特許第6392017号(P6392017)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6392017モーダル解析支援装置及び同様の支援機構を備えた実稼働解析支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392017
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】モーダル解析支援装置及び同様の支援機構を備えた実稼働解析支援装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/08 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   G01M7/08
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-150186(P2014-150186)
(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公開番号】特開2016-24134(P2016-24134A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174987
【氏名又は名称】三井精機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098279
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 聖
(72)【発明者】
【氏名】浅井 岳見
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−118661(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/111098(WO,A1)
【文献】 特開2001−350741(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0183942(US,A1)
【文献】 特開2008−173249(JP,A)
【文献】 特開平04−169822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/00〜7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象である構造体の任意の箇所に所定の方向から力(振動)を加えると共に当該加えられる力の大きさを検出する加力(加振)手段と、前記構造体の前記任意の箇所とは異なる複数の測定箇所にそれぞれ取り付けられ、各軸それぞれの感度方向に加えられる力の大きさを検出する多軸一体の加速度センサと、前記多軸一体の加速度センサによりそれぞれ検出された検出値を解析し、前記複数の測定箇所への力の伝達関数をそれぞれ算出する解析手段とを備えるモーダル解析を支援するために、測定者による後の確認のために前記複数の測定箇所のうち各測定箇所における前記加速度センサの感度方向を記録する支援装置であって
前記構造体の前記複数の測定箇所にそれぞれ取り付けられた前記多軸一体の加速度センサの前記各軸それぞれの感度方向を都度認識し保持するセンサ方向性認識手段と、
該センサ方向性認識手段が保持する前記加速度センサの前記各軸それぞれの感度方向を都度前記解析手段が検出する検出値に合わせて記録するセンサ方向性記録手段と、
前記多軸一体の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記録手段が記録する前記各軸それぞれの感度方向を対応関係を含めて表示する表示手段とを有することを特徴とするモーダル解析支援装置。
【請求項2】
前記表示手段に加え、更に、前記多軸一体の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記憶手段が記録する前記各軸それぞれの感度方向を対応関係を含めて印刷する印刷手段を有することを特徴とする請求項1に記載のモーダル解析支援装置。
【請求項3】
測定対象である構造体の任意の箇所に所定の方向から力(振動)を加えると共に当該加えられる力の大きさを検出する加力(加振)手段と、前記構造体の前記任意の箇所とは異なる複数の測定箇所にそれぞれ取り付けられ、1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向に加えられる力の大きさを検出する1軸の加速度センサと、前記1軸の加速度センサによりそれぞれ検出された検出値を解析し、前記複数の測定箇所への力の伝達関数をそれぞれ算出する解析手段とを備えるモーダル解析を支援するために、測定者による後の確認のために前記複数の測定箇所のうち各測定箇所における前記加速度センサの感度方向を記録する支援装置であって
前記構造体の前記複数の測定箇所にそれぞれ取り付けられた前記1軸の加速度センサの前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を都度認識し保持するセンサ方向性認識手段と、
該センサ方向性認識手段が保持する前記加速度センサの前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を都度前記解析手段が検出する検出値に合わせて自動的に記録するセンサ方向性記録手段と、
前記1軸の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記録手段が記録する前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を対応関係を含めて表示する表示手段とを有することを特徴とするモーダル解析支援装置。
【請求項4】
前記表示手段に加え、更に、前記1軸の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記録手段が記録する前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を対応関係を含めて印刷する印刷手段を有することを特徴とする請求項3に記載のモーダル解析支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体等について、その固有振動数及びその固有振動数に対応するモードを評価するために行うモーダル解析を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体には、その固有振動数があり、構造体に外力が加わるとその固有振動数に応じた変形が見られる。そこで、従来、工作機械等の駆動時の変形を解析するために、その固有振動数及びその固有振動数に対応するモードを評価するためにモーダル解析が行われている。このモーダル解析では、例えば、インパルスハンマー等で衝撃力(加振力)を与え、構造体における応答側のセンサ(加速度計)を貼り付ける位置を移動してゆき、構造体の各ポイントでの応答波形を計測するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−164652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなモーダル解析において、応答側のセンサの方向が加振力の方向に対しどの方向を向くかの関係に注意を払う必要があり、従来より、測定者が構造体の各ポイント毎に、その都度センサの向きを設定して貼り付け、方向を記録し測定を行うようにしていた。
【0005】
しかしながら、例えば、測定対象である構造体が床に固定される立体物である場合、測定作業を続ける中で、測定者が3軸の加速度センサのXYZの何れかから成るセンサの向きを間違って貼り付け、その間違った向きで測定された測定値を記録してしまう場合がある。また、測定対象である構造体が鉄板のような場合にも、測定者が1軸の加速度センサの向きを180度間違って貼り付け、その間違って貼り付けた向きを前提としたため位相が180度異なった測定値として記録してしまう場合がある。このような場合、全てのポイントの測定が終わって、総データに基づく解析を行う時に間違いが判明した場合には、測定のやり直し等の必要が生じ、時間と労力の無駄が甚だしかった。一方、構造体の構造上、比較的影響の少ないポイントのみでの取り違えの場合には、不自然さに気付かないままモーダル解析を終了してしまい、その不完全なデータで構造体のモードを評価してしまう虞もあった。そこで、測定者の正確な測定作業に頼らずに、正しいセンサの向きに基づいたモーダル解析を可能とする支援装置の開発が望まれていた。
【0006】
本発明は上述のような事情から為されたものであり、その目的は、測定者の正確な測定作業に頼らずに、正しいセンサの向きに基づいたモーダル解析を可能とする支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上述した課題を解決できるモーダル解析支援装置について、様々な観点からアプローチを試み、鋭意研究した結果、従来、構造体のポイント毎にセンサの向きを手動で入力していたのを、正しいセンサの向きを自動的に記憶し保持しておくシステム、例えば、ホール素子、ジャイロスコープ等で電子コンパス手段を併せ持てば、センサの向きに関する情報を保持しながら加速度を測定できるようなシステムに着目し、センサの向きに関する情報を保持しながらモーダル解析を実行することを可能とする支援装置の構成を想到するに至った。即ち、本発明の要諦は、モーダル解析そのもののシステムではなく、その測定データを集録する作業を支援するという補助的なシステムにある。
【0008】
即ち、上記目的を達成するため、本発明のモーダル解析支援装置は、測定対象である構造体の任意の箇所に所定の方向から力(振動)を加えると共に当該加えられる力の大きさを検出する加力(加振)手段と、前記構造体の前記任意の箇所とは異なる複数の測定箇所にそれぞれ取り付けられ、各軸それぞれの感度方向に加えられる力の大きさを検出する多軸一体の加速度センサと、前記多軸一体の加速度センサによりそれぞれ検出された検出値を解析し、前記複数の測定箇所への力の伝達関数をそれぞれ算出する解析手段とを備えるモーダル解析を支援するために、測定者による後の確認のために前記複数の測定箇所のうち各測定箇所における前記加速度センサの感度方向を記録する支援装置であって
前記構造体の前記複数の測定箇所にそれぞれ取り付けられた前記多軸一体の加速度センサの前記各軸それぞれの感度方向を都度認識し保持するセンサ方向性認識手段と、該センサ方向性認識手段が保持する前記加速度センサの前記各軸それぞれの感度方向を都度前記解析手段が検出する検出値に合わせて記録するセンサ方向性記録手段と、前記多軸一体の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記録手段が記録する前記各軸それぞれの感度方向を対応関係を含めて表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、センサ方向性認識手段が保持する前記加速度センサの前記各軸それぞれの感度方向を、センサ方向性記録手段が都度前記解析手段が検出する検出値に合わせて記録し、表示手段が前記多軸一体の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記録手段が記録する前記各軸それぞれの感度方向を対応関係を含めて表示するので、測定者は、このセンサの感度方向を参照しながら正確なモーダル解析を行うことが可能となる。
【0010】
更に、本発明のモーダル解析支援装置は、測定対象である構造体の任意の箇所に所定の方向から力(振動)を加えると共に当該加えられる力の大きさを検出する加力(加振)手段と、前記構造体の前記任意の箇所とは異なる複数の測定箇所にそれぞれ取り付けられ、1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向に加えられる力の大きさを検出する1軸の加速度センサと、前記1軸の加速度センサによりそれぞれ検出された検出値を解析し、前記複数の測定箇所への力の伝達関数をそれぞれ算出する解析手段とを備えるモーダル解析を支援するために、測定者による後の確認のために前記複数の測定箇所のうち各測定箇所における前記加速度センサの感度方向を記録する支援装置であって、前記構造体の前記複数の測定箇所にそれぞれ取り付けられた前記1軸の加速度センサの前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を都度認識し保持するセンサ方向性認識手段と、該センサ方向性認識手段が保持する前記加速度センサの前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を都度前記解析手段が検出する検出値に合わせて自動的に記録するセンサ方向性記録手段と、前記1軸の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記録手段が記録する前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を対応関係を含めて表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、センサ方向性認識手段が保持する前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を、センサ方向性記録手段が都度前記解析手段が検出する検出値に合わせて自動的に記録し、表示手段が前記1軸の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記録手段が記録する前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を対応関係を含めて表示するので、測定者は、より簡単な操作で正確なモーダル解析を行うことが可能となる。
【0012】
また、前記表示手段に加え、更に、前記多軸一体の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記憶手段が記録する前記各軸それぞれの感度方向を対応関係を含めて印刷する印刷手段を有するようにしても良い。或いは、前記表示手段に加え、更に、前記1軸の加速度センサがそれぞれ取り付けられた前記各測定箇所ごとに前記解析手段が検出する検出値と前記センサ方向性記録手段が記録する前記1軸の所定の感度方向又は当該1軸の前記所定の感度方向とは反対の感度方向を対応関係を含めて印刷する印刷手段を有するようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定者の正確な測定作業に頼らずに、正しいセンサの向きに基づいたモーダル解析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実験モーダル解析の一例を示す概念図であり、(a)は、構造物と1軸加速度センサと1軸力センサ(インパルスハンマー)から成るモーダル解析の基本方法を示し、(b)は、1軸加速度センサをそのセンサ感度方向と共に示し、(c)は、1軸力センサ(インパルスハンマー)をそのセンサ感度方向と共に示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るモーダル解析支援装置の構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るモーダル解析支援装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の第1の実施形態に係るモーダル解析支援装置の変形例の構成を示す図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るモーダル解析支援装置の構成を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るモーダル解析支援装置の動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施形態に係るモーダル解析支援装置の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の理解を容易にするため、本発明が適用されるモーダル解析について、図1を参照して説明する。図1は、実験モーダル解析の一例を示す概念図であり、(a)は、構造物と1軸加速度センサと1軸力センサ(インパルスハンマー)から成るモーダル解析の基本方法を示し、(b)は、1軸加速度センサをそのセンサ感度方向と共に示し、(c)は、1軸力センサ(インパルスハンマー)をそのセンサ感度方向と共に示す図である。本発明が適用されるモーダル解析は、図1(a)(b)(c)に示すように、構造物10と、複数の1軸加速度センサ20と、1軸力センサ(インパルスハンマー)30とを用い、構造物10のポイント毎に1軸加速度センサ20を取り付け(貼り付け)、例えば、構造物10の所定の箇所10Aを1軸力センサ(インパルスハンマー)30で打った場合の加速度を各1軸加速度センサ20で測定し、その測定データを各ケーブル20Bを介して集録装置(図示せず)に集録する。このように、よく使用されるモーダル解析は、1カ所の打撃点からの各点(ポイント)への伝達関数を求めるもの,もしくは,逆に多カ所の打撃点から1点(ポイント)ないし数点への伝達関数を求めるものである。
【0016】
この場合、1軸力センサ(インパルスハンマー)30には、図1(c)に示すように、所定のセンサ感度方向30Dがあり、個々の1軸加速度センサ20にも、図1(b)に示すように、それぞれ所定のセンサ感度方向20Dがあるので、図1(a)に示すように、個々の1軸加速度センサ20を構造物10のポイント毎に取り付け(貼り付け)る際には、打撃と直行する方向の応答を調べたい場合でない限り,それぞれのセンサ感度方向20Dを、1軸力センサ(インパルスハンマー)30の打撃の際のセンサ感度方向30Dに一致させなければならない。しかしながら、図1(a)(b)(c)に示すような単なるモーダル解析システムだけでは、前述したようなセンサの向き(感度方向)の取り違えに起因する問題を生じてしまうことがある。そこで、このようなモーダル解析システムを補助して、センサの向き(感度方向)の取り違えに起因する問題を解消できる支援装置が是非とも必要となる。
【0017】
本発明のモーダル解析支援装置は、以上の問題を解消するために、以下の実施形態に具現化される構成を有している。まず、本発明の第1の実施形態に係るモーダル解析支援装置は、測定者による後の確認のためにセンサの方位データ(各測定ポイントにおけるセンサの感度方向)を記録することを特徴とする。図2は、本発明の第1の実施形態に係るモーダル解析支援装置の構成を示す図である。本実施形態に係るモーダル解析支援装置100は、図2に示すように、構造体(図1参照)の任意の箇所に所定の方向から力(振動)を加えると共に当該加えられる力の大きさと方向を検出する加力(加振)手段としての広義の力センサ102と、構造体(図1参照)の上記任意の箇所とは異なる所定の箇所(測定点)に取り付けられるセンサ104を有している。センサ104は、組み合わせセンサであり、所定の感度方向を有する加速度センサ104A[図1(b)参照]と、測定点におけるセンサの向き(方位データ)を計測する方位センサとしての電子コンパス104Bとを含んでいる。また、広義の力センサ102も、組み合わせセンサであり、所定の感度方向を有する力センサ102A、即ち、狭義の力センサとしてのインパルスハンマー[図1(c)参照]と、測定点における力センサ102Aの向き(方位データ)を計測する電子コンパス102Bとを含んでいる。
【0018】
尚、本実施形態では、図1(a)に示すように、構造物10の複数の箇所10Aを力センサ102A(インパルスハンマー)で打って(ハンマリングして)行うモーダル解析を対象としているので、力センサ102側も、方位センサとして、力センサ102Aの向き(方位データ)を計測する電子コンパス102Bを含むようにしているが、後述するように、1点をハンマリングして行うモーダル解析であれば、力センサ側は、方位センサを省略しても差し支えない。また、モーダル解析支援装置100は、力センサ102A及び加速度センサ104Aにより検出された力及び加速度の検出値を集録すると共に、電子コンパス104B及び102Bにより計測された加速度センサ104A毎のセンサの向き(方位データ)及び力センサ102Aの向き(方位データ)を集録する集録装置106と、集録装置106の集録したデータを基にモーダル解析を行う解析手段としてのモーダル解析システム(分析器ないしソフトウエア)108を有している。
【0019】
集録装置106は、加速度センサ及び力センサ用の集録部106Aと、電子コンパス用の集録部106Bを有している。モーダル解析システム(分析器ないしソフトウエア)108は、集録装置106の集録部106Aから取得した加速度センサ104A及び力センサ102それぞれの集録データに基づいて周波数解析・変形表示・減衰率推定等、公知のモーダル解析を行うモーダル解析ツール108Aと、集録装置106の集録部106Bから取得した電子コンパス104B及び102Bの集録データから電子コンパス情報を取得する電子コンパス情報取得部108Bを有している。更に、モーダル解析システム(分析器ないしソフトウエア)108は、データ保存部108Dを有し、データ保存部108Dは、保存データとして、モーダル解析結果108D1、測定データ108D2、及び測定方位情報108D3を保存する。尚、モーダル解析システム(分析器)108は、図示しない表示手段(ディスプレイ)及び印刷手段(プリンタ)を併せ持ち、データ保存部108Dに保存したモーダル解析結果108D1、測定データ108D2及び測定方位情報108D3を表示手段(ディスプレイ)に表示し、印刷手段(プリンタ)により印刷することもできる。
【0020】
次に、図3を参照して、本実施形態に係るモーダル解析支援装置100の動作を説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係るモーダル解析支援装置の動作を示すフローチャートである。まず、本実施形態に係るモーダル解析支援装置100は、図3に示すように、集録装置106の集録トリガを待つよう指示されている(ステップS31)。この状態において、集録装置106は、電子コンパス104B又は102Bにより新たに計測された加速度センサ104Aの向き(方位データ)又は力センサ102Aの向き(方位データ)を取得する度に、方位センサ情報を更新する(ステップS32)。このような動作を続けながら測定待機状態を維持する(ステップS33)、即ち、次のハンマリングを待つ。そして、力センサ(インパルスハンマー)102Aによる打撃を検知したか否かを監視しながら(ステップS34)、打撃を検知しなければ(ステップS34でNo)、センサの移動があれば方位センサ情報を更新する(ステップS32)。新たに力センサ(インパルスハンマー)102Aによる打撃を検知したら(ステップS34でYes)、集録装置106の集録作業を開始し(ステップS35)、集録装置106の集録部106A、集録部106Bそれぞれのデータを集録し(ステップS36)、集録を終了する(ステップS37)。通常,集録装置106のような集録器は必要に応じて集録機能を打撃の検知と独立してサンプリング機能を動作させることができ、打撃検知の直前の信号も集録結果に含めることもできるようになっている。一方、モーダル解析システム(分析器ないしソフトウエア)108は、集録装置106の集録部106Aから取得した加速度センサ104A及び力センサ102それぞれの集録データに基づいて周波数解析・変形表示・減衰率推定等のモーダル解析ツール108Aの処理を行うことで(ステップS38)、処理結果として、モーダル解析結果108D1及び測定データ108D2を出力し、データ保存部108Dに保存する(ステップS39)。一方、モーダル解析システム(分析器ないしソフトウエア)108は、集録装置106の集録部106Bから電子コンパス情報取得部108Bに電子コンパス情報を取得しておき、測定方位情報108D3として、モーダル解析結果108D1及び測定データ108D2に付加した形式でデータ保存部108Dに保存する(ステップS39)。
【0021】
以上のように、本実施形態に係るモーダル解析支援装置100によれば、従来は測定者による手作業で入力し記録しなければならなかったセンサの方位データ(各測定ポイントにおけるセンサの感度方向)を自動的に計測し記録することで、測定者による後の確認のために活用することができる。即ち、測定者は、データ保存部108Dに保存したモーダル解析結果108D1、測定データ108D2及び測定方位情報108D3を、何時でも表示手段(ディスプレイ)に表示し、印刷手段(プリンタ)により印刷することで、確認することが可能であり、センサの向き(感度方向)の取り違えに起因する問題を解消できる。尚、図2に示した例では、加速度センサ104Aは、図1(b)に示したのと同様の1軸加速度センサであるものとして説明したが、加速度センサとして、複数のセンサ感度方向を持つ多軸1体のセンサの場合でも、1パッケージにつき、1つの方位データを対応づければ良い。
【0022】
ここで、図2に示した本発明の第1の実施形態に係るモーダル解析支援装置の変形例について述べる。図4は、本発明の第1の実施形態に係るモーダル解析支援装置の変形例の構成を示す図である。図4に示す第1の実施形態の変形例の基本的構成は、図2に示した第1の実施形態のものと略同様であるので、同一の部分には同一の参照番号を付して、その説明は省略する。この変形例では、1点をハンマリングして行うモーダル解析を対象としているので、力センサ102側は、方位センサを有していない。このように、1点をハンマリングして行うモーダル解析であれば、力センサ側は、方位センサを省略しても差し支えない。即ち、変形例に係るモーダル解析支援装置200は、図4に示すように、構造体(図1参照)の任意の箇所に所定の方向から力(振動)を加えると共に当該加えられる力の大きさと方向を検出する加力(加振)手段としての力センサ102を有しており、この力センサ102は、図2に示した第1の実施形態のものと異なり、電子コンパスを併せ持っていない。従って、集録装置106の集録部106Bには、電子コンパス104Bにより計測された加速度センサ104A毎のセンサの向き(方位データ)のみが集録される。また、電子コンパス情報取得部108Bは、集録装置106の集録部106Bから電子コンパス104Bによる電子コンパス情報のみを取得する。
【0023】
本変形例に係るモーダル解析支援装置200によれば、従来は測定者による手作業で入力し記録しなければならなかった加速度センサ104Aの方位データ(各測定ポイントにおけるセンサの感度方向)を自動的に計測し記録することで、測定者による後の確認のために活用することができる。即ち、測定者は、データ保存部108Dに保存したモーダル解析結果108D1、測定データ108D2及び測定方位情報108D3を、何時でも表示手段(ディスプレイ)に表示し、印刷手段(プリンタ)により印刷することで、確認することが可能であり、加速度センサ104Aの向き(感度方向)の取り違えに起因する問題を解消できる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施形態に係るモーダル解析支援装置について説明する。本実施形態に係るモーダル解析支援装置は、電子コンパス情報を用いてセンサの方位データ(各測定ポイントにおけるセンサの感度方向)の整合性を自動で調整することを特徴とする。図5は、本発明の第2の実施形態に係るモーダル解析支援装置の構成を示す図である。本実施形態に係るモーダル解析支援装置の基本的構成は、図2に示した第1の実施形態のものと略同様であるので、同一の部分には同一の参照番号を付して、その説明は省略する。本実施形態に係るモーダル解析支援装置300では、図5に示すように、モーダル解析システム(分析器ないしソフトウエア)108は、モーダル解析ツール108A及び電子コンパス情報取得部108Bに加え、整合性自動調整部108Cを有している。整合性自動調整部108Cは、電子コンパス情報取得部108Bから取得した電子コンパス104B及び102Bに関する情報、即ち、加速度センサ104A毎のセンサの向き(方位データ)及び力センサ102Aの向き(方位データ)を用い、集録装置106の集録部106Aから取得した加速度センサ104A及び力センサ102それぞれの集録データ相互の(個々のデータ同士の)整合性を自動的に調整する。
【0025】
このように自動調整されたデータは、整合性自動調整部108Cからモーダル解析ツール108Aに入力され、この整合性が取れたデータに基づいて、周波数解析・変形表示・減衰率推定等のモーダル解析が行われ、その結果得られる保存データとして、モーダル解析結果108D1、測定データ108D2、及び測定方位情報108D3がデータ保存部108Dに保存される。尚、モーダル解析システム(分析器)108は、図示しない表示手段(ディスプレイ)及び印刷手段(プリンタ)を併せ持ち、データ保存部108Dに保存したモーダル解析結果108D1、測定データ108D2及び測定方位情報108D3を表示手段(ディスプレイ)に表示し、印刷手段(プリンタ)により印刷することもできるのは、第1の実施形態のものと同様である。
【0026】
次に、図6を参照して、本実施形態に係るモーダル解析支援装置300の動作を説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係るモーダル解析支援装置300の動作を示すフローチャートである。まず、本実施形態に係るモーダル解析支援装置300は、図6に示すように、集録装置106の集録トリガを待つよう指示されている(ステップS60)。この状態において、集録装置106は、電子コンパス104B又は102Bにより新たに計測された加速度センサ104Aの向き(方位データ)又は力センサ102Aの向き(方位データ)を取得する度に、方位センサ情報を更新する(ステップS61)。このような動作を続けながら測定待機状態を維持する(ステップS62)、即ち、次のハンマリングを待つ。そして、力センサ(インパルスハンマー)102Aによる打撃を検知したか否かを監視しながら(ステップS63)、打撃を検知しなければ(ステップS63でNo)、センサの移動があれば方位センサ情報を更新する(ステップS61)。新たに力センサ(インパルスハンマー)102Aによる打撃を検知したら(ステップS63でYes)、集録装置106の集録作業を開始し(ステップS64)、集録装置106の集録部106A、集録部106Bそれぞれのデータを集録し(ステップS65)、集録を終了する(ステップS66)。集録装置106の集録部106Aは必要に応じて打撃直前の信号も集録データに含めることができる。一方、モーダル解析システム(分析器ないしソフトウエア)108の整合性自動調整部108Cは、電子コンパス情報取得部108Bから取得した電子コンパス104B及び102Bに関する情報、即ち、加速度センサ104A毎のセンサの向き(方位データ)及び力センサ102Aの向き(方位データ)を用い、集録装置106の集録部106Aから取得した加速度センサ104A及び力センサ102それぞれの集録データ相互の(個々のデータ同士の)整合性を自動的に調整する(ステップS67)。このように自動調整されたデータは、整合性自動調整部108Cからモーダル解析ツール108Aに入力され、この整合性が取れたデータに基づいて、モーダル解析ツール108Aは、周波数解析・変形表示・減衰率推定等の処理を行うことで(ステップS68)、処理結果をデータ保存部108Dに保存する(ステップS69)。
【0027】
以上のように、本実施形態に係るモーダル解析支援装置300によれば、従来は測定者による手作業で入力し記録しなければならなかったセンサの方位データ(各測定ポイントにおけるセンサの感度方向)を自動的に計測し記録するだけでなく、電子コンパス情報を用いてセンサの方位データ(各測定ポイントにおけるセンサの感度方向)の整合性を自動で調整することができる。従って、データ保存部108Dに保存したモーダル解析結果108D1、測定データ108D2及び測定方位情報108D3には、そもそもセンサの向き(感度方向)の取り違えに起因する齟齬が解消されているので、測定者は、データ保存部108Dに保存したモーダル解析結果108D1、測定データ108D2及び測定方位情報108D3を、センサの向き(感度方向)の取り違えに起因する問題を何ら心配することなく、表示手段(ディスプレイ)に表示し、印刷手段(プリンタ)により印刷することで、活用することが可能である。尚、図6に示した例でも、加速度センサ104Aは、図1(b)に示したのと同様の1軸加速度センサであるものとして説明したが、加速度センサとして、複数のセンサ感度方向を持つ多軸1体のセンサの場合でも、1パッケージにつき、1つの方位データを対応づければ良い。
【0028】
ここで、図5に示した本発明の第2の実施形態に係るモーダル解析支援装置の変形例について述べる。図7は、本発明の第2の実施形態に係るモーダル解析支援装置の変形例の構成を示す図である。図7に示す第2の実施形態の変形例の基本的構成は、図5に示した第2の実施形態のものと略同様であるので、同一の部分には同一の参照番号を付して、その説明は省略する。この変形例では、1点をハンマリングして行うモーダル解析を対象としているので、力センサ102側は、方位センサを有していない。このように、1点をハンマリングして行うモーダル解析であれば、力センサ側は、方位センサを省略しても差し支えない。即ち、変形例に係るモーダル解析支援装置400は、図7に示すように、構造体(図1参照)の任意の箇所に所定の方向から力(振動)を加えると共に当該加えられる力の大きさと方向を検出する加力(加振)手段としての力センサ102を有しており、この力センサ102は、図5に示した第2の実施形態のものと異なり、電子コンパスを併せ持っていない。従って、集録装置106の集録部106Bには、電子コンパス104Bにより計測された加速度センサ104A毎のセンサの向き(方位データ)のみが集録される。また、電子コンパス情報取得部108Bは、集録装置106の集録部106Bから電子コンパス104Bによる電子コンパス情報のみを取得する。本変形例に係るモーダル解析支援装置400によっても、図5に示した第2の実施形態のものと同様の作用効果が得られるのは勿論である。
【0029】
以上の実施形態では、センサ方向性認識手段として電子コンパスを用いたが、ジャイロスコープやホール素子等を用いることもできる。また、以上の実施形態では、加力(加振)手段として力センサ(インパルスハンマー)を用いた(実験モーダル解析)が、例えば、工作機械をモーダル解析の対象である構造体とする場合等には、外的な加力(加振)手段を用いなくても、例えば工作機械に内蔵されるモータを駆動することで、構造体に加振するようにしても良い(実稼働モーダル解析)。このようにモータを加力(加振)手段として用いる場合等には、センサ方向性認識手段として、ホール素子等ではなく、電子コンパスを用いることによりモータ内の磁石の影響を受けずに正確なセンサ方向の認識が可能となる。
【0030】
応答関数を用いたモード解析を一部省略し、実際にモータなどが動作したときの変形挙動をそのままもしくは拡大・スロー表示するような実稼働解析装置、およびモード解析にくわえてモータ駆動などで実際に励起される振動の解析も含める実稼働モーダル解析装置にも適用できるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のモーダル解析支援装置は、自動車、家電製品、工作機械、橋、建築物、飛行機等、構造物の種類、用途、大きさ等を問わず、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 構造物、 10A 構造物の打撃箇所、 20 1軸加速度センサ、
20B ケーブル、 30 1軸力センサ(インパルスハンマー)、
20D、30D センサ感度方向、
100、200、300、400 モーダル解析支援装置、 102 力センサ(広義)、 102A 力センサ(狭義)、 104 センサ、 104A 加速度センサ、
102B、104B 電子コンパス、 106 集録装置、
106A 加速度センサ及び力センサ用の集録部、106B 電子コンパス用の集録部、
108 モーダル解析システム、 108A モーダル解析ツール、
108B 電子コンパス情報取得部、 108C 整合性自動調整部、
108D データ保存部、 108D1 モーダル解析結果、 108D2 測定データ、 108D3 測定方位情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7