(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の表示装置、及び、本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の表示装置及び本開示の第2の態様に係る光学装置)
3.実施例2(実施例1の表示装置の変形)
4.実施例3(実施例1の表示装置の別の変形)
5.実施例4(実施例1の表示装置の更に別の変形)
6.実施例5(実施例1〜実施例4の変形)
7.実施例6(実施例1〜実施例4の別の変形)
8.実施例7(実施例1〜実施例4の更に別の変形)
9.実施例8(実施例1〜実施例7の変形)
10.実施例9(実施例8の変形)
11.実施例10(実施例8の別の変形)
12.実施例11(実施例8〜実施例10の変形)
13.実施例12(実施例11の変形)
14.実施例13(実施例1〜実施例12の変形)
15.実施例14(実施例13の変形)
16.実施例15(本開示の第1の態様に係る光学装置)、その他
【0013】
[本開示の表示装置、及び、本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置、全般に関する説明]
本開示の表示装置において、画像表示装置は、
(A)画像形成装置、及び、
(B)画像形成装置から出射された光が入射され、導光され、出射される導光装置、
を備えている形態とすることができる。そして、この場合、導光装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光の少なくとも一部を偏向させる第1偏向手段、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を導光板から出射させるために、導光板の内部を全反射により伝播した光を偏向させる第2偏向手段、
を備えている形態とすることができる。ここで、「全反射」という用語は、内部全反射、あるいは、導光板内部における全反射を意味する。以下においても同様である。
【0014】
導光装置は、透過型あるいは半透過型(シースルー型)とすることができる。具体的には、少なくとも観察者の瞳に対向する導光装置の部分を透過あるいは半透過(シースルー)とし、これらの導光装置の部分を通して外景を眺めることができる。本開示の表示装置は、画像表示装置を1つ備えていてもよいし(片眼型)、2つ備えていてもよい(両眼型)。両眼型にあっては、画像を表示するための信号に基づき、両方の画像表示装置において調光装置の一部の領域の光透過率を変化させてもよいし、一方の画像表示装置において調光装置の一部の領域の光透過率を変化させてもよい。
【0015】
本明細書において、「半透過」という用語を用いる場合があるが、入射する光の1/2(50%)を透過し、あるいは反射することを意味するのではなく、入射する光の一部を透過し、残部を反射するといった意味で用いている。
【0016】
上記の好ましい形態を含む本開示の表示装置にあっては、画像表示装置において画像を表示するための信号を外部から受け取る形態とすることができる。このような形態にあっては、画像表示装置において表示する画像に関する情報やデータは、例えば、所謂クラウドコンピュータやサーバーに記録、保管、保存されており、表示装置が通信手段、例えば、携帯電話機やスマートフォンを備えることによって、あるいは又、表示装置と通信手段とを組み合わせることによって、クラウドコンピュータやサーバーと表示装置との間での各種情報やデータの授受、交換を行うことができるし、各種情報やデータに基づく信号、即ち、画像表示装置において画像を表示するための信号を受け取ることができる。あるいは又、画像表示装置において画像を表示するための信号は画像表示装置に記憶されている形態とすることができる。尚、画像表示装置において表示される画像には、各種情報や各種データが含まれる。
【0017】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の表示装置にあっては、外部環境の明るさを測定するセンサを更に備えており、センサによる外部環境の明るさの測定結果に基づき、更に、調光装置の一部の領域の光透過率を変化させる形態とすることができる。センサは周知の照度センサから構成すればよいし、センサの制御は画像表示装置に備えられた周知の制御回路に基づき行えばよい。本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置にあっても、外部環境の明るさを測定するセンサを更に備えており、センサによる外部環境の明るさの測定結果に基づき、調光装置の光透過率を変化させる形態とすることができる。
【0018】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の表示装置において、調光装置は、画像表示装置に取り付けられている形態とすることができるし、あるいは又、フレームに取り付けられている形態とすることができる。尚、画像表示装置が、上記のとおり、導光板を備えている場合、調光装置は導光板に取り付けられている形態とすることもできる。より具体的には、例えば、調光装置は、導光装置の画像形成装置が配された側(面)とは反対側(対向する面)に配設されている構成とすることができる。
【0019】
本開示の第1の態様に係る光学装置にあっては、撮像装置によって撮像される空間領域の外縁を調光装置において枠状に表示する形態とすることができる。あるいは又、撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域の光透過率を、撮像装置によって撮像される空間領域の外側に対応する調光装置の領域の光透過率よりも低くする形態とすることができる。このような形態にあっては、観察者には、撮像装置によって撮像される空間領域は、撮像装置によって撮像される空間領域の外側よりも暗く見える。あるいは又、撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域の光透過率を、撮像装置によって撮像される空間領域の外側に対応する調光装置の領域の光透過率よりも高くする形態とすることもできる。このような形態にあっては、観察者には、撮像装置によって撮像される空間領域は、撮像装置によって撮像される空間領域の外側よりも明るく見える。
【0020】
更には、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る光学装置にあっては、調光装置制御装置を更に備えており、撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域の位置を調光装置制御装置によって校正する形態とすることができる。具体的には、本開示の第1の態様に係る光学装置が、例えば、携帯電話機やスマートフォンを備えることによって、あるいは又、光学装置と携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータとを組み合わせることによって、携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータにおいて、撮像装置によって撮像された空間領域を表示することができる。そして、携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータにおいて表示された空間領域と、撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域との間に差異が存在する場合、調光装置制御装置(携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータによって代用することもできる)を用いて、撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域を移動・回転させ、あるいは、拡大/縮小することで、携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータにおいて表示された空間領域と、撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域との間の差異を無くせばよい。
【0021】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の表示装置と本開示の第1の態様に係る光学装置とを組み合わせることができるし、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の表示装置と本開示の第2の態様に係る光学装置とを組み合わせることができるし、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る光学装置と本開示の第2の態様に係る光学装置とを組み合わせることができるし、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の表示装置と本開示の第1の態様に係る光学装置と本開示の第2の態様に係る光学装置とを組み合わせることもできる。
【0022】
本開示の表示装置において、調光装置は、
導光装置と対向する第1基板、及び、第1基板と対向する第2基板、
第1基板及び第2基板のそれぞれに設けられた第1電極及び第2電極、並びに、
第1基板と第2基板との間に封止された光透過制御材料層、
から成り、
第1基板は、導光装置の構成部材を兼ねている構成とすることができる。このような構成を、便宜上、『本開示の第1の態様に係る表示装置』と呼ぶ。本開示の第1の態様に係る表示装置にあっては、このように、調光装置を構成する第1基板が導光装置の構成部材を兼ねる構成とすることで、表示装置全体の重量の減少を図ることができ、表示装置の使用者に不快感を感じさせる虞が無い。尚、第2基板は第1基板よりも薄い構成とすることができる。
【0023】
また、本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置における調光装置は、
第1基板、及び、第1基板と対向する第2基板、
第1基板及び第2基板のそれぞれに設けられた第1電極及び第2電極、並びに、
第1基板と第2基板との間に封止された光透過制御材料層、
から成る形態とすることができる。そして、第1基板及び第2基板の少なくとも一方を、例えば、フレームに取り付ければよい。
【0024】
調光装置は、光透過制御材料層が液晶材料層から成る光シャッタから構成されていることができるし、あるいは又、調光装置は、光透過制御材料層が無機エレクトロルミネッセンス材料層から成る光シャッタから構成されていることができる。但し、調光装置は、これらに限定されるものではなく、その他、帯電した多数の電気泳動粒子及び電気泳動粒子とは異なる色の分散媒から構成された電気泳動分散液によって構成される光シャッタ、金属(例えば、銀粒子)の可逆的な酸化還元反応によって発生する電着・解離現象を応用した電着方式(エレクトロデポジション・電界析出)による光シャッタ、エレクトロクロミック材料の酸化還元反応によって発生する物質の色変化を応用した光シャッタ、エレクトロウェッティング現象によって光透過率を制御する光シャッタを用いることもできる。ここで、調光装置を、光透過制御材料層が液晶材料層から成る光シャッタから構成とする場合、光透過制御材料層を構成する材料として、限定するものではないが、TN(ツイステッド・ネマチック)型液晶材料、STN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)型液晶材料を例示することができる。また、調光装置を、光透過制御材料層が無機エレクトロルミネッセンス材料層から成る光シャッタから構成とする場合、光透過制御材料層を構成する材料として、限定するものではないが、酸化タングステン(WO
3)を例示することができる。尚、本開示の表示装置にあっては、観察者側から、導光装置、調光装置の順に配することが好ましいが、調光装置、導光装置の順に配してもよい。
【0025】
第1基板及び第2基板を構成する材料として、具体的には、ソーダライムガラス、白板ガラス等の透明なガラス基板や、プラスチック基板、プラスチック・シート、プラスチック・フィルムを挙げることができる。ここで、プラスチックとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル、ポリフッ化ビニリデンあるいはポリテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体等のフッ素ポリマー、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン、ポリアミドイミドあるいはポリエーテルイミド等のポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、テトラアセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、ポリアリレート、ポリスルフォン等を挙げることができる。プラスチック・シート、プラスチック・フィルムは、容易に曲がらない剛性を有していてもよいし、可撓性を有していてもよい。第1基板及び第2基板を透明なプラスチック基板から構成する場合、基板内面に無機材料あるいは有機材料から成るバリア層を形成しておいてもよい。
【0026】
第1基板及び第2基板に形成された第1電極及び第2電極として、所謂透明電極を挙げることができ、具体的には、インジウム−スズ複合酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn
2O
3、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、フッ素ドープSnO
2(FTO)、IFO(FドープのIn
2O
3)、アンチモンドープSnO
2(ATO)、SnO
2、ZnO(AlドープのZnOやBドープのZnOを含む)、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、スピネル型酸化物、YbFe
2O
4構造を有する酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、また、これらを2種類以上組み合わせて用いることもできる。第1電極及び第2電極は、真空蒸着法やスパッタリング法等の物理的気相成長法(PVD法)、各種化学的気相成長法(CVD法)、各種塗布等に基づき形成することができる。電極のパターニングは、エッチング法、リフトオフ法、各種マスクを用いる方法等、任意の方法で行うことができる。
【0027】
第1基板と第2基板とは、外縁部において封止剤によって封止され、接着されている。シール剤とも呼ばれる封止剤として、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エン−チオール系樹脂、シリコーン系樹脂、変性ポリマー樹脂等の、熱硬化型、光硬化型、湿気硬化型、嫌気硬化型等の各種樹脂を用いることができる。
【0028】
場合によっては、調光装置を通過する光は、調光装置によって所望の色に着色される構成とすることができる。そして、この場合、調光装置によって着色される色は可変である形態とすることができるし、あるいは又、調光装置によって着色される色は固定である形態とすることができる。尚、前者の場合、例えば、赤色に着色される調光装置と、緑色に着色される調光装置と、青色に着色される調光装置とを積層する形態とすればよい。また、後者の場合、調光装置によって着色される色として、限定するものではないが、茶色を例示することができる。
【0029】
更には、場合によっては、調光装置が着脱自在に配設されている形態とすることができる。調光装置を着脱自在に配設するためには、例えば、透明なプラスチックから作製されたビスを用いて調光装置を例えばフレームに取り付け、あるいは又、フレームに溝を切っておき、この溝に調光装置を係合させ、あるいは又、フレームに磁石を取り付けることで調光装置をフレームに取り付けることができるし、フレームにスライド部を設け、このスライド部に調光装置を嵌め込んでもよい。また、調光装置にコネクタを取り付け、調光装置の光透過率を制御するための制御回路(例えば、画像形成装置を制御するための制御装置に含まれている)にこのコネクタ及び配線を介して調光装置を電気的に接続すればよい。調光装置を湾曲させてもよい。
【0030】
本開示の表示装置において、画像形成装置から出射された光が入射される導光装置の領域には、導光装置への外光の入射を遮光する遮光部材が配されている構成とすることができる。このような構成を、便宜上、『本開示の第2の態様に係る表示装置』と呼ぶ。本開示の第2の態様に係る表示装置にあっては、画像形成装置から出射された光が入射される導光装置の領域に、導光装置への外光の入射を遮光する遮光部材を配することで、調光装置の作動によって外光の入射光量に変化が生じても、そもそも、画像形成装置から出射された光が入射される導光装置の領域には外光が入射しないので、不所望の迷光等が発生し、表示装置における画像表示品質が低下するといったことが無い。尚、遮光部材の導光装置への射影像内に、画像形成装置から出射された光が入射される導光装置の領域が含まれる形態とすることが好ましい。
【0031】
遮光部材は、導光装置の画像形成装置が配された側とは反対側に、導光装置と離間して配されている構成とすることができる。このような構成の表示装置にあっては、遮光部材を、例えば、不透明なプラスチック材料から作製すればよく、このような遮光部材は、画像表示装置の筐体から一体に延び、あるいは又、画像表示装置の筐体に取り付けられ、あるいは又、フレームから一体に延び、あるいは又、フレームに取り付けられている形態とすることができる。あるいは又、遮光部材は、画像形成装置が配された側とは反対側の導光装置の部分に配されている構成とすることができるし、遮光部材は、調光装置に配されている構成とすることもできる。尚、不透明な材料から成る遮光部材を、例えば、導光装置の面上に物理的気相成長法(PVD法)や化学的気相成長法(CVD法)に基づき形成してもよいし、印刷法等によって形成してもよいし、不透明な材料(プラスチック材料や金属材料、合金材料等)から成るフィルムやシート、箔を貼り合わせてもよい。遮光部材の導光装置への射影像内に、調光装置の端部の導光装置への射影像が含まれる構成とすることが好ましい。
【0032】
本開示の表示装置にあっては、画像表示装置において画像を表示するための信号に基づき、調光装置の一部の領域の光透過率を変化させるが、また、本開示の第2の態様に係る光学装置にあっては、受信装置が受け取った信号に基づき、調光装置の光透過率を変化させるが、光透過率の変化の態様として、光透過率が高い状態から低い状態への変化、光透過率が低い状態から高い状態への変化、短い周期での光透過率が高い状態/低い状態の変化(ブリンク状態の光透過率の変化)を挙げることができる。調光装置が既に動作中の場合には、例えば、調光装置の光透過率を高くすればよいし、調光装置が不動作状態にある場合には、例えば、調光装置を動作させて光透過率を低くすればよい。
【0033】
本開示の表示装置あるいは本開示の第1の態様〜第2の態様に係る導光装置においては、更に、マイクロフォンを備えており、マイクロフォンを介した音声入力によって、調光装置の動作の制御を行う構成とすることができる。具体的には、観察者の肉声に基づく指示によって、調光装置の動作/不動作(オン/オフ)の切替えを制御すればよい。あるいは又、更に、赤外線入出射装置を備えており、赤外線入出射装置によって、調光装置の動作の制御を行う構成とすることができる。具体的には、赤外線入出射装置によって、観察者の瞬きを検出することで、調光装置の動作/不動作の切替えを制御すればよい。
【0034】
本開示の表示装置あるいは本開示の第1の態様〜第2の態様に係る導光装置にあっては、調光装置が動作していないときの調光装置を通過した外光の光量を「1」としたとき、調光装置が動作しているときの調光装置を通過した外光の光量は、0.3乃至0.8、好ましくは0.5乃至0.8である構成とすることができる。そして、これによって、画像が表示されたことを観察者は、容易に、確実に、且つ、直ちに認識することができるし、あるいは又、画像が表示されるであろうことを観察者は、容易に、且つ、確実に認識することができるし、あるいは又、撮像装置が外部のどこを撮像しているかを観察者は、容易に、且つ、確実に認識することができるし、受信装置が信号を受け取った旨を、観察者は、容易に、確実に、且つ、直ちに認識することができる。本開示の表示装置にあっては、画像表示装置において画像を表示するための信号に基づき、調光装置の一部の領域の光透過率を変化させるが、光透過率を変化させる領域の位置は、本質的に任意である。また、本開示の第2の態様に係る光学装置にあっては、受信装置が受け取った信号に基づき、調光装置の光透過率を変化させるが、調光装置の全ての領域の光透過率を変化させてもよいし、一部の領域の光透過率を変化させてもよい。
【0035】
本開示の表示装置の好ましい形態において、第1偏向手段は、導光板に入射された光を反射し、第2偏向手段は、導光板の内部を全反射により伝播した光を透過、反射する構成とすることができる。そして、この場合、第1偏向手段は反射鏡として機能し、第2偏向手段は半透過鏡として機能する構成とすることができる。
【0036】
本開示の表示装置の好ましい形態において、第1偏向手段が導光板に入射された光の全てを反射する場合、第1偏向手段は、例えば、合金を含む金属から構成され、導光板に入射された光を反射させる光反射膜(一種のミラー)から構成することができる。また、第1偏向手段が導光板に入射された光の一部を反射する場合、第1偏向手段は、例えば、誘電体積層膜が多数積層された多層積層構造体、ハーフミラー、偏光ビームスプリッターから構成することができる。そして、第1偏向手段においては、導光板に入射された平行光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された平行光の少なくとも一部が反射される。一方、第2偏向手段においては、導光板の内部を全反射により伝播した平行光が複数回に亙り反射され、導光板から平行光の状態で出射される。第2偏向手段は、誘電体積層膜が多数積層された多層積層構造体や、ハーフミラー、偏光ビームスプリッター、ホログラム回折格子膜から構成することができる。そして、第1偏向手段や第2偏向手段は、導光板の内部に配設されている(導光板の内部に組み込まれている)が、第1偏向手段においては、導光板に入射された平行光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された平行光が反射される。一方、第2偏向手段においては、導光板の内部を全反射により伝播した平行光が複数回に亙り反射又は回折され、導光板から平行光の状態で出射される。
【0037】
あるいは又、第1偏向手段は、導光板に入射された光を回折反射し、第2偏向手段は、導光板の内部を全反射により伝播した光を、複数回に亙り、回折反射する構成とすることができる。そして、この場合、第1偏向手段及び第2偏向手段は回折格子素子から成る形態とすることができ、更には、回折格子素子は、反射型回折格子素子から成り、あるいは又、透過型回折格子素子から成り、あるいは又、一方の回折格子素子は反射型回折格子素子から成り、他方の回折格子素子は透過型回折格子素子から成る構成とすることができる。尚、反射型回折格子素子として、反射型体積ホログラム回折格子を挙げることができる。反射型体積ホログラム回折格子から成る第1偏向手段を、便宜上、『第1回折格子部材』と呼び、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2偏向手段を、便宜上、『第2回折格子部材』と呼ぶ場合がある。
【0038】
本開示の表示装置によって、単色(例えば、緑色)の画像表示を行うことができる。そして、この場合、例えば、画角を例えば二分割(より具体的には、例えば二等分割)して、第1偏向手段は、二分割された画角群のそれぞれに対応する2つの回折格子部材が積層されて成る構成とすることができる。あるいは又、カラーの画像表示を行う場合、異なるP種類(例えば、P=3であり、赤色、緑色、青色の3種類)の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応させるために、第1偏向手段及び第2偏向手段のそれぞれは、P層の回折格子部材が積層されて成る構成とすることができ、この場合、各回折格子部材には1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されている。あるいは又、異なるP種類の波長帯域(あるいは、波長)を有するP種類の光の回折反射に対応するために、1層の回折格子層から成る回折格子部材にP種類の干渉縞が形成されている構成とすることもできる。あるいは又、例えば、第1導光板に、赤色の波長帯域(あるいは、波長)を有する光を回折反射させる反射型体積ホログラム回折格子から成る回折格子層から構成された回折格子部材を配し、第2導光板に、緑色の波長帯域(あるいは、波長)を有する光を回折反射させる反射型体積ホログラム回折格子から成る回折格子層から構成された回折格子部材を配し、第3導光板に、青色の波長帯域(あるいは、波長)を有する光を回折反射させる反射型体積ホログラム回折格子から成る回折格子層から構成された回折格子部材を配し、これらの第1導光板、第2導光板及び第3導光板を隙間を開けて積層する構造を採用してもよい。そして、これらの構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が回折格子部材において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折反射角の最適化を図ることができる。反射型体積ホログラム回折格子が直接大気と接しないように、保護部材を配することが好ましい。
【0039】
本開示の表示装置において、調光装置の大きさは、画像表示装置よりも小さくてもよいし、同じ大きさでもよいし、大きくてもよい。あるいは又、調光装置の射影像内に第2偏向手段が位置する形態とすることができるし、第2偏向手段の射影像内に調光装置が位置する形態とすることもできる。そして、更には、前述したように、調光装置を構成する基板の一方(第1基板)によって第1偏向手段及び第2偏向手段が被覆されている形態とすることができる。
【0040】
第1回折格子部材及び第2回折格子部材を構成する材料として、フォトポリマー材料を挙げることができる。反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材及び第2回折格子部材の構成材料や基本的な構造は、従来の反射型体積ホログラム回折格子の構成材料や構造と同じとすればよい。反射型体積ホログラム回折格子とは、+1次の回折光のみを回折反射するホログラム回折格子を意味する。回折格子部材には、その内部から表面に亙り干渉縞が形成されているが、係る干渉縞それ自体の形成方法は、従来の形成方法と同じとすればよい。具体的には、例えば、回折格子部材を構成する部材(例えば、フォトポリマー材料)に対して一方の側の第1の所定の方向から物体光を照射し、同時に、回折格子部材を構成する部材に対して他方の側の第2の所定の方向から参照光を照射し、物体光と参照光とによって形成される干渉縞を回折格子部材を構成する部材の内部に記録すればよい。第1の所定の方向、第2の所定の方向、物体光及び参照光の波長を適切に選択することで、回折格子部材の表面における干渉縞の所望のピッチ、干渉縞の所望の傾斜角(スラント角)を得ることができる。干渉縞の傾斜角とは、回折格子部材(あるいは回折格子層)の表面と干渉縞の成す角度を意味する。第1回折格子部材及び第2回折格子部材を、反射型体積ホログラム回折格子から成るP層の回折格子層の積層構造から構成する場合、このような回折格子層の積層は、P層の回折格子層をそれぞれ別個に作製した後、P層の回折格子層を、例えば、紫外線硬化型接着剤を使用して積層(接着)すればよい。また、粘着性を有するフォトポリマー材料を用いて1層の回折格子層を作製した後、その上に順次粘着性を有するフォトポリマー材料を貼り付けて回折格子層を作製することで、P層の回折格子層を作製してもよい。
【0041】
あるいは又、本開示における画像表示装置において、導光装置は、画像形成装置から出射された光が入射され、観察者の瞳に向かって出射される半透過ミラーから構成されている形態とすることができる。画像形成装置から出射された光は、空気中を伝播して半透過ミラーに入射する構造としてもよいし、例えば、ガラス板やプラスチック板等の透明な部材(具体的には、後述する導光板を構成する材料と同様の材料から成る部材)の内部を伝播して半透過ミラーに入射する構造としてもよい。半透過ミラーを、この透明な部材を介して画像形成装置に取り付けてもよいし、半透過ミラーを、この透明な部材とは別の部材を介して画像形成装置に取り付けてもよい。
【0042】
本開示の表示装置の好ましい形態において、画像形成装置は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有する形態とすることができる。尚、このような画像形成装置の構成を、便宜上、『第1の構成の画像形成装置』と呼ぶ。
【0043】
第1の構成の画像形成装置として、例えば、反射型空間光変調装置及び光源から構成された画像形成装置;透過型空間光変調装置及び光源から構成された画像形成装置;発光ダイオード(LED)、半導体レーザ素子、有機EL(Electro Luminescence)素子、無機EL素子等の発光素子から構成された画像形成装置を挙げることができるが、中でも、反射型空間光変調装置及び光源から構成された画像形成装置とすることが好ましい。空間光変調装置として、ライト・バルブ、例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の透過型あるいは反射型の液晶表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を挙げることができ、光源として上記の発光素子を挙げることができる。更には、反射型空間光変調装置は、液晶表示装置、及び、光源からの光の一部を反射して液晶表示装置へと導き、且つ、液晶表示装置によって反射された光の一部を通過させて光学系へと導く偏光ビームスプリッターから成る構成とすることができ、光源を構成する発光素子として、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子、白色発光素子を挙げることができるし、あるいは又、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子から出射された赤色光、緑色光及び青色光をライトパイプを用いて混色、輝度均一化を行うことで白色光を得てもよい。そして、係る発光素子として、例えば、半導体レーザ素子や固体レーザ、LEDを例示することができる。画素の数は、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、画素の数の具体的な値として、320×240、432×240、640×480、854×480、1024×768、1920×1080等を例示することができる。後述するコリメート光学系は、画素の位置情報を導光手段の光学系における角度情報に変換する機能を有する。コリメート光学系として、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、ホログラムレンズを、単独、若しくは、組み合わせた、全体として正の光学的パワーを持つ光学系を例示することができる。
【0044】
あるいは又、本開示の表示装置において、画像形成装置は、光源、及び、光源から出射された平行光を走査する走査手段を備えた形態とすることができる。尚、このような画像形成装置の構成を、便宜上、『第2の構成の画像形成装置』と呼ぶ。
【0045】
第2の構成の画像形成装置における光源として発光素子を挙げることができ、具体的には、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子、白色発光素子を挙げることができるし、あるいは又、赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子から出射された赤色光、緑色光及び青色光をライトパイプを用いて混色、輝度均一化を行うことで白色光を得てもよい。発光素子として、例えば、半導体レーザ素子や固体レーザ、LEDを例示することができる。第2の構成の画像形成装置における画素(仮想の画素)の数も、画像表示装置に要求される仕様に基づき決定すればよく、画素(仮想の画素)の数の具体的な値として、320×240、432×240、640×480、854×480、1024×768、1920×1080等を例示することができる。また、カラーの画像表示を行う場合であって、光源を赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子から構成する場合、例えば、クロスプリズムを用いて色合成を行うことが好ましい。走査手段として、光源から出射された光を水平走査及び垂直走査する、例えば、二次元方向に回転可能なマイクロミラーを有するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)やガルバノ・ミラーを挙げることができる。次に説明するリレー光学系は、周知のリレー光学系から構成すればよい。
【0046】
第1の構成の画像形成装置あるいは第2の構成の画像形成装置において、光学系(出射光を平行光とする光学系であり、『平行光出射光学系』と呼ぶ場合があり、具体的には、例えば、コリメート光学系やリレー光学系)にて複数の平行光とされた光を導光板に入射させるが、このような、平行光であることの要請は、これらの光が導光板へ入射したときの光波面情報が、第1偏向手段と第2偏向手段を介して導光板から出射された後も保存される必要があることに基づく。尚、複数の平行光を生成させるためには、具体的には、例えば、平行光出射光学系における焦点距離の所(位置)に、例えば、画像形成装置の光出射部を位置させればよい。平行光出射光学系は、画素の位置情報を導光装置の光学系における角度情報に変換する機能を有する。平行光出射光学系として、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、ホログラムレンズを、単独、若しくは、組み合わせた、全体として正の光学的パワーを持つ光学系を例示することができる。平行光出射光学系と導光板との間には、平行光出射光学系から不所望の光が出射されて導光板に入射しないように、開口部を有する遮光部を配置してもよい。
【0047】
あるいは又、例えば、発光素子とライト・バルブとから構成された画像形成装置あるいは光源として、全体として白色光を発光するバックライトと、赤色発光画素、緑色発光画素、及び、青色発光画素を有する液晶表示装置との組合せ以外にも、以下の構成を例示することができる。
【0048】
[画像形成装置−A]
画像形成装置−Aは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から出射された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズムであり、以下の説明においても同様である)、
を備えており、
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御する。
【0049】
[画像形成装置−B]
画像形成装置−Bは、
(α)青色を発光する第1発光素子、及び、青色を発光する第1発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第1光通過制御装置[一種のライト・バルブであり、例えば、液晶表示装置やデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、LCOSから構成され、以下の説明においても同様である]から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子、及び、緑色を発光する第2発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第2光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子、及び、赤色を発光する第3発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御するための第3光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1光通過制御装置、第2光通過制御装置及び第3光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。第1発光素子、第2発光素子、第3発光素子から出射された出射光を光通過制御装置へと案内するための手段(光案内部材)として、導光部材、マイクロレンズアレイ、ミラーや反射板、集光レンズを例示することができる。
【0050】
[画像形成装置−C]
画像形成装置−Cは、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネル、及び、第1発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための青色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネル、及び、第2発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための緑色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第2画像形成装置、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネル、及び、第3発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御するための赤色光通過制御装置(ライト・バルブ)から成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)青色光通過制御装置、緑色光通過制御装置及び赤色光通過制御装置を通過した光を1本の光路に纏めるための手段を備えており、
光通過制御装置(ライト・バルブ)によってこれらの第1発光パネル、第2発光パネル及び第3発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0051】
[画像形成装置−D]
画像形成装置−Dは、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子を備えた第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子を備えた第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子を備えた第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置から出射された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から出射された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0052】
[画像形成装置−E]
画像形成装置−Eも、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置であり、
(α)青色を発光する第1発光素子が2次元マトリクス状に配列された第1発光パネルから成る第1画像形成装置、
(β)緑色を発光する第2発光素子が2次元マトリクス状に配列された第2発光パネルから成る第2画像形成装置、及び、
(γ)赤色を発光する第3発光素子が2次元マトリクス状に配列された第3発光パネルから成る第3画像形成装置、並びに、
(δ)第1画像形成装置、第2画像形成装置及び第3画像形成装置のそれぞれから出射された光を1本の光路に纏めるための手段、更には、
(ε)1本の光路に纏めるための手段から出射された光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)、
を備えており、
光通過制御装置によってこれらの発光パネルから出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する。
【0053】
[画像形成装置−F]
画像形成装置−Fは、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで画像を表示する、パッシブマトリックスタイプあるいはアクティブマトリックスタイプのカラー表示の画像形成装置である。
【0054】
[画像形成装置−G]
画像形成装置−Gは、2次元マトリクス状に配列された発光素子ユニットからの出射光の通過/非通過を制御するための光通過制御装置(ライト・バルブ)を備えており、発光素子ユニットにおける第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子のそれぞれの発光/非発光状態を時分割制御し、更に、光通過制御装置によって第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子から出射された出射光の通過/非通過を制御することで画像を表示する、フィールドシーケンシャル方式のカラー表示の画像形成装置である。
【0055】
あるいは又、本開示の表示装置を両眼型とする場合、
導光板は、全体として画像形成装置よりも観察者の顔の中心側に配置されており、
2つの画像表示装置を結合する結合部材を更に有し、
結合部材は、観察者の2つの瞳の間に位置するフレームの中央部分の観察者に面する側に取り付けられており、
結合部材の射影像は、フレームの射影像内に含まれる構成とすることができる。
【0056】
このように、結合部材が、観察者の2つの瞳の間に位置するフレームの中央部分に取り付けられている構造とすることによって、即ち、画像表示装置は、フレームに、直接、取り付けられた構造とはなっていなければ、観察者がフレームを頭部に装着したとき、テンプル部が外側に向かって広がった状態となり、その結果、フレームが変形したとしても、係るフレームの変形によって、画像形成装置あるいは導光板の変位(位置変化)が生じることがないか、生じたとしても、極僅かである。それ故、左右の画像の輻輳角が変化してしまうことを確実に防止することができる。しかも、フレームのフロント部の剛性を高める必要がないので、フレームの重量増加、デザイン性の低下、コストの増加を招くことがない。また、画像表示装置は、眼鏡型のフレームに、直接、取り付けられていないので、観察者の嗜好によってフレームのデザインや色等を自由に選択することが可能であるし、フレームのデザインが受ける制約も少なく、デザイン上の自由度が高い。加えて、結合部材は、観察者とフレームとの間に配置されており、しかも、結合部材の射影像は、フレームの射影像内に含まれる。云い換えれば、観察者の正面から頭部装着型ディスプレイを眺めたとき、結合部材はフレームによって隠されている。従って、高いデザイン性、意匠性を頭部装着型ディスプレイに与えることができる。
【0057】
尚、結合部材は、観察者の2つの瞳の間に位置するフロント部の中央部分(通常の眼鏡におけるブリッジの部分に相当する)の観察者に面する側に取り付けられている構成とすることが好ましい。
【0058】
結合部材によって2つの画像表示装置が結合されているが、具体的には、結合部材の各端部に、画像形成装置が、取付け状態調整可能に取り付けられている形態とすることができる。そして、この場合、各画像形成装置は、観察者の瞳よりも外側に位置している構成とすることが好ましい。更には、このような構成にあっては、一方の画像形成装置の取付部中心とフレームの一端部(一方の智、ヨロイ)との間の距離をα、結合部材の中心からフレームの一端部(一方の智)までの距離をβ、他方の画像形成装置の取付部中心とフレームの一端部(一方の智)との間の距離をγ、フレームの長さをLとしたとき、0.01×L≦α≦0.30×L、好ましくは、0.05×L≦α≦0.25×L、0.35×L≦β≦0.65×L、好ましくは、0.45×L≦β≦0.55×L、0.70×L≦γ≦0.99×L、好ましくは、0.75×L≦γ≦0.95×Lを満足することが望ましい。結合部材の各端部への画像形成装置の取付けは、具体的には、例えば、結合部材の各端部の3箇所に貫通孔を設け、貫通孔に対応した螺合部を画像形成装置に設け、各貫通孔にビスを通し、画像形成装置に設けられた螺合部に螺合させる。ビスと螺合部との間にはバネを挿入しておく。こうして、ビスの締め付け状態によって、画像形成装置の取付け状態(結合部材に対する画像形成装置の傾き)を調整することができる。
【0059】
ここで、画像形成装置の取付部中心とは、画像形成装置が結合部材に取り付けられている状態において、画像形成装置及びフレームを仮想平面に射影したときに得られる画像形成装置の射影像が、フレームの射影像の重なっている部分のフレームの軸線方向に沿った二等分点を指す。また、結合部材の中心とは、結合部材がフレームに取り付けられている状態において、結合部材がフレームに接している部分のフレームの軸線方向に沿った二等分点を指す。フレームの長さとは、フレームが湾曲している場合、フレームの射影像の長さである。尚、射影方向は、観察者の顔に対して垂直な方向とする。
【0060】
あるいは又、結合部材によって2つの画像表示装置が結合されているが、具体的には、結合部材が、2つの導光板を結合している形態とすることもできる。尚、2つの導光板が一体的に作製されている場合があり、このような場合、係る一体的に作製された導光板に結合部材が取り付けられているが、係る形態も、結合部材が2つの導光板を結合している形態に包含される。一方の画像形成装置の中心とフレームの一端部との間の距離をα’他方の画像形成装置の中心とフレームの一端部との間の距離をγ’としたとき、α’,γ’の値も上述したα,γの値と同様とすることが望ましい。尚、画像形成装置の中心とは、画像形成装置が導光板に取り付けられている状態において、画像形成装置及びフレームを仮想平面に射影したときに得られる画像形成装置の射影像が、フレームの射影像の重なっている部分のフレームの軸線方向に沿った二等分点を指す。
【0061】
結合部材の形状は、結合部材の射影像がフレームの射影像内に含まれる限りにおいて、本質的に任意であり、例えば、棒状、細長い板状を例示することができる。結合部材を構成する材料も、金属や合金、プラスチック、これらの組合せを挙げることができる。
【0062】
画像形成装置の中心から出射され、光学系の画像形成装置側節点を通過した光線を『中心光線』と呼び、中心光線の内、導光装置に垂直に入射するものを『中心入射光線』と呼ぶ。そして、中心入射光線が導光装置に入射する点を導光装置中心点とし、導光装置中心点を通過し、導光装置の軸線方向と平行な軸線をX軸、導光装置中心点を通過し、導光装置の法線と一致する軸線をZ軸とする。本開示の表示装置における水平方向とは、X軸と平行な方向であり、以下、『X軸方向』と呼ぶ場合もある。ここで、光学系は、画像形成装置と導光装置との間に配置され、画像形成装置から出射された光を平行光とする。そして、光学系にて平行光とされた光束が、導光装置に入射され、導光され、出射される。また、第1偏向手段の中心点を、『導光装置中心点』とする。
【0063】
導光板は、導光板の軸線(長手方向、水平方向であり、X軸に該当する)と平行に延びる2つの平行面(第1面及び第2面)を有している。尚、導光板の幅方向(高さ方向、垂直方向)はY軸に該当する。光が入射する導光板の面を導光板入射面、光が出射する導光板の面を導光板出射面としたとき、第1面によって導光板入射面及び導光板出射面が構成されていてもよいし、第1面によって導光板入射面が構成され、第2面によって導光板出射面が構成されていてもよい。回折格子部材の干渉縞は、概ねY軸と平行に延びる。
【0064】
導光板を構成する材料として、石英ガラスやBK7等の光学ガラスを含むガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができる。導光板の形状は、平板に限定するものではなく、湾曲した形状を有していてもよい。
【0065】
本開示の表示装置において、フレームは、観察者の正面に配置されるフロント部と、フロント部の両端に蝶番を介して回動自在に取り付けられた2つのテンプル部とから成る構成とすることができる。尚、各テンプル部の先端部にはモダン部が取り付けられている。画像表示装置はフレームに取り付けられているが、具体的には、例えば、画像形成装置をテンプル部に取り付ければよい。また、フロント部と2つのテンプル部とが一体となった構成とすることもできる。即ち、本開示の表示装置の全体を眺めたとき、フレームは、概ね通常の眼鏡と略同じ構造を有する。フレームを構成する材料は、金属や合金、プラスチック、これらの組合せといった、通常の眼鏡を構成する材料と同じ材料から構成することができる。更には、フロント部にノーズパッドが取り付けられている構成とすることができる。即ち、本開示の表示装置の全体を眺めたとき、フレーム及びノーズパッドの組立体は、リムが無い点を除き、通常の眼鏡と略同じ構造を有する。ノーズパッドも周知の構成、構造とすることができる。
【0066】
また、本開示の表示装置にあっては、デザイン上、あるいは、装着の容易性といった観点から、1つあるいは2つの画像形成装置からの配線(信号線や電源線等)が、テンプル部、及び、モダン部の内部を介して、モダン部の先端部から外部に延び、制御装置(制御回路あるいは制御手段)に接続されている形態とすることが望ましい。更には、各画像形成装置はヘッドホン部を備えており、各画像形成装置からのヘッドホン部用配線が、テンプル部、及び、モダン部の内部を介して、モダン部の先端部からヘッドホン部へと延びている形態とすることもできる。ヘッドホン部として、例えば、インナーイヤー型のヘッドホン部、カナル型のヘッドホン部を挙げることができる。ヘッドホン部用配線は、より具体的には、モダン部の先端部から、耳介(耳殻)の後ろ側を回り込むようにしてヘッドホン部へと延びている形態とすることが好ましい。
【0067】
本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置においても、フレームは、観察者の正面に配置されるフロント部と、フロント部の両端に蝶番を介して回動自在に取り付けられた2つのテンプル部とから成る構成とすることができる。尚、各テンプル部の先端部にはモダン部が取り付けられている。調光装置はフレームに取り付けられているが、具体的には、例えば、調光装置をフロント部に取り付ければよい。また、フロント部と2つのテンプル部とが一体となった構成とすることもできる。即ち、本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置の全体を眺めたとき、フレームは、概ね通常の眼鏡と略同じ構造を有する。あるいは又、本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置の全体を眺めたとき、通常の眼鏡におけるレンズの代わりに、調光装置が配されている。フレームを構成する材料は、金属や合金、プラスチック、これらの組合せといった、通常の眼鏡を構成する材料と同じ材料から構成することができる。更には、フロント部にノーズパッドが取り付けられている構成とすることができる。即ち、本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置の全体を眺めたとき、フレーム及びノーズパッドの組立体は、リムが無い点を除き、通常の眼鏡と略同じ構造を有する。ノーズパッドも周知の構成、構造とすることができる。本開示の第1の態様に係る光学装置において、撮像装置を、フレームの中央部分や端部に取り付けてもよいし、テンプル部に取り付けてもよい。本開示の第1の態様〜第2の態様に係る光学装置において、通常の眼鏡のレンズに調光装置を取り付け、あるいは又、レンズと調光装置を並置してもよい。
【0068】
本開示の表示装置によって、例えば、頭部装着型ディスプレイ(HMD,Head Mounted Display)を構成することができる。そして、これによって、表示装置の軽量化、小型化を図ることができるし、表示装置装着時の不快感を大幅に軽減させることが可能となり、更には、製造コストダウンを図ることも可能となる。
【0069】
本開示の第1の態様に係る光学装置において、撮像装置は、周知の構成、構造の撮像装置とすればよく、具体的には、例えば、CCDあるいはCMOSセンサーから成る固体撮像素子とレンズから構成することができる。
【0070】
本開示の表示装置においても、例えば、フロント部の中央部分や端部、テンプル部に撮像装置が取り付けられている形態とすることができ、撮像装置からの配線は、例えば、フロント部を介して、一方の画像表示装置(あるいは画像形成装置)に接続すればよく、更には、画像表示装置(あるいは画像形成装置)から延びる配線に含ませればよい。そして、このような形態にあっては、本開示の第1の態様に係る光学装置と同様に、撮像装置によって撮像される空間領域を調光装置において表示してもよい。
【0071】
以上に説明した種々の変形例を含む本開示の表示装置は、例えば、電子メールの受信・表示、インターネット上の種々のサイトにおける各種情報等の表示、各種装置等の観察対象物の運転、操作、保守、分解時等における各種説明や、記号、符号、印、標章、図案等の表示;人物や物品等の観察対象物に関する各種説明や、記号、符号、印、標章、図案等の表示;動画や静止画の表示;映画等の字幕の表示;映像に同期した映像に関する説明文やクローズド・キャプションの表示;芝居や歌舞伎、能、狂言、オペラ、音楽会、バレー、各種演劇、遊園地(アミューズメントパーク)、美術館、観光地、行楽地、観光案内等における観察対象物に関する各種説明、その内容や進行状況、背景等を説明するための説明文等の表示に用いることができるし、クローズド・キャプションの表示に用いることができる。芝居や歌舞伎、能、狂言、オペラ、音楽会、バレー、各種演劇、遊園地(アミューズメントパーク)、美術館、観光地、行楽地、観光案内等にあっては、適切なタイミングで観察対象物に関連した画像としての文字を表示装置において表示すればよい。具体的には、例えば、映画等の進行状況に応じて、あるいは又、芝居等の進行状況に応じて、所定のスケジュール、時間配分に基づき、作業者の操作によって、あるいは、コンピュータ等の制御下、画像制御信号が表示装置に送出され、画像が表示装置にて表示される。また、各種装置、人物や物品等の観察対象物に関する各種説明の表示を行うが、撮像装置によって各種装置、人物や物品等の観察対象物を撮影し、表示装置において撮影内容を解析することで、予め作成しておいた各種装置、人物や物品等の観察対象物に関する各種説明の表示を表示装置にて行うことができる。あるいは又、本開示の表示装置は、立体視ディスプレイ装置として用いることもできる。この場合、必要に応じて、導光装置に偏光板や偏光フィルムを着脱自在に取り付け、あるいは、導光装置に偏光板や偏光フィルムを貼り合わせればよい。
【0072】
画像形成装置への画像信号には、画像信号(例えば、文字データ)だけでなく、例えば、表示すべき画像に関する輝度データ(輝度情報)、又は、色度データ(色度情報)、又は、輝度データ及び色度データを含めることができる。輝度データは、導光装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の輝度に対応した輝度データとすることができるし、色度データは、導光装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の色度に対応した色度データとすることができる。このように、画像に関する輝度データを含めることで、表示される画像の輝度(明るさ)の制御を行うことができるし、画像に関する色度データを含めることで、表示される画像の色度(色)の制御を行うことができるし、画像に関する輝度データ及び色度データを含めることで、表示される画像の輝度(明るさ)及び色度(色)の制御を行うことができる。画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の輝度に対応した輝度データとする場合、画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の輝度の値が高くなるほど、画像の輝度の値が高くなるように(即ち、画像がより明るく表示されるように)、輝度データの値を設定すればよい。また、画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の色度に対応した色度データとする場合、画像表示装置を通して眺めた観察対象物を含む所定の領域の色度と、表示すべき画像の色度とが、おおよそ補色関係となるように色度データの値を設定すればよい。補色とは、色相環(color circle)で正反対に位置する関係の色の組み合わせ指す。赤に対しての緑、黄に対しての紫、青に対しての橙など、相補的な色のことでもある。或る色に別の色を適宜の割合で混合して、光の場合は白、物体の場合は黒というように、彩度低下を引き起こす色についても云うが、並列した際の視覚的効果の相補性と混合した際の相補性は異なる。余色、対照色、反対色ともいう。但し、反対色は補色が相対する色を直接に指示するのに対し、補色の指示する範囲はやや広い。補色同士の色の組み合わせは互いの色を引き立て合う相乗効果があり、これは補色調和といわれる。
【実施例1】
【0073】
実施例1は、本開示の表示装置に関し、また、本開示の第2の態様に係る光学装置に関する。実施例1の画像表示装置の概念図を
図1に示し、実施例1等の表示装置(具体的には、頭部装着型ディスプレイ,HMD)を上方から眺めた模式図を
図2に示し、側方から眺めた模式図を
図3Aに示し、導光装置及び調光装置の部分を正面から眺めた模式図を
図3Bに示し、実施例1の表示装置における調光装置の挙動を模式的に示す調光装置の模式的な断面図を
図4A及び
図4Bに示す。また、画像表示装置を構成する導光板における光の伝播を
図5に模式的に示す。
【0074】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例14の表示装置は、より具体的には、頭部装着型ディスプレイ(HMD)であり、
(イ)観察者20の頭部に装着されるフレーム(例えば、眼鏡型のフレーム10)、
(ロ)フレーム10に取り付けられた画像表示装置100,200,300,400,500、及び、
(ハ)外部から入射する外光の光量を調整する調光装置700、
を備えている。尚、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例14の表示装置を、具体的には、2つの画像表示装置を備えた両眼型としたが、1つ備えた片眼型としてもよい。また、画像形成装置111,211は、例えば、単色(例えば、緑色)の画像を表示する。そして、画像表示装置100,200,300,400,500において画像を表示するための信号に基づき、調光装置700の一部の領域708(
図3B、及び、後述する
図16Bの斜線を付した領域を参照)の光透過率を変化させる。
【0075】
あるいは又、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例14の光学装置は、
(イ)観察者20の頭部に装着されるフレーム10、
(ロ)受信装置、及び、
(ハ)フレーム10に取り付けられ、外部から入射する外光の光量を調整する調光装置700、
を備えており、
受信装置が受け取った信号に基づき、調光装置700の光透過率を変化させる。尚、実施例2〜実施例14にあっては、「光学装置」という用語の代わりに「表示装置」という用語を用いて説明を行う。
【0076】
具体的には、例えば、表示装置の後述する制御装置(制御回路、制御手段)18には通信手段(受信装置)が組み込まれており、あるいは、表示装置は携帯電話機やスマートフォンといった通信手段(受信装置)を備えている。また、画像表示装置において表示する画像に関する情報やデータ、あるいは又、受信装置が受け取るべき信号は、例えば、所謂クラウドコンピュータやサーバーに記録、保管、保存されている。こうして、クラウドコンピュータやサーバーと表示装置との間での各種情報やデータ、信号の授受、交換を行うことができるし、各種情報やデータに基づく信号、即ち、画像表示装置において画像を表示するための信号を受け取ることができるし、受信装置は信号を受け取ることができる。そして、画像表示装置100,200,300,400,500において画像を表示するための信号である、例えば、電子メールやインターネット上の種々のサイトにおける各種情報等を、表示装置が受け取ると、電子メールやインターネット上の種々のサイトにおける各種情報等を画像表示装置100,200,300,400,500において表示する前に、制御装置18の制御下、調光装置700の一部の領域708の光透過率を変化させる。あるいは又、画像表示装置100,200,300,400,500において画像を表示するための信号は画像表示装置に(具体的には、例えば、制御装置18の画像情報記憶装置18Aに)記憶されている形態とすることもでき、画像表示装置100,200,300,400,500において画像を表示する前に、制御装置18の制御下、調光装置700の一部の領域708の光透過率を変化させる。あるいは又、受信装置が受け取った信号に基づき、調光装置700の光透過率を変化させる。
【0077】
尚、これらの状態にあっては、電子メールやインターネット上の種々のサイトにおける各種情報等や、画像表示装置(具体的には、例えば、制御装置18)に記憶されている信号を、画像表示装置100,200,300,400,500において表示する必要は、必ずしも無い。調光装置700の一部の領域708における光透過率の変化の態様として、光透過率が高い状態から低い状態への変化、光透過率が低い状態から高い状態への変化、短い周期での光透過率が高い状態/低い状態の変化(ブリンク状態の光透過率の変化)を挙げることができる。調光装置700が既に動作中の場合には、例えば、調光装置700の光透過率を高くすればよいし、調光装置700が不動作状態にある場合には、例えば、調光装置を動作させて光透過率を低くすればよい。
【0078】
調光装置700が動作していないときの調光装置700を通過した外光の光量を「1」としたとき、調光装置700が動作しているときの調光装置を通過した外光の光量は、0.3乃至0.8、好ましくは0.5乃至0.8であることが好ましい。
【0079】
調光装置700は、常時、動作状態にあってもよいし、観察者の指示(操作)によって動作/不動作(オン/オフ)状態が規定されてもよいし、通常は不動作状態にあり、画像表示装置100,200,300,400,500において画像を表示するための信号に基づき、動作を開始してもよい。観察者の指示(操作)によって動作/不動作状態を規定するためには、例えば、表示装置はマイクロフォンを更に備えており、マイクロフォンを介した音声入力によって、調光装置700の動作の制御を行えばよい。具体的には、観察者の肉声に基づく指示によって、調光装置の動作/不動作の切替えを制御すればよい。あるいは又、表示装置は、赤外線入出射装置を更に備えており、赤外線入出射装置によって、調光装置700の動作の制御を行えばよい。具体的には、赤外線入出射装置によって、観察者の瞬きを検出することで、調光装置700の動作/不動作の切替えを制御すればよい。
【0080】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例14における画像表示装置100,200,300,400,500は、
(A)画像形成装置111,211、及び、
(B)画像形成装置111,211から出射された光が入射され、導光され、出射される導光装置(導光手段)120,320,520、
を備えている。更には、
(C)画像形成装置111,211から出射された光を平行光とする光学系(平行光出射光学系)112,254、
を備えており、光学系112,254にて平行光とされた光束が導光装置120,320,520に入射され、導光され、出射される。
【0081】
尚、画像表示装置100,200,300,400,500は、フレームに、固定して取り付けられていてもよいし、着脱自在に取り付けられていてもよい。ここで、光学系112,254は、画像形成装置111,211と導光装置120,320,520との間に配置されている。そして、光学系112,254にて平行光とされた光束が、導光装置120,320,520に入射され、導光され、出射される。また、導光装置120,320,520は半透過型(シースルー型)である。具体的には、少なくとも観察者20の両眼に対向する導光装置の部分(より具体的には、後述する導光板121,321及び第2偏向手段140,340)は、半透過(シースルー)である。
【0082】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例14において、画像形成装置111,211の中心から出射され、光学系112,254の画像形成装置側節点を通過した光線(中心光線CL)の内、導光装置120,320に垂直に入射する中心入射光線が導光装置120,320,520に入射する点を導光装置中心点Oとし、導光装置中心点Oを通過し、導光装置120,320,520の軸線方向と平行な軸線をX軸、導光装置中心点Oを通過し、導光装置120,320,520の法線と一致する軸線をZ軸とする。尚、次に述べる第1偏向手段130,330の中心点が、導光装置中心点Oである。即ち、
図5に示すように、画像表示装置100,200,300,400,500において、画像形成装置111,211の中心から出射され、光学系112,254の画像形成装置側節点を通過した中心入射光線CLは、導光板121,321に垂直に衝突する。云い換えれば、中心入射光線CLは、導光板121,321へ、入射角0度で入射する。そして、この場合、表示される画像の中心は、導光板121,321の第1面122,322の垂線方向に一致する。
【0083】
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例4、実施例6〜実施例14における導光装置120,320は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板121,321、
(b)導光板121,321に入射された光が導光板121,321の内部で全反射されるように、導光板121,321に入射された光の少なくとも一部を偏向させる第1偏向手段130,330、及び、
(c)導光板121,321の内部を全反射により伝播した光を導光板121,321から出射させるために、導光板121,321の内部を全反射により伝播した光を偏向させる第2偏向手段140,340、
を備えている。
【0084】
そして、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例14において、導光装置120,320,520の画像形成装置111,211が配された側とは反対側には、外部から入射する外光の光量を調整する調光装置700が配設されている。具体的には、一種の光シャッタである調光装置700は、接着剤707を用いて、導光装置120,320,520(具体的には、導光板121,321を保護する保護部材(保護板)126,326あるいは半透過ミラー520)に固定されている。また、調光装置700は、観察者20とは反対側の導光装置120,320,520の領域に配置されている。尚、保護部材(保護板)126,326は、接着部材127,327によって導光板121,321の第2面123,323に接着されており、保護部材(保護板)126,326によって、第1偏向手段130,330及び第2偏向手段140,340は被覆されている。そして、調光装置700の射影像内に第2偏向手段140,340が位置する。
【0085】
ここで、実施例1において、第1偏向手段130及び第2偏向手段140は導光板121の内部に配設されている。そして、第1偏向手段130は、導光板121に入射された光を反射し、第2偏向手段140は、導光板121の内部を全反射により伝播した光を、複数回に亙り、透過、反射する。即ち、第1偏向手段130は反射鏡として機能し、第2偏向手段140は半透過鏡として機能する。より具体的には、導光板121の内部に設けられた第1偏向手段130は、アルミニウム(Al)から成り、導光板121に入射された光を反射させる光反射膜(一種のミラー)から構成されている。一方、導光板121の内部に設けられた第2偏向手段140は、誘電体積層膜が多数積層された多層積層構造体から構成されている。誘電体積層膜は、例えば、高誘電率材料としてのTiO
2膜、及び、低誘電率材料としてのSiO
2膜から構成されている。誘電体積層膜が多数積層された多層積層構造体に関しては、特表2005−521099に開示されている。図面においては6層の誘電体積層膜を図示しているが、これに限定するものではない。誘電体積層膜と誘電体積層膜との間には、導光板121を構成する材料と同じ材料から成る薄片が挟まれている。尚、第1偏向手段130においては、導光板121に入射された平行光が導光板121の内部で全反射されるように、導光板121に入射された平行光が反射(又は回折)される。一方、第2偏向手段140においては、導光板121の内部を全反射により伝播した平行光が複数回に亙り反射(又は回折)され、導光板121から平行光の状態で、観察者20の瞳21に向かって出射される。
【0086】
第1偏向手段130は、導光板121の第1偏向手段130を設ける部分124を切り出すことで、導光板121に第1偏向手段130を形成すべき斜面を設け、係る斜面に光反射膜を真空蒸着した後、導光板121の切り出した部分124を第1偏向手段130に接着すればよい。また、第2偏向手段140は、導光板121を構成する材料と同じ材料(例えば、ガラス)と誘電体積層膜(例えば、真空蒸着法にて成膜することができる)とが多数積層された多層積層構造体を作製し、導光板121の第2偏向手段140を設ける部分125を切り出して斜面を形成し、係る斜面に多層積層構造体を接着し、研磨等を行って、外形を整えればよい。こうして、導光板121の内部に第1偏向手段130及び第2偏向手段140が設けられた導光装置120を得ることができる。
【0087】
ここで、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例4、実施例6〜実施例14において、光学ガラスやプラスチック材料から成る導光板121,321は、導光板121,321の内部全反射による光伝播方向(X軸)と平行に延びる2つの平行面(第1面122,322及び第2面123,323)を有している。第1面122,322と第2面123,323とは対向している。そして、光入射面に相当する第1面122,322から平行光が入射され、内部を全反射により伝播した後、光出射面に相当する第1面122,322から出射される。但し、これに限定するものではなく、第2面123,323によって光入射面が構成され、第1面122,322によって光出射面が構成されていてもよい。
【0088】
実施例1あるいは後述する実施例3において、画像形成装置111は、第1の構成の画像形成装置であり、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有する。具体的には、画像形成装置111は、反射型空間光変調装置150、及び、白色光を出射する発光ダイオードから成る光源153から構成されている。各画像形成装置111全体は、筐体113(
図1では、一点鎖線で示す)内に納められており、係る筐体113には開口部(図示せず)が設けられており、開口部を介して光学系(平行光出射光学系,コリメート光学系)112から光が出射される。反射型空間光変調装置150は、ライト・バルブとしてのLCOSから成る液晶表示装置(LCD)151、及び、光源153からの光の一部を反射して液晶表示装置151へと導き、且つ、液晶表示装置151によって反射された光の一部を通過させて光学系112へと導く偏光ビームスプリッター152から構成されている。液晶表示装置151は、2次元マトリクス状に配列された複数(例えば、640×480個)の画素(液晶セル)を備えている。偏光ビームスプリッター152は、周知の構成、構造を有する。光源153から出射された無偏光の光は、偏光ビームスプリッター152に衝突する。偏光ビームスプリッター152において、P偏光成分は通過し、系外に出射される。一方、S偏光成分は、偏光ビームスプリッター152において反射され、液晶表示装置151に入射し、液晶表示装置151の内部で反射され、液晶表示装置151から出射される。ここで、液晶表示装置151から出射した光の内、「白」を表示する画素から出射した光にはP偏光成分が多く含まれ、「黒」を表示する画素から出射した光にはS偏光成分が多く含まれる。従って、液晶表示装置151から出射され、偏光ビームスプリッター152に衝突する光の内、P偏光成分は、偏光ビームスプリッター152を通過し、光学系112へと導かれる。一方、S偏光成分は、偏光ビームスプリッター152において反射され、光源153に戻される。光学系112は、例えば、凸レンズから構成され、平行光を生成させるために、光学系112における焦点距離の所(位置)に画像形成装置111(より具体的には、液晶表示装置151)が配置されている。
【0089】
フレーム10は、観察者20の正面に配置されるフロント部11と、フロント部11の両端に蝶番12を介して回動自在に取り付けられた2つのテンプル部13と、各テンプル部13の先端部に取り付けられたモダン部(先セル、耳あて、イヤーパッドとも呼ばれる)14から成る。また、ノーズパッド(
図2には図示せず)が取り付けられている。即ち、フレーム10及びノーズパッドの組立体は、基本的には、通常の眼鏡と略同じ構造を有する。更には、各筐体113が、取付け部材19によって、着脱自在に、テンプル部13に取り付けられている。フレーム10は、金属又はプラスチックから作製されている。尚、各筐体113は、取付け部材19によってテンプル部13に着脱できないように取り付けられていてもよい。また、眼鏡を所有し、装着している観察者に対しては、観察者の所有する眼鏡のフレームのテンプル部に、各筐体113を取付け部材19によって着脱自在に取り付けてもよい。各筐体113を、テンプル部13の外側に取り付けてもよいし、テンプル部13の内側に取り付けてもよい。
【0090】
更には、一方の画像形成装置111Aから延びる配線(信号線や電源線等)15が、テンプル部13、及び、モダン部14の内部を介して、モダン部14の先端部から外部に延び、制御装置(制御回路、制御手段)18に接続されている。更には、各画像形成装置111A,111Bはヘッドホン部16を備えており、各画像形成装置111A,111Bから延びるヘッドホン部用配線16’が、テンプル部13、及び、モダン部14の内部を介して、モダン部14の先端部からヘッドホン部16へと延びている。ヘッドホン部用配線16’は、より具体的には、モダン部14の先端部から、耳介(耳殻)の後ろ側を回り込むようにしてヘッドホン部16へと延びている。このような構成にすることで、ヘッドホン部16やヘッドホン部用配線16’が乱雑に配置されているといった印象を与えることがなく、すっきりとした表示装置とすることができる。
【0091】
配線(信号線や電源線等)15は、上述したとおり、制御装置(制御回路)18に接続されている。制御装置18には、例えば、画像情報記憶装置18Aが備えられている。そして、制御装置18において画像表示のための処理がなされる。制御装置18、画像情報記憶装置18Aは周知の回路から構成することができる。
【0092】
フロント部11の中央部分11’に、CCDあるいはCMOSセンサーから成る固体撮像素子とレンズ(これらは図示せず)とから構成された撮像装置17を、適切な取付部材(図示せず)によって取り付けてもよい。撮像装置17からの信号は、撮像装置17から延びる配線(図示せず)を介して、例えば、画像形成装置111Aに送出される。
【0093】
実施例1における調光装置700は、光透過制御材料層705が液晶材料層から成る光シャッタから構成されている。即ち、調光装置700は、
導光装置120と対向する透明な第1基板701、及び、第1基板701と対向する透明な第2基板703、
第1基板701及び第2基板703のそれぞれに設けられた第1電極702及び第2電極704、並びに、
第1基板701と第2基板703との間に封止された光透過制御材料層705、
から構成されている。ここで、第1基板701及び第2基板703はプラスチック材料から成る。また、第1電極702及び第2電極704は、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)から構成された透明電極から成り、スパッタリング法といったPVD法とリフトオフ法との組合せに基づき形成されている。また、光透過制御材料層705は、具体的には、TN(ツイステッド・ネマチック)型液晶材料から成る液晶材料層から構成されている。第1電極702及び第2電極704はパターニングされており、調光装置700の一部の領域708の光透過率を、他の領域の光透過率とは異なった状態に変化させることができる。第1電極702及び第2電極704は、図示しないコネクタ、配線を介して制御装置18に接続されている。2枚の基板701,703の外縁部は、封止剤706によって封止されている。更には、調光装置700の第1基板701と保護部材126(導光板121を保護する)とは、接着剤707によって接着されている。また、第1基板701の外面、第2基板703の外面には偏光フィルムが貼り合わされているが、これらの偏光フィルムの図示は省略した。調光装置700の第1基板701を導光板121よりも短い長さとし、調光装置700の第1基板701を保護部材126に対して接着剤707によって固定する。接着剤707は、第1基板701の外縁部に配されている。以下に説明する実施例においても同様とする。観察者側から、導光装置120、調光装置700の順に配されている。
【0094】
調光装置700の光透過率は、第1電極702及び第2電極704に印加する電圧によって制御することができる。具体的には、例えば、第2電極704を接地した状態で、第1電極702に電圧を印加すると、光透過制御材料層705を構成する液晶材料層における液晶の配列状態が変化し、液晶材料層の光透過率が変化する。(
図4A及び
図4B参照)。第1電極702及び第2電極704に印加する電圧は制御装置18に設けられた制御ノブを観察者が操作することにより行うことができる。即ち、導光装置120,320からの画像を観察者が観察し、調光装置700の光透過率を調整すればよい。
【0095】
以上のとおり、実施例1の表示装置にあっては、画像表示装置において画像を表示するための信号に基づき調光装置の一部の領域の光透過率を変化させるので、画像が表示されたことを観察者は、容易に、確実に、且つ、直ちに認識することができるし、あるいは又、画像が表示されるであろうことを観察者は、容易に、且つ、確実に認識することができる。また、実施例1の光学装置にあっては、受信装置が受け取った信号に基づき調光装置の光透過率を変化させるので、受信装置が信号を受け取った旨を、観察者は、容易に、確実に、且つ、直ちに認識することができる。
【0096】
尚、以上に説明した実施例1において、調光装置700は画像表示装置100に取り付けられているとしたが、即ち、具体的には、調光装置700を導光板121に取り付けたが、調光装置700をフレーム10に取り付けてもよいし、筐体113に取り付けてもよい。
【0097】
また、実施例1〜実施例14の光学装置にあっては、画像表示装置を設けることなく、調光装置をフレームに取り付けた形態(例えば、
図30を参照)とすることもできる。即ち、調光装置を、
第1基板、及び、第1基板と対向する第2基板、
第1基板及び第2基板のそれぞれに設けられた第1電極及び第2電極、並びに、
第1基板と第2基板との間に封止された光透過制御材料層、
から構成し、第1基板及び第2基板の少なくとも一方をフレームに取り付ければよい。後述する実施例15においても同様とすることができる。尚、通常の眼鏡のレンズに調光装置を取り付け、あるいは又、レンズ及び調光装置を並置してフレームに取り付けてもよい。
【実施例2】
【0098】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の表示装置(頭部装着型ディスプレイ)における画像表示装置200の概念図を
図6に示すように、実施例2において、画像形成装置211は、第2の構成の画像形成装置から構成されている。即ち、光源251、及び、光源251から出射された平行光を走査する走査手段253を備えている。より具体的には、画像形成装置211は、
(イ)光源251、
(ロ)光源251から出射された光を平行光とするコリメート光学系252、
(ハ)コリメート光学系252から出射された平行光を走査する走査手段253、及び、
(ニ)走査手段253によって走査された平行光をリレーし、出射するリレー光学系254、
から構成されている。尚、画像形成装置211全体が筐体213(
図6では、一点鎖線で示す)内に納められており、係る筐体213には開口部(図示せず)が設けられており、開口部を介してリレー光学系254から光が出射される。そして、各筐体213が、取付け部材19によって、着脱自在に、テンプル部13に取り付けられている。
【0099】
光源251は、白色を発光する発光素子から構成されている。そして、光源251から出射された光は、全体として正の光学的パワーを持つコリメート光学系252に入射し、平行光として出射される。そして、この平行光は、全反射ミラー256で反射され、マイクロミラーを二次元方向に回転自在とし、入射した平行光を2次元的に走査することができるMEMSから成る走査手段253によって水平走査及び垂直走査が行われ、一種の2次元画像化され、仮想の画素(画素数は、例えば、実施例1と同じとすることができる)が生成される。そして、仮想の画素からの光は、周知のリレー光学系から構成されたリレー光学系(平行光出射光学系)254を通過し、平行光とされた光束が導光装置120に入射する。
【0100】
リレー光学系254にて平行光とされた光束が入射され、導光され、出射される導光装置120は、実施例1にて説明した導光装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。また、実施例2の表示装置も、上述したとおり、画像形成装置211が異なる点を除き、実質的に、実施例1の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0101】
実施例3も実施例1の変形である。実施例3の表示装置(頭部装着型ディスプレイ)における画像表示装置300の概念図を
図7に示す。また、反射型体積ホログラム回折格子の一部を拡大して示す模式的な断面図を
図8に示す。実施例3において、画像形成装置111は、実施例1と同様に、第1の構成の画像形成装置から構成されている。また、導光装置320は、第1偏向手段及び第2偏向手段の構成、構造が異なる点を除き、基本的な構成、構造は、実施例1の導光装置120と同じである。
【0102】
実施例3において、第1偏向手段及び第2偏向手段は、導光板321の表面(具体的には、導光板321の第2面323)に配設されている。そして、第1偏向手段は、導光板321に入射された光を回折反射し、第2偏向手段は、導光板321の内部を全反射により伝播した光を、複数回に亙り、回折反射する。ここで、第1偏向手段及び第2偏向手段は、回折格子素子、具体的には反射型回折格子素子、より具体的には反射型体積ホログラム回折格子から成る。以下の説明において、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1偏向手段を、便宜上、『第1回折格子部材330』と呼び、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2偏向手段を、便宜上、『第2回折格子部材340』と呼ぶ。
【0103】
そして、実施例3あるいは後述する実施例4において、第1回折格子部材330及び第2回折格子部材340は、1層の回折格子層が積層されて成る構成を有する。尚、フォトポリマー材料から成る各回折格子層には、1種類の波長帯域(あるいは、波長)に対応する干渉縞が形成されており、従来の方法で作製されている。回折格子層(回折光学素子)に形成された干渉縞のピッチは一定であり、干渉縞は直線状であり、Y軸に平行である。尚、第1回折格子部材330及び第2回折格子部材340の軸線はX軸と平行であり、法線はZ軸と平行である。
【0104】
図8に反射型体積ホログラム回折格子の拡大した模式的な一部断面図を示す。反射型体積ホログラム回折格子には、傾斜角(スラント角)φを有する干渉縞が形成されている。ここで、傾斜角φとは、反射型体積ホログラム回折格子の表面と干渉縞の成す角度を指す。干渉縞は、反射型体積ホログラム回折格子の内部から表面に亙り、形成されている。干渉縞は、ブラッグ条件を満たしている。ここで、ブラッグ条件とは、以下の式(A)を満足する条件を指す。式(A)中、mは正の整数、λは波長、dは格子面のピッチ(干渉縞を含む仮想平面の法線方向の間隔)、Θは干渉縞へ入射する角度の余角を意味する。また、入射角ψにて回折格子部材に光が侵入した場合の、Θ、傾斜角φ、入射角ψの関係は、式(B)のとおりである。
【0105】
m・λ=2・d・sin(Θ) (A)
Θ=90°−(φ+ψ) (B)
【0106】
第1回折格子部材330は、上述したとおり、導光板321の第2面323に配設(接着)されており、第1面322から導光板321に入射されたこの平行光が導光板321の内部で全反射されるように、導光板321に入射されたこの平行光を回折反射する。更には、第2回折格子部材340は、上述したとおり、導光板321の第2面323に配設(接着)されており、導光板321の内部を全反射により伝播したこの平行光を、複数回、回折反射し、導光板321から平行光のまま第1面322から出射する。
【0107】
そして、導光板321にあっても、平行光が内部を全反射により伝播した後、出射される。このとき、導光板321が薄く導光板321の内部を進行する光路が長いため、各画角によって第2回折格子部材340に至るまでの全反射回数は異なっている。より詳細に述べれば、導光板321に入射する平行光のうち、第2回折格子部材340に近づく方向の角度をもって入射する平行光の反射回数は、第2回折格子部材340から離れる方向の角度をもって導光板321に入射する平行光の反射回数よりも少ない。これは、第1回折格子部材330において回折反射される平行光であって、第2回折格子部材340に近づく方向の角度をもって導光板321に入射する平行光の方が、これと逆方向の角度をもって導光板321に入射する平行光よりも、導光板321の内部を伝播していく光が導光板321の内面と衝突するときの導光板321の法線と成す角度が小さくなるからである。また、第2回折格子部材340の内部に形成された干渉縞の形状と、第1回折格子部材330の内部に形成された干渉縞の形状とは、導光板321の軸線に垂直な仮想平面に対して対称な関係にある。第1回折格子部材330及び第2回折格子部材340の導光板321とは対向していない面は、保護部材(保護板)326で覆われており、第1回折格子部材330及び第2回折格子部材340に損傷が生じることを防止している。尚、導光板321と保護部材326とは、外周部において、
接着部材327によって接着されている。また、第1面322に透明な保護フィルムを貼り合わせ、導光板321を保護してもよい。
【0108】
後述する実施例4における導光板321も、基本的には、以上に説明した導光板321の構成、構造と同じ構成、構造を有する。
【0109】
実施例3の表示装置は、上述したとおり、導光装置320が異なる点を除き、実質的に、実施例1の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0110】
実施例4は、実施例3の変形である。実施例4の表示装置(頭部装着型ディスプレイ)における画像表示装置の概念図を
図9に示す。実施例4の画像表示装置400における光源251、コリメート光学系252、走査手段253、平行光出射光学系(リレー光学系254)等は、実施例2と同じ構成、構造(第2の構成の画像形成装置)を有する。また、実施例4における導光装置320は、実施例3における導光装置320と同じ構成、構造を有する。実施例4の表示装置は、以上の相違点を除き、実質的に、実施例2の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例5】
【0111】
実施例5も、実施例1〜実施例4における画像表示装置の変形である。実施例5の表示装置を正面から眺めた模式図を
図10に示し、上方から眺めた模式図を
図11に示す。
【0112】
実施例5において、画像表示装置500を構成する導光装置520は、画像形成装置111A,111Bから出射された光が入射され、観察者20の瞳21に向かって出射される半透過ミラーから構成されている。尚、実施例5にあっては、画像形成装置111A,111Bから出射された光は、ガラス板やプラスチック板等の透明な部材521の内部を伝播して導光装置520(半透過ミラー)に入射する構造としているが、空気中を伝播して導光装置520に入射する構造としてもよい。また、画像形成装置は、実施例2において説明した画像形成装置211とすることもできる。
【0113】
各画像形成装置111A,111Bは、フロント部11に、例えば、ビスを用いて取り付けられている。また、部材521が各画像形成装置111A,111Bに取り付けられ、導光装置520(半透過ミラー)が部材521に取り付けられ、調光装置700が導光装置520(半透過ミラー)に取り付けられている。実施例5の表示装置は、以上の相違点を除き、実質的に、実施例1〜実施例4の表示装置と同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例6】
【0114】
実施例6も、実施例1〜実施例4の変形である。実施例6の表示装置を上方から眺めた模式図を
図12Aに示す。また、照度センサを制御する回路の模式図を
図12Bに示す。実施例6の表示装置にあっては、外部環境の明るさを測定するセンサ801を更に備えており、センサ(以下、便宜上、『第1の照度センサ』と呼ぶ)801による外部環境の明るさの測定結果に基づき、更に、調光装置700の一部の領域の光透過率を変化させる。
【0115】
即ち、実施例6の表示装置は、表示装置の置かれた環境の照度を測定する第1の照度センサ(環境照度測定センサ)801を更に備えており、第1の照度センサ801の測定結果に基づき、調光装置700の光透過率を制御する。併せて、あるいは、独立して、第1の照度センサ801の測定結果に基づき、画像形成装置111,211によって形成される画像の輝度を制御する。周知の構成、構造を有する第1の照度センサ801は、例えば、導光装置120,320の外側端部や、調光装置の外側端部に配置すればよい。第1の照度センサ801は、図示しないコネクタ及び配線を介して制御装置18に接続されている。制御装置18には、第1の照度センサ801を制御する回路が含まれる。この第1の照度センサ801を制御する回路は、第1の照度センサ801からの測定値を受け取り、照度を求める照度演算回路、照度演算回路によって求められた照度の値を標準値の比較する比較演算回路、比較演算回路によって求められた値に基づき、調光装置700及び/又は画像形成装置111,211を制御する環境照度測定センサ制御回路から構成されているが、これらの回路は周知の回路から構成することができる。調光装置700の制御にあっては、調光装置700の光透過率の制御を行い、一方、画像形成装置111,211の制御にあっては、画像形成装置111,211によって形成される画像の輝度の制御を行う。尚、調光装置700における光透過率の制御と画像形成装置111,211における画像の輝度の制御は、それぞれ、独立して行ってもよいし、相関を付けて行ってもよい。
【0116】
例えば、第1の照度センサ801の測定結果が所定値(第1の照度測定値)以上になったとき、調光装置700の光透過率を所定の値(第1の光透過率)以下とする。一方、第1の照度センサ801の測定結果が所定値(第2の照度測定値)以下になったとき、調光装置700の光透過率を所定の値(第2の光透過率)以上とする。ここで、第1の照度測定値として10ルクスを挙げることができるし、第1の光透過率として1%乃至30%のいずれかの値を挙げることができるし、第2の照度測定値として0.01ルクスを挙げることができるし、第2の光透過率として51%乃至99%のいずれかの値を挙げることができる。
【0117】
尚、実施例6における第1の照度センサ(環境照度測定センサ)801を、実施例2〜実施例5において説明した表示装置に適用することができる。また、表示装置が撮像装置を備えている場合、撮像装置に備えられた露出測定用の受光素子から第1の照度センサ801を構成することもできる。
【0118】
実施例6あるいは次に述べる実施例7の表示装置にあっては、第1の照度センサ(環境照度測定センサ)の測定結果に基づき、調光装置の光透過率を制御し、また、第1の照度センサの測定結果に基づき、画像形成装置によって形成される画像の輝度を制御し、また、次に述べる第2の照度センサ(透過光照度測定センサ)の測定結果に基づき、調光装置の光透過率を制御し、また、第2の照度センサの測定結果に基づき、画像形成装置によって形成される画像の輝度を制御するので、観察者が観察する画像に高いコントラストを与えることができるだけでなく、表示装置の置かれた周囲の環境の照度に依存して画像の観察状態の最適化を図ることができる。
【実施例7】
【0119】
実施例7も、実施例1〜実施例4の変形である。実施例7の表示装置を上方から眺めた模式図を
図13Aに示す。また、照度センサを制御する回路の模式図を
図13Bに示す。
【0120】
実施例7の表示装置は、外部環境から調光装置を透過した光に基づく照度を測定する、即ち、環境光が調光装置を透過して所望の照度まで調整されて入射しているかを測定する第2の照度センサ(透過光照度測定センサ)802を更に備えており、第2の照度センサ802の測定結果に基づき、調光装置700の光透過率を制御する。併せて、あるいは、独立して、また、第2の照度センサ802の測定結果に基づき、画像形成装置111,211によって形成される画像の輝度を制御する。周知の構成、構造を有する第2の照度センサ802は、導光装置120,320,520よりも観察者側に配置されている。具体的には、第2の照度センサ802は、例えば、導光板121,321の観察者側の面に配置すればよい。第2の照度センサ802は、図示しないコネクタ及び配線を介して制御装置18に接続されている。制御装置18には、第2の照度センサ802を制御する回路が含まれる。この第2の照度センサ802を制御する回路は、第2の照度センサ802からの測定値を受け取り、照度を求める照度演算回路、照度演算回路によって求められた照度の値を標準値の比較する比較演算回路、比較演算回路によって求められた値に基づき、調光装置700及び/又は画像形成装置111,211を制御する透過光照度測定センサ制御回路から構成されているが、これらの回路は周知の回路から構成することができる。調光装置700の制御にあっては、調光装置700の光透過率の制御を行い、一方、画像形成装置111,211の制御にあっては、画像形成装置111,211によって形成される画像の輝度の制御を行う。尚、調光装置700における光透過率の制御と画像形成装置111,211における画像の輝度の制御は、それぞれ、独立して行ってもよいし、相関を付けて行ってもよい。更に、第2の照度センサ802の測定結果が第1の照度センサ801の照度から鑑みて所望の照度まで制御できていない場合、即ち、第2の照度センサ802の測定結果が所望の照度になっていない場合、若しくは、更に一層の微妙な照度調整が望まれる場合には、第2の照度センサ802の値をモニターしながら調光装置の光透過率を調整すればよい。
【0121】
尚、実施例7における第2の照度センサ(透過光照度測定センサ)802を、実施例2〜実施例4において説明した表示装置に適用することができる。あるいは又、実施例7における第2の照度センサ802と実施例6における第1の照度センサ801とを組み合わせてもよく、この場合、種々の試験を行い、調光装置700における光透過率の制御と画像形成装置111,211における画像の輝度の制御を、それぞれ、独立して行ってもよいし、相関を付けて行ってもよい。
【実施例8】
【0122】
実施例8は、実施例1〜実施例7の変形であり、本開示の第2の態様に係る表示装置に関する。実施例8の画像表示装置の概念図を
図14に示し、実施例8の表示装置(具体的には、頭部装着型ディスプレイ,HMD)を上方から眺めた模式図を
図15に示し、側方から眺めた模式図を
図16Aに示し、導光装置及び調光装置の部分を正面から眺めた模式図を
図16Bに示す。尚、
図16Aにおいて、遮光部材を点線で示す。また、実施例8の表示装置の変形例の概念図を
図17に示す。尚、
図15に示す例は、実施例1〜実施例4の表示装置の変形例であり、
図17に示す例は、実施例5の表示装置の変形例である。
【0123】
実施例8の表示装置において、画像形成装置111A,111Bから出射された光が入射される導光装置120の領域、具体的には、第1偏向手段130が設けられた領域には、導光装置120への外光の入射を遮光する遮光部材710が配されている。ここで、遮光部材710の導光装置120への射影像内に、画像形成装置111A,111Bから出射された光が入射される導光装置120の領域が含まれる。また、遮光部材710の導光装置120への射影像内に、調光装置700の端部の導光装置120への射影像が含まれる。
【0124】
実施例8において、遮光部材710は、導光装置120の画像形成装置111A,111Bが配された側とは反対側に、導光装置120と離間して配されている。遮光部材710は、例えば、不透明なプラスチック材料から作製されており、遮光部材710は、画像形成装置111A,111Bの筐体113から一体に延び、あるいは又、画像形成装置111A,111Bの筐体113に取り付けられ、あるいは又、フレーム10から一体に延び、あるいは又、フレーム10に取り付けられている。尚、図示した例では、遮光部材710は、画像形成装置111A,111Bの筐体113から一体に延びている。
【0125】
実施例8の表示装置において、画像形成装置から出射された光が入射される導光装置の領域には、導光装置への外光の入射を遮光する遮光部材が配されている。従って、調光装置の作動によって外光の入射光量に変化が生じても、そもそも、画像形成装置から出射された光が入射される導光装置の領域、具体的には、第1偏向手段130には外光が入射しないので、不所望の迷光等が発生し、表示装置における画像表示品質の低下を招くことが無い。
【実施例9】
【0126】
実施例9は、実施例8の変形である。概念図を
図18に示すように、実施例9の表示装置においては、実施例8と異なり、遮光部材720は、画像形成装置111A,111Bが配された側とは反対側の導光装置120の部分に配されている。具体的には、不透明なインクを、導光装置120(具体的には、保護部材126の内面)に印刷することで、遮光部材720を形成することができる。以上の点を除き、実施例9の表示装置は、実施例8の表示装置と同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。尚、実施例9の遮光部材720と実施例8の遮光部材710とを組み合わせることもできる。尚、遮光部材720を、保護部材126の外面に形成してもよい。
【実施例10】
【0127】
実施例10も、実施例8の変形である。概念図を
図19あるいは
図20に示すように、実施例10の表示装置においては、実施例8、実施例9と異なり、遮光部材730は、調光装置700に配されている。具体的には、不透明なインクを、調光装置700に印刷することで、遮光部材730を形成することができる。尚、
図19に示す例では、遮光部材730は、調光装置700の第1基板701の外面に形成されており、
図20に示す例では、遮光部材730は、調光装置700の第1基板701の内面に形成されている。以上の点を除き、実施例10の表示装置は、実施例8の表示装置と同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。尚、実施例10の遮光部材730と実施例8の遮光部材710とを組み合わせることもできるし、実施例10の遮光部材730と実施例9の遮光部材720とを組み合わせることもできるし、実施例10の遮光部材730と実施例8の遮光部材710と実施例9の遮光部材720とを組み合わせることもできる。
【実施例11】
【0128】
実施例11は、実施例1〜実施例10の変形である。実施例1〜実施例10にあっては、光透過制御材料層705を液晶材料層から構成した。一方、概念図を
図21に示すように、実施例11の表示装置における調光装置700’にあっては、光透過制御材料層705’が無機エレクトロルミネッセンス材料層から成る光シャッタから構成されている。ここで、無機エレクトロルミネッセンス材料層を構成する材料として、酸化タングステン(WO
3)を用いた。また、調光装置700’を構成する第1基板701’及び第2基板703’を、ソーダライムガラス、白板ガラス等の透明なガラス基板から構成し、第2基板703’を第1基板701’よりも薄くした。具体的には、第2基板703’の厚さを0.2mm、第1基板701’の厚さを0.4mmとした。以上の点を除き、実施例11の表示装置は、実施例8〜実施例10の表示装置と同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。尚、調光装置700’の第1基板701’と保護部材126とは、実施例8と同様に接着剤707によって接着されている。
【実施例12】
【0129】
実施例12は、本開示の第1の態様に係る表示装置に関し、また、実施例11の変形に関する。概念図を
図22に示すように、実施例12の表示装置において、調光装置700”は、
導光装置120と対向する第1基板701”、及び、第1基板701”と対向する第2基板703”、
第1基板701”及び第2基板703”のそれぞれに設けられた電極702”,704”、並びに、
第1基板701”と第2基板703”との間に封止された光透過制御材料層705”、
から成る。そして、第1基板701”は、導光装置120の構成部材(具体的には、保護部材126)を兼ねている。即ち、第1基板701”と保護部材126とは共通の部材であり、共用されている。
【0130】
このように、実施例12にあっては、調光装置700”を構成する第1基板701”が導光装置120の構成部材(保護部材126)を兼ねているので、表示装置全体の重量の減少を図ることができ、表示装置の使用者に不快感を感じさせる虞が無い。
【0131】
以上の点を除き、実施例12の表示装置は、実施例11の表示装置と同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。また、実施例12の表示装置における遮光部材は、実施例8〜実施例10の表示装置における調光装置と同様の構成、構造とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例13】
【0132】
実施例13は、実施例1〜実施例12の変形である。実施例13の頭部装着型ディスプレイを正面から眺めた模式図を
図23に示し、実施例13の頭部装着型ディスプレイ(但し、フレームを除去したと想定したときの状態)を正面から眺めた模式図を
図24に示す。また、実施例13の頭部装着型ディスプレイを上方から眺めた模式図を
図25に示し、実施例13の頭部装着型ディスプレイを観察者20の頭部に装着した状態を上方から眺めた図を
図26に示す。尚、
図26においては、便宜上、画像表示装置のみを示し、フレームの図示は省略している。また、以下の説明においては、画像表示装置を画像表示装置100で代表して説明しているが、画像表示装置200,300,400,500を適用することができることは云うまでもない。尚、実施例13〜実施例14においては、調光装置700の図示を省略している。
【0133】
実施例13の頭部装着型ディスプレイは、2つの画像表示装置100を結合する結合部材160を更に有している。結合部材160は、観察者20の2つの瞳21の間に位置するフレーム10の中央部分10Cの観察者に面する側に(即ち、観察者20とフレーム10との間に)、例えば、ビス(図示せず)を用いて取り付けられている。更には、結合部材160の射影像は、フレーム10の射影像内に含まれる。即ち、観察者20の正面から頭部装着型ディスプレイを眺めたとき、結合部材160はフレーム10によって隠されており、結合部材160は視認されない。また、結合部材160によって2つの画像表示装置100が結合されているが、具体的には、画像形成装置111A,111Bのそれぞれが筐体113に格納され、結合部材160の各端部に、筐体113が取付け状態調整可能に取り付けられている。そして、各画像形成装置111A,111Bは、観察者20の瞳21よりも外側に位置している。具体的には、一方の画像形成装置111Aの取付部中心111A
Cとフレーム10の一端部(一方の智)10Aとの間の距離をα、結合部材160の中心160
Cからフレーム10の一端部(一方の智)10Aまでの距離をβ、他方の画像形成装置111Bの取付部中心111B
Cとフレーム10の一端部(一方の智)10Aとの間の距離をγ、フレーム10の長さをLとしたとき、
α=0.1×L
β=0.5×L
γ=0.9×L
である。
【0134】
結合部材160の各端部への画像形成装置(具体的には、画像形成装置111A,111B)の取付けは、具体的には、例えば、結合部材の各端部の3箇所に貫通孔(図示せず)を設け、貫通孔に対応したタップ付きの孔部(螺合部。図示せず)を画像形成装置111A,111Bに設け、各貫通孔にビス(図示せず)を通し、画像形成装置111A,111Bに設けられた孔部に螺合させる。ビスと孔部との間にはバネを挿入しておく。こうして、ビスの締め付け状態によって、画像形成装置の取付け状態(結合部材に対する画像形成装置の傾き)を調整することができる。取付け後、蓋(図示せず)によってビスを隠す。尚、
図24及び
図28において、結合部材160,170を明示するために、結合部材160,170に斜線を付した。結合部材160は、観察者20の2つの瞳21の間に位置するフレーム10の中央部分10C(通常の眼鏡におけるブリッジの部分に相当する)に取り付けられている。そして、結合部材160の観察者20に面する側にノーズパッド10’が取り付けられている。尚、
図25及び
図29においては、ノーズパッド10’の図示を省略している。フレーム10及び結合部材160は金属又はプラスチックから作製されており、結合部材160の形状は湾曲した棒状である。
【0135】
このように、実施例13の頭部装着型ディスプレイ(HMD)にあっては、結合部材160が2つの画像表示装置100を結合しており、この結合部材160は、観察者20の2つの瞳21の間に位置するフレーム10の中央部分10Cに取り付けられている。即ち、各画像表示装置100は、フレーム10に、直接、取り付けられた構造とはなっていない。従って、観察者20がフレーム10を頭部に装着したとき、テンプル部13が外側に向かって広がった状態となり、その結果、フレーム10が変形したとしても、このようなフレーム10の変形によって、画像形成装置111A,111Bの変位(位置変化)が生じないか、生じたとしても、極僅かである。それ故、左右の画像の輻輳角が変化してしまうことを確実に防止することができる。しかも、フレーム10のフロント部11の剛性を高める必要がないので、フレーム10の重量増加、デザイン性の低下、コストの増加を招くことがない。また、画像表示装置100は、眼鏡型のフレーム10に、直接、取り付けられていないので、観察者の嗜好によってフレーム10のデザインや色等を自由に選択することが可能であるし、フレーム10のデザインが受ける制約も少なく、デザイン上の自由度が高い。加えて、観察者の正面から頭部装着型ディスプレイを眺めたとき、結合部材160はフレーム10に隠れている。従って、高いデザイン性、意匠性を頭部装着型ディスプレイに与えることができる。
【実施例14】
【0136】
実施例14は、実施例13の変形である。実施例14の頭部装着型ディスプレイを正面から眺めた模式図を
図27に示し、実施例14の頭部装着型ディスプレイ(但し、フレームを除去したと想定したときの状態)を正面から眺めた模式図を
図28に示す。また、実施例14の頭部装着型ディスプレイを上方から眺めた模式図を
図29に示す。
【0137】
実施例14の頭部装着型ディスプレイにあっては、棒状の結合部材170が、実施例13と異なり、2つの画像形成装置111A,111Bを結合する代わりに、2つの導光装置120を結合している。尚、2つの導光装置120を一体的に作製し、係る一体的に作製された導光装置120に結合部材170が取り付けられている形態とすることもできる。
【0138】
ここで、実施例14の頭部装着型ディスプレイにあっても、結合部材170は、観察者20の2つの瞳21の間に位置するフレーム10の中央部分10Cに、例えば、ビスを用いて取り付けられており、各画像形成装置111は、観察者20の瞳21よりも外側に位置している。尚、各画像形成装置111は、導光装置120の端部に取り付けられている。結合部材170の中心170
Cからフレーム10の一端部までの距離をβ、フレーム10の長さをLとしたとき、β=0.5×Lを満足している。尚、実施例14におけるα’の値、γ’の値は、実施例13のαの値、γの値と同じ値である。
【0139】
実施例14において、フレーム10、各画像表示装置は、実施例13において説明したフレーム10、画像表示装置と同じ構成、構造を有する。それ故、これらの詳細な説明は省略する。また、実施例14の頭部装着型ディスプレイも、以上の相違点を除き、実質的に、実施例13の頭部装着型ディスプレイと同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
【実施例15】
【0140】
実施例15は、本開示の第1の態様に係る光学装置に関する。実施例15の光学装置等を正面から眺めた模式図を
図30、
図31に示す。
【0141】
実施例15の光学装置は、
(イ)観察者20の頭部に装着されるフレーム10、
(ロ)フレーム10に取り付けられた撮像装置17A、及び、
(ハ)フレーム10に取り付けられ、外部から入射する外光の光量を調整する調光装置740、
を備えており、
撮像装置17Aによって撮像される空間領域を、調光装置740において表示する。尚、調光装置740において表示される撮像装置17Aによって撮像される空間領域に対応する領域を、参照番号741,742で示す。調光装置740は、例えば、観察者20の右眼側に配置されている。観察者20の左眼側には、例えば、素通しのレンズ744が、フレーム10に取り付けた状態で配置されている。
【0142】
ここで、
図30に示す例にあっては、撮像装置17Aによって撮像される空間領域の外縁を調光装置において枠状741に表示する。あるいは又、
図31に示すように、撮像装置17Aによって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域742の光透過率を、撮像装置17Aによって撮像される空間領域の外側に対応する調光装置の領域743の光透過率よりも低くしてもよいし、高くしてもよい。
【0143】
尚、実施例15の光学装置にあっては、調光装置制御装置を更に備えており、撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域741,742の位置を調光装置制御装置によって校正してもよい。具体的には、実施例15の光学装置が、例えば、携帯電話機やスマートフォンを備えることによって、あるいは又、光学装置と携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータとを組み合わせることによって、携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータにおいて、撮像装置17Aによって撮像された空間領域を表示することができる。そして、携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータにおいて表示された空間領域と、撮像装置17Aによって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域741,742との間に差異が存在する場合、調光装置制御装置(携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータによって代用することもできる)を用いて、撮像装置17Aによって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域741,742を移動・回転させ、あるいは、拡大/縮小することで、携帯電話機やスマートフォン、パーソナルコンピュータにおいて表示された空間領域と、撮像装置17Aによって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域741,742との間の差異を無くせばよい。
【0144】
実施例15の光学装置にあっては、撮像装置によって撮像される空間領域を調光装置において表示するので、撮像装置が外部のどこを撮像しているかを観察者は、容易に、且つ、確実に認識することができる。
【0145】
実施例15の光学装置に、実施例1〜実施例14において説明した表示装置や光学装置を適用することもできる。また、実施例15の光学装置に本開示の第2の態様に係る光学装置を適用することもできる。即ち、実施例1において説明したと同様の受信装置を備え、受信装置が受け取った信号に基づき、例えば、調光装置740の領域741,742の光透過率を変化させる光学装置とすることもできる。
【0146】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した表示装置(頭部装着型ディスプレイ)、画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜変更することができる。例えば、導光板に表面レリーフ型ホログラム(米国特許第20040062505A1参照)を配置してもよい。導光装置にあっては、回折格子素子を透過型回折格子素子から構成することもできるし、あるいは又、第1偏向手段及び第2偏向手段の内のいずれか一方を反射型回折格子素子から構成し、他方を透過型回折格子素子から構成する形態とすることもできる。あるいは又、回折格子素子を、反射型ブレーズド回折格子素子とすることもできる。
【0147】
導光装置の光が出射される領域に、調光装置が着脱自在に配設されていてもよい。このように、調光装置を着脱自在に配設するためには、例えば、透明なプラスチックから作製されたビスを用いて調光装置を導光装置に取り付け、調光装置の光透過率を制御するための制御回路(例えば、画像形成装置を制御するための制御装置18に含まれている)にコネクタ及び配線を介して接続すればよい。
【0148】
場合によっては、金属(例えば、銀粒子)の可逆的な酸化還元反応によって発生する電着・解離現象に基づく電着方式(エレクトロデポジション・電界析出)を応用した光シャッタを用いることもできる。具体的には、有機溶剤中にAg
+及びI
-を溶解しておき、電極に適切な電圧を印加することで、Ag
+を還元してAgを析出させることで、調光装置の透過率を低くし、一方、Agを酸化してAg
+として溶解させることで、調光装置の透過率を高くする。あるいは又、場合によっては、エレクトロクロミック材料の酸化還元反応によって発生する物質の色変化を応用した光シャッタを用いることもできる。具体的には、第1電極及び第2電極を設け、第1のエレクトロクロミック材料層と第2のエレクトロクロミック材料層とが、第1電極と第2電極との間に挟まれた構造とする。第1のエレクトロクロミック材料層は、例えば、プルシアンブルー錯体から構成され、第2のエレクトロクロミック材料層は、例えば、ニッケル置換プルシアンブルー錯体から構成されている。あるいは又、場合によっては、エレクトロウェッティング現象によって透過率を制御する光シャッタを用いることもできる。具体的には、第1電極及び第2電極を設け、第1電極と第2電極との間は、絶縁性の第1の液体、及び、導電性の第2の液体で満たされている構造とする。そして、第1電極と第2電極との間に電圧を印加することで、第1の液体と第2の液体によって形成される界面の形状が、例えば、平面状から湾曲した状態に変化することで、透過率を制御することができる。
【0149】
実施例においては、画像形成装置111,211は、単色(例えば、緑色)の画像を表示するとして説明したが、画像形成装置111,211はカラー画像を表示することもでき、この場合、光源を、例えば、赤色、緑色、青色のそれぞれを出射する光源から構成すればよい。具体的には、例えば、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子のそれぞれから出射された赤色光、緑色光及び青色光をライトパイプを用いて混色、輝度均一化を行うことで白色光を得ればよい。
【0150】
例えば、発光素子とライト・バルブとから構成された画像形成装置あるいは光源として、全体として白色光を発光するバックライトと、赤色発光画素、緑色発光画素、及び、青色発光画素を有する液晶表示装置との組合せ以外にも、以下の構成を例示することができる。
【0151】
画像形成装置の変形例として、例えば、
図32に概念図を示すような、半導体レーザ素子から成る発光素子601が2次元マトリクス状に配列された発光パネルから成り、発光素子601のそれぞれの発光/非発光状態を制御することで、発光素子601の発光状態を直接的に視認させることで画像を表示する、アクティブマトリックスタイプの画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光は、コリメート光学系112を介して導光板121に入射される。尚、以下の説明においても、発光素子は、半導体レーザ素子から成る。
【0152】
あるいは又、
図33に概念図を示すように、
(α)赤色を発光する赤色発光素子601Rが2次元マトリクス状に配列された赤色発光パネル611R、
(β)緑色を発光する緑色発光素子601Gが2次元マトリクス状に配列された緑色発光パネル611G、及び、
(γ)青色を発光する青色発光素子601Bが2次元マトリクス状に配列された青色発光パネル611B、並びに、
(δ)赤色発光パネル611R、緑色発光パネル611G及び青色発光パネル611Bから出射された光を1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム603)、
を備えており、
赤色発光素子601R、緑色発光素子601G及び青色発光素子601Bのそれぞれの発光/非発光状態を制御するカラー表示の画像形成装置とすることもできる。この画像形成装置から出射された光も、コリメート光学系112を介して導光板121に入射される。尚、参照番号612は、発光素子から出射された光を集光するためのマイクロレンズである。
【0153】
あるいは又、発光素子601R,601G,601Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル611R,611G,611B等から成る画像形成装置の概念図を
図34に示すが、発光パネル611R,611G,611Bから出射された光は、光通過制御装置604R,604G,604Bによって通過/非通過が制御され、ダイクロイック・プリズム603に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、コリメート光学系112を介して導光板121に入射される。
【0154】
あるいは又、発光素子601R,601G,601Bが2次元マトリクス状に配列された発光パネル611R,611G,611B等から成る画像形成装置の概念図を
図35に示すが、発光パネル611R,611G,611Bから出射された光は、ダイクロイック・プリズム603に入射し、これらの光の光路は1本の光路に纏められ、ダイクロイック・プリズム603から出射したこれらの光は光通過制御装置604によって通過/非通過が制御され、コリメート光学系112を介して導光板121に入射される。
【0155】
あるいは又、
図36に示すように、赤色を発光する発光素子601R、及び、赤色を発光する発光素子601Rから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置604R)、緑色を発光する発光素子601G、及び、緑色を発光する発光素子601Gから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置604G)、青色を発光する発光素子601B、及び、青色を発光する発光素子601Bから出射された出射光の通過/非通過を制御するための一種のライト・バルブである光通過制御装置(例えば、液晶表示装置604B)、並びに、これらの発光素子601R,601G,601Bから出射された光を案内する光案内部材602、及び、1本の光路に纏めるための手段(例えば、ダイクロイック・プリズム603)を備えた画像形成装置とすることもできる。そして、ダイクロイック・プリズム603から出射したこれらの光は、コリメート光学系112を介して導光板121に入射される。
【0156】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《表示装置》
(イ)観察者の頭部に装着されるフレーム、
(ロ)フレームに取り付けられた画像表示装置、及び、
(ハ)外部から入射する外光の光量を調整する調光装置、
を備えており、
画像表示装置において画像を表示するための信号に基づき、調光装置の一部の領域の光透過率を変化させる表示装置。
[A02]画像表示装置は、
(A)画像形成装置、及び、
(B)画像形成装置から出射された光が入射され、導光され、出射される導光装置、
を備えている[A01]に記載の表示装置。
[A03]導光装置は、
(a)入射された光が内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(b)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光の少なくとも一部を偏向させる第1偏向手段、及び、
(c)導光板の内部を全反射により伝播した光を導光板から出射させるために、導光板の内部を全反射により伝播した光を偏向させる第2偏向手段、
を備えている[A02]に記載の表示装置。
[A04]画像表示装置において画像を表示するための信号を外部から受け取る[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A05]通信手段を更に備えている[A04]に記載の表示装置。
[A06]画像表示装置において画像を表示するための信号は画像表示装置に記憶されている[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A07]外部環境の明るさを測定するセンサを更に備えており、
センサによる外部環境の明るさの測定結果に基づき、更に、調光装置の一部の領域の光透過率を変化させる[A01]乃至[A06]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A08]調光装置は画像表示装置に取り付けられている[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A09]調光装置はフレームに取り付けられている[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B01]《光学装置:第1の態様》
(イ)観察者の頭部に装着されるフレーム、
(ロ)フレームに取り付けられた撮像装置、及び、
(ハ)フレームに取り付けられ、外部から入射する外光の光量を調整する調光装置、
を備えており、
撮像装置によって撮像される空間領域を、調光装置において表示する光学装置。
[B02]撮像装置によって撮像される空間領域の外縁を調光装置によって枠状に表示する[B01]に記載の光学装置。
[B03]撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域の光透過率を、撮像装置によって撮像される空間領域の外側に対応する調光装置の領域の光透過率よりも低くする[B01]に記載の光学装置。
[B04]撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域の光透過率を、撮像装置によって撮像される空間領域の外側に対応する調光装置の領域の光透過率よりも高くする[B01]に記載の光学装置。
[B05]調光装置制御装置を更に備えており、
撮像装置によって撮像される空間領域に対応する調光装置の領域の位置を調光装置制御装置によって校正する[B01]乃至[B04]のいずれか1項に記載の光学装置。
[C01]《光学装置:第2の態様》
(イ)観察者の頭部に装着されるフレーム、
(ロ)受信装置、及び、
(ハ)フレームに取り付けられ、外部から入射する外光の光量を調整する調光装置、
を備えており、
受信装置が受け取った信号に基づき、調光装置の光透過率を変化させる光学装置。