が取り込まれることが予期される場合において、使用されてもよい。バックシート8は、一般に、薄い可撓性、流体不透過性のプラスチックフィルムによって構成されるが、しかし、流体不透過性の不織布材料、流体不透過性の発泡体および流体不浸透性の積層体もまた、本発明の範囲内で検討される。バックシート8は通気性があってもよく、空気および/または蒸気がバックシート8を通過してもよいことを意味する。さらに、バックシート8は、不織布のような布地材料の、外側の衣服に面する表面を有していてもよい。
【0036】
吸収性コア9は、セルロースフラッフパルプ、発泡体、繊維の詰め物等の1つまたは複数の層のような、当技術分野で知られる任意の適当な吸収性体または流体取り込み材料で構成されていてもよい。吸収性コア9は、ヒドロゲルの形成の際に大量の流体を吸収および保持する能力を有する材料である、超吸収性体として一般に知られる高度に吸収性のポリマー材料の繊維または粒子を含有していてもよい。超吸収性体は、セルロースフラッフパルプと混合されてもよく、および/または吸収性コア9のポケットまたは層に配置されてもよい。繊維はパルプ繊維であってもよく、および超吸収性材料はポリアクリレートベースの粒子であってもよい。
【0037】
吸収性コア9は、吸収性コア9の性質を改善するための成分をさらに組み込んでもよい。そのような成分のいくつかの例は、当技術分野で知られるバインダー繊維、流体分散材料、濡れ標識等である。
【0038】
パッド200は、全ての方向に完全に延伸されたとき、細長い、概して長方形状を有する。。砂時計形状、台形形状、三角形状、卵形等のような、任意の適当な形状は、吸収性製品のために使用される。本発明の製品の形状は、製品を通る横軸中心線に関して対称であってもよく、または異なる形状および/または異なるサイズを有する端部部分を備える非対称であってもよい。
【0039】
パッド200は、吸収性製品を通る長手中心線と同一の方向に概して延びる2つの長手側縁11、12を有する。前端縁13および後端縁14は、典型的には、吸収性製品の端部で長手中心線に対して横方向に延びる。後端縁14は、吸収性物品の使用の間、後方に配向されることが意図され、および前端縁13は、着用者の腹部に向かって前方に面することが意図される。パッド200は、前端部分15と、後端部分17と、端部分15、17の中間に位置する股部分16と、を有する。股部分16は、製品の使用の間、着用者の股に対して置かれ、およびパッド200に達する体液のための主な取得領域を構成することが意図される部分である。
【0040】
パッド200は、1枚の下着のパンツのようなサポートパンツ衣服の内側に吸収性製品を締結するための締結手段をさらに含んでいてもよい。締結手段は、バックシート8の衣服に面する表面に配置された長手方向に延びる2つの感圧接着剤の帯の形状であってもよい。締結手段は、解除可能な保護層、例えば、シリコン処理された紙、不織布または本技術分野で知られる任意の他の解除可能な材料によって覆われ得る。サポートパンツ衣服内に吸収性製品を置く前に、保護層は締結手段から取り除かれ、接着剤を露出させおよびパンツ衣服に締結するために利用可能にする。
【0041】
弾性要素18、19は、側縁に沿って吸収性コア9の横方向外側に配置されてもよい。弾性要素18、19は、弾性材料の帯であってもよい。弾性要素18、19は、吸収性製品の任意付加的な成分であり、省略されてもよい。
【0042】
締結手段は、本発明にとって任意付加的であり、所望であれば、省略されてもよい。接着剤の締結手段を使用するとき、バックシートの全面コーティング、1つまたは複数の長手方向の接着剤の帯、横断方向の帯、点、円、曲線、星等のような、任意の適当な接着剤のパターンは、使用されてもよい。さらに、締結手段は、フック型のファスナー、クリップ、ホック等のような機械的なファスナーであってもよく、または、摩擦コーティングのような摩擦ファスナー、またはオープンセル型発泡体であってもよい。また、異なるタイプのファスナーの組み合わせは、考えられる。
【0043】
図2Aにおける臭気制御材料1は、吸収性コア9の上方に、およびトップシート24の下方にトップシート24と直接接して、位置する。しかしながら、吸収性製品が液体捕捉および分配層を含んでいることも可能であり、および臭気制御材料は、そのような製品において、液体捕捉および分配層と吸収性コアとの間、または製品において他の層間に位置していてもよい。パッド200の吸収性コア9は、第1の吸収性層20と第2の吸収性層21とを含む。また、臭気制御材料1は、吸収性製品において、第1の吸収性層20と第2の吸収性層21との間に配置されていてもよい。
【0044】
吸収性層20、21は、均質構造であってもよく、またはそれぞれにおいて同一のまたは異なる材料の吸収性積層体のような層構造であってもよい。吸収性層は、均一の厚さを有していてもよく、または層の異なる部分において厚さが変動してもよい。同様に、坪量および組成は吸収性層内で変動してもよい。例として、吸収性層は、吸収性および/または非吸収性繊維と超吸収性材料との混合物を含んでいてもよく、超吸収性材料の繊維に対する割合は層内で変動してもよい。
【0045】
第1および第2の吸収性層20、21は、拡大された端部分と股部分における狭い部分とを備える砂時計形状、または長方形状のような、任意の適当な形状を有していてもよい。第2の吸収性層21は、第1の吸収性層20の下方に置かれている。第1の吸収性層20は、第2の吸収性層21よりも小さい。第2の吸収性層21は、第1の吸収性層20よりも、さらに、吸収性製品における前方および後方に延びている。しかしながら、吸収性コアは、また、1つの単一層のみを含んでいてもよく、または1つまたは複数のさらなる吸収性層を含んでいてもよい。また、異なる層のサイズは変動してもよく、および図2Aおよび図2Bにおいて説明された吸収性コア9は、本発明のために適当な吸収性コアの単に1つの例である。
【0046】
図2Aおよび図2Bに例示される吸収性製品20における臭気制御材料1は、長方形状を有し、および長手方向および横断方向において、吸収性コアの部分によって囲まれてもよい。また、臭気制御材料1のための他の形状および構成が使用されてもよい。
【0047】
図2Bにおいて、線II−IIに沿った、図2Aの吸収性製品の断面図が示される。そこで、パッド200は、液体透過性トップシート24と、液体不透過性バックシート8と、トップシート24とバックシート8との間に封入された吸収性コア9と、を有し、および臭気制御材料1は、トップシート24と吸収性コア9との間に位置する。また、図2Bにおいて、キャリア材料2は、第1の表面22と、反対側の第2の表面23と、を有し、第1の表面22は液体透過性トップシート24に面し、および第2の表面23は吸収性コア9に面することが示される。さらに、臭気制御粒子3は、臭気制御粒子3と結合される表面が吸収性コア9に面するように、キャリア材料2の第2の表面23に結合される。
【0048】
実施例
(実施例1)活性炭粒子の比表面積
この試験は、水溶性バインダー物質で覆われた活性炭粒子の比表面積を、試料を濡らす前と試料を濡らした後とで比較するために行われた。また、水溶性バインダー物質を有していない試料も測定された。活性炭粒子の比表面積は、他の物質との吸着および/または相互作用のために利用可能であるバインダー物質の面積を決定する。ここでいう比表面積は、BET−表面積として定義される。BET−理論は、固体表面に対する気体分子の吸着を説明し、および第1の層の吸着のためのエネルギーに関する仮定に基づく。脱着後の気体の体積を測定することによって、比表面積は計算される。その方法は、Brunauer、Emmett、及びTellerによって確立された。当業者は、測定を実行するための慣用の計器を知っているであろう。
【0049】
試験された試料:
1. バインダー物質を有していない活性炭粒子。
2. 水溶性バインダー物質で覆われた活性炭粒子。水溶性物質は、分子量が40kDaであるポリビニルピロリドンである。
3. 水溶性バインダー物質で覆われた活性炭粒。水溶性物質は、分子量が40kDaであるポリビニルピロリドンである。試料が水溶性バインダー物質で覆われた後、試料が濡らされた。濡らす手順は次のとおりである: 摂氏35度の温度の0.9%の食塩水50mlを試料の上に慎重に注いで水分吸収によって濾過される。湿式フィルターを有するブフナー漏斗が使用される。次に、試料を有するフィルターが、摂氏80度のオーブン内で24時間、乾燥させる。その後、試料が粉砕される。
【0050】
BET測定を3つの試料に行ったところ、下記の結果となった。
【0051】
【表1】
【0052】
この結果は、水溶性バインダー物質で覆われた活性炭粒子を有しているが濡れていない試料は、濡れた後の試料よりも小さい比表面積となっていることを示している。このように、試料を濡らすことによって、得られる比表面積は、131m/gから238m/gまで大きく増大する。
【0053】
バインダー物質の無い未処理の活性炭粒子を有する試料の比表面積は、より高い比表面積となっている。しかしながら、先に説明したとおり、そのような粉末は、ダスティングの問題に起因して、乾式工程において取り扱いが非常に困難である。粉末は、処理設備および製品の両方を汚染する可能性がある。
【0054】
(実施例2)バインダー物質の溶解
この試験は、1分間にどのくらいのバインダー物質が、調整された食塩水中に溶解されたかを調べるために行われた。
【0055】
材料:
食塩水、温度35−37℃、
ボルテックス装置 IK MS2、速度1500rpm、
試験管15ml、
フィルター紙、2層、Tork 23g/m
漏斗、
バインダー物質、厚さ300−2000pm、50重量%の活性炭を有する。
【0056】
【表2】
【0057】
活性炭を有する0.02gのバインダー物質が試験管に加えられた。各材料は、1〜3個であった。3mlの調整された食塩水が試験管の中へ注ぎ入れられて、その試験管は直ぐにボルテックス上に置かれた。1分後、試験管の中身が濾過された。濾過後、フィルター紙が折り畳まれて、溶解及び/又は軟化されてフィルター紙上に分布した材料の割合に関して目視評価を行った。
【0058】
【表3】
【0059】
40kDa未満の分子量を有するショ糖及びグルコースの混合物の水溶性バインダー物質の試料Cの溶解は、100%であり、ここで、水不溶性バインダー物質の参考試料Dは0%であった。40kDaよりも大きい分子量を有する水溶性バインダー物質の試料Aおよび試料Bは、溶解が100%未満となっている。このように、本発明の範囲内である試料Cだけが、100%の溶解となる試料である。
【0060】
(実施例3)吸収性構造における比表面積の測定
実施例3における臭気制御粒子は活性炭粒子であった。臭気制御材料は、キャリア材料の第2の表面が吸収性コアに面してキャリア材料が第2の表面に結合された活性炭粒子を有する状態で、吸収性コアの上に置かれた。したがって、実施例3における比表面積(m/g)は、材料の総重量の1グラム(g)当たりの炭素粒子の表面積(m)である。実施例3における材料の総重量は、臭気制御材料の重量と吸収性コアの重量との合計である。吸収性コアは、セルロース繊維及び超吸収性粒子から構成され、吸収性コアの重量は約990g/mであった。
【0061】
ここでいう比表面積は、BET−表面積として定義される。当業者は、測定を実行するための慣用の計器を知っているであろう。粒子の比表面積が大きいほど、臭気吸着性能は良くなる。
【0062】
試験された試料
(試料1)
吸収性コア及び臭気制御材料、ここで、活性炭の粒子がキャリア材料の第2の表面に水不溶性バインダー物質で結合されている。
【0063】
(試料2)
吸収性コア及び臭気制御材料、ここで、活性炭の粒子がキャリア材料の第2の表面に水溶性バインダー物質で結合されている。水溶性バインダー物質は、分子量が40kDaである分子量のポリビニルピロリドンである。
【0064】
試料1と試料2との唯一の相違点は、試料1ではバインダー物質が水不溶性であるのに対し、試料2ではバインダー物質が水溶性であることだけである。
【0065】
【表4】
【0066】
この結果は、複数の臭気制御粒子が試料2のように水溶性バインダーによってキャリア材料の第2の表面に結合されている場合、複数の臭気制御粒子が試料1のように水不溶性バインダーによってキャリア材料の第2の表面に結合されている場合に比べて、得られる比表面積は、100%以上増大することを示している。
【0067】
(実施例4)吸収性製品における臭気制御材料の位置決め
製品の厚さ方向における臭気制御材料の位置(バックシートの近く、吸収性コア内の2つの層間の製品の中央、またはトップシートの直下)が臭気抑制にどのように影響を与えるかを調べるために、官能評価が行われた。
【0068】
試験された吸収性製品:
1. 臭気制御材料を備えない失禁用パッド(参照)
2. バックシートの真上に臭気制御材料を備える失禁用パッド
3. 吸収性コア内の層間に臭気制御材料を備える失禁用パッド
4. トップシートの真下に臭気制御材料を備える失禁用パッド
【0069】
失禁用パッドは、トップシートと、バックシートと、それらの間の吸収性コアとを有する。吸収性コアは2つの層を含んでおり、第1の層はトップシートに面しており、および第2の層はバックシートに面していた。トップシートに面する第1の層は、第2の層よりも、パッドの平面において小さい総表面積を有していた。臭気制御材料は、第1の吸収性層と同一のサイズ(表面積)を有していた。第1の吸収性層は失禁用パッドの総表面の約50%を覆い、したがって同様に、臭気制御材料は失禁用パッドの総表面の約50%を覆った。臭気制御材料は、製品において3つの異なる場所、製品の最上部、吸収性コアの間、および製品の底部に置かれた。ジアセチル(250ng/ml)、ジメチル三硫化物(14ng/ml)および3−メチルブタナール(40ng/ml)を含有する臭気溶液は、臭気評価が行われる前に各製品に加えられた。
【0070】
臭気制御粒子は、活性炭粒子であり、キャリア材料は発泡体材料であった。
【0071】
11人の回答者がいた。回答者は、試験製品の臭気強度を判定し、および非常に弱い(0)から非常に強い(1)まで表示が付けられた線目盛にマークを付けるように求められた。臭気制御材料を有さない参照製品に関する相対的な臭気強度を、線目盛上の1に設定した。
【0072】
回答者の判定から計算した平均値は、以下の結果を与えた。
【0073】
【表5】
【0074】
この官能評価の結果は、活性炭物質の配置は、トップシートの真下にそれが置かれたときに匂いがより弱く、2つの吸収性コアの間にそれが置かれたときに匂いがより強く、および製品の底部にそれが置かれたときに匂いが最も強かったことを示す。
【0075】
(実施例5)キャリア材料の両面上の活性炭粒子と比較された、キャリア材料の片面上の活性炭粒子
キャリア材料は、第1の表面と反対側の第2の表面とを有する。臭気抑制は、第1の表面および第2の表面に結合された活性炭を有するキャリア材料に関して測定された。また、臭気抑制は、キャリア材料の第2の表面のみに活性炭を備えるキャリア材料に関して測定された。また、臭気抑制は、臭気制御材料を備えない失禁用パッドに関して測定された。
【0076】
試験された吸収性製品:
1. 臭気制御材料を備えない失禁用パッド(参照)
2. 両面に活性炭がコーティングされた発泡体を備える失禁用パッド
3. 片面のみに活性炭がコーティングされた発泡体を備える失禁用パッド
【0077】
失禁用パッド2に関して、発泡体の各面は25gsmの活性炭がコーティングされ、そのため炭素の総量は50gsmであった。吸収性製品における発泡体は片面のみに活性炭がコーティングされた失禁用パッド3に関し、この面は、50gsmの炭素でコーティングされた。したがって、炭素の総量は、吸収性製品2および吸収性製品3に関して同一であった。
【0078】
臭気減少は、以下の方法で評価された。ジアセチル、3−メチルブタナール、DMTSおよびp−クレゾールを用いた混合物は、失禁用パッドに加えられた。失禁用パッドは、気密のガラスチャンバー内に置かれ、溶液と上部空間との間で平衡が達成され得るように、35℃での培養のために放置された。上部空間は、SPME−繊維(固相マイクロ抽出−繊維)によってサンプリングされ、次いでGC−MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)システムを用いて分析された。個々の臭気物質は検出され、および臭気減少は、活性炭粒子を備える試料に関するピーク面積を活性炭粒子を備えない試料に関するピーク面積で割ることによって計算された。活性炭粒子を備える試料は、単に、活性炭粒子を備えない試料(参照)と比較され、同一バッチの臭気混合物が使用され、および活性炭粒子を備える試料と活性炭粒子を備えない試料(参照)とは、常に同日に分析された。
【0079】
【表6】
【0080】
両面にコーティングされた炭素粒子を有する失禁用パッド2と、片面のみにコーティングされた炭素粒子を有する失禁用パッド3と、の間に臭気減少の違いは見られなかったので、片側のみに炭素粒子を有する場合に臭気減少は低下しない。
【符号の説明】
【0081】
1 臭気制御材料
2 キャリア材料
3 第1の表面
4 第2の表面
5 臭気制御粒子
8 バックシート
9 吸収性コア
10 縁接合部
11 長手側縁
12 長手側縁
13 前端縁
14 後端縁
15 前端部分
16 股部分
17 後端部分
18 弾性要素
19 弾性要素
20 第1の吸収性層
21 第2の吸収性層
22 第1の表面
23 第2の表面
24 トップシート
図1
図2A
図2B