【文献】
SPIRODOC,AUDIOMETRY & SPIROMETRY,イタリア,GIMAITALY,2012年 9月13日,Page.174
【文献】
Spirodoc,Spirodoc,MIR Medical International Research,2011年 3月,http://www.spirometry.com/Download/Manuals/new_download_manual.asp?Device=Spirodoc&doc=brochures&txtFile=Spirodoc_ESP_201103.pdf&id=256
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<全体構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る歩行試験システムの全体構成を示す概略図である。歩行試験システム1は、パルスオキシメータ100と、タブレット端末200とから構成されている。パルスオキシメータ100とタブレット端末200は、互いに無線通信可能な機能を有する。本実施の形態の場合には、パルスオキシメータ100とタブレット端末200はBluetooth(登録商標)規格に準拠した近距離通信が可能とされている。パルスオキシメータ100は、測定データを無線によりタブレット端末200に送信する。タブレット端末200は、パルスオキシメータ100から受信した測定データを収集して測定結果を表示するとともに、歩行試験レポートを作成する。
【0018】
パルスオキシメータ100は、本体部110と、プローブ部120とを有する。本体部110とプローブ部120とはケーブル130を介して接続されている。本体部110は図示しないベルトを用いて被検者の手首付近に装着可能とされており、プローブ部120は被検者の指に装着可能とされている。
【0019】
図2は、パルスオキシメータ100の要部構成を示すブロック図である。パルスオキシメータ100のプローブ部120には、発光部121及び受光部122が設けられている。発光部121は、動脈血酸素飽和度の変化に対する感度が高い赤色光(例えば、波長660[nm])で発光する第1の発光ダイオードと、動脈血酸素飽和度による影響が少ない赤外光(例えば、波長940[nm])で発光する第2の発光ダイオードと、から構成されている。受光部122は、フォトダイオードにより構成されており、指を透過した発光部121の光を検出する。なお、受光部122を、指からの光の透過経路ではなく、指からの光の反射経路に配置し、受光部122によって指からの反射光を検出するようにしてもよい。
【0020】
本体部110は、プローブ部120によって得られた検出光に基づいて、被検者のSpO
2及び脈拍を求める。具体的に説明する。発光回路111は、発光部121の第1の発光ダイオード及び第2の発光ダイオードを所定の間隔で交互に発光させる。そのときの指からの透過光又は反射光が受光部122によって検出され、光電変換されて受光回路112に入力される。受光回路112は、プローブ部120の受光部122から入力された電流信号を電圧信号に変換する。また、受光回路112は、変換した電圧信号を、上述した赤色光及び赤外光の波長に対応する各成分に分離して2つの観測信号を復調する。また、受光回路112は、復調した観測信号に対して増幅やアナログディジタル変換などの処理を施し、処理後の観測信号をCPU113に出力する。
【0021】
CPU113は、所定のプログラムを実行することで、観測信号からSpO
2及び脈拍を算出する。この算出方法については、例えば特許文献1にも記載されているように既知の技術なので、ここでの説明は省略する。また、CPU113は、パルスオキシメータ100の各部の制御を行う。具体的には、CPU113は、操作部117から入力される操作信号に基づいて、各種の設定を行う。また、CPU113は、発光回路111の動作制御、表示部115の表示制御、通信部116の通信制御などを行う。
【0022】
かかる構成に加えて、パルスオキシメータ100の本体部110には、加速度センサ118が設けられている。CPU113は、加速度センサ118の出力に基づいて、被検者の歩数を算出する。
【0023】
パルスオキシメータ100は、測定したSpO
2、脈拍及び歩数を、通信部116によってタブレット端末200にリアルタイムで送信する。
【0024】
タブレット端末200は、タッチパネル付き液晶表示器からなる表示部210を有すると共に、パルスオキシメータから送信された測定データを受信する無線通信機能を有する。
【0025】
<測定結果の表示、及び、歩行試験レポートの作成>
次に、本実施の形態の歩行試験システムによる測定結果の表示及び歩行試験レポートの作成について説明する。
【0026】
本実施の形態の場合、歩行試験の測定結果の表示及び歩行試験レポートの作成は、タブレット端末200によって行われる。つまり、タブレット端末200は、歩行試験を行うためのアプリケーションソフトウェアに従って、パルスオキシステムメータ100からの測定データの受信、表示部210への測定結果の表示及びレポートの作成を行うようになっている。
【0027】
図3は、タブレット端末200の表示部210に表示される時間内歩行試験のメニュー画面を示す。このメニュー画面は、タブレット端末200のアプリケーション起動時に表示される。
図3の例の場合、メニューとして、「入力」、「測定」、「結果」、「設定」の項目が表示され、ユーザ(検査員)によってタップされた項目の処理が実行される。
【0028】
ユーザが「入力」の項目をタップすると、
図4に示すような入力画面が表示される。
図4の入力画面を用いて被検者情報の入力を行うことができる。被検者情報の入力は、
図4の画面表示時にタブレット端末200がパルスオキシメータ100と通信し、パルスオキシメータ100の記憶部114に保持されている被検者情報(被検者ID、氏名、生年月日、性別、身長、体重)及び設定情報(試験を行う歩行時間、リカバリー(回復)時間、歩行検出レベル(つまり加速度センサの出力から歩数を求めるときの感度))を取得することで行われる。タブレット端末200は、身長及び体重よりBMIを計算する。このように、タブレット端末200が被検者情報及び設定情報をパルスオキシメータ100から取得するようにしたことにより、タブレット端末200から手入力でこれらの情報を入力する場合と比較して、タブレット端末200とパルスオキシメータ100との間での、被検者情報及び設定情報を確実に一致させることができ、入力ミスなどによる不一致を回避できるようになる。但し、被検者情報及び設定情報は、タブレット端末200から直接入力することもできる。また、タブレット端末200は、外部サーバ(図示せず)と通信することにより、外部サーバのデータベースに格納された被検者一覧情報を取得し、この被検者一覧情報の中から、ユーザによって入力された被検者IDに基づいて被検者情報を選択することもできる。また、タブレット端末200は、
図4の入力画面において、「登録」の項目がタップされると、現在表示されている被検者情報及び設定情報を登録する。「メニューに戻る」の項目がタップされると、
図3のメニュー画面に移行する。「OK」の項目がタップされると、
図5の測定準備画面に移行する。但し、設定で準備画面がOFFに設定されている場合には、
図6の安静時画面に移行する。
【0029】
図5の準備画面が表示されているとき(測定準備ステージ)において、タブレット端末200は、被検者の歩幅や歩行速度などを計算して設定する。また、タブレット端末200は、ユーザが歩行試験に用いられている装置の状態を確認するための波形(歩数波形11、脈拍波形12)を表示する。具体的に説明する。タブレット端末200は、パルスオキシメータ100から受信した測定データに基づいて、SpO
2、脈拍(PR)、歩数の数値を表示する。また、タブレット端末200は、「テスト歩行」の項目がタップされると、歩数(図の例では22歩)と歩行時間(図の例では8秒)を表示し、さらにこれらに基づいて歩幅(図の例では45cm)と歩行速度(図の例では1.25m/s)を算出して表示すると共に、この歩幅及び歩行速度を記憶する。さらに、タブレット端末200は、歩数波形11及び脈拍を示す光電脈波波形12を表示する。歩数波形11は、歩数がカウントされた位置が山形で示された波形である。脈拍を示す光電脈波波形12は、パルスオキシメータ100により測定された光電脈波波形である。歩数波形11を表示したことにより、ユーザは、歩数波形11に基づいて、歩行検出レベル(感度)の設定が適切であるか否かや、パルスオキシメータ100とタブレット端末200との間の通信が途切れていないか、などを確認できるようになる。つまり、歩行波形11に出現する山の間隔が例えば極端に大きかったり、小さかったり、そもそも山が出現しなかったりした場合には、歩行検出レベルの設定が適切ではないことが原因と考えられるので、ユーザはこれを見て歩行検出レベルを適切に設定し直すことができる。また、脈拍を示す光電脈波波形12を表示したことにより、ユーザは、光電脈波波形12に基づいて、パルスオキシメータ100のプローブ部120が被検者に正しく装着されているか否かや、パルスオキシメータ100とタブレット端末200との間の通信が途切れていないか、などを確認できるようになる。また、
図5の準備画面では、「試験前の薬物治療」の時間や「試験中の酸素吸入」の有無を入力できる。なお、治療時刻や薬物の種類などを入力できるようにしてもよい。また、「テスト時間」の変更もできる。「メニューに戻る」の項目がタップされると、
図3のメニュー画面に戻る。「OK」の項目がタップされると、
図6の安静時画面に移行する。
【0030】
図6の安静時画面が表示されているとき(安静時ステージ)において、タブレット端末200は、歩行試験前の安静時のデータを収集して表示する。具体的には、タブレット端末200は、パルスオキシメータ100から受信した測定データに基づいて、SpO
2、脈拍、歩数の数値を表示する。実際上、安静時において被検者は歩行していないので歩数は「0」である。また、タブレット端末200は、SpO
2、脈拍、歩数を、横軸が時間であり縦軸が度数である同一グラフ上に表示する。このグラフにおける現時点に対応する位置には、マーク(図における三角マーク)が表示される。また、脈拍(PR)の光電脈波波形24も表示される。また、安静時画面においては、ユーザが血圧を入力できるようになっている。血圧は、複数回入力可能とされ、最後に入力された血圧が表示される。なお、血圧は、ユーザによる手動入力の他に、血圧計のデータを無線により受信することで入力してもよい。また、安静時画面では、「テスト時間」の変更もできる。「スタート」の項目がタップされると、
図7のテスト中画面に移行し、検査が開始される。また、「準備」の項目がタップされると、
図5の準備画面に戻る。「メニューに戻る」の項目がタップされると、
図3のメニュー画面に戻る。
【0031】
また、安静時画面には、ボルグスケール画像13が表示され、ユーザは表示されたボルグスケール画像13の中からいずれかのボルグスケールをタップすることで、ボルグスケールを入力できるようになっている。因みに、本実施の形態では、ボルグスケールを用いているが、勿論、修正ボルグスケールを用いてもよい。タブレット端末200は、ボルグスケールと修正ボルグスケールのどちらを用いるかを設定により切り換え可能になっている。また、「ボルグスケール」の項目をタップすると、
図9に示すボルグスケール選択画面に移行する。つまり、ボルグスケールは、
図6の画面からも入力できるが、
図9のようなボルグスケールを入力するための専用画面からも入力できるようになっている。
図9のボルグスケール選択画面は、ボルグスケールの説明も表示されているので、歩行試験に不慣れな検査員及び被検者であっても、容易にボルグスケールを選択できるようになる。
【0032】
図7のテスト中画面が表示されているとき(歩行中ステージ)において、タブレット端末200は、パルスオキシメータ100から歩行試験中の測定データをリアルタイムで受信して表示する。具体的には、タブレット端末200は、パルスオキシメータ100から受信した測定データに基づいて、SpO
2、脈拍、歩数の数値をリアルタイムで表示する。また、タブレット端末200は、SpO
2、脈拍、歩数を、横軸が時間であり縦軸が度数である同一グラフに表示する。具体的には、同一グラフ上には、SpO
2のトレンドグラフ21と、脈拍のトレンドグラフ22と、歩数のバーグラフ23と、が表示される。このグラフにおける現時点に対応する位置には、マーク(図における三角マーク)が表示される。また、脈拍(PR)の光電脈波波形24も表示される。また、「テスト時間」の変更もできる。また、「中断」又は「休憩」の項目がタップされると、歩行試験を中断又は休憩できるようになっている。また、「検査中止」の項目がタップされると検査を終了する。中断、休憩、中止の確認メッセージを表示及び又は音声出力した後に、検査を中断、休憩、終了させてもよい。また、テスト中画面には、ボルグスケール画像13が表示され、上述したように、ボルグスケール画像13又は
図9の専用画面を用いてボルグスケールを入力可能となっている。タブレット端末200は、
図7のテスト中画像を表示してから所定の歩行試験時間(例えば1分おき)で自動的にボルグスケール入力画面(
図9)を表示することで、ボルグスケールの入力を一定時間間隔で促してもよい。また、一定間隔でボルグスケールの入力を促すメッセージを表示してもよい。
【0033】
図8のリカバリー画面が表示されているとき(リカバリーステージ)において、タブレット端末200は、パルスオキシメータ100から被検者のリカバリー中の測定データを受信して表示する。リカバリーステージとは、被検者が歩行を終了している状態である。リカバリー画面では、テスト中画面とほぼ同様の画像が表示される。ボルグスケールの入力も可能とされている。タブレット端末200は、「終了」の項目がタップされると、又は、所定のリカバリー時間が経過すると、画面を
図11又は
図12の測定結果画面に自動的に切り換える。
【0034】
因みに、
図4の入力画面や、
図6の安静時画面、
図7のテスト中画面、
図8のリカバリー画面が表示されているときに、タブレット端末200のカメラのシャッタボタン(図示せず)を操作すると、タブレット端末200は
図10に示した画像入力画面を表示し、被検者画像を撮影可能な状態とされる。撮影された被検者の画像は、被検者IDに紐付けされて記録される。
【0035】
図11及び
図12に示すように測定結果画面は、2画面(2ページ)に亘っている。
図11の画面と
図12の画面との間での画面切り換えは、ユーザによるフリック又はドラッグによって行うことができるようになっている。
【0036】
図11は、測定結果画面のうち、測定履歴表示画面を示す図であり、歩行開始前(安静時)、歩行中、歩行終了後(リカバリー中)の測定結果の履歴がグラフ表示される。また、代表値が数値で表示される。実際には、同一ブラフ上に、SpO
2のトレンドグラフ21、脈拍のトレンドグラフ22、歩数の履歴を示すバーグラフ23と、ボルグスケールの履歴(図中の丸付き数字)と、が表示される。
図11の場合の歩数のバーグラフ23は、30秒毎に区切った累積歩数を示す。つまり、今回の30秒期間での歩数が0の場合には、今回の30秒期間のバーグラフは、前の30秒の期間のバーグラフと同じ高さで表示される。本実施の形態の場合には、歩数を示すバーグラフ23に加えて、歩行期間であるか無歩行期間であるかを示すマークが表示される。実施の形態の場合には、時間軸に沿った帯状のマークが表示される。
図11の例では、2分30秒から3分の期間にはマークが表示されていないので、この期間が無歩行期間であったことが分かる。このように、SpO
2及び脈拍のトレンドグラフと共に、歩数の履歴を示すグラフを表示したことにより、SpO
2及び脈拍の変化と、歩行との関係をひと目で認識できるようになる。さらに、同一グラフ上に、ボルグスケールの履歴も表示されるので、SpO
2及び脈拍の変化と、被検者の息苦しさとの関係をひと目で認識できるようになる。
【0037】
また、
図11の測定結果画面において、タブレット端末200は、予測歩行距離(図中の242.1m)、実測歩行距離(図中ではブランクとなっており、検査員によって入力される)、理想予測歩行距離(図中の250m)、割合、が表示される。予測歩行距離は、テスト中にカウントされた実歩数(図中の539歩)と、事前のテスト歩行により求められた歩幅(図中の45cm)とを乗算することにより求めたものである。実測歩行距離は、検査員が実際に測定し検査員により入力される歩行距離である。理想予測歩行距離(図中の予測値)は、テスト歩行により求められた歩行速度とテスト時間とを乗算することにより求めたものである。割合は、理想予測歩行距離(図中の250m)を予測歩行距離(図中の242.1m)で割った値である。割合の値は、被検者がテスト中に歩行を止めた期間がなければほぼ100%となり、歩行を止めた期間が大きいほど100%を超えて大きくなる。この割合は、呼吸リハビリテーションの効果確認の指標の一つとすることができる。
【0038】
さらに、
図11の測定結果画面においては、酸素濃縮器の酸素流量の履歴を示す酸素流量画像25が表示される。これは、被検者が酸素濃縮器を使いながら歩行試験を行うことを想定したものである。酸素流量画像25は、各時間の酸素流量が時間方向に亘って色分けして表示したものである。
図11の画面において「メニューに戻る」の項目がタップされると、
図3のメニュー画面に移行する。
【0039】
図12は、測定結果画面のうち、比較画面を示す図であり、前回と今回の測定結果が比較できるように表示される。具体的には、前回と今回の、歩数、最小SpO
2、最大PR、ボルグスケール、最高血圧、総歩行距離が数値で表示される。また、横軸を時間としたグラフ26上に、歩数が折れ線グラフで表示される。
図12の例では、上側の折れ線グラフが今回の測定結果を示し、下側の折線グラフが前回の測定結果を示す。この折れ線グラフには、最小SpO
2及び最大PRの発生位置が矢印で示される。上側の2つの矢印は前回と今回での最小SpO
2の発生位置を示し、下側の2つの矢印は前回と今回での最大PRの発生位置を示す。また、前回と今回の、歩数、最小SpO
2、最大PR、ボルグスケール、最高血圧、総歩行距離がレーダーチャート27で表示される。外側の線が今回のレーダーチャートであり、内側の線が前回のレーダーチャートである。このように、前回の測定結果と今回の測定結果を、レーダーチャート27を用いて表示したことにより、リハビリテーションの効果を包括的に確認できるようになる。なお、数値、折れ線グラフ、矢印及びレーダーチャートにおいて、前回の測定結果と今回の測定結果は色分けされている。これにより、ユーザは、各数値、各折れ線グラフ、各矢印、各レーダーチャートが、前回の測定結果、或いは、今回の測定結果のどちらを示しているかをひと目で把握できる。なお、前回の測定結果の表示領域をタップすることで、前回のデータを変更することができる。つまり、前回の測定結果の表示領域をタップすると、タブレット端末200は記録している過去の測定結果のうち、同一の被検者IDの測定結果一覧を表示し、ユーザはこの測定結果一覧の中から所望の測定結果を比較対象の過去データとして選択できる。
図12の画面において「メニューに戻る」の項目がタップされると、
図3のメニュー画面に移行する。
【0040】
ユーザが、
図3のメニュー画面において「結果」の項目をタップすると、タブレット端末200は、
図13に示す一覧表画面を表示する。一覧表画面では、タブレット端末200に保存されている結果一覧が表示される。ユーザは、レポートモード、インポートモード、削除モードのいずれかを選択できる。
図13は、レポートモードでの一覧表画面である。レポートモードでは、ユーザが「1」〜「12」のいずれかの項目番号を選択してタップすると、レポート画面(
図14、
図15)が表示される。インポートモードでは、ユーザが項目番号を選択してタップすると、タブレット端末200は、その項目で示された被検者に対応する酸素濃縮器と通信を行うことで、安静時からリカバリー終了までの酸素濃縮器の動作ログを取得することができる。これは、被検者が酸素濃縮器を使いながら歩行試験を行うことを想定したものであり、インポートの結果は
図11に示した酸素流量画像25に反映される。削除モードでは、ユーザが項目番号を選択してタップすると、その項目で示された被検者の測定結果データを削除できる。
【0041】
レポートモードにおいて、例えば「1」の項目番号が選択されタップされると、
図14及び
図15のレポート画面が表示される。
図14及び
図15のレポート画面は、
図11及び
図12で説明したのと同様に2画面(2ページ)に亘っており、ユーザによるフリック又はドラッグによって画面切り換えを行うことができる。また、
図14及び
図15のレポート画面における表示内容も、
図11及び
図12の測定結果画面の表示内容と同様である。但し、
図14及び
図15のレポート画面では、「プレビュー」の項目が表示され、この「プレビュー」の項目がユーザによってタップされると、
図16及び
図17に示す印刷プレビュー画面が表示される。印刷プレビュー画面には、「印刷実行」の項目が表示され、この「印刷実行」の項目がタップされると、時間内歩行試験レポートがタブレット端末200に有線又は無線により接続されたプリンタによって印刷される。
【0042】
因みに、タブレット端末200は、
図18に示すように、安静時画面(
図6)及びリカバリー画面(
図8)から入力された血圧の一覧画面を表示することもできる。また、タブレット端末200は、
図19に示すように、安静時、歩行試験中、リカバリー中などにタブレット端末200のカメラで撮像した被検者の画像を、被検者IDに紐付けて表示することもできるようになっている。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態の歩行試験システムによれば、パルスオキシメータ100によって、SpO
2及び脈拍に加えて歩行量を測定し、タブレット端末200によって、SpO
2、脈拍及び歩行量の情報を受信し、検査期間内におけるSpO
2、脈拍及び歩行量の履歴を、同一グラフ上に表示するようにしたことにより、時間内歩行試験にかかる手間を軽減でき、かつ、歩行と関連付けて呼吸リハビリテーションの効果確認をより分かり易く表示できるようになる。
【0044】
また、
図7、
図8、
図11、
図14、
図15に示したように、SpO
2、脈拍、歩行量と同一グラフ上に、ボルグスケールの履歴を表示したことにより、歩行試験中の息苦しさによるボルグスケールの上昇と、息苦しさによる患者の立ち止まりの相関関係を表現できるようになる。
【0045】
また、
図7、
図8、
図11、
図14、
図15に示したように、ボルグスケールの履歴を、SpO
2、脈拍、歩行量と同一グラフ上の、ボルグスケールの値に対応する高さ位置に、ボルグスケールの値を示す数字とともに表示したことにより、ボルグスケールがいくつであったかをひと目で認識できるようになる。
【0046】
また、タブレット端末200が検査期間内においてボルグスケール選択画面(
図9)を表示し、このボルグスケール選択画面を用いてユーザによって選択されたボルグスケールを検査期間内に入力して記録するので、ボルグスケールをリアルタイムで容易に記録できるようになる。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、タブレット端末200にリアルタイムで全て歩行試験の情報を集約し、試験終了後直ぐにレポートを自動作成するので、検査員の利便性が向上し、手間が省けるので、検査員はより患者の状況を見ながら試験を実施できるといった利点がある。
【0048】
また、手作業で入力しなければならない測定データが格段に少なくなるので、入力ミスやデータの改ざんによる試験の信頼性の低下を抑制でき、試験の信頼性を高めることができる。
【0049】
なお、グラフに表示する歩行量として歩数を用いた場合について述べたが、表示する歩行量は歩数に限らず、歩行量として歩行速度などを表示してもよい。また、歩行量は必ずしも実際に歩いた量に限らず、例えばトレッドミルや踏み台昇降による歩行も歩行量として用いることができる。
【0050】
また、SpO
2、脈拍及び歩行量の表示形態は、
図7、
図8、
図11、
図14、
図15に示した表示形態に限らず、要は、SpO
2、脈拍及び歩行量の履歴を、同一グラフ上に表示すればよい。
【0051】
さらに、上述の実施の形態では、パルスオキシメータ100から、SpO
2、脈拍及び歩行量の情報を受信し、検査期間内におけるSpO
2、脈拍及び歩行量の履歴を同一グラフ上に表示する通信端末として、タブレット端末200を用いた場合について述べたが、本発明は、タブレット端末200に代えて、携帯電話や無線通信機能を有するパソコン等の他の通信端末によって実施することもできる。また、上述の実施の形態では、SpO
2、脈拍及び歩行量の情報を測定する装置としてパルスオキシメータ100を用いた場合について述べたが、パルスオキシメータ100に限らず、要は、SpO
2、脈拍及び歩行量の情報を測定できる生体情報測定装置を用いればよい。さらに、生体情報測定装置によってSpO
2、脈拍及び歩行量のための元データのみを測定し、通信端末によって、SpO
2、脈拍及び歩行量の最終的な値を計算により求めてもよい。
【0052】
さらに、実施の形態のパラメータに加えて、被検者の呼吸数を測定しその履歴を、SpO
2、脈拍及び歩行量の履歴と同一グラフ上に表示してもよい。このようにすれば、呼吸リハビリテーションの状況をより明確に確認できるようになる。
【0053】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。