(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、太陽電池パネルの4辺にフレームを取り付けているため、フレーム自体の重量によって太陽電池モジュール全体の重量が増加するといった問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、モジュール全体の重量を軽量化でき、かつ、パネル表面の排水性を確保できる太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、矩形状の太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルの縁部を保持する枠部材と
、前記太陽電池パネルの裏面に配置される補強部材とを有する太陽電池モジュールであって、上記の課題を解決するために、前記枠部材は、前記太陽電池パネルの一方の対向辺側のみに設けられて
おり、前記補強部材の両端は、前記枠部材の切り込みに嵌り込むように配置されていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、太陽電池パネルの縁部を保持する枠部材が、一方の対向辺側のみに設けられ、他方の対向辺側には設けられない。これにより、太陽電池パネルの全周縁部に枠部材を設ける構成に比べ、太陽電池モジュールの軽量化を図ることができる。
【0009】
また、太陽電池モジュール上に降った雨水等は、枠部材が存在しない側の辺から流れ落ち、太陽電池パネルの表面の排水性を確保できる。これにより、雨水に含まれる埃等が太陽電池パネルの表面に付着することを防止できる。
【0010】
また、前記太陽電池モジュールでは、前記枠部材は、該枠部材が取り付けられる太陽電池パネルの辺よりも長く形成され、前記枠部材の両端部が前記太陽電池パネルの端部から突出している構成とすることができる。
【0011】
上記の構成によれば、例えば、枠部材が設けられていない側の辺を下にして太陽電池モジュールを立てた場合、地面には枠部材の端部のみが接触する。したがって、太陽電池パネルの端部(枠部材が設けられていない側の端部)が地面に接触することは無く、そのような接触によるパネル破損が防止できる。
【0012】
また、前記太陽電池モジュールでは、前記枠部材は、前記太陽電池パネルに対して、接着剤と両面テープとを併用して接着されている構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、接着剤を用いることによって太陽電池パネルと枠部材とを強固に接着でき、部分的に両面テープを用いることで接着剤が硬化する前のモジュールのハンドリングが容易になる。
【0014】
また、前記太陽電池モジュールでは、前記太陽電池パネルの裏面に配置される補強部材を有し、前記補強部材は、前記太陽電池パネルの裏面に接着されるとともに、その両端が前記枠部材に接合されている構成とすることができる。
【0015】
上記の構成によれば、太陽電池パネルと枠部材と補強部材とが強固な支持構造を有し、太陽電池モジュールの強度を向上させることができる。
【0016】
また、前記太陽電池モジュールでは、前記枠部材は、前記太陽電池パネルの受光面側の表面に溝部が形成されている構成とすることができる。
【0017】
上記の構成によれば、太陽電池パネルの表面の排水性をより向上させることができる。例えば、傾斜を有する屋根上やフレーム設置用架台に太陽電池モジュールを配置する場合には、枠部材は上記傾斜方向と直行するように(一方の枠部材が下側に配置されるように)配置される。このとき、太陽電池モジュール上に降った雨水等は、枠部材が存在しない左右の辺から流れ落ちるのみでなく、溝部からも傾斜下方向に流れることができる。
【0018】
また、前記太陽電池モジュールでは、前記枠部材は、端部にカバー部材が設けられている構成とすることができる。
【0019】
上記の構成によれば、枠部材の端部にキズがつくことを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池パネルの縁部を保持する枠部材が、一方の対向辺側のみに設けられ、他方の対向辺側には設けられない構成とすることで、太陽電池モジュールの軽量化を図ることができるといった効果を奏する。
【0021】
また、太陽電池モジュール上に降った雨水等は、枠部材が存在しない側の辺から流れ落ちるため、太陽電池パネルの表面の排水性を確保できるといった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1および
図2は本実施の形態1における太陽電池モジュール1の全体構成を示す斜視図である。
図1は太陽電池モジュール1をおもて面側(受光面側)から見た図であり、
図2は太陽電池モジュール1を裏面側(受光面の反対側)から見た図である。
【0025】
太陽電池モジュール1は、主として、縦長に形成された矩形状の太陽電池パネル2と、この太陽電池パネル2の長辺方向の縁部を保持する一対の長辺側枠部材3,3と、少なくとも一本の補強部材4(
図2では2本)とで構成されている。補強部材4は、太陽電池パネル2の裏面に、この太陽電池パネル2の短辺と平行に配置されている。本実施の形態における太陽電池パネル2の外形は、およそ1400mm×1000mmである。また、図示は省略するが、太陽電池パネル2の裏面には、太陽電池パネル2からの出力を取り出す出力端子ボックスが備えられている。
【0026】
太陽電池パネル2は、
図3にその端部断面を一部拡大して示すように、透光性絶縁基板21上に、透明電極膜22、光電変換層23、裏面電極膜24がこの順に積層される。透明電極膜22、光電変換層23、および裏面電極膜24は、太陽電池セル25を構成する。さらに、裏面電極膜24上に、封止フィルム26と、耐候性・高絶縁性のための裏面保護シートとしてのバックフィルム27とが積層される。こうして、太陽電池パネル2は、全体がラミネート封止された一体構造とされる。
【0027】
透光性絶縁基板21としてはガラスや、ポリイミドなどの耐熱性樹脂が用いられている。透明電極膜22としてはSnO
2、ZnO、ITOなどがある。そして光電変換層23としてはアモルファスシリコンや微結晶シリコンなどのシリコン系光電変換膜や、CdTe,CuInSe
2などの化合物系光電変換膜がある。また、裏面電極膜24は、例えばZnO透明導電膜及び銀薄膜からなる。更に封止フィルム26としては、EVA(エチレンビニルアセテート樹脂)製やPVB(ポリビニルブチラール樹脂)製の高分子フィルムが用いられる。更にまたバックフィルム27としては、防湿性確保のためにPET/Al/PET(PET:ポリエチレンテレフタレート)の3層構造やPVF/Al/PVF(PVF:ポリフッ化ビニル樹脂フィルム)の3層構造となっている。すなわち、PETまたはPVFだけでは、付着する水滴の浸入は防止できても水蒸気の浸入は防止できないため、水蒸気の浸入を防止できる金属層(防水層)であるAl層27aを内部に介在させている。
【0028】
封止フィルム26として熱可塑性アイオノマー樹脂を用いることがより好ましい。熱可塑性アイオノマー樹脂は水蒸気透過率が低いため、太陽電池モジュールの防湿性が向上する。封止フィルム26として熱可塑性アイオノマー樹脂を用いた場合、バックフィルム27として、金属層を介在させる必要がなく、PET、PVFまたはこれらを積層したフィルムを用いることができる。例えば、PET/PET、PVF/PVFまたはPETとPVFの2層構造とすることができる。この場合、外側のPET(あるいはPVF)として、内側のPET(あるいはPVF)よりも耐候性の高いものを使用することによって、封止フィルム26のコストを抑えることができる。また、内側のPET(あるいはPVF)を黒色等の太陽電池セルの色彩に似た色に着色することによって、太陽電池パネルの受光面側からの外観を良くすることができる。外観向上のための手法としては、封止フィルムに黒色等の着色をする方法を取ることも可能である。
【0029】
上記のように構成してなる太陽電池モジュール1は、運搬する際の運搬コストや設置する際の設置場所における支持荷重の軽減等の観点から、できるだけ軽量化することが望ましい。そのため、上記の太陽電池モジュール1は、アルミニウム等の軽量素材で形成されるのが好ましく、上記の長辺側枠部材3,3および補強部材4は、導電性を有するアルミニウムで形成されている。すなわち、アルミニウムの押出加工によりそれぞれ成形されている。ただし、これらはチタンやステンレス、若しくはジュラルミンなどのアルミニウム合金等を用いて形成されていてもよい。
【0030】
次に、長辺側枠部材3及び補強部材4の基本構成について説明する。
【0031】
[長辺側枠部材の説明]
図4に示すように、長辺側枠部材3は、外壁面31、上壁面32、内壁面33、及び下壁面34からなる矩形の閉断面を有する枠体形状を有して形成されている。さらに、外壁面31から上方に延びた後、内側(図中右側)へ折り曲げられて成る延長屈曲片35が設けられている。
【0032】
これにより、長辺側枠部材3の上壁面32と延長屈曲片35の水平部分との間に太陽電池パネル2の外周端部が嵌り込む嵌合溝部37が形成される。なお、この嵌合溝部37の幅寸法(
図4中の上下方向寸法)は、太陽電池パネル2の厚さ寸法(
図3中の上下方向寸法)よりも僅かに大きく設定されている。
【0033】
また、長辺側枠部材3の内壁面33の下部には、補強部材4をネジ等で取り付け固定するためのネジ孔(雌ネジ)36aが形成された固定用リブ片36が形成されている。この固定用リブ片36は、下壁面34から内側に延びた後、上方および内側へと折り曲がることで補強部材4の下側水平板42(
図5参照)の厚み分だけの段差を有する。なお、固定用リブ片36のネジ孔36aは、補強部材4の取り付け位置に対応して設けられている。さらに、固定用リブ片36の内側先端には、補強部材4の取り付け位置に対応して切り込み36bが設けられている。
【0034】
また、長辺側枠部材3は太陽電池パネル2の長辺よりも僅かに長く形成され、長辺側枠部材3を太陽電池パネル2に取り付けた際には、太陽電池パネル2の両端部から長辺側枠部材3が突出する。
【0035】
[補強部材の説明]
図5に示すように、補強部材4は、上側水平板41、下側水平板42及び両水平板を支持する垂直支持板43からなるH型である。この補強部材4の下側水平板42の両端部には、ネジを通すためのネジ孔42aが形成されている。ネジ孔42aは、長辺側枠部材3のネジ孔36aに対応して設けられている。
【0036】
また、下側水平板42の下面には、垂直支持板43との連結部に沿って第1補強用リブ片42bが凸状に形成されている。すなわち、補強部材4には、太陽電池パネル2の重みが垂直支持板43に集中的にかかるため、この部分に第1補強用リブ片42bを形成することで厚みを厚くして、強度を確保している。
【0037】
さらに、本実施形態では、下側水平板42の下面の両側縁部にも、長手方向に沿って第2補強用リブ片42c,42cが形成されている。第2補強用リブ片42c,42cを形成することで、下側水平板42自体の強度を保つことができる。なお、第1補強用リブ片42b及び第2補強用リブ片42cは、断面矩形状や断面円弧形状等に形成することが可能である。
【0038】
上側水平板41の長手方向長さは、下側水平板42及び垂直支持板43の長手方向長さに比べ、その両端で長辺側枠部材3の切り込み36bの長さにほぼ対応する長さ分だけ短くなっている。
【0039】
[太陽電池モジュールの組み立て工程の説明]
次に、上記構成の各部材を用いて、太陽電池モジュール1を組み立てる手順について、
図6ないし
図8を参照して説明する。
【0040】
まず、
図6(a)に示すように、太陽電池パネル2の長辺縁部に接着部材51が設けられる。本実施の形態では、接着部材51には、
図6(b)に示すように、両面テープと接着剤とが使用される。すなわち、太陽電池パネル2の長辺縁部に沿って、不連続に両面テープを複数箇所貼り付け、両面テープが貼られていない箇所には接着剤を塗布する。そして、この接着部材51が設けられた太陽電池パネル2の長辺縁部に、長辺側枠部材3の嵌合溝部37を嵌め込む(
図7参照)。太陽電池パネル2に取り付けられた長辺側枠部材3は、その両端が太陽電池パネル2の両端部から僅かに突出している。
このとき、接着部材51は、単に太陽電池パネル2と長辺側枠部材3とを接着するのみでなく、太陽電池パネル2と長辺側枠部材3の嵌合溝部37との隙間を封止する役割を持つ。このため、両面テープは、太陽電池パネル2と長辺側枠部材3の嵌合溝部37との隙間を埋めるように十分な厚み(1.0〜1.2mm程度)のものが使用される。
【0041】
次に、この状態で太陽電池パネル2の裏面側から所定の間隔を存して平行に2つの補強部材4,4をそれぞれ配置する(
図7参照)。このとき、補強部材4の垂直支持板43が長辺側枠部材3の切り込み36bに嵌り込むことによって、補強部材4が長辺側枠部材3に対して位置決めされる。上側水平板41の両端部は、長辺側枠部材3の切り込み36bの長さにほぼ対応する長さ分だけ短くなっているため、上側水平板41が固定用リブ片36に干渉することは無い。さらに、補強部材4の上側水平板41の上面には、粘性のある接着部材(図示せず)が予め設けられている。
【0042】
こうして補強部材4が配置されると、補強部材4の下側水平板42の両端部に形成されたネジ孔42aからネジを挿通し、左右の長辺側枠部材3,3に形成された固定用リブ片36,36のネジ孔36a,36aにねじ込む。これにより、補強部材4が左右の長辺側枠部材3,3に固定される。
【0043】
このとき、補強部材4の下側水平板42に形成された第1及び第2補強用リブ片42b,42cの高さ位置が、長辺側枠部材3の下壁面34の高さ位置とほぼ面一となるように、内壁面33に形成されている固定用リブ片36の高さ位置が設定されている。また、第1及び第2補強用リブ片42b,42cの高さは、固定されたネジの頭部が第1及び第2補強用リブ片42b,42cから下に出ない高さに形成されている。これにより、太陽電池モジュール1の屋根等への設置作業において、補強部材4の下側水平板42に形成された第1及び第2補強用リブ片42b,42cやネジの頭部が作業中に引っかかるといった不具合は発生しない。
【0044】
また、長辺側枠部材3は、アルミニウム等の押出加工により成形されており、外壁面31、上壁面32、内壁面33、及び下壁面34からなる枠体内部は空洞となっている。また、上記空洞は、長辺側枠部材3の長手方向の両端部において開放されている。このため、長辺側枠部材3の両端部には、上記空洞を覆い隠すようなカバー部材6(
図8,
図9参照)をかぶせることが好ましい。
【0045】
カバー部材6は、例えばポリプロピレン等の樹脂による射出成型品として成型され、
図8に示すように、長辺側枠部材3の端部を覆う主面部61と、主面部61の周縁の複数箇所に設けられた係合部62とからなる。
図8では、三箇所の係合部62A〜62Cが設けられている。
【0046】
係合部62A〜62Cは、
図9(a)に示すように、長辺側枠部材3の端部全体を外側から挟み込みようにして、カバー部材6を長辺側枠部材3の端部に取り付ける。また、カバー部材6の主面部61の内側に突部を設け、この突部を長辺側枠部材3の内壁面33の内側に形成された穴部に差し込むことで、カバー部材6を長辺側枠部材3に対してより強固に取り付けることができ、カバー部材6の脱落を防止できる。尚、
図9(b)は、カバー部材6を長辺側枠部材3に取り付けた状態の外観を示している。
【0047】
カバー部材6が長辺側枠部材3の空洞部を塞ぐことで、太陽電池モジュール1を立てて地面に置いたときなどに、泥や小石が上記空洞部内に入ることを防止できる。また、長辺側枠部材3にキズがつくことを防止することができる。もちろん、カバー部材6によって長辺側枠部材3の空洞部が露出しないため、太陽電池モジュール1の美観を損なうことも回避できる。
【0048】
さらに、カバー部材6においては、太陽電池モジュール1のおもて面側と裏面側とのそれぞれに、嵌合凹部63Aと嵌合凸部63Bとを形成しても良い。嵌合凹部63Aおよび嵌合凸部63Bは、太陽電池モジュール1を積載するときに上下に嵌合し合い、位置ずれを防ぐためのガイドとなる。
【0049】
上記説明の太陽電池モジュール1では、太陽電池パネル2の縁部は長辺側枠部材3,3によって長辺の縁部のみが保持されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、太陽電池パネル2の縁部は一方の対向辺側のみに設けられ、他方の対向辺側に設けられない構成であればよい。すなわち、太陽電池パネル2の短辺の縁部のみが枠部材によって保持されていてもよい。また、上記説明の太陽電池モジュール1では、2本の補強部材4を設けた構成が例示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。枠部材と補強部材との関係については、例えば以下のようにすることが好適である。
【0050】
すなわち、太陽電池モジュール1がフルサイズモデル(およそ1400mm×1000mm)である場合には、上記説明で例示したように、太陽電池パネル2の長辺の縁部を長辺側枠部材3,3によって保持し、2本の補強部材4,4を設ける構成とすることが好ましい(
図10(a)参照)。一方、太陽電池モジュール1がハーフサイズモデル(およそ700mm×1000mm)である場合には、太陽電池パネル2の短辺の縁部を短辺側枠部材3’,3’によって保持し、1本の補強部材4を設ける構成とすることが好ましい(
図10(b)参照)。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1では、太陽電池パネル2の縁部を保持する枠部材が、一方の対向辺側のみに設けられ、他方の対向辺側に設けられない。これにより、太陽電池パネル2の短辺側および長辺側の両方、すなわち、太陽電池パネル2の全周縁部に枠部材を設ける構成に比べ、太陽電池モジュール1の軽量化を図ることができる。
【0052】
また、本実施の形態に係る太陽電池モジュール1では、枠部材が設けられない方向の強度は補強部材4に依存する。このため、補強部材4による荷重性能を最大限とするために、特に2本の補強部材を設ける場合には、例えばシミュレーションによって補強部材4の取付位置を設計することが好ましい。
図11は、フルサイズモデルの太陽電池モジュール1において、太陽電池パネル2の端部(短辺)からの補強部材4の取付位置を変化させて、太陽電池パネル2に生じる最大変位量をシミュレーションにて求めた結果を示すグラフである。ここでは、補強部材4の取付位置を200mm、250mm、300mm、350mm、400mmとしてシミュレーションを行った。この結果、補強部材4の取付位置を太陽電池パネル2の端部(短辺)から300mmとした場合に最大変位量が最も小さい値となっている。これにより、補強部材4の取付位置は300mmが最適構造とされる。補強部材4の取付位置は、太陽電池パネル2の端部(短辺)から250mm以上350mm以下の範囲とすることが好ましい。この範囲に設定することにより、太陽電池パネルの最大変位量を25mm以下と小さくすることができる。
【0053】
本実施の形態1に係る太陽電池モジュール1は、傾斜を有する屋根上やフレーム設置用架台に配置する場合には、
図12に示すように、太陽電池パネル2の縁部を保持する枠部材が、上記傾斜方向と直行するように(一方の枠部材が下側に配置されるように)配置される。このため、太陽電池モジュール1の上記傾斜方向と平行となる辺の縁部には枠部材が存在しない。したがって、太陽電池モジュール1上に降った雨水等は、枠部材が存在しない左右の辺から流れ落ち、太陽電池パネル2の表面に溜まることを防止できる。これにより、雨水に含まれる埃等が太陽電池パネル2の表面に付着することを防止できる。
【0054】
本実施の形態1に係る太陽電池モジュール1では、太陽電池パネル2は長辺側枠部材3,3に対して、接着部材51によって接着される。これにより、太陽電池モジュール1の強度を向上させることができると共に、荷重印加時に太陽電池パネル2から長辺側枠部材3,3が外れることを防止できる。
【0055】
また、接着部材51は、両面テープと接着剤とが併用して使用される。接着部材51は、接着剤を用いることによって太陽電池パネル2と長辺側枠部材3,3とを強固に接着できる。さらに、部分的に両面テープを用いることで、接着剤が硬化する前のハンドリングが容易になる。
【0056】
本実施の形態1に係る太陽電池モジュール1では、太陽電池パネル2の裏面に補強部材4が設けられる。補強部材4は、太陽電池パネル2の裏面に接着されるとともに、長辺側枠部材3,3に対してはネジ等によって接合される。これにより、太陽電池パネル2と長辺側枠部材3,3と補強部材4とが強固な支持構造を有し、太陽電池モジュール1の強度を向上させることができる。
【0057】
本実施の形態1に係る太陽電池モジュール1では、長辺側枠部材3は太陽電池パネル2の長辺よりも長く形成され、長辺側枠部材3を太陽電池パネル2に取り付けた際には、太陽電池パネル2の両端部から長辺側枠部材3が僅かに突出する。これにより、例えば、短辺を下にして太陽電池モジュール1を立てた場合、地面には長辺側枠部材3の端部のみが接触する。したがって、太陽電池パネル2の端部(枠部材が設けられていない側の端部)が地面に接触することは無く、そのような接触によるパネル破損が防止できる。
【0058】
本実施の形態1に係る太陽電池モジュール1では、長辺側枠部材3の端部にはカバー部材6が設けられる。カバー部材6は、長辺側枠部材3の端部を覆うように、長辺側枠部材3の端部に嵌め込まれる。また、カバー部材6には突部が、長辺側枠部材3には穴部が設けられており、長辺側枠部材3の穴部にカバー部材6の突部を差し込むことにより、カバー部材6の脱落を防止できる。
【0059】
また、カバー部材6においては、太陽電池モジュール1のおもて面側と裏面側とのそれぞれに、嵌合凹部63Aと嵌合凸部63Bとを形成することで、複数の太陽電池モジュール1を積載するときに位置ずれを防ぐためのガイドとなる。これにより、複数の太陽電池モジュール1を梱包して輸送する際の破損等を防ぐことができる。
【0060】
〔実施の形態2〕
以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照して詳細に説明する。
【0061】
図13は本実施の形態2における太陽電池モジュール11の全体構成を示す斜視図であり、太陽電池モジュール11をおもて面側(受光面側)から見た図である。尚、本実施の形態2における太陽電池モジュール11は、実施の形態1における太陽電池モジュール1とほぼ類似した構成を有する。ここでは、異なる部分のみを説明し、実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0062】
太陽電池モジュール11は、
図13に示すように、
図1における長辺側枠部材3,3に代えて長辺側枠部材3’,3’を用いている。長辺側枠部材3’には、太陽電池モジュール11のおもて面側(延長屈曲片35の上面)の少なくとも一箇所に、溝部38が設けられている。溝部38の底面は、太陽電池パネル2の表面とほぼ同一面となるように形成される。
【0063】
実施の形態1でも述べたように、傾斜を有する屋根上やフレーム設置用架台に太陽電池モジュール11を配置する場合には、長辺側枠部材3’,3’は上記傾斜方向と直行するように配置される。このとき、太陽電池モジュール11上に降った雨水等は、長辺側枠部材3’,3’が存在しない左右の辺から流れ落ちるのみでなく、溝部38から傾斜下方向にも流れることができる。これにより、太陽電池モジュール11上の水抜けが良くなり、雨水に含まれる埃等が太陽電池パネル2の表面に付着することを防止できる。
【0064】
〔実施の形態3〕
本実施の形態3における太陽電池モジュールは、実施の形態1または2における太陽電池モジュールと同じ構成を有し、端子ボックスおよびケーブル部分のみが異なる。本実施の形態では、端子ボックスおよびケーブル部分のみについて説明する。
【0065】
[端子ボックスからのケーブル取り出し例]
端子ボックスからのケーブル取り出し例を
図14に示す。
図14(a)は、1枚の太陽電池モジュールを単独で使用する場合、太陽電池モジュールどうしを直列接続する場合および複数の太陽電池モジュールを幹線ケーブルに接続する場合に適した例であり、
図14(b)は、1枚の太陽電池モジュールを単独で使用する場合および複数の太陽電池モジュールを幹線ケーブルに接続する場合に適した例である。
図14(a)の例では、プラスおよびマイナスのそれぞれに出力用ケーブルおよびコネクタを設けている。また、
図14(b)の例では、2芯の出力用ケーブルを一本のみ設けている。
【0066】
図14(c),(d)は、複数の太陽電池モジュールを並列接続して使用する場合に適した例である。
図14(c)の例では、プラスおよびマイナスのそれぞれに出力用ケーブルを2本ずつ設けている。また、
図14(d)の例では、2芯の出力用ケーブルを2本設けている。
【0067】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。