特許第6391707号(P6391707)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391707
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20180910BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   F25D23/02 303J
   A47F3/04 E
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-561667(P2016-561667)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-518475(P2017-518475A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2015055954
(87)【国際公開番号】WO2015154970
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年12月7日
(31)【優先権主張番号】202014101651.1
(32)【優先日】2014年4月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505070195
【氏名又は名称】アーハーテー クーリング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】AHT Cooling Systems GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト レッシュ
【審査官】 小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02694613(US,A)
【文献】 特表2013−542827(JP,A)
【文献】 実開昭59−049868(JP,U)
【文献】 特開昭54−023249(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02347680(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01391171(EP,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102009031278(DE,A1)
【文献】 実開平04−070990(JP,U)
【文献】 実開昭59−049188(JP,U)
【文献】 実公昭46−15463(JP,Y2)
【文献】 実開昭49−9602(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
A47F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
売り場において食料品を冷蔵貯蔵および提供する冷蔵庫であって、位置固定のハウジング壁によって、前側、後側、側部および底側において取り囲まれた冷蔵室を備えており、該冷蔵室はその上側において、ハウジング開口を介して、使用者側の前縁部からアクセス可能であり、前記ハウジング開口は、閉鎖された状態においてカバーユニット(2)によって覆われていて、該カバーユニット(2)は、前記使用者側の縁部に隣接する、前進・後退方向に移動可能な前側の部分カバー(10)と、前記使用者側の縁部から離れて位置する移動不能な後側の部分カバー(40)とを備えている冷蔵庫において、
開放するために、閉鎖された状態において前記後側の部分カバー(40)の前に配置された前記前側の部分カバー(10)および/または中央の部分カバー(20)が、少なくとも部分的に前記後側の部分カバー(40)の上に移動可能であり、
前記前側の部分カバー(10)は、その前側領域および後側領域の側部において両側に、前記前側の部分カバー(10)の側部を越えて側方に突出する前側および後側のガイドピン(11,12)を備えており、該ガイドピン(11,12)は、両側において対応配置された上側のガイドレール(31)に係合しており、
前記上側のガイドレール(31)は、上側の保持ウェブを有していて、該保持ウェブはそれぞれ少なくとも1つの間隙(34)を有していて、該間隙(34)を通して前記ガイドピン(11,12)は、前記前側の部分カバー(10)の対応する移動位置において導入可能および取出し可能である、
ことを特徴とする、冷蔵庫。
【請求項2】
前記ハウジング開口の後縁部に隣接する前記後側の部分カバー(40)は、移動不能に、1つの後側のフレーム部分および2つの側部のフレーム部分に、上方に向かって取出し可能に挿入されている、
請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
少なくとも前記前側の部分カバー(10)は、前側から後側に向かって延びる横断面において、上方に向かって凸面状に湾曲している、
請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前側の部分カバー(10)、中央の部分カバー(20)および後側の部分カバー(40)が設けられており、
前記前側の部分カバー(10)だけが、上方に向かって凸面状に湾曲しており、これに対して前記中央の部分カバー(20)および前記後側の部分カバー(40)はフラットに形成されている、
請求項2又は3記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記前側の部分カバー(10)は、その前縁部の近傍に、上方に向かって突出するグリップ(13)を備えており、
前記前側の部分カバー(10)および前記中央の部分カバー(20)は、前記側部のフレーム部分に形成された側部のガイドレールに移動可能に支持されていて、開放時に前記中央の部分カバー(20)は前記後側の部分カバー(40)の上に移動させられ、かつ前記前側の部分カバー(10)は前記中央の部分カバー(20)の上に移動させられるようになっている、
請求項1からまでのいずれか1項記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記前側の部分カバー(10)と前記中央の部分カバー(20)とは、連動装置を介して互いに連結されており、該連動装置は、前記前側の部分カバー(10)の移動時に前記中央の部分カバー(20)も一致する方向で前または後ろに移動させられるように形成されている、
請求項1からまでのいずれか1項記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記連動装置は、開放時にまず前記前側の部分カバー(10)が前記中央の部分カバー(20)の上に移動させられ、かつさらなる開放時に前記前側の部分カバー(10)が前記中央の部分カバー(20)と一緒に前記後側の部分カバー(40)の上に移動させられるように形成されている、
請求項記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記連動装置は、完全に開放された状態からの閉鎖時にまず前記前側の部分カバー(10)が前記中央の部分カバー(20)の上における領域から前方に向かって移動させられ、かつ次いで前記中央の部分カバー(20)が前記前側の部分カバー(10)と一緒に閉鎖された位置に移動させられるように形成されている、
請求項または記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記連動装置は、前記前側の部分カバー(10)の前側領域において下方に向かって突出する前側の連動エレメント(14)と、前記前側の部分カバー(10)の後側の領域において下方に向かって突出する後側の連動エレメント(15)とを有しており、
完全な開放時に前記前側の連動エレメント(14)は、前記中央の部分カバー(20)の前側の縁部領域におけるストッパと当接して、前記中央の部分カバー(20)を後方に向かって移動させ、かつ
閉鎖時に前記前側の部分カバー(10)は、完全に開放された状態からまずは単独で前方に向かって移動させられ、次いでその前記後側の連動エレメント(15)で前記中央の部分カバー(20)の前側の縁部領域における別のストッパと当接して、前記中央の部分カバー(20)を前方に向かって閉鎖された位置に連動するようになっている、
請求項からまでのいずれか1項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売り場において食料品を冷蔵貯蔵および提供する冷蔵庫であって、位置固定のハウジング壁によって、前側、後側、側部および底側において取り囲まれた冷蔵室を備えており、該冷蔵室はその上側において、ハウジング開口を介して、使用者側の前縁部からアクセス可能であり、ハウジング開口は、閉鎖された状態においてカバーユニットによって覆われていて、該カバーユニットは、使用者側の縁部に隣接する、前進・後退方向に移動可能な部分カバーと、使用者側の縁部から離れて位置する移動不能な後側の部分カバーとを備えている冷蔵庫に関する。
【0002】
このような形式の冷蔵庫は、欧州特許第1332698号明細書に開示されている。この公知の冷蔵庫では、冷蔵室は、2つの長辺側からアクセス可能であり、かつ上側においてカバーによって覆われており、このカバーは、両長辺側に沿って該長辺側に対して直角に移動可能なカバーと、中央領域において両長辺側の間における位置固定のカバープレートとを有している。カバーは、凸面状に湾曲していてよい。側部のガイドレールは、3つの軌道を有していて、位置固定のカバープレートは、別体の軌道に配置されており、この別体の軌道は、好ましくは3つの軌道のうちの最上位の軌道である。さらにまた、後側に沿って不動に取り付けられたカバープレートを備えた冷蔵庫も開示されている。相応の冷蔵庫は、欧州特許出願公開第1391171号明細書にも開示されている。
【0003】
独国特許出願公開第102009031278号明細書に開示された別の冷蔵庫もまた、同様に、互いに向かい合って位置する2つのアクセス側を備えた冷蔵庫開口と、横方向に移動可能なスライドカバーを備えたカバーとを有しており、この公知の冷蔵庫では、さらに横方向に移動可能な中央カバーが設けられており、このとき側部のスライドカバーはそれぞれ連動体を有していて、この連動体は、開放時に中央カバーを強制的に連動されるようになっている。
【0004】
欧州特許出願公開第2347680号明細書に開示された、カバーを備えた別の冷蔵庫は、横方向において互いに上下に移動可能な複数のカバーを有している。これらのカバーもまた同様に、連動体システムを介して互いに連結されている。
【0005】
本発明の課題は、ユーザフレンドリに形成された、別の構成を有するカバーを備えた冷蔵庫を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1に記載の特徴によって解決される。すなわち本発明の構成では、開放するために、閉鎖された状態において後側の部分カバーの前に配置された前側の部分カバーおよび/または中央の部分カバーが、少なくとも部分的に後側の部分カバーの上に移動可能である。このように構成されていると、好適な構造において、良好な操作特性と共に確実な機能が得られる。
【0007】
構造および操作のために好適な態様では、ハウジング開口の後縁部に隣接する後側の部分カバーは、移動不能に、1つの後側のフレーム部分および2つの側部のフレーム部分に、上方に向かって取出し可能に挿入されている。
【0008】
比較的大きな冷蔵室もしくは貯蔵室におけるアクセス可能性のために好適な態様では、少なくとも前側の部分カバーは、前側から後側に向かって延びる横断面において、上方に向かって凸面状に湾曲している。このような構成は、上に記載の請求項の特徴との組合せにおいて大きな機能上の利点を生ぜしめ、このときハウジング開口の低い前縁部は、陳列された品物を収容する冷蔵室内への良好な視野を、透明なカバーユニットを通して提供する。
【0009】
さらに別の態様では、前側の部分カバーは、その前側領域および後側領域の側部において両側に、縁部を越えて側方に突出する前側および後側のガイドピンを備えており、該ガイドピンは、両側において対応配置された上側のガイドレールに係合している。このように構成されていると、特に良好な移動可能性が与えられ、このとき前側の部分カバーの湾曲もしくは曲率は、極めて自由に選択可能であり、かつ種々様々な機能および/または操作に対する要求に好適に合わせることができる。このときガイドレールにおけるガイド軌道は、前側の部分カバーの湾曲形状に合わせられる必要はなく、湾曲した部分カバーは、例えばフレキシブルな材料から形成されている必要はなく、従って改善されたデザインの可能性が得られる。閉鎖された状態において、前側の部分カバーの凸面状の湾曲は、側部のガイドレールの前側領域の湾曲にほぼ相当しており、側部においても、カバーユニットによる冷蔵室の確実なシール作用を得ることができる。
【0010】
別の使用上の利点を得ることができる別の態様では、上側のガイドレールは、上側の保持ウェブを有していて、該保持ウェブはそれぞれ少なくとも1つの間隙を有していて、該間隙を通してガイドピンは、前側の部分カバーの対応する移動位置において導入可能および取出し可能である。
【0011】
機能及び操作のために好適な態様では、前側の部分カバー、中央の部分カバーおよび後側の部分カバーが設けられており、前側の部分カバーだけが、上方に向かって凸面状に湾曲しており、これに対して中央の部分カバーおよび後側の部分カバーはフラットに形成されている。このような構成は、特に前側の部分カバーの良好な移動可能性のために役立つ。前側の部分カバーの後側領域は、既に開放時における移動開始時に、フラットな中央の部分カバーの上に位置していて、小さな移動力しか必要ないからである。
【0012】
機能及び操作のために好適な別の態様では、前側の部分カバーは、その前縁部の近傍に、上方に向かって突出するグリップを備えており、前側の部分カバーおよび中央の部分カバーは、側部のフレーム部分に形成された側部のガイドレールに移動可能に支持されていて、開放時に中央の部分カバーは後側の部分カバーの上に移動させられ、かつ前側の部分カバーは中央の部分カバーの上に移動させられるようになっている。
【0013】
ユーザフレンドリな別の態様では、前側の部分カバーと中央の部分カバーとは、連動装置を介して互いに連結されており、該連動装置は、前側の部分カバーの移動時に中央の部分カバーも一致する方向で前または後ろに移動させられるように形成されている。
【0014】
このとき好適な機能を得るための態様では、連動装置は、開放時にまず前側の部分カバーが中央の部分カバーの上に移動させられ、かつさらなる開放時に前側の部分カバーが中央の部分カバーと一緒に後側の部分カバーの上に移動させられるように形成されている。
【0015】
操作のために好適な別の態様では、連動装置は、完全に開放された状態からの閉鎖時にまず前側の部分カバーが中央の部分カバーの上における領域から前方に向かって移動させられ、かつ次いで中央の部分カバーが前側の部分カバーと一緒に閉鎖された位置に移動させられるように形成されている。
【0016】
構造および機能及び操作のために好適なさらに別の態様では、連動装置は、前側の部分カバーの前側領域において下方に向かって突出する前側の連動エレメントと、前側の部分カバーの後側の領域において下方に向かって突出する後側の連動エレメントとを有しており、完全な開放時に前側の連動エレメントは、中央の部分カバーの前側の縁部領域におけるストッパと当接して、中央の部分カバーを後方に向かって移動させ、かつ閉鎖時に前側の部分カバーは、完全に開放された状態からまずは単独で前方に向かって移動させられ、次いでその後側の連動エレメントで中央の部分カバーの前側の縁部領域における別のストッパと当接して、中央の部分カバーを前方に向かって閉鎖された位置に連動するようになっている。
【0017】
次に図面を参照しながら実施形態によって本発明は詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A】カバーユニットおよびガイドユニットを備えた冷蔵庫の上側領域を、閉鎖位置において示す側面図である。
図1B図1Aに示したカバーユニットを開放された位置において示す図である。
図1C図1Aに示した3つの領域A,B,Cを拡大して示す詳細図である。
【0019】
図1Aには、カバーユニット2を備えた冷蔵庫1(その他の部分は図示せず)の上側領域が示されている。このような冷蔵庫1は、特に売り場において、食料品の冷蔵貯蔵および販売(Feilhalten)のために使用される。通常ほぼ直方体形状の冷蔵庫1は、1つの前側のハウジング壁、1つの後側のハウジング壁、2つの側部のハウジング壁および1つの底側のハウジング壁を有しており、これらのハウジング壁は、ハウジング体を形成し、上側に位置するハウジング開口を備えた冷蔵室を取り囲んでおり、このときハウジング開口はカバーユニット2によって覆われていて、かつ開放可能であり、これにより冷蔵室に食料品を補充すること、もしくは顧客が食料品を取り出すことが可能である。カバーユニット2は、品物もしくは食料品を見せるために、完全にまたは大部分、透明に形成されていて、かつガイドユニット30において移動可能な複数の部分カバーを有しており、これらの部分カバーは少なくとも部分的に開放位置に、かつ開放位置から再び閉鎖位置に移動可能である。
【0020】
図1Aおよび図1Bに示した実施形態では、カバーユニット2は3つの部分カバーを有しており、つまり閉鎖された状態においてハウジング開口の、使用者に向けられた前側領域に配置されている前側の部分カバー10、後方に向かってこの部分カバー10に接続している中央の部分カバー20、およびハウジング開口の後側領域に配置されている後側の部分カバー40を有している。少なくとも前側の部分カバー10および中央の部分カバー20は、ハウジング開口の側縁部に配置されたカバーガイド3に挿入されている。
【0021】
カバーユニット2の図示の構成では、後側の部分カバー40は、2つの側部のフレーム部分と1つの後側のフレーム部分とに移動不能に挿入されていて、例えば上方に向かって取外し可能に収容されており、これによって冷蔵室は、必要な場合に後側領域においても、例えば装入のためまたはクリーニング目的のために、良好にアクセス可能に開放させることができる。
【0022】
さらに前側の部分カバー10は、開放のために、中央の部分カバー20の上に移動可能であり、かつさらに大きな開口が望まれる場合には、中央の部分カバー20と一緒に後側の部分カバー40の上に移動可能である。そのためにカバーガイド3は、ハウジング開口の両側に配置された上側のガイドレール31および中央のガイドレール32を備えたガイドユニット30を有している。このとき前側の部分カバー10は、上側のガイドレール31に移動可能に支持され、かつ中央の部分カバー20は、中央のガイドレール32に移動可能に支持されている。後側の部分カバー40が収容されている側部の後側のフレーム部分は、ガイドユニット30の下側のガイドレール33として形成されていてよい。
【0023】
好ましくは、前側の部分カバー10は、その両方の前側の側部領域において側方に突出する前側のガイドピン11と、その両方の後側の側部領域において側方に突出する後側のガイドピン12とを備えており、これらのガイドピン11,12は、例えば前側の部分カバー10の、側部のまたは前側のもしくは後側のフレーム状の枠体(Einfassung)に一体成形されていてもよいし、または別個に取り付けられていてもよい。前側および後側のガイドピン11,12は、図1Cの詳細図Aおよび詳細図Bに拡大して示されている。これらのガイドピン11,12は、前側の部分カバー10を容易に移動させるために、ローラ状のエレメントを備えていてよい。
【0024】
図1Bから分かるように、前側および後側の側部のガイドピン11,12を備えた前側の部分カバー10のこのような構成によって、前側の部分カバー10は、任意に上方に向かって凸面状に湾曲された構成を有することができる。前側の部分カバー10が中央の部分カバー20の上に移動させられる場合に、前側の部分カバー10は、中央の部分カバー20の上方に突出しているからである。また、前側の部分カバー10が可撓性のもしくはフレキシブルな材料から形成されていることも不要であるので、材料選択および形状付与において様々な変化形態が可能になる。例えば、前側の部分カバー10は比較的小さな曲率半径を有することができ、その結果一方では、低い前側の上縁部を、比較的高い側縁部及び後縁部において設けることができ、かつこのようにして、冷蔵室内に陳列された品物を、前から、透明な前側の部分カバー10を通して良好に見ることおよび物品にアクセスするができる。このとき上方に向かう凸面状の湾曲によって、冷蔵室の大きさは、ハウジング開口の低い前縁部によって事実上制限されない。
【0025】
図示の実施形態では、前側の部分カバー10が、前側から後側に向かって延びる横断面において凸面状に上方に向かって湾曲しているのに対して、中央の部分カバー20および後側の部分カバー40は、平らに形成されていて、好ましくは(重力方向に関して)水平に位置しており、これによって冷蔵庫の構造および機能性が促進される。閉鎖位置において、前側の部分カバー10の上方に向かって凸面状の湾曲と側部のガイドレールの湾曲形状とは互いに相応しているので、カバーユニット2は側部においてもハウジング開口の縁部にシール作用をもって接触している。さらにまた、ガイドレレールの曲率と凸面の曲率とは互いに合わせられていて、側方から見た場合に移動路全体にわたって、前側の部分カバー10はガイドレールの湾曲軌道の下に位置しないようになっており、これにより妨げられない移動が常に保証されている。
【0026】
前側の部分カバー10は、その前側領域に(好ましくは前側1/4に)おいてその上側にグリップ13を備えており、このグリップ13によって、開放位置への押し戻し(Zurueckschieben)時および閉鎖位置への前方移動(Vorschieben)時における操作を簡単にすることができる。中央の部分カバー20が開閉時に使用者によって特に係合される必要はなく、前側の部分カバー10によって一緒に移動させられるようにするために、連動装置(Mitnehmervorrichtung)が設けられている。この連動装置は、好ましくは次のように構成されている。すなわちこの場合、開放時には、まず前側の部分カバー10が中央の部分カバー20の上に移動させられ、次いで、さらなる開放時に前側の部分カバー10が中央の部分カバー20を連動させ、このとき中央の部分カバー20が前側の部分カバー10と一緒に後側の部分カバー40の上に移動させられるようになっている。閉鎖時には、まず前側の部分カバー10が前方に向かって中央の部分カバー20の領域から移動させられ、次いで、前方への前側の部分カバー10のさらなる移動時に、閉鎖位置が得られるまで、中央の部分カバー20が後側の部分カバー40の領域から移動させられる。
【0027】
連動装置は、例えば前側の部分カバー10の前側領域において下側に下方に向かって突出する前側の連動エレメント14と、前側の部分カバー10の後側領域において下側に下方に向かって突出する後側の連動エレメント15とを有しており、これに対して、中央の部分カバー20は、その前側縁部に上方に向かってその上側面を越えて突出する突出部、例えば高められた前側のフレーム部分21を有しており、このフレーム部分21は、前側の部分カバー10の後側の連動エレメント15によって、その後側において後側から係合される。前側の部分カバー10が開放のために後方に向かって押されると、前側の部分カバー10は、最初は前側の部分カバー10だけが中央の部分カバー20の上に移動させられ、この移動は、前側の部分カバー10の前側の連動エレメント14が、中央の部分カバー20の前縁部、例えば前側のフレーム部分21と当接するまで続き、次いで前側の部分カバー10は中央の部分カバー20を、さらなる押し戻し時に後方に向かって一緒に、後側の終端位置が得られるまで移動させ、この終端位置において中央の部分カバー20および前側の部分カバー10は、少なくともほぼ後側の部分カバー40の上に位置決めされている。
【0028】
閉鎖時には、まず前側の部分カバー10が前方に向かって移動させられ、この移動は、前側の部分カバー10の後側の連動エレメント15が、中央の部分カバー20の突出部、つまり上方に向かって突出する前側のフレーム部分21と当接するまで続き、次いで、前方に向かってのさらなる移動時に、閉鎖位置が得られるまで、中央の部分カバー20を連動する。閉鎖位置において前側の部分カバー10の後側領域は、中央の部分カバー20の前側領域と少しだけオーバラップしており、相応にまた中央の部分カバー20の後側領域も、後側の部分カバー40の前側領域とオーバラップしており、これによってハウジング開口は確実に閉鎖されている。後側の部分カバー40の前縁部には、例えばシール目的のために、後側の部分カバー40の前側のフレーム部分21が取り付けられてもよい。
【0029】
図1Aおよび図1Bがさらに示すように、ガイドユニット30は、両方の上側のガイドレール31の領域に、側部において下方を向く上側の保持ウェブに、間隙34を有しており、このとき上側の保持ウェブは、ガイドピン11,12の領域において前側の部分カバー10を固定するために用いられる。このように構成されていることによって、ガイドピン11,12は、対応する移動位置において上方に向かっての取外しのために案内されること、もしくは上側のガイドレール31内への下方に向かっての挿入のために使用することができる。これによって前側の部分カバー10は間隙34を介して、ガイドユニット30から取外し可能もしくはガイドユニット30に挿入可能である。
【0030】
冷蔵庫は、前から後ろに向かって(横方向に)挿入された中間壁によって、複数の区分もしくは冷蔵室に分割されていてよく、このとき各区分は、上に述べた構造によるカバーユニット2によってカバーされていてよい。このとき該当するガイドユニット30は、好ましくは、上に述べたように、上側のガイドレール31、中央のガイドレール32および下側のガイドレール33を備えた、中間壁の上縁部に配置されたガイド軌道を有している。
図1A
図1B
図1C