(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出手段は、前記調理空間と前記加熱空間とを区画する壁部に設けられ、前記調理皿が前記調理空間内の所定位置に設置された場合に前記調理皿と接触することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の両面焼きグリル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のグリルでは、加熱空間、調理皿等を介した形で下バーナからの熱を被調理物に伝熱させるため、下バーナからの加熱効率が低いという問題点があった。さらに、調理初期における下バーナから被調理物に与えられる熱量の立ち上がりが、上バーナに比して遅いという問題点があった。この結果として、上下均一な焼き上がりにならない等、被調理物の仕上がりに難が出やすいという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、清掃性を担保しつつ加熱バランスのよい両面焼きグリル及びコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る両面焼きグリルは、上バーナが設けられ、被調理物を載置する為の調理皿が収納される調理空間と、下バーナが設けられ、前記調理空間の下側に
壁部で区画して形成される加熱空間とを有し、前記被調理物に直接的に与えられる前記上バーナからの熱量と、前記加熱空間から
前記壁部と前記調理皿を介して間接的に与えられる前記下バーナからの熱量とにより、前記調理皿上の前記被調理物を上下両面より加熱して調理する間接加熱方式を採用した両面焼きグリル
であって、前記下バーナの火力を切り替える切替え手段と、前記切替え手段の切替え制御を行う制御手段と、前記調理皿の温度を検出する検出手段とを備え、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に基づき、前記切替え制御を行うことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明の両面焼きグリルは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記切替え手段は、前記下バーナの火力を通常火力と、該通常火力よりも大きい増幅火力とに切り替えるものであり、前記制御手段は、調理開始時には前記下バーナを前記増幅火力で作動させ、前記検出手段の検出値が所定値に達した場合には、前記下バーナの火力を前記通常火力に切り替えるように、前記切替え制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明の両面焼きグリルは、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記制御手段は、前記検出手段の検出値が所定範囲内に収まるように、前記切替え制御を行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明の両面焼きグリルは、請求項1から3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記検出手段は、前記調理空間と前記加熱空間とを区画する壁部に設けられ、前記調理皿が前記調理空間内の所定位置に設置された場合に前記調理皿と接触することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5に係る発明のコンロは、請求項1から4の何れかに記載の両面焼きグリルを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の両面焼きグリルでは、調理皿の温度を検出することによって、加熱空間から
壁部を介して調理皿
に熱が伝わる伝熱状態を推定し、下バーナの火力を切り替えることができる。これにより、上バーナからの熱量と下バーナからの熱量をバランス良く調理皿上の被調理物に与えることができるので、清掃性を担保しつつ、加熱バランスのよい両面焼きグリルを提供できる。
【0012】
また、請求項2に係る発明の両面焼きグリルは、請求項1に記載の発明の効果に加え、調理開始時には下バーナを増幅火力で作動させ、調理皿の温度が所定値に達した場合には、下バーナの火力を通常火力に切り替えるので、調理初期において、調理皿が高温になり過ぎて被調理物が焦げ付くのを防止できる。また、調理開始時には、下バーナを増幅火力で作動させるので、調理初期における下バーナから被調理物に与えられる熱量の立ち上がりを、上バーナから被調理物に与えられる熱量の立ち上がりに合わせることができる。これにより、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができるので、被調理物の上下面をバランス良く焼き上げることができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明の両面焼きグリルは、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、調理皿の温度が所定範囲内に収まるように、切替え制御を行うので、被調理物の特に下側面の焼け具合を良好にできる。
【0014】
また、請求項4に係る発明の両面焼きグリルは、請求項1から3の何れかに記載の発明の効果に加え、検出手段は、調理空間と加熱空間とを区画する壁部に設けられ、調理皿が調理空間内の所定位置に設置された場合に調理皿と接触するので、検出手段と調理皿の位置を調整する手間を省くことができる。また、検出手段を調理皿に接触させることができるので、調理皿の温度を正確に検出できる。
【0015】
また、請求項5に係る発明のコンロは、請求項1から4の何れかに記載の両面焼きグリルを備えているので、上記請求項1から4の何れかに記載の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すテーブルコンロ1(以下、コンロ1と呼ぶ)は、
図2に示すグリル装置20を内蔵する。グリル装置20は、被調理物の両面を一度に焼くことができる両面焼きグリルである。以下説明では、
図1中に矢印で示す上下、左右、前後を使用する。
【0018】
図1を参照し、コンロ1の構造について説明する。コンロ1は、器具本体2とトッププレート3を備える。トッププレート3は、器具本体2の上部に固定されている。トッププレート3の上面の右側には右コンロ5、左側には左コンロ6が設けられている。右コンロ5の中央には鍋センサ5Aが設けられ、左コンロ6の中央には鍋センサ6Aが設けられている。鍋センサ5A,6Aは、右コンロ5と左コンロ6に夫々調理容器が載置されたことを検出する。鍋センサ5A,6Aの各筒体の中には、サーミスタ5B,6B(
図8参照)が夫々格納されている。サーミスタ5B,6Bは鍋底温度を検知する。トッププレート3の後方には、グリル排気口7が設けられている。グリル排気口7の直下には、後述するグリル装置20の上側排気口40と下側排気口43(
図2参照)が並んで位置する。グリル排気口7には、排気口カバー8が設置されている。
【0019】
また、器具本体2の正面中央には、グリル扉24が設けられている。グリル扉24は、器具本体2の前方に引き出し可能であり、器具本体2内に設けられたグリル装置20の後述するグリル開口22(
図2参照)を開閉する。そのグリル扉24の右側の領域には、点火スイッチ11,12、火力調節つまみ16、17等が夫々設けられている。点火スイッチ11は、グリル扉24の右側に隣接して設けられ、右コンロ5の点火/消火の操作を行う。点火スイッチ12は、点火スイッチ11の右隣に設けられ、後述するグリル庫21内に設けられた上バーナ35(
図2参照)と下バーナ36(
図2参照)の点火/消火の操作を行う。
【0020】
さらに、火力調節つまみ16は、点火スイッチ11の上方に設けられ、略水平方向における回動操作によって、右コンロ5の火力調節ができる。火力調節つまみ17は、点火スイッチ12の上方に設けられ、上火用調整つまみ17Aと下火用調整つまみ17Bを上下に備える。上火用調整つまみ17Aは、略水平方向における回動操作によって、上バーナ35の火力調節ができる。下火用調整つまみ17Bは、略水平方向における回動操作によって、下バーナ36の火力調節ができる。
【0021】
一方、グリル扉24の左側の領域には、点火スイッチ13、火力調節つまみ18、電池ケース14等が夫々設けられている。点火スイッチ13は、グリル扉24の左側に隣接して設けられ、左コンロ6の点火/消火の操作を行う。火力調節つまみ18は、点火スイッチ13の上方に設けられ、略水平方向における回動操作によって、左コンロ6の火力調節ができる。電池ケース14は、点火スイッチ13の左隣に設けられ、コンロ1の電源として、例えば2つの乾電池(
図8参照)を格納する。
【0022】
図2〜
図6を参照し、グリル装置20の構造について具体的に説明する。
−外観構造−
グリル装置20は、略直方体状のグリル庫21を備える。グリル庫21の前面には、グリル開口22(
図2,
図5参照)が設けられている。グリル開口22は、グリル扉24によって開閉される。
図2,
図3に示すように、グリル扉24は正面視長方形状に形成され、その上半分にはガラス板25、下半分にはグリル取っ手26が設けられている。よって、使用者は、グリル開口22をグリル扉24で閉じた状態でも、ガラス板25を介してグリル庫21の内部を確認できる。使用者は、グリル取っ手26を掴んでグリル扉24を手前に引き出すことによって、グリル開口22を開閉できる。尚、本実施形態では、グリル扉24は前後方向に引き出し可能であるが、例えば、グリル扉24の幅方向の一端部をグリル開口22の開口端の幅方向の一端部に軸支させることによって、グリル扉24を回動可能に構成してもよい。
【0023】
−内部構造−
図2,
図5,
図6に示すように、グリル庫21の内側の空間は、略水平に配置された中板30によって上下に区画されている。中板30の上下両面には、例えば、耐熱塗装が施されている。中板30よりも上側には調理空間31、中板30よりも下側には加熱空間32が形成されている。調理空間31において、グリル庫21の上壁の略中央には、平面視長方形状の上バーナ35(
図2,
図4参照)が設けられている。上バーナ35は下面に複数の炎孔(図示略)を備え、該炎孔にて火炎を下方に形成する。そして、中板30の上面には、調理皿10が出し入れ自在に載置される。調理皿10は底部に凹凸面を有するものであるが、平面状のものでもよい。調理皿10の凹凸面には、魚等の被調理物(図示略)が載置される。被調理物の上側面は、上バーナ35からの熱量によって直接的に加熱される。尚、調理皿10は、グリル扉24の背面下部に着脱可能に連結してもよい。その場合、グリル扉24を前方に引き出すことによって、調理皿10をグリル庫21の外側に同時に引き出すことができる。
【0024】
図5に示すように、上バーナ35の近傍には、イグナイタ37と火炎検出器45が設けられている。イグナイタ37は、後述するCPU51からの制御指令に基づいて作動することで、上バーナ35に点火する。火炎検出器45は、上バーナ35の点火又は失火を検出する。なお、火炎検出器45は、燃焼炎の持つ熱、光、電気的特性の何れかを検出するものであればよく、例えば、熱を検出するものとしては熱電対、電気的特性を利用するものとしてはフレームロッド、光を検出するものとしては、検出する波長によって3種類(紫外線式、可視光線式、赤外線式)に分類される。
【0025】
また、
図2,
図5,
図6に示すように、調理空間31の後方部には、上側ダクト39が設けられている。上側ダクト39は、グリル庫21の上壁の後方部に設けられた上側排気口40と連通する。それ故、調理空間31における燃焼排気は、上側ダクト39を通じて上側排気口40から外部へ排出される。また、上側排気口40にはフレームトラップ41が設置されている。フレームトラップ41は、万が一、調理皿10に載置された魚などに引火した場合に、上側排気口40から火炎が出ることを防止する。
【0026】
一方、加熱空間32には、平面視略U字形状の下バーナ36が設けられている。下バーナ36は略U字形状の内周面に沿って複数の炎孔(図示略)を備え、該炎孔において火炎を内側に向けて形成する。これにより、中板30及び調理皿10が下バーナ36からの熱量によって下方から加熱されるので、被調理物の下側面が間接的に加熱される。なお、下バーナ36の近傍には、イグナイタ38A,38B(
図5,
図6参照)と火炎検出器46(
図5参照)が設けられている。イグナイタ38A,38Bは、下バーナ36の略U字形状の互いに対向する各部分(
図6参照)に夫々設けられ、CPU51の制御指令に基づき作動することで、下バーナ36に点火する。火炎検出器46は下バーナ36の点火と失火を検出する。
【0027】
また、
図2,
図5に示すように、加熱空間32の後方部には、下側ダクト42が設けられている。下側ダクト42は、グリル庫21の上壁で、且つ上側排気口40の後方に隣接して設けられた下側排気口43と連通する。それ故、加熱空間32における燃焼排気は、下側ダクト42を通じて下側排気口43から外部へ排出される。このように、グリル装置20は、上記構造を備えることにより、調理皿10に載置された被調理物の上下両面を加熱して調理する間接加熱方式の両面焼きグリルを構成する。そして、グリル装置20では、下バーナ36への油の滴下が無いので、清掃性に優れている。
【0028】
また、
図5に示すように、中板30の上面の前側部分には、薄いボタン型のサーミスタ95が設けられている。使用者が中板30の上面の所定位置に調理皿10を載置した場合、調理皿10の底部下面の前方部分がサーミスタ95と接触するようになっている。これにより、サーミスタ95は調理皿10の温度を検出できる。
【0029】
次に、
図7を参照し、グリル装置20における上バーナ35と下バーナ36の火力切替えの仕組みを説明する。コンロ1には、グリル装置20にガスを供給する為のガス供給管61が設けられている。ガス供給管61は途中で、第一ガス供給管62と第二ガス供給管63とに夫々分岐する。第一ガス供給管62は、下バーナ36にガスを供給し、第二ガス供給管63は、上バーナ35にガスを供給する。第一ガス供給管62と第二ガス供給管63とに分岐する手前には、安全弁47が設けられている。
【0030】
第一ガス供給管62には、火力調整装置19と火力制御機構部70が夫々設けられている。火力調整装置19は、火力制御機構部70の下流側に設けられ、コンロ1の前面に設けられた火力調節つまみ17の下火用調整つまみ17B(
図1参照)の操作に連動し、下バーナ36に供給されるガス量を増減する。火力制御機構部70は、コンロ1の調理性能と安全性向上の為に、複数の流路と複数の電磁弁で構成されている。火力制御機構部70は、バイパス管64,65、電磁弁71〜73等を備える。電磁弁71は、第一ガス供給管62の途中に設けられている。バイパス管64,65は、電磁弁71の上流側と下流側の間に夫々接続されている。電磁弁72は、バイパス管65に設けられている。電磁弁73は、第一ガス供給管62とバイパス管64,65が夫々合流する位置の下流側に設けられている。電磁弁71と72は、ガス流量調整用のキープソレノイドバルブである。電磁弁73は、ガス遮断用キープソレノイドバルブである。
【0031】
例えば、火力制御機構部70において、電磁弁71,72を夫々開閉することによって、火力調整装置19に流れるガス流量を、第一流量、第二流量、第三流量の三段階で調節できる。電磁弁71,72を何れも開いたときは第一流量、電磁弁71,72の何れか一方を閉じたときは第二流量、電磁弁71,72を何れも閉じたときは第三流量となる。そして、第一流量、第二流量、第三流量で下バーナ36にガスが流れたとき、火力調節つまみ17B(
図1参照)を最大に調節したときの下バーナ36の火力は、夫々、増幅火力、通常火力、抑制火力となる。よって、グリル装置20は、加熱空間32において下バーナ36の火力を3段階で切り替えることができる。なお、火力制御機構部70は本発明の「切替え手段」に相当する。
【0032】
なお、詳述しないが、第二ガス供給管63にも、上バーナ35に対応する火力調整装置(図示略)及び火力制御機構部(図示略)が夫々設けられている。火力調整装置は、火力調節つまみ17の上火用調整つまみ17A(
図1参照)の操作に連動し、上バーナ35に供給されるガス量を増減する。よって、グリル装置20は、調理空間31においても、上バーナ35の火力を3段階で切り替えることができる。
【0033】
図8を参照して、コンロ1の電気的構成について説明する。コンロ1は、制御回路50を備える。制御回路50は、CPU51、ROM52、RAM53、不揮発性メモリ54に加え、図示しないタイマ、グリルタイマ、I/Oインタフェイス等を備える。タイマ、グリルタイマはプログラムで作動するものである。CPU51はコンロ1の各種動作を統括制御する。ROM52はコンロ1の各種プログラムに加え、グリル制御プログラム等を記憶する。グリル制御プログラムは、後述するグリル制御処理(
図10〜
図12,
図14参照)を実行する為のものである。RAM53は、各種情報を一時的に記憶する。不揮発性メモリ54は、各種パラメータ等を記憶する。
【0034】
制御回路50には、電源回路81、スイッチ入力回路82、サーミスタ入力回路83、火炎検出回路84、イグナイタ回路85、センサ入力回路86、ブザー回路87、音声合成回路88、安全弁回路90、電磁弁回路91等が各々接続されている。電源回路81は、電池ケース14(
図1参照)に搭載される2つの乾電池によって各種回路に電源を供給する。電源回路81はトランジスタスイッチ(図示略)を備える。スイッチ入力回路82は、点火スイッチ11〜13の押下を検出し、制御回路50に入力する。サーミスタ入力回路83は、サーミスタ5B,6B、サーミスタ95の夫々から出力される各検出信号を制御回路50に入力する。火炎検出回路84は、火炎検出器45,46からの検出信号を制御回路50に入力する。イグナイタ回路85は、CPU51の制御信号に基づき、右コンロ5及び左コンロ6に設けられた各イグナイタ(図示略)、グリル庫21内に設けられたイグナイタ37,38A,38Bを各々作動する。
【0035】
センサ入力回路86は、鍋センサ5A,6Aからの検出信号の入力を行う。ブザー回路87は、CPU51の制御信号に基づき、圧電ブザー77を駆動する。音声合成回路88は、CPU51の制御に基づき、スピーカ78から出力させる音声ガイドの音声を合成する。安全弁回路90は、CPU51の制御に基づき、安全弁47(
図7参照)の開閉を行う。電磁弁回路91は、CPU51の制御に基づき、電磁弁71〜73(
図7参照)の開閉を行う。なお、図示しないが、右コンロ5及び左コンロ6の夫々のガス供給管には、にも、グリル装置20と同様に、火力調整装置、火力制御機構部、安全弁等が設けられ、安全弁回路90と電磁弁回路91によって夫々制御される。
【0036】
また、点火スイッチ11〜13は、スイッチ入力回路82及び電池ケース14に格納された乾電池のプラス側に対して、並列に夫々接続されている。乾電池のマイナス側は電源回路81に接続され、スイッチ入力回路82も電源回路81に接続されている。使用者によって、点火スイッチ11〜13のうち何れかが押下されると、乾電池の電源がスイッチ入力回路82を介して電源回路81に供給され、電源回路81のトランジスタスイッチがONされる。これにより、電源回路81から各種回路に電流が流れ、コンロ1の電源がONされる。スイッチ入力回路82は、点火スイッチ11〜13のうち何れが押下されたかを検出し、その検出信号を制御回路50に入力する。従って、CPU51は、どの点火スイッチ11〜13の押下によって電源がONされたのかを判断できる。
【0037】
次に、
図9と
図10を参照して、CPU51が実行するグリル制御処理について説明する。例えば、グリル装置20で調理を行う場合、使用者はグリル扉24を手前に開き、被調理物を載せた調理皿10を、中板30の上面の所定位置に載置する(
図2,
図5参照)。例えば、中板30の上面の奥側に突起等を設け、該突起に調理皿10を当接させて載置することによって、調理皿10が自動的に所定位置になるようにしてもよい。所定位置に載置された調理皿10の底部下面の前方部分は、中板30の上面の前側部分に設けられたサーミスタ95と接触する。使用者はグリル扉24を閉じた後で、点火スイッチ12を押下する。点火スイッチ12の押下が検出されると、CPU51は、ROM52から「グリル制御プログラム」を読み出し、本処理を実行する。
【0038】
図9に示すように、先ず、CPU51は、
図10に示すt0タイミングで、上バーナ35と下バーナ36を点火させる(S1)。なお、点火は、
図7に示すように、ガス供給管61に設けられた安全弁47、第一ガス供給管62に設けられた火力制御機構部70、及び第二ガス供給管63に設けられた火力制御機構部の全電磁弁を開放し、イグナイタ37,38A,38Bを夫々作動させることによって行われる。そして、火炎検出器45,46によって、上バーナ35と下バーナ36において火炎が夫々検出された場合、CPU51は、上バーナ35を通常火力に、下バーナ36を増幅火力に夫々切り替える(S2)。調理皿10は上下から加熱されるので、調理皿10の温度は速やかに上昇する(
図10参照)。
【0039】
ここで、グリル装置20の構造上、下バーナ36は上バーナ35に比べて加熱効率が低いが、点火後の火力を増幅火力にすることで、調理初期における下バーナ36から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりを、上バーナ35から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりに合わせることができる。これにより、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができるので、被調理物の上下面をバランス良く焼き上げることができる。
【0040】
次いで、CPU51は、点火スイッチ12の再押下による消火操作があったか否か判断する(S3)。消火操作があった場合(S3:YES)、CPU51は安全弁47を閉じることによって、上バーナ35と下バーナ36を何れも消火し(S9)、本処理を終了する。
【0041】
一方、消火操作が無かった場合(S3:NO)、CPU51は、引き続き、上バーナ35と下バーナ36の火力を維持すると共に、サーミスタ95を用いて、調理皿10の温度を検出する(S3)。調理皿10の温度を検出することによって、CPU51は加熱空間32から調理皿10への伝熱状態を推定できる。次いで、CPU51は、サーミスタ95の検出値が、例えば、250℃に達したか否か判断する(S5)。ここで、検出値が250℃に達していなければ(S5:NO)、加熱空間32から調理皿10への伝熱状態がまだ不十分であるので、CPU51は、S3に戻り、消火操作が無ければ(S3:NO)、調理皿10の温度を引き続き監視する(S4)。
【0042】
そして、t1タイミングで、検出値が250℃に達した場合(S5:YES)、加熱空間32から調理皿10に対して熱が十分に伝わったので、CPU51は、下バーナ36の火力を増幅火力から通常火力に切り替え(S6)、下バーナ36の火力切替えによる調理皿10の温調制御を開始する(S7)。温調制御では、例えば、調理皿10の温度が250℃から300℃の範囲内に収まるように、CPU51は下バーナ36の火力を随時切り替える。尚、上バーナ35は通常火力を維持する。そして、t1タイミングで、下バーナ36の火力が増幅火力から通常火力に切り替わると、調理皿10の温度は300℃付近を頂点として緩やかなカーブを描きながら徐々に低下する。これにより、調理初期において、調理皿10が高温になり過ぎて被調理物が焦げ付くのを防止できる。
【0043】
その後、例えば、t2タイミングで、調理皿10の温度が260℃まで低下した場合、CPU51は下バーナ36を通常火力から増幅火力に切り替える。すると、調理皿10の温度は再び上昇し、t3タイミングで290℃に達した場合、CPU51は下バーナ36を再び、増幅火力から通常火力に切り替える。CPU51は、これら一連の処理を繰り返すことによって、調理皿10の温度を250℃から300℃の範囲内に収めることができる。これにより、被調理物の下面側を良好に焼き上げることができる。尚、温調制御によって維持する調理皿10の温度の所定範囲は、250〜300℃の範囲に限らず、自由に設定可能である。
【0044】
次いで、CPU51は、点火スイッチ12の再押下による消火操作があったか否か判断する(S8)。消火操作が無かった場合(S8:NO)、CPU51は、引き続き、上バーナ35は通常火力を維持した状態で、下バーナ36による温調制御を継続する。そして、消火操作があった場合(S8:YES)、CPU51は安全弁47を閉じることによって、上バーナ35と下バーナ36を何れも消火し(S9)、本処理を終了する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のグリル装置20はコンロ1に搭載されるものである。グリル装置20は、グリル庫21内を中板30で上下に仕切ることによって、中板30の上側に調理空間31、中板30の下側に加熱空間32を備える。調理空間31には、上バーナ35が設けられ、中板30の上面には、被調理物を載置する為の調理皿10が出し入れ自在に収納される。加熱空間32には、下バーナ36が設けられる。被調理物には、上バーナ35からの熱量が直接的に与えられ、下バーナ36からの熱量は加熱空間32から調理皿10を介して間接的に与えられる。上記構成を備えたグリル装置20は、調理皿10上の被調理物を上下両面より加熱して調理する間接加熱方式を採用した両面焼きグリルである。このグリル装置20では、下バーナ36への油の滴下が無いので、清掃性に優れるといった利点がある。
【0046】
そして、グリル装置20は、下バーナ36の火力を切り替える火力制御機構部70と、調理皿10の温度を検出するサーミスタ95を備える。コンロ1のCPU51は、上バーナ35と下バーナ36を点火した後は、サーミスタ95を用いて調理皿10の温度を検出する。調理皿10の温度から、加熱空間32から調理皿10への伝熱状態を推定できる。そこで、CPU51は、サーミスタ95の検出値に基づき、下バーナ36の火力を適切に切り替える。これにより、調理皿10の温度を適切に保つことができるので、被調理物を焦げ付かせることなく、良好に焼き上げることができる。また、上バーナ35からの熱量と下バーナ36からの熱量をバランス良く、調理皿10上の被調理物に与えることができるので、被調理物をバランス良く焼き上げることができる。
【0047】
また、本実施形態の火力制御機構部70は、下バーナ36について、少なくとも通常火力と増幅火力に切り替えることができる。CPU51は、調理開始時、上バーナ35は通常火力に、下バーナ36は増幅火力に切り替える。そして、サーミスタ95の検出値が例えば250℃に達した場合、CPU51は下バーナ36の火力を増幅火力から通常火力に切り替える。これにより、調理初期において、調理皿10が高温になり過ぎて被調理物が焦げ付くのを防止できる。また、点火後に、下バーナ36を増幅火力で燃焼させるので、調理初期における下バーナ36から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりを、上バーナ35から被調理物に与えられる熱量の立ち上がりに合わせることができる。これにより、調理初期において、被調理物に対して十分に熱量を与えることができるので、被調理物の上下面をバランス良く焼き上げることができる。
【0048】
また、本実施形態では、CPU51は、サーミスタ95の検出値が所定範囲内に収まるように、火力制御機構部70の動作を制御する。これにより、調理皿10に載置された被調理物を良好に焼き上げることができる。
【0049】
また、本実施形態では、サーミスタ95は、調理空間31と加熱空間32とを区画する中板30に設けられている。サーミスタ95は、調理皿10が調理空間31内の所定位置に設置された場合に、調理皿10と接触する。これにより、サーミスタ95と調理皿10の位置を調整する手間を省くことができる。また、サーミスタ95を調理皿10に接触させることができるので、調理皿10の温度を正確に検出できる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本実施形態のグリル装置20は、テーブルコンロ1に搭載されるものであるが、ビルトインコンロに搭載されてもよく、又は独立した機器であってもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、
図7に示すように、火力制御機構部70は、第一ガス供給管62に、2本のバイパス管64,65と2つの電磁弁71,72を設けることによって、火力を3段階で切り替えるものであるが、バイパス管の本数と電磁弁の数を減らして(例えば、1本のバイパス管と1つの電磁弁)2段階で火力を切り替えるものであってもよい。また、バイパス管の本数と電磁弁の数をさらに増やすことによって、火力をさらに多段階で調節できるものでもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、電磁弁71〜73は流路を開閉するキープソレノイドバルブであるが、例えば、流路面積を連続的に増減可能なバルブであってもよい。該バルブを用いた場合、下バーナ36の火力の切替えを緩やかに行うことができる。
【0053】
また、上記実施形態では、下バーナ36について点火後は増幅火力に切り替えているが、通常火力、又は抑制火力に切り替えて燃焼させてもよい。また、点火後に、調理皿10の温度が250℃に達した場合に、下バーナ36の火力を増幅火力から通常火力に切り替えているが、250℃に限らず、これより高くても低くてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、上バーナ35及び下バーナ36を点火した後は、上バーナ35については通常火力で一定に維持しているが、例えば、増幅火力又は抑制火力で一定に維持してもよい。さらに、調理中、上バーナ35の火力を制御してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、グリル庫21の中板30の上面の前側部分に、薄いボタン型のサーミスタ95を設けているが、サーミスタ95は1つでもよく、複数であってもよい。例えば、2つのサーミスタ95を中板30の上面の前側部分において、左右方向に互いに離間して設けてもよい。複数設ける場合は、各サーミスタ95の計測値の平均値を算出してもよい。また、サーミスタ95の位置は、中板30の上面の前側部分に限らず、調理皿10の底部下面と接触する位置であればどこでもよい。また、サーミスタ95は中板30以外の位置に設けてもよく、調理皿10を中板30上に載置したときに、調理皿10と接触する位置であればよい。さらに、調理皿10の温度ではなく、例えば、調理空間31、又は加熱空間32の温度を検出し、該検出温度に基づき、下バーナ36の火力を切り替えるようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、
図9に示すグリル制御処理で実行される温調制御では、下バーナ36の火力を通常火力と増幅火力に交互に切り替えて行っているが、例えば、抑制火力と増幅火力に交互に切り替えてもよく、切り替える火力、タイミングについては、上記実施形態に限定されない。
【0057】
なお、本発明の「調理開始」について、上記実施形態では、上バーナ35又は下バーナ36の点火時としているが、例えば、点火スイッチ12の押下を検出した時、上バーナ35,下バーナ36において火炎を検出した時、等を含む概念である。