特許第6391714号(P6391714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6391714EGRガス差圧低減用ウェーブフィンプレートを有する熱交換器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391714
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】EGRガス差圧低減用ウェーブフィンプレートを有する熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/40 20060101AFI20180910BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   F28F1/40 N
   F28D7/16 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-571261(P2016-571261)
(86)(22)【出願日】2014年6月19日
(65)【公表番号】特表2017-516975(P2017-516975A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】KR2014005432
(87)【国際公開番号】WO2015190635
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0072200
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516361428
【氏名又は名称】コレンス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KORENS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨン グク
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−177061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/00− 1/44
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器本体と、前記熱交換器本体内への排気ガスの流入が行われるガスインレットと、前記熱交換器本体内への冷却水の流入が行われる冷却水インレットと、冷却水との熱交換によって冷却した排気ガスを排出するガスアウトレットと、熱交換済みの冷却水を排出する冷却水アウトレットとを有する熱交換器において、
前記熱交換器本体は、
複数のガスチューブが並んで積層されてなるチューブ積層コアと、
前記チューブ積層コアの両端部を除く残りの部分を取り囲むように形成されたハウジングと、
幅方向に沿って断面U字形のウェーブフィンおよびこれに続く断面逆U字形のウェーブフィンを含む複数のウェーブフィンを一体に備え、前記ガスチューブそれぞれの内部に配置されるウェーブフィンプレートとを備え、
前記ウェーブフィンそれぞれは、長さ方向に沿ってガスインレットの位置に隣接する固定ピッチ区間、およびガスアウトレットの位置に隣接する可変ピッチ区間を有し、前記可変ピッチ区間内のウェーブフィンのピッチは前記固定ピッチ区間内のウェーブフィンのピッチよりも常に大きく、前記可変ピッチ区間は前記ウェーブフィンプレートの全長の10〜60%を占め、
前記可変ピッチ区間のウェーブフィンのピッチは、ガスアウトレットの位置へ行くほど益々小さくなるように構成される
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記ウェーブフィンそれぞれは、前記可変ピッチ区間の一番目のピッチが前記固定ピッチ区間の固定ピッチよりも1.1〜2.5倍大きい
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記可変ピッチ区間は、先行区間に対してピッチが1.2〜1.8倍ずつ漸進的に増加する複数の区間を有する
請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記ウェーブフィンは、第1波形部と、前記第1波形部と連続して位置し、前記第1波形部との間に特定のピッチを限定する第2波形部とを備え、前記第1波形部は第1曲率半径を有し、前記第2波形部は前記第1曲率半径の1.5〜3倍の第2曲率半径を有する
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記ウェーブフィンは4〜8mmの一定の高さを有する
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記ウェーブフィンそれぞれは、全てのピッチが3〜8mmの範囲内にある
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記ウェーブフィンプレートは、金属板材をプレス成形、ギア成形およびこれらの組み合わせの中から選択された成形によって成形することにより構成され、前記ウェーブフィンは、前記チューブ積層コア内で溶接、半田付け、粘着及びこれらの組み合わせの中から選択された接合によって一体に接合することにより構成される
請求項1ないし6のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項8】
前記ウェーブフィンプレートを構成する金属板材は、SUS 304、SUS 304L、SUS 316、およびSUS 316Lの中から選択されたいずれかのオーステナイト系ステンレス鋼の材質を有し、その板厚が0.05〜0.3mmである
請求項7に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGRガス差圧低減用ウェーブフィンプレートを有する熱交換器に係り、詳しくは、ガスインレットの位置に隣接する固定ピッチ区間と、ガスアウトレットの位置に隣接する可変ピッチ区間とを含むウェーブフィンプレートにより差圧を大きく低減することができる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、EGR(Exhaust Gas Recirculation)システムは、排気ガスの一部をさらに吸気系へ再循環させて吸入空気中のCO濃度を増大させ、燃焼室の温度を低下させることにより、NOxを低減させるシステムである。
【0003】
この種のシステムには、冷却水によって排気ガスを冷却する排気ガス熱交換器(通常、「EGRクーラー(EGR Cooler)」とも呼ばれる)が用いられている。該排気ガス熱交換器は、700℃程度の排気ガス温度を150〜200℃まで冷却しなければならないので、耐熱性材質でなければならず、自動車に設置されるためにコンパクトに設計されるべきであり、適切なEGR量を供給するために圧力降下が最小化されなければならず、熱交換中に排気ガスから凝縮が発生した場合、燃料の硫黄成分のため凝縮水に硫酸が含まれて腐食を起こしやすいので、防食性材料でなければならず、排気ガスの脈動の影響で機械的負荷が作用するので、一定の機械的強度がなければならない。
【0004】
このような排気ガス熱交換器は、複数のガスチューブが積層されたチューブ積層コアを含み、各ガスチューブの内部には排気ガスが通過する排気ガス用通路が設けられ、隣接するガスチューブ同士の間には冷却水用通路が設けられる。排気ガス熱交換器のガスチューブ内には、流体の乱流化を誘導することにより、流体の熱交換効率を向上させることができるフィン構造体、すなわち、ウェーブフィンプレートが設置される。通常「ウェーブフィン」とも呼ばれるウェーブフィンプレートは複数のウェーブフィンを含むが、各ウェーブフィンは全長区間にわたって連なる山状または谷状を含む一定ピッチの正弦(sin)曲線形態を有する。
ウェーブフィンの流体通路を通過する流体、すなわち排気ガスは、上述のように、一定ピッチを有するウェーブフィンの正弦曲線形態によって乱流化を起こし、これにより、排気ガス熱交換器の熱交換効率の向上に寄与する。一方、車両開発の際に、EGRクーラーの性能及び差圧要求事項はエンジンごとに異なるが、性能(または効率)はより高くかつ差圧はより低く要求されている。しかし、一定ピッチの正弦曲線形態を有するウェーブフィンからなるウェーブフィンプレートでは、効率を維持しながらも差圧を下げるのには困難さがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、ガスインレットの位置に隣接する固定ピッチ区間と、ガスアウトレットの位置に隣接する可変ピッチ区間とを含むウェーブフィンプレートにより、効率を維持しながらも差圧を大きく低減した、熱交換器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある観点による熱交換器は、熱交換器本体と、前記熱交換器本体内への排気ガスの流入が行われるガスインレットと、前記熱交換器本体内への冷却水の流入が行われる冷却水インレットと、冷却水との熱交換によって冷却した排気ガスを排出するガスアウトレットと、熱交換済みの冷却水を排出する冷却水アウトレットとを含んでなり、前記熱交換器本体は、複数のガスチューブが並んで積層されてなるチューブ積層コアと、前記チューブ積層コアの両端部を除く残りの部分を取り囲むように形成されたハウジングと、幅方向に沿って断面U字形のウェーブフィンおよびこれに続く断面逆U字形のウェーブフィンを含む複数のウェーブフィンを一体に含み、前記ガスチューブそれぞれの内部に配置されるウェーブフィンプレートとを含み、前記ウェーブフィンそれぞれは、長さ方向に沿ってガスインレットの位置に隣接する固定ピッチ区間、およびガスアウトレットの位置に隣接する可変ピッチ区間を含み、前記可変ピッチ区間内のウェーブフィンのピッチは前記固定ピッチ区間内のウェーブフィンのピッチよりも常に大きく、前記可変ピッチ区間は前記ウェーブフィンプレートの全長の10〜60%を占める。
【0007】
一実施形態において、前記ウェーブフィンそれぞれは、前記可変ピッチ区間の一番目のピッチが前記固定ピッチ区間の固定ピッチよりも1.1〜2.5倍大きくなるように構成できる。
【0008】
一実施形態において、前記可変ピッチ区間のウェーブフィンのピッチは、ガスアウトレットの位置へ行くほど益々大きくなるように構成できる。
【0009】
一実施形態において、前記可変ピッチ区間のウェーブフィンのピッチは、互いに同一となるように構成できる。
【0010】
一実施形態において、前記可変ピッチ区間のウェーブフィンのピッチは、ガスアウトレットの位置へ行くほど益々小さくなるように構成できる。
【0011】
一実施形態において、前記ウェーブフィンは、第1波形部と、前記第1波形部と連続して位置し、前記第1波形部との間に特定のピッチを限定する第2波形部とを含み、前記第1波形部は第1曲率半径を有し、前記第2波形部は前記第1曲率半径の1.5〜3倍の第2曲率半径を有しうる。
【0012】
一実施形態において、前記ウェーブフィンは、4〜8mmの一定の高さを有するように構成できる。
【0013】
一実施形態において、前記ウェーブフィンそれぞれは、全てのピッチが3〜8mmの範囲内にあるように構成できる。
【0014】
一実施形態において、前記ウェーブフィンプレートは、金属板材をプレス成形、ギア成形、およびこれらの組み合わせの中から選択された成形によって成形することにより構成され、前記ウェーブフィンは、前記チューブ積層コア内で溶接、半田付け、粘着及びこれらの組み合わせの中から選択された接合によって一体に接合することにより構成できる。
【0015】
一実施形態において、前記ウェーブフィンプレートを構成する金属板材は、SUS 304、SUS 304L、SUS 316、およびSUS 316Lの中から選択されたいずれかのオーステナイト系ステンレス鋼の材質を有し、その板厚が0.05〜0.3mmであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、可変ピッチ区間を持つウェーブフィンを含むウェーブフィンプレートの適用により、効率を維持しながらも差圧を大きく低減することができる熱交換器が実現される。特に、ウェーブフィンの全長に対して、ウェーブフィン全長中の可変ピッチ区間の長さ占有率が10〜60%であるとき、差圧を大きく減らしながらも効率はほぼ同様に維持することができる。また、可変ピッチ区間の一番目のウェーブフィンピッチが固定ピッチ区間のウェーブフィンピッチよりも1.1〜2.5倍に制限されることにより、効率の低下をさらに最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るEGRシステム向けの排気ガス熱交換器を概略的に説明するための斜視図
図2図1に示した熱交換器本体を分解して示す分解斜視図
図3図2に示した熱交換器本体から分離したウェーブフィンプレートを示す拡大斜視図
図4】(a)と(b)は本発明の実施形態によってウェーブフィンが可変ピッチ区間を有するウェーブフィンプレートと、従来技術によってウェーブフィンが一定ピッチを有するウェーブフィンプレートとを比較して示す説明図
図5】本発明の一実施形態に係るウェーブフィンプレートの一定ピッチ区間と可変ピッチ区間を示す説明図
図6】本発明の一実施形態に係るウェーブフィンプレートの可変ピッチ区間内の隣り合う波形部間の曲率半径の関係の説明図
図7】可変ピッチ区間を有するウェーブフィンを含むウェーブフィンプレートが適用された熱交換器(本発明)と、一定ピッチを有するウェーブフィンからなるウェーブフィンプレートが適用された熱交換器との差圧および効率を比較したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。次に紹介される実施形態は、当業者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするための例として提供される。したがって、本発明は、これらの実施形態に限定されず、他の形態に具体化できる。図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは便宜のために誇張されて表現できる。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係るEGRシステム向けの排気ガス熱交換器を概略的に説明するための斜視図、図2図1に示した熱交換器本体を分解して示す分解斜視図、図3図2に示した熱交換器本体から分離したウェーブフィンプレートを示す拡大斜視図、図4は(a)と(b)は本発明の実施形態によってウェーブフィンが可変ピッチ区間を有するウェーブフィンプレートと、従来技術によってウェーブフィンが一定ピッチを有するウェーブフィンプレートとを比較して示す図、図5は本発明の一実施形態に係るウェーブフィンプレートの一定ピッチ区間と可変ピッチ区間を示す図、図6は本発明の一実施形態に係るウェーブフィンプレートの可変ピッチ区間内の隣り合う波形部間の曲率半径の関係を説明するための図、図7は可変ピッチ区間を有するウェーブフィンを含むウェーブフィンプレートが適用された熱交換器(本発明)と、一定ピッチを有するウェーブフィンからなるウェーブフィンプレートが適用された熱交換器との差圧および効率を比較して説明するためのグラフである。
【0020】
まず、図1を参照すると、排気ガス熱交換器は、排気ガスの一部をさらに吸気系へ再循環させて吸入空気中のCO濃度を増大させ、燃焼室の温度を低下させることにより、NOxを低減させるEGRシステムに適用されるものであって、排気ガスと冷却水との熱交換により排気ガスの冷却が行われる熱交換器本体1と、前記熱交換器本体1内への排気ガスの流入が行われるガスインレット2と、前記熱交換器本体1内への冷却水の流入が行われる冷却水インレット3と、冷却水との熱交換によって冷却した排気ガスを排出するガスアウトレット4と、熱交換済みの冷却水を排出する冷却水アウトレット5とを含んでなる。
【0021】
図2を参照すると、前記熱交換器本体1は、長さ方向に沿って長く設けられた略直方体のチューブ積層コア10と、前記チューブ積層コア10の両端部を除いた残りの部分を取り囲むように形成された四角ボックス形のハウジング20とを含む。前記ハウジング20は、前記チューブ積層コア10の両サイドと上部を覆うように略「コ」字状の断面に形成された第1ハウジングシェル21と、前記第1ハウジングシェル21の下端開放部を仕上げるように、前記第1ハウジングシェル21に結合した断面「コ」字状の第2ハウジングシェル22とを含んでなる。
前記第1及び第2ハウジングシェル21、22は、エンボス加工が可能な薄い厚さの金属薄板素材を切断し、折り曲げて製作できる。前記チューブ積層コア10は、複数のガスチューブ11が横に並んで積層されてなる。
【0022】
前記ガスチューブ11それぞれは、互いに対向するように折り曲げられ、「コ」字状の断面およびそれに対称な断面を有する第1及び第2チューブプレートの側壁(またはフランジ)同士が重なり合った後、ろう付けによって接合されて断面略四角形の排気ガス通路を有するように製作できる。
前記ガスチューブ11それぞれの内部には、排気ガスが通過する排気ガス用通路が設けられ、前記熱交換器本体1は、ガスチューブ11それぞれの内部排気ガス通路に設置されたウェーブフィンプレート12を含む。前記ウェーブフィンプレート12は、本発明の主要特徴を構成する部分であって、排気ガスの乱流化および排気ガス伝熱面積を拡大させて排気ガス熱交換器の性能を高めるのに大きく寄与する。次に、前記ウェーブフィンプレート12の主要構成及び特徴についてはより詳細に説明する。一方、隣接するガスチューブ11同士の間には冷却水用通路が設けられる。
【0023】
また、前記熱交換器本体1は、チューブ積層コア10の両端部に前記チューブ積層コア10のガスチューブ11の位置を決定する2セットのチューブ保持プレートを含むことができる。チューブ保持プレートの各セットは、第1チューブ保持プレート31と、前記第1チューブ保持プレート31の前面に積層される第2チューブ保持プレート32とを含む。前記第1及び第2チューブ保持プレート31、32は、ガスチューブ11が挿入されるチューブ挿入ホールを備える。
【0024】
図3を参照すると、前記ウェーブフィンプレート12は、幅方向に沿って複数のウェーブフィン121a、121bを一体に含み、複数のウェーブフィン121a、121b(総称して121)は、断面略凹形または断面略U字形のウェーブフィン121aと、これに隣り合うまたは続く略凸形または断面略逆U字形のウェーブフィン121bとを含む。また、前記複数のウェーブフィン121aまたは121b(総称して121)それぞれは、長さ方向に緩やかな放物型凹部と凸部が連続的に連なって略うねり形状、波形または正弦曲線形状を有する。前記ウェーブフィンプレート12は、金属板材をプレス成形、ギア成形およびこれらの組み合わせの中から選択された成形によって成形することにより構成され、前記チューブ積層コア内で溶接、半田付け、粘着及びこれらの組み合わせの中から選択された接合によって一体に接合することにより構成される。
【0025】
前記ウェーブフィンプレート12を構成する金属板材は、SUS 304、SUS 304L、SUS 316、およびSUS 316Lの中から選択されたいずれかのオーステナイト系ステンレス鋼の材質を有し、その板厚が0.05〜0.3mmであってもよい。
【0026】
図3図4の(a)及び図5に示すように、本実施形態に係るウェーブフィン121aまたは121b(121)は、長さ方向に沿ってピッチが可変的に変化するように構成されるが、少なくとも熱交換器のガスインレット(gas inlet)側ではなく、ガスアウトレット(gas outlet)側でピッチが大きくなっている。これは、排気ガスがウェーブフィン121aまたは121b(121)の波形にぶつかりながら渦流を形成した後、長いピッチの波形を有するガスアウトレット側に行きながら渦流の勢いが減るようにして、結果的に差圧を減らすのに寄与する。
【0027】
図4の(b)に示す従来のウェーブフィンプレートのウェーブフィン121’はガスインレット側からガス出口側までの長さ全体にわたって同じピッチを有するが、これはガス差圧を減らすのには限界を持つ。
【0028】
図5に示すように、ウェーブフィン121は、ガスインレットの位置から全長の40%に相当する中間位置まで一定ピッチaを有する固定ピッチ区間Aと、中間位置からガスアウトレットの位置まで可変ピッチb、c、…を有する可変ピッチ区間Bとを含む。
本実施形態において、前記可変ピッチ区間Bは、ガスインレットの位置から熱交換器の全長の40%〜90%に相当する中間位置とアウトレットの位置との間に存在する。すなわち、前記可変ピッチ区間Bは、ガスインレットの位置から前記ウェーブフィン121の全長の40%〜90%に相当する位置から始まり、アウトレットの位置まで存在する。このとき、固定ピッチ区間Aは、ガスインレットの位置から前記ウェーブフィン121の全長の40%〜90%に相当する位置まで存在する。
【0029】
この場合、前記固定ピッチ区間Aは、前記ウェーブフィンプレート12または前記ウェーブフィン121の全長の40〜90%を占め、可変ピッチ区間Bは、前記ウェーブフィンプレート12または前記ウェーブフィン121の全長の10〜60%を占める。
可変ピッチ区間Bの一番目のピッチbは、固定ピッチ区間Aの固定ピッチaよりも大きいが、約1.1〜2.5倍に決められるのが良い。また、可変ピッチ区間Bにおけるピッチは漸進的に変化できるが、好ましくは、可変ピッチ区間B内の連続するピッチのうち、後行ピッチは先行ピッチに対して1.2〜1.8倍、より好ましくは1.5倍ずつ増加するようにするのが良い。この際、前記ウェーブフィン121それぞれは、全てのピッチが3〜8mmの範囲内にあるように構成されるのが良い。また、前記ウェーブフィンのピッチは、両波形部(凹部または凸部)の頂点間の距離によって決められるが、各波形部は、図6に示すように、曲率半径R1またはR2を有する。このとき、後行波形部の曲率半径R2は、先行波形部の曲率半径R1の1.5〜3倍に決められることが好ましい。また、ウェーブフィンは、その高さHが常に一定であるが、約4〜8mmの高さH(図3参照)に決められることが好ましい。
【0030】
また、前記可変ピッチ区間B内のウェーブフィン121の全てのピッチが互いに同一となるように構成してもよく、互いに異なるように構成してもよい。例えば、前記可変ピッチ区間Bの開始点から終了点たるアウトレットの位置に行くほど、ウェーブフィン121のピッチが益々大きくなるように構成してもよく、益々小さくなるように構成してもよい。
【0031】
図7はウェーブフィンプレートのウェーブフィンピッチが異なるように設計して差圧および効率を測定した実験の条件および結果を示すグラフである。
図7を参照すると、グラフの100%は、基本ピッチを固定ピッチにして全部適用した場合(従来技術)を示し、80%(実施例1)、65%(実施例2)および50%(実施例3)は、基本ピッチの区間をウェーブフィン121の全長の当該パーセンテージ(80%、65%、50%)だけ固定ピッチ区間とし、残りの長さの区間を基本ピッチの1.5倍または2倍のピッチを持つように可変ピッチ区間とした場合を示す。
【0032】
これを参照すると、実施例1、実施例2及び実施例3のように可変ピッチ効率区間を置くことにより、熱交換効率は、100%固定ピッチ区間を置くときと比較して類似しながらも、差圧を大幅に低減することができることが分かる。
全長区間の60%を超えて可変ピッチ区間を置いた場合(または全長区間の40%未満に固定ピッチ区間を決める場合)には、効率が過度に低下し、全長区間の10%未満に可変ピッチ区間を置いた場合(または全長区間の90%超過に固定ピッチ区間を決める場合)には、所望の差圧低減効果を得ることができなかった。よって、ウェーブフィン全長の10〜60%の可変ピッチ区間を出口側と近くに配置するのが最も有利である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7