【文献】
栗田 武彰 Takeaki KURITA,4Dプローブを用いた超音波によるバーチャル乳管内視鏡の開発 Virtual mammary endoscopy of ultra,日本超音波医学会学術集会プログラム・講演抄録集 Japanese Journal of Medic,日本,(社)日本超音波医学会 千田 彰一,2011年 4月15日,第38巻,S447
【文献】
林 雄一郎 Yuichiro HAYASHI,仮想化内視鏡システムにおける未提示領域の検出機能の開発 Development of a Function for Identifying No,MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY,日本,日本医用画像工学会 JAMIT,2002年 9月25日,Vol.20 No.5 September 2002,562-571
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記複数の走行線の中で指定された走行線の範囲を用いて、前記分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像を前記所定の表示部で表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の医用画像診断装置。
前記制御部は、前記合成画像の走行線上において、現時点で表示されている仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点の位置を識別可能とする描画を行なうように、前記画像合成部を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
前記制御部は、現時点で表示されている仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点と、前記管腔が有する複数の分岐点との位置関係を識別可能とする描画を、当該仮想内視鏡画像において行なうように制御する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
前記制御部は、視点の移動経路に沿って視点位置を往復して移動させることで仮想内視鏡画像を表示させるとともに、往路と復路とで視線方向を反転させる、又は、往路と復路とで視線方向を同一とさせる、請求項1〜7のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
前記制御部は、操作者が入力装置を用いて行なった操作に応じて、前記指定された走行線に沿って視点の位置を移動して、前記分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像を前記所定の表示部で表示させる、請求項1〜10のいずれか1つに記載の医用画像診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、医用画像診断装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下では、医用画像診断装置である超音波診断装置を実施形態として説明する。
【0012】
(実施形態)
まず、本実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図1に例示するように、本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0013】
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
【0014】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0015】
ここで、本実施形態に係る超音波プローブ1は、超音波により被検体Pを2次元で走査するとともに、被検体Pを3次元で走査することが可能な超音波プローブである。具体的には、第1の実施形態に係る超音波プローブ1は、一列に配置された複数の圧電振動子により、被検体Pを2次元で走査するとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するメカニカルスキャンプローブである。或いは、第1の実施形態に係る超音波プローブ1は、複数の圧電振動子がマトリックス状に配置されることで、被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2次元超音波プローブである。なお、2次元超音波プローブは、超音波を集束して送信することで、被検体Pを2次元で走査することも可能である。
【0016】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0017】
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像等を表示したりする。
【0018】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像データを生成する装置である。具体的には、第1の実施形態に係る装置本体10は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元の超音波画像データを生成可能な装置である。以下、3次元の超音波画像データを「ボリュームデータ」と記載する。
【0019】
装置本体10は、
図1に示すように、送信部11と、受信部12と、Bモード処理部13と、ドプラ処理部14と、画像生成部15と、ボリュームデータ処理部16と、画像メモリ17と、制御部18と、内部記憶部19とを有する。
【0020】
送信部11は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0021】
なお、送信部11は、後述する制御部18の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0022】
受信部12は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0023】
本実施形態に係る送信部11は、被検体Pを3次元走査するために、超音波プローブ1から3次元の超音波ビームを送信させる。そして、本実施形態に係る受信部12は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0024】
なお、受信部12からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
【0025】
Bモード処理部13は、受信部12から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0026】
ドプラ処理部14は、受信部12から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0027】
なお、本実施形態に係るBモード処理部13及びドプラ処理部14は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理部13は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理部14は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0028】
画像生成部15は、Bモード処理部13及びドプラ処理部14が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部15は、Bモード処理部13が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。また、画像生成部15は、ドプラ処理部14が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像データを生成する。
【0029】
ここで、画像生成部15は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部15は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部15は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0030】
更に、画像生成部15は、Bモード処理部13が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像データを生成する。また、画像生成部15は、ドプラ処理部14が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のカラードプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成部15は、「3次元のBモード画像データや3次元のカラードプラ画像データ」を「3次元の超音波画像データであるボリュームデータ」として生成する。
【0031】
ボリュームデータ処理部16は、画像生成部15が生成したボリュームデータから表示用の超音波画像データを生成する。ボリュームデータ処理部16は、
図1に示すように、レンダリング処理部161及び画像合成部162を有する。
【0032】
レンダリング処理部161は、ボリュームデータをモニタ2にて表示するための各種画像(2次元画像)を生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう処理部である。
【0033】
また、レンダリング処理部161が行なうレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像を生成する処理がある。また、レンダリング処理部161が行なうレンダリング処理としては、ボリュームデータの直交座標系に対して湾曲した平面を指定し、この湾曲した平面上の断面を再構成する「Curved MPR」を行なう処理や、ボリュームデータに対して「Intensity Projection」を行なう処理がある。また、レンダリング処理部161が行なうレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像(ボリュームレンダリング画像)を生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
【0034】
そして、本実施形態に係るレンダリング処理部161は、仮想内視鏡画像の表示(例えば、仮想内視鏡動画表示)を行なうための処理部として、仮想内視鏡画像生成部161aと、管腔画像生成部161bと、MPR画像生成部161cとを有する。
【0035】
仮想内視鏡画像生成部161aは、ボリュームレンダリング処理として、例えば、透視投影(Perspective Projection)法を行なうことで、管腔を含むボリュームデータから、管腔内を立体的に観察可能な仮想内視鏡画像を生成する。管腔画像生成部161bは、管腔を含むボリュームデータにおける輝度値を白黒反転させるcavityモードにより、管腔を立体的に視認可能な管腔画像を生成する。MPR画像生成部161cは、管腔を含むボリュームデータからMPR画像を生成する。
【0036】
ここで、超音波診断装置において、一般的に、ボリュームデータからMRP画像を生成する際に用いられる3種類の断面(A面、B面及びC面)について、
図2を用いて説明する。
図2は、A面、B面及びC面を説明するための図である。なお、
図2は、機械的に揺動するメカニカルスキャンプローブである超音波プローブ1において用いられるA面、B面及びC面を示している。A面は、
図2に示すように、超音波プローブ1における圧電振動子の配列方向と、超音波の送信方向とで形成される断面のことである。また、B面とは、
図2に示すように、超音波の送信方向と、揺動方向とで形成される断面のことである。また、C面とは、
図2に示すように、超音波の送信方向に対して垂直方向にある断面のことである。なお、超音波プローブ1が2次元超音波プローブである場合、A面及びB面それぞれは、圧電振動子の2つの配列方向それぞれと超音波の送信方向とで形成される2つの断面により定義される。
【0037】
図1に示す画像合成部162は、レンダリング処理部161が生成した様々な2次元画像を、所定のレイアウトで合成したり、各2次元画像に重畳される情報を合成したりする。そして、画像合成部162は、合成した画像をモニタ2に出力する。なお、本実施形態において、レンダリング処理部161及び画像合成部162が、例えば、仮想内視鏡動画表示を行なうために実行する処理については、後に詳述する。
【0038】
画像メモリ17は、画像生成部15及びボリュームデータ処理部16が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ17は、Bモード処理部13やドプラ処理部14が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ17が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部15やボリュームデータ処理部16を経由して表示用の超音波画像となる。
【0039】
内部記憶部19は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部19は、必要に応じて、画像メモリ17が記憶する画像データの保管等にも使用される。
【0040】
制御部18は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部18は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部19から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送信部11、受信部12、Bモード処理部13、ドプラ処理部14、画像生成部15及びボリュームデータ処理部16の処理を制御する。また、制御部18は、画像メモリ17や内部記憶部19が記憶する表示用の超音波画像データをモニタ2にて表示するように制御する。
【0041】
以上、本実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係る超音波診断装置は、管腔の走行線(芯線)に沿って視点を移動することで、仮想内視鏡画像を動画表示する仮想内視鏡動画表示を行なう。例えば、本実施形態に係る超音波診断装置は、バーチャル乳管内視鏡検査において、乳腺を含む領域の3次元走査により、乳腺に関するボリュームデータ、すなわち、乳腺を含むボリュームデータを生成する。そして、本実施形態に係る超音波診断装置は、乳腺を含むボリュームデータを用いて、乳腺の仮想内視鏡動画表示を行なう。バーチャル乳管内視鏡検査では、検査基準により、乳汁分泌のある乳管が有する全ての分枝を観察することが求められる。
【0042】
しかし、乳腺の構造特性により、乳腺を含むボリュームデータ中には、複数の乳管が存在し、更に、個々の乳管が分岐を繰り返すといった特徴がある。
【0043】
従来の仮想内視鏡動画表示では、操作者(検査者)は、一般的に、例えば、視点位置を通る3断面(A面、B面及びC面)でボリュームデータを切断したMPR画像を参照して仮想内視鏡画像の現在の視点位置を認識している。このため、従来の仮想内視鏡動画表示による検査では、検査者の見落としや勘違いにより、未観察の分枝が存在するにも関わらず、検査が完了してしまう場合があった。また、従来の仮想内視鏡動画表示では、走行線に沿った視点位置の移動方向を、自動検索で行なう場合や、手動で指示することで行なう場合がある。しかし、これらの方法では、操作者は、どの乳管のどの分枝を観察したのかが把握することが困難である。このように、従来の乳腺の仮想内視鏡動画表示では、未観察の分枝が存在するにも関わらず検査が完了してしまう場合があった。なお、未観察の分枝が存在するにも関わらず検査が完了してしまう可能性は、分岐する管腔を仮想内視鏡動画表示する場合に、一般的に生じる。
【0044】
そこで、本実施形態に係る超音波診断装置は、操作者が分岐を有する管腔の観察完了を容易に把握できる情報の表示を、以下、詳細に説明する制御部18の制御によりボリュームデータ処理部16が行なう処理により実行する。
【0045】
まず、本実施形態で、レンダリング処理部161が行なう処理の一例について詳細に説明する。仮想内視鏡画像生成部161aは、上述したように、ボリュームデータに含まれる管腔の仮想内視鏡画像を生成する。本実施形態では、仮想内視鏡画像生成部161aは、乳腺の管腔の仮想内視鏡画像を生成する。具体的には、仮想内視鏡画像生成部161aは、ボリュームデータに含まれる管腔の領域を抽出する。
図3A及び
図3Bは、仮想内視鏡画像生成部の処理の一例を説明するための図である。
【0046】
例えば、仮想内視鏡画像生成部161aは、管腔の輝度値に対応する輝度値を有する画素(ボクセル)を抽出することで、管腔領域を抽出する。そして、例えば、仮想内視鏡画像生成部161aは、抽出した管腔領域を細線化処理することで、
図3Aに示すように、管腔の走行線(芯線)を抽出する。
図3Aでは、走行線を点線で示している。そして、仮想内視鏡画像生成部161aは、例えば、透視投影(Perspective Projection)法により、
図3Bに示すように、走行線上に設定された視点からの仮想内視鏡画像を生成する。
図3Bでは、走行線上の1つの視点から右側に向かう視線方向で仮想内視鏡画像が生成されることを示している。なお、透視投影を行なうために、視点位置及び視線方向とともに、視野角も設定される。
【0047】
ここで、仮想内視鏡画像生成部161aは、分岐を有する管腔を含むボリュームデータから、分岐する管腔領域を抽出する。そして、仮想内視鏡画像生成部161aは、分岐する管腔領域から、複数の分岐点で枝分かれする走行線を抽出する。換言すると、仮想内視鏡画像生成部161aは、分岐を有する管腔の形状に基づいて、複数の走行線を生成する走行線生成部の機能を有する。例えば、仮想内視鏡画像生成部161aは、乳腺を含むボリュームデータから、分岐する乳管領域を複数抽出する。更に、仮想内視鏡画像生成部161aは、各乳管領域から、複数の分岐点で枝分かれする走行線を抽出する。例えば、主管の走行線は、第1分岐点で2本の第1分枝の走行線に枝分かれする。更に、第1分枝の走行線それぞれは、例えば、第2分岐点で2つの第2分枝の走行線に枝分かれする。分岐を有する管腔で仮想内視鏡動画表示を行なうべき視点の移動経路は、1つの管腔においても、複数となる。ここで、上記の主管は、責任乳管とも呼ばれる。責任乳管は、乳房内に複数存在する。走行線生成部である仮想内視鏡画像生成部161aは、複数の責任乳管それぞれで、「複数の分岐点で枝分かれする走行線」を抽出する。
【0048】
管腔画像生成部161bは、ボリュームデータに基づく、分岐を有する管腔の形状が描出された管腔画像を生成する。管腔画像生成部161bは、ボリュームデータに含まれる分岐する管腔の形状が描出された管腔画像を生成する。本実施形態では、管腔画像生成部161bは、乳腺に関するボリュームデータに基づく、分岐を有する乳腺の管腔の形状が描出された管腔画像を生成する。本実施形態では、管腔画像生成部161bは、上述したように、管腔を含むボリュームデータにおける輝度値を白黒反転させるcavityモードにより、分岐する管腔を立体的に視認可能な管腔画像を生成する。3次元のBモード画像データでは、管腔内の画素は、輝度値が低い。このため、管腔を含むボリュームデータにおける輝度値を白黒反転させた反転後のボリュームデータを用いることで、管腔画像では、管腔内の領域が高輝度で描出される。
図4A及び
図4Bは、管腔画像生成部の処理の一例を説明するための図である。なお、cavityモードにおいては、抽出した芯線に隣接する高輝度領域のみをレンダリングするように、対象ボクセルを絞ってレンダリングを行っても構わない。
【0049】
管腔画像生成部161bは、
図4Aに示すように、反転後のボリュームデータに対して、操作者から指定された視点位置及び視線方向によりボリュームレンダリング処理を行なう。これにより、管腔画像生成部161bは、
図4Bに示すように、管腔領域が明るく描出される管腔画像を生成する。
図4Bに示す管腔画像では、2つの乳管の形状が描出され、更に、各乳管が有する分岐の形状が描出されている。
【0050】
操作者は、管腔画像を生成するための視点位置及び視線方向を変更することで、様々な位置及び方向から、ボリュームデータに含まれる管腔の形状を視認することができる。なお、操作者は、例えば、入力装置3のマウスやトラックボールを操作することで、管腔画像生成用の視点位置及び視線方向を変更することができる。なお、本実施形態で用いられる管腔画像は、管腔が有する分岐の状態が全て描出されるように、管腔の形状を2次元で展開した画像であっても良い。
【0051】
MPR画像生成部161cは、上述したように、管腔を含むボリュームデータからMPR画像を生成する。
図5は、MPR画像生成部の処理の一例を説明するための図である。具体的には、仮想内視鏡動画表示の実行中に、MPR画像生成部161cは、
図5に示すように、表示される仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点位置を通るA面、B面及びC面のMPR画像を、管腔を含むボリュームデータから生成する。なお、
図1に示す画像合成部162は、
図5に示すように、A面、B面及びC面のMPR画像に、仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点位置及び視線方向の情報を示す画像を重畳させる。
【0052】
そして、本実施形態に係る画像合成部162は、分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像における視点の移動経路を示す複数の走行線を、管腔画像に重畳した合成画像を生成する。複数の走行線は、分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像を表示するために用いられる視点の移動経路となる。本実施形態では、複数の走行線は、分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像を動画表示するために用いられる視点の移動経路となる。例えば、画像合成部162は、仮想内視鏡画像生成部161aが抽出した「分岐を繰り返す走行線」を、分岐回数等の情報に基づいて、視点の移動経路としての複数の走行線に分離し、分岐した複数の走行線を管腔画像に重畳した合成画像を生成する。
図6A及び
図6Bは、画像合成部が生成する合成画像の一例を説明するための図である。
【0053】
図6Aは、画像合成部162が生成する合成画像を模式的に示す図である。
図6Aに示す管腔(乳管)の主管100は、第1分岐点200で、第1分枝101と第1分枝102に分岐している。主管100は、責任乳管に対応する。また、
図6Aに示す第1分枝101は、第2分岐点201で、第2分枝103と第2分枝104とに分岐している。また、
図6Aに示す第1分枝102は、第2分岐点202で、第2分枝105と第2分枝106とに分岐している。すなわち、主管100を有する管腔において、仮想内視鏡動画表示により観察が必要となる視点の移動経路は、「主管100、第1分枝101及び第2分枝103」の経路と、「主管100、第1分枝101及び第2分枝104」の経路と、「主管100、第1分枝102及び第2分枝105」の経路と、「主管100、第1分枝102及び第2分枝106」の経路との4本となる。なお、
図6Aに示す合成画像では、1つの責任乳管(主管100)における視点の移動経路を示しているが、実際には、
図6Aに示す合成画像では、複数の複数の責任乳管それぞれの視点の移動経路が示されている。
【0054】
制御部18は、操作者に仮想内視鏡動画表示を行なう視点の移動経路を把握させるために、合成画像をモニタ2に表示させる。しかし、分岐を繰り返す走行線をそのまま管腔画像に重畳させても、操作者は、例えば、視点の移動経路が4本であることを容易に把握することができない。
【0055】
そこで、画像合成部162は、例えば、分岐が2回繰り返される走行線が抽出されている場合、
図6Aに例示するように、「2×2=4」本の走行線を管腔画像の管腔内に重畳させる。なお、画像合成部162は、「走行線の管腔領域における位置、走行線の分岐点の管腔領域における位置及び走行線の分岐点の数」に関する情報を仮想内視鏡画像生成部161aから取得した制御部18の制御により、合成画像を生成する。
【0056】
図6Bは、
図4Bに示す管腔画像に対して、画像合成部162が複数の走行線を重畳させた合成画像を示す。なお、
図6Bに例示する合成画像では、作図上、走行線それぞれを、点線、鎖線、一点鎖線等で示しているが、実際には、走行線それぞれが、異なる色の点線で描画されている。各走行線の描画方法を変えることで、操作者は、視点の移動経路の数をより容易に把握することができる。
【0057】
以下、画像合成部162が管腔画像に重畳した走行線と区別するために、仮想内視鏡画像生成部161aが抽出した走行線を「抽出走行線」、又は、「視点の移動経路」と記載する場合がある。
【0058】
制御部18は、上述したように、合成画像を表示させる。
図7は、本実施形態に係る制御部による合成画像の表示例を説明するための図である。制御部18は、
図7に示すように、モニタ2の表示領域を6つの表示領域に分割する。そして、制御部18は、
図7に示すように、上段左側の表示領域にMPR画像(A面)を表示させ、上段中央の表示領域にMPR画像(B面)を表示させ、下段左側の表示領域にMPR画像(C面)を表示させる。なお、これら3つの分割表示領域に表示されるMPR画像それぞれには、
図7に示すように、仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点の位置及び視線方向の情報が重畳されている(図中の点や矢印を参照)。
【0059】
そして、制御部18は、
図7に示すように、下段中央の表示領域に仮想内視鏡画像を表示させ、上段右側の表示領域に管腔画像と複数の走行線との合成画像を表示させる。更に、制御部18は、
図7に示すように、下段右側の表示領域にフラースルー表示を行なうための操作メニューを表示させる。
【0060】
なお、制御部18は、ボリュームデータが指定されて、仮想内視鏡動画表示の開始要求を受け付けた場合、仮想内視鏡画像生成部161aに走行線の抽出処理を実行させ、管腔画像生成部161bに管腔画像の生成処理を実行させ、画像合成部162に合成画像の生成処理を実行させる。そして、制御部18は、MPR画像生成部161cに初期設定条件に基づく3つのMPR画像の生成処理を実行させ、仮想内視鏡画像生成部161aに初期設定条件に基づく仮想内視鏡画像の生成処理を実行させる。
【0061】
ここで、初期設定条件は、例えば、抽出走行線の中で最も長い抽出走行線の主管側の端点を視点位置とし、視線方向を第1分岐点へ向かう方向とする条件である。なお、視野角は、操作者により任意に設定される。
【0063】
第1制御として、制御部18は、複数の走行線の中で指定された走行線に沿って、分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像をモニタ2で表示させる。本実施形態では、制御部18は、指定された走行線に沿って、分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像をモニタ2で動画表示させる。例えば、操作者は、
図8Aに示すように、合成画像に重畳される複数の走行線の中で、仮想内視鏡動画の観察をしたい走行線をマウスにより指定する。そして、操作者は、
図7に示す操作メニューの「Auto」を押下することで、仮想内視鏡動画表示の要求を入力する。なお、
図8Aに示す複数の走行線は、互いに色が異なる点線で描画されている。
【0064】
或いは、操作者は、
図7に示す操作メニューのプルダウンメニューをマウスで押下する。これにより、制御部18は、
図8Bに示すように、プルダウンメニューの選択項目として、各走行線に対応付けられる色の線を表示させる。そして、操作者は、
図8Bに示すように、マウスにより観察したい走行線に対応する色の線を指定する。そして、操作者は、
図7に示す操作メニューの「Auto」を押下することで、仮想内視鏡動画表示の要求を入力する。
【0065】
これにより、制御部18は、
図8Cに示すように、指定された走行線に対応する抽出走行線の一方の端点から他方の端点へ向かう仮想内視鏡動画表示を開始させる。例えば、制御部18は、指定された走行線に対応する抽出走行線の主管側の端点から分枝側の端点に向かって、仮想内視鏡動画表示を行なわせる。なお、制御部18は、選択された走行線に対応する抽出走行線に沿って視点の位置が移動する仮想内視鏡画像群を、仮想内視鏡画像生成部161aに生成させる。制御部18は、仮想内視鏡画像の動画を、例えば、内部記憶部19に格納する。
【0066】
なお、走行線の指定は、制御部18によって自動的に行なわれる場合であっても良い。例えば、制御部18は、抽出走行線の長さの長い順に仮想内視鏡動画表示を実行させる。
【0067】
また、第2制御として、制御部18は、視点の移動経路に沿って視点位置を往復して移動させることで仮想内視鏡画像を表示させても良い。本実施形態では、第2制御を行なう場合、制御部18は、視点の移動経路に沿って視点位置を往復して移動させることで仮想内視鏡画像を動画表示させる。視点位置を往復させる場合、制御部18は、
図9Aに示すように、往路と復路とで視線方向を反転させる。或いは、制御部18は、
図9Bに示すように、往路と復路とで視線方向を同一とさせる。
図9Bに示す方法を行なうことで、仮想内視鏡検査で観察される仮想内視鏡画像の動画表示を、実際の内視鏡検査において行なわれる内視鏡の挿入及び引き出しにより観察される内視鏡画像の表示と同様の形態とすることができる。
【0068】
なお、視点位置の往復は、初期的に実行の有無が設定されている場合であっても良く、或いは、操作者により選択設定される場合であっても良い。また、視点位置の往復回数は、初期設定されている場合であっても良く、或いは、操作者により選択設定される場合であっても良い。また、視点位置の往復を行なう場合の往路及び復路の視線方向は、2種類のいずれか1種類が初期設定されている場合であっても良く、或いは、操作者により選択設定される場合であっても良い。また、視点位置の往復が複数回繰り返される場合、2種類の視線方向を交互に行なう等の設定が行なわれても良い。
【0069】
また、第3制御として、制御部18は、仮想内視鏡画像が表示された走行線の範囲と仮想内視鏡画像が表示されていない走行線の範囲とを識別可能とする描画を行なうように、画像合成部162を制御する。本実施形態では、第3制御を行なう場合、制御部18は、仮想内視鏡画像が動画表示された走行線の範囲と仮想内視鏡画像が動画表示されていない走行線の範囲とを識別可能とする描画を行なうように、画像合成部162を制御する。
【0070】
例えば、制御部18は、
図10に示すように、点線で描画された走行線の中で、仮想内視鏡動画表示が行なわれた走行線を点線から実線に変更するように画像合成部162を制御する。これにより、操作者は、モニタ2の合成画像を参照するだけで、仮想内視鏡動画表示が行なわれた走行線を把握することができる。なお、本実施形態は、制御部18により、仮想内視鏡動画表示が開始された走行線を全て点線から実線に変更される場合であっても良い。
【0071】
また、第4制御として、制御部18は、複数の走行線の全てで仮想内視鏡画像が表示されていない状態で、操作者から終了要求を受け付けた場合、警告を表示させる。本実施形態では、第4制御を行なう場合、制御部18は、複数の走行線の全てで仮想内視鏡画像が動画表示されていない状態で、操作者から終了要求を受け付けた場合、警告を表示させる。合成画像において、全ての走行線が実線表示に変更されていない時点で、操作者から仮想内視鏡動画表示の終了要求を受け付けた場合、制御部18は、例えば、
図11に示すように「全走行線の観察が終了していません!終了しても宜しいですか?」という警告文の画像を画像合成部162に生成させることで、モニタ2に警告を表示させる。
【0072】
なお、描画方法の変更は、線の色を変更することで、実行される場合であっても良い。また、同一の管腔において、指定された走行線とは別の走行線の中で、移動経路が共通する部分については、当該別の走行線においても点線から実線に表示を変更する場合であっても良く、或いは、当該別の走行線では点線のままとする場合であっても良い。
【0073】
また、第5制御として、制御部18は、複数の走行線の中で指定された走行線の範囲を用いて、分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像をモニタ2で表示させる。本実施形態では、第5制御を行なう場合、制御部18は、複数の走行線の中で指定された走行線の範囲を用いて、分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像をモニタ2で動画表示させる。
【0074】
具体的には、操作者は、合成画像に重畳される複数の走行線の中で、仮想内視鏡動画の観察をしたい走行線の範囲をマウスにより指定する。例えば、操作者は、
図12Aに示すように、仮想内視鏡動画の観察をしたい走行線の開始点をマウスで指定する。そして、操作者は、
図7に示す操作メニューの「Start」を押下することで、仮想内視鏡動画表示の要求を入力する。かかる場合、制御部18の制御により、仮想内視鏡画像生成部161aは、開始点が指定された走行線に対応する抽出走行線において、当該開始点に近接する位置から、当該抽出走行線の分枝側の端点に向かって視点位置を移動した仮想内視鏡画像群を生成し、モニタ2は、仮想内視鏡画像群を表示する。
【0075】
或いは、操作者は、
図12Bに示すように、仮想内視鏡動画の観察をしたい走行線の終了点をマウスで指定する。そして、操作者は、
図7に示す操作メニューの「Start」を押下することで、仮想内視鏡動画表示の要求を入力する。かかる場合、制御部18の制御により、仮想内視鏡画像生成部161aは、指定された走行線に対応する抽出走行線の主管側の端点から、当該抽出走行線において指定された終了点に近接する位置に向かって視点位置を移動した仮想内視鏡画像群を生成し、モニタ2は、仮想内視鏡画像群を表示する。
【0076】
或いは、操作者は、
図12Cに示すように、仮想内視鏡動画の観察をしたい走行線の開始点及び終了点をマウスで指定する。そして、操作者は、
図7に示す操作メニューの「Start」を押下することで、仮想内視鏡動画表示の要求を入力する。かかる場合、制御部18の制御により、仮想内視鏡画像生成部161aは、指定された走行線に対応する抽出走査線において、指定された開始点に近接する位置から指定された終了点に近接する位置に向かって視点位置を移動した仮想内視鏡画像群を生成し、モニタ2は、仮想内視鏡画像群を表示する。
【0077】
なお、制御部18は、指定範囲の走査線で仮想内視鏡動画表示を行なわせる第5の制御を行なう場合にも、仮想内視鏡動画表示が行なわれた走査線については、描画方法を変更させる第3制御を行なっても良い。また、制御部18は、第5の制御を行なう場合にも、視点位置の往復を行なわせる第2制御を行なっても良い。
【0078】
また、第6制御として、制御部18は、合成画像の走行線上において、現時点で表示されている仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点の位置を識別可能とする描画を行なうように、画像合成部162を制御する。
【0079】
例えば、制御部18の制御により、画像合成部162は、
図13Aに示すように、表示に用いられた視点範囲を点線から実線に変更する。すなわち、制御部18は、
図10を用いて説明した制御処理と同様の処理を行なう。操作者は、点線と実線との境界位置を、現時点で表示されている仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点の位置として把握することができる。また、
図13Aに示す走行線を参照することで、操作者は、視線方向が、点線に向かう方向であることを把握することができる。
【0080】
或いは、例えば、制御部18の制御により、画像合成部162は、
図13Bに示すように、現時点で表示されている仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点の位置及び視線方向を示す「目の模式図」を走行線上に重畳する。或いは、例えば、制御部18の制御により、画像合成部162は、
図13Cに示すように、現時点で表示されている仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点の位置を黒丸で描画し、視線方向を矢印で描画した図を走行線上に重畳する。
【0081】
また、第7制御として、制御部18は、現時点で表示されている仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点と、管腔が有する複数の分岐点との位置関係を識別可能とする描画を、当該仮想内視鏡画像において行なうように制御する。
【0082】
上述したように、制御部18は、仮想内視鏡画像生成部161aから「抽出走行線の管腔領域における位置、抽出走行線の分岐点の管腔領域における位置及び抽出走行線の分岐点の数」に関する情報を取得している。また、制御部18は、画像合成部162が管腔画像に重畳させた走行線と抽出走行線との対応関係も取得することができる。従って、制御部18は、現時点で表示されている仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点が、例えば、主管に位置するのか、第1分枝に位置するのか、第2分枝に位置するのかを判定することができる。
【0083】
例えば、視点位置が主管であると判定した制御部18の制御により、仮想内視鏡画像生成部161aは、
図14Aに示すように、現時点で表示されている仮想内視鏡画像を、赤の色調とする。また、例えば、視点位置が第1分枝であると判定した制御部18の制御により、仮想内視鏡画像生成部161aは、
図14Aに示すように、現時点で表示されている仮想内視鏡画像を、青の色調とする。また、例えば、視点位置が第2分枝であると判定した制御部18の制御により、仮想内視鏡画像生成部161aは、
図14Aに示すように、視点位置が第2分枝である場合、現時点で表示されている仮想内視鏡画像を、黄の色調とする。制御部18は、視点位置が分岐点を通過するごとに、仮想内視鏡画像の色調を変更させる。
【0084】
或いは、例えば、制御部18の制御により、画像合成部162は、
図14Bに示すように、制御部18が判定した視点の位置を、仮想内視鏡画像の表示領域の左下に合成する。
図14Bに例示する場合、表示されている仮想内視鏡画像が「第1分枝」の視点で生成された仮想内視鏡画像であることが表示されている。
【0085】
また、第8制御として、制御部18は、仮想内視鏡画像の表示中に(本実施形態では、仮想内視鏡画像の動画表示中に)、操作者から指定された仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点の位置を含む断面でボリュームデータを切断した(MPR画像)に印を表示させる。また、第8制御として、制御部18は、合成画像において、操作者から指定された仮想内視鏡画像の生成に用いられた視点の位置に対応する走行線上の位置に印を表示させる。
【0086】
例えば、操作者は、自身が指定した走査線を用いた仮想内視鏡動画表示を参照して、病変と思われる部位が描出された仮想内視鏡画像(以下、関心画像)が表示された時点で、
図7に示す操作メニューの「Mark」を押下する。ここで、モニタ2は、関心画像の生成に用いられた視点の位置を通る3つのMPR画像を表示している。画像合成部162は、制御部18の指示により、モニタ2に表示されている3つのMPR画像の少なくとも1つの表示領域に印が表示されるよう、画像の合成処理を行なう。
【0087】
また、例えば、画像合成部162は、制御部18の指示により、
図15Aに示すように、合成画像において、関心画像の生成に用いられた視点の位置に対応する走査線上に印を合成する。
【0088】
ここで、上述したように、制御部18は、表示された仮想内視鏡画像の動画を、内部記憶部19に格納している。操作者は、格納済みの仮想内視鏡動画を読み出して、再度表示させることができる。従って、操作者は、動画再生中に、印が重畳されたMPR画像や合成画像が出現する時点の仮想内視鏡画像を探索することで、病変と思われる部位を、繰り返して観察することができる。なお、上記の動画再生は、仮想内視鏡動画表示の途中でも実行することができる。
【0089】
或いは、第8制御が行なわれる場合、病変と思われる部位(例えば、石灰化部位)を再度観察する操作者の負担を軽減するために、制御部18は、以下の第9制御を行なっても良い。すなわち、第9制御として、制御部18は、印が操作者により指定された場合、当該印が位置する走行線において、当該印を含む所定の範囲の走行線を用いた仮想内視鏡画像群を表示させる。本実施形態では、第9制御を行なう場合、制御部18は、操作者により指定された印が位置する走行線において、当該印を含む所定の範囲の走行線を用いた仮想内視鏡画像群を動画表示させる。
【0090】
例えば、操作者は、
図15Aに示す合成画像上の印をマウスにより押下して、
図7に示す「Start」を押下する。制御部18は、例えば、印に対応する抽出走行線の位置を中心とする前後の一定区間に沿った仮想内視鏡画像群をモニタ2に表示させる。
【0091】
ここで、第9制御を行なう場合、制御部18は、上述した第2制御も行なう場合であっても良い。かかる場合、モニタ2には、
図15Bに示すように、一定区間を往復で仮想内視鏡動画表示させる。なお、制御部18は、
図9Aに示すように、往路と復路とで視線方向を反転させる。或いは、制御部18は、
図9Bに示すように、往路と復路とで視線方向を同一とさせる。なお、上記の一定区間に沿った仮想内視鏡画像群の一部が動画として保存されていない場合、制御部18は、仮想内視鏡画像生成部161aに未生成の仮想内視鏡画像を生成させる。
【0092】
第9制御が行なわれる場合、操作者は、仮想内視鏡動画の最終フレームの合成画像に重畳された印を指定するだけで、病変と思われる部位の前後を、詳細に繰り返して観察することができる。
【0093】
次に、
図16及び
図17を用いて、本実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。
図16は、本実施形態に係る超音波診断装置の仮想内視鏡動画表示の処理例を説明するためのフローチャートである。また、
図17は、本実施形態に係る超音波診断装置の仮想内視鏡動画の再生処理例を説明するためのフローチャートである。
【0094】
図16に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置の制御部18は、ボリュームデータに含まれる分岐を有する管腔の仮想内視鏡動画表示の開始要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、仮想内視鏡動画表示の開始要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、制御部18は、仮想内視鏡動画表示の開始要求を受け付けるまで待機する。
【0095】
一方、仮想内視鏡動画表示の開始要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、仮想内視鏡画像生成部161aは、ボリュームデータの管腔領域を抽出し、走行線(抽出走行線)を抽出する(ステップS102)。そして、管腔画像生成部161bは、管腔画像を生成し(ステップS103)、画像合成部162は、管腔画像に複数の走行線を重畳した合成画像を生成する(ステップS104)。そして、初期設定条件により、MPR画像生成部161cは、MPR画像(A面、B面及びC面)を生成し、仮想内視鏡画像生成部161aは、仮想内視鏡画像を生成する(ステップS105)。そして、制御部18の制御により、モニタ2は、MPR画像、仮想内視鏡画像及び合成画像を表示する(ステップS106)。
【0096】
そして、制御部18は、合成画像における走行線が指定されたか否かを判定する(ステップS107)。ここで、走行線が指定されない場合(ステップS107否定)、制御部18は、走行線が指定されるまで待機する。
【0097】
一方、走行線が指定された場合(ステップS107肯定)、制御部18は、指定された走行線の仮想内視鏡動画表示を開始し、仮想内視鏡動画の保存を開始する(ステップS108)。なお、操作者が指定した走行線において仮想内視鏡動画表示の範囲が指定されている場合、ステップS108で開始される仮想内視鏡動画表示は、指定範囲のみの仮想内視鏡動画表示となる。
【0098】
そして、制御部18は、仮想内視鏡動画表示済みの走行線の表示を変更させる(ステップS109)。なお、ステップS109において、制御部18は、仮想内視鏡動画表示されている仮想内視鏡画像の視点位置を識別可能な表示をさせても良い。そして、制御部18は、操作メニューのマーク(Mark)が押下されたか否かを判定する(ステップS110)。ここで、マークが押下された場合(ステップS110肯定)、制御部18は、MPR画像及び合成画像に印を重畳させる(ステップS111)。
【0099】
そして、制御部18は、ステップS111の処理の後、又は、マークが押下されない場合(ステップS110否定)、指定された走行線の仮想内視鏡動画表示が完了したか否かを判定する(ステップS112)。ここで、指定された走行線の仮想内視鏡動画表示が完了していない場合(ステップS112否定)、制御部18は、ステップS109に戻って、仮想内視鏡動画表示済みの走行線の表示変更制御を行なう。
【0100】
一方、指定された走行線の仮想内視鏡動画表示が完了した場合(ステップS112肯定)、制御部18は、仮想内視鏡動画表示の終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS113)。ここで、仮想内視鏡動画表示の終了要求を受け付けない場合(ステップS113否定)、制御部18は、ステップS107に戻って、新たな走行線の指定を受け付けたか否かを判定する。
【0101】
一方、仮想内視鏡動画表示の終了要求を受け付けた場合(ステップS113肯定)、制御部18は、全走行線の仮想内視鏡動画表示を行なったか否かを判定する(ステップS114)。ここで、全走行線の仮想内視鏡動画表示を行なっていない場合(ステップS114否定)、制御部18は、警告を表示させ(ステップS115)、ステップS107に戻って、新たな走行線の指定を受け付けたか否かを判定する。
【0102】
一方、全走行線の仮想内視鏡動画表示を行なっている場合(ステップS114肯定)、制御部18は、仮想内視鏡動画表示の制御処理を終了する。
【0103】
また、仮想内視鏡動画の再生処理が行なわれる場合、
図17に示すように、制御部18は、印が指定されたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、印が指定されない場合(ステップS201否定)、制御部18は、印が指定されるまで待機する。
【0104】
一方、印が指定されない場合(ステップS201肯定)、制御部18は、指定された印の位置を含む範囲の仮想内視鏡動画表示を往復して実行させ(ステップS202)、仮想内視鏡動画の再生処理を終了する。
【0105】
上述してきたように、本実施形態では、管腔画像に視点位置の移動経路を示す複数の走行線が重畳された合成画像を表示する。合成画像を参照することで、操作者は、仮想内視鏡動画表示を行なう視点の移動経路の形状や、仮想内視鏡動画表示を行なう視点の移動経路の本数等、分岐する管腔内全ての観察を完了するための情報を把握することができる。その結果、本実施形態では、分岐を有する管腔の観察完了を容易に把握させることができる。
【0106】
また、本実施形態では、第1制御や第5制御が行なわれることで、操作者は、走行線や、走行線上の範囲を指定するだけでといった簡易な操作で、複数経路の仮想内視鏡動画表示を順次実行させることができる。また、本実施形態では、第3制御が行なわれることで、操作者は、仮想内視鏡動画表示が未実施の経路を容易に把握することができ、その結果、観察漏れを防止することができる。また、本実施形態では、第6制御が行なわれることで、操作者は、仮想内視鏡動画表示されている仮想内視鏡画像に描出される管腔内の位置を容易に把握することができる。
【0107】
また、本実施形態では、第7制御が行なわれることで、操作者は、移動している視点の現在の位置が、管腔の何番目の分枝であるのかを容易に認識することができる。また、本実施形態では、第2制御が行なわれることで、操作者は、同一経路を繰り返して詳細に観察することができる。また、本実施形態では、第2制御において、視線方向の反転制御が行なわれることで、操作者は、同一経路を異なる方向で繰り返して詳細に観察することができる。また、本実施形態では、第2制御において、視線方向の固定制御が行なわれることで、操作者は、内視鏡検査で行なわれる内視鏡の視線方向と一致する視線方向で、同一経路を繰り返して詳細に観察することができる。また、本実施形態では、第4制御が行なわれること表示される警告により、操作者は、分岐を有する管腔の観察を確実に完了することができる。
【0108】
また、本実施形態では、第8制御や第9制御が行なわれることで、操作者は、詳細な観察が必要とされる管腔の範囲の仮想内視鏡動画を、何回でも容易に表示させることができる。また、操作者は、印が重畳された直交3断面のMPR画像や、合成画像上の印の位置を参照することで、病変の位置を把握することができる。すなわち、本実施形態は、治療方針(例えば、ニップルの温存の可不可)を決定するための情報を提供することができる。
【0109】
なお、本実施形態は、管腔画像に重畳される複数の走行線を操作者が設定する場合であっても良い。かかる場合、操作者は、入力装置3を介して走行線の設定要求を行なう。制御部18は、管腔画像をモニタ2に表示させ、操作者は、管腔画像を参照して、入力装置3が有するマウス等を用いて管腔画像に複数の走行線を設定する。これにより、画像合成部162は、
図6Bの合成画像を生成する。かかる場合、上述した仮想内視鏡動画表示における視点位置の移動経路は、操作者によって管腔画像で設定された複数の走行線が用いられる。また、本実施形態は、操作者が、合成画像に描出された複数の走行線の全て、又は、一部を、操作者が修正したり、削除したり、或いは、操作者が、合成画像に新たな走行線を追加したりする場合であっても良い。
【0110】
また、上記の本実施形態では、制御部18が、表示の要求を受け付けた場合に、当該要求に該当する仮想内視鏡画像群を、ボリュームデータから仮想内視鏡画像生成部161aに生成させる場合について説明した。上記の本実施形態では、制御部18が、動画表示の要求を受け付けた場合に、当該要求に該当する仮想内視鏡画像群を、ボリュームデータから仮想内視鏡画像生成部161aに生成させている。すなわち、上記の本実施形態では、仮想内視鏡画像生成部161aは、リアルタイムでボリュームレンダリング処理を行なう必要があるため、負荷が高くなる場合がある。本実施形態は、仮想内視鏡画像生成部161aの処理負荷を軽減させるために、以下の変形例が行なわれる場合であっても良い。
図18は、本実施形態の変形例を説明するための図である。
【0111】
すなわち、本実施形態の変形例では、仮想内視鏡画像生成部161aは、
図18に示すように、複数の走行線それぞれを用いて表示される仮想内視鏡画像群を予め生成して、内部記憶部19が有する仮想内視鏡画像記憶部19aに格納する。本変形例では、仮想内視鏡画像生成部161aは、複数の走行線それぞれを用いて動画表示される仮想内視鏡画像群を予め生成して、内部記憶部19が有する仮想内視鏡画像記憶部19aに格納する。
そして、制御部18は、表示の要求を受け付けた場合に、当該要求に該当する仮想内視鏡画像群を仮想内視鏡画像記憶部19aから選択してモニタ2に表示させる。本変形例では、制御部18は、動画表示の要求を受け付けた場合に、当該要求に該当する仮想内視鏡画像群を仮想内視鏡画像記憶部19aから選択してモニタ2に動画表示させる。
【0112】
本実施形態の変形例では、仮想内視鏡動画表示に用いられる仮想内視鏡画像群を予め網羅して生成しておくことで、超音波診断装置の負荷を軽減させるともに、仮想内視鏡動画表示を円滑に実行させることができる。
【0113】
なお、上記の実施形態及び変形例では、操作者が指定した走行線に沿って自動的に視点の位置が移動されて、仮想内視鏡画像が動画表示される場合について説明した。しかし、上記の実施形態及び変形例において、仮想内視鏡画像の表示形態は、自動的な動画表示に限定されるものではない。例えば、仮想内視鏡画像の表示形態は、走行線上の複数の視点により生成された複数の仮想内視鏡画像が並列表示される場合であっても良い。
【0114】
また、走行線上の視点の位置の移動は、操作者による手動操作により行なわれる場合であっても良い。かかる場合、制御部18は、操作者が入力装置3を用いて行なった操作に応じて、指定された走行線に沿って視点の位置を移動して、分岐を有する管腔の仮想内視鏡画像(乳腺の管腔の仮想内視鏡画像)をモニタ2で表示させる。例えば、操作者は、走行線を指定した後、マウスのホイールやトラックボールを回転させる。制御部18は、操作者が行なった回転量及び回転方向に応じて、操作者が指定した走行線上で視点の位置を移動し、移動後の視点の位置に該当する仮想内視鏡画像を表示させる。このような手動操作により、操作者は、視点位置が異なる仮想内視鏡画像を順次、自身が所望する間隔で観察することができ、石灰化等の画像診断を詳細に行なうことができる。また、操作者は、マウスのホイールやトラックボールの回転方向を反転することで、
図9Aや
図9Bで説明した観察を行なうことができる。なお、上記の実施形態及び変形例で説明した内容は、走行線上の視点の位置の移動が操作者による手動操作で行なわれる点以外、本変形例でも適用可能である。
【0115】
また、上記の実施形態及び変形例では、乳腺を、分岐を有する管腔の一例として説明した。しかし、本実施形態及び変形例で説明した画像処理方法は、頚動脈等、分岐を有する管腔であり、超音波画像に描出可能な管腔であるならば、任意の臓器に適用可能である。また、上記の実施形態及び変形例では、超音波診断装置において、上記の画像処理方法が実行される場合について説明した。しかし、本実施形態で説明した画像処理方法は、X線診断装置や、X線CT装置、MRI装置等、分岐を有する管腔を含むボリュームデータを収集可能な医用画像診断装置において実行される場合であっても良い。
【0116】
また、本実施形態及び変形例で説明した画像処理方法は、医用画像診断装置とは独立に設置された画像処理装置により実行される場合であっても良い。具体的には、
図1に示すボリュームデータ処理部16及び制御部18の機能を有する画像処理装置は、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)のデータベースや、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベース等から3次元の医用画像データであるボリュームデータであり、分岐を有する管腔を含むボリュームデータを受信して、本実施形態及び変形例で説明した画像処理方法を行なう。
【0117】
また、本実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、画像合成部162が実行する処理は、画像生成部15により実行される場合であっても良い。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0118】
また、本実施形態及び変形例で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0119】
以上、説明したとおり、本実施形態及び変形例によれば、分岐を有する管腔の観察完了を容易に把握させること画像診断に有用な画像データを確実に保存することができる。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。