(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明による開扉防止装置の第1実施形態を示す側面図である。また、
図2は、
図1の開扉防止装置を示す正面図である。開扉防止装置1は、ドアノブが設けられた扉板を有する戸の開扉を防止するものであって、固定部10、阻止部20、及び連結部30を備えている。
【0012】
固定部10は、扉板に固定される部分である。具体的には、固定部10は、扉板の表面に固定される。本実施形態において固定部10は、吸盤を有しており、当該吸盤の吸着力により扉板に固定される。吸盤の材料としては、例えば、ゴム又は合成樹脂を用いることができる。このように吸盤を用いているため、開扉防止装置1は、戸に対して着脱可能である。ここで、着脱可能とは、戸や開扉防止装置1を汚損することなく、戸に対する開扉防止装置1の取付け及び取外しを容易に行えるということである。
【0013】
阻止部20は、ドアノブの運動を阻止する部分である。阻止部20は、後述するように、ドアノブに接触した状態で当該ドアノブの運動を阻止するものである。阻止部20は、側面視(
図1参照)で、ドアノブを抱持することが可能なU字状をしている。阻止部20の材料としては、例えば、プラスチック、木、金属等を用いることができる。
【0014】
連結部30は、固定部10と阻止部20とを連結する部分である。本実施形態において連結部30は、棒状をしている。連結部30の一端は、固定部10に固定されている。詳細には、固定部10を構成する吸盤の摘み部分に、連結部30の一端が固定されている。そして、連結部30は、固定部10の固定面(扉板の表面)に対して略平行な方向に延びている。また、連結部30の他端は、阻止部20に固定されている。詳細には、U字状の阻止部20の下端部に、連結部30の他端が固定されている。連結部30の材料としても、例えば、プラスチック、木、金属等を用いることができる。連結部30は、阻止部20と一体に成形されていてもよい。
【0015】
図3及び
図4を参照しつつ、開扉防止装置1の動作を説明する。
図3は、片開き戸に開扉防止装置1が取り付けられた状態を示す正面図である。また、
図4は、
図3におけるドアノブ付近を拡大して示す側面図である。この片開き戸の扉板92には、ドアノブ94が設けられている。ドアノブ94は、レバー型のドアノブである。
図3に矢印A1で示すようにドアノブ94を押し下げることにより、扉板92の開扉操作を行うことができる。このとき、ドアノブ94は、先端が円周に沿って変位するように運動する。
【0016】
図4からわかるように、ドアノブ94が阻止部20の内部に入り込むようにして、開扉防止装置1が取り付けられている。すなわち、阻止部20は、ドアノブ94の運動方向前方を塞ぐように設けられている。このとき、ドアノブ94と阻止部20とは接触していてもよいし、接触していなくてもよい。固定部10は、ドアノブ94の運動方向前方において扉板92に固定されている。
【0017】
この状態でドアノブ94を押し下げて開扉操作を行おうとすると、阻止部20がドアノブ94に接触する。このとき、阻止部20は、ドアノブ94を抱持した状態で当該ドアノブ94を支持する。このように、本実施形態において阻止部20は、固定部10及び連結部30と共に、ドアノブ94の運動方向前方から当該ドアノブ94を支持するように構成されている。これにより、ドアノブ94の可動域が制限され、ドアノブ94の運動が阻止される。
【0018】
開扉防止装置1の効果を説明する。開扉防止装置1においては、ドアノブの運動を阻止する阻止部20が連結部30を介して固定部10に連結されている。このため、ドアノブ自体の運動を阻止することにより、戸の開扉を防止することができる。それゆえ、開扉防止装置1は、片開き戸に用いられる場合であっても、扉板とその周辺部とに跨るように取り付ける必要がない。したがって、扉板の周辺部の形状や材質の如何にかかわらず、開扉防止装置1を取り付けることができる。
【0019】
開扉防止装置1は、戸に対して着脱可能である。これにより、建物を汚損する心配がないため、開扉防止装置1は、賃貸住宅や外出先においても気軽に使用することができる。例えば、旅行時の宿泊先において部屋の戸に鍵が付いていない場合であっても、部屋の内側から戸に開扉防止装置1を取り付けておけば、部屋の外側から戸を不意に開けられてしまう事態を避けることができる。
【0020】
固定部10は、吸盤を有しており、当該吸盤の吸着力により扉板に固定される。これにより、簡易な構成で、戸に対して着脱可能な開扉防止装置1を実現することができる。このように構成が簡易であることは、開扉防止装置1の持ち運びやすさの点で有利である。
【0021】
阻止部20は、ドアノブに接触した状態で当該ドアノブの運動を阻止する。これにより、簡易な機構で、ドアノブの運動を阻止することができる。実際、本実施形態においては、阻止部20が運動方向前方からドアノブを支持するという簡易な機構で、ドアノブの運動が阻止されている。
【0022】
阻止部20は、U字状をしており、ドアノブを抱持した状態で当該ドアノブを支持する。このようにレバー型のドアノブを捕捉しやすい形状とすることにより、阻止部20によってドアノブを確実に支持することができる。
(第2実施形態)
【0023】
図5は、本発明による開扉防止装置の第2実施形態を示す側面図である。また、
図6は、
図5の開扉防止装置を示す正面図である。開扉防止装置2は、ドアノブが設けられた扉板を有する戸の開扉を防止するものであって、固定部10、阻止部40、及び連結部30を備えている。固定部10及び連結部30の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0024】
阻止部40は、ドアノブの運動を阻止する部分である。阻止部40は、ドアノブに接触した状態で当該ドアノブの運動を阻止するものである。阻止部40は、ドアノブに掛止されることが可能なフック状をしている(
図5参照)。阻止部40は、その上端部において連結部30に固定されている。阻止部40の材料としては、例えば、プラスチック、木、金属等を用いることができる。
【0025】
図7及び
図8を参照しつつ、開扉防止装置2の動作を説明する。
図7は、片開き戸に開扉防止装置2が取り付けられた状態を示す正面図である。また、
図8は、
図7におけるドアノブ付近を拡大して示す側面図である。この片開き戸の構造は、
図3に示したものと同様である。
【0026】
図8からわかるように、ドアノブ94が阻止部40の内部に入り込むようにして、開扉防止装置2が取り付けられている。すなわち、阻止部40は、ドアノブ94の運動方向前方を塞ぐように設けられている。このとき、ドアノブ94と阻止部40とは接触していてもよいし、接触していなくてもよい。固定部10は、ドアノブ94の運動方向後方において扉板92に固定されている。
【0027】
この状態でドアノブ94を押し下げて開扉操作を行おうとすると、阻止部40がドアノブ94に接触する。このとき、阻止部40は、ドアノブ94に掛止された状態で当該ドアノブ94を牽引する。このように、本実施形態において阻止部40は、固定部10及び連結部30と共に、ドアノブ94の運動方向後方から当該ドアノブ94を牽引するように構成されている。これにより、ドアノブ94の可動域が制限され、ドアノブ94の運動が阻止される。
【0028】
開扉防止装置2の効果を説明する。開扉防止装置2においては、ドアノブの運動を阻止する阻止部40が連結部30を介して固定部10に連結されている。このため、ドアノブ自体の運動を阻止することにより、戸の開扉を防止することができる。それゆえ、開扉防止装置2は、片開き戸に用いられる場合であっても、扉板とその周辺部とに跨るように取り付ける必要がない。したがって、扉板の周辺部の形状や材質の如何にかかわらず、開扉防止装置2を取り付けることができる。
【0029】
阻止部40は、ドアノブに接触した状態で当該ドアノブの運動を阻止する。これにより、簡易な機構で、ドアノブの運動を阻止することができる。実際、本実施形態においては、阻止部40が運動方向後方からドアノブを牽引するという簡易な機構で、ドアノブの運動が阻止されている。
【0030】
阻止部40は、フック状をしており、ドアノブに掛止された状態で当該ドアノブを牽引する。このようにレバー型のドアノブを捕捉しやすい形状とすることにより、阻止部40によってドアノブを確実に牽引することができる。開扉防止装置2のその他の効果は、開扉防止装置1と同様である。
(第3実施形態)
【0031】
図9は、本発明による開扉防止装置の第3実施形態を示す側面図である。また、
図10は、
図9の開扉防止装置を示す正面図である。開扉防止装置3は、ドアノブが設けられた扉板を有する戸の開扉を防止するものであって、固定部10、阻止部50、及び連結部30を備えている。固定部10及び連結部30の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0032】
阻止部50は、ドアノブの運動を阻止する部分である。阻止部50は、ドアノブに接触した状態で当該ドアノブの運動を阻止するものである。阻止部50は、
図11に示すように、ドアノブに巻き付けることが可能なベルト状をしている。同図は、阻止部50を示す平面図である。阻止部50は、その裏面(ドアノブに接する面と反対側の面)において連結部30に固定されている。阻止部50の材料としては、例えば、布、革、樹脂、ゴム等を用いることができる。
【0033】
図12及び
図13を参照しつつ、開扉防止装置3の動作を説明する。
図12は、片開き戸に開扉防止装置3が取り付けられた状態を示す正面図である。また、
図13は、
図12におけるドアノブ付近を拡大して示す正面図である。この片開き戸の扉板92には、ドアノブ96が設けられている。ドアノブ96は、丸型のドアノブである。ドアノブ96を回すことにより、扉板92の開扉操作を行うことができる。このとき、ドアノブ96は、回転(自転)運動する。
【0034】
図13からわかるように、ドアノブ96に阻止部50が巻き付けられるようにして、開扉防止装置3が取り付けられている。なお、同図においては、見やすくするためにドアノブ96と阻止部50との間に隙間を設けているが、実際には両者は互いに密着している。本実施形態において阻止部50は、フック及びループからなるマジックテープ(図示せず)を有している。具体的には、阻止部50の一方の面にフックが設けられ、他方の面にループが設けられている。このマジックテープにより、阻止部50がドアノブ96に巻き付けられた状態が維持される。すなわち、阻止部50の一方の面と他方の面とが重なり合う部分において、双方の面がマジックテープによって互いに固定される。
【0035】
この状態で開扉操作を行おうとしても、ドアノブ96は、阻止部50によって締め付けられているため、その回転運動が阻止される。このように阻止部50は、ドアノブ96に密着した状態でドアノブ96の運動を阻止する。
【0036】
開扉防止装置3の効果を説明する。開扉防止装置3においては、ドアノブの運動を阻止する阻止部50が連結部30を介して固定部10に連結されている。このため、ドアノブ自体の運動を阻止することにより、戸の開扉を防止することができる。それゆえ、開扉防止装置3は、片開き戸に用いられる場合であっても、扉板とその周辺部とに跨るように取り付ける必要がない。したがって、扉板の周辺部の形状や材質の如何にかかわらず、開扉防止装置3を取り付けることができる。
【0037】
阻止部50は、ドアノブに密着した状態で当該ドアノブの回転運動を阻止する。これにより、簡易な機構で、ドアノブの運動を阻止することができる。実際、本実施形態においては、阻止部50によってドアノブを締め付けるという簡易な機構で、ドアノブの運動が阻止されている。
【0038】
阻止部50は、ベルト状をしており、ドアノブに巻き付けられた状態で当該ドアノブを締め付ける。このように丸型のドアノブに密着しやすい形状とすることにより、阻止部50によってドアノブを確実に締め付けることができる。
【0039】
阻止部50は、マジックテープにより、ドアノブに巻き付けられた状態が維持される。このようにマジックテープを用いることにより、様々な大きさのドアノブに阻止部50を適合させることができる。開扉防止装置3のその他の効果は、開扉防止装置1と同様である。
(第4実施形態)
【0040】
図14は、本発明による開扉防止装置の第4実施形態を示す側面図である。また、
図15は、
図14の開扉防止装置を示す正面図である。開扉防止装置4は、ドアノブが設けられた扉板を有する戸の開扉を防止するものであって、固定部10、阻止部60、及び連結部30を備えている。固定部10及び連結部30の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。ただし、本実施形態においては、固定部10及び連結部30が2つずつ設けられている。
【0041】
阻止部60は、ドアノブの運動を阻止する部分である。阻止部60は、ドアノブに接触した状態で当該ドアノブの運動を阻止するものである。阻止部60は、保持部材60a(第1の保持部材)及び保持部材60b(第2の保持部材)を含んでいる。これらの保持部材60a,60bは、ドアノブを挟持することが可能な形状をしている。具体的には、各保持部材60a,60bの上面(ドアノブに接する面)は、円筒面状に凹んでいる(
図15参照)。また、保持部材60aは、その下面において1つの連結部30に固定されている。同様に、保持部材60bは、その下面においてもう1つの連結部30に固定されている。すなわち、1つの連結部30は、1つの固定部10と保持部材60aとを連結し、もう1つの連結部30は、もう1つの固定部10と保持部材60bとを連結している。各保持部材60a,60bの材料としては、例えば、プラスチック、木、金属等を用いることができる。
【0042】
図16及び
図17を参照しつつ、開扉防止装置4の動作を説明する。
図16は、片開き戸に開扉防止装置4が取り付けられた状態を示す正面図である。また、
図17は、
図16におけるドアノブ付近を拡大して示す正面図である。この片開き戸の構造は、
図12に示したものと同様である。
【0043】
ドアノブ96が阻止部60によって挟み込まれるようにして、開扉防止装置4が取り付けられている。詳細には、保持部材60aが一方向からドアノブ96に接するとともに、保持部材60bが反対方向からドアノブ96に接することにより、保持部材60a,60bによってドアノブ96が挟持されている。
【0044】
この状態で開扉操作を行おうとしても、ドアノブ96は、阻止部60によって締め付けられているため、その回転運動が阻止される。このように阻止部60は、ドアノブ96に密着した状態でドアノブ96の運動を阻止する。
【0045】
開扉防止装置4の効果を説明する。開扉防止装置4においては、ドアノブの運動を阻止する阻止部60が連結部30を介して固定部10に連結されている。このため、ドアノブ自体の運動を阻止することにより、戸の開扉を防止することができる。それゆえ、開扉防止装置4は、片開き戸に用いられる場合であっても、扉板とその周辺部とに跨るように取り付ける必要がない。したがって、扉板の周辺部の形状や材質の如何にかかわらず、開扉防止装置4を取り付けることができる。
【0046】
阻止部60は、ドアノブに密着した状態で当該ドアノブの回転運動を阻止する。これにより、簡易な機構で、ドアノブの運動を阻止することができる。実際、本実施形態においては、阻止部60によってドアノブを締め付けるという簡易な機構で、ドアノブの運動が阻止されている。
【0047】
阻止部60は、互いに反対方向からドアノブに接する保持部材60a,60bを含んでおり、これらの保持部材60a,60bでドアノブを挟持した状態で当該ドアノブを締め付ける。このように丸型のドアノブに密着しやすい構成とすることにより、阻止部60によってドアノブを確実に締め付けることができる。開扉防止装置4のその他の効果は、開扉防止装置1と同様である。
【0048】
本発明による開扉防止装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、固定部10が吸盤を有する例を示した。しかし、固定部10は、吸盤に代えて、あるいは吸盤と共に、磁石を有していてもよい。その場合、固定部10は、当該磁石の磁力によりスチール製の扉板に固定することができる。
【0049】
上記実施形態において、各阻止部20,40,50,60におけるドアノブに接する部分には、ゴム等の弾性部材が設けられていてもよい。このようにドアノブとの接触部に弾性部材を設けることにより、ドアノブに傷がつきにくくなる。また、阻止部50,60については、ドアノブとの間に働く摩擦力を大きくし、ドアノブの運動をより確実に阻止することができる。
【0050】
上記実施形態においては、レバー型のドアノブの運動を阻止する阻止部として、U字状の阻止部20及びフック状の阻止部40を例示した。しかし、ドアノブの運動を阻止するものである限り、阻止部の形状は任意である。例えば、かかる阻止部として、
図18に示す環状の阻止部70を用いてもよい。その場合、ドアノブが阻止部70の内側を通るようにして、開扉防止装置が取り付けられる。
【0051】
上記実施形態においては、変形しない連結部30を例示した。しかし、連結部30は、変形可能であってもよい。例えば、連結部30は、長さを調整できるように構成されていてもよい。また、連結部30は、
図19及び
図20に示すように、互いに連設された棒状部材30a(第1の棒状部材)及び棒状部材30b(第2の棒状部材)を含んでおり、それらの棒状部材30a,30bがなす角度αを調整できるように構成されていてもよい。
図19においては、棒状部材30a,30bが一直線に並んでいる(α=180°)。他方、
図20においては、棒状部材30a,30bが直角に交わっている(α=90°)。このように連結部30が変形可能である場合、開扉防止装置を戸に取り付けた後でも、阻止部の位置を微調整することが可能となる。また、開扉防止装置を戸に取り付けたままでも、必要に応じて開扉操作を行うことが可能となる。
【0052】
上記実施形態においては、開扉防止装置を片開き戸に用いる例を示した。しかし、本発明による開扉防止装置は、ドアノブが設けられた扉板を有するものである限り、両開き戸や引き戸にも用いることができる。