【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の目的を達成するために、本発明の一側面によれば、(a)ガリウムヒ素基板の表面にパターニングされた金属メッシュを準備する段階と、(b)金属メッシュに外部バイアスを印加してエッチング液でのガリウムヒ素基板を湿式エッチングさせる段階と、を含むガリウムヒ素ナノワイヤーアレイの製造方法が提供される。
【0018】
本発明の一様態によれば、前記(a)段階は、(a1)ガリウムヒ素基板上に有機粒子の単層アレイを形成する段階と、(a2)前記有機粒子単層アレイ上に金属薄膜を蒸着する段階と、(a3)前記有機粒子単層アレイを除去して金属メッシュを製造する段階と、をさらに含んでなることができる。
【0019】
また、本発明の一様態によれば、前記(a1)段階は、先ず、ガリウムヒ素基板を前処理する段階をさらに含んでなることができる。
【0020】
また、本発明の一様態によれば、前記(a2)段階の後に、熱を加えるかまたは酸素雰囲気(空気または酸素またはオゾン雰囲気)でプラズマ処理して有機粒子単層アレイの有機粒子を収縮させることでアレイとアレイとの間隙を拡大し、ナノワイヤーの形成距離を調節してもよい。
【0021】
以下、本発明の様態について具体的に説明すると、以下のとおりである。
【0022】
本発明の一様態は(a)III‐V族化合物半導体基板の表面にパターニングされた金属メッシュを準備する段階と、(b)金属メッシュに外部バイアスを印加してエッチング液でのガリウムヒ素基板を湿式エッチングさせる段階と、を含む。
【0023】
本発明の様態は、前記様態において、(a)段階は、(a1)ガリウムヒ素基板上に有機粒子の単層アレイを形成する段階と、(a2)前記有機粒子単層アレイ上に金属薄膜を蒸着する段階と、(a3)前記有機粒子単層アレイを除去して金属メッシュを製造する段階と、をさらに含む。
【0024】
本発明の様態は、また、前記(a2)段階後に熱を加えるかまたは空気または酸素またはオゾン雰囲気でプラズマ処理して有機粒子単層アレイの有機粒子を収縮させてアレイとアレイとの間隙を拡大する段階をさらに含む。
【0025】
本発明の様態では、前記金属メッシュ孔の形状が、円形、楕円形、正方形、長方形、繊維形および多角形の少なくともいずれか一つの形状である。
【0026】
本発明の様態はまた、前記金属メッシュをアノード(anode)として電圧または電流を印加する。
【0027】
本発明の様態において、金属メッシュは、エッチング液に腐食しない金属、例えば、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)を含む。本発明の前記の金属メッシュは、二つ以上の元素を有する合金であるか、二つ以上の金属を多層に蒸着して使用する。また、前記の金属メッシュは、有機粒子を用いた製造方法の他に、様々なパターニング方法によっても製造することができる。
【0028】
また、本発明は、前記ナノワイヤーの長さが、前記湿式エッチングが行われる時間に応じて制御されるか、または印加されたバイアスの大きさに応じて制御されることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の前記エッチング液が、フッ酸(HF)、塩酸(HCl)または硝酸(HNO
3)を含むものであり得る。
【0030】
また、本発明は、前記湿式エッチング段階において、ナノワイヤーが、基板に対して垂直であるか、またはジグザグの形状を有するように製造する。また、本発明は、前記湿式エッチング段階において、基板にバイアスを印加してナノワイヤーが多孔性表面を有するように誘導する。
【0031】
また、本発明は、前記湿式エッチング段階において、ナノワイヤーの短軸の長さは金属メッシュの孔のサイズの変化に応じて調節される。
【0032】
本発明において、前記III‐V族化合物半導体がガリウムヒ素である。
【0033】
以下、本発明の製造方法の段階について説明する。
【0034】
本発明において、前記(a1)段階の有機粒子単層アレイの形成は、ガリウムヒ素基板の全体に形成することを基本とするが、必要に応じて、ガリウムヒ素基板の一部のみに形成してもよく、また前記有機粒子単層アレイを2層または3層などの複数層にしてガリウムヒ素ナノワイヤーの形状を垂直型ではなく不定形に製造してもよい。このような複数層はまた、全部または必要に応じて一部のみを形成してもよく、互いに混在するように形成してもよい。本発明において、確率的に単層アレイを形成する場合でも一部の欠陥(デフェクト)があり得ることは、当業者にとって自明であるが、最も好ましくは、最密充填された形態の単層にすることが最も好適である。
【0035】
本発明において、ガリウムヒ素基板に前処理を施すことが、汚染物質を除去して形成されるナノワイヤーの均一性のために好ましい。前処理は、有機溶剤およびイオン水を交互に水洗して行うことが好ましい。有機溶剤は、前記ガリウムヒ素基板を損傷しないものであれば、制限されず、例えば、アセトン、ケトン、エタノール、メタノール、エチルエーテル、エチルアセテートまたはテトラヒドロフランなどが例として挙げられるが、これに限定されない。前処理は、渦流で行われてもよく、そのまま水に流すことで行われてもよい。即ち、様々な手段が前処理手段として採択され得る。
【0036】
本発明による前記有機粒子単層アレイをガリウムヒ素基板に形成する方法は、有機粒子を溶媒や水の表面に単層形態に分散させた後、ガリウムヒ素基板に移送して形成する。転写方法は、多様に採択してもよく、例えば、ガリウムヒ素基板を有機粒子が分散された液状媒体に投入した後、基板を液状媒体から徐々に取り出すことで、有機粒子が基板の表面に単層アレイを形成することができる。前記液状媒体は、有機粒子の性質に応じて様々な媒体を採択してもよいことは自明である。例えば、水や前記前処理に使用する有機系溶媒を採択してもよいが、これに限定されない。
【0037】
本発明において、前記有機粒子は、サイズが1nm〜5000μm、好ましくは、10nm〜100μm、さらに好ましくは10nm〜10μmまで多様に調節してもよく、これに限定されない。有機粒子の種類としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、架橋アクリル粒子、エポキシ粒子またはその他のゴム粒子などの様々なものを採択してもよく、これに限定されない。ポリスチレン粒子が比重が低くて水に浮遊し、また商業化したものが多く存在するため、これを採択してもよいが、これに限定されない。
【0038】
また、本発明において、前記有機粒子の形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、繊維形または板状形など、様々な形状を有してもよく、このような形状に応じて本発明で製造されるナノワイヤーも様々な形状を有することができる。これは、有機粒子の形状に応じて金属メッシュの孔の形状が決定され、金属メッシュの形状に応じてナノワイヤーの形状が決定されるためである。
【0039】
一方、本発明では、前記(a2)段階後に熱を加えるかまたは酸素雰囲気(空気または酸素またはオゾン雰囲気)でプラズマ処理して有機粒子単層アレイの有機粒子を収縮させてアレイとアレイとの間隙を拡大することでナノワイヤーの形成距離を調節してもよい。このような段階を有することにより、有機粒子が収縮する現象は、プラズマ処理または熱処理によって架橋されるかまたは膨張した有機粒子の体積が緻密に収縮するためである。熱処理をする場合には、有機粒子が溶融されてはならないため、ガラス転移温度以上、溶融温度未満の温度で熱処理することが好ましい。
【0040】
本発明において、前記(a2)段階で採択される金属薄膜の蒸着段階は、この技術または隣接技術で採択する既存の様々な金属薄膜の形成方法を採択してもよく、ここで、特に方法は限定されない。例えば、ナノワイヤーアレイの作製の際に電極として使用されるパラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、または銀(Ag)を蒸着させることができるが、金属の蒸着は、熱蒸着(thermal evaporation)、プラズマ蒸着(plasma sputtering)または電子ビーム蒸着(e‐baem evaporation)により行われてもよい。
【0041】
次に、本発明の(a3)段階について説明する。本発明の(a3)段階は、金属蒸着後、有機粒子を除去する工程である。前記有機粒子を除去することで、ガリウムヒ素基板上に付着した有機粒子の付着位置がメッシュ状に生成される。有機粒子は、有機粒子を溶媒で溶解させて除去されるか、または有機粒子を非溶媒に入れた後、超音波処理などを行うことにより物理的に除去され得るが、これに限定されない。例として、本発明において、ポリスチレン粒子を採択する場合には、ガリウムヒ素基板をトルエンまたはクロロホルムに入れて、ガリウムヒ素基板に超音波処理を施してガリウムヒ素基板の表面に整列されているポリスチレンナノ粒子を除去することにより、多孔性金属メッシュを製造することができる。
【0042】
前記のように有機粒子を除去すると、金属薄膜が蒸着されたガリウムヒ素基板上に金属薄膜の厚さと前記有機粒子の付着位置の高さ偏差によってメッシュが形成される。
【0043】
本発明の一実施例によれば、前記多孔性金属メッシュの孔の断面は、円形、楕円形、正方形、長方形および正多角形の少なくともいずれか一つの形状であり得る。
【0044】
また、本発明で使用された多孔性金属メッシュの材料は、優れた特性を有する金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)であってもよく、これに限定されない。また、多孔性金属メッシュの材料は、特定のエッチング液に腐食しない金属を含んでもよい。
【0045】
次に、本発明の一つの様態による前記(b)段階について説明する。
【0046】
前記(b)段階は、前記(a)段階により準備した多孔性金属メッシュを用いてガリウムヒ素基板を湿式エッチングしてナノワイヤーを形成することを特徴とすることができる。本発明の一様態によれば、前記(b)段階は、外部バイアスを多孔性金属メッシュに直接印加して、金属メッシュの下部に接触しているガリウムヒ素基板に正孔(h
+)を形成させることにより、エッチング液でガリウムヒ素基板を湿式エッチングしてトップ‐ダウン方式でナノワイヤーが形成されることになる。
【0047】
すなわち、多孔性金属メッシュと接触するガリウムヒ素基板は、エッチングされて低くなり、多孔性金属メッシュと接触していないメッシュ状の部分は、エッチングされず、ナノワイヤーの形態が生成される。
【0048】
本発明では、外部から印加されるパワーは、直流電流、電圧およびこれらのパルス形態を含み得る。
【0049】
この際、得られるガリウムヒ素ナノワイヤーのアスペクト比(=長さ/直径)は、印加された酸化電圧、酸化電流、エッチング液の濃度およびエッチング時間の調節により制御される。
【0050】
本発明の一様態によれば、前記(b)段階に使用されるエッチング液は、フッ酸(HF)、塩酸(HCl)または硝酸(HNO
3)など、ガリウムヒ素をエッチングすることができる如何なる溶液を含んでもよいが、これに限定されない。また、本発明に使用されたガリウムヒ素エッチング液は、脱イオン水に希釈されたエッチング液を含んでもよく、脱イオン水および無水エタノール(C
2H
5OH)の混合液であってもよく、これに限定されない。
【0051】
本発明において、前記金属薄膜に印加するバイアスは、0.5〜50mAの電流(電流密度:2.5〜250mA/cm
2)または0.2〜10Vの電圧内で印加することができる。
【0052】
一方、本発明において、バイアスは、ドーピングされたガリウムヒ素基板に印加されてもよい。外部から加えられる直流電流または電圧でガリウムヒ素基板の電気化学的エッチングを誘導してガリウムヒ素ナノワイヤーを製造する本発明は、所定のドーピング濃度以上で電気的特性を有する場合、それ以上のドーピング濃度とタイプに関係なく、ナノワイヤーを製造できるという利点を有し、一般的に所望する電気的特性を有するガリウムヒ素基板を製造するために別のドーピング工程がなくても、必要なドーピング濃度を有するウェハを直接エッチングするため、更なるドーピング工程が必要ないという利点を有する。
【0053】
一つの結晶方位を有するガリウムヒ素基板で製造されたガリウムヒ素ナノワイヤーのエッチング方向を制御して、一つ以上の結晶方位を有するガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、結晶方位が周期的に交差したジグザグ状のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、且つ多孔性ガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができる。
【0054】
すなわち、金属薄膜に印加する直流電圧または電流の大きさおよびパルス形態を調節することにより、与えられた結晶方位のガリウムヒ素基板で製造されたナノワイヤーのエッチング方向を制御して、一つまたは一つ以上の結晶方位を有するガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができ、結晶方位が周期的に交差したジグザグ状のガリウムヒ素ナノワイヤーアレイを製造することができる。
【0055】
それだけでなく、金属メッシュではなく、ガリウムヒ素基板に直接直流電流または電圧を印加して、多孔性ガリウムヒ素ナノワイヤーアレイもまた製造することができる。