特許第6391818号(P6391818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391818
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】非燃焼型香味吸引器
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20180910BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   A24F47/00
   A61M15/06 A
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-521341(P2017-521341)
(86)(22)【出願日】2015年5月29日
(86)【国際出願番号】JP2015065659
(87)【国際公開番号】WO2016194076
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2017年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晶彦
(72)【発明者】
【氏名】竹内 学
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】 八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−518567(JP,A)
【文献】 特表2015−504653(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/027249(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を貯留する貯留部と、
前記エアロゾル源の液面が形成される位置である液面形成位置よりも上流から、前記液面形成位置まで前記エアロゾル源を移動させて前記液面を形成する移動部と、
前記液面形成位置よりも下流に配置された吸引口と、
前記液面形成位置よりも上流に存在する前記エアロゾル源を霧化する第1霧化部と、
前記液面形成位置に形成される前記液面から発生し、前記液面形成位置よりも下流に存在する液滴を霧化する第2霧化部とを備えることを特徴とする非燃焼型香味吸引器。
【請求項2】
前記移動部は、上流から下流に向かって延びており、前記液面形成位置に前記液面が形成されるように前記エアロゾル源を保持する柱状部材によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項3】
前記第1霧化部は、前記液面形成位置において前記移動部の周囲に配置され、
前記第2霧化部は、前記液面形成位置の下流に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項4】
前記移動部は、前記エアロゾル源を毛細管現象によって移動させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項5】
前記移動部は、前記エアロゾル源を毛細管現象によって移動させるチューブ状部材によって構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項6】
前記チューブ状部材は、前記液面を規定する液面規定部を前記液面形成位置に有しており、少なくとも前記液面形成位置まで前記エアロゾル源を移動し、前記液面形成位置よりも下流に延びる部分を有することを特徴とする請求項5に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項7】
前記液面規定部は、前記液面形成位置に配置された開孔によって構成されることを特徴とする請求項6に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項8】
前記チューブ状部材内壁は、上流から下流に向かう方向に直交する直交断面において、前記液面形成位置の下流における空洞断面積が前記液面形成位置の上流における空洞断面積よりも大きい段差を有しており、
前記液面規定部は、前記段差によって構成されることを特徴とする請求項6に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項9】
前記チューブ状部材は、前記液面形成位置から上流に向かって延びる第1管と、少なくとも前記液面形成位置から下流に向かって延びる第2管とを含み、
前記第2管は、前記直交断面において前記第1管の外側に配置されており、
前記段差は、前記第1管の内壁、前記第1管の下流端及び前記第2管の内壁によって構成されることを特徴とする請求項8に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項10】
前記チューブ状部材の内壁の性質は、前記液面形成位置又は前記液面形成位置の上流において変化することを特徴とする請求項6に記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項11】
前記第2霧化部は、前記液面形成位置の下流における前記チューブ状部材の周囲に配置されることを特徴とする請求項6乃至請求項10のいずれかに記載の非燃焼型香味吸引器。
【請求項12】
前記第1霧化部及び前記第2霧化部は、前記液面形成位置を跨がって連続して設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の非燃焼型香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼を伴わずにエアロゾル源を霧化する霧化部を有する非燃焼型香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼を伴わずに香味を吸引するための非燃焼型香味吸引器が知られている。非燃焼型香味吸引器は、エアロゾル源を貯留する貯留部と、上流から下流に向けてエアロゾル源を吸い上げるキャピラリ管と、キャピラリ管によって吸い上げられたエアロゾル源を霧化する霧化部とを有する。キャピラリ管の上流端は、貯留部に貯留されるエアロゾル源に到達しており、霧化部は、キャピラリ管の下流端に配置される(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2013/083634
【特許文献2】特表2005−537919号公報
【発明の概要】
【0004】
第1の特徴は、非燃焼型香味吸引器であって、エアロゾル源を貯留する貯留部と、前記エアロゾル源の液面が形成される位置である液面形成位置よりも上流から、前記液面形成位置まで前記エアロゾル源を移動させて前記液面を形成する移動部と、前記液面形成位置よりも下流に配置された吸引口と、前記液面形成位置よりも上流に存在する前記エアロゾル源を霧化する第1霧化部と、前記液面形成位置に形成される前記液面から発生し、前記液面形成位置よりも下流に存在する液滴を霧化する第2霧化部とを備えることを要旨とする。
【0005】
第2の特徴は、第1の特徴において、前記移動部は、上流から下流に向かって延びており、前記液面形成位置に前記液面が形成されるように前記エアロゾル源を保持する柱状部材によって構成されることを要旨とする。
【0006】
第3の特徴は、第1の特徴又は第2の特徴において、前記第1霧化部は、前記液面形成位置において前記移動部の周囲に配置され、前記第2霧化部は、前記液面形成位置の下流に配置されることを要旨とする。
【0007】
第4の特徴は、第1の特徴乃至第3の特徴のいずれかにおいて、前記移動部は、前記エアロゾル源を毛細管現象によって移動させることを要旨とする。
【0008】
第5の特徴は、第1の特徴乃至第4の特徴のいずれかにおいて、前記移動部は、前記エアロゾル源を毛細管現象によって移動させるチューブ状部材によって構成されることを要旨とする。
【0009】
第6の特徴は、第5の特徴において、前記チューブ状部材は、前記液面を規定する液面規定部を前記液面形成位置に有しており、少なくとも前記液面形成位置まで前記エアロゾル源を移動し、前記液面形成位置よりも下流に延びる部分を有することを要旨とする。
【0010】
第7の特徴は、第6の特徴において、前記液面規定部は、前記液面形成位置に配置された開孔によって構成されることを要旨とする。
【0011】
第8の特徴は、第6の特徴において、前記キャピラリ管の内壁は、上流から下流に向かう方向に直交する直交断面において、前記液面形成位置の下流における空洞断面積が前記液面形成位置の上流における空洞断面積よりも大きい段差を有しており、前記液面規定部は、前記段差によって構成されることを要旨とする。
【0012】
第9の特徴は、第8の特徴において、前記チューブ状部材は、前記液面形成位置から上流に向かって延びる第1管と、少なくとも前記液面形成位置から下流に向かって延びる第2管とを含み、前記第2管は、前記直交断面において前記第1管の外側に配置されており、前記段差は、前記第1管の内壁、前記第1管の下流端及び前記第2管の内壁によって構成されることを要旨とする。
【0013】
第10の特徴は、第6の特徴において、前記チューブ状部材の内壁の性質は、前記液面形成位置又は前記液面形成位置の上流において変化することを要旨とする。
【0014】
第11の特徴は、第6の特徴乃至第10の特徴のいずれかにおいて、前記第2霧化部は、前記液面形成位置の下流における前記チューブ状部材の周囲に配置されることを要旨とする。
【0015】
第12の特徴は、第1の特徴乃至第11の特徴のいずれかにおいて、前記第1霧化部及び前記第2霧化部は、前記液面形成位置を跨がって連続して設けられていることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る香味吸引器1を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
図3図3は、変更例1に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
図4図4は、変更例2に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
図5図5は、変更例3に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
図6図6は、変更例4に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
図7図7は、変更例5に係る香味吸引器1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
【0018】
従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
[実施形態の概要]
上述した背景技術で記載した非燃焼型香味吸引器では、キャピラリ管によって吸い上げられたエアロゾル源は、毛細管現象によってキャピラリ管の下流端に達する。従って、キャピラリ管の下流端に達するエアロゾル源の霧化に伴って大粒径の液滴が飛散してしまう可能性がある。
【0020】
実施形態に係る非燃焼型香味吸引器は、エアロゾル源を貯留する貯留部と、前記エアロゾル源の液面が形成される位置である液面形成位置よりも上流から、前記液面形成位置まで前記エアロゾル源を移動させて前記液面を形成する移動部と、前記液面形成位置よりも下流に配置された吸引口と、前記液面形成位置よりも上流に存在する前記エアロゾル源を霧化する第1霧化部と、前記液面形成位置に形成される前記液面から発生し、前記液面形成位置よりも下流に存在する液滴を霧化する第2霧化部とを備える。
【0021】
実施形態では、非燃焼型香味吸引器は、エアロゾル源の液面を形成する液面形成位置よりも下流に存在する液滴を霧化する第2霧化部を備える。従って、エアロゾル源の霧化に伴う大粒径の液滴の飛散を抑制することができる。
【0022】
[実施形態]
(非燃焼型香味吸引器)
以下において、実施形態に係る非燃焼型香味吸引器について説明する。図1は、実施形態に係る非燃焼型香味吸引器1を示す図である。非燃焼型香味吸引器1は、燃焼を伴わずに香喫味成分を吸引するための器具である。以下においては、非燃焼型香味吸引器1を単に香味吸引器1と称することに留意すべきである。
【0023】
図1に示すように、香味吸引器1は、ハウジング10と、貯留容器20と、チューブ状部材30と、霧化部40と、電源50と、制御回路60とを有する。
【0024】
ハウジング10は、香味吸引器1を構成する各部材を収容する。ハウジング10は、インレット11及び吸引口12とを有する。インレット11は、ハウジング10内に空気を導くための開孔である。吸引口12は、ユーザによって咥えられる部位であり、ユーザの口腔内に空気を導くための開孔である。
【0025】
貯留容器20は、エアロゾル源21を貯留する。エアロゾル源21は、霧化によってエアロゾルを生じる原料によって構成される。エアロゾル源21は、グリセリン又はプロピレングリコールなどのアルコール類、水又はこれらの混合物によって構成される液体である。エアロゾル源21は、香喫味成分を含むことが好ましい。香喫味成分は、種々の天然物から抽出される抽出成分であってもよい。抽出成分は、たばこ抽出物成分であってもよく、たばこ煙凝縮成分であってもよい。或いは、香喫味成分は、メンソールやカフェイン等の成分であってもよい。
【0026】
チューブ状部材30は、エアロゾル源21の液面21Aが形成される位置である液面形成位置よりも上流から、液面形成位置までエアロゾル源21を移動させて液面21Aを形成する移動部の一例である。また、チューブ状部材30は、上流から下流に向かって延びており、液面形成位置に液面21Aが形成されるようにエアロゾル源21を保持する柱状部材の一例である。
【0027】
詳細には、チューブ状部材30は、毛細管現象によってエアロゾル源21を移動させるとともに、エアロゾル源21の液面21Aが液面形成位置に形成されるようにエアロゾル源21を保持することに留意すべきである。なお、液面形成位置の近傍におけるチューブ状部材30の詳細については後述する(図2を参照)。
【0028】
ここで、「下流」及び「上流」は、流体の移動における下流及び上流を意味する。ここで、流体とはエアロゾル源21、又は霧化部40で霧化されたエアロゾルを意味し、移動とは毛細管現象によるエアロゾル源21の移動、又は吸引動作によるエアロゾル源21若しくは霧化部40で霧化されたエアロゾルの移動を意味する。
【0029】
霧化部40は、エアロゾル源21の液面21Aの近傍において、チューブ状部材30によって保持されるエアロゾル源21を霧化する。実施形態では、霧化部40は、チューブ状部材30の周囲に巻き回されるコイル状のヒータによって構成される。なお、液面形成位置の近傍における霧化部40の詳細については後述する(図2を参照)。
【0030】
電源50は、香味吸引器1で消費する電力を蓄積する電池である。電源50は、例えば、リチウムイオン電池である。
【0031】
制御回路60は、香味吸引器1を制御する。制御回路60は、例えば、CPU及びメモリによって構成される。具体的には、制御回路60は、ユーザによって操作可能な吸引操作インタフェース(吸引ボタンなど)に接続されており、吸引操作インタフェースがユーザによって操作されている時間区間において、霧化部40に対する電源出力の供給を行う。一方で、制御回路60は、吸引操作インタフェースがユーザによって操作されていない時間区間において、霧化部40に対する電源出力の供給を停止する。或いは、制御回路60は、吸引動作を検出する吸引センサに接続されており、吸引動作が行われている時間区間において、霧化部40に対する電源出力の供給を行う。一方で、制御回路60は、吸引動作が行われていない時間区間において、霧化部40に対する電源出力の供給を停止する。
【0032】
(液面形成位置の近傍構成)
以下において、実施形態に係る液面形成位置の近傍構成について説明する。図2は、実施形態に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
【0033】
図2に示すように、チューブ状部材30は、液面形成位置に配置された開孔31を有するとともに、液面形成位置よりも下流に延びる部分を有する。開孔31は、液面21Aを規定する液面規定部を構成する。
【0034】
実施形態において、チューブ状部材30のうち、開孔31の上流部分は、毛細管現象によって液面形成位置までエアロゾル源21を移動する機能を有している。チューブ状部材30のうち、開孔31の下流部分は、霧化に伴って飛散する液滴を第2霧化部42によって加熱可能な位置に導く機能を有する。
【0035】
実施形態において、チューブ状部材30の周方向に沿って複数の開孔31が間欠的に設けられてもよい。或いは、チューブ状部材30の全周に亘って単数の開孔31が連続的に設けられてもよい。すなわち、チューブ状部材30は、液面形成位置の近傍において2つのチューブ状部材に分離されていてもよい。
【0036】
霧化部40は、液面形成位置よりも上流に存在するエアロゾル源21を霧化する第1霧化部41と、液面形成位置に形成される液面から発生し、液面形成位置よりも下流に存在する液滴を霧化する第2霧化部42とを有する。実施形態において、第1霧化部41は、液面形成位置においてチューブ状部材30の周囲に配置されており、第2霧化部42は、液面形成位置よりも下流においてチューブ状部材30の周囲に配置されている。第1霧化部41及び第2霧化部42は、液面形成位置を跨がって連続して設けられていることが好ましい。
【0037】
(作用及び効果)
実施形態では、香味吸引器1は、エアロゾル源21の液面21Aを形成する液面形成位置よりも下流に存在する液滴を霧化する第2霧化部42を備える。従って、エアロゾル源21の霧化に伴う大粒径の液滴の飛散を抑制することができる。
【0038】
実施形態では、チューブ状部材30は、液面形成位置よりも下流に延びており、液面形成位置に配置された開孔31を有しており、開孔31は、液面21Aを規定する液面規定部を構成する。これによって、チューブ状部材30の下流端ではなくて、チューブ状部材30の途中に液面21Aを形成することができるため、液面形成位置よりも下流に第2霧化部42を配置しやすい。エアロゾル源21の霧化に伴って飛散する液滴を第2霧化部42によって加熱可能な位置に導きやすい。
【0039】
実施形態では、第2霧化部42は、液面形成位置の下流におけるチューブ状部材30の周囲に配置される。従って、液面形成位置よりも下流に存在する液滴を霧化しやすい位置に第2霧化部42を容易に配置することができる。
【0040】
実施形態では、第1霧化部41及び第2霧化部42は、液面形成位置を跨がって連続して設けられている。従って、第1霧化部41及び第2霧化部42によって構成される霧化部40の配置や構成が容易である。
【0041】
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0042】
具体的には、実施形態では、液面21Aを規定する液面規定部は、液面形成位置に配置された開孔31によって構成される。これに対して、変更例1では、液面21Aを規定する液面規定部は、チューブ状部材30の内壁に設けられる段差によって構成される。
【0043】
(液面形成位置の近傍構成)
以下において、変更例1に係る液面形成位置の近傍構成について説明する。図3は、変更例1に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
【0044】
図3に示すように、チューブ状部材30は、液面形成位置から上流に向かって延びる第1管32と、少なくとも液面形成位置から下流に向かって延びる第2管33とを含む。第2管33は、上流から下流に向かう方向に直交する直交断面において第1管32の外側に配置される。
【0045】
変更例1において、第2管33は、液面形成位置よりも上流から下流に向かって延びていてもよい。言い換えると、第1管32及び第2管33は液面形成位置でオーバラップしていてもよい。
【0046】
このようなケースにおいて、第1管32の内壁32A、第1管32の下流端32B及び第2管33の内壁33Aによって構成される段差34は、液面21Aを規定する液面規定部を構成する。言い換えると、チューブ状部材30の内壁は、上流から下流に向かう方向に直交する直交断面において、液面形成位置の下流における空洞断面積が液面形成位置の上流における空洞断面積よりも大きい段差34を有する。すなわち、液面形成位置は、異なる空洞断面積の境界に設けられる。
【0047】
変更例1において、第1管32は、毛細管現象によって液面形成位置までエアロゾル源21を移動する機能を有している。第2管33は、霧化に伴って飛散する液滴を第2霧化部42によって加熱可能な位置に導く機能を有する。
【0048】
変更例1において、第1霧化部41は、液面形成位置において第1管32及び第2管33の周囲に配置されており、第2霧化部42は、液面形成位置よりも下流において第2管33の周囲に配置されている。第1霧化部41及び第2霧化部42は、液面形成位置を跨がって連続して設けられていることが好ましい。
【0049】
(作用及び効果)
変更例1では、開孔31に代えて段差34が液面規定部として設けられるが、実施形態と同様の効果が得られる。また、開孔31が不要であるため、開孔31から液滴が漏れない。
【0050】
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0051】
具体的には、実施形態では、液面21Aを規定する液面規定部は、液面形成位置に配置された開孔31によって構成される。これに対して、変更例2では、液面21Aを規定する液面規定部は、チューブ状部材30の内壁に設けられる段差によって構成される。
【0052】
(液面形成位置の近傍構成)
以下において、変更例2に係る液面形成位置の近傍構成について説明する。図4は、変更例2に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
【0053】
図4に示すように、チューブ状部材30は、液面形成位置から上流に向かって延びる第1部分35と、液面形成位置から下流に向かって延びる第2部分36とを含む。上流から下流に向かう方向に直交する直交断面において、第2部分36の空洞断面積は、第1部分35の空洞断面積よりも大きい。
【0054】
このようなケースにおいて、第1部分35と第2部分36との境界によって構成される段差34は、液面21Aを規定する液面規定部を構成する。言い換えると、チューブ状部材30の内壁は、上流から下流に向かう方向に直交する直交断面において、液面形成位置の下流における空洞断面積が液面形成位置の上流における空洞断面積よりも大きい段差34を有する。
【0055】
変更例2において、第1部分35は、毛細管現象によって液面形成位置までエアロゾル源21を移動する機能を有している。第2部分36は、霧化に伴って飛散する液滴を第2霧化部42によって加熱可能な位置に導く機能を有する。
【0056】
変更例2において、第1霧化部41は、液面形成位置において第1部分35及び第2部分36の周囲に配置されており、第2霧化部42は、液面形成位置よりも下流において第2部分36の周囲に配置されている。第1霧化部41及び第2霧化部42は、液面形成位置を跨がって連続して設けられていることが好ましい。
【0057】
(作用及び効果)
変更例2では、開孔31に代えて段差34が液面規定部として設けられるが、実施形態と同様の効果が得られる。また、開孔31が不要であるため、開孔31から液滴が漏れない。
【0058】
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0059】
具体的には、実施形態では、液面21Aを規定する液面規定部は、液面形成位置に配置された開孔31によって構成される。これに対して、変更例3では、液面21Aを規定する液面規定部は、チューブ状部材30の内壁に設けられる段差によって構成される。
【0060】
(液面形成位置の近傍構成)
以下において、変更例3に係る液面形成位置の近傍構成について説明する。図5は、変更例3に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
【0061】
図5に示すように、チューブ状部材30の内壁は、液面形成位置に設けられた凹部37を有する。凹部37の上流部分によって構成される段差34は、液面21Aを規定する液面規定部を構成する。言い換えると、チューブ状部材30の内壁は、上流から下流に向かう方向に直交する直交断面において、液面形成位置の下流における空洞断面積が液面形成位置の上流における空洞断面積よりも大きい段差34を有する。
【0062】
変更例3において、チューブ状部材30の周方向に沿って複数の凹部37が間欠的に設けられてもよい。或いは、チューブ状部材30の全周に亘って単数の凹部37が連続的に設けられてもよい。
【0063】
変更例3において、チューブ状部材30のうち、凹部37の上流部分は、毛細管現象によって液面形成位置までエアロゾル源21を移動する機能を有している。チューブ状部材30のうち、凹部37の下流部分は、霧化に伴って飛散する液滴を第2霧化部42によって加熱可能な位置に導く機能を有する。
【0064】
変更例3において、第1霧化部41は、液面形成位置においてチューブ状部材30の周囲に配置されており、第2霧化部42は、液面形成位置よりも下流においてチューブ状部材30の周囲に配置されている。第1霧化部41及び第2霧化部42は、液面形成位置を跨がって連続して設けられていることが好ましい。
【0065】
(作用及び効果)
変更例3では、開孔31に代えて段差34が液面規定部として設けられるが、実施形態と同様の効果が得られる。また、開孔31が不要であるため、開孔31から液滴が漏れない。
【0066】
[変更例4]
以下において、実施形態の変更例4について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0067】
具体的には、実施形態では、液面21Aを規定する液面規定部は、液面形成位置に配置された開孔31によって構成される。これに対して、変更例4では、チューブ状部材30の内壁の性質は、液面形成位置又は液面形成位置の上流において変化する。
【0068】
(液面形成位置の近傍構成)
以下において、変更例4に係る液面形成位置の近傍構成について説明する。図6は、変更例4に係る液面形成位置の近傍構成を示す図である。
【0069】
図6に示すように、チューブ状部材30は、液面形成位置から上流に向かって延びる第1部分301と、第1部分301に連続しており、液面形成位置から下流に向かって延びる第2部分302とを含む。
【0070】
ここで、チューブ状部材30の内壁の性質は、液面形成位置において変化する。すなわち、第2部分302の内壁の性質は、第1部分301の内壁の性質と異なっている。なお、図6では、チューブ状部材30の内壁の性質は、液面形成位置において変化しているが、液面形成位置の上流において変化してもよい。内壁の性質とは、毛細管現象に影響を与える性質であり、例えば、エアロゾル源21に対する内壁の濡れ性である。詳細には、エアロゾル源21に対する第2部分302の内壁の濡れ性は、エアロゾル源21に対する第1部分301の内壁の濡れ性よりも悪い。これによって、第2部分302の内壁は、液面21Aを規定する液面規定部を構成する。
【0071】
ここで、エアロゾル源21に対するチューブ状部材30の内壁の濡れ性は、第1部分301の内壁及び第2部分302の内壁の素材や表面粗さに依存する。第1部分301の内壁及び第2部分302の内壁の素材や表面粗さを変更することによって、エアロゾル源21に対するチューブ状部材30の内壁の濡れ性を変化させることができる。
【0072】
変更例3において、第1部分301は、毛細管現象によって液面形成位置までエアロゾル源21を移動する機能を有している。第2部分302は、霧化に伴って飛散する液滴を第2霧化部42によって加熱可能な位置に導く機能を有する。
【0073】
変更例4において、第1霧化部41は、液面形成位置において第1部分301及び第2部分302の周囲に配置されており、第2霧化部42は、液面形成位置よりも下流において第2部分302の周囲に配置されている。第1霧化部41及び第2霧化部42は、液面形成位置を跨がって連続して設けられていることが好ましい。
【0074】
(作用及び効果)
変更例4では、開孔31に代えてチューブ状部材30の内壁の性質の変化によって液面規定部が構成されるが、実施形態と同様の効果が得られる。また、開孔31が不要であるため、開孔31から液滴が漏れない。
【0075】
[変更例5]
以下において、実施形態の変更例5について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0076】
具体的には、実施形態では、エアロゾル源21の液面21Aを液面形成位置に形成する移動部として、チューブ状部材30を例示した。これに対して、変更例5では、移動部は、ガラス繊維などを縒り合せることによって形成される繊維状部材である。
【0077】
(非燃焼型香味吸引器)
以下において、変更例5に係る非燃焼型香味吸引器について説明する。図7は、変更例5に係る香味吸引器1を示す図である。但し、図7では、香味吸引器1の一部のみが示されており、貯留容器20、電源50及び制御回路60などは省略されている。
【0078】
図7に示すように、香味吸引器1は、チューブ状部材30に代えて、繊維状部材80及び保持部材90を有する。
【0079】
繊維状部材80は、エアロゾル源21の液面21Aが形成される位置である液面形成位置よりも上流から、液面形成位置までエアロゾル源21を移動させて液面21Aを形成する移動部の一例である。
【0080】
具体的には、繊維状部材80は、ガラス繊維などを縒り合せることによって形成される。ガラス繊維の間隔によって毛細管現象が生じる。従って、繊維状部材80は、エアロゾル源21を毛細管現象によって移動させるとともに、エアロゾル源21の液面21Aが液面形成位置に形成されるようにエアロゾル源21を保持する柱状部材の一例であることに留意すべきである。変更例5においては、液面21Aを規定する液面規定部は、繊維状部材80の下流端によって構成される。
【0081】
保持部材90は、繊維状部材80の形状を保持するための部材である。具体的には、保持部材90は、筒状形状を有しており、保持部材90の内部に繊維状部材80が配置される。保持部材90は、液面形成位置(繊維状部材80の下流端)よりも下流に延びていることが好ましい。なお、保持部材90が有する空洞は、毛細管現象を生じない程度の大きさであることに留意すべきである。
【0082】
変更例5においては、第1霧化部41は、液面形成位置において保持部材90の周囲に配置されており、第2霧化部42は、液面形成位置よりも下流において保持部材90の周囲に配置されている。第1霧化部41及び第2霧化部42は、液面形成位置を跨がって連続して設けられていることが好ましい。
【0083】
なお、繊維状部材80の形状が維持される程度の硬さを繊維状部材80が有する場合には、保持部材90は省略されてもよい。このようなケースにおいては、第1霧化部41は、液面形成位置において繊維状部材80の周囲に配置される。第2霧化部42は、液面形成位置よりも下流に配置されていればよく、例えば、ハウジング10の内壁のうち、吸引口12の近傍に配置されてもよい。
【0084】
(作用及び効果)
変更例5では、チューブ状部材30に代えて繊維状部材80を用いるが、実施形態の効果が得られる。また、保持部材90の空洞断面積(繊維状部材80の断面積)がチューブ状部材30の空洞断面積よりも大きいため、実施形態よりも多量のエアロゾル源21を繊維状部材80によって保持することができる。
【0085】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0086】
実施形態では、第1霧化部41及び第2霧化部42は、液面形成位置を跨がって連続して設けられている。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。第1霧化部41及び第2霧化部42は、互いに非連続の別部材であってもよい。
【0087】
実施形態では、第1霧化部及び第2霧化部として、チューブ状部材30などの周囲に巻き回されるコイル状のヒータを例示した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。第1霧化部は、液面形成位置よりも上流に存在するエアロゾル源を霧化する機能を有していればよい。第2霧化部は、液面形成位置よりも下流に存在する液滴を霧化すればよい。例えば、第1霧化部及び第2霧化部は、ヒータタイプの霧化部であってもよく、超音波タイプの霧化部であってもよい。第1霧化部の種類は、第2霧化部の種類と異なっていてもよい。
【0088】
実施形態では特に触れていないが、チューブ状部材30は、毛細管現象によって液面形成位置までエアロゾル源21を移動するキャピラリ管と、霧化に伴って飛散する液滴を第2霧化部42によって加熱可能な位置に導くガイド管とを含んでいてもよい。キャピラリ管及びガイド管は、互いに別々な部材であってもよく、同一の部材であってもよい。キャピラリ管及びガイド管は、接していてもよく、接していなくてもよい。
【0089】
なお、ガイド管は、キャピラリ機能を有していてもよい。このようなケースであっても、液面規定部の存在によって、液面形成位置に液面21Aが形成されることに留意すべきである。また、実施形態(図2)のように、チューブ状部材30は、1本のキャピラリ管の液面形成位置に開孔31が設けられた部材であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
実施形態によれば、エアロゾル源の霧化に伴う大粒径の液滴の飛散を抑制することを可能とする非燃焼型香味吸引器を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7