(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
引き戸の上端側が、この引き戸に取り付けられたローラーユニットを介して吊下げ用ガイドレールに横動自在に吊り下げられると共に、引き戸の下端側には、上下方向に互いに嵌脱自在に嵌合して当該引き戸の横動経路を規制する振れ止め用ガイド手段が設けられた引き戸支持装置であって、前記ローラーユニットは、引き戸の裏面に取り付けられ、前記吊下げ用ガイドレールは、前記ローラーユニットのローラーを転動自在に嵌合させることが出来る下側レール部を備えた正面解放の縦断面L字形であって、引き戸を持ち上げて手前に引くことにより前記ローラーユニットのローラーを前記吊下げ用ガイドレールから外すことが可能なものであり、前記ローラーユニットには、吊下げ用ガイドレールの前記下側レール部の下側面に接近する作用位置と、前記下側レール部の下側面から離れた非作用位置とに択一的に切り換え自在な引き戸浮き上がり防止のためのロック部材が設けられている引き戸支持装置において、
前記ロック部材は、前記ローラーユニットの基台部に対して前記作用位置と非作用位置との間で昇降自在に取り付けられ、このロック部材には、前記作用位置まで上昇させたときに前記基台部側の係止部に対して係脱自在な係止片が連設され、この係止片は、前記係止部に係合する姿勢に弾性により保持され、この弾性に抗して前記係止部から離脱させるための操作部が設けられている、引き戸支持装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された吊下げ用ガイドレールは、引き戸裏面上端側のローラーユニットのローラーを吊下げ用ガイドレールの一端側から当該吊下げ用ガイドレール内に嵌合させなければならない断面形状のものであり、先に所定位置に取り付けられている吊下げ用ガイドレールと振れ止め用溝形レールに対して引き戸を後付け出来る構成ではなかった。このような問題点を解消するためには、前記ローラーユニットのローラーを転動自在に嵌合させることが出来る下側レール部を備えた正面解放の縦断面L字形であって、引き戸を持ち上げて手前に引くことにより前記ローラーユニットのローラーを外すことが可能な吊下げ用ガイドレールを使用することになるが、このような吊下げ用ガイドレールによって引き戸を吊り下げたのでは、引き戸の開閉操作時に当該引き戸が浮き上がるような力が作用したときに、引き戸が容易く外れてしまう恐れがあり、実用上問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる引き違い戸装置を提案するものであって、本発明に係る引き違い戸装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、引き戸(第一戸単体(7))の上端側が、この引き戸に取り付けられたローラーユニット(15A,15B)を介して吊下げ用ガイドレール(上側第一ガイドレール(12))に横動自在に吊り下げられると共に、引き戸の下端側には、上下方向に互いに嵌脱自在に嵌合して当該引き戸の横動経路を規制する振れ止め用ガイド手段(13,34)が設けられた引き戸支持装置
であって、前記ローラーユニット(15A,15B)は、引き戸の裏面に取り付けられ、前記吊下げ用ガイドレールは、前記ローラーユニット(15A,15B)のローラー(23a〜23d)を転動自在に嵌合させることが出来る下側レール部(12b)を備えた正面解放の縦断面L字形であって、引き戸を持ち上げて手前に引くことにより前記ローラーユニット(15A,15B)のローラー(23a〜23d)を前記吊下げ用ガイドレールから外すことが可能なものであり、前記ローラーユニット(15A,15B)には、吊下げ用ガイドレールの前記下側レール部(12b)の下側面に接近する作用位置と、前記下側レール部(12b)の下側面から離れた非作用位置とに択一的に切り換え自在な引き戸浮き上がり防止のためのロック部材(28)が設けられ
ている引き戸支持装置において、
前記ロック部材(28)は、前記ローラーユニット(15A,15B)の基台部(22)に対して前記作用位置と非作用位置との間で昇降自在に取り付けられ、このロック部材(28)には、前記作用位置まで上昇させたときに前記基台部(22)側の係止部(31a)に対して係脱自在な係止片(29a)が連設され、この係止片(29a)は、前記係止部(31a)に係合する姿勢に弾性により保持され、この弾性に抗して前記係止部(31a)から離脱させるための操作部(32a)が設けられた構成になっている。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の構成によれば、先に吊下げ用ガイドレールが架設されている状態で引き戸を組み付ける場合は、前記ロック部材を非作用位置に切り換えてある状態の引き戸を少し持ち上げた状態で、ローラーユニットのローラーを吊下げ用ガイドレールの下側レール部の上側に移動させると共に引き戸を下げて、当該ローラーを吊下げ用ガイドレールの下側レール部によって受け止めさせる。下側の振れ止め用ガイド手段は、上下方向に互いに嵌脱自在に嵌合する従来周知に構成、例えば、吊下げ用ガイドレールと平行で下側解放又は上側解放の溝形ガイドレールとこれに嵌合する部材(例えば垂直支軸の周りに回転自在なローラーや、回転しないスライダーなど)とから成る構成であるから、ローラーユニットのローラーを吊下げ用ガイドレールの下側レール部で受けさせる前に上下方向に互いに嵌合させておくことが出来る。このとき、振れ止め用ガイド手段の上下方向の嵌合部には遊び代があるので、この下側の振れ止め用ガイド手段が互いに上下方向に嵌合した状況においても、吊下げ用ガイドレールに対する前記ローラーの嵌合のための引き戸の前後方向の僅かな傾動は、問題なく実行出来る。
【0007】
上記のようにして引き戸を後付けで組み付けた後は、前記ロック部材を非作用位置から作用位置に切り換えておくことにより、引き戸を持ち上げようとしたとき、前記吊下げ用ガイドレールの下側レール部の外側底面に前記ロック部材の上端が当接して、引き戸の持ち上げを阻止することになる。このときの吊下げ用ガイドレールの下側レール部に対する前記ローラーの浮き上がり高さが、当該ローラーを当該下側レール部上から手前に引き出すことが出来ない範囲内にあるように、前記吊下げ用ガイドレールの下側レール部の外側底面と作用位置にあるロック部材の上端との間の間隙を設定しておけば、引き戸が浮き上がって手前に外れるのを確実に防止出来る。勿論、引き戸を取り外す必要が生じたときは、前記ロック部材を作用位置から非作用位置に切り換えるだけで、引き戸を持ち上げて手前に倒し、ローラーユニットのローラーを吊下げ用ガイドレールから手前に外すことが出来るので、この状態で引き戸を上下移動させて、振れ止め用ガイド手段の上下方向の嵌合を解き、引き戸を取り外すことが出来る。
【0008】
更に本発明の構成によれば、
前記ロック部材(28)は、前記ローラーユニット(15A,15B)の基台部(22)に対して前記作用位置と非作用位置との間で昇降自在に取り付けられ、このロック部材(28)には、前記作用位置まで上昇させたときに前記基台部(22)側の係止部(31a)に対して係脱自在な係止片(29a)が連設され、この係止片(29a)は、前記係止部(31a)に係合する姿勢に弾性により保持され、この弾性に抗して前記係止部(31a)から離脱させるための操作部(32a)が設けられた構成になっているので、ロック部材の上端を引き戸側に逃がして非作用位置とする場合と比較して、ロック部材の厚さを十分に大きくして、強度アップを図ることが容易になる。
【0009】
上記構成を実施する場合、前記係止片(29a,29b)は、前記ロック部材(28)の上端側から左右対称に下向きに左右一対連設し、前記係止部(31a,31b)は、前記基台部(22)から連設されて左右一対の前記係止片(29a,29b)の中間高さの外側に隣接するように左右一対設け、左右一対の前記係止片(29a,29b)のそれぞれには、ロック部材(28)を前記作用位置まで上昇させたときに前記左右一対の係止部(31a,31b)の上に係合する係止爪(30a,30b)を形成すると共に、下端に前記操作部(32a,32b)を形成することが出来る。この構成によれば、ロック部材が作用位置から下降して非作用位置に切り換わるのを、左右一対の係止部に左右一対の係止爪を係合させて阻止出来るので、ロック部材を作用位置に確実に保持出来るだけでなく、左右一対の操作部を互いに近づけるように挟むことで、左右一対の係止部と左右一対の係止爪との係合を解くことが出来るので、引き戸を取り外すときのロック解除の操作を容易に行える。
【0010】
勿論、前記ロック部材(28)は、上下方向長さの中間位置を前記ローラーユニットの基台部(22)に引き戸横動方向と平行な支軸(22c)の周りに揺動自在に軸支すると共に、このロック部材(28)を、その上端が吊下げ用ガイドレールの前記下側レール部(12b)の下側面に接近する作用位置と、その上端が前記下側レール部(12b)より引き戸側に離れた非作用位置とで、位置決めする係止手段を設けることも出来る。この場合、前記ロック部材(28)は、基台部(22)から連設された左右一対の軸受け板部(22a,22b)間で前記支軸(22c)により軸支し、前記係止手段は、前記支軸(22c)の上下両側で前記ロック部材(28)の横側面又は前記軸受け板部(22a,22b)の内側面から突設された上下一対の突起(28a,28b)で構成し、前記上下一対の突起(28a,28b)の内の何れか一方が前記軸受け板部(22a,22b)とロック部材(28)との間に入り込むことにより、当該突起(28a,28b)と相手側の側面との間の摩擦により前記ロック部材(28)が前記作用位置と非作用位置に択一的に保持されるように構成することが出来る。この構成によれば、ロック部材を作用位置と非作用位置の何れか一方から他方に切り換えるとき、ロック部材の上端側又は下端側の何れか一方を指先で押すだけで済み、操作が非常に容易に行える。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜
図11において、1は引き違い戸装置であって、収納空間2の正面開口部を開閉する。収納空間2は、床板3上に、左右両垂直側板4a,4b、天板5、収納空間2を左右に2分割する中間仕切り壁板6、及び図示省略の垂直後側板によって形成されている。引き違い戸装置1は、第一戸単体7と第二戸単体8を備えており、これら両戸単体7,8によって収納空間2の正面開口部を開閉するものであって、
図1〜
図3では、両戸単体7,8が直列閉じ位置にあって、収納空間2の正面開口部を全閉した状態を示している。尚、第一戸単体7と第二戸単体8は、
図1〜
図3に示すように両戸単体7,8が直列閉じ位置にあるときに互いに隣接する側辺を内端と称し、反対側の側辺を外端と称することにする。
【0013】
収納空間2の正面開口部には、
図1に示すように、当該正面開口部の全巾にわたって第一戸単体7が横動する第一横動経路9と、
図4及び
図6に示すように、第一横動経路9の外側で前記正面開口部の全巾にわたって第二戸単体8が横動する第二横動経路10が設定されている。第一戸単体7と第二戸単体8の高さは、その下端が床板3より上側に位置すると共に、上端が水平天板5よりも高く位置するように、床板3の上面から天板5の上面までの高さよりも高くなっている。天板5の前側辺の上側には、第二戸単体支持案内用の上側第二ガイドレール11が載置固定され、この上側第二ガイドレール11の前端下側には、天板5の前端面をカバーする高さの第一戸単体支持案内用の上側第一ガイドレール12が一体に連設されている。床板3には、上側第二ガイドレール11の真下位置に上側解放溝形の下側ガイドレール13が、当該ガイドレール13の溝部両側の上端張出し板部が床板3上に載置されるように埋設されている。中間仕切り壁板6の下端寄りの中間高さには、その前側辺から前方に突出するように中間被係合部14が、取付け高さ調整可能に取り付けられている。この中間被係合部14の先端部には、ローラー14aが垂直支軸によって軸支されている。
【0014】
上側第二ガイドレール11は、巾広のリップ付き溝形断面構造のものであり、上側第一ガイドレール12は、上側第二ガイドレール11の水平底板部の前端近傍位置から垂下する垂直板部12aと、この垂直板部12aの下端から直角前方に連設された下側レール部12b、及びこの下側レール部12bの上側前端に突設させた突条レール部12cによって構成されている。
【0015】
図12〜
図14に基づいて第一戸単体7の構造を説明すると、矩形の第一戸単体7の裏面側には、上端左右両角部の近くに位置する左右一対のローラーユニット15A,15B、第一戸単体7の外端側のローラーユニット15Aの真下の下側角部の近くに位置する下側被係合部16、第一戸単体7の内端側のローラーユニット15Bの真上で第一戸単体7の上端と面一に位置する上側カムレール17、この上側カムレール17からローラーユニット15Aの上側まで第一戸単体7の上端と面一に連続する上側レール18、ローラーユニット15Bの真下の下側角部の近くで第一戸単体7の下端と面一に位置する下側カムレール19、この下側カムレール19と下側被係合部16との間で第一戸単体7の下端と面一に連続する下側ガイドレール20、及び第一戸単体7の下端寄りの中間高さでこの第一戸単体7の全巾に近い長さを有する中間ガイドレール21が配設されている。この第一戸単体7の内端部には、その内端側辺から一定巾だけ表面側が、この第一戸単体7の高さの全域にわたって切除されて、表面側に切欠段部7aが形成されている。
【0016】
ローラーユニット15A,15Bは互いに同一構造のもので、
図19A,
図19Bに示すように、基台部22、左右一対の溝付きローラー23a,23bが軸支され且つ両溝付きローラー23a,23bの中間位置で基台部22に支軸24により上下方向にシーソー運動可能に軸支された可動体25、この可動体25の下側で基台部22に上下方向の長孔26と取付けボルト27とにより一定範囲内昇降自在に取り付けられたロック部材28、このロック部材28から連設された左右一対の係止片29a,29b、及びロック部材28を上昇限位置まで上昇させたときに係止片29a,29bの逆止爪30a,30bに係合して、ロック部材28の下降を阻止するように、基台部22から連設された左右一対の係止部31a,31bから構成されている。前記左右一対の係止片29a,29bは、ロック部材28の上端左右両側から倒立L字状に下方に延出するもので、その下端に操作部32a,32bを備え、この両操作部32a,32bを狭めるように、左右一対の係止片29a,29bを弾性に抗して互いに内側へ接近揺動させて、左右一対の係止部31a,31bから逆止爪30a,30bを内側へ離脱させることにより、ロック部材28を下降限位置まで下降させることが出来る。
図19Aが、ロック部材28を下降限位置まで下降させたロック解除状態を示し、
図19Bが、ロック部材28を上昇限位置まで上昇させたロック状態を示している。
【0017】
下側被係合部16は、長孔33aと締結ボルト33bとによって高さ調整自在に第一戸単体7の裏面に取り付けられる、側面視でL字形の軸受部材33と、この軸受部材33の先端下側に垂直支軸により軸支されたローラー34によって構成され、
図14Bに示すように、軸受部材33の取付け高さを上下に変えることにより、ローラー34を、第一戸単体7の下端より上方の退避高さと、第一戸単体7の下端より下方に突出する作用高さとに切り換えることが出来る。上側カムレール17は、その本体35に、自動ロック手段36と、上側開放溝形の湾曲レール溝37を設けたものであり、本体35は、その一部分が第一戸単体7の裏面と上端面との間の角部に埋め込まれる状態で第一戸単体7に取り付けられている。
【0018】
上側レール18は、
図13Aに示すように、上側カムレール17における湾曲レール溝37の開放端側の両側辺の内、第一戸単体7側の側辺と面一に連続する平坦なレール面18aを全長にわたって備えている。下側カムレール19は、
図13Cに示すように、自動ロック手段36を備えていないだけで、その他は上側カムレール17と同一構造のものである。この下側カムレール19が備える湾曲レール溝19aは、上側カムレール17の湾曲レール溝37と上下対称構造のものであって、第一戸単体7の下端面と面一の下側が開放している。下側ガイドレール20は、下側カムレール19の湾曲レール溝19aの開放端に接続し且つ第一戸単体7の下端面と面一の、下側開放の直線レール溝20aを備えたものであって、その第一戸単体7の外端側の端部は、前記下側被係合部16の軸受部材33によって閉じられている。中間ガイドレール21は、下側ガイドレール20と同様に下側開放の直線レール溝21aを備えたもので、その両端は、当該中間ガイドレール21に被さる状態で第一戸単体7に固定されている閉じ部材21b,21cによって閉じられている。
【0019】
第二戸単体8は、
図15〜
図18に示すように、高さが第一戸単体7と同一で矩形のものであって、その裏面には、内端側の上下両端部に埋設された平行リンク軸受け支持用ユニット38,39、外端側の上下両端部に埋設された平行リンク軸受け支持用ユニット40,41、平行リンク軸受け支持用ユニット40に隣接する上端角部に取り付けられた、第二戸単体位置決め手段42の従動部43、及び平行リンク軸受け支持用ユニット40の直下位置と平行リンク軸受け支持用ユニット41の直上位置に取り付けられた、ゴムなどの緩衝材から成形された裁頭円錐形の当接部材44,45が配設されている。この第二戸単体8の内端部には、
図1〜
図3に示す直列閉じ位置に第一第二両戸単体7,8が位置するとき、第一戸単体7の内端表面側の切欠段部7aに重なる薄肉突出板部8aが形成されている。
【0020】
上側の内外両平行リンク軸受け支持用ユニット38,40は、
図16B及び
図16Cに示す上側横動体46の内外両平行リンク47,48の遊端下側に取り付けられた軸受け49,50を支持するものであり、下側の内外両平行リンク軸受け支持用ユニット39,41は、
図17B及び
図17Cに示す下側横動体51の内外両平行リンク52,53の遊端上側に取り付けられた軸受け54,55を支持するものである。上側横動体46は、上側第二ガイドレール11が天板5上に取り付けられる前に、当該上側第二ガイドレール11の一端からこの上側第二ガイドレール11内に横動自在に嵌合されるもので、戸横動方向一対の台車部56a,56bと、両台車部56a,56bを連結一体化する連結部材57、及び各台車部56a,56b上に垂直回転軸58a,58bを介して水平に揺動自在に軸支された前記平行リンク47,48から構成されている。前記内外両平行リンク47,48の内、内端側の平行リンク47には、その基部から短い制御レバー47aが、平行リンク47に対して平面視でL字状に一体に連設され、当該制御レバー47aの遊端下側にはカム従動ローラー47bが垂直支軸によって軸支されている。
【0021】
上側横動体46の軸受け49は、第二戸単体8に取り付けられている前記平行リンク軸受け支持用ユニット38に着脱自在に取り付けられ、軸受け50は、第二戸単体8に取り付けられている前記平行リンク軸受け支持用ユニット40に着脱自在に取り付けられる。上側横動体46の台車部56a,56bには、平行リンク47,48の姿勢保持手段が内装されている。この姿勢保持手段は、平行リンク47,48を退入姿勢と突出姿勢とに択一的に弾性力で保持するものである。
【0022】
下側横動体51は、
図17に示すように、平行リンク52の基部を垂直支軸52aによって軸支するスライダー59、平行リンク53の基部を垂直支軸53aによって軸支するスライダー60、及びこれら両スライダー59,60を連結一体化する連結部材61から構成され、平行リンク52の遊端上側に軸支された軸受け54は、第二戸単体8に取り付けられている前記平行リンク軸受け支持用ユニット39に着脱自在に取り付けられ、平行リンク53の遊端上側に軸支された軸受け55は、第二戸単体8に取り付けられている前記平行リンク軸受け支持用ユニット41に着脱自在に取り付けられる。
【0023】
第二戸単体8の上下両側に上側横動体46と下側横動体51が取り付けられたとき、上側横動体46における戸横動方向一対の平行リンク47,48の両端支点と下側横動体51における戸横動方向一対の平行リンク52,53の両端支点とは、それぞれ常に同一垂直軸心上にあって、下側横動体51における平行リンク52にも、真上の上側横動体46における平行リンク47と同様に、制御レバー52bが一体に連設され、この制御レバー52bの先端上側に軸支されたカム従動ローラー52cも、平行リンク47の制御レバー47aの先端下側に軸支されているカム従動ローラー47bと常に同一垂直軸心上に位置しているように構成されている。
【0024】
第二戸単体位置決め手段42の従動部43は、
図16A及び
図18Aに示すように、第二戸単体8の裏面に取り付けられる本体62に、ガイドローラー63と垂直軸体64を取り付けたものである。この従動部43と共に第二戸単体位置決め手段42を構成するために、
図1に示すように、上側第二ガイドレール11の一端、即ち、第一戸単体7と第二戸単体8とが直列閉じ位置にあるときの第二戸単体8の外端側の端部の上側に制御部65が設けられている。
【0025】
以上のように構成された本発明に係る引き違い戸装置1の組立て方法、使用方法、及び作用について説明すると、先に説明したように、
図16B及び
図16Cに示す第二戸単体8の上側横動体46を、天板5の上に取り付けられる前の上側第二ガイドレール11に一対の台車部56a,56bと連結部材57を嵌合させることによって、当該上側第二ガイドレール11に横動自在にセットし、この後、当該上側第二ガイドレール11及びこれに一体に連設されている上側第一ガイドレール12を天板5の所定位置に取り付ける。一方、
図17B及び
図17Cに示す第二戸単体8の下側横動体51を、床板3に埋設されている下側ガイドレール13にスライダー59,60及び連結部材61を嵌合させることにより、当該下側ガイドレール13に横動自在にセットする。この状態で、第二戸単体8の上端側内外両端の平行リンク軸受け支持用ユニット38,40に、上側横動体46の内外両端の平行リンク47,48の端部下側に吊り下げ状態にある軸受け49,50を嵌合係止させる。又、第二戸単体8の下端側内外両端の平行リンク軸受け支持用ユニット39,41に、下側横動体51の平行リンク52,53の端部上側に支持されている軸受け54,55を嵌合係止させる。
【0026】
上記作業により第二戸単体8は、上側横動体46の内外一対の平行リンク47,48と、下側横動体51の内外一対の平行リンク52,53とによって、垂直姿勢に支持されると共に、上側第二ガイドレール11と下側ガイドレール13とに沿って横動することが出来る。又、平行リンク47,48及び平行リンク52,53の平行水平揺動を伴って、第二戸単体8は、戸横動方向とは直交する前後奥行き方向に平行移動することが出来るが、上側横動体46の台車部56a,56bに内蔵されている姿勢保持手段の作用により、上側横動体46の内外一対の平行リンク47,48は、退入姿勢と突出姿勢との間でのみ水平揺動可能であり且つ退入姿勢と突出姿勢とに択一的に弾性力で保持される。ここで各平行リンク47,48,52,53が退入姿勢で保持されたときは、第二戸単体8が後ろ側の第一横動経路9内に位置し、各平行リンク47,48,52,53が突出姿勢で保持されたときは、第二戸単体8が前側の第二横動経路10内に位置するように構成されている。次に第一戸単体7をセットする作業に入るが、このとき第二戸単体8は、手前に引き出すように操作して前側の第二横動経路10内に位置させておく。
【0027】
第一戸単体7を第一横動経路9内にセットするときは、中間仕切り壁板6に取り付けられている中間被係合部14のローラー14aを、第一戸単体7の中間ガイドレール21より下側に降ろしておく。そして、
図12及び
図19Aに示すように、ローラーユニット15A,15Bのロック部材28を下降限高さまで下降させ、ロック部材28の上端と溝付きローラー23a,23bの下端高さとの間の間隔を広げた状態にすると共に、
図14Cに仮想線で示すように、下側被係合部16の軸受部材33を上昇位置で固定して、そのローラー34を、第一戸単体7の下端より上方の退避高さに上げて締結ボルト33bにより固定した状態で、ローラーユニット15A,15Bの溝付きローラー23a,23bを、上側第一ガイドレール12における突条レール部12cに上から嵌合させる。この後、床板3の上側に入り込んでいる第一戸単体7の下側被係合部16の締結ボルト33bを緩め、ローラー34を
図14に示すように作用高さまで下降させ、
図8に示すように、ローラー34を床板3側の下側ガイドレール13内に遊嵌させた状態で、軸受部材33を締結ボルト33bで固定する。
【0028】
次に、
図8及び
図19Bに示すように、ローラーユニット15A,15Bのロック部材28を上昇限高さまで上昇させる。この結果、左右一対の係止片29a,29bの逆止爪30a,30bが係止部31a,31bの上側に係合し、ロック部材28が上昇限高さで係止され、ロック部材28の上端が上側第一ガイドレール12の下側レール部12bの下側に隣接する状態になる。この結果、ローラーユニット15A,15Bの溝付きローラー23a,23bを、上側第一ガイドレール12の突条レール部12cから浮かせて前に引き出すために、第一戸単体7を持ち上げようとしても、ロック部材28の上端が上側第一ガイドレール12の下側レール部12bの下側に当接して、阻止される。最後に、中間仕切り壁板6の中間被係合部14を上昇固定させて、ローラー14aを、第一戸単体7の中間ガイドレール21の直線レール溝21a内に遊嵌させる。第一戸単体7を取り外すときは、上記作業とは逆の手順で作業を行えば良いが、このときのロック部材28を下降限高さに切り換える操作は、左右一対の係止片29a,29bの下端の操作部32a,32bを指先で挟み付けて、左右一対の係止片29a,29bを弾性に抗して互いに接近する方向に揺動させることにより、逆止爪30a,30bを係止部31a,31bから内側に離脱させ、係る状態で操作部32a,32bを引き下げてロック部材28を下降限高さまで下げれば良い。
【0029】
尚、ローラーユニット15A,15Bの取付けボルト27は、これを締め付けてロック部材28を上昇限位置と下降限位置とで完全に固定出来るようにしても良い。上記のようにして第一横動経路9内にセットされた第一戸単体7は、戸横動方向一対のローラーユニット15A,15Bを介して上側第一ガイドレール12に水平に横動可能に吊り下げられると共に、その垂直姿勢が、下側ガイドレール13に対する下側被係合部16のローラー34の遊嵌と、中間仕切り壁板6の中間被係合部14におけるローラー14aに対する中間ガイドレール21の遊嵌とによって保持された状態で、第一横動経路9内を円滑に横動することが出来る。
【0030】
尚、上記の第一戸単体7のセッティングは、上記のように第二横動経路10内に位置させた第二戸単体8の内端(薄肉突出板部8aのある端部)側より、第一戸単体7の内端(凹入段部7aのある端部)が第二戸単体8の内側に入り込む位置で行う。従って、第二横動経路10内に位置する第二戸単体8の内端側の突出姿勢にある上下一対の平行リンク47,52から連設されている制御レバー47a,52bのカム従動ローラー47b,52cは、第一横動経路9内に位置する第一戸単体7の裏面より若干奥側に離れた位置にあるので、第二戸単体8の上側の制御レバー47aのカム従動ローラー47bに、第一戸単体7の上側レール18のレール面18aが隣接すると共に、第二戸単体8の下側の制御レバー52bのカム従動ローラー52cに、第一戸単体7の下側ガイドレール20の直線レール溝20aが上から嵌合するように、第一戸単体7を第一横動経路9内に配置する。
【0031】
以上のように第一戸単体7と第二戸単体8をセッティングすれば、
図1〜
図3に示すように、第一戸単体7の内端部が中間仕切り壁板6の前側に位置するように、第一横動経路9の一端側へ第一戸単体7を横動させ、この第一戸単体7が垂直側板4aと中間仕切り壁板6との間の収納空間2の半分の領域を閉じる閉じ位置に移動させる。この状態では、ローラーユニット15A,15Bによって上側第一ガイドレール12に吊り下げられている第一戸単体7は、
図2に示すように、中間仕切り壁板6側の中間被係合部14のローラー14aが、第一戸単体7に取り付けられている中間ガイドレール21の内端側端部に嵌合しており、第一戸単体7の下端側では、
図3に示すように、外端側の下側被係合部16のローラー34が床板3側の下側ガイドレール13の端部に嵌合しているので、第一戸単体7の垂直姿勢は確実に保持されている。
【0032】
次に、内端側が第一戸単体7の外側に被さる状態で第二横動経路10に位置している第二戸単体8を、その内端部が中間仕切り壁板6の前側に位置するように、第一戸単体7とは逆方向に第二横動経路10内で横動させると、上側横動体46の制御レバー47aのカム従動ローラー47bが第一戸単体7の上側レール18におけるレール面18a上を転動すると共に、下側横動体51の制御レバー52bのカム従動ローラー52cが第一戸単体7の下側ガイドレール20における直線レール溝20a内を移動することにより、第二戸単体8の姿勢を保持している各平行リンク47,48,52,53が突出姿勢から退入姿勢に変化することが出来ないので、第二戸単体8は、第一戸単体7の外側の第二横動経路10内を直線的に横動することになる。この第二戸単体8が、
図1〜
図3に示す閉じ位置、即ち、垂直側板4bと中間仕切り壁板6との間の収納空間2の半分の領域を閉じる閉じ位置に接近したとき、上側横動体46の制御レバー47aのカム従動ローラー47bが、第一戸単体7の上側レール18におけるレール面18a上から上側カムレール17における湾曲レール溝37内に進入すると共に、下側横動体51の制御レバー52bのカム従動ローラー52cが、第一戸単体7の下側ガイドレール20における直線レール溝20a内から下側カムレール19の湾曲レール溝19a内に進入する。
【0033】
上記作用により、閉じ位置に向かって第二横動経路10内を横動する第二戸単体8は、上側カムレール17及び下側カムレール19の湾曲レール溝37,19a内に制御レバー47a,52bのカム従動ローラー47b,52cが進入するのに伴って、上側横動体46の平行リンク47,48と下側横動体51の平行リンク52,53が、それぞれ突出姿勢から退入姿勢に向かって揺動し、第二戸単体8が第二横動経路10内から第一横動経路9内へ平行に移動することになる。そして
図1及び
図3に示すように、湾曲レール溝37,19aの終端にカム従動ローラー47b,52cが到達したとき、第二戸単体8は、第一横動経路9内の閉じ位置に位置している第一戸単体7と直列する状態の、第一横動経路9内の閉じ位置に達することになる。このとき図示のように、第二戸単体8の内端の薄肉突出板部8aが第一戸単体7の内端の凹入段部7a上に重なり、両戸単体7,8の表面は面一の状態になる。この第一横動経路9内へ平行に移動して第一戸単体7と直列する閉じ位置に変化した第二戸単体8は、その上側横動体46の平行リンク47,48が、台車部56a,56bに内蔵されている姿勢保持手段の作用により退入姿勢に保持される結果、
図1〜
図3に示す直列閉じ位置に確実に保持される。
【0034】
上記のように第一戸単体7と第二戸単体8が第一横動経路9内で直列閉じ位置になって、収納空間2の開口部が全閉されたとき、第二戸単体8の上側横動体46における内端側の制御レバー47aのカム従動ローラー47bが、第一戸単体7の内端の上側カムレール17における湾曲レール溝37の終端の自動ロック手段36内に入り込み、当該自動ロック手段36をロック解除状態に切り換えるので、閉じ位置にある第一戸単体7を第二戸単体8のある側へ移動させることが出来る状態にある。一方、第二戸単体8が、第一横動経路9内で第一戸単体7と直列する閉じ位置に達することにより、第二戸単体位置決め手段42の第二戸単体8側の従動部43におけるガイドローラー63と垂直軸体64が、上側第二ガイドレール11側の制御部65内に入り込み、ガイドローラー63によって第二戸単体8が定位置で制止させられる。
【0035】
上記のように第一戸単体7と第二戸単体8が第一横動経路9内で直列して、収納空間2の開口部を全閉している状態から、第二戸単体8を第一戸単体7の方へ開動させると、第二戸単体8の上側横動体46における制御レバー47aのカム従動ローラー47bが、閉じ位置にある第一戸単体7の上側カムレール17における自動ロック手段36内から湾曲レール溝37内へ移行するのに伴って、制御レバー47aを介して平行リンク47,48が突出姿勢から退入姿勢に向かって揺動し始める。同時に、第二戸単体8の下側横動体51における制御レバー52bのカム従動ローラー52cも、閉じ位置にある第一戸単体7の下側カムレール19における湾曲レール溝19a内を移動するのに伴って、制御レバー52bを介して平行リンク52,53も突出姿勢から退入姿勢に向かって揺動し始める。このときの上側横動体46の平行リンク47,48と下側横動体51の平行リンク52,53の突出姿勢への揺動運動は、互いに同期している。この結果、上側横動体46の平行リンク47,48と下側横動体51の平行リンク52,53は、互いに同期して退入姿勢から突出姿勢に変化しながら、上側第二ガイドレール11と下側ガイドレール13に沿って横動することになり、第二戸単体8は、その内端の薄肉突出板部8aが第一戸単体7の内端の凹入段部7aから斜め前方に浮き上がるように、第一横動経路9内から第二横動経路10内へ斜め前方に平行移動することになる。
【0036】
第二戸単体8が第一横動経路9内から第二横動経路10内へ斜め前方に平行移動しながら開動することにより、第二戸単体8が第二横動経路10内に到達することになるが、第二戸単体8側の制御レバー47aのカム従動ローラー47bが、第一戸単体7側の自動ロック手段36から離れて自動ロック手段36がロック作用状態に切り換わる。この結果、閉じ位置にある第一戸単体7を、第二戸単体8が第二横動経路10内に移動したことによって空き状態になった第一横動経路9に向かって開動させようとしても、自動ロック手段36が第一戸単体7の開動を阻止する。
【0037】
上記の第二戸単体8の斜め前方への平行移動を伴う開動によって、第二戸単体位置決め手段42の第二戸単体8側の従動部43のガイドローラー63と垂直軸体64が、上側第二ガイドレール11側の制御部65内から退出してゆき、第二戸単体8の開動を妨害しない。
図4及び
図5に示すように、第二戸単体8が第二横動経路10内を横動して、閉じ位置にある第一戸単体7の外側に重なる開動限位置に達することで、第二戸単体8で閉じられていた収納空間2の半分の領域、即ち、垂直側板4bと中間仕切り壁板6との間の領域が開放された、第二戸単体8の開き状態となる。
【0038】
先に説明したように、第二戸単体8が閉じ位置から開動し始めた以降は、閉じ位置にある第一戸単体7が閉じ位置から開動することは、第一戸単体7側の自動ロック手段36が阻止しているので、
図4及び
図5に示すように、閉じ位置にある第一戸単体7とその外側の開動限位置にある第二戸単体8とを一体に、第二戸単体8を閉動させる方向へ横動させることは出来ない。従って、
図4及び
図5に示す状態からは、開動限位置にある第二戸単体8のみを閉動させることが出来る。このときの動作は、閉じ位置にあった第二戸単体8を開動させたときと全く逆の動作となり、第二戸単体8は、第二横動経路10内を横動した後に、第一戸単体7の上下両カムレール17,19と、これらにカム従動ローラー47b,52cが嵌入する第二戸単体8側の上下両制御レバー47a,52bとによって、第二横動経路10内から第一横動経路9内に斜めに平行移動しながら進入して閉じ位置に復帰し、
図1〜
図3に示すように、第一戸単体7と第二戸単体8とが直列する全閉状態になる。
【0039】
図1〜
図3に示す全閉状態から、上記とは逆に第一戸単体7で閉じられていた収納空間2の半分の領域、即ち、垂直側板4aと中間仕切り壁板6との間の領域を開く場合、閉じ位置にある第一戸単体7を第二戸単体8のある側へ開動させることになるが、このときには第一戸単体7側の自動ロック手段36がロック解除状態にあるので、閉じ位置にある第一戸単体7を問題なく開動させることが出来る。このときの第一戸単体7の開動動作は、先に説明した第二戸単体8を開動させるときと相対的には同じであるから、第一戸単体7側の上下両カムレール17,19の湾曲レール溝37,19aが第二戸単体8の内端側の上下両制御レバー47a,52bのカム従動ローラー47b,52cを介して、平行リンク47,48、52,53を退入姿勢から突出姿勢に揺動させながら、第一戸単体7が開動することになる。従って、第一戸単体7が開動するのに伴って第二戸単体8が閉じ位置から外側へ平行移動して、内側への第一戸単体7の横動を許すことになる。
【0040】
上記の動作時における第二戸単体8は、第二戸単体位置決め手段42の働きにより、第一戸単体7の開動方向に押圧力を受けながら平行リンク47,48,52,53によって前側の第二横動経路10内へ直角前方に平行移動することになり、同時に第二戸単体8側の従動部43における垂直軸体64が、上側第二ガイドレール11側の制御部65内に向かって直線的に進入することになり、第二戸単体8を開動させたときのように制御部65内から斜め前方に脱出することはない。上記のようにして、第一戸単体7の開動開始に伴って第二戸単体8が第一横動経路9内から第二横動経路10内へ直線的に平行移動し、この第二戸単体8の内側へ第一戸単体7が進入移動して、最終的に
図6及び
図7に示すように、第二横動経路10内の第二戸単体8の外端側上下一対の当接部材44,45が第一戸単体7の内端の凹入段部7a内に嵌合して、第一戸単体7の開動を制止させる。
【0041】
以上の動作により、
図6及び
図7に示すように、全閉状態における第二戸単体8の閉じ位置の跡に第一戸単体7が進入すると共に、この第一戸単体7の外側に第二戸単体8が重なった、第一戸単体7の開き状態に切り換わり、収納空間2の垂直側板4b中間仕切り壁板6との間の半分の領域が開かれることになる。この
図6及び
図7に示す第一戸単体7の開き状態では、第二戸単体位置決め手段42の第二戸単体8側の従動部43における垂直軸体64が、上側第二ガイドレール11側の制御部65内に入り込んでいるので、外側の第二戸単体8を反対側へ横動させることは出来ない。従って、第一戸単体7を引き出して元の閉じ位置まで横動させることにより、元の全閉状態に戻すことになる。このときの動作は、全閉状態から第一戸単体7を開動させて第一戸単体7の開き状態にするときの動作と逆になるだけであって、第一戸単体7が閉じ位置に達する直前から第二戸単体8が第二横動経路10内から第一横動経路9内へ直線的に平行移動して、第一戸単体7と第二戸単体8が第一横動経路9内で直列する状態に切り換わる。
【0042】
第一戸単体7の吊下げ構造は、次のように実施することも出来る。即ち、
図20A〜
図21Bに示すように、上側第一ガイドレール12の下側レール部12bの上側には、レール長さ方向に連続する凹入面12dを形成し、ローラーユニット15A,15Bのローラーとしては、前記凹入面12dに周辺部が転動自在に嵌合する突曲周面付きローラー23c,23dを使用することが出来る。又、ローラーユニット15A,15Bのロック部材28は、その上下長さ方向の中央部を、基台部22から一体に突設された左右一対の軸受け板部22a,22b間に水平支軸22cによりシーソー運動自在に軸支し、このロック部材28の左右両側面には、前記水平支軸22cに対し上下対称位置で係止用突起28a,28bを一体に突設させる。尚、24aは、可動体25が支軸24から脱落するのを防止する取付け用ボルトである。又、係止用突起28a,28bは、ロック部材28の側面に隣接する軸受け板部22a,22bの内側面に突設することも出来る。
【0043】
上記構成のローラーユニット15A,15Bによれば、
図20A及び
図21Bの仮想線で示すように、ロック部材28の下端部を基台部22側へ押圧することにより、下側左右一対の係止用突起28bが左右一対の軸受け板部22a,22b間に入り込んで当該軸受け板部22a,22bの内側面に圧接すると共に、上側左右一対の係止用突起28aが左右一対の軸受け板部22a,22bの外側に離脱して、ロック部材28は、その上端が上側第一ガイドレール12の下側レール部12bの下側面に隣接する作用位置に保持される。反対にロック部材28の上端部を基台部22側へ押圧することにより、
図21Bに実線で示すように、上側左右一対の係止用突起28aが左右一対の軸受け板部22a,22b間に入り込んで当該軸受け板部22a,22bの内側面に圧接すると共に、下側左右一対の係止用突起28bが左右一対の軸受け板部22a,22bの外側に離脱して、ロック部材28は、その上端が上側第一ガイドレール12の下側レール部12bから第一戸単体7の側に離れた非作用位置に保持される。
【0044】
尚、上記実施例では、本発明における引き戸の支持装置を、第一戸単体7と第二戸単体8とから成る引き違い戸装置における第一戸単体7の支持装置として利用したものであり、第二戸単体8に関する各部の構造や作用、その他は本発明に無関係である。即ち、本発明に係る引き戸の支持装置は、両開きの引き戸装置における各引き戸や、1枚の引き戸が使用される場合の当該引き戸の支持装置として活用出来る。
【解決手段】引き戸(7)の上端側に吊下げ用のローラーユニット(15A)が取り付けられ、吊下げ用ガイドレール(12)は、ローラーユニット(15A)のローラー(23b)を転動自在に嵌合させることが出来る下側レール部(12b)を備えた正面解放の縦断面L字形であって、引き戸を持ち上げて手前に引くことによりローラーユニット(15A)のローラー(23b)を吊下げ用ガイドレール(12)から外すことが可能なものであり、ローラーユニット(15A)には、吊下げ用ガイドレール(12)の下側レール部(12b)の下側面に接近する作用位置と、下側レール部(12b)の下側面から離れた非作用位置とに択一的に切り換え自在な引き戸浮き上がり防止のためのロック部材(28)が設けられた構成。