(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の導電ループが前記第1の導電ループに磁気結合されることにより、前記第1の導体と前記第2の導体との間に通信リンクを与える、請求項1に記載の集積回路パッケージ。
前記集積回路パッケージが外部磁界に晒されたとき、前記外部磁界に応じて前記第1の導電ループ内に誘起された第1の雑音信号成分は、前記外部磁界に応じて前記第3の導電ループ内に誘起された第2の雑音信号成分と逆である、請求項1に記載の集積回路パッケージ。
前記受信回路は、前記封止部内に配置された第1の集積回路チップに含まれ、前記第1の集積回路チップは前記第1の導体に結合される、請求項13に記載の集積回路パッケージ。
前記受信回路は、前記封止部内の前記リードフレーム上に実装された第1の集積回路チップに含まれ、前記第1の集積回路チップは前記第1の導体に結合される、請求項13に記載の集積回路パッケージ。
前記送信回路は、前記封止部内に配置された第2の集積回路チップに含まれ、前記第2の集積回路チップは前記第2の導体に結合される、請求項16に記載の集積回路パッケージ。
前記送信回路は、前記封止部内の前記リードフレーム上に実装された第2の集積回路チップに含まれ、前記第2の集積回路チップは前記第2の導体に結合される、請求項16に記載の集積回路パッケージ。
前記第1の導電ループおよび前記第3の導電ループは、前記第2の導電ループに流れる電流によって生じた変化する磁界により、前記第1の導電ループおよび前記第3の導電ループ内に誘起された、磁気結合された信号が、付加的なものとなるように、配置される、請求項1に記載の集積回路パッケージ。
前記集積回路パッケージは外部磁界に晒され、前記外部磁界に応じて前記導電受信ループ内に誘起された第1の雑音信号成分の大きさは、前記外部磁界に応じて前記導電消去ループ内に誘起された第2の雑音信号成分の大きさに実質的に等しい、請求項21に記載の集積回路パッケージ。
前記集積回路パッケージは外部磁界に晒され、前記外部磁界に応じて前記導電受信ループ内に第1の雑音信号成分が誘起され、前記外部磁界に応じて前記導電消去ループ内に第2の雑音信号成分が誘起され、前記第1の雑音信号成分と前記第2の雑音信号成分を合成したものは実質的にゼロに等しい、請求項21に記載の集積回路パッケージ。
前記第2の絶縁制御チップは、前記リードフレームの前記第2の導体の上に実装され、前記第2の絶縁制御チップは、前記導電送信ループに結合され前記導電送信ループを完成する、請求項22に記載の集積回路パッケージ。
前記第1の絶縁制御チップおよび前記第2の絶縁制御チップは、前記集積回路パッケージの、それぞれの外部ピンパッドに、結合される、請求項22に記載の集積回路パッケージ。
前記導電受信ループおよび前記導電消去ループは、前記導電送信ループに流れる電流によって生じた変化する磁界により、前記導電受信ループおよび前記導電消去ループ内に誘起された、磁気結合された信号が、付加的なものとなるように、配置される、請求項21に記載の集積回路パッケージ。
前記外部磁界が前記導電受信ループの面を通過する方向は、前記外部磁界が前記導電消去ループの面を通過する方向と実質的に同一である、請求項32に記載の集積回路パッケージ。
前記導電受信ループの前記第2の端部は前記導電消去ループの前記第4の端部に結合され、前記第1の端部と前記第3の端部との間で前記外部磁界に応じて誘起された合成電圧は、実質的にゼロである、請求項32に記載の集積回路パッケージ。
信号磁界が前記導電受信ループの面を通過する方向は、信号磁界が前記導電消去ループの面を通過する方向と実質的に逆である、請求項32に記載の集積回路パッケージ。
第3の電圧が、前記信号磁界に応じて前記導電受信ループの前記第1の端部と前記第2の端部との間に誘起され、第4の電圧が、前記信号磁界に応じて前記導電消去ループの前記第3の端部と前記第4の端部との間に誘起される、請求項37に記載の集積回路パッケージ。
前記導電受信ループの前記第2の端部は前記導電消去ループの前記第4の端部に結合され、前記第1の端部と前記第3の端部との間で前記信号磁界に応じて誘起された合成電圧は、前記第3の電圧と前記第4の電圧の和に実質的に等しい、請求項38に記載の集積回路パッケージ。
前記導電受信ループの前記第1の端部と前記第2の端部とに結合されて前記第1の電圧を受け、かつ前記導電消去ループの前記第3の端部と前記第4の端部とに結合されて前記第2の電圧を受ける、算術オペレータ回路をさらに備え、前記算術オペレータ回路は、前記第1の電圧および前記第2の電圧に対して算術演算を実行するように、結合される、請求項32に記載の集積回路パッケージ。
導電送信ループをさらに備え、前記導電送信ループは前記封止部の内部において前記導電受信ループの近傍に配置されることにより前記導電受信ループと前記導電送信ループとの間に通信リンクを与える、請求項32に記載の集積回路パッケージ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面の中のいくつかの図において対応する参照符号は対応する構成要素を示す。当業者は、図中の要素が、簡潔性および明瞭性を目的として示されたものであって必ずしも正しい縮尺で描かれていないことを、理解するであろう。たとえば、図中の要素の中には、その寸法が他の要素の寸法よりも強調されることによって、本発明のさまざまな実施の形態が理解し易くなるようにしているものがある。また、実用化可能な実施の形態において有用または必要な、共通するが十分に理解されている要素は、図示しないことによって、本発明の上記さまざまな実施の形態の図が見易くなるようにしている。
【0009】
詳細な説明
以下の説明において、本発明が十分に理解されるよう、具体的な詳細事項が多数記載されている。しかしながら、本発明を実施するためにこの具体的な詳細事項を使用する必要がないことは、当業者には明らかであろう。それ以外の例では、本発明が不明瞭にならぬよう、周知の材料または方法は詳細に説明していない。
【0010】
本明細書全体を通して、「ある実施の形態」、「1つの実施の形態」、「ある例」、または「一例」という記載は、その実施の形態または例との関連で説明される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施の形態に含まれることを、意味する。したがって、この明細書を通して異なる箇所で、「ある実施の形態において」、「1つの実施の形態において」、「ある例において」、または「一例において」という表現が複数用いられているが、これらは必ずしもすべて同じ実施の形態または例を指しているのではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性を、1つ以上の実施の形態または例において、任意の適切な組合せおよび/または下位の組合せの形で、組合せてもよい。特定の特徴、構造、または特性は、1つの集積回路、1つの電子回路、1つの組合せ論理回路、または、記載されている機能性を提供する他の適切な構成要素に含まれていてもよい。加えて、添付の図面が当業者に対する説明を目的としていること、および、図面が必ずしも正しい縮尺で描かれていないことが、理解される。
【0011】
上記のように、電気機器は、送信機と受信機との間の磁気通信を利用して機能し得る。機器の一例は同期フライバックコンバータであってもよい。同期フライバックコンバータはパワーコンバータトポロジの一例であり、これは、2つのアクティブスイッチを利用することにより、パワーコンバータの入力から出力へのエネルギ伝達を制御する。パワーコンバータは、高効率、小型、低重量であるためによく使用されており、現代の電子機器の多くに電力を供給する。一方のアクティブスイッチ(一次スイッチと呼ぶ)は、エネルギ伝達素子の一次巻線(入力巻線とも呼ぶ)に結合され、他方のアクティブスイッチ(二次スイッチと呼ぶ)は、このエネルギ伝達素子の二次巻線(出力巻線とも呼ぶ)に結合される。一般的にはコントローラが各アクティブスイッチを制御する。たとえば、一次スイッチは一般的に一次コントローラによって制御され、二次スイッチは一般的に二次コントローラによって制御される。二次コントローラは送信機の一例であってもよく、一次コントローラは受信機の一例であってもよい。
【0012】
一次コントローラおよび二次コントローラは、パワーコンバータの出力を、閉ループ内のパワーコンバータの出力を検知し制御することによって調整するために、利用される。より具体的には、一次コントローラおよび二次コントローラのうちのいずれか(または双方)を、負荷に送られる出力量を調整するためにパワーコンバータの出力に関する情報をフィードバックするセンサに、結合してもよい。パワーコンバータの出力は、このフィードバック情報に応じて一次スイッチおよび二次スイッチのオンとオフを制御することにより、調整される。
【0013】
さらに、同期フライバックコンバータ内において、一次スイッチおよび二次スイッチは、同時にオンすることができない。一般的に、開いたスイッチは、オフであり通常は電流を流さないと考えられる。閉じたスイッチは、一般的に、オンであり電流を流し得ると考えられる。したがって、同期フライバックコンバータの一次コントローラおよび二次コントローラを同期させることによって、一次スイッチおよび二次スイッチが同時に電流を流さないことを保証する。言い換えると、一次コントローラおよび二次コントローラが通信することによって、パワーコンバータの出力を調整するとともに、一次スイッチおよび二次スイッチが同時にオンしないことを保証する。
【0014】
一般的に、一次コントローラおよび二次コントローラは、それぞれ別々の集積回路パッケージ内にある集積回路(IC)として実装される。外部回路を用いて、一次コントローラと二次コントローラとの間の通信を容易にし、それと同時に必要なガルバニック絶縁を与えることによって安全性の要求に応えることが多い。
【0015】
集積回路パッケージは典型的にリードフレームを含む。リードフレームは、集積回路パッケージ内に含まれ得る1つまたは複数のチップを機械的に支持する。一般的に、リードフレームは典型的に、半導体チップを装着し得るチップ装着パッドを含む。加えて、リードフレームは一般的に、集積回路パッケージの外部の回路に対する電気接続として機能するリードも含む。リードフレームは一般的に、平坦な金属シートから構成される。平坦な金属シートに対し、リードフレームのチップ装着パッドおよびさまざまなリードを定めるパターンに従って、打抜き加工、エッチング、穴開け加工等を行なってもよい。この開示の目的に沿い、「集積回路パッケージ」という用語は、一般的に集積回路に使用される種類のパッケージを指す。本発明の実施の形態の中には、パッケージ内に集積回路がない実施の形態があってもよい。
【0016】
本発明の教示に従う例は、リードフレームを利用することによって、送信機と受信機との間に磁気結合されかつガルバニック絶縁された通信リンクを提供するとともに、雑音消去を提供する。実施の形態の中には、送信機と受信機が同一の集積回路パッケージ内にある実施の形態があってもよい。本発明の実施の形態は、リードフレームを利用して、リードフレーム内に形成された送信機ループおよび受信機ループを用いる送信機と受信機との間の通信を、容易にする。さらに、本発明の実施の形態は、集積回路パッケージの外部の磁界に対する感受性を改善し得る、リードフレーム内に形成された消去ループを利用する。この外部磁界は、雑音と呼ぶ場合もある。
【0017】
以下で述べるように、本発明の教示に従い、ガルバニック絶縁された導体がリードフレーム内に定められ、磁気結合された導電ループがこの絶縁された導体を用いて定められる。さまざまな例において、リードフレームの導体に含まれる導電ループは、送信ループ、受信ループ、および/または消去ループとして機能し得る。ある例において、受信ループおよび消去ループは、実質的に同じ大きさおよび形状であり、互いに逆方向に巻かれる。一例において、受信ループおよび送信ループは、互いに磁気結合される。加えて、受信ループは送信ループによって囲まれていてもよい。別の例において、受信ループが送信ループを囲んでいてもよい。ある例において、リードフレーム内の、受信ループ、送信ループ、および消去ループは各々、ひと巻きで構成されてもよい。一般的に、ワイヤまたはその他の導電材料を一回巻いて1つのループを形成したものを、ひと巻きとみなし得る。ワイヤまたはその他の導電材料を数回巻いたものは、多重巻きとみなし得る。電気回路内の電流は、閉じた経路の中を進むはずである。本願の目的に沿い、物理的に閉じた電流経路をループと呼んでもよい。1つのループは、(本開示の例において集積回路パッケージ内のリードフレームおよびボンドワイヤで形成できる)異なる、導体等の要素と、循環する電流の経路の中にある電気部品とを、含み得る。このループの各要素はループの一部を形成し、このループ内の1つ以上の要素の組合せを部分ループと呼ぶ。磁界結合の場合、磁界を囲むループは、典型的に1つ以上の巻きを有すると表現される。巻きは各々、磁界の1つの囲いに対応する。
【0018】
リードフレームは一般的に、既に集積回路パッケージの一部である。しかしながら、本発明の教示に従い、リードフレームそのものに含まれるガルバニック絶縁された導体によって定められる導電ループを利用することによって、送信機と受信機との間の磁気結合された通信リンクを提供するとともに雑音消去を提供すれば、追加のコストはごくわずかである。また、リードフレームを利用することによって、電源の全体の大きさも減少するであろう。加えて、リードフレームを利用することによって、パッケージの全体のコストも減少するであろう。
【0019】
なお、二次コントローラが送信機回路を含み一次コントローラが受信機回路を含む、絶縁された同期スイッチモードフライバックパワーコンバータの一例は、本開示において、説明を目的として記載されている。しかしながら、スイッチモードパワーコンバータおよび/またはその他の回路の他のトポロジの例も、一般的に、本発明の教示に従う集積回路パッケージの利益を受けるであろうことが、理解される。この集積回路パッケージは、リードフレームに含まれるガルバニック絶縁された導電ループによって定められる磁気結合された通信リンクを含むことによって、送信機と受信機との間の通信を行ない雑音消去を提供する。さらに、本発明の教示に従う例は、説明のために、送信機と受信機との間の通信に関連して記載されているが、トランシーバを利用するシステムも本発明の教示の利益を受けるであろうことが、理解される。
【0020】
まず
図1Aを参照して、本発明の教示に従う消去巻線112を含む概念的なシステム100を示す概略図が示される。
図1Aに示される概略的なシステム100は本発明の教示を説明するために利用されていることが、理解される。
図1Aに示されるように、システム100は、送信機巻線108と、受信機巻線110と、消去巻線112とを有する、磁気結合要素104を含む。示されている例では、図示のように、受信機巻線110の一端は消去巻線112の一端に結合される。図示のように、送信機102が送信機巻線108に結合され、受信機106が受信機巻線110および消去巻線112に結合される。さらに
図1Aに示されるように、送信機巻線108は送信機電流I
T116を伝導し、送信機巻線108の送信機電圧はV
T114である。図示のように、受信機巻線110および消去巻線112は受信機電流I
R120を伝導し、受信機巻線110および消去巻線112の受信機電圧はV
R118である。加えて、
図1Aは、雑音ブロック111および雑音巻線113を示す。しかしながら、雑音ブロック111および雑音巻線113は、説明のためのものであり、磁気結合要素104に巻かれた巻線113に結合された物理的な雑音発生回路ブロック111を表わすためではなく、説明を目的としてシステム100に対する雑音の影響をモデル化するために、
図1Aに含まれていることが、理解されるはずである。
【0021】
また、
図1Aに示されるドットおよび三角形は、1つの巻線が別の巻線に、これら巻線同士の磁気結合によって誘起する、電流の方向および電圧の極性を、表わしている。具体的には、ドットは、受信機巻線110および消去巻線112において、送信機巻線108からの磁気結合によって誘起される、電流の方向および電圧の極性を示す。三角形は、受信機巻線110および消去巻線112において、雑音巻線113からの磁気結合によって誘起される、電流の方向および電圧の極性を示す。言い換えると、ドットおよび三角形は、以下で、
図2Aおよび
図2Bとの関連でもさらに詳細に記載される、巻線同士の関係を説明し易くしている。
【0022】
送信機102は、
図1Aに示されるドットによって示されるように、送信機電流I
T116が送信機巻線108に流れ込むように、磁気結合要素T1 104の送信機巻線108に結合される。加えて、送信機巻線108の電圧降下が、ドットによって示され送信機電圧V
T114として示される。磁気結合要素T1 104はまた、受信機巻線110および消去巻線112を含む。
図1Aに示されるように、
図1Aのドットおよび三角形双方によって示される端部である受信機巻線110の一端は、受信機106に結合され、三角形によって示される消去巻線112の端部も、受信機106に結合される。
図1Aに示されるように、ドットおよび三角形のない受信機巻線の端部は、ドットによって示される消去巻線112の端部に結合される。受信機106が受ける電圧は、受信機電圧V
R118として示され、対応する電流は、受信機電流I
R120として示される。送信機102は、情報を、送信機巻線108と受信機巻線110と消去巻線112との間の磁気結合を通して、受信機106に送信し得る。送信機102は情報を電圧信号および/または電流信号として伝えてもよく、受信機106はこの情報を電圧信号および/または電流信号として受信してもよい。実施の形態において、送信機102は情報を送信機電流I
T116を利用して伝えてもよい。ある例において、送信機102内の回路は、送信機電流I
T116のさまざまな特性を制御することによって情報を受信機106に伝えてもよい。送信機電流I
T116の大きさが変化しているとき、これは、変化する磁界を導体の近傍に生じさせる。実施の形態において、受信機巻線110および消去巻線112はいずれも導体である。電磁誘導の法則に従い、電圧は、変化する磁界に晒される導体に発生する。したがって、実施の形態において、受信機電圧V
R118は、送信機電流I
T116の変化によって生じた変化する磁界によって誘起され、結果として受信機電流I
R120を生じさせ得る。受信機
106は、送信機が誘起した電圧および/または電流を受けてこの電圧および/または電流を情報と解釈し得る回路を含む。制御されて情報を伝え得る送信機電流I
T116の特性は、送信機電流I
T116の大きさおよび変化率を含み得る。伝達される信号は、デジタル情報の形態であってもアナログ情報の形態であってもよい。デジタル情報の場合、通信は、2値信号の形態であっても、より複雑な符号化されたデジタルデータの形態であってもよく、これは当業者には周知であろう。他の通信技術を使用してもよいことが理解されるはずである。他の例において、送信機電流I
T116と、結果として誘起される受信機電圧V
R118および受信機106が受ける受信機電流I
R120との関係を利用する通信技術を利用してもよい。
【0023】
図1Aにはさらに、雑音ブロック111および雑音巻線113が示される。ブロック111および雑音巻線113が
図1Aにおいて点線で示されているのは、システム100に対する雑音の影響をモデル化するためであることが、理解される。具体的には、システム100の外部の雑音は、送信機102と受信機106との間での情報の伝送に影響を与え得る。たとえば、雑音ブロック111は、望ましくない電磁干渉(EMI)を生じさせる他の電子機器またはシステムと相関関係があるかもしれない。よって、雑音巻線113は、システム100に対する雑音ブロック111の影響と相関関係がある。言い換えると、雑音ブロック111および雑音巻線113を利用することによって、システム100に対する外部磁界の影響をモデル化してもよい。
【0024】
図1Aに示されるように、送信機巻線
108内の電流I
T116は、ドットで示されるように、受信機巻線110に電流および電圧を誘起し得る。誘起された電流は、ドットで示される受信機巻線110の端部から流れ出る。ドットで示される受信機巻線110の端部から受信機巻線110の他端までの電圧降下がある。送信機電流I
T116はまた、ドットで示される消去巻線112に電流および電圧を誘起する。誘起された電流は、ドットで示される消去巻線112の端部から流れ出る。ドットで示される消去巻線112の端部から消去巻線112の他端までの電圧降下がある。
【0025】
消去巻線112は、送信機巻線108と、異相で磁気結合される。
図1Aに示されるように、消去巻線112のドットの位置と、送信機巻線のドットの位置は、それぞれの巻線において、逆の場所にある。しかしながら、送信機巻線
108は、受信機巻線110と、同相で磁気結合される。送信機巻線
108のドットの位置と、受信機巻線110のドットの位置はどちらも、それぞれの巻線において、同一の対応する場所にある。さらに、消去巻線112と、受信機巻線110は、異相で、互いに磁気結合される。図示のように、消去巻線112および受信機巻線110は、示されている例において「数字の8」の形状を構成している。別の言い方をすると、消去巻線112と受信機巻線110は、互いに逆方向に巻かれている。たとえば、消去巻線112は時計回り方向に巻かれてもよく、その場合、受信機巻線は反時計回り方向に巻かれる。
【0026】
さまざまな例において、図示の、受信機巻線110の一端と消去巻線112の一端との結合は、送信機102から受信した信号を増強し得る。このことは、以下で、
図2Bとの関連でさらに説明する。送信機電流I
T116は、受信機巻線110および消去巻線112双方に電流および電圧を誘起する。受信機電流I
R120は、受信機巻線110および消去巻線112双方を流れる電流である。加えて、送信機102が誘起した受信機電圧V
R118は、受信機巻線110の電圧と消去巻線112の電圧とを合成したものまたはこれらの和である。
【0027】
雑音ブロック111および雑音巻線113としてモデル化される、たとえば外部磁界等の雑音も、受信機巻線110および消去巻線112に電圧を誘起し得る。受信機巻線110の電圧降下は、三角形で示される受信機巻線110の端部から、受信機巻線110の他端までの、電圧降下である。加えて、雑音による消去巻線112の電圧降下は、三角形で示される消去巻線112の端部から、消去巻線112の他端までの、電圧降下である。
【0028】
受信機巻線110および消去巻線112はいずれも、雑音巻線113と、同相で磁気結合される。
図1Aに示されるように、三角形の位置は、雑音巻線113、受信機巻線110、および消去巻線112において、同一の対応する場所にある。しかしながら、上記のように、受信機巻線110と消去巻線112とは、異相で、互いに磁気結合されている。雑音によって誘起される受信機電圧V
R118は、受信機巻線110の電圧と消去巻線112の電圧との差である。受信機巻線110および消去巻線112の大きさおよび巻数が実質的に同様であれば、雑音による受信機電流I
R120は実質的に存在せず、雑音による受信機電圧V
R118は実質的にゼロである。言い換えると、示されている例において、受信機巻線110および消去巻線112は、大きさおよび巻数が実質的に同様であるため、雑音巻線113に応じて受信機巻線110に誘起される雑音信号成分は、雑音巻線113に応じて消去巻線112に誘起される雑音信号成分と、実質的に等しく逆である。このため、受信機巻線110および消去巻線112それぞれにおいて誘起された雑音信号成分は、実質的に相殺し合う。
【0029】
集積回路パッケージ内における送信機と受信機との間の通信のために、送信機巻線108、受信機巻線110、および消去巻線112を、本発明の教示に従い、集積回路パッケージのリードフレーム内に定められた、磁気結合されかつガルバニック絶縁された導電ループを用いて、実装してもよい。このことについては、以下で
図3、
図4、および
図5との関連でさらに説明する。
【0030】
図1Bは、送信機102と、磁気結合要素104と、受信機106と、送信機巻線108と、受信機巻線110と、消去巻線112と、算術オペレータ122とを含む、別の概念的なシステム101の概略図を示す。
図1Bにはさらに、送信機電圧V
T114および送信機電流I
T116が示される。加えて、
図1Bは、雑音ブロック111および雑音巻線113を示す。
図1Bに示される概念的なシステム101を利用して本発明の教示を説明することが理解される。
【0031】
図1Bに示されるシステム101が、
図1Aに示されるシステム100と、多くの類似点を共有することが、理解される。しかしながら、1つの相違点は、受信機巻線110および消去巻線112が、
図1Aに示されるように互いに結合されるのではなく、
図1Bの算術オペレータ122に別々に結合されている点である。具体的には、
図1Bに示されるように、受信機巻線110の両端と、消去巻線112の両端は、算術オペレータ122に別々に結合される。上記のように、送信機102は、受信機巻線110および消去巻線112双方に、電流および電圧を誘起する。雑音ブロック111からの雑音も、受信機巻線110および消去巻線112の、誘起された電流および電圧に影響し得る。示されている例において、算術オペレータ122は、入力信号として、受信機巻線110および消去巻線112の、誘起された電圧および電流を、受けることができる。
【0032】
加えて、この例では、受信機巻線110の一端および消去巻線112の一端が、グランド121に結合される。示されているように、受信機巻線110の、ドットおよび三角形のない端部が、グランド121に結合される。消去巻線112の場合、ドットで示される巻線の端部が、グランド121に結合される。
【0033】
ある例において、算術オペレータ122は、算術オペレータ122へのさまざまな入力に対して加算、減算、乗算、および除算等の算術演算を多数実行しその結果としての出力を提供し得る回路を含む。さまざまな例において、算術オペレータ122のさまざまな入力および出力は、電流信号、電圧信号、または電流信号および電圧信号双方を、含み得る。ある例において、算術オペレータ122は減算を実行してもよい。
図1Bに示される例の場合、受信機巻線110および消去巻線112はいずれも、同相で、雑音巻線113に磁気結合される。このため、算術オペレータ122は、消去巻線112の電圧または電流の大きさを、受信機巻線110の電圧または電流の大きさから減算し、その結果、実質的にゼロの電圧または電流を与える。言い換えると、
算術オペレータ122は、受信機巻線110から与えられた信号の大きさを、消去巻線から与えられた信号の大きさから、減算してもよい。
【0034】
示されている例において、受信機巻線110が送信機巻線108と同相で結合されているのに対し、消去巻線112は送信機巻線108と異相で結合される。ある実施の形態において、算術オペレータ122は減算器である。しかしながら、送信機巻線108と消去巻線112が異相で結合されているので、巻線108の送信信号によって消去巻線112に誘起された信号は、算術オペレータ122に、極性が逆の信号を与えるであろう。結果として、算術演算は、事実上加算であり、したがって巻線110からの受信信号を補う役割を果たす。よって、送信機巻線108に流れる電流によって生じた変化する磁界により、受信機巻線110および消去巻線112に誘起された、磁気結合された信号は、付加的なものである。このため、送信機102が送信する情報が増強される。
【0035】
集積回路パッケージ内における送信機と受信機との間の通信のために、送信機巻線108、受信機巻線110、および消去巻線112を、本発明の教示に従い、集積回路パッケージのリードフレーム内に定められた、磁気結合されかつガルバニック絶縁された導電ループを用いて、実装してもよい。このことについては、以下で
図3および
図4との関連でさらに説明する。
【0036】
図2Aは、消去ループ212を備えたシステム200の、概念的な磁気結合構成の例を示す。
図2Aに示される概念的なシステム200を利用して本発明の教示を説明することが理解される。システム200は、受信機206と、(受信機巻線110の一例である)受信機ループ210と、(消去巻線112の一例である)消去ループ212と、ノード232、234、236、238、240、および242と、マーカ258とを含む。
図2Aにさらに示されているのは、受信機電圧V
R218、受信機電流I
R220、電圧V
RN266、および電圧V
CN268である。加えて、
図2Aは、雑音ブロック211および(雑音巻線113の一例である)雑音ループ213を示す。しかしながら、雑音ブロック211および雑音巻線213が
図2Aに含まれているのはシステム200に対する雑音の影響をモデル化するためであることが、理解されるはずである。
図2Aは、
図1Aに示される受信機巻線および消去巻線の磁気結合構成の一例である。送信機および送信機巻線は、
図2Aには示されていないが、以下において
図2Bとの関連で説明する。
【0037】
示されているように、受信機ループ210は、受信機ループ210の端部の近傍に位置するノード236および238を含み、消去ループ212は、消去ループ212の端部の近傍に位置するノード240および242を含み、受信機206は、ノード232および234を含む。受信機ループ210および消去ループ212は、受信機206のノード232が受信機ループ210のノード236に結合され受信機206のノード234が消去ループ212のノード240に結合され受信機ループ210のノード238が消去ループ212のノード242に結合されるように、受信機206に結合される。
図2Aに示される例において、受信機ループ210および消去ループ212は、実質的に同様の正方形として示されており、図示のように互いに逆方向に巻かれている。他のさまざまな例と同じく、受信機ループ210と消去ループ212は、大きさおよび形状が実質的に同一であってもよい。ある実施の形態において、受信機ループ210によって実質的に囲まれている領域および消去ループ212によって実質的に囲まれている領域は、大きさが実質的に同一である。しかしながら、受信機ループ210および消去ループ212の大きさおよび/または形状が異なっていてもよいことが、理解されるはずである。さらに、実施の形態の中には、受信機ループ210によって実質的に囲まれている領域と消去ループ212によって実質的に囲まれている領域が異なっている実施の形態があってもよい。
【0038】
さらに、ノード232とノード234の間の電圧降下は、受信機電圧V
R218として示される。ノード236とノード238の間の電圧降下は、電圧V
RN266として示され、ノード240とノード242の間の電圧降下は、電圧V
CN268として示される。受信機電流I
R220は、ノード232から受信機206に流れる電流として示される。
【0039】
加えて、
図2Aは、システム200の外部の磁界等の雑音の、受信機巻線210および消去巻線212双方に対する影響をモデル化するために使用される、雑音ブロック211および雑音巻線213を示す。示されているように、雑音巻線213は、受信機巻線210および消去巻線212を実質的に囲んでいる。
図2Aに示される三角形は、雑音ループ213に対する、受信機ループ210および消去ループ212の極性を示す。
【0040】
図2Aにおいて、雑音は、雑音ブロック211と、雑音ループ213に流れる電流として、モデル化されている。示されている例の場合、雑音ループ213内の電流は、時計回り方向に流れ、受信機ループ210および消去ループ212双方の面を通過する磁界を生成する。マーカ258は、受信機ループ210および消去ループ212双方を通過する磁界全体を示す。一般的に、マーカ258に示されているような「X」記号は、紙面から奥に向かう磁界または磁束を示すのに対し、マーカ記号のドット記号は、紙面から手前に向かう磁界または磁束を示す。雑音ループ213に対する受信機ループ210および消去ループ212の配置は、受信機ループ210および消去ループ212双方に対する磁界の全体的な影響を、実質的に同様にする。なぜなら、
図2Aの例でマーカ258によって示されるように、雑音ループからの磁界または磁束は、紙面の奥に向かう、実質的に同一の方向で、受信機ループ210および消去ループ212双方の面を通過しているからである。
【0041】
受信機ループ210および消去ループ212の面を通過する磁界の変化は、これらループ双方に対し、電界を誘起する。
図2Aに示される例の場合、受信機ループ210および消去ループ212に対する電界の方向が反時計回り方向であることによって、マーカ258によって示される方向における磁界強度が増す。言い換えると、雑音巻線213によって増す磁界は、雑音による受信機ループ210の電圧であり電圧V
RN266として示される、ノード236とノード238の間の電圧降下を、誘起する。雑音によって変化する磁界はまた、雑音による消去ループ212の電圧であり電圧V
CN268として示される、ノード240とノード242の間の電圧降下を誘起する。
図2Aに示される三角形は、雑音ループ213に対する、受信機ループ210および消去ループ212の極性を示す。
【0042】
さまざまな例において、受信機ループ210と消去ループ212が結合しているので、受信機電圧V
R218は、以下の式(1)に従って求められる。
【0043】
V
R=V
RN−V
CN (1)
このように、受信機206が受ける受信機電圧V
R218は、電圧V
RN266と電圧V
CN268の差である。受信機ループ210および消去ループ212はいずれも、雑音ループ213と、同相で結合される。しかしながら、受信機ループ210および消去ループ212はいずれも、異相で互いに結合される。実際のところ、示されている例において、受信機ループ210は消去ループ212と逆方向に巻かれている。よって、受信機ループ210と消去ループ212が実質的に同一の大きさおよび形状を有し、かつ、これらループそれぞれの面を通過する磁界が実質的に同一であれば、電圧V
RN266およびV
CN268の大きさは実質的に同一である。受信機206は、雑音による電圧を実質的に受けないであろう。さらに、受信機206は、雑音による電流を受けないであろう。このため、受信機206に対する雑音の影響は実質的に最小になるであろう。加えて、雑音による磁界の方向が紙面から手前に向かう方向であっても雑音の影響が除去されることが、理解されるはずである。この場合、マーカ258は「X」記号ではなくドット記号であり、受信機電圧V
R218はこの場合も電圧V
RN266と電圧V
CN268の大きさの差である。
【0044】
集積回路パッケージ内における送信機と受信機との間の通信のために、送信機巻線108、受信機巻線110、および消去巻線112を、本発明の教示に従い、集積回路パッケージのリードフレーム内に定められた、磁気結合されかつガルバニック絶縁された導電ループを用いて、実装してもよい。このことについては、
図3、
図4、および
図5との関連でさらに説明する。本発明の例は、リードフレーム内に形成された導電ループを利用して通信する、同一の集積回路パッケージ内の送信機と受信機とを含む。集積回路パッケージの外側で発生した磁界を外部磁界とみなしてもよく、集積回路パッケージ内の構成要素によって発生した磁界を内部磁界とみなしてもよい。雑音ループ213内の電流によって発生した磁界は、送信機と受信機との間の通信に干渉するかもしれない外部磁界をモデル化し得る。本発明の実施の形態は、消去ループ212を利用することによって、外部磁界が送信機と受信機との間の通信に対して有し得る影響を、減じる。
【0045】
図2Bは、消去ループ212を備えたシステム200の、概念的な磁気結合構成の例を示す。
図2Bに示される概念的なシステム200を利用して本発明の教示を説明することが理解される。システム200は、送信機202と、受信機206と、(送信機巻線108の一例である)送信機ループ208と、受信機ループ210と、消去ループ212と、ノード224、226、228、230、232、234、236、238、240、242と、マーカ244、248とを含む。
図2Bにさらに示されているのは、送信機電圧V
T214、送信機電流I
T216、受信機電圧V
R218、受信機電流I
R220、電圧V
RT252、および電圧V
CT254である。
図2Bは、
図1Aに示される受信機巻線および消去巻線の磁気結合構成の一例を示す。
【0046】
受信機206、受信機ループ210、および消去ループ212は、
図2Aとの関連で先に述べたように結合される。さらに示されているのは送信機202および送信機ループ208である。送信機202はノード224および226を含み、送信機ループ208はノード228および230を含む。送信機202のノード224および226は、それぞれ、送信機ループ208のノード228および230に結合される。示されているように、受信機ループ210は、送信機ループ208によって実質的に囲まれている。さらに、ノード224および226間(言い換えればノード228および230間)の電圧降下は、送信機電圧V
T214として示される。
図2Bはまた、送信機ループ208を通ってノード224からノード226に流れるものとして示されている、送信機電流I
T216を示す。
【0047】
図2Bに示される例の場合、送信機ループ208の送信機電流I
T216は、時計回り方向に流れ、受信機ループ210および消去ループ212双方を通過する磁界を生成する。マーカ244および248は、受信機ループ210および消去ループ212双方から見たときの、送信機ループ208の電流により生じた磁界全体を示す。送信機ループ208に対する受信機ループ210および消去ループ212の配置のため、受信機ループ
210は、マーカ244の「X」記号を用いて示される、紙面の奥に向かう磁界全体を経験するのに対し、消去ループ212は、マーカ248のドット記号を用いて示される、紙面から手前に向かう磁界全体を経験する。送信機202と受信機206が、同一の集積回路パッケージ内にあるとき、送信機電流I
T216によって生じる磁界を内部磁界とみなしてもよい。
【0048】
受信機ループ210および消去ループ212が経験する磁界の変化は、これらループ双方に対して電界を誘起する。示されている例の場合、受信機ループ210に対する電界の方向は反時計回り方向であるのに対し、消去ループ212に対する電界の方向は時計回り方向であり、したがって、マーカ244および248によって示される方向の磁界強度を高める。言い換えると、送信機ループ208が原因で変化する磁界は、送信機202による受信機ループ210の電圧であり電圧V
RT252として示される、受信機ループ210のノード236および238における端部間の電圧降下を、誘起する。また、変化する磁界は、送信機202による消去ループ212の電圧であり電圧V
CT254として示される、消去ループ212のノード242および240における端部間の電圧降下を誘起する。
図2Bに示されるドットは、送信機ループ208に対する、受信機ループ210および消去ループ212の極性を示す。
【0049】
先に述べたように、送信機202は、送信機電流I
T216を利用して情報を伝達し得る。送信機202の内部の回路は、送信機電流I
T216のさまざまな特性を制御することによって、情報を受信機206に伝達し得る。送信機電流I
T216の大きさが変化しているとき、これは、電磁誘導の法則に従い、受信機巻線210および消去巻線212の電圧を誘起する、変化する磁界を生成する。実施の形態において、受信機電圧V
R218は、送信機電流I
T216の変化によって生じた変化する磁界によって誘起され、結果として受信機電流I
R220を生じさせ得る。受信機206に含まれる回路は、送信機が誘起した電圧および/または電流を受けてこの電圧および/または電流を情報と解釈し得る。制御されて情報を伝え得る送信機電流I
T216の特性は、送信機電流I
T216の大きさおよび変化率を含み得る。伝達される信号は、デジタル情報の形態であってもアナログ情報の形態であってもよい。デジタル情報の場合、通信は、2値信号の形態であっても、より複雑な符号化されたデジタルデータの形態であってもよく、これは当業者には周知であろう。他の通信技術を使用してもよいことが理解されるはずである。他の例において、送信機電流I
T216と、結果として誘起される受信機電圧V
R218および受信機206が受ける受信機電流I
R220との関係を利用する通信技術を利用してもよい。
【0050】
一例において、送信機202は、送信機電流I
T216を生成する、制御された電流源を含み得る。制御された電流源は、送信機電流I
T216の特性を変化させることによって情報を受信機206に伝達し得る。さらに、受信機206は、受信機電圧V
R218を基準電圧V
THと比較する比較器を含み得る。受信機206は、比較器の出力を利用して、送信機202によって伝達された情報を解釈し得る。フライバックコンバータの例の場合、二次コントローラが送信機で一次コントローラが受信機回路であってもよく、二次コントローラが情報を一次コントローラに伝達することによって一次スイッチをオンまたはオフにし、そうすることによってパワーコンバータの出力を調整してもよい。二次コントローラ(送信機)は、一次スイッチをオンすべきときに送信機電流I
Tを(制御された電流源を利用して)生成する。一次コントローラ(受信機)が、基準電圧V
THよりも大きい、誘起された受信機電圧V
Rを受けると、一次コントローラはこの情報を処理することによって、一次スイッチをオンするか否か決定する。ある例において、送信機電流I
T(したがって受信機電圧V
R)がないということは、一次コントローラ(受信機)に対して、一次スイッチをオンしないことを示し得る。
【0051】
受信機ループ210が送信機ループ208と同相で磁気結合されるのに対し、消去ループ212は送信機ループ208と異相で磁気結合される。加えて、消去ループ212と受信機ループ210は、異相で、互いに磁気結合される。さまざまな例において、受信機ループ210と消去ループ212が磁気結合しているので、受信機電圧V
R218は、以下の式(2)に従って求められる。
【0052】
V
R=V
RT+V
CT (2)
このように、受信機電圧V
R218は、電圧V
RT252と電圧V
CT254の和である。このため、送信機202が送信する情報は、本発明の教示に従い消去ループ212を追加することによって、増強し得る。よって、送信機巻線208に流れる電流によって生じた変化する磁界により、受信機巻線210および消去巻線212に誘起された、磁気結合された信号は、付加的なものであることが理解される。
【0053】
集積回路パッケージ内における送信機と受信機との間の通信のために、送信機巻線108、受信機巻線110、および消去巻線112を、本発明の教示に従い、集積回路パッケージのリードフレーム内に定められた、磁気結合されかつガルバニック絶縁された導電ループを用いて、実装してもよい。このことについては、
図3、
図4、および
図5との関連でさらに説明する。
【0054】
例示のために、
図3は、本発明の教示に従う、集積回路パッケージの封止された部分の実質的に内部に配置された一例としてのリードフレーム300を示す。示されている例において、リードフレーム300は、(受信機ループ210の一例である)受信機導電ループ310と(消去ループ212の一例である)消去導電ループ312とを含む、第1の導体を含む。示されている例からわかるように、リードフレーム300はまた、第1の導体からガルバニック絶縁された第2の導体を含む。示されている例において、第2の導体は(送信機ループ208の一例である)送信機導電ループ308を含む。示されている例からわかるように、本発明の教示に従い、送信機導電ループ308を受信機導電ループ310の近傍に配置することによって、送信機導電ループ308と受信機導電ループ310との間に磁気結合された通信リンクを提供する。加えて、
図3はまた、リード372および374と、チップ装着パッド376と、チップ装着パッド378とを示す。番号371で示される正方形は、リードフレーム300の、封止された部分を示す。言い換えると、封止部371の中にある要素は、集積回路パッケージの、封止された部分の中に配置されている。さらに
図3に示されているのは、送信機302、受信機306、パッド379、380、381、および382、ならびにボンドワイヤ383、384、385、および386である。
図3は、
図1A、
図2A、および
図2Bとの関連で説明した、送信機巻線、受信機巻線、および消去巻線の、磁気結合構成の一例である。
【0055】
ある例において、送信機302および受信機306は、集積回路パッケージの封止された部分に含まれる集積回路チップ内の回路として実装される。リードフレーム300の第2の導体の一部であるチップ装着パッド376は、
図3において斜めのクロスハッチングで示され、送信機302を載せるリードフレーム300の部分を示す。同様に、リードフレーム300の第1の導体の一部であるチップ装着パッド378は、
図3において斜めのクロスハッチングによってシェーディングされ、受信機306を載せるリードフレーム300の部分を示す。ある例において、受信機306および送信機302は、接着剤を利用して、リードフレーム300の絶縁された第1および第2の導体に、それぞれ装着される。この接着剤は非導電性であってもよい。別の例では接着剤は導電性であってもよい。ある例において、送信機302の下に示される、チップ装着パッド376内のスロットによって、送信機導電ループ308を長くしてもよい。このため、送信機導電ループ308を通る電流が、受信機導電ループ310に、より近い場所でかつ平行に流れることにより、磁気結合を改善し得る。
【0056】
リード372および374は、集積回路パッケージの外部(すなわち輪郭371の外側)の回路に結合し得る、リードフレーム300の部分を示す。図示されていないが、さまざまなボンドワイヤが、送信機302または受信機306をリード372または374に結合し得る。
【0057】
図3において密度の高いドットでシェーディングされている、リードフレーム300の部分は、送信機導電ループ308に対応する。リードフレームのこの部分308と、ボンドワイヤ383および384によって、送信機導電ループが完成する。ある例において、ボンドワイヤ384は、周知のボンディング技術を利用して、送信機導電ループ308に対応する、リードフレーム300の部分に装着される。さらに、ボンドワイヤ384はパッド380を通して送信機302に結合される。ボンドワイヤ383は、周知のボンディング技術を利用して、送信機導電ループ308に対応する、チップ装着パッド376の部分に装着される。さらに、ボンドワイヤ383は、パッド381を通して送信機302に結合される。ある例において、ボンドワイヤ383およびパッド381は、送信機導電ループ308に対し、グランドへの結合を提供する。
【0058】
図3においてドットでシェーディングされているリードフレーム300の部分は、受信機導電ループ310に対応する。
図3においてクロスハッチングによってシェーディングされているリードフレーム300の別の部分は、消去導電ループ312に対応する。受信機導電ループおよび消去導電ループ双方に対応するリードフレームの部分を、第1の導体とみなしてもよく、送信機導電ループ308に対応するリードフレームの部分を、第2の導体とみなしてもよい。ボンドワイヤ386は、周知のボンディング技術を利用して、消去導電ループ312に対応するリードフレーム300の部分に装着される。ボンドワイヤ386は、消去導電ループ312をパッド382を通して受信機306に結合することにより、受信機導電ループ310および消去導電ループ312を完成する。さらに、ボンドワイヤ385は、周知のボンディング技術を利用してチップ装着パッド378に装着され、パッド379を通して受信機306に結合される。ある例において、ボンドワイヤ385およびパッド379は、受信機導電ループ310および消去導電ループ312に対し、グランドへの結合を提供する。
図3に示される例からわかるように、たとえばパッド379等の基準点を始点とすると、受信機導電ループ310は反時計回り方向に巻かれており、消去導電ループ312は、受信機導電ループ310と逆方向すなわち時計回り方向に巻かれている。示されているように、送信機導電ループ308は実質的に受信機導電ループ310を囲んでおり、受信機導電ループ310は消去導電ループ312と異相で磁気結合される。示されている例において、送信機導電ループ308は、送信機302のパッド380等の基準点から時計回り方向に巻かれている。一般的に、送信信号は、パッド380から、送信機導電ループ308に沿って時計回り方向に送信される。ある例において、送信機導電ループ308は受信機導電ループ310を実質的に囲んでいる。ある例において、送信機導電ループ308、受信機導電ループ310、および消去導電ループ312は、すべて集積回路パッケージの封止された部分の中の絶縁材料内に封入されており、すべて実質的に同じ面に配置されている。
【0059】
リードフレームの、ガルバニック絶縁されかつ磁気結合された導電ループを利用して、送信機と受信機との間の通信リンクにノイズ消去を提供すると、追加のコストはごくわずかである。加えて、本発明の教示に従い、リードフレームを利用することによって、パワーコンバータの全体の大きさおよびパッケージのコストを減じることもできる。
【0060】
図4は、本発明の教示に従う、集積回路パッケージの封止された部分の実質的に内部に配置されたリードフレーム400の別の例を示す。示されている例において、リードフレーム400は、(受信機ループ110の一例である)受信機導電ループ410と(消去巻線112の一例である)消去導電ループ412とを含む、第1の導体を含む。示されている例からわかるように、リードフレーム400はまた、第1の導体からガルバニック絶縁された第2の導体を含む。示されている例において、第2の導体は(送信機巻線108の一例である)送信機導電ループ408を含む。示されている例からわかるように、本発明の教示に従い、送信機導電ループ408を受信機導電ループ410の近傍に配置することによって、送信機導電ループ408と受信機導電ループ410との間に磁気結合された通信リンクを提供する。加えて、
図4はまた、リード472および474と、チップ装着パッド476と、チップ装着パッド478とを示す。番号471で示される正方形は、集積回路パッケージの封止された部分の中に配置されたリードフレーム400の輪郭を示す。言い換えると、輪郭471の中にある要素は、集積回路パッケージの、封止された部分の中に配置されている。さらに
図4に示されているのは、送信機402、受信機406、パッド479、480、481、482、および488、ならびにボンドワイヤ483、484、485、486、および490である。
図4は、
図1Bとの関連で説明した、送信機巻線、受信機巻線、および消去巻線の、磁気結合構成の一例である。
【0061】
図4に示されるリードフレーム400が、
図3に示されるリードフレーム300と、多くの類似点を共有しており、そこにパッド488およびボンドワイヤ490が追加されていることが、理解される。さらに、受信機導電ループ410および消去導電ループ412によって生成された信号は、別々に受信機406によって受信される。
【0062】
図4においてドットでシェーディングされているリードフレーム400の部分は、受信機導電ループ410に対応する。ボンドワイヤ490は、周知のボンディング技術を利用して、受信機導電ループ410に対応するリードフレーム400の部分に装着される。ボンドワイヤ490は、パッド488を通して受信機406に結合することにより、受信機導電ループ410を完成する。加えて、
図4においてクロスハッチングによってシェーディングされているリードフレーム400の部分は、消去導電ループ412に対応する。ボンドワイヤ486は、周知のボンディング技術を利用して、消去導電ループ412に対応するリードフレーム400の部分に装着される。さらに、ボンドワイヤ486は、パッド482を通して受信機406に結合することにより、消去導電ループ412を完成する。さらに、ボンドワイヤ485は、周知のボンディング技術を利用して、チップ装着パッド478に装着され、パッド479を通して受信機406に結合される。ある例において、ボンドワイヤ485およびパッド479は、受信機導電ループ410および消去導電ループ412双方に対し、グランドへの結合を与える。
図4に示される例からわかるように、たとえばパッド479等の基準点を始点とすると、受信機導電ループ410は反時計回り方向に巻かれており、消去導電ループ412は、受信機導電ループ410と逆方向すなわち時計回り方向に巻かれている。示されている例において、送信機導電ループ408は、送信機402のパッド480等の基準点から時計回り方向に巻かれている。一般的に、送信信号は、パッド480から、送信機導電ループ408に沿って時計回り方向に送信される。ある例において、送信機導電ループ408は受信機導電ループ410を実質的に囲んでいる。ある例において、送信機導電ループ408、受信機導電ループ410、および消去導電ループ412は、すべて集積回路パッケージの封止された部分の中の絶縁材料内に封入されており、すべて実質的に同じ面に配置されている。
【0063】
図5は、本発明の教示に従う、集積回路パッケージの封止された部分の実質的に内部に配置された、別の例としてのリードフレーム500を示す。示されている例において、リードフレーム500は、(受信機ループ110の一例である)受信機導電ループ510を含む第1の導体を含む。ある例において、リードフレーム500はまた、(消去巻線112の一例である)消去導電ループ512を含む第3の導体を含む。しかしながら、以下でより詳しく説明するように、別の例において第1の導体が消去導電ループ512も含んでもよい。示されている例からわかるように、リードフレーム500は、第1の導体からガルバニック絶縁された第2の導体も含む。示されている例において、第2の導体は(送信機巻線108の一例である)、送信機導電ループ508を含む。示されている例からわかるように、本発明の教示に従い、送信機導電ループ508を受信機導電ループ510の近傍に配置することによって、送信機導電ループ508と受信機導電ループ510との間に磁気結合された通信リンクを提供する。加えて、
図5はまた、リード572および574と、チップ装着パッド576と、チップ装着パッド578とを示す。番号571で示される正方形は、集積回路パッケージの封止された部分の中に配置されたリードフレーム500の輪郭を示す。言い換えると、輪郭571の中にある要素は、集積回路パッケージの、封止された部分の中に配置されている。さらに
図5に示されているのは、送信機502、受信機506、パッド579、580、581、582、および588、ならびにボンドワイヤ583、584、585、586、589、および590である。
図5は、
図1Bとの関連で説明した、送信機巻線、受信機巻線、および消去巻線の、磁気結合構成のもう1つの例である。
【0064】
図5に示されるリードフレーム500が、
図4に示されるリードフレーム400と、多くの類似点を共有していることが、理解される。しかしながら、1つの相違点があり、それは、消去導電ループ512が、受信機506を通る接続部を介して、チップ装着パッド578および受信機導電ループ510に結合されている点である。たとえば、ある例において、消去導電ループ512は、パッド579ならびにボンドワイヤ585および589を通して、チップ装着パッド578に結合される。
図5はまた、パッド588およびボンドワイヤ590が追加されていることを示す。このように、示されている例において、受信機導電ループ510および消去導電ループ512は、受信機506を通して互いに結合されているので、これらはいずれも互いに結合されて第1の導体の一部として含まれる。
【0065】
図5においてドットでシェーディングされているリードフレーム500の部分は、受信機導電ループ510に対応する。ボンドワイヤ590は、周知のボンディング技術を利用して、受信機ループ510に対応するリードフレームの部分に装着される。ボンドワイヤ590は、パッド588に装着され、これが、受信機506に結合されることにより、受信機導電ループ510が完成する。さらに、ボンドワイヤ585は、周知のボンディング技術を利用してチップ装着パッド578に装着され、パッド579を通して受信機506に結合される。ある例において、ボンドワイヤ585およびパッド579は、受信機導電ループ510および消去導電ループ512双方に対し、グランドへの結合を与える。
【0066】
加えて、
図5においてクロスハッチングによってシェーディングされているリードフレーム500の部分は、消去導電ループ512に対応する。ボンドワイヤ586は、周知のボンディング技術を利用して、消去導電ループ512に対応するリードフレーム500の部分に装着される。さらに、ボンドワイヤ586はパッド582に装着され、これが受信機506に結合されることによって、消去導電ループ512が完成する。ボンドワイヤ589は、周知のボンディング技術を利用して消去導電ループに装着され、パッド579を通して受信機506に結合される。
図5に示される例からわかるように、たとえばパッド579等の基準点を始点とすると、受信機導電ループ510は反時計回り方向に巻かれており、消去導電ループ512は、受信機導電ループ510と逆方向すなわち時計回り方向に巻かれている。示されている例において、送信機導電ループ508は、送信機502のパッド580等の基準点から時計回り方向に巻かれている。一般的に、送信信号は、パッド580から、送信機導電ループ508に沿って時計回り方向に送信される。ある例において、送信機導電ループ508は受信機導電ループ510を実質的に囲んでいる。ある例において、送信機導電ループ508、受信機導電ループ510、および消去導電ループ512は、すべて集積回路パッケージの封止された部分の中の絶縁材料内に封入されており、すべて実質的に同じ面に配置されている。
【0067】
図6は、本発明の教示に従う、一例としての集積回路パッケージ600を示す。外形671は、集積回路パッケージ600の封止された部分を表わしており、
図3、
図4、および
図5に示される輪郭371、471、および571と類似している。外形671は、集積回路パッケージ600の輪郭および封止された部分を示す。端子692および694は、上記
図3、
図4、および
図5に示されるリード372および374、リード472および474、またはリード572および574等の、集積回路パッケージ600の内部のリードに結合する。これにより、集積回路パッケージ600の外部の回路を端子692および694に結合できる。
【0068】
この開示の目的に沿い、集積回路パッケージの「封止部」は、中に1つ以上の集積回路チップが配置され集積回路チップパッドからリードフレームまでおよび集積回路パッケージのピンまでの接続を含み得るリードフレームの一部を、囲むまたは封じ込める、任意の外部本体、覆い、または成形体であるとみなし得る。封止部の一例は、成形プラスチック、セラミックキャップなどから作られてもよい。いくつかの例では、集積回路パッケージの封止部が、封入されたアイテムを外部要素から保護する気密封止を、提供してもしなくてもよい。
【0069】
本発明の教示に従って構築された通信リンクによって与えられるガルバニック絶縁が、必ずしもシステムレベルで維持されて本発明の教示の利益を享受する必要はないということを、当業者は理解するであろう。たとえば、通信リンクを用いて、降圧コンバータ、ハーフブリッジコンバータ等の絶縁されていないパワーコンバータシステムの、異なる電圧を基準とするかまたはそれらの間で変化する電圧レベルを有する2つの構成要素間の、通信を行なってもよい。
【0070】
要約の記載を含めて、示されている本発明の例のこれまでの記載は、網羅的であること、または開示された形態そのものに限定されることを、意図していない。本発明の特定の実施の形態および例は、本明細書において例示を目的として記載されているが、等価であるさまざまな変形が、本発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、実現できる。実際、特定の電圧、電流、周波数、電力範囲の値、時間等の例は、説明を目的として示されており、本発明の教示に従う他の実施の形態および例において他の値も採用し得ることが、理解される。