特許第6391697号(P6391697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6391697リニア駆動装置、排ガス再循環制御バルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391697
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】リニア駆動装置、排ガス再循環制御バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/14 20060101AFI20180910BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20180910BHJP
   F02M 26/67 20160101ALI20180910BHJP
【FI】
   F16H25/14
   F16K31/04 A
   F02M26/67 311
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-541895(P2016-541895)
(86)(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公表番号】特表2016-536546(P2016-536546A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2014068975
(87)【国際公開番号】WO2015036333
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2016年5月9日
(31)【優先権主張番号】201320560905.5
(32)【優先日】2013年9月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シアーングワーン ツァオ
(72)【発明者】
【氏名】ローンシェーン ジャオ
(72)【発明者】
【氏名】シャオリン ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジーンジーン ソーン
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第1882843(EP,A2)
【文献】 中国実用新案第202561210(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/14
F02M 26/67
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(2)と、
該モータの出力軸に固定されて接続されたピニオン歯車(5)及び該ピニオン歯車(5)に噛み合う伝動歯車(6)を備えた減速伝動段と、
前記伝動歯車(6)の回転運動を、出力コネクティングロッド(7)の直線運動へと変換するリニア伝動段と、を有し、前記出力コネクティングロッドは単に直線的に動かされるようにスリーブ部材(10)内に収容されている、リニア駆動装置(1)であって、
前記伝動歯車(6)に螺旋溝(8)が設けられており、該螺旋溝(8)内で動くことができる従動体(9)が前記螺旋溝(8)に収容されていて、前記従動体(9)は前記出力コネクティングロッド(7)に接続部材(17)を介して接続されていて、該接続部材(17)は直角部材として設計されており、
弓形の翼部分(21)が、前記接続部材(17)の鉛直面に設けられており、前記弓形の翼部分(21)は、前記伝動歯車(6)の一方の面に向かって突出していることを特徴とする、リニア駆動装置。
【請求項2】
前記従動体(9)は、ベアリング(91)と、該ベアリング(91)の内輪に挿入されたピン軸(92)とを有している、請求項1記載のリニア駆動装置。
【請求項3】
前記従動体(9)の前記ピン軸(92)を接続する第1の孔(18)が、前記接続部材(17)の前記鉛直面に設けられている、請求項2記載のリニア駆動装置。
【請求項4】
前記出力コネクティングロッド(7)のコネクティングロッドジャーナル(71)を接続する第2の孔(19)が、前記接続部材(17)の水平面に設けられている、請求項3記載のリニア駆動装置。
【請求項5】
位置センサのセンサポインタ(22)を接続する第3の孔(20)が、前記接続部材(17)の前記鉛直面にさらに設けられている、請求項4記載のリニア駆動装置。
【請求項6】
前記第1の孔(18)と、前記第2の孔(19)と、前記第3の孔(20)の中心軸線は全て、前記接続部材(17)の中央平面(A)に位置している、請求項5記載のリニア駆動装置。
【請求項7】
前記接続部材(17)は、前記鉛直面と水平面とを有しており、
前記接続部材(17)の前記鉛直面と前記水平面とが互いに接続する直角の角に、内側に向かって凹状の2つの補強リブ(23)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載のリニア駆動装置。
【請求項8】
前記補強リブ(23)はスタンピングにより成形されている、かつ/又は前記補強リブ(23)は前記鉛直面に30°〜60°の角度を成して交差している、請求項7記載のリニア駆動装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のリニア駆動装置(1)を有していることを特徴とする、エンジンの排ガス再循環回路で使用される排ガス再循環制御バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア駆動装置、リニア駆動装置用の接続部材、リニア駆動装置を備えた排ガス再循環制御バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業のような産業では、例えば、エンジン排ガス再循環システムで使用される排ガス再循環制御バルブのように、精密に制御可能なバルブ装置が一般に求められている。このようなバルブ装置では、精密に制御可能なリニア駆動装置が求められており、そのようなバルブ装置ができるだけ軽量かつ小型化されていることが望ましい。
【0003】
回転運動部分及び直線運動部分用の接続部材は通常、複雑な構造及び高い機械加工コストを要し、センサに対する揺れや振動の影響を回避することは殆どできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明により解決すべき技術的課題は、回転運動部分と直線運動部分を接続する接続部材により簡単に組み付けることができ、ガイドが可能であり、実質的な回転によるセンサ信号への影響を回避するリニア駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
モータと、
モータの出力軸に固定されて接続されたピニオン歯車及びピニオン歯車に噛み合う伝動歯車を備えた減速伝動段と、
伝動歯車の回転運動を、出力コネクティングロッドの直線運動へと変換するリニア伝動段と、を有し、出力コネクティングロッドは単に直線的に動かされるようにスリーブ部材内に収容されている、リニア駆動装置であって、
伝動歯車に螺旋溝が設けられており、螺旋溝内で動くことができる従動体が螺旋溝に収容されていて、従動体は出力コネクティングロッドに接続部材を介して接続されていて、接続部材は直角部材(アングル部材)として設計されている、リニア駆動装置を提供する。
【0006】
好適な実施形態では、従動体は、ベアリングと、ベアリングの内輪に挿入されたピン軸とを有している。
【0007】
好適な実施形態では、従動体のピン軸を接続する第1の孔が、接続部材の鉛直面に設けられている。
【0008】
好適な実施形態では、出力コネクティングロッドのコネクティングロッドジャーナルを接続する第2の孔が、接続部材の水平面に設けられている。
【0009】
好適な実施形態では、位置センサのセンサポインタを接続する第3の孔が、接続部材の鉛直面にさらに設けられている。
【0010】
好適な実施形態では、第1の孔と、第2の孔と、第3の孔の中心軸線は全て、接続部材の中央平面に位置している。
【0011】
好適な実施形態では、弓形の翼部分が、接続部材の鉛直面に設けられている。
【0012】
好適な実施形態では、接続部材の鉛直面と水平面とが互いに出会う直角の角に、内側に向かって凹状の2つの補強リブが設けられている。
【0013】
好適な実施形態では、補強リブはスタンピングにより成形されている、かつ/又は補強リブは鉛直面に30°〜60°の角度を成して交差している。
【0014】
本発明はさらに、直角部材として設計されている接続部材であって、接続部材の鉛直面に第1の孔が設けられていて、接続部材の水平面に第2の孔が設けられていて、接続部材の鉛直面に第3の孔がさらに設けられており、第1の孔と第2の孔と第3の孔の中心軸線は全て、接続部材の中央平面に位置していて、接続部材の鉛直面に弓形の翼部分が設けられている接続部材に関する。
【0015】
本発明はさらに、本発明によるリニア駆動装置を有している、エンジンの排ガス再循環回路で使用される排ガス再循環制御バルブに関する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるリニア駆動装置の好適な実施形態を示した斜視図である。
図2】本発明によるリニア駆動装置の好適な実施形態を、外部のハウジングなしで示した別の斜視図である。
図3】本発明によるリニア駆動装置の好適な実施形態を示した断面図である。
図4】本発明による伝動歯車と、伝動歯車に設けられた溝に収容された従動体とを示した正面図である。
図5】出力コネクティングロッドと従動体とを有した出力アッセンブリを示した正面図である。
図6】出力コネクティングロッドと従動体とを有した出力アッセンブリを示した側面図である。
図7】出力コネクティングロッドと従動体とを有した出力アッセンブリを示した断面図である。
図8】接続部材の斜視図である。
図9】接続部材の正面図である。
図10】接続部材の側面図である。
図11】接続部材の上面図である。
図12】接続部材の背面図である。
図13】扇形歯車の正面図である。
図14】軸と共に渦巻ばねを示した斜視図である。
図15】軸と共に渦巻ばねを示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態によるリニア駆動装置と、接続部材と、これに対応する排ガス再循環制御バルブとを、図面を参照して説明する。当業者が本発明をより完全に理解できるように、以下の説明において、多くの特定の詳細が記述される。しかしながら、これらの特定の詳細のうちいくつかがなくても本発明が達成されることは当業者には明らかであろう。さらに、本発明は明細書に記載された特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、以下の特徴及び要素のいかなる組み合わせも、異なる実施形態に含まれているものであるなしに関わらず、本発明を実現するために利用できることが本明細書において想定されている。従って、以下の実施形態、特徴、実施形態及び利点は単なる例示であり、特許請求の範囲に明確に規定されていない限り、特許請求の範囲の要素又は限定とみなすべきではない。
【0018】
一例として、エンジンの排ガス再循環で使用する排ガス再循環制御バルブのリニア駆動装置に関して本発明によるリニア駆動装置を以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明によるリニア駆動装置は、様々なバルブ及びアクチュエータなどの、小型の精密リニア制御が必要なあらゆる機器で使用することができる。
【0019】
本発明によるリニア駆動装置の好適な実施の形態が、図1図3に示されている。実施形態では、リニア駆動装置1は、モータ2と、第1の伝動段(減速伝動段)と、第2の伝動段(リニア伝動段)とを有している。リニア駆動装置は、モータ2の駆動によって、出力コネクティングロッド7を直線運動させる。埃やその他の異物が駆動装置に侵入し、これを損傷するのを阻止するために、ハウジング11と、対応するシールシステムとが設けられている。
【0020】
第1の伝動段、即ち、減速伝動段は、モータの出力軸に固定されて接続されたピニオン歯車5と、ピニオン歯車5に噛み合う伝動歯車6とを有している。モータ2が作動されると、ピニオン歯車5は回転駆動されるので、ピニオン歯車5に噛み合っている伝動歯車6は回転させられる。
【0021】
第2の伝動段は、伝動歯車6の回転運動を出力コネクティングロッド7の直線運動へと変換するためのリニア伝動段である。第2の伝動段は、伝動歯車6に形成された螺旋溝8と、この螺旋溝8に受容された従動体9と、この従動体9に固定されて接続された出力コネクティングロッド7とを有している。
【0022】
螺旋溝8は例えばインボリュート形である。螺旋溝8の中心点は伝動歯車6の中心点と一致している。リニア伝動段の一行程中に螺旋溝8が回転する弧の長さは極めて大きくてよいので、溝8とリニア伝動段との間の圧力角は減じられている。所要の伝動力が、直線運動方向での所定の成分を有している場合、圧力角の減少は結果として圧力角の余弦値を増大させるので、溝8とリニア伝動段との間の伝動力が減少する。従って、螺旋溝8は、伝動歯車6の周方向で、90°〜320°にわたって、好適には90°〜300°にわたって、さらに好適には180°〜300°にわたって延在している。
【0023】
従動体9はローラ又は転がり軸受又は滑り軸受を有していてよい。好適には従動体9は、図4に示されているようにボールベアリングを有している。ボールベアリングを使用することにより、摩擦損失が減じられ効率が上がる。図5に示した実施形態では、従動体9はボールベアリング91とピン軸92とを有している。ボールベアリング91は伝動歯車6の溝8内に支持されていて、溝に沿って転動することができ、ピン軸92の一方の端部はボールベアリング91の内輪に接続されていて、他方の端部は接続部材17において支持されている。
【0024】
図5図7には、従動体9と出力コネクティングロッド7とを有した出力アッセンブリが示されており、出力コネクティングロッドは、接続部材17を介して従動体9のピン軸92に接続されている。
【0025】
従動体9を出力コネクティングロッド7に接続する接続部材17について、以下に図8図12を参照して説明する。接続部材17は直角部材として設計されていて、接続部材17の鉛直面には従動体9を接続するための第1の孔18が設けられている。特に、従動体9のピン軸92がこの第1の孔18に収容されている。出力コネクティングロッド7のコネクティングロッドジャーナル71を接続する第2の孔19が、水平面に設けられている。さらに、位置センサのセンサポインタ22を収容する第3の孔20が、鉛直面にさらに設けられている。センサポインタ22は、接続部材の位置についての情報をセンサに伝達するために使用される。第1の孔18と、第2の孔19と、第3の孔20の中心軸線は全て、接続部材17の中央平面Aに位置している(図9図11参照)。この中央平面は接続部材17を垂直方向で二分する。換言すると、接続部材17は中央平面に対して概ね鏡像対称である。
【0026】
組み立て中、従動体9のピン軸92は第1の孔18内に締まりばめによって予め挿入され、次いでこれらピン軸92と第1の孔18とが、接続強度を確実にするために溶接される。この接続を達成するためにリベット結合等も使用することができる。このことは、出力コネクティングロッド7と接続部材17との接続の場合も同じであり、この場合は、まずコネクティングロッドジャーナル71が第2の孔19内に締まりばめによって予め挿入され、次いで接続強度を確実にするために溶接が行われる。この接続を達成するためにリベット結合等も使用することができる。センサポインタ22は接続部材にスナップ嵌めされており、高温のリベット結合等が行われてもよい。
【0027】
最後に、弓形の翼部分21が鉛直面に設けられている。弓形の翼部分21は伝動歯車6の一方の面に向かって突出しており、できるだけ伝動歯車6に近づけられているが、伝動歯車6に接触はせず、歯車に損傷を与える恐れのある引っ掻きが生じないようになっている。接続部材17が振動すると、弓形の翼部分21の一方の側が伝動歯車6と接触し、これにより、センサ信号に影響を与える恐れのある接続部材の実質的な振動が阻止される。
【0028】
接続部材17の鉛直面と水平面とが互いに接続する角に、内側に向かって凹状の2つの補強リブ23が設けられている。この補強リブ23は部品全体としての曲げ強さを増大させる。補強リブはスタンピングにより形成され、2つの直角面に対して30°〜60°の、好適には45°の角度で交差している。
【0029】
この接続部材は体積が小さく、機械加工し易く、様々な機能、即ち、接続、力のモーメントの伝達、センサポインタの接続、実質的な回転の阻止を達成する。
【0030】
出力コネクティングロッド7はスリーブ部材10内に設けられており、従って直線的な上下運動のみを行うことができる(図3参照)。伝動歯車6が回転すると、従動体9が溝8に沿って移動されて、溝8の螺旋形状により従動体9が上下運動をするので、出力コネクティングロッド7は上下運動するように駆動される。
【0031】
図6に示した1つの実施形態では、伝動歯車6は扇形歯車である。使用されない部分は削除されているので、材料が節約され、組み立てが容易になる。
【0032】
1つの実施形態では、形状接続構造が、伝動歯車6と、リニア駆動装置を取り囲むハウジング11との間に設けられている。図示した実施形態では、伝動歯車6にピン12が固定されていて(図4参照)、このピンは、ハウジング11に設けられた機構に噛み合ったときに、伝動歯車6の溝8から従動体9が滑脱するのを阻止する機械的なストッパとして使用することができる。
【0033】
好適には、扇形歯車の扇形面の寸法は、螺旋溝8の長さに正確に適合されている。即ち、扇形面全体が伝達に利用されると言える。
【0034】
モータ2が誤作動した場合、又は電源が遮断された場合であっても出力コネクティングロッド7を初期位置に戻すことができるように、リニア伝動装置は、好適には、図7及び図8に示したように電力なしで復元するための復元システムをさらに有している。モータが通電されているときには、2つの異なる方向へのモータの駆動により駆動と復元を達成できることがよく知られている。しかしながら(例えば故障やその他の理由により)モータが通電されない場合、伝動装置も初期位置に復元できるのが望ましく、従ってそのような復元システムが必要である。
【0035】
復元システムは、伝動歯車6を支持する軸13とばねとを有している。ばねは(ねじりコイルばね又はトーションバースプリングのような)トーションばねであってよい。さらにばねは、図示のように軸13に固定された渦巻ばね14であってもよい。軸13は、軸受を介して、軸の2つの端部部分でハウジング11に取り付けられている。軸13と伝動歯車6とは相対回転不能に接続されている。渦巻ばね14の一方の端部は装置のハウジング11に固定されていて、他方の端部は軸13に直接又は間接的に固定されている。組み立て完了後、伝動装置の初期位置では、渦巻ばね14は予荷重状態にあり、軸13にトルクを加えるので、リニア伝動段は上方に動こうとする。初期位置ではばねが既に予荷重状態にあるので、バルブが最大に開かれると、ばねの予荷重力はより高くなる。渦巻ばね14を使用することにより、復元力は増大し、固定は容易であり、スペースは節約される。
【0036】
軸13への渦巻ばね14の固定はばねブッシング15を使用して行われてよい。ばねブッシング15は軸13に固定されていて、この場合、ばねブッシング15は軸13を取り囲んでいて、ばねブッシング15には溝16が設けられており、渦巻ばね14の端部部分が溝16に収容される。この方式で、ばねの固定はより簡便になり、力はより良好に軸13に伝えられる。
【0037】
軸13はばねブッシング15と一体に形成されてもよく、これによりばねは軸13に直接接続される。勿論、渦巻ばね14の端部部分を収容する溝16が、接続機能を実現するように軸13に直接設けられていることも考えられる。
【0038】
勿論、ばねを固定する他の方法も考えられ、例えばばねの一方の端部をハウジングに、他方の端部を伝動歯車に固定することによって、ばねを固定することも考えられる。さらに渦巻ばねについて、回転は内輪又は外輪に沿ったものであってよい。
【0039】
1つの実施形態では、軸13は少なくとも部分的に非円形横断面を有していて、例えば図7及び図8に示したようにD字形横断面を有している、又は四角形等のような別の形状であってもよい。この設計の結果、軸13と伝動歯車6との相対回転不能な接続が、伝動歯車6に形状接続用の貫通孔を設けることによって、容易に達成できる。
【0040】
リニア駆動装置1は、コネクティングロッドの位置検出用のセンサ(図示せず)を有していてよく、このセンサは誘導型センサ、ホールセンサ、磁気抵抗センサ、接触式センサであってよい。これらのセンサは異なる位置に配置することができ、異なるセンサの形式に応じて、異なる形式の動きを検出することができる。
【0041】
リニア駆動装置1は、バルブ装置、特にエンジン排ガス再循環システムにおける排ガス再循環制御バルブで使用することができる。エンジン排ガス再循環システムはよく知られている。このような排ガス再循環システムでは、排ガス再循環制御バルブが、再循環される排ガス量を制御するように排ガス再循環パイプで使用される。
【0042】
排ガス再循環バルブ又は別のバルブ装置で使用するために、リニア駆動装置の出力コネクティングロッド7はバルブヘッド3に接続されており、出力コネクティングロッド7が動くときバルブヘッド3を動かすように駆動するので、弁座(図示せず)からのバルブヘッドの距離が変化し、これによりバルブの調節が実現される。排ガス再循環制御バルブのリニア駆動装置1のモータ2が、リニア駆動装置1の出力コネクティングロッド7を用いてバルブヘッド3を上下運動させるように駆動するよう制御されると、バルブは閉鎖又は開放される。排ガス再循環制御バルブへの電力供給が遮断されると、ばねの予荷重によりばね力が軸13へと加えられ、軸13は回転させられる。これにより、伝動歯車6が回転駆動され、伝動歯車6に設けられた溝8が従動体9を駆動し、その結果、コネクティングロッド7はバルブが閉じられるまで上方に向かって動かされる。
【0043】
さらに、出力コネクティングロッド7の現在位置がセンサで検出され、制御機器へと伝達され、これにより排ガス再循環制御バルブが制御される。
【0044】
以上、本発明を、比較的好適な実施形態を用いて開示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の範囲と思想を逸脱することなく当業者により行われる様々な変更及び改良は、本発明の保護範囲に含まれるべきであり、従って本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって規定される。
【符号の説明】
【0045】
1 リニア駆動装置
2 モータ
3 バルブヘッド
5 ピニオン歯車
6 伝動歯車
7 出力コネクティングロッド
8 溝
9 従動体
10 スリーブ部材
11 ハウジング
12 ピン
13 軸
14 渦巻ばね
15 ばねブッシング
16 溝
17 接続部材
18 第1の孔
19 第2の孔
20 第3の孔
21 翼部分
22 センサポインタ
23 補強リブ
71 コネクティングロッドジャーナル
91 ボールベアリング
92 ピン軸
A 中央平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15