(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391702
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】接合あるいは機能要素の設置装置
(51)【国際特許分類】
B21J 15/16 20060101AFI20180910BHJP
B21J 15/28 20060101ALI20180910BHJP
B21J 15/32 20060101ALI20180910BHJP
B21J 15/02 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
B21J15/16 F
B21J15/16 L
B21J15/28 F
B21J15/28 G
B21J15/32 G
B21J15/02 F
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-554410(P2016-554410)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-506586(P2017-506586A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】EP2014078493
(87)【国際公開番号】WO2015128026
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2017年5月2日
(31)【優先権主張番号】102014002684.1
(32)【優先日】2014年2月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500091678
【氏名又は名称】トックス・プレッソテヒニック・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バーデント ミヒャエル
【審査官】
豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第10319411(DE,A1)
【文献】
特開平02−235540(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102011116654(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 15/00 − 15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合あるいは機能要素を設置するための装置(1)であって、
マウント(3)と、前記マウントに配置されたパンチ(9)と、前記パンチ(9)を囲んでいる押さえ装置(8)と、前記マウント(3)に配置され、かつ前記パンチ(9)の同軸上反対側に配置されているダイ(4)と、前記パンチ(9)および前記ダイ(4)の相対的な動作をもたらす駆動ユニット(2)と、制御ユニットとを備え、前記駆動ユニット(2)は、前記ダイ(4)を前記マウント(3)に対して動かし、前記押さえ装置(8)の予め指定されたストローク経路を用いて、接合あるいは機能要素を装填するための前記押さえ装置の装填ストロークを提供するための装填装置(7)が備えられており、接合あるいは機能要素を設置する際に、前記装填ストロークとは異なる圧力段階において加工対象物に対する所定の圧縮力を用いて、前記押さえ装置を押圧するために力作用部材(13a、13b)が存在し、
前記装填ストローク中の前記押さえ装置(8)の前記圧縮力は、空気による力作用機構(7)を介して供給されることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記押さえ装置(8)は、空圧作動ピストン(10a、10b)を介して移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
接合あるいは機能要素を設置するための装置(1)であって、
マウント(3)と、前記マウントに配置されたパンチ(9)と、前記パンチ(9)を囲んでいる押さえ装置(8)と、前記マウント(3)に配置され、かつ前記パンチ(9)の同軸上反対側に配置されているダイ(4)と、前記パンチ(9)および前記ダイ(4)の相対的な動作をもたらす駆動ユニット(2)と、制御ユニットとを備え、前記駆動ユニット(2)は、前記ダイ(4)を前記マウント(3)に対して動かし、前記押さえ装置(8)の予め指定されたストローク経路を用いて、接合あるいは機能要素を装填するための前記押さえ装置の装填ストロークを提供するための装填装置(7)が備えられており、接合あるいは機能要素を設置する際に、前記装填ストロークとは異なる圧力段階において加工対象物に対する所定の圧縮力を用いて、前記押さえ装置を押圧するために力作用部材(13a、13b)が存在し、
前記押さえ装置(8)は、空圧作動ピストン(10a、10b)を介して移動可能であることを特徴とする装置(1)。
【請求項4】
前記押さえ装置(8)は、前記マウントの少なくとも1つのガイド柱を介して、前記マウント(3)上を誘導されて移動可能であることを特徴とする、請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのガイド柱は、空圧駆動のピストン(10a、10b)を備え、前記ピストン(10a、10b)は空圧シリンダ内で動くことを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
接合あるいは機能要素を設置するための装置(1)であって、
マウント(3)と、前記マウントに配置されたパンチ(9)と、前記パンチ(9)を囲んでいる押さえ装置(8)と、前記マウント(3)に配置され、かつ前記パンチ(9)の同軸上反対側に配置されているダイ(4)と、前記パンチ(9)および前記ダイ(4)の相対的な動作をもたらす駆動ユニット(2)と、制御ユニットとを備え、前記駆動ユニット(2)は、前記ダイ(4)を前記マウント(3)に対して動かし、前記押さえ装置(8)の予め指定されたストローク経路を用いて、接合あるいは機能要素を装填するための前記押さえ装置の装填ストロークを提供するための装填装置(7)が備えられており、接合あるいは機能要素を設置する際に、前記装填ストロークとは異なる圧力段階において加工対象物に対する所定の圧縮力を用いて、前記押さえ装置を押圧するために力作用部材(13a、13b)が存在し、
前記押さえ装置(8)は、前記マウントの少なくとも1つのガイド柱を介して、前記マウント(3)上を誘導されて移動可能であり、
前記少なくとも1つのガイド柱は、空圧駆動のピストン(10a、10b)を備え、前記ピストン(10a、10b)は空圧シリンダ内で動くことを特徴とする装置(1)。
【請求項7】
前記圧力段階における前記押さえ装置(8)の圧縮力は、前記装填ストロークにおける装填ストローク経路上にある前記押さえ装置(8)への圧縮力よりも、少なくとも2、3、4、5倍高い、あるいは更に高いことを特徴とする、請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記圧力段階における、および/あるいは、前記装填ストロークにおける前記押さえ装置(8)の前記圧縮力は、ばね手段(13a、13b)を介して供給されることを特徴とする、請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記押さえ装置が独立した別の動作を行うために、第2の駆動装置(7)が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項8のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置の設置軸の方向に、前記マウント(3)を動かすための補償部材が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記パンチ(9)は、前記マウント(3)に固定的に接続されていることを特徴とする、請求項1から請求項10のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記駆動ユニット(2)は、前記マウント(3)の前記ダイ側に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項11のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記制御ユニットは、前記押さえ装置(8)を、前記パンチ(9)に沿って前記ダイ(4)の方向に伸長位置へと、接合あるいは機能要素を供給チャネルから供給のための装填口が開放されている地点まで動かすよう構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項12のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記制御ユニットは、伸長位置にて前記押さえ装置(8)を加工対象物(15)に当てるよう構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項13のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記制御ユニットは、前記ダイ(4)が、前記駆動ユニット(2)によって加工対象物まで移動可能であり、更に加工対象物の反対の他方側に戻る前記押さえ装置(8)に向かって移動可能なようにすることを特徴とする、請求項1から請求項14のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記制御ユニットは、前記ダイ(4)が、前記パンチ(9)および前記押さえ装置(8)に対して移動可能であるときに、前記ダイ(4)の力の影響が前記押さえ装置(8)に及んでいる中で、前記押さえ装置(8)を駆動距離(l)分戻すよう構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項15のうちのいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記制御ユニットは、設置作業中あるいは前記設置作業開始の少し前に、前記ダイの速度を減少させるよう構成されていることを特徴とする、請求項1から請求項16のうちのいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の接合あるいは機能要素を設置するための装置、および請求項18のプリアンブルに記載の接合あるいは機能要素を設置するための方法に関する。
[従来技術]
接合あるいは機能要素設置するための方法および装置、例えば、パンチリベッティングは、種々の実施の形態において既に公知となっている。これらの方法および装置において、パンチは、例えばリベットを同軸上反対側のダイに対して設置するために、駆動ユニットによって動かされる。
【0002】
駆動には通常、油圧あるいは油空圧駆動装置、または、スピンドル駆動装置を有する電動駆動装置が使用される。
多くの実施の形態において、パンチおよびダイは、マウントに配置されており、該マウントはC型の形状をしている。
【0003】
当該装置の構造的な仕様により、例えば固定された自動車のボディのように加工対象物が固定されている場合、および、予め指定された加工対象物の表面に対する接合方向が保持されている必要がある場合には、とりわけ、加工対象物へのアクセスが制限されている。
[本発明の目的および利点]
本発明の目的は、接合あるいは機能要素を設置するための装置および方法を提供することであり、それによって、加工対象物上の設置点へのアクセスと併せて、持続する接合あるいは設置の質の向上が可能となる。
【0004】
この目的は、請求項1および16の特徴によって達成される。
本発明は、接合あるいは機能要素を設置するための装置に基づいており、当該装置は、以下のものを備える。
【0005】
マウントと、前記マウントに配置されたパンチと、前記パンチを囲んでいる押さえ装置と、前記マウントに配置され、かつ前記パンチの同軸上反対側に配置されているダイと、前記パンチおよび前記ダイの相対的な動作をもたらす駆動ユニットと、制御ユニットとを備える。本発明の本質は、前記駆動ユニットが、ダイをマウントに対して動かし、前記押さえ装置の予め指定されたストローク経路を用いて、接合あるいは機能要素を装填するための前記押さえ装置の装填ストロークを提供するための装填装置が備えられているということにある。更に、接合あるいは機能要素を設置する際に、前記装填ストロークとは異なる圧力段階において加工対象物に対する所定の圧縮力を用いて、前記押さえ装置を押圧するために力作用部材が存在する。
【0006】
前記ダイは前記マウントに対して可動であるため、前記パンチには、接合あるいは機能要素を設置するための圧縮力を供給しなければならない駆動ユニットは不要である。よって、前記装置の前記パンチ側部分は、比較的に低い空間要件を有し、従って、その動作空間が、駆動ユニットにより駆動されるパンチを配置するのには十分ではない加工対象物の表面に、前記装置の前記パンチ側部分が当れられることが可能である。
【0007】
ある場合には、接合要素の接合方向は重要ではないのに対し、1つの接合方向のみが技術的に可能かつ妥当な場合がある。例えば、自己穿孔型のセミチューブラリベットの設置において、複合材料のどちら側が閉じたままであるのか、すなわち、自己穿孔型のセミチューブラリベットによって貫通されていないのかは重要である。機能要素の場合、例えば、ねじ付きピン等の固定要素を有する機能要素が構成部品に挿入されているときのように、主に1つの設置方向が保持される必要があるという場合がある。このねじ付きピンは、構成部品の一点において一方側のみから適度に使用されることが可能であるだろう。
【0008】
装填作業を実現するための装填装置、並びに、接合および機能要素を設置する間に、前記押さえ装置を加工対象物に所定の様態で圧縮する役割をする力作用部材によって、パンチが押さえ装置と共に駆動される装置と比較して、適切な接続の質が得られる。
【0009】
最も極端な場合では、装填作業中、前記押さえ装置は全く力にさらされない、すなわち、いわば無力で動かされることが可能であるか、さもなければ装填ストロークを行うためのこの動作において、比較的小さな対向力のみを必要とする可能性がある。
【0010】
前記マウントは、例えばC型のフレームであってもよく、これは、パンチ側で駆動されるパンチリベット装置において、従来技術から公知となっている。接合および機能要素を設置するための当該装置の要素は、従来技術から公知となっている、パンチ側から駆動される従来のC型のフレームに取り付け可能なように構成されていることが好ましい。
【0011】
本発明の特に好ましい実施の形態において、前記圧力段階における前記押さえ装置の圧縮力は、前記装填ストローク中における装填ストローク経路上にある前記押さえ装置への圧縮力よりも、少なくとも2、3、4、5倍高い、あるいは更に高い。
【0012】
前記圧力段階における、および/あるいは、前記装填ストローク中における、前記押さえ装置の前記圧縮力は、ばね手段を介して供給されてもよい。前記装填ストロークに、比較的小さいばね力を有するばねが使用されてもよく、圧力段階において、押さえ装置への圧縮力の倍の力を発揮するばねアセンブリを使用してもよい。
【0013】
該ばね力は、装填ストローク中、および、様々なばねを介した圧力段階において実現されることが好ましい。
本発明の更に有利な実施の形態において、前記装填ストローク中の前記押さえ装置の前記圧縮力は、空気による力作用機構を介して供給される。前記押さえ装置のための前記力作用機構が、適切に空圧で作動されることによって、力の作用の調整に高い柔軟性が獲得される。前記力作用機構として、例えば1つあるいは複数の空圧シリンダが考えられる。圧力段階中の力の発生は、同様に空圧で実現されてもよい。油圧力を適用することも考えられる。
【0014】
更に、前記押さえ装置が独立した別の動作を行うために、第2の駆動装置が設けられていることが好ましい。その結果、接合あるいは機能要素を、設置作業用に前記パンチの手前に配置するため、第2駆動装置を介して、前記押さえ装置の所定の装填ストロークが実現されてもよい。
【0015】
接合あるいは機能要素が、固定された加工対象物に挿入される場合、前記装置の接合あるいは設置軸の方向に前記マウントを動かすため、補償部材が設けられていると、更に有利である。例えば、前記マウントは、例えば空気の荷重補償を有するスライドを介して、例えばロボットに取り付けられる点において、変位可能に配置されている。前記マウントが取り付けられたロボットシステムによって補償動作が提供されるという事により、ダイが可動であり、かつ、加工対象物が固定されていれば補償を行う、という更なるオプションがあってもよい。
【0016】
例えば、位置補償を行うロボットシステムは、とりわけ複数の軸で計算された同期動作を行う。
当該装置の取り付け点におけるスライド上の空気の荷重補償は、例えば、空間位置に依存して調整されてもよい。
【0017】
前記ダイは前記マウントに対して可動であるため、前記パンチは、前記マウントに固定的に接続されていてもよく、それによって、前記パンチの設計は単純になる。
前記駆動ユニットは、前記ダイ側の前記マウントに配置されていることが好ましく、そのため、前記ダイは、前記マウントに対して可動なように、構造的に単純に配置されてもよい。
【0018】
マウント上で前記押さえ装置の所定の誘導が行われるように、前記押さえ装置は、少なくとも1つのガイド柱、好ましくは2つのガイド柱を介して、前記マウント上を誘導されて移動可能であることが更に提案されている。
【0019】
前記押さえ装置は、空圧作動ピストンを介して移動可能なように構成されてもよい。これに関連して、前記少なくとも1つのガイド柱は、空圧駆動のピストンを備え、前記ピストンは、空圧シリンダ内で動くことが更に好ましい。よって、前記押さえ装置のガイド機構および駆動装置は、設計上コンパクトに組み合わせることが可能である。
【0020】
前記接合あるいは機能要素を装填するために、前記制御ユニットは、前記押さえ装置を、前記パンチに沿って前記ダイの方向に伸長位置へと、接合あるいは機能要素、例えばリベット、を供給チャネルから供給するための装填口が開放されている地点まで動かすように構成されているということが、更に提案されている。
【0021】
比較的早い設置作業を可能にするため、前記制御ユニットは、伸長位置にて前記押さえ装置を加工対象物に当てるよう構成されているということが、更に提案されている。しかしここでは、伸長された押さえ装置を有する前記装置を加工対象物に配置するために、適切な空間が利用可能である必要がある。とりわけ、押さえ装置が戻り、前記装置が加工対象物まで前進する前に、最初に装填作業が終了する場合、前記装置の前記マウントは、よりコンパクトに構成されてもよい。
【0022】
前記押さえ装置の所定の動作を、装填段階の途中、および/あるいは、前記圧力段階において停止するため、前記制御ユニットは、前記ダイが、前記駆動ユニットによって加工対象物まで移動可能であり、更に、加工対象物の反対の他方側に戻る前記押さえ装置に向かって移動可能なようにするということが、更に提案されている。よって、伸長された装填状態の前記押さえ装置が、前記ダイと共に、前記圧力段階が始まり、実際の、例えば前記接合要素の、設置作業が行われる地点まで戻された場合、とりわけ、前記装填作業が、この一連の動作に一緒に組み込まれてもよい。装填ストロークの戻りは、ここでは、設置作業における圧縮力よりも著しく小さい比較的小さな力で実現されることが好ましい。
【0023】
加工対象物が前記押さえ装置及び前記ダイの両方に支持された状態での、前記ダイの前進に伴う前記押さえ装置の後退は、前記制御ユニットが、前記押さえ装置を予め定められた駆動態様で後退させる、つまり、事前に指定可能な対向力、特に、コントロールユニットにより制御可能な対向力により、実現されても良い。
【0024】
しかしながら、前記押さえ装置の力の作用は、前記圧力段階および前記装填段階の両方において、ばね手段を介してもたらされてもよい。
構成部品への慣性力の影響を最小限にするため、前記制御ユニットが、設置作業、あるいは、前記設置作業開始の少し前に、前記ダイの速度を減少させるよう構成する、ということが更に提案されている。
【0025】
マウントと、前記マウントに配置されたパンチと、前記パンチを囲んでいる押さえ装置と、前記マウントに配置され、かつ前記パンチの同軸上反対側に配置されているダイと、駆動ユニットと、を備える装置を用いて、接合あるいは機能要素を設置するための方法において、本発明は、前記ダイは、前記駆動ユニットによって動かされるという点、および、それとは独立して、前記押さえ装置は、前記押さえ装置の予め指定されたストローク経路を用いて、接合あるいは機能要素を装填するための装填ストロークを行い、別の圧力段階の途中で、前記押さえ装置が、設置作業において予め指定された圧縮力で加工対象物に押し付けられる、という点にある。このため、とりわけ、前記装填ストロークを行うことが可能になるように、前記押さえ装置は別に駆動されることが好ましい。
【0026】
前記押さえ装置は、伸長した状態において、接合あるいは機能要素、とりわけリベットを受け取るために、前記パンチに沿って前記ダイの方向に装填位置へと動かされることが好ましい。これは、別の駆動装置を用いることで、有利に実現される。
【0027】
前記方法の更に有利な実施の形態において、前記押さえ装置は、前記パンチに沿って前記ダイの方向に伸長された状態で、加工対象物を圧迫するように動かされ、前記ダイは、当った状態において、前記加工対象物あるいは前記押さえ装置まで前進され、その後、前記ダイは、例えばリベットの設置作業を行うために、加工対象物と共に前記押さえ装置を押し戻す、ということが更に提案されている。前記押さえ装置が押し戻されると、前記ダイは、とりわけ堅固に配置された前記パンチに向かって移動し、前記パンチは、前記押さえ装置に対して前方に来て、最後の段階において、前記リベットを、例えば前記加工対象物へと押圧する。
【0028】
固定された加工対象物の場合、例えば前記マウントが配置されたロボットの対抗動作を介して、あるいは適切な補償装置を介して、前記マウントが取り付けられた構造ユニットにおけるマウントの取り付け位置において、前記マウントが補償動作を行うということが必要である。
【0029】
可能な限り最小の設置スペースでマウントを実現可能にするため、前記押さえ装置は、例えばリベットの装填作業の後に、引っ込んだ状態へと移行する、ということが更に提案されている。よって、この装填ストロークは、前記マウントの寸法内で行われる必要はない。この後、前記押さえ装置は加工対象物を圧迫するように動かされてもよく、前記ダイは、当った状態において、前記加工対象物あるいは前記押さえ装置まで前進されてもよく、その後、前記ダイは、前記圧力段階において、例えば前記リベットの設置作業の間に、加工対象物と共に前記押さえ装置を押し戻してもよい。
【0030】
本発明のいくつかの例示的な実施の形態は、図中に示され、以下でより詳細に説明されて更なる利点および詳細を特定している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】ダイ側駆動装置を有する接合グリッパの斜視図である。
【
図2】パンチおよびダイ領域の部分的な断面が描かれた、
図1の接合グリッパの詳細な斜視図である。
【
図3】
図1および2の接合グリッパのパンチ側の設置ヘッドの断面図である。
【
図4a-4f】加工対象物に対する接合グリッパの装填および設置作業の概略的な断面図である。
【
図5a-5f】
図4a−4fに対応する作業ではあるが、接合要素の装填に関して代替的な動作の変形例による作業を示している。
【0032】
図1には、駆動ユニット2、マウント3、ダイ4、設置ヘッド5、およびリベット供給ユニット6を備える、特に構成部品のリベット打ちのための接合グリッパ1が示されている。駆動ユニット2を用いると、ダイ4は軸方向に駆動される。
【0033】
接合グリッパは、自己穿孔型セミチューブラリベット、ソリッドパンチリベット、クリンチリベット、所定の機能要素、押さえ装置の押さえ力を伴う、あるいは伴わない抵抗溶接要素を設置するのに用いられてもよい。
【0034】
図2および3では、接合グリッパ、とりわけ設置ヘッド5の更なる詳細を見ることができる。
設置ヘッド5は、2つの空圧シリンダ7a、7bを有する空圧装置7と、押さえ装置8と、パンチ9とを備える。空圧シリンダ7aおよび7bは、ピストン10a、10bを有し、これらは、同時に押さえ装置8のガイド柱を形成している。パンチ9は、マウント3に固定的に接続されている。
【0035】
よって接合要素の設置にかかわる動作は、ダイ4の動作に影響される。空圧チャンバ11a、11bの長さlにわたって、ピストン10a、10bあるいは柱状部10a、10bは、空圧的に制御された方法で伸長および引っ込みが可能であり、これによって、押さえ装置8は、ピストン10a、10bあるいは柱状部10a、10bに接続された押さえ装置受け入れ固定具8aにおいて、伸長および引っ込みが可能である。
【0036】
引っ込んだ状態において、ピストン10a、10bは、それぞれストッパ12a、12bに寄って配置されている。ここでの特徴は、ストッパ12a、12bは、それぞれ、ストッパ12a、12bの奥の圧力ばね13a、13bによってばね付勢されているということである。例示的な実施の形態において、圧力ばね13a、13bは、ピストン10a、10bの延長部分14a、14bを囲っている。設置作業には、押さえ装置機能が実現され、該押さえ装置機能において、押さえ装置が、空圧シリンダ7aおよび7bに関して、ピストン10a、10bがストッパ12a、12bのそれぞれに衝突するように遠くまで引っ込められると、押さえ力が圧力ばね13a、13bによって発生し、その後、ストッパ12a、12bのそれぞれは、ばね力により、反対方向に押し戻される。
【0037】
その結果、パンチ9は押さえ装置8の前方に移動し、接合要素を、対応する加工対象物(
図3には図示なし)へと設置する。
接合要素、例えばリベットは、リベット供給ユニット6によってパンチ9の前に供給される。リベットは、その後、押さえ装置8の中のパンチ9の前で保持される。リベットの加工対象物への設置作業において、固定されたパンチは、リベットのカウンタステーとして機能する。
【0038】
図4a〜4fおよび5a〜5fにおいて、リベットの設置に関する2つの変形例が続いて図示されている。
第1の変形例において、空圧シリンダ7a、7bは伸長され、設置ヘッド5は装填位置にある。この位置において、リベットは矢印14で示された位置に装填される。押さえ装置受け入れ固定具8aにおける押さえ装置8は、完全に伸長される(
図4a)。
【0039】
押さえ装置8が伸長されたこの位置において、グリッパが押さえ装置により構成部品15に当てられ、駆動ユニット2は(
図1参照)、ストロークを開始し、この直後にダイを加工対象物15に向かって伸長させる(
図4bおよび4c参照)。
【0040】
ダイ4が構成部品15に触れると、空圧シリンダ7a、7bは押し返され、リベットの装填ストロークが開始される。同時に、接合グリッパは、これが固定された構成部品である場合、構成部品に対して移動される。このため、接合グリッパ1との関係において適切な移動手段が必要である。
【0041】
装填ストロークにおいて、比較的に小さな押さえ力が作用している、すなわち、空圧シリンダ7a、7bによって供給される力は、比較的に小さい。この力は、完全に消されてもよい。装填ストロークにおいて、押さえ装置8が引っ込んだとき、押さえ装置8の中で、パンチはその前方でリベットに接近する。
【0042】
図4dでは、装填ストロークがちょうど終了したところである。各ピストン10a、10bのストッパ16a、16bは、その後、空圧チャンバ11a、11bの端部のストッパ12a、12bに配置される。ダイ4の更なる移動により、ばね13a、13bによって誘導された押さえ力が、ここで作用し始める。該押さえ力の開始は、リベットを加工対象物に載置する前あるいは後で起こる。
【0043】
リベットは圧入され(
図4e)、全ての動きは開始位置(
図4f)に戻る。
新たなリベットが供給されると、
図4bによる装填ストロークを新たに開始することができる。
【0044】
リベットの設置に関するこの手順は、装填ストロークが設置作業の構成部分であり、かつ同時に、次のリベットの再装填は、押さえ装置8を構成部品から外した直後に行うことが可能であるため、迅速に行うことができるという利点を有する。
【0045】
しかし、装填ストロークの移動距離は、マウントの、とりわけC型のマウントの寸法に含まれる必要がある。
図5aおよび5bにおいて、特にこの装填ストロークを、C型のマウントの寸法内において減じることが可能である、変形例が示されている。
【0046】
よって、この変形例におけるリベットの設置は、以下のようである。
設置ヘッド5、とりわけ押さえ装置8を、パンチ9に関連する装填位置にもってくるため、空圧シリンダ7a、7bが伸長される。
図5aには、リベットが矢印17に従った位置に装填される装填位置が示されている。
【0047】
空圧シリンダ7a、7bによって、押さえ装置8のリターンストロークが実現し、リターンストロークは、装填ストロークに相当し、かつ、空圧チャンバ11a、11bのそれぞれの端部で、ストッパ16a、16bがストッパ12a、12bに衝突することによって終わる(
図5b参照)。
【0048】
ここから、接合グリッパ1は、例えば押さえ装置8を有するロボットによって構成部品18に当てられ、駆動ユニット2は作業ストロークを開始し、これによって、ダイ4は構成部品18に向かって伸長される(
図5d参照)。
【0049】
ダイ4が構成部品18に触れると、空圧シリンダ7a、7bのピストン10a、10bのストッパ16a、16bは、空圧チャンバ11a、11bの端部にてストッパ12a、12bに押し付けられ、更に移動すると、圧力ばね13a、13bは圧縮され、押さえ装置8に押さえ力を提供する。押さえ装置8が押し戻されると、パンチ9はより一層前進し、リベットは、リベットに載置されたパンチと共に、構成部品18に押し込まれる(
図5e参照)。
【0050】
押さえ力は、リベットの載置の前あるいは後に発生してもよい。
作業が終わった後、全ての動作は開始位置に戻り、押さえ装置8の装填位置への伸長を可能とするように、接合グリッパは加工対象物から離れるように移動される。
【0051】
その後、新たなリベットを送ることができる。作業が新たに始まる。
装填作業は、構成部品18から離れて行われるため、
図1に示されるように、装填ストロークは、該構造、とりわけC型のマウントに衝撃を与えることはない。
【0052】
しかし、接合グリッパ1は、再装填を行うために自由に移動する必要があるため、このリベットの設置作業は、
図4a〜4fによる作業と比較して、リベットの設置により大きなサイクルタイムを伴う。
【0053】
このリベットの設置においても、別の構造物へのマウントを確保するために、押さえ装置を構成部品18に載置した後に、接近あるいはカウンターコンプレッシングを行うダイ4によって押し戻される押さえ装置18のため、補償を行う必要がある。
【0054】
接合グリッパをロボットに取り付ける場合、原則的にロボットがこの補償動作も行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…接合グリッパ、2…駆動ユニット、3…マウント、4…ダイ、5…設置ヘッド、6…リベット供給ユニット、7…空圧装置、7a…空圧シリンダ、7b…空圧シリンダ、8…押さえ装置、8a…押さえ装置受け入れ固定具、9…パンチ、10a…ピストン、10b…ピストン、11a…空圧チャンバ、11b…空圧チャンバ、12a…ストッパ、12b…ストッパ、13a…圧力ばね、13b…圧力ばね、14…矢印、15…構成部品、16a…ストッパ、16b…ストッパ、17…矢印、18…構成部品。