特許第6391716号(P6391716)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6391716大面積の垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイの作製工程
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391716
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】大面積の垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイの作製工程
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3063 20060101AFI20180910BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01L21/306 L
   H01L21/308 C
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-572503(P2016-572503)
(86)(22)【出願日】2014年6月25日
(65)【公表番号】特表2017-517897(P2017-517897A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】KR2014005645
(87)【国際公開番号】WO2015190637
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2017年2月2日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0070745
(32)【優先日】2014年6月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516151597
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティテュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145920
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】リー ウー
(72)【発明者】
【氏名】シン ジョン ホー
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0280908(US,A1)
【文献】 特開2008−243850(JP,A)
【文献】 米国特許第05773369(US,A)
【文献】 国際公開第2013/093504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3063
H01L 21/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)III‐V族化合物半導体基板の表面にパターニングされたパラジウムを含む金属メッシュを準備する段階と、
(b)前記金属メッシュに外部バイアスを印加してエッチング液で前記III‐V族化合物半導体基板を湿式エッチングする段階と、を含む、III‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【請求項2】
前記金属メッシュをアノード(anode)として使用して前記金属メッシュに電圧または電
流を印加する、請求項1に記載のIII‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【請求項3】
前記金属メッシュは、二つ以上の元素を有する合金であるか、二つ以上の金属を多層に蒸着してなる、請求項1又は2に記載のIII‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【請求項4】
前記ナノワイヤーの長さは、湿式エッチングが行われる時間に応じて制御されるか、印加されたバイアスの大きさに応じて制御される、請求項1〜のいずれか1項に記載のIII‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【請求項5】
前記エッチング液は、フッ酸(HF)、塩酸(HCl)または硝酸(HNO)を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載のIII‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【請求項6】
前記湿式エッチングする段階において、ナノワイヤーが、基板に対して垂直であるか、ジグザグの形状を有するように製造する、請求項1〜のいずれか1項に記載のIII‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【請求項7】
前記湿式エッチングする段階において、基板にバイアスを印加してナノワイヤーが多孔性表面を有するように誘導する、請求項1〜のいずれか1項に記載のIII‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【請求項8】
前記湿式エッチングする段階において、ナノワイヤーの短軸の長さは、金属メッシュの孔のサイズの変化に応じて調節される、請求項1〜のいずれか1項に記載のIII‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【請求項9】
前記III‐V族化合物半導体が、ガリウムヒ素である、請求項1〜のいずれか1項に記載のIII‐V族化合物半導体ナノワイヤーアレイの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属メッシュ薄膜を経済的に製造する方法に関する。
【0002】
また、本発明は、前記方法を用いた垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイの製造方法に関する。
【0003】
詳細には、本発明は、整列されたナノサイズの孔を有する金属薄膜をアノード(anode)として使用し、外部から電圧または電流を印加してガリウムヒ素基板に正孔(h)を注入し、結晶方位を有する半導体基板を湿式エッチングすることで直径と長さが制御された大きい表面積と大きいアスペクト比を有する垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイを大面積に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
近年、低次元の半導体ナノ構造物の独特な物理的、構造的特性により半導体ナノワイヤーを用いた高性能素子に応用するための研究が活発に行われている。シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)など、単一元素からなる単結晶半導体に比べて、2種類以上の元素で結合された化合物半導体は、様々な元素の組み合わせ法と組成比を用いて、目的に適合する各種の半導体ナノ素子を具現することができる。
【0005】
このうち、III‐V半導体であるガリウムヒ素は、シリコンに比べて電子の移動速度が5倍以上速いだけでなく、トランジスター構造が簡単で、多くの高速集積回路を作製することができる。また、250GHzに至る高周波帯域まで処理することができ、温度変化から受ける影響が少ないことからシリコンに比べて動作の際にノイズが少ないという利点がある。なによりも直接遷移型(direct bandgap)半導体特性を有しており、発光効率に優れ、最近急激な成長を見せる発光ダイオード(LED)または太陽電池モジュールの素材として脚光を浴びている。
【0006】
したがって、ガリウムヒ素ナノワイヤーを実際素子として利用するためには、ナノワイヤーの直径と長さを均一に制御することが必須であるだけでなく、大きい表面積と大きいアスペクト比を有する高品質の垂直整列されたガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを空間的によく整列させ、その密度を調節することを先行しなければならない。
【0007】
今まで報告されたことによれば、ガリウムヒ素ナノワイヤーの成長法としては、トップダウン式接近法(Top‐down)とボトムアップ式接近法(bottom‐up)とに大別することができる。
【0008】
トップダウン式接近法として、分子線蒸着法(Molecular Beam Epitaxy、MBE)、有機金属化学蒸着法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD)などを用いてガリウムヒ素ナノワイヤーを成長させることができる。しかし、前記のトップダウン式接近法では、ナノワイヤーの成長の際にツイン(twin)のような欠陥が生じるだけでなく、均一な長さと直径を有するナノワイヤーを基板に対して垂直整列させることが困難である。また、ボトムアップ式接近法は、乾式エッチングと湿式エッチングとに分けられるが、乾式エッチングに代表されるイオンビームエッチング(Reactive Ion Etching、RIE)は、高価な装備を要し、工程過程において材料に損傷を与えるだけでなく、表面にムラがあり、多量の不純物を含み得るという欠点がある。したがって、物理的、化学的特性に大きく影響を与える可能性があり、素子の設計において変数になり得るため好ましくない。
【0009】
一方、金属を触媒とした化学的エッチング(Metal‐assisted chemical etching)に代表される湿式エッチングは、現在、シリコンナノワイヤーの製造において、その研究が最も活発に行われており、パターニングされた薄膜を金属を触媒として使用して酸化剤が含まれたエッチング液に浸漬させることにより、自発的な反応を誘導して短時間で長さと直径が制御されたナノワイヤーを得る方法である。このような方法は、ガリウムヒ素を含むIII‐V半導体ナノワイヤーの製造においてその研究範囲が拡大している。
【0010】
しかし、ガリウムヒ素を含むIII‐V半導体基板の場合、このような金属を触媒とした化学的エッチングの際に垂直エッチングと同時に側面エッチングが活発に生じ、均一な直径と長さを有するナノワイヤーを製造することが困難なだけでなく、アスペクト比が大きいナノワイヤーを製造することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来、金属を触媒として使用するガリウムヒ素半導体基板の化学的湿式エッチングによるガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイの作製工程が有する様々な技術的限界を解消することにより、垂直整列された均一な直径と長さを有するガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイを提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、前記垂直整列された均一な直径と長さを有するガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイを大面積に作製する技術を提供することにある。
【0013】
また、本発明のさらに他の目的は、側面エッチングを抑制して、均一な直径を有するアスペクト比が大きいナノワイヤーを製造することにより、III‐V半導体基板で普遍的に現れる側面エッチング効果による長さの限界を解消できる方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明は、ガリウムヒ素基板のドーピング濃度およびドーピング種類に関係なく、垂直整列されたガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造するための方法を提供することにある。
【0015】
また、結晶方位が異なる基板に関係なく基板と同一の方向性を有する垂直整列されたガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造するための方法を提供することにある。
【0016】
また、一つの結晶方位を有するガリウムヒ素基板で製造されたガリウムヒ素ナノワイヤーのエッチング方向を制御して、一つ以上の結晶方位を有するガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、結晶方位が周期的に交差したジグザグ状のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造するだけでなく、多孔性ガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために、本発明の一側面によれば、(a)ガリウムヒ素基板の表面にパターニングされた金属メッシュを準備する段階と、(b)金属メッシュに外部バイアスを印加してエッチング液でのガリウムヒ素基板を湿式エッチングさせる段階と、を含むガリウムヒ素ナノワイヤーアレイの製造方法が提供される。
【0018】
本発明の一様態によれば、前記(a)段階は、(a1)ガリウムヒ素基板上に有機粒子の単層アレイを形成する段階と、(a2)前記有機粒子単層アレイ上に金属薄膜を蒸着する段階と、(a3)前記有機粒子単層アレイを除去して金属メッシュを製造する段階と、をさらに含んでなることができる。
【0019】
また、本発明の一様態によれば、前記(a1)段階は、先ず、ガリウムヒ素基板を前処理する段階をさらに含んでなることができる。
【0020】
また、本発明の一様態によれば、前記(a2)段階の後に、熱を加えるかまたは酸素雰囲気(空気または酸素またはオゾン雰囲気)でプラズマ処理して有機粒子単層アレイの有機粒子を収縮させることでアレイとアレイとの間隙を拡大し、ナノワイヤーの形成距離を調節してもよい。
【0021】
以下、本発明の様態について具体的に説明すると、以下のとおりである。
【0022】
本発明の一様態は(a)III‐V族化合物半導体基板の表面にパターニングされた金属メッシュを準備する段階と、(b)金属メッシュに外部バイアスを印加してエッチング液でのガリウムヒ素基板を湿式エッチングさせる段階と、を含む。
【0023】
本発明の様態は、前記様態において、(a)段階は、(a1)ガリウムヒ素基板上に有機粒子の単層アレイを形成する段階と、(a2)前記有機粒子単層アレイ上に金属薄膜を蒸着する段階と、(a3)前記有機粒子単層アレイを除去して金属メッシュを製造する段階と、をさらに含む。
【0024】
本発明の様態は、また、前記(a2)段階後に熱を加えるかまたは空気または酸素またはオゾン雰囲気でプラズマ処理して有機粒子単層アレイの有機粒子を収縮させてアレイとアレイとの間隙を拡大する段階をさらに含む。
【0025】
本発明の様態では、前記金属メッシュ孔の形状が、円形、楕円形、正方形、長方形、繊維形および多角形の少なくともいずれか一つの形状である。
【0026】
本発明の様態はまた、前記金属メッシュをアノード(anode)として電圧または電流を印加する。
【0027】
本発明の様態において、金属メッシュは、エッチング液に腐食しない金属、例えば、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)を含む。本発明の前記の金属メッシュは、二つ以上の元素を有する合金であるか、二つ以上の金属を多層に蒸着して使用する。また、前記の金属メッシュは、有機粒子を用いた製造方法の他に、様々なパターニング方法によっても製造することができる。
【0028】
また、本発明は、前記ナノワイヤーの長さが、前記湿式エッチングが行われる時間に応じて制御されるか、または印加されたバイアスの大きさに応じて制御されることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の前記エッチング液が、フッ酸(HF)、塩酸(HCl)または硝酸(HNO)を含むものであり得る。
【0030】
また、本発明は、前記湿式エッチング段階において、ナノワイヤーが、基板に対して垂直であるか、またはジグザグの形状を有するように製造する。また、本発明は、前記湿式エッチング段階において、基板にバイアスを印加してナノワイヤーが多孔性表面を有するように誘導する。
【0031】
また、本発明は、前記湿式エッチング段階において、ナノワイヤーの短軸の長さは金属メッシュの孔のサイズの変化に応じて調節される。
【0032】
本発明において、前記III‐V族化合物半導体がガリウムヒ素である。
【0033】
以下、本発明の製造方法の段階について説明する。
【0034】
本発明において、前記(a1)段階の有機粒子単層アレイの形成は、ガリウムヒ素基板の全体に形成することを基本とするが、必要に応じて、ガリウムヒ素基板の一部のみに形成してもよく、また前記有機粒子単層アレイを2層または3層などの複数層にしてガリウムヒ素ナノワイヤーの形状を垂直型ではなく不定形に製造してもよい。このような複数層はまた、全部または必要に応じて一部のみを形成してもよく、互いに混在するように形成してもよい。本発明において、確率的に単層アレイを形成する場合でも一部の欠陥(デフェクト)があり得ることは、当業者にとって自明であるが、最も好ましくは、最密充填された形態の単層にすることが最も好適である。
【0035】
本発明において、ガリウムヒ素基板に前処理を施すことが、汚染物質を除去して形成されるナノワイヤーの均一性のために好ましい。前処理は、有機溶剤およびイオン水を交互に水洗して行うことが好ましい。有機溶剤は、前記ガリウムヒ素基板を損傷しないものであれば、制限されず、例えば、アセトン、ケトン、エタノール、メタノール、エチルエーテル、エチルアセテートまたはテトラヒドロフランなどが例として挙げられるが、これに限定されない。前処理は、渦流で行われてもよく、そのまま水に流すことで行われてもよい。即ち、様々な手段が前処理手段として採択され得る。
【0036】
本発明による前記有機粒子単層アレイをガリウムヒ素基板に形成する方法は、有機粒子を溶媒や水の表面に単層形態に分散させた後、ガリウムヒ素基板に移送して形成する。転写方法は、多様に採択してもよく、例えば、ガリウムヒ素基板を有機粒子が分散された液状媒体に投入した後、基板を液状媒体から徐々に取り出すことで、有機粒子が基板の表面に単層アレイを形成することができる。前記液状媒体は、有機粒子の性質に応じて様々な媒体を採択してもよいことは自明である。例えば、水や前記前処理に使用する有機系溶媒を採択してもよいが、これに限定されない。
【0037】
本発明において、前記有機粒子は、サイズが1nm〜5000μm、好ましくは、10nm〜100μm、さらに好ましくは10nm〜10μmまで多様に調節してもよく、これに限定されない。有機粒子の種類としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、架橋アクリル粒子、エポキシ粒子またはその他のゴム粒子などの様々なものを採択してもよく、これに限定されない。ポリスチレン粒子が比重が低くて水に浮遊し、また商業化したものが多く存在するため、これを採択してもよいが、これに限定されない。
【0038】
また、本発明において、前記有機粒子の形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、繊維形または板状形など、様々な形状を有してもよく、このような形状に応じて本発明で製造されるナノワイヤーも様々な形状を有することができる。これは、有機粒子の形状に応じて金属メッシュの孔の形状が決定され、金属メッシュの形状に応じてナノワイヤーの形状が決定されるためである。
【0039】
一方、本発明では、前記(a2)段階後に熱を加えるかまたは酸素雰囲気(空気または酸素またはオゾン雰囲気)でプラズマ処理して有機粒子単層アレイの有機粒子を収縮させてアレイとアレイとの間隙を拡大することでナノワイヤーの形成距離を調節してもよい。このような段階を有することにより、有機粒子が収縮する現象は、プラズマ処理または熱処理によって架橋されるかまたは膨張した有機粒子の体積が緻密に収縮するためである。熱処理をする場合には、有機粒子が溶融されてはならないため、ガラス転移温度以上、溶融温度未満の温度で熱処理することが好ましい。
【0040】
本発明において、前記(a2)段階で採択される金属薄膜の蒸着段階は、この技術または隣接技術で採択する既存の様々な金属薄膜の形成方法を採択してもよく、ここで、特に方法は限定されない。例えば、ナノワイヤーアレイの作製の際に電極として使用されるパラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、または銀(Ag)を蒸着させることができるが、金属の蒸着は、熱蒸着(thermal evaporation)、プラズマ蒸着(plasma sputtering)または電子ビーム蒸着(e‐baem evaporation)により行われてもよい。
【0041】
次に、本発明の(a3)段階について説明する。本発明の(a3)段階は、金属蒸着後、有機粒子を除去する工程である。前記有機粒子を除去することで、ガリウムヒ素基板上に付着した有機粒子の付着位置がメッシュ状に生成される。有機粒子は、有機粒子を溶媒で溶解させて除去されるか、または有機粒子を非溶媒に入れた後、超音波処理などを行うことにより物理的に除去され得るが、これに限定されない。例として、本発明において、ポリスチレン粒子を採択する場合には、ガリウムヒ素基板をトルエンまたはクロロホルムに入れて、ガリウムヒ素基板に超音波処理を施してガリウムヒ素基板の表面に整列されているポリスチレンナノ粒子を除去することにより、多孔性金属メッシュを製造することができる。
【0042】
前記のように有機粒子を除去すると、金属薄膜が蒸着されたガリウムヒ素基板上に金属薄膜の厚さと前記有機粒子の付着位置の高さ偏差によってメッシュが形成される。
【0043】
本発明の一実施例によれば、前記多孔性金属メッシュの孔の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形および正多角形の少なくともいずれか一つの形状であり得る。
【0044】
また、本発明で使用された多孔性金属メッシュの材料は、優れた特性を有する金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)であってもよく、これに限定されない。また、多孔性金属メッシュの材料は、特定のエッチング液に腐食しない金属を含んでもよい。
【0045】
次に、本発明の一つの様態による前記(b)段階について説明する。
【0046】
前記(b)段階は、前記(a)段階により準備した多孔性金属メッシュを用いてガリウムヒ素基板を湿式エッチングしてナノワイヤーを形成することを特徴とすることができる。本発明の一様態によれば、前記(b)段階は、外部バイアスを多孔性金属メッシュに直接印加して、金属メッシュの下部に接触しているガリウムヒ素基板に正孔(h)を形成させることにより、エッチング液でガリウムヒ素基板を湿式エッチングしてトップ‐ダウン方式でナノワイヤーが形成されることになる。
【0047】
すなわち、多孔性金属メッシュと接触するガリウムヒ素基板は、エッチングされて低くなり、多孔性金属メッシュと接触していないメッシュ状の部分は、エッチングされず、ナノワイヤーの形態が生成される。
【0048】
本発明では、外部から印加されるパワーは、直流電流、電圧およびこれらのパルス形態を含み得る。
【0049】
この際、得られるガリウムヒ素ナノワイヤーのアスペクト比(=長さ/直径)は、印加された酸化電圧、酸化電流、エッチング液の濃度およびエッチング時間の調節により制御される。
【0050】
本発明の一様態によれば、前記(b)段階に使用されるエッチング液は、フッ酸(HF)、塩酸(HCl)または硝酸(HNO)など、ガリウムヒ素をエッチングすることができる如何なる溶液を含んでもよいが、これに限定されない。また、本発明に使用されたガリウムヒ素エッチング液は、脱イオン水に希釈されたエッチング液を含んでもよく、脱イオン水および無水エタノール(COH)の混合液であってもよく、これに限定されない。
【0051】
本発明において、前記金属薄膜に印加するバイアスは、0.5〜50mAの電流(電流密度:2.5〜250mA/cm)または0.2〜10Vの電圧内で印加することができる。
【0052】
一方、本発明において、バイアスは、ドーピングされたガリウムヒ素基板に印加されてもよい。外部から加えられる直流電流または電圧でガリウムヒ素基板の電気化学的エッチングを誘導してガリウムヒ素ナノワイヤーを製造する本発明は、所定のドーピング濃度以上で電気的特性を有する場合、それ以上のドーピング濃度とタイプに関係なく、ナノワイヤーを製造できるという利点を有し、一般的に所望する電気的特性を有するガリウムヒ素基板を製造するために別のドーピング工程がなくても、必要なドーピング濃度を有するウェハを直接エッチングするため、更なるドーピング工程が必要ないという利点を有する。
【0053】
一つの結晶方位を有するガリウムヒ素基板で製造されたガリウムヒ素ナノワイヤーのエッチング方向を制御して、一つ以上の結晶方位を有するガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、結晶方位が周期的に交差したジグザグ状のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、且つ多孔性ガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができる。
【0054】
すなわち、金属薄膜に印加する直流電圧または電流の大きさおよびパルス形態を調節することにより、与えられた結晶方位のガリウムヒ素基板で製造されたナノワイヤーのエッチング方向を制御して、一つまたは一つ以上の結晶方位を有するガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、結晶方位が周期的に交差したジグザグ状のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができる。
【0055】
それだけでなく、金属メッシュではなく、ガリウムヒ素基板に直接直流電流または電圧を印加して、多孔性ガリウムヒ素ナノワイヤーアレイもまた製造することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイの製造方法によれば、ガリウムヒ素基板のドーピング濃度およびドーピング種類に関係なく、垂直整列されたガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、これにより、更なるドーピング工程がなくても素子の具現において必要なドーピング濃度と種類を有する基板を用いてナノワイヤーを直接作製することができる。
【0057】
また、結晶方位が異なる基板に関係なく、基板と同一の方向性を有する垂直整列されたガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができる。
【0058】
また、結晶方位が異なる基板に関係なく、基板と同一の方向性を有する垂直整列されたガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができる。
【0059】
また、一つの結晶方位を有するガリウムヒ素基板で製造されたガリウムヒ素ナノワイヤーのエッチング方向を制御して、一つ以上の結晶方位を有するガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、結晶方位が周期的に交差したジグザグ状のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、且つ多孔性ガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができる。
【0060】
さらに、側面エッチングを抑制して均一な直径を有するアスペクト比が大きいナノワイヤーを製造することにより、III‐V半導体基板で普遍的に現れる側面エッチング効果による長さの限界を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本発明の一側面によるガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイの製造方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の一側面による脱イオン水の表面に形成したポリスチレンナノ粒子単層アレイを示す断面図である。
図3】本発明の一側面によるガリウムヒ素基板の表面に対するポリスチレンナノ粒子単層アレイの転写方法を示す断面図である。
図4】本発明の一側面によるポリスチレンナノ粒子のサイズを減少させる方法を示す断面図である。
図5】本発明の一側面によるガリウムヒ素基板に形成されたポリスチレンナノ粒子単層アレイ上に蒸着された金属薄膜を示す断面図である。
図6】本発明の一側面によるポリスチレンの除去過程を示す断面図である。
図7】本発明の一側面によるガリウムヒ素基板上に形成された多孔性金属メッシュを示す走査型電子顕微鏡写真である。
図8】本発明の一側面によるガリウムヒ素ナノワイヤーアレイの製造方法を示す模式図である。
図9】本発明の一側面によるNタイプ100ガリウムヒ素基板を湿式エッチングして製造したガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを示す走査電子顕微鏡写真である。
図10】本発明の一側面によるNタイプ111ガリウムヒ素基板を湿式エッチングして製造したガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを示す走査電子顕微鏡写真である。
図11】本発明の一側面によるp‐タイプ100ガリウムヒ素基板を湿式エッチングして製造したガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを示す走査電子顕微鏡写真である。
図12】本発明の一側面によるn‐タイプ100ガリウムヒ素基板を湿式エッチングして製造したジグザグ状のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを示す走査電子顕微鏡写真である。
図13】本発明の一側面によるn‐タイプ100ガリウムヒ素基板を湿式エッチングして製造した多孔性ガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを示す走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明は、様々な変換を加えてもよく、様々な実施例を有し得る。特定の実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定するものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変換、均等物乃至代替物を含むものと理解すべきである。本発明を説明するにあたり、関連する公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にし得ると判断した場合には、その詳細な説明を省略する。
【0063】
本願明細書における第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用され得るが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するためにのみ使用される。
【0064】
本願明細書において使用された用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定する意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なっていない限り、複数の表現を含む。本願明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためのものであって、一つまたはそれ以上の異なる特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0065】
以下、本発明を一様態に該当する図面を参照して、より詳細に説明し、図面を参照して説明するにあたり、同一または対応する構成要素は同一の図面番号を付与し、これに関する重複する説明は省略する。
【0066】
先ず、図1を参照して、本発明によるガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイの製造方法について詳述する。
【0067】
先ず、脱イオン水の表面に六方最密構造(最密充填の場合)を有するポリスチレン粒子の単層アレイを形成し、次に、ガリウムヒ素基板にポリスチレン粒子単層アレイを転写し、酸素などのプラズマ処理を施して前記ポリスチレン粒子を収縮させ、次に、通常の蒸着方法で金属薄膜を蒸着し、ポリスチレン粒子を除去する。次に、多孔性金属メッシュをアノード(anode)としてバイアスを印加し、エッチング液を用いてガリウムヒ素基板と金属薄膜の接触面をエッチングし、前記ガリウムヒ素基板と金属薄膜の非接触部分であるメッシュ部分にはエッチングが施されず、ガリウムヒ素ナノワイヤーがトップ‐ダウン方式で生成される。
【0068】
以下、図2図6を参照して、図7の金属メッシュを製造する段階について説明する
【0069】
本発明によるガリウムヒ素ナノワイヤーアレイの製造方法によれば、まず、多孔性金属メッシュが準備されなければならない。
【0070】
多孔性金属メッシュを製造するために、図2のように、脱イオン水30にポリスチレンナノ粒子20を単層に分散する。次に、図3のように、ガリウムヒ素基板10を含浸して引き上げることで、前記基板10の表面にポリスチレンナノ粒子単層アレイ20を形成する。すなわち、図2の脱イオン水30の表面に形成されたポリスチレンナノ粒子単層アレイ20から図3のように脱イオン水の表面に最密構造の形態に整列されたポリスチレンナノ粒子単層アレイをガリウムヒ素基板10に転写する。このような転写方式以外に様々な手段を採択することができるが、例えば、スピンコーティング(spin coating)、ナイフコーティングなど、様々な方法を例に挙げてもよく、これに限定されない。
【0071】
次に、図4のようにガリウムヒ素基板の表面に転写されたポリスチレンナノ粒子単層アレイを酸素プラズマ処理によりポリスチレンナノ粒子の直径を減少させなければならない。
【0072】
次に、図5のようにポリスチレンナノ粒子単層アレイ20が整列されたガリウムヒ素基板上に金属を蒸着させる。金属の蒸着方法の例として、熱蒸着(thermal evaporation)、プラズマ蒸着(plasma sputtering)または電子ビーム蒸着(e‐beam evaporation)などが挙げられる。
【0073】
次に、図6のようにトルエンまたはクロロホルムにガリウムヒ素基板を浸漬してポリスチレンナノ粒子単層アレイ20を除去し、多孔性金属メッシュ40を製造する。
【0074】
図7は本発明の一実施例により製造された多孔性金属メッシュ40の走査電子顕微鏡写真である。多孔性金属メッシュの孔50は、ナノメートル(nm)からマイクロメートル(μm)のサイズにポリスチレンナノ粒子のサイズまたは酸素プラズマ処理時間に応じてサイズを調節することができ、孔の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形または正多角形など様々な形状が可能である。
【0075】
次に、ガリウムヒ素基板10の表面に製造された多孔性金属メッシュ40をアノード(anode)として使用して外部から多孔性金属メッシュにバイアスを印加してガリウムヒ素基板をエッチング液で湿式エッチングしてガリウムヒ素半導体ナノワイヤー60を形成する。
【0076】
図8は本発明の一実施例による多孔性金属メッシュ40を用いたガリウムヒ素半導体ナノワイヤー60を製造する方法に対する概略図である。湿式エッチングを行う際に、多孔性金属メッシュ40をアノードとして使用して多孔性金属メッシュ40にバイアスを印加してガリウムヒ素基板10から電子を引き寄せ、多孔性金属メッシュ40の下部のガリウムヒ素基板10を酸化させて金属の下部に酸化膜層を形成し、前記酸化膜層が前記湿式エッチングに使用されるエッチング液によってエッチングされる。このような酸化膜層の形成およびエッチングの循環反応が連続して行われ、前記多孔性金属メッシュ40と接触するガリウムヒ素基板10領域のみが選択的にエッチングによって除去される。エッチング過程において、アノードとして作用する多孔性金属メッシュ40は、前記ガリウムヒ素基板10の表面に残存することになり、下部のガリウムヒ素基板がエッチングされ、エッチングされていないメッシュ部位は、ナノワイヤーにトップ‐ダウン方式で形成され続ける。
【0077】
これにより、前記多孔性金属メッシュ40の貫通孔50の直径は、ガリウムヒ素ナノワイヤー60の短軸直径に転写され、前記金属メッシュ40に形成された貫通孔50の数に応じて前記ガリウムヒ素基板10上に形成されるガリウムヒ素ナノワイヤー60の数が制御され、前記多孔性金属メッシュ40の貫通孔50の配列がガリウムヒ素基板10上に形成されるガリウムヒ素ナノワイヤー60の配列に転写される。また、ガリウムヒ素半導体ナノワイヤー60の長さは、ガリウムヒ素基板10のエッチングされる深さによって調節され、前記ガリウムヒ素基板10のエッチング深さは、湿式エッチングが行われる時間、外部バイアスの印加大きさを調節して容易に調節することができる。
【0078】
前記湿式エッチングに使用されるエッチング液は、フッ酸(HF)、硫酸(HSO)、塩酸(HCl)または硝酸(HNO)などが可能である。また、エッチング液は、脱イオン水に希釈されたエッチング液を含んでもよく、脱イオン水および無水エタノール(COH)の混合液であり得る。
【0079】
図9図11はガリウムヒ素基板10のタイプと結晶配向性に関係なく、基板に対して垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60の写真を示している。
【0080】
詳細には、図9はn‐タイプ100のガリウムヒ素基板10を前記方法で湿式エッチングして形成した垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60の走査電子顕微鏡写真であり、ナノワイヤーが均一に形成されたことを確認することができる。
【0081】
図10はn‐タイプ111のガリウムヒ素基板10を前記方法で湿式エッチングして形成した垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60の走査電子顕微鏡写真である。
【0082】
図11はp‐タイプ100ガリウムヒ素基板10を前記方法で湿式エッチングして形成した垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60の走査電子顕微鏡写真である。
【0083】
また、本発明の一側面によれば、前記方法を用いてガリウムヒ素基板10を湿式エッチングする方法において、多孔性金属メッシュ40に印加されたバイアスの形態を制御することにより、垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60ではなく、様々な形状および結晶方位が制御されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60を製造することができる。図12はn‐タイプ100ガリウムヒ素基板10を前記方法で湿式エッチングする際に多孔性金属メッシュ40により製造されたジグザグ状のガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60の走査電子顕微鏡写真である。
【0084】
さらに、本発明のさらに他の一実施例として前記湿式エッチング方法を用いて多孔性金属メッシュ40にバイアスを印加して垂直整列されたガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを形成した後、基板にバイアスを印加することで多孔性表面を有する垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60を製造することができる。図13は前記方法で製造された多孔性表面を有する垂直整列されたガリウムヒ素半導体ナノワイヤーアレイ60の走査型電子顕微鏡写真である。
【0085】
以下では、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、単に本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されるものに解釈されないと言える。
【0086】
以下、本発明の実施例により具体的に本発明の実現例について説明する。
【実施例1】
【0087】
図9における垂直型ナノワイヤーの形成方法
ガリウムヒ素基板の前処理
iNexus社製のガリウムヒ素Nタイプ100基板、Nタイプ111基板およびPタイプ100基板を、アセトン、エタノールおよび脱イオン水の順に洗浄して乾燥させることで、表面に存在する汚染物質を除去し、酸素プラズマ(酸素:100sccm、プラズマパワー:300W、時間:20分)を用いて表面における濡れ性を向上させる。
【0088】
ポリスチレンナノ粒子単層アレイの作製
Microparticles社製のポリスチレンナノ粒子(平均粒径250nm)をプロパノール(COH)と混合した後、注射器ポンプを用いてビーカーに満たされた脱イオン水の表面に注射して六方最密構造を有するポリスチレンナノ粒子単層アレイを脱イオン水の表面に均一に形成させ、前処理されたガリウムヒ素基板を使用してポリスチレンナノ粒子単層アレイを浸漬した後、ゆっくり引き上げてポリスチレンナノ粒子をガリウムヒ素基板の表面に転写する。
【0089】
金属メッシュの作製
ガリウムヒ素基板に転写された六方最密構造形態に整列されたポリスチレンナノ粒子単層(monolayer)アレイを酸素プラズマ処理(酸素:100sccm、プラズマパワー300W、時間:20分)によりポリスチレンナノ粒子のサイズを減少させ、ナノワイヤーアレイの作製の際に電極で使用されるパラジウム(Pd)を蒸着させた。金属の蒸着は、プラズマ蒸着(plasma sputtering)により行われ得る。金属の蒸着後、ガリウムヒ素基板をトルエンを担持し、超音波処理を施してガリウムヒ素基板の表面に整列されているポリスチレンナノ粒子を完全に除去することで多孔性金属メッシュを製造した。
【0090】
ガリウムヒ素ナノワイヤーアレイの作製
前記方法で得られた金属メッシュの表面に位置したガリウムヒ素基板をフッ酸(HF)に担持し、外部導線を介して金属メッシュに電圧または電流を印加(0.5〜50.0mAまたは0.2〜10.0V)し、垂直整列された大面積のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを形成した。この際に得られるガリウムヒ素ナノワイヤーのアスペクト比(=長さ/直径)は、印加された電圧、電流、エッチング液の濃度およびエッチング時間の調節により制御される。
【実施例2】
【0091】
図10における垂直型ナノワイヤーの形成方法
前記実施例1でn‐タイプ100ガリウムヒ素基板をn‐タイプ111ガリウムヒ素基板に変更した以外は実施例1と同様にした。
【実施例3】
【0092】
図11における垂直型ナノワイヤーの形成方法
前記実施例1でn‐タイプ100ガリウムヒ素基板をp‐タイプ100ガリウムヒ素基板に変更した以外は実施例1と同様にした。
【実施例4】
【0093】
図12における垂直型ナノワイヤーの形成方法
実施例4において、実施例1と同一のn‐タイプ100基板を使用しており、実施例4は、電流の形態をパルス形態に変更した以外は実施例1と同様にした。
【実施例5】
【0094】
図13における垂直型ナノワイヤーの形成方法
実施例5において、前記実施例1と同一の方法で垂直整列されたナノワイヤーを形成しており、実施例5は、電流または電圧が印加される対象が金属メッシュからGaAs基板に変更した以外は実施例1と同様にした。
【0095】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したところ、当業界における通常の知識を有する者にとってこのような具体的技術は、単に好ましい実施様態であって、これによって本発明の範囲が制限されないことは明白である。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項とそれらの等価物によって定義されると言える。
【符号の説明】
【0096】
10 ガリウムヒ素基板
20 ポリスチレンナノ粒子単層アレイ
30 脱イオン水
40 多孔性金属メッシュ
50 多孔性金属メッシュの孔
60 ガリウムヒ素半導体ナノワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13