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特許6391909骨に組織を付着させるための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6391909
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】骨に組織を付着させるための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20180910BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61B17/04
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-273236(P2012-273236)
(22)【出願日】2012年12月14日
(65)【公開番号】特開2013-126539(P2013-126539A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】13/328,656
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507083478
【氏名又は名称】デピュイ・ミテック・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・オー・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ビー・マッケニー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・アール・ホイッタカー
【審査官】 大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0149280(US,A1)
【文献】 米国特許第05951559(US,A)
【文献】 特表2010−521195(JP,A)
【文献】 米国特許第5944739(US,A)
【文献】 米国特許第5250055(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨に軟組織を付着させるためのシステムであって、
近位及び遠位端部を有する縫合糸と、
縫合糸を受容するための少なくとも1つのアパーチャを有する縫合糸アンカーと、
外側ガイドであって、前記外側ガイド内に形成され前記外側ガイドの近位端部から遠位端部に延びるルーメンと、前記外側ガイドの前記近位端部に設けられた嵌合機構と、を有する前記外側ガイドと、
内側ガイドであって、前記内側ガイド内に形成され前記内側ガイドの近位端部から遠位端部に延びる内側ルーメンと、前記内側ガイドの前記近位端部に設けられた嵌合機構と、を有、前記内側ガイドは前記内側ルーメン内にドリルツールが取外し可能にかつ交換可能に配置できるように構成されており、前記外側ガイドの前記ルーメン内に取外し可能にかつ交換可能に配置されるように構成されている、前記内側ガイドと、を備え、
前記内側ガイドが前記外側ガイドの前記ルーメン内に挿入されるとき、前記内側及び外側ガイドは、それらの間に前記縫合糸の少なくとも一部分を保持するように構成されており、そのため、前記縫合糸は、前記内側及び外側ガイドに対してスライドすることが可能であ
前記内側ガイドの前記嵌合機構と前記外側ガイドの前記嵌合機構とが互いに嵌合するまで前記内側ガイドが前記外側ガイドの前記ルーメンの中に挿入されると、前記内側ガイドの前記遠位端部が、前記外側ガイドの前記遠位端部に対して近位側で終端する、システム。
【請求項2】
前記外側ガイドの前記遠位端部が、少なくとも1つのスロットを有し、該スロットは、前記外側ガイドの側壁内に形成されており、前記遠位端部から近位側に延びる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記内側ガイドの前記内側ルーメン内に取外し可能にかつ交換可能に配置されるように構成されたドリルツールを更に備え、前記ドリルツールの遠位端部は、その上に配設された骨切削チップを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記外側ガイドが、前記少なくとも1つのスロットに隣接して配置された少なくとも1つののぞき窓を更に有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記外側ガイドの前記遠位端部が、骨に係合するための複数の表面機構を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記縫合糸アンカー内に形成された前記アパーチャに前記縫合糸の末端部を通すように構成された糸通し用具を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記外側ガイドを中に受容するように構成された中央ルーメンを有するカニューレを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つの骨係合機構が、前記縫合糸アンカーの外表面上に配設されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記内側ガイドの前記近位端部が、前記外側ガイド上に配設されたハンドルの近位端部と嵌合するように構成されている、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨に組織を付着させるための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
靱帯、腱、及び/又は他の軟組織がそれらに関連付けられる骨から体内で完全にあるいは部分的に剥離することは、特に運動選手の間では比較的ありふれた外傷である。そのような外傷は一般に、過度のストレスがこれらの組織にかかる結果として生じる。一例として、組織の剥離は、業務作業中に、あるいは競技大会の過程の中で、転倒、過度の行使などの事故の結果として生じ得る。部分的な剥離の場合、一定の十分な時間が与えられ、外傷を更なる過度のストレスにさらさないように注意が払われれば、外傷はしばしばそれ自体で治癒する。しかしながら、完全な剥離の場合、軟組織をそれに関連する骨に再付着させるために、手術がしばしば必要となる。
【0003】
骨に軟組織を再付着させるために、多数の装置が現在も利用可能である。そのような現在利用可能な装置の例には、ネジ、ステープル、縫合糸アンカー及び鋲が挙げられる。ネジを利用する軟組織再付着手技において、剥離した軟組織は通常、骨の上の元の位置へと再び移動される。次いで、ネジが軟組織に通され、骨の中へとねじ込まれ、ネジの軸部と頭部が軟組織を骨に留め付ける。同様に、ステープルを利用する軟組織再付着手技において、剥離した軟組織は通常、骨の上の元の位置へと再び移動される。次いで、ステープルが軟組織に通され、骨の中へと送り込まれ、ステープルの脚部と橋部が軟組織を骨に留め付ける。
【0004】
縫合糸アンカーを利用する軟組織再付着手技において、アンカー受容穴が、組織再付着の所望の時点でドリルガイドを用いて骨の中にドリル加工される。次に、縫合糸アンカーが、適切な導入用具を使用して、ドリルガイドを通じて穴の中へと配備される。これにより、縫合糸が効果的に骨に固定され、縫合糸の自由端部は、軟組織への付着のために骨から延出する。縫合糸の自由端部は、軟組織の中又は周りに通され、骨に軟組織を固定するために使用される。
【0005】
現行の縫合糸アンカリング法は、骨に軟組織を付着させる上で効果的であるが、無結節縫合糸アンカーが使用されるときは特に、縫合糸アンカーをアンカー受容穴の中に配備することが困難となり得る。例えば、穴が骨内に形成され、ドリルが手術部位から取り除かれた後、外科医が穴の位置を突き止め、筋肉及び他の骨をまさぐって穴に接近することが困難となり得る。穴の位置が確認された後でさえ、穴の角度を判断することは困難となり得る。不適切な角度で縫合糸アンカーを穴の中に押し込むことは、しばしばアンカーを破損する原因となるため、ドリル穴の位置と角度を正確に確認することが重要である。これにより、組織再付着手技を実施するのに必要な時間が増加し、費用も増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、骨に組織を付着させるための改善された方法及びシステムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
骨に軟組織を付着させるためのシステムが、本明細書で開示される。一般に、このシステムは、縫合糸と、縫合糸アンカーと、ドリルガイドとを有する。縫合糸は、近位及び遠位端部を有することができ、縫合糸アンカーは、縫合糸を受容するためのアパーチャを有することができる。一実施形態において、ドリルガイドは、外側ドリルガイドと内側ドリルガイドとを備える。外側ドリルガイドは、外側ドリルガイド内に形成されたルーメンを有することができ、そのルーメンは、近位端部から遠位端部へと延びる。内側ドリルガイドはまた、内側ドリルガイド内に形成された内側ルーメンを有することができ、その内側ルーメンは、内側ドリルガイドの近位端部から遠位端部へと延びる。加えて、内側ドリルガイドは、外側ドリルガイドのルーメン内に取外し可能にかつ交換可能に配置されるように構成され得る。内側ドリルガイドが外側ドリルガイドのルーメンの中に挿入されるとき、内側リルガイド及び外側ドリルガイドは、それらの間に縫合糸の少なくとも一部分を保持するように構成されており、縫合糸は、内側及び外側ドリルガイドに対してスライドするように構成されている。別の実施形態において、内側ドリルガイドが外側ドリルガイドのルーメンの中に挿入されるとき、内側ドリルガイドの遠位端部は、外側ドリルガイドの遠位端部に対して遠位側で終端し得る。更に別の実施形態において、内側ドリルガイドが外側ドリルガイドのルーメンの中に挿入されるとき、内側ドリルガイドの遠位端部は、外側ドリルガイドの遠位端部に対して近位側で終端し得る。別の実施形態において、外側ドリルガイドの遠位端部は少なくとも1つのスロットを有し、そのスロットは、外側ドリルガイドの側壁内に形成されており、遠位端部から近位側に延びる。
【0008】
縫合糸アンカー及びドリルガイドは、多様な他の機構を有し得る。例えば、外側ガイドは、少なくとも1つのスロットに隣接して配置された、少なくとも1つの任意選択ののぞき窓を更に有し得る。加えて、外側ガイドの遠位端部は、骨と係合するための複数の表面機構を有し得る。別の実施形態において、少なくとも1つの骨係合機構が、縫合糸アンカーの外表面上に配設され得る。更に別の実施形態において、内側ガイドの近位端部が、外側ガイド上に配設されたハンドルの近位端部と嵌合するように構成され得る。
【0009】
このシステムは、カニューレ、糸通し器、及びドリルツールなど、多様な他の装置を有し得る。ドリルツールは、内側ドリルガイドの内側ルーメン内に取外し可能にかつ交換可能に配置されるように構成されることができ、ドリルツールの遠位端部は、その上に配設された骨切削チップを有し得る。糸通し用具は、縫合糸アンカー内に形成されたルーメンに縫合糸の末端部を通すように構成され得る。カニューレは、外側ガイドを中に受容するように構成された中央ルーメンを有し得る。
【0010】
また、骨に軟組織を付着させる方法が本明細書で開示される。一実施形態において、縫合糸が組織を通じて延び、縫合糸の第1及び第2の末端部が患者の体の外側に配置されるように、縫合糸が患者の体内の所望の場所で組織に通され得る。外側ガイドは、外側ガイドの遠位端部が、縫合糸アンカーを受容する場所にて骨に隣接して置かれるように、及び縫合糸の一部分が外側ガイドの中央ルーメンを通って延びるように、患者の体内に配置され得る。縫合糸は、縫合糸の末端部が依然として患者の体の外側に位置している間に、縫合糸アンカーに取り付けられ得る。内側ガイドは、縫合糸の一部分が内側ガイドの外壁と外側ガイドの内壁との間に配置されるように、外側ガイドの中央ルーメンに挿入され得る。骨ドリルは、内側ガイド内の中央ルーメンに挿入されることができ、骨内の所望の場所に穴を形成することができ、その後に骨ドリルと内側ガイドが取り除かれ得る。外側ガイドが、穴の周りにあり、骨と接触する位置に維持されている間、縫合糸アンカーは、外側ガイドに通され、穴内に移植され得る。
【0011】
この方法は、多様な他の工程を含み得る。例えば、一実施形態において、外側ガイドが患者の体内に配置されるとき、外側ガイドの遠位端部に隣接する縫合糸の一部分が、外側ガイドの遠位端部から近位側に延びるノッチ内にスライド可能に嵌め込まれる。別の実施形態において、内側ガイドが外側ガイドの中に挿入されるとき、内側ガイドの遠位端部は外側ドリルガイドの遠位端部に対して近位側で終端する。これにより、縫合糸は、ドリルガイドの遠位端部と骨との間に挟まれることなく、ノッチに通され得るようになる。別の実施形態において、縫合糸アンカーに縫合糸を取り付けることは、縫合糸アンカーの外側の位置から、縫合糸アンカーの遠位端部にある開口部を通して、更に縫合糸アンカー内の中央ルーメンを通して上方に縫合糸の一部分を通すことによって達成される。加えて、縫合糸アンカーに縫合糸を取り付けることは、内側ガイド内の中央ルーメンに骨ドリルを挿入する前に実施され得る。更に別の実施形態において、この方法は、骨に対して組織を所望の位置に引き寄せるために縫合糸に張力をかけることを更に含む。別の実施形態において、患者の体内に外側ガイドを配置することは、縫合糸の末端部が外側ガイドの外側に配置されるまで、外側ガイドの中央ルーメンに縫合糸の一部分を通すことを含む。別の実施形態において、患者の体内に外側ガイドを配置することは、患者に挿入されたカニューレに通して外側ガイドを配置することを含む。更に別の実施形態において、縫合糸アンカーが外側ガイドに通されるとき、縫合糸アンカーの縦軸がアンカー受容穴の縦軸と実質的に整列される。この方法は、縫合糸アンカーの近位端部の近くで縫合糸を整えることを更に含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、添付の図面とともになされる以下の「発明を実施するための形態」によって、更に十分に理解されよう。
図1】縫合糸アンカーの一実施形態の側面図。
図2】外側ガイドと内側ガイドとを有するドリルガイドの一実施形態の側面図。
図3A】外側ガイドの遠位端部の側面図であり、ノッチとのぞき窓を示している。
図3B】外側ガイドの遠位端部の側面図であり、90°回転され、別ののぞき窓を示している。
図4】外側ガイドの中に挿入されている内側ガイドの横断面図。
図5図1の縫合糸アンカーに嵌合された挿入用具の側面斜視図。
図6】例示的な一実施形態によるドリルの側面図。
図7】例示的な一実施形態による、骨に組織を付着させるための方法をおおまかに示す流れ図。
図8】組織に取り付けられており、外側ガイドを通って延びる糸脚を有する縫合糸の側面図。
図9】内側ガイドを中に通して挿入されている、図8の外側ガイドの側面図。
図10】ドリルガイドの遠位部分の側面図であり、縫合糸の糸脚が、外側ガイド内に形成されたノッチを通って延びている。
図11図1のアンカーを備えたドリルガイドの側面図であり、アンカーは、挿入用具に取り付けられており、その中に縫合糸を通されている。
図12】外側ガイドの中に挿入されている図6のドリルの側面図。
図13】ドリルガイドの遠位部分の側面図であり、ドリル穴内に部分的に着座された、糸通しされた縫合糸アンカーを示してる。
図14図12のドリルガイドの側面図であり、ドリル穴内にアンカーが完全に着座されている。
図15】縫合糸の末端部が整えられ、外側ガイドが付着部位から取り除かれた後の縫合糸アンカーの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で開示する装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理が総括的に理解されるように、特定の例示的な実施形態について、これから説明することにする。これらの実施形態の1つ以上の例が添付の図面に示されている。本明細書で詳細に説明し、添付の図面に示す装置及び方法が、非限定的な例示的実施形態であること、並びに、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることが、当業者には理解されよう。ある例示的実施形態に関連して例示又は説明した特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。そのような修正及び変形は、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0014】
骨に組織を付着させるための方法及びシステムが、本明細書で開示される。一実施形態において、骨に組織を付着させるためのシステムは、縫合糸と、縫合糸アンカーと、挿入用具と、ドリルと、ドリルガイドセットとを有する。ドリルガイドセットは、外側ドリルガイドと内側ドリルガイドとを備え、内側ドリルガイドは、外側ドリルガイドのルーメン内に取外し可能にかつ交換可能に受容されるように構成されている。内側ドリルガイドもまた、ルーメンを有し、そのルーメンは、その中を長手方向に延びており、ドリルを受容するように構成されている。一実施形態において、外側ドリルガイドは、外側ドリルガイドの遠位端部から近位側に延びるスロット又はノッチを有することができ、そのスロット又はノッチは、縫合糸の一部分をその中に受容するように構成されている。ノッチは、ドリルの回転運動から縫合糸を保護し、縫合糸が外側ドリルガイドの外表面縁部とそれに隣接する骨との間に縫合糸が捕捉されるのを防止する。
【0015】
骨に軟組織を付着させるための方法もまた、提供される。この方法は、組織に縫合糸を取り付けることと、外側ドリルガイド内に形成されたルーメンに縫合糸を通すことと、外側ドリルガイドのルーメンの中に内側ドリルガイドを挿入することとを含む。この方法は、内側ドリルガイド内のルーメンの中にドリルを挿入することと、内側ドリルガイドを取り除くことと、アンカーに縫合糸を通すことと、外側ガイドの中にアンカーを挿入することとを更に含む。アンカーとそれに取り付けられた縫合糸は、次いで下穴に着座され、外側ドリルガイドは取り除かれる。この方法の利点は、縫合糸アンカーがドリル穴の中により容易に挿入され得るようにドリル穴とドリルガイドとの位置合わせが維持され得ることである。
【0016】
本明細書で説明する、骨に軟組織を付着させるための方法を実施する上で、多様な用具が使用され得る。この方法を実施する上で助けとなる様々な用具のタイプ及び設計についてまず説明し、それに続いて、骨に軟組織を付着させるための方法を議論する。
【0017】
種々様々な構造を有する縫合糸アンカーが、本明細書で開示する方法で使用され得る。一例として、図1は、縫合糸アンカー10の一実施形態を示している。図示のように、縫合糸アンカー10は、概ね細長く、近位端部10aと遠位端部10bとの間に延びる縦軸Lを有している。縫合糸アンカー10はまた、骨に係合するように構成された、ネジ山12などの少なくとも1つの機構を有し得る。縫合糸アンカー10はまた、その中に縫合糸を受容するための機構を有し得る。非限定的な例として、図1の縫合糸アンカー10は、縫合糸を受容するために、アンカー10の縦軸Lに沿って近位端部10aと遠位端部10bとの間に延びる内側ルーメン14を有し得る。別の実施形態において、アパーチャ(図示せず)が、縦軸Lを横断する軸に沿ってアンカー10を少なくとも部分的に貫いて延び得る。また、当業者には明らかであるように、縫合糸アンカーがそれに代わって、アンカーの側壁上など、アンカー上の任意の場所に配設された1つ以上のアパーチャ又は開口部を有し得る。そのようなアパーチャは、曲線状にされ得るか、あるいは任意の他の形状をなし得る縫合糸を受容するための経路を形成し得る。縫合糸アンカー10はまた、ユーザーがアンカーに縫合糸を通し、結節することなくループを形成することを可能にする無結節縫合糸アンカーであってもよい。非限定的な例として、縫合糸(図示せず)が、縫合糸の一方の末端部をアンカーの近位端部10aの中に挿入され、遠位側に通され、縫合糸アンカーの遠位端部10bを回ってアンカーの側壁を通って外に移動させられることによって、アンカーに通され得る。縫合糸を縫合糸アンカー10に通すために、縫合糸通し器(図示せず)もまた、使用され得る。縫合糸アンカー10はまた、嵌合機構16を有し得るが、この嵌合機構16は、アンカーの近位端部10a上に配置されており、挿入用具の遠位端部と嵌合するように構成されている。当業者には明らかであるように、縫合糸アンカーは、縫合糸を通され、骨と係合し得る多様な構成を有し得る。
【0018】
多様なドリルガイドが、使用され得る。例えば、ドリルガイド20は、ドリルガイド20の中に挿入されるドリルが回転する間、縫合糸を保護することが可能である。図2に示すように、例示的なドリルガイドセット20は一般に、外側ガイド22と内側ガイド24とを備えている。外側ガイド22と内側ガイド24はともに細長く、近位端部22a、24aと遠位端部22b、24bとを有しており、近位端部22a、24a及び遠位端部22b、24bは、それらの間に延びる内側ルーメン26、28をそれぞれ備えている。内側ガイド24は、外側ガイド22内に形成されたルーメン26の中に取外し可能にかつ交換可能に挿入されるように構成され得る。図示の実施形態において、ハンドル30が、外側ガイド22の近位部分に配置されている。ハンドル30は細長いものであってよく、概ね三角形の横断面と、ユーザーの手とハンドルとの間に摩擦をもたらし得る複数の表面機構32とを備えている。ハンドル22aの近位端部はまた、以下で説明するように、内側ガイド24を外側ガイド22に結合するための嵌合機構34を有し得る。図示の実施形態において、嵌合機構34は、外側ガイド22の近位端部22a上に形成されたくぼみであり、このくぼみは、内側ガイド24の近位端部24a上に形成された突起36と嵌合可能である。当業者には明らかであるように、ハンドルは、多様な構成を有することができ、また内側ガイドを外側ガイドに結合するために多様な嵌合機構が使用され得る。
【0019】
外側ガイドは、ノッチ及びのぞき窓などの更なる機構を有し得る。図3Aに示すように、外側ガイド22の遠位端部22bは、縫合糸がルーメン26を抜け出るときに縫合糸の糸脚を受容するように構成されたノッチ40を有し得る。図示の実施形態において、ノッチ40は、外側ガイド22の遠位端部22bから近位側に延び、対向する2つの側部40a、40bを備えて細長くなっている。一実施形態において、ノッチ40は、縫合糸に張力をかける間に縫合糸が引き裂かれる又は損傷を受ける可能性を低減するように、端部40cにて終端し得る。図示の実施形態は、ノッチ40から180°ずれた位置にある別のノッチ(図示せず)を有しているが、当業者には明らかであるように、外側ガイド22は、外側ガイドを囲む任意の数の場所に配置された任意の個数のノッチを有し得る。また、当業者には明らかであるように、外側ガイド22は、張力をかける間に引き裂かれたり損傷を受けることから縫合糸を保護するための代替的な機構を有することができ、その結果、外側ガイド22は、ノッチを有する必要がなくなる。外側ガイド22の遠位端部22bはまた、外側ガイド22の周りに隔置された複数ののぞき窓を有することができ、これらののぞき窓は、縫合糸アンカーがドリルガイドの中に挿入されるときに挿入用具を目視することを可能にする。一実施形態において、図3Aに示すのぞき窓42は、実質的に楕円状であり、外側ガイド22の縦軸に沿って延びる主軸を有する。この実施形態において、4つののぞき窓が設けられ得る。例えば、小さな窓42がノッチ40の近位側に位することができ、その小さな窓の正反対にある、対応する小さな窓(図示せず)を有し得る。また1対の大きな窓もまた、設けられ得る。具体的には、大きな窓44がノッチ40から90°ずれて配置されることができ、その大きな窓の正反対にある、対応する大きな窓(図示せず)を有し得る。当業者には明らかであるように、小さな窓42は、ノッチ40に対してある所定の距離を置いて配置され得るが、その所定の距離は、以下で議論するように、外科手技のある段階で、挿入用具上に形成された第1のレーザーラインと第2のレーザーラインを窓42内にて目視することを可能にする。具体的には、のぞき窓は、挿入用具が外側ガイド22の中に挿入され、縫合糸アンカーがドリル穴内に部分的に着座されるときに、第1のレーザーラインが、のぞき窓のうちの少なくとも1つの中で目視可能となるように、外側ガイド22の遠位端部から所定の距離を置いて隔置され得る。のぞき窓の配置はまた、アンカーがドリル穴内に完全に着座されたときに、第2のレーザーラインがのぞき窓のうちの少なくとも1つにて目視可能となるようなものであってよい。当業者には明らかであるように、のぞき窓は、多様な構成を有することができ、及び任意の個数ののぞき窓が外側ガイドの周りの多数の場所に配置され得る。
【0020】
複数の係合機構23がまた、外側ガイド22の遠位端部22b上に形成されて、ガイドを骨上の所望の位置に維持するのを助けるように働き得る。当業者には明らかであるように、そのような表面機構は、外側ガイドを骨内に着座させるのを助けるようにへこみを形成することなどによって、外側ガイドを骨表面に浅く侵入させることができる。
【0021】
説明したように、内側ガイドは、外側ガイド22内に形成されたルーメン26の中に取外し可能にかつ交換可能に挿入されるように構成され得る。図4は、内側ガイド24が外側ガイド22の中に挿入されたドリルガイド20の横断面図を示している。図示のように、外側ガイド22が有する有効長は、内側ガイドの有効長よりも長い。換言すれば、内側ガイド24が外側ガイド22内に作動的に配設される場合、内側ガイド24の外側ガイド22内にある部分が有する長さは、外側ガイド22の長さよりも短い。通常、内側ガイド24の遠位端部24bは、外側ガイド22の遠位端部22bに対して近位側で終端する。しかしながら、当業者には明らかであるように、外側及び内側ガイドは、多様な他の構成を有することができ、外側ガイドが有し得る有効長は、内側ガイドよりも短いか又は内側ガイドに等しい。図示のように、内側ガイド24はまた、内側ガイド24の外壁と外側ガイド22の内壁との間に間隙を形成すべく、外側ガイド22のルーメン26内に配置されるように構成され得る。この間隙は、その中に縫合糸100が存在し、内側ガイド24及び外側ガイド22に対して自在にスライドし得る空間をもたらす。使用の際、内側ガイド24の遠位端部24bは、内側ガイド24の近位端部24a上の突起36がハンドル30の近位端部22a上に形成されたくぼみ34内に着座するまで、ハンドル30の近位端部22aの中に挿入され得る。内側及び外側ガイド24、22がこの位置にあるとき、内側ガイド24の遠位端部24bは、図10に示すように、ノッチ40の横端部40cに対してすぐ近位にあるいはすぐ遠位にある。これにより、縫合糸がノッチの対向側部40a、40bの間を通過し得るように、ノッチ40の十分な部分が、開口しかつ閉鎖されない状態に残される。更に、内側ガイド24は、外側ガイド22の相当な部分に沿って延びるため、ノッチ40に対して近位側にある縫合糸の糸脚は依然として、内側ガイド24と外側ガイド22との間で保護される。当業者には明らかであるように、内側及び外側ガイド、並びに/又はシステムの他の構成要素上に1つ以上のマーキングを有することなど、内側ガイドの遠位端部がノッチに隣接して配置されていることを示すために、多様な他の機構を使用することができ、更に内側ガイドを外側ガイドに結合するために多様な嵌合機構を使用することができる。
【0022】
多様な縫合糸アンカー挿入用具が使用され得るが、ある例示的な縫合糸アンカー挿入用具が、図5に示されている。挿入用具60は細長く、外側ガイド22のルーメン26内に配置されるように構成されている。挿入用具60の近位端部60aがドリルガイド20の外側に位置する状態で、アンカー10がアンカー受容穴の中に配備され得るように、挿入用具60は、外側ガイド22の長さよりも長い長さを有し得る。挿入用具60の遠位端部60bは、嵌合機構(図示せず)などによって、縫合糸アンカー10の近位端部10aに結合するように構成されてよく、その嵌合機構は、アンカー10の近位端部10aに形成されたくぼみ16に対応し、アンカー10の縦軸と整列される。図示のように、挿入用具60は、第1のレーザーライン62と第2のレーザーライン64とを更に有することができ、第2のレーザーライン64は第1のレーザーライン62に対して近位側に配置されている。以下で説明するように、第1のレーザーライン62と第2のレーザーライン64は、レーザーライン62、64が外科手技のある段階で外側ガイド22ののぞき窓で目視可能となるように、挿入用具60の遠位端部から所定の距離を置いて離間され得る。
【0023】
多様なドリルが骨に穴を形成するために使用され得るが、ある例示的な実施形態が、図6に示されている。図示のように、ドリル70は細長く、近位端部70aと遠位端部70bとを有している。ドリル70の遠位端部70bは、骨に侵入するように構成された切削チップ72を有し得る。図示の切削チップ72は、ネジ山付きの外表面を有しており、このネジ山付きの外表面は、駆動されて骨を貫き、ドリル加工された材料をホールからそらすことができる。ドリル70がドリルガイド20に挿入されるときにドリル70の遠位端部70bが骨を貫いて前進され得るように、更にドリル70の近位端部70a上に配設されたハンドル74がユーザーによって握持され得るように、ドリル70の長さは通常、ドリルガイド20の長さよりも長い。図示の実施形態において、ドリル70の近位端部70aは、ユーザーによって手動で回転され、それによって切削チップ72を前進させて骨を貫くことができる。それに代わって、ドリル70に給電して切削チップ72の回転を生じさせるために、モーターが使用され得る。当業者には明らかであるように、ドリルは、骨内にホールを形成し得る多様な構成を有し得る。
【0024】
上述した装置は、骨に軟組織を付着させる外科手技を実施するために使用され得る。この手技は理想的には最小侵襲手技であることが、当業者には理解されよう。骨に組織を付着させる一般的な方法を示す流れ図が、図7に示されている。当業者には明らかであるように、この手技は一般に、患者が手術を受けられるよう準備をし、適切に寸法決めされた1つ以上の切り込みを所望の場所に作ることによって始まる。最小侵襲手技において、1つ以上のカニューレ(図示せず)が切り込みに配置されて、手術部位へのアクセスがもたらされ得る。また、当業者には明らかであるように、医療従事者が体の外側から手術部位を目視できるようにするために、1つ以上の目視装置、例えば、スコープが切り込みのうちのいずれかに置かれ得る。カニューレが通常は使用されるが、明確にするため、図8〜15に示す実施形態は、ドリルガイド20が、カニューレの中に挿入されることなく、直接、切り込みの中へと前進されているところを示している。
【0025】
患者が手術の準備を整えると、ある長さの縫合糸100が患者の体の中へと通され、骨300に外科的に再付着される軟組織200に通される。図8に示すように、縫合糸100は、末端部100a、100bが患者の体の外側に配置されるように組織200に通され得る。当業者には明らかであるように、縫合糸は、マットレス及びシンチループ法などによって、既知の任意の外科技術を用いて組織に通され得る。縫合糸がそのように配置されると、縫合糸100が外側ガイド22のルーメン26内に配置された状態で、外側ガイド22は手術部位内に配置される。これは、患者の体の外側の位置から縫合糸100に沿って外側ガイド22を通すことを含めて、多様な周知の技術によって達成され得る。それに代わって、縫合糸100の糸脚を回収するために、縫合糸通し器(図示せず)が、外側ドリルガイド22のルーメン26の中に挿入され得る。具体的には、縫合糸100a、100bの末端部が外側ドリルガイド22の外側に配置されるまで、縫合糸100の糸脚は把持され、外側ドリルガイド22を通じて近位側に移動され得る。
【0026】
図8は、手術部位に配置された外側ガイド22を示しており、縫合糸100が外側ガイド22を通じて延びている。所望により、縫合糸100が外側ガイド22のルーメン26内に配置されると、外側ガイド22の遠位端部22b上に形成された係合機構とそれに隣接する骨300との間に縫合糸の糸脚が挟まれることを防止するために、外側ガイド22の遠位端部22bに隣接する縫合糸の糸脚は、外側ガイド22上に形成されたノッチ40に通され得る。例えば、これは、縫合糸の糸脚がノッチ40内に配置されるまで、外側ガイド22を回転させることによって達成され得る。適切な配置は、視覚的にかつ/又は触感によって確認され得る。この方法はまた、ノッチを有さない外側ガイドを使用しても達成され得ることが、当業者には理解されよう。したがって、別の実施形態(図示せず)において、内側ガイド24は、内側ガイド24の遠位端部24bが外側ガイド22の遠位端部22bに対して遠位側で終端するように、外側ガイド22内に形成されたルーメンの中に挿入され得る。内側及び外側ガイド24、22がそのように配置されると、縫合糸の糸脚は、内側ガイド24の外表面に沿って近位側に延びることができ、それによって、外側ガイド22と骨との間に挟まれることから保護される。
【0027】
図9に示すように、縫合糸100が外側ガイド22内に配置された後、内側ガイド24は、外側ガイド22に形成されたルーメン26の中に挿入されることができ、やがて、内側ガイド24の近位端部は、外側ガイド22の近位端部と嵌合する。当業者には明らかであるように、内側ガイド24及び外側ガイド22は、外側ガイド22の近位端部が内側ガイド24の近位端部に嵌合されることを必要とすることなく、内側ガイド24の遠位端部がノッチ40に隣接して配置されていることを示す他の機構を有し得る。内側ガイド24を外側ガイド22の中に挿入する間、内側ガイド24の外表面と外側ガイド22の内表面との間に縫合糸100が位置するように注意すべきである。この構成は、後のドリル加工の間に縫合糸100の糸脚を保護するように働き、それによって縫合糸100に損傷を与える危険性を低減する。内側ガイド24を外側ガイド22に結合することに続いて、図10に示すように、外側ガイド22の遠位端部22bが骨300の周りに配置される。そのように配置されると、外側ガイド22の遠位端部22bに隣接する縫合糸は、内側ガイド24の遠位端部24bがノッチ40に隣接して配置された状態で、ノッチ40を通過するように配列される。
【0028】
内側及び外側ガイド24、22がそのように配列され、縫合糸100の末端部がドリルガイド20の外側に配置されていると、縫合糸は、アンカーが依然として患者の体の外側にある間に、糸通し用具(図示せず)を使用して縫合糸アンカー10に通され得る。当業者には明らかであるように、糸通し用具は多様な構成を有し得る。一実施形態において、縫合糸100は、ドリル加工の段階とアンカー挿入の段階の間にドリルガイド20が不注意で移動することを防止するために、骨穴をドリル加工するのに先立ってアンカー10に通される。図11に示すように、糸通しに先立ってあるいはその後に、糸通しされた縫合糸アンカー10は、挿入用具60の遠位端部60bに嵌合され得る。所望により、縫合糸100の縫合糸アンカー10と末端部100a、100bとの間にある部分は、締め付け工具80で固定されることができ、それにより、縫合糸100がアンカー10から誤って引き抜かれることを防止し得る。
【0029】
内側及び外側ガイド24、22がそのように配置され、縫合糸100が所望により縫合糸アンカー10に通されていると、図12に示すように、切削チップ72を有するドリル70が、内側ガイド24内に形成されたルーメン28の中に挿入され得る。切削チップ72は、手動であるいはモーターによって回転されて、骨を貫いて切削チップ72を前進させ、穴(図示せず)を形成することができる。ドリル加工の間、ユーザーは、両手などでドリルガイド20のハンドル30を把持して、穴に対するドリルガイド20の位置を維持することができる。ドリル加工の後、ドリル70と内側ガイド24は外側ガイド22のルーメン26から取り除かれ得る。次いで、挿入用具60が外側ガイド22のルーメン26の中に挿入されて、縫合糸アンカー10を穴400に引き渡すことができる。この手技の間、挿入用具60がドリル穴400に向かって遠位側に移動されるとき、外側ガイド22を定位置に維持するように注意すべきである。挿入用具60が外側ガイド22に通されるとき、アンカー10を、末端部100a、100bが依然として患者の体の外側にあるように、縫合糸100に沿ってスライドすることができる。図13に示すように、縫合糸アンカー10が挿入されるとき、外側ドリルガイド22と穴400との間で絶えず位置合わせされることにより、アンカー10の縦軸Lは穴の縦軸L’と位置合わせされるようになる。そのような位置合わせにより、不適切な角度でアンカー10を挿入する危険性が最小化されるが、そのような挿入は、骨アンカー10に損傷を与え、かつ/又はアンカー10が破損する原因となり得る。
【0030】
ユーザーは、のぞき窓42など、のぞき窓のうちの1つ以上に焦点を合わせたスコープ装置を使用して、外側ガイド22内のアンカー10の位置を監視できる。具体的には、図13は、第1のレーザーライン62を有する挿入用具60の遠位端部を示しており、第1のレーザーライン62は、アンカー10が穴400内に部分的に着座しているとき、レーザーライン62が少なくとも1つののぞき窓から目視可能となるように、挿入用具60の外表面上に形成されている。ノッチ及びのぞき窓などの、外側ガイド22上の機構に対するレーザーライン62の配置により、ドリル穴400内におけるアンカー10の配置を間接的に監視することが可能となる。非限定的な例として、図13は、アンカー10がドリル穴400内に部分的に着座されたとき、第1のレーザーライン62がのぞき窓42内で目視可能となり得ることを示している。アンカー10の長さと挿入用具60上のレーザーライン62の配置は既知であるため、第1のレーザーライン62がのぞき窓42内に位置するとき、ドリル穴400内におけるアンカー10の深さは容易に推定され得る。窓42内における第1のレーザーライン62の配置は、当該技術分野で知られている任意の可視化技術を用いて確認され得る。
【0031】
アンカー10がドリル穴400内に部分的に着座されると、縫合糸100の末端部100a、100bは、縫合糸100に張力をかけるように引っ張られ、それによって、付着された組織200をアンカー10のより近くに、したがって、組織が固定される骨300の位置まで引っ張ることができる。当業者には明らかであるように、縫合糸はまた、アンカー10がドリル穴内に部分的に着座されるかあるいは完全に着座されるのに先立って、張力をかけられ得る。アンカー10は、挿入用具60の近位端部60aを回転させること及び/又は叩くことなどによって、穴400の中に送り込まれ得る。この動作は、アンカー10の外表面とドリル穴400の内表面との間に縫合糸100を固定するように働く。当業者には明らかであるように、アンカー10は、プッシュロックを使用するなど、他の方式で縫合糸100を固定し得る。図14に示すように、挿入用具60上に形成された第2のレーザーライン64は、アンカーが穴400内に完全に着座されると、少なくとも1つののぞき窓、例えば窓24を通じて目視可能となり得る。第2のレーザーライン64の配置はまた、当該技術分野で知られている任意の可視化技術を用いて確認され得る。図15に示すように、アンカー10が穴400に完全に着座した後、外側ドリルガイド22は、手術部位から取り除かれることができ、縫合糸100a、100bの端部は整えられ固定されることができる。
【0032】
上述したシステム及び方法は、非限定的な例として、関節鏡下の肩の手術を含めて、多様な組織付着手技に用いられ得る。例えば、縫合糸は関節唇に通されることができ、ドリルガイドはまた、骨にドリル加工するのに先立って上腕頭を関節窩から梃子で離して関節窩の周縁へのアクセスを得るためにも使用され得る。
【0033】
上述の実施形態に基づいた本発明の更なる特徴及び利点が、当業者には明らかとなろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって指定する場合を除いて、具体的に図示し説明した内容によって限定されるものではない。本明細書で引用されたすべての刊行物及び文献は、すべての内容が参照によって明らかに本明細書に組み込まれる。
【0034】
〔実施の態様〕
(1) 骨に軟組織を付着させるためのシステムであって、
近位及び遠位端部を有する縫合糸と、
縫合糸を受容するための少なくとも1つのアパーチャを有する縫合糸アンカーと、
外側ドリルガイド内に形成されており、該外側ドリルガイドの近位端部から遠位端部に延びるルーメンを有する外側ドリルガイドと、
内側ドリルガイド内に形成されており、該内側ドリルガイドの近位端部から遠位端部に延びる内側ルーメンを有する内側ドリルガイドであって、前記外側ドリルガイドの前記ルーメン内に取外し可能にかつ交換可能に配置されるように構成されている内側ドリルガイドと、を備え、
前記内側ドリルガイドが前記外側ドリルガイドの前記ルーメン内に挿入されるとき、前記内側及び外側ドリルガイドは、それらの間に前記縫合糸の少なくとも一部分を保持するように構成されており、そのため、前記縫合糸は、前記内側及び外側ドリルガイドに対してスライドすることが可能である、システム。
(2) 前記外側ドリルガイドの前記遠位端部が、少なくとも1つのスロットを有し、該スロットは、前記外側ドリルガイドの側壁内に形成されており、前記遠位端部から近位側に延びる、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記内側ドリルガイドの前記内側ルーメン内に取外し可能にかつ交換可能に配置されるように構成されたドリルツールを更に備え、前記ドリルツールの遠位端部は、その上に配設された骨切削チップを有する、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記外側ガイドが、前記少なくとも1つのスロットに隣接して配置された少なくとも1つののぞき窓を更に有する、実施態様2に記載のシステム。
(5) 前記外側ガイドの前記遠位端部が、骨に係合するための複数の表面機構を有する、実施態様1に記載のシステム。
(6) 前記縫合糸アンカー内に形成された前記ルーメンに前記縫合糸の末端部を通すように構成された糸通し用具を更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記外側ガイドを中に受容するように構成された中央ルーメンを有するカニューレを更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記内側ドリルガイドが前記外側ドリルガイドの前記ルーメンの中に挿入されるとき、前記内側ドリルガイドの前記遠位端部が、前記外側ドリルガイドの前記遠位端部に対して遠位側で終端する、実施態様1に記載のシステム。
(9) 少なくとも1つの骨係合機構が、前記縫合糸アンカーの外表面上に配設されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記内側ガイドの近位端部が、前記外側ガイド上に配設された前記ハンドルの近位端部と嵌合するように構成されている、実施態様8に記載のシステム。
【0035】
(11) 骨に軟組織を付着させるための方法であって、
縫合糸が組織を通じて延びるように、また前記縫合糸の第1及び第2の末端部が患者の体の外側に配置されるように、前記患者の体内の所望の場所で前記組織に前記縫合糸を通すことと、
外側ガイドの遠位端部が縫合糸アンカーを受容する場所にて骨に隣接して置かれるように、また前記縫合糸の一部分が、前記外側ガイドの中央ルーメンを通って延びるように、前記患者の体内に前記外側ガイドを配置することと、
前記縫合糸の末端部が、依然として前記患者の体の外側に配置されている間に、前記縫合糸を縫合糸アンカーに取り付けることと、
前記縫合糸の一部分が内側ガイドの外壁と前記外側ガイドの内壁との間に配置されるように、前記外側ガイドの前記中央ルーメンを通って前記内側ガイドを挿入することと、
前記内側ガイド内の中央ルーメンに骨ドリルを挿入し、前記骨内の所望の場所に穴を形成し、その後に前記骨ドリルと前記内側ガイドを取り除くことと、
前記穴の周りにあって骨と接触する位置に前記外側ガイドを維持しながら、前記外側ガイドに前記縫合糸アンカーを通し、前記穴内に前記縫合糸アンカーを移植することと、を含む方法。
(12) 前記外側ガイドが前記患者の体内に配置されるとき、前記外側ガイドの前記遠位端部に隣接する前記縫合糸の一部分が、前記外側ガイドの前記遠位端部から近位側に延びるノッチ内にスライド可能に嵌め込まれる、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記内側ガイドが前記外側ガイドの中に挿入されるとき、前記内側ガイドの前記遠位端部が、前記外側ガイドの前記遠位端部に対して近位側で終端する、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記骨に対して前記組織を所望の位置に引き寄せるために前記縫合糸に張力をかけることを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記縫合糸アンカーの近位端部の近くで前記縫合糸を整えることを更に含む、実施態様11に記載の方法。
(16) 前記縫合糸アンカーに前記縫合糸を取り付けることが、前記縫合糸アンカーの外側の位置から、前記縫合糸アンカーの遠位端部にある開口部を通じて、及び前記縫合糸アンカー内の中央ルーメンを通して上方に前記縫合糸を通すことによって達成される、実施態様11に記載の方法。
(17) 前記縫合糸アンカーに前記縫合糸を取り付けることが、前記内側ガイド内の前記中央ルーメンに前記骨ドリルを挿入することに先立って実施される、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記患者の体内に外側ガイドを配置することが、前記縫合糸の前記末端部が前記外側ガイドの外側に配置されるまで、前記外側ガイドの前記中央ルーメンに前記縫合糸を通すことを含む、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記縫合糸アンカーが前記外側ガイドに通されるとき、前記縫合糸アンカーの縦軸が、前記穴の縦軸と実質的に整列される、実施態様11に記載の方法。
(20) 前記患者の体内に前記外側ガイドを配置することが、前記患者に挿入されたカニューレを通して前記外側ガイドを配置することを含む、実施態様11に記載の方法。
【0036】
(21) 前記内側ガイドが前記外側ガイドの中に挿入されるとき、前記内側ガイドの前記遠位端部が、前記外側ガイドの前記遠位端部に対して遠位側で終端する、実施態様11に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15