特許第6392024号(P6392024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392024
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20180910BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20180910BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20180910BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20180910BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20180910BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20180910BHJP
   B01D 53/88 20060101ALI20180910BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   F01N3/20 EZAB
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
   F01N3/28 301P
   F01N3/24 L
   F01N3/28 301E
   B01D53/86 222
   B01D53/88
   B01D53/90
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-164171(P2014-164171)
(22)【出願日】2014年8月12日
(65)【公開番号】特開2016-40449(P2016-40449A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信也
(72)【発明者】
【氏名】平林 浩
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−031970(JP,A)
【文献】 特開2013−139718(JP,A)
【文献】 特開平07−289896(JP,A)
【文献】 特開平06−298676(JP,A)
【文献】 特開2013−059721(JP,A)
【文献】 特開2013−122179(JP,A)
【文献】 特表2013−503284(JP,A)
【文献】 特開2010−144565(JP,A)
【文献】 特表2007−520327(JP,A)
【文献】 特開平09−249414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00 − 3/38
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンに搭載された排気浄化装置であって、
排気通路の途中に位置して排気に含まれる窒素酸化物を還元する還元触媒と、
前記排気の流れる方向において、前記還元触媒よりも上流に位置し、前記排気を加熱する加熱部と、
前記排気の流れる方向において、前記加熱部と前記還元触媒との間に位置し、前記排気に向けて軽油を噴射する触媒添加弁と、を備え、
前記還元触媒は、触媒層と、前記触媒層の全体を覆って前記排気に接する前記還元触媒の表面を形成する吸着層とを備え、
前記触媒層は、触媒としての銀と前記銀を担持する触媒担体とを含み、前記触媒担体がアルミナ、および、ゼオライトのいずれかであり、炭化水素を用いて前記窒素酸化物を還元することで、アンモニアを生成する反応を促し、
前記吸着層は、酸性を有する固体酸金属酸化物を含み、前記触媒層よりも酸量が大きく、前記触媒層にて生成されたアンモニアを吸着し、前記排気に含まれる硫黄酸化物と前記吸着したアンモニアとを接触させる特性を有これによって、前記アンモニアと前記排気に含まれる三酸化硫黄または四酸化硫黄との反応生成物である硫酸アンモニウムを生成し、
前記加熱部は、推定された前記排気に含まれる前記硫黄酸化物の量が所定の量よりも大きいとき、前記硫酸アンモニウムが熱分解する温度まで前記排気の温度を高めて、前記三酸化硫黄または前記四酸化硫黄よりも前記銀との反応性が低い二酸化硫黄を生成し、
前記触媒添加弁は、前記加熱部が前記排気の温度を高めると同時に、前記排気に前記軽油を噴射する
排気浄化装置。
【請求項2】
前記固体酸金属酸化物は多孔質材料であり、
前記吸着層は、前記固体酸金属酸化物で形成された複数の粒子を含み、
前記固体酸金属酸化物の有する複数の孔は、前記孔の直径が、前記炭化水素よりも小さい孔を含む
請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記固体酸金属酸化物が、
アルミナ、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカマグネシア、ゼオライト、および、シリコアルミノフォスフェートから構成される群から選択される少なくとも1つである
請求項1または2に記載の排気浄化装置。
【請求項4】
前記固体酸金属酸化物がチャバサイトである
請求項3に記載の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、排気に含まれる窒素酸化物の量を減らす排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の排気通路には、排気に含まれる窒素酸化物の量を減らす排気浄化装置が搭載されている。例えば、特許文献1に記載されるように、排気浄化装置は、銀を含む還元触媒を備え、還元触媒が炭化水素と窒素酸化物との反応を促すことによって、排気浄化装置は排気に含まれる窒素酸化物の量を減らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−516125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、還元触媒へ流れる排気は、通常、窒素酸化物の他に硫黄酸化物を含んでいる。排気に含まれる硫黄酸化物は、還元触媒に含まれる銀と反応して、銀と硫黄とを含む化合物を還元触媒にて生成する。結果として、還元触媒が炭化水素と窒素酸化物との反応を促す機能が損なわれて、排気に含まれる窒素酸化物の量が減りにくくなる。
【0005】
本開示の技術は、排気に含まれる窒素酸化物の量が減りにくくなることを抑える排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の技術における排気浄化装置の一態様は、排気通路の途中に位置して排気に含まれる窒素酸化物を還元する還元触媒を備える。前記還元触媒は、触媒層と、前記触媒層を覆って前記排気に接する前記還元触媒の表面を形成する吸着層とを備える。前記触媒層は、銀を担持する触媒担体を含み、前記触媒担体がアルミナ、および、ゼオライトのいずれかであり、炭化水素を用いて前記窒素酸化物を還元することで、アンモニアを生成する反応を促す。前記吸着層は、酸性を有する固体酸金属酸化物を含み、前記触媒層よりも酸量が大きく、前記触媒層にて生成されたアンモニアを吸着し、前記排気に含まれる硫黄酸化物と前記吸着したアンモニアとを接触させる特性を有する。
【0007】
本開示の技術における排気浄化装置の一実施形態によれば、触媒層を覆う吸着層が還元触媒の表面を形成するため、排気に含まれる硫黄酸化物が、吸着層が吸着したアンモニアと反応する。これにより、硫黄酸化物が吸着層に吸着されるため、硫黄酸化物が触媒層に接することが抑えられる。結果として、触媒層の機能が損なわれにくくなるため、排気に含まれる窒素酸化物の量が減りにくくなることを抑える。
【0008】
本開示の技術における排気浄化装置の他の態様は、前記固体酸金属酸化物が多孔質材料である。前記吸着層は、前記固体酸金属酸化物で形成された複数の粒体を含み、前記固体酸金属酸化物の有する複数の孔は、前記孔の直径が、前記炭化水素よりも小さい孔を含む。
【0009】
本開示の技術における排気浄化装置の他の態様によれば、炭化水素よりも直径が小さい孔では、アンモニアが孔内へ入ることによって、固体酸金属酸化物に吸着するため、アンモニアの吸着が炭化水素によって妨げられない。それゆえに、吸着層を構成する固体酸金属酸化物では、アンモニアの吸着する確率が高くなる。
【0010】
本開示の技術における排気浄化装置の他の態様は、前記固体酸金属酸化物が、アルミナ、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカマグネシア、ゼオライト、および、シリコアルミノフォスフェートから構成される群から選択される少なくとも1つである。
【0011】
本開示の技術における排気浄化装置の他の態様によれば、固体酸金属酸化物の有する酸点によってNHが吸着される。
本開示の技術における排気浄化装置の他の態様は、前記固体酸金属酸化物が、チャバサイトである。
【0012】
本開示の技術における排気浄化装置の他の態様によれば、固体酸金属酸化物であるチャバサイトの有する酸点によってNHが吸着される。
本開示の技術における排気浄化装置の他の態様は、前記排気の流れる方向における前記還元触媒よりも上流に、前記排気を加熱する加熱部をさらに備える。前記吸着層は、前記アンモニアと前記排気に含まれる三酸化硫黄または四酸化硫黄との反応生成物である硫酸アンモニウムを生成し、前記加熱部は、前記硫酸アンモニウムが熱分解する温度まで前記排気の温度を高めて、前記三酸化硫黄または前記四酸化硫黄よりも前記銀との反応性が低い二酸化硫黄を生成する。
【0013】
本開示の技術における排気浄化装置の他の態様によれば、吸着層に生成された反応生成物が熱分解され、熱分解によって生じる二酸化硫黄は、排気中の三酸化硫黄または四酸化硫黄よりも銀との反応性が低い。そのため、触媒層と銀との反応が抑えられつつ、吸着層が排気中の三酸化硫黄または四酸化硫黄を再び吸着することのできる状態になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】排気浄化装置の一実施形態を排気浄化装置の搭載されるエンジンの概略構成とともに示す概略構成図である。
図2】還元触媒の断面構造を示す断面図である。
図3図2の3−3線における還元触媒の断面構造の一部を示す断面図である。
図4】排気浄化装置の作用を説明するための作用図である。
図5】排気浄化装置の作用を説明するための作用図である。
図6】排気浄化装置の作用を説明するための作用図である。
図7】排気浄化装置の作用を説明するための作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から図7を参照して排気浄化装置の一実施形態を説明する。以下では、排気浄化装置が搭載されるエンジンの概略構成、排気浄化装置が備える還元触媒の構成、排気浄化装置の作用の順に説明する。
【0016】
[エンジンの概略構成]
図1を参照してエンジンの概略構成を説明する。
図1に示されるように、エンジン10のシリンダブロック11は、一列に並んでいる6つのシリンダ11aを有している。シリンダブロック11の近傍には、シリンダ11aの並ぶ方向に延びるコモンレール12が配置され、コモンレール12は、圧力の高められた燃料である軽油を溜める。コモンレール12は、6つの燃料噴射弁13に接続し、各燃料噴射弁13は、相互に異なるシリンダ11aに向けて軽油を噴射する。
【0017】
シリンダブロック11は、シリンダ11aに吸入空気を供給する吸気マニホールド14に接続し、吸気マニホールド14におけるシリンダブロック11とは反対側の端部が、吸入空気の流れる吸気管15に接続している。吸気管15には、吸気管15におけるシリンダブロック11側から順にインタークーラー16と、ターボチャージャー17を構成するコンプレッサー17aとが配置されている。なお、吸気マニホールド14、吸気管15、インタークーラー16、および、コンプレッサー17aが吸気通路を構成し、吸入空気は、吸気管15における吸気マニホールド14とは反対側の端部からシリンダブロック11に向けて流れる。
【0018】
シリンダブロック11は、シリンダブロック11における吸気マニホールド14と向かい合う位置にて、排気マニホールド18に接続している。排気マニホールド18におけるシリンダブロック11とは反対側の端部が、シリンダブロック11から排出された排気の流れる排気管19に接続している。排気マニホールド18および排気管19の各々は、ターボチャージャー17を構成するタービン17bに接続することによって、相互に接続している。
【0019】
エンジン10には、排気に含まれる窒素酸化物(以下、NO)を減らすことによって排気を浄化する排気浄化装置20が搭載されている。排気浄化装置20は、フィルター21、還元触媒22、フィルター添加弁23、触媒添加弁24、燃料タンク25、および、燃料添加ポンプ26を備えている。
【0020】
排気浄化装置20のうち、フィルター21と還元触媒22とが排気管19に配置され、フィルター21が、排気の流れる方向としての流通方向における還元触媒22よりも上流に配置されている。フィルター21および還元触媒22の各々は、筒状に形成された筐体内に配置されている。なお、排気マニホールド18、排気管19、フィルター21の筐体、および、還元触媒22の筐体が排気通路を構成し、排気は、排気マニホールド18から排気管19における排気マニホールド18とは反対側の端部に向けて流れる。
【0021】
フィルター21は、排気に含まれる微粒子の一例である煤、炭化水素、SOF(Solvle Organic Fraction:溶解有機成分)等を捉えることによって排気を浄化し、還元触媒22は、排気に含まれるNOを還元することによって排気に含まれるNOを減らす。
【0022】
フィルター21は、酸化触媒を含み、酸化触媒は、排気中に含まれる燃料を燃焼させる。フィルター21の再生処理、すなわち、フィルター21に捉えられた煤を燃焼させる処理では、フィルター添加弁23が排気に向けて噴射した燃料の燃焼を酸化触媒が促す。これにより、フィルター21の温度が例えば600℃まで高められることによって、フィルター21に捉えられた煤が燃焼する。このとき、フィルター21を流れた排気の温度も高められるため、還元触媒22にも、温度の高められた排気が供給される。フィルター21は、加熱部の一例である。フィルター21は、排気に含まれる微粒子を捉えるため、還元触媒22の機能が微粒子の付着によって損なわれにくくなる。また、フィルター21の含む酸化触媒は、排気中に含まれるNOを還元する機能も有する。
【0023】
フィルター添加弁23は、流通方向におけるフィルター21よりも上流に配置され、排気管19を流れる排気に向けて軽油を噴射する。触媒添加弁24は、流通方向におけるフィルター21と還元触媒22との間に配置され、排気管19を流れる排気に向けて軽油を噴射する。
【0024】
燃料タンク25は、フィルター添加弁23および触媒添加弁24から噴射される軽油を溜める。燃料タンク25は、コモンレール12に接続する燃料タンクでもよいし、コモンレール12に接続する燃料タンクとは異なる燃料タンクでもよい。燃料タンク25は、燃料供給管25aに接続し、燃料供給管25aは、燃料タンク25から各添加弁に向けて延びる途中で、フィルター添加弁23に接続するフィルター管25a1と、触媒添加弁24に接続する触媒管25a2とに分岐している。
【0025】
燃料供給管25aは、2つの管に分岐する位置よりも燃料タンク25側で、燃料添加ポンプ26に接続している。燃料添加ポンプ26は、燃料タンク25内の軽油を所定の吐出圧でフィルター添加弁23および触媒添加弁24に向けて吐出する。燃料添加ポンプ26は、例えば電動式のポンプである。
【0026】
フィルター管25a1には、フィルター管25a1によって形成される燃料通路を開放および閉塞するフィルターバルブ25bが取り付けられ、触媒管25a2には、触媒管25a2によって形成される燃料通路を開放および閉塞する触媒バルブ25cが取り付けられている。
【0027】
フィルターバルブ25bが開いている間にわたって、フィルター管25a1による燃料通路が開放される一方、フィルターバルブ25bが閉じている間にわたって、フィルター管25a1による燃料通路が閉塞される。触媒バルブ25cが開いている間にわたって、触媒管25a2による燃料通路が開放される一方、触媒バルブ25cが閉じている間にわたって、触媒管25a2による燃料通路が閉塞される。
【0028】
排気浄化装置20は、例えば、フィルター21の捉えた煤の量が所定の量以上になると、フィルター21の再生を行う。フィルター21の再生を行うとき、排気浄化装置20は、フィルターバルブ25bを開き、かつ、燃料添加ポンプ26を駆動して、フィルター添加弁23から所定の量の燃料を排気に向けて噴射する。結果として、排気の温度が高められることで、フィルター21に捉えられた煤が燃焼する。また、フィルター21は、フィルター21の再生処理にて、フィルター添加弁23が排気に向けて噴射した燃料の燃焼を酸化触媒が促すのと同時に、NOの還元を促すことが可能である。
【0029】
排気浄化装置20は、例えば、還元触媒の温度が所定の範囲に含まれるとき、還元触媒22でのNOの還元を行う。NOの還元を行うとき、排気浄化装置20は、触媒バルブ25cを開き、かつ、燃料添加ポンプ26を駆動して、触媒添加弁24から所定の量の燃料を排気に向けて噴射する。結果として、還元触媒22が、排気に含まれる炭化水素を用いたNOの還元反応を促す。なお、排気浄化装置20は、フィルター21の再生とNOの還元とを個別に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
【0030】
[還元触媒の構成]
図2および図3を参照して還元触媒22の構成を説明する。なお、図2には、流通方向と直交する面に沿った還元触媒22の断面構造が示されている。また、図3には、図示の便宜上、図2の3−3線に沿った還元触媒22の断面構造のうち、セル壁と、セル壁における流通方向に沿って延びる1つの面に積層された多層触媒52の断面構造とが示されている。
【0031】
図2に示されるように、還元触媒22は、円筒形状を有するモノリス担体51を備えている。モノリス担体51は、流通方向に沿って延びる複数の壁部によって構成されるセル壁51aを有し、セル壁51aにおける流通方向と直交する方向の断面形状は格子状である。モノリス担体51は、セル壁51aによって区画された複数のセル51hを有している。各セル51hは流通方向に沿って延びる孔であり、かつ、各セル51hにおける流通方向とは直交する方向の断面形状は略矩形状である。
【0032】
モノリス担体51の形成材料には、セラミックあるいは金属が用いられる。モノリス担体51の形成材料がセラミックであるとき、形成材料には、例えば、コーディエライト、シリカ、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド、ムライト、ジルコン、アルミナ、および、アルミニウムチタネート等が用いられる。モノリス担体51の形成材料が金属であるとき、形成材料には、例えば、鉄、チタン、ステンレス鋼、および、鉄を主成分とする他の合金等が用いられる。
【0033】
セル壁51aは、各セル51hの内周面を構成する壁部に多層触媒52を有している。多層触媒52は、セル51h内を流れる排気に接する。
図3に示されるように、多層触媒52は、モノリス担体51のセル壁51aを覆う触媒層61と、触媒層61を覆う吸着層62とを有している。吸着層62は、触媒層61を覆うことによって、還元触媒22における排気Exに接する表面22sを形成している。
【0034】
触媒層61は、炭化水素によってNOを還元する反応を促す触媒である。触媒層61は銀、および、銀を担持する触媒担体を含み、触媒担体として、結晶格子中に少なくともアルミニウムを含む金属酸化物を含む。触媒層61は、銀アルミナあるいは銀ゼオライトを含むことが好ましい。触媒層61が銀アルミナを含むとき、触媒層61は、例えば、銀を担持させたγ−アルミナの粒子、および、銀を担持させたθ−アルミナの粒子との少なくとも一方をモノリス担体51にコーティングして構成される。
【0035】
触媒層61が銀ゼオライトを含むとき、触媒層61は、例えば、銀イオンがゼオライトの含む陽イオンと置換したゼオライトの粒子を含む。
触媒層61にて、NOの還元剤として用いられる軽油中の炭化水素は、排気中に含まれる炭化水素、および、フィルター添加弁23と触媒添加弁24との少なくとも一方が排気に添加した炭化水素を含む。炭化水素は、炭素数が10から20であるアルカンを主に含み、直鎖状のアルカンおよび分岐鎖状のアルカンを含む。
【0036】
触媒層61は、NO、炭化水素、および、酸素を用いて、NOを還元する反応を促す。これにより、触媒層61は、排気に含まれるNOを窒素およびアンモニア(以下、NH)に還元することによって、排気に含まれるNOを減らす。すなわち、還元触媒22から出る排気に含まれるNOの量は、還元触媒22に入る排気に含まれるNOの量よりも小さくなる。
【0037】
吸着層62は、触媒層61にて生成されたNHを吸着する。吸着層62は、吸着したNHを用いたNOの還元反応を促す一方で、排気に含まれる硫黄酸化物と吸着したアンモニアとを接触させる特性を有している。吸着層62は、酸性を有する金属酸化物である固体酸金属酸化物を含む。吸着層62は、固体酸金属酸化物の粒子を触媒層61およびモノリス担体51にコーティングして構成される。
【0038】
固体酸金属酸化物は、プロトン(以下、H)を与える酸点であるブレンステッド酸点、および、電子対を受け取る酸点であるルイス酸点の少なくとも一方を有する。
吸着層62を構成する固体酸金属酸化物は、触媒層61を構成する粒子の形成材料と比べて、酸点の量である酸量が大きい。これにより、触媒層61で生成されたNHが吸着層62の酸点に吸着する確率が高くなる。そのため、触媒層61で生成されたNHは、吸着層62の酸点に吸着しやすくなる。
【0039】
吸着層62の固体酸金属酸化物は、金属酸化物、複合金属酸化物、ゼオライト、および、シリコアルミノフォスフェート(以下、SAPO)の少なくとも1つを含む。金属酸化物としては、例えば、アルミナが好ましい。複合金属酸化物としては、例えば、シリカアルミナ、シリカチタニア、および、シリカマグネシアのいずれかが好ましい。すなわち、固体金属酸化物は、アルミナ、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカマグネシア、ゼオライト、および、SAPOから構成される群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0040】
ゼオライトは、以下の一般式Aよって示される結晶性のアルミノケイ酸塩である。
(M,M1/2(AlSi2(m+n))・O…(A)
なお、Mは、例えば、Li、Na、および、K等であり、Mは、例えば、Ca2+、Mg2+、および、Ba2+等である。ゼオライトは、例えば、チャバサイト構造を有するものが好ましく、チャバサイトがさらに好ましい。
【0041】
SAPOは、リン酸アルミニウム(AlPO)に含まれるアルミニウムおよびリン酸の一部が、シリコンで置換された結晶性の物質である。SAPOは、ゼオライト型の結晶構造を有してもよいし、ゼオライトには存在しない結晶構造を有してもよい。
【0042】
結晶格子中にシリコンとアルミニウムとを含む金属酸化物、すなわち、シリカアルミナ、ゼオライト、および、SAPOでは、シリカアルミナ比が結晶の特性である耐熱性、および、NHの吸着性に相関を有している。シリカアルミナ比は、結晶格子中に含まれるアルミニウムに対するシリコンの比、すなわち、Si/Alである。シリコンとアルミニウムとを含む金属酸化物は、シリカアルミナ比が高いほど高い耐熱性を示す一方、シリカアルミナ比が低いほど高い吸着性を示す。そのため、シリカアルミナ比は、排気中にて金属酸化物が安定に保たれる値であって、かつ、NHの吸着性を最も高くする値に設定されることが好ましい。
【0043】
アルミナは、比表面積の高いγアルミナであることが好ましい。アルミナでは、結晶格子中のアルミニウムが有する負電荷を中和するために、結晶格子を形成する酸素原子の一部が水酸基を形成している。また、アルミナには、結合が不連続であることにより正電荷を有する原子や負電荷を有する原子が含まれる。アルミナの水酸基や電荷を有する原子が酸点として機能することにより、NHが吸着層62に吸着される。
【0044】
金属酸化物では、アルミナと同様に、水酸基や電荷を有する原子が酸点として機能するため、NHが吸着層62に吸着される。
ゼオライトおよびSAPOでは、アルミナと同様に、水酸基や電荷を有する原子が酸点として機能するため、NHが吸着層62に吸着される。
【0045】
固体金属酸化物は、多孔質材料であり、固体金属酸化物が有する孔の直径である孔径は、NHの分子よりも大きく、かつ、軽油中に含まれる炭化水素の分子よりも小さいことが好ましい。なお、固体金属酸化物の孔径がNHの分子よりも大きいとは、NHの分子が、固体金属酸化物の有する孔に進入することができる状態のことである。また、固体金属酸化物の孔径が炭化水素の分子よりも小さいとは、炭化水素の分子が、固体金属酸化物の有する孔に進入することができない状態のことである。
【0046】
これにより、NHが固体金属酸化物の孔中に進入する一方、炭化水素は固体金属酸化物の孔中に進入しない。そのため、NHが固体金属酸化物に吸着される一方、炭化水素は複数の固体金属酸化物の粒子の間に形成された隙間を通って触媒層61に到達する。それゆえに、NHが吸着層62に吸着され、かつ、炭化水素は、吸着層62に形成された隙間を通って触媒層61に到達することで、吸着層62がNHを吸着しにくくなることが抑えられる。加えて、炭化水素が触媒層61に到達するため、炭化水素を用いたNOの還元反応が起こりやすくなる。
【0047】
固体金属酸化物の孔径は、3Å以上10Å以下であることが好ましく、3Å以上6Å以下であることが好ましい。そのため、固体金属酸化物は、チャバサイト構造を有するSAPO−34、および、チャバサイトに類似した構造を有するSAPO−47であることが好ましい。
【0048】
[排気浄化装置の作用]
図4から図7を参照して排気浄化装置20の作用を説明する。なお、図4から図7では、多層触媒52が形成されるモノリス担体51の図示が省略されている。
【0049】
図4に示されるように、例えば、触媒添加弁24が排気に向けて軽油を噴射するとき、排気に含まれる炭化水素(HC)、NO、および、酸素(O)が、吸着層62を通って触媒層61に到達する。すなわち、吸着層62を構成する固体酸金属酸化物の粒子の隙間、あるいは、固体酸金属酸化物の粒子が有する孔の隙間を通って、炭化水素、NO、および、酸素が触媒層61に到達する。特に、炭化水素は、固体酸金属酸化物の粒子の間の隙間を通って触媒層61に到達する。これにより、触媒層61にてNOが還元されることで、NおよびNHが生成される。
【0050】
図5に示されるように、触媒層61にて生成されたNHが、吸着層62の有する酸点によって触媒層61に吸着される。例えば、NHが触媒層61の有するブレンステッド酸点によって吸着されるとき、以下の反応式1によって示される反応が生じる。
NH+H→NH…(1)
図6に示されるように、排気に含まれる硫黄酸化物(SO)、例えば、三酸化硫黄が吸着層62に到達すると、吸着層62に吸着されたNHと三酸化硫黄とによる反応、すなわち、以下の反応式2で示される反応が吸着層62にて生じる。
2NH+SO+HO→(NHSO…(2)
このように、還元触媒22の表面22sがNHを吸着する吸着層62によって形成されているため、還元触媒22に供給された排気に含まれる硫黄酸化物は、まず、吸着層62に接する。そして、硫黄酸化物、例えば、三酸化硫黄がNHと反応して反応生成物である硫酸アンモニウムを生成することで、硫黄酸化物が吸着層62に捕らえられる。それゆえに、還元触媒22に供給された硫黄酸化物が吸着層62を通過して触媒層61に到達することが抑えられ、触媒層61に含まれる銀が硫黄酸化物と反応することが抑えられる。
【0051】
しかも、吸着層62は、NHを用いてNOを還元する反応を促す一方、吸着層62が吸着したNHは、排気に含まれるNOよりも強酸である硫黄酸化物と反応する。それゆえに、吸着層62がNHを用いてNOを還元する反応を促す構成と比べて、触媒層61が排気に含まれる硫黄酸化物と接しにくくなる。なお、硫黄酸化物には、上述した三酸化硫黄だけでなく四酸化硫黄も含まれる。
【0052】
図7に示されるように、フィルター添加弁23が排気に向けて軽油を噴射するとき、フィルター21の温度が高められることによって、還元触媒22に供給される排気の温度が、例えば、400℃以上の温度に高められる。これにより、吸着層62に捕らえられた硫酸アンモニウムが熱分解されることによって、NH、二酸化硫黄、窒素、および、水が生じる。
【0053】
硫酸アンモニウムが分解されることによって、吸着層62は新たにNHを吸着することが可能になる。なお、硫酸アンモニウムの分解によって、硫黄酸化物である二酸化硫黄が生成される。しかしながら、二酸化硫黄は、上述した三酸化硫黄等よりも銀に対する反応性が低いため、二酸化硫黄と銀とによる化合物が生成されにくい。すなわち、排気には、硫酸アンモニウムの分解によって生じる二酸化硫黄よりも銀に対する反応性が高い硫黄酸化物が含まれるため、硫酸アンモニウムの熱分解によって二酸化硫黄が生成されても、銀が硫黄を含む化合物を生成しにくくなる。
【0054】
以上説明したように、一実施形態の排気浄化装置によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)触媒層61を覆う吸着層62が還元触媒22の表面22sを形成するため、排気に含まれる硫黄酸化物が、吸着層62が吸着したアンモニアと反応する。これにより、硫黄酸化物が吸着層62に吸着されるため、硫黄酸化物が触媒層61に接することが抑えられる。結果として、触媒層61の機能が損なわれにくくなるため、排気に含まれるNOの量が減りにくくなることが抑えられる。
【0055】
(2)炭化水素の分子よりも直径が小さい孔では、NHの吸着が炭化水素によって妨げられない。それゆえに、吸着層62を構成する固体酸金属酸化物では、NHの吸着する確率が高くなる。
【0056】
(3)炭化水素のほとんどが、吸着層62に含まれる複数の粒子の間に形成された隙間を通過することによって触媒層61に到達する。そのため、吸着層62がNHを吸着する確率が高められ、かつ、NOの還元に用いられる炭化水素が触媒層61に確実に供給される。
【0057】
(4)固体酸金属酸化物が、アルミナ、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカマグネシア、ゼオライト、および、シリコアルミノフォスフェートから構成される群から選択される少なくとも1つであるため、固体酸金属酸化物の有する酸点によってNHが吸着される。なお、ゼオライトのうちチャバサイトであることが好ましい。
【0058】
(5)吸着層62に生成された反応生成物が熱分解されることで、排気よりも銀との反応性が低い硫黄酸化物が放出される。そのため、触媒層61と銀との反応が抑えられつつ、吸着層62が排気中の硫黄酸化物を再び吸着することのできる状態になる。
【0059】
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・排気の流通方向における還元触媒22の上流には、加熱部の一例としてフィルター21が配置されている。これに限らず、加熱部は、例えば、バーナーであってもよいし、フィルター21とは別に排気浄化装置20が搭載する酸化触媒でもよい。要は、加熱部は、流通方向における還元触媒22の上流にて、排気の温度を高めることのできるものであればよく、こうした構成によっても、上記(5)に準じた効果を得ることができる。
【0060】
・フィルター21は省略されてもよく、こうした構成であっても、排気が還元触媒22の温度を高めることによって、還元触媒22の硫化アンモニウムが少なからず熱分解する。
【0061】
・吸着層62に含まれる固体酸金属酸化物は、アルミナ、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカマグネシア、ゼオライト、および、SAPO以外の固体酸金属酸化物であってもよい。要は、ブレンステッド酸点、および、ルイス酸点の少なくとも1つを有し、触媒層61よりも酸量の大きい材料であればよい。
【0062】
・吸着層62に含まれる固体酸金属酸化物の有する複数の孔のうち、すべての孔の孔径が、NHの分子よりも大きく、かつ、炭化水素の分子よりも小さくなくともよい。例えば、複数の孔の少なくとも一部にて、孔径が、NHの分子よりも大きく、かつ、炭化水素の分子よりも大きくてもよい。こうした構成であっても、吸着層62を構成する固体金属酸化物の少なくとも一部では、上記(3)に準じた効果を得ることが可能である。
【0063】
・固体酸金属酸化物の有する複数の孔では、孔径が、NHの分子以下であってもよい。こうした構成であっても、少なくとも固体酸金属酸化物の粒子の表面に形成された酸点には、NHが吸着されるため、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0064】
・固体酸金属酸化物の有する複数の孔では、孔径が、炭化水素の分子以上であってもよい。こうした構成であっても、固体酸金属酸化物が酸点を有する以上、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0065】
・触媒層61を構成する金属酸化物の孔の孔径は、吸着層62を構成する固体酸金属酸化物の孔の孔径以下であってもよい。こうした構成であっても、少なくとも触媒層61の表面に存在する銀イオンは、炭化水素が窒素酸化物を還元する反応を促すため、触媒層61では少なからず窒素酸化物が還元される。
【0066】
・ゼオライトおよびSAPOは、アルカリ金属、例えば、NaがHに置換されたプロトン置換型のゼオライトおよびSAPOを含んでもよい。こうした構成であっても、プロトン置換型のゼオライトおよびSAPOは、HによってNHを吸着する。ゼオライトおよびSAPOは、アルカリ金属が、多価の陽イオンに置換された陽イオン置換型ゼオライトおよびSAPOを含んでもよい。この場合、陽イオンは、吸着層62にNHを用いたNOの還元反応を促す機能を与えない多価イオンであることが好ましい。陽イオン置換型のゼオライトおよびSAPOでは、多価の陽イオンにおける正電荷を中和するために水酸基が結合する場合がある。そして、こうした構成であっても、水酸基がNHに対してHを与える酸点として機能するため、NHが吸着層62に吸着される。
【0067】
・ゼオライトおよびSAPOは、プロトン型のゼオライトおよびSAPOを含んでもよい。この場合、プロトン型のゼオライトおよびSAPOは、孔内の一価の陽イオン、例えば、NaがNHに置換された後、焼成されることによって生成される。こうした構成であっても、プロトン型のゼオライトおよびSAPOは、結晶格子を形成する酸素の一部に水素が結合した水酸基を有し、水酸基がHを与える酸点として機能する。
【0068】
・還元触媒22の備えているモノリス担体51は、円筒形状に限らず、例えば、直方体形状等の多角筒状であってもよい。また、セル51hの断面形状は、矩形状に限らず、例えば、台形状、正方形状、シヌソイド状、六角形状、楕円状、および、円形状等であってもよい。
【0069】
・還元触媒22は、モノリス担体51を備えた構成ではなく、担体としてペレット状の担体、あるいは、プレート状の担体を備える構成でもよい。こうした構成であっても、還元触媒22の備える吸着層62が、触媒層61を覆い、かつ、排気に接する表面を形成する構成であれば、上記(1)に準じた効果を得ることができる。
【0070】
・排気浄化装置20は、フィルター添加弁23を備えていなくともよい。こうした構成であっても、例えば、燃料噴射弁13から噴射された燃料が排気管19まで流れる条件にて、燃料が燃料噴射弁13からシリンダ11aに向けて噴射されればよい。これにより、フィルター21の再生処理が、燃料噴射弁13から噴射された燃料によって行われる。
【0071】
・排気浄化装置20は、フィルター添加弁23と触媒添加弁24との両方を備えていなくともよい。こうした構成では、燃料噴射弁13から噴射された燃料が排気管19まで流れる条件にて、燃料が燃料噴射弁13からシリンダ11aに向けて噴射されればよい。これにより、フィルター21の再生処理、および、還元触媒22でのNOの還元が、燃料噴射弁13から噴射された燃料によって行われる。
【0072】
・排気浄化装置20は、フィルター21の再生を行うとき、フィルター添加弁23から排気に燃料を噴射して、フィルター21の温度を高める。これに限らず、排気浄化装置20は、例えば、エンジン10の運転状態から排気に含まれる硫黄酸化物の量を推定し、推定される硫黄酸化物の量が所定の量よりも大きいとき、還元触媒22に供給される排気の温度を高める目的でフィルター添加弁23から排気に燃料を噴射してもよい。こうした構成によれば、吸着層62に吸着された硫酸アンモニウムが分解されて、吸着層62が新たな硫黄酸化物を吸着できるため、銀が硫黄酸化物と反応することが抑えられる。なお、硫黄酸化物の量が所定の量よりも大きいときには、硫黄酸化物と反応るNを生成するために、触媒添加弁24からも同時に燃料が噴射されることが好ましい。
【0073】
上述の実施形態から把握される技術的思想について追記する。
(付記1)
前記複数の孔の各々の直径が、
前記アンモニアよりも大きく、かつ、前記炭化水素よりも小さい
請求項2に記載の排気浄化装置。
【0074】
こうした構成によれば、炭化水素のほとんどが、吸着層に含まれる複数の粒子の間に形成された隙間を通過することによって触媒層に到達する。そのため、吸着層がアンモニアを吸着しやすくなり、かつ、窒素酸化物の還元に用いられる炭化水素が触媒層に確実に供給される。
【0075】
(付記2)
前記加熱部は、
前記排気中の微粒子を捉えるフィルターである
請求項5に記載の排気浄化装置。
【0076】
こうした構成によれば、還元触媒は、フィルターによって微粒子の少なくとも一部が取り除かれた排気に接する。これにより、還元触媒に微粒子が付着しにくくなるため、還元触媒の機能が、微粒子の付着によって損なわれにくくなる。それゆえに、排気に含まれる窒素酸化物の量が減りにくくなることが抑えられる。
【符号の説明】
【0077】
10…エンジン、11…シリンダブロック、11a…シリンダ、12…コモンレール、13…燃料噴射弁、14…吸気マニホールド、15…吸気管、16…インタークーラー、17…ターボチャージャー、17a…コンプレッサー、17b…タービン、18…排気マニホールド、19…排気管、20…排気浄化装置、21…フィルター、22…還元触媒、22s…表面、23…フィルター添加弁、24…触媒添加弁、25…燃料タンク、25a…燃料供給管、25a1…フィルター管、25a2…触媒管、25b…フィルターバルブ、25c…触媒バルブ、26…燃料添加ポンプ、51…モノリス担体、51a…セル壁、51h…セル、52…多層触媒、61…触媒層、62…吸着層、Ex…排気。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7