特許第6392025号(P6392025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392025
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20180910BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   F24F7/08 101N
   F24F7/08 101B
   F24F7/007 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-164515(P2014-164515)
(22)【出願日】2014年8月12日
(65)【公開番号】特開2016-40502(P2016-40502A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】澤村 亮一
【審査官】 関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−052691(JP,A)
【文献】 特開平11−014093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外側に配置される屋外側給気口と屋内側に配置される屋内側給気口とを結ぶ給気経路と、
前記給気経路に配置され且つ外気を屋内側に送る給気送風機と、
屋内側に配置される屋内側排気口と屋外側に配置される屋外側排気口とを結ぶ排気経路と、
前記排気経路に配置され且つ屋内側の空気を屋外側に送る排気送風機と、
前記給気経路及び前記排気経路に配置され且つ前記給気経路を流通する給気と前記排気経路を流通する排気との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記排気経路の前記熱交換器よりも上流側に配置され且つ排気に含まれる塵埃を捕集するフィルタと、
前記排気経路の前記フィルタよりも上流側と、前記排気経路の前記熱交換器よりも下流側とを結び、前記排気経路と壁面を隔てて形成されるバイパス経路と、
前記熱交換器と前記フィルタとの間に介装され、前記バイパス経路に対し平行にスライドすることにより、前記排気経路と前記バイパス経路とを切り替える切替手段と、
を備える換気装置。
【請求項2】
前記フィルタの前記屋内側排気口側の面に配置され、前記フィルタに付着した塵埃を除去する塵埃除去手段を更に有する請求項1記載の換気装置。
【請求項3】
前記バイパス経路の入口は、前記フィルタの面方向に向かって開口する請求項1又は2記載の換気装置。
【請求項4】
前記切替手段は、前記熱交換器を介した排気を所定時間実行した後に、前記バイパス経路を介した排気に切り替える請求項1〜3いずれかに記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅に屋内の環境を改善するための換気装置が設けられる。また、空調機の使用電力の削減や快適な居住環境の提供をするために、給気と排気との間で熱交換を行う熱交換器を備えた換気装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、換気装置の給気経路や排気経路の入口には塵埃を補集するためのフィルタが配置される場合がある。給気経路の入口にフィルタを配置する場合、捕集された塵埃は屋外側に排出される(例えば、特許文献2参照)。特に、熱交換器を備えた換気装置においては、熱交換性能をできるだけ長く維持するために、給気経路及び排気経路の熱交換器よりも上流側(入口側)において塵埃を補集し、排気経路内に塵埃が混入することを防ぐことが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−231973号公報
【特許文献2】特開2012−166182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、熱交換器を備えた換気装置において、排気経路の入口に塵埃を補集するためのフィルタを配置したとしても、排気経路のフィルタよりも下流側に熱交換器が配置されるので、捕集された塵埃を屋外に排出することは困難である。補集された塵埃が屋外に排出されないと、換気装置の熱交換性能が低下してしまう場合がある。
【0006】
本発明は、熱交換性能が低下してしまうのを抑えることができる、熱交換器を備えた換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、屋外側に配置される屋外側給気口(例えば、後述の屋外側給気口21)と屋内側に配置される屋内側給気口(例えば、後述の屋内側給気口22)とを結ぶ給気経路(例えば、後述の給気経路20)と、前記給気経路に配置され且つ外気を屋内側に送る給気送風機(例えば、後述の給気送風機2)と、屋内側に配置される屋内側排気口(例えば、後述の屋内側排気口31)と屋外側に配置される屋外側排気口(例えば、後述の屋外側排気口32)とを結ぶ排気経路(例えば、後述の排気経路30)と、前記排気経路に配置され且つ屋内側の空気を屋外側に送る排気送風機(例えば、後述の排気送風機3)と、前記給気経路及び前記排気経路に配置され且つ前記給気経路を流通する給気と前記排気経路を流通する排気との間で熱交換を行う熱交換器(例えば、後述の熱交換器5)と、前記排気経路の前記熱交換器よりも上流側に配置され且つ排気に含まれる塵埃を捕集するフィルタ(例えば、後述の排気フィルタ42)と、前記排気経路の前記フィルタよりも上流側と、前記排気経路の前記熱交換器よりも下流側と、を結ぶバイパス経路(例えば、後述のバイパス経路9)と、を備える換気装置(例えば、後述の換気装置1)に関する。
【0008】
これにより、排気経路の屋内側排気口側で捕集した塵埃を、熱交換器を通すことなく、バイパス経路を通じて円滑に屋外側に排出することができる。従って、熱交換器を備えた換気装置において、熱交換性能が低下してしまうのを抑えることができる。
【0009】
また、前記フィルタの前記屋内側排気口側の面に配置され、前記フィルタに付着した塵埃を除去する塵埃除去手段(例えば、後述のフィン24a)を更に有することが好ましい。
【0010】
また、前記バイパス経路の入口(例えば、後述のバイパス入口91)は、前記フィルタの面方向に向かって開口することが好ましい。
【0011】
また、前記熱交換器を介した排気と、前記バイパス経路を介した排気と、を切り替える切替手段(例えば、後述のダンパ100)を更に備え、前記切替手段は、前記熱交換器を介した排気を所定時間実行した後に、前記バイパス経路を介した排気に切り替えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱交換器を備えた換気装置において、排気経路の屋内側排気口側で捕集した塵埃を、熱交換器を通すことなく円滑に屋外側に排出することができる。従って、熱交換性能が低下してしまうのを抑えることができる、熱交換器を備えた換気装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る換気装置の使用状態を示す図である。
図2】上記実施形態に係る換気装置の斜視図である。
図3A】上記実施形態に係る換気装置における、排気フィルタ及びダンパの周辺を示した拡大断面図である。
図3B】上記実施形態に係る換気装置における、排気フィルタ及びダンパの周辺を示した拡大断面図である。
図4A】上記実施形態に係る換気装置における、排気フィルタ及びダンパを示した底面図である。
図4B】上記実施形態に係る換気装置における、排気フィルタ及びダンパを示した底面図である。
図5】上記実施形態に係る換気装置の制御部の構成を表す機能ブロック図である。
図6】上記実施形態に係る換気装置の通常運転モードについて示す模式図である。
図7】上記実施形態に係る換気装置のお掃除モード(排気フィルタ清掃モード)での動作について示す模式図である。
図8】上記実施形態に係る換気装置のお掃除モード(給気フィルタ清掃モード)での動作について示す模式図である。
図9】上記実施形態に係る換気装置の制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
図10】上記実施形態に係る換気装置のお掃除モードでの制御手順の詳細を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る換気装置1の使用状態を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る換気装置1は、室内の壁面の上部等に取り付けられ、建物の屋外と屋内の間で空気を給排気して換気を行うダクトレス式の換気装置である。
【0015】
図2は、換気装置1の斜視図である。図2に示すように、換気装置1は、ハウジング10と、給気経路20と、給気送風機2と、排気経路30と、排気送風機3と、熱交換器5と、バイパス経路9と、を備える。
また、換気装置1は、給気フィルタ41と、排気フィルタ42と、給気フィルタ移動装置8と、ダンパ100と、制御装置(図示せず)と、を備える。
【0016】
ハウジング10は、略直方体状に形成されている。ハウジング10の背面は平坦に形成され、室内の壁面等に当接する。ハウジング10は、背面の一端側において、屋外から屋内に通じる配管11と接続される。ハウジング10は、後述する各経路及び部材をその内部に収容する。
【0017】
給気経路20は、屋外側に配置される屋外側給気口21と、屋内側に配置される屋内側給気口22と、を結ぶ。屋外側給気口21は、配管11に位置し、屋内側給気口22は、ハウジング10の正面側の上端部に位置する。
【0018】
排気経路30は、屋内側に配置される屋内側排気口31と、屋外側に配置される屋外側排気口32と、を結ぶ。屋内側排気口31は、ハウジング10の正面側の下端部に位置し、屋外側排気口32は、配管11に位置する。
【0019】
ここで、屋外側給気口21及び屋外側排気口32は、配管11の内部が上下に仕切られることで形成されている。即ち、円管の配管11の断面視における下側の半円部分により屋外側給気口21が構成され、上側の半円部分により屋外側排気口32が構成される。
【0020】
熱交換器5は、給気経路20及び排気経路30に配置される。熱交換器5は、給気経路20を流通する給気と排気経路30を流通する排気との間で熱交換を行う。熱交換器5は、全熱(顕熱及び潜熱)を交換することが可能な長方形の全熱交換シートが、当該全熱交換シートの短手方向に延びる複数のリブを介在させて積層されることで、直方体状に形成される。この全熱交換シートは、例えば紙からなる。熱交換器5の内部において、給気経路20及び排気経路30は、全熱交換シートを介して、全熱交換シートの積層方向に交互に独立して形成される。
【0021】
また、熱交換器5は、長手方向の一端側の上部に形成される給気流入口51と、他端側の側面に形成される給気流出口52と、他端側の下部に形成される排気流入口53と、一端側の側面に形成される排気流出口54と、を有する。熱交換器5内における給気流入口51と給気流出口52とを結ぶ流路は、給気経路20の一部を構成する。同様に、熱交換器5内における排気流入口53と排気流出口54とを結ぶ流路は、排気経路30の一部を構成する。これにより、給気経路20における給気の流れと排気経路30における排気の流れとは、対向流となる。
【0022】
給気送風機2は、給気経路20の終端側に配置されて、外気を屋内側に送る。給気送風機2は、給気経路20の熱交換器5よりも下流側に配置される。給気送風機2は、モータ2aと、モータ2aに接続され且つ給気流出口52と対向して配置される多翼羽根車2bと、を備える遠心送風機である。
【0023】
排気送風機3は、排気経路30の終端側に配置されて、屋内側の空気を屋外側に送る。排気送風機3は、排気経路30の熱交換器5よりも下流側に配置される。排気送風機3は、モータ3aと、モータ3aに接続され且つ排気流出口54と対向して配置される多翼羽根車3bと、を備える遠心送風機である。
【0024】
給気フィルタ41は、給気経路20の熱交換器5よりも上流側の屋外側給気口21近傍に配置される。給気フィルタ80は、給気に含まれる塵埃を捕集する。
給気フィルタ41は、環状であり、径方向に延びる軸により半分に分割されている。給気フィルタ41は、分割された一方の半円側に配置される網部410を有する。給気フィルタ41は、網部410により、塵埃の通過を防止する。
給気フィルタ41は、屋外側給気口21及び屋外側排気口32に跨って配置される。給気フィルタ41は、外周に沿って溝411が形成されている。
【0025】
給気フィルタ移動装置8は、モータ81を有する。モータ81は、溝411と噛み合うギア82が接続される。給気フィルタ41は、モータ81を動力源として回転する。また、給気フィルタ41は、モータ44を振動させることで、連動して振動する。給気フィルタ41は、給気フィルタ移動装置8(モータ81)を介して後述の制御部によって制御される。
【0026】
排気フィルタ42は、排気経路30の熱交換器5よりも上流側の屋内側排気口31近傍に配置される。排気フィルタ42は、排気に含まれる塵埃を捕集する。排気フィルタ42については後段で詳述する。
【0027】
バイパス経路9は、排気経路30の排気フィルタ42よりも上流側に位置するバイパス入口91と、排気経路30の熱交換器5よりも下流側に位置するバイパス出口92と、を結ぶ。バイパス経路9は、排気フィルタ42の捕集された塵埃を除去する際に、排気を熱交換器5に流通させることなくバイパスする。バイパス入口91は、排気フィルタ42の周縁に位置し、排気フィルタ42の面方向に向かって開口する。バイパス出口92は、排気流出口54と多翼羽根車3bとの間に位置し、多翼羽根車3bの軸と直交する方向に向かって開口する。
【0028】
ダンパ100は、熱交換器5を介した排気と、バイパス経路9を介した排気と、を切り替える。ダンパ100については、後段で詳述する。
図3A及び図3Bは、排気フィルタ42及びダンパ100の周辺を示した図であり、排気経路30からバイパス経路9が分岐した部分を図2の矢視Xから視た拡大断面図である。図3Aは、熱交換器5を介した排気の状態であり、図3Bは、バイパス経路9を介した排気の状態である。
図4A及び図4Bは、排気フィルタ42及びダンパ100を下側(図3A及び図3Bの矢視Y)から視た図である。図4Aは、熱交換器5を介した排気の状態であり、図4Bは、バイパス経路9を介した排気の状態である。
【0029】
図4A及び図4Bに示すように、ダンパ100は矩形板状の部材であり、バイパス経路9の下流側の端部が下方向に屈曲している。図3Aに示すように、ダンパ100は、上下方向から挟持部材23によって挟持される。ダンパ100は、屈曲している側の先端がバイパス経路9の壁面を形成するバイパス経路形成部材93の下側から膨出した膨出部93aと当接することで、バイパス経路9を閉鎖する。一方、図3Bに示すように、ダンパ100は、水平方向にシフトして。排気フィルタ42と熱交換器5との間に配置されることで、排気経路30を閉鎖する。この際に、ダンパ100の屈曲している側の先端は、膨出部93aから離隔されており、バイパス経路9は開通する。
【0030】
図3A及び図3Bに示すように、排気フィルタ42は、挟持部材23と排気経路30の壁面を形成する排気経路形成部材24との間に配置される。排気経路形成部材24には、排気フィルタ42の配置される部分に排気の流通する開口が形成される。排気フィルタ42は、周縁において挟持部材23及び排気経路形成部材24とそれぞれ嵌合する。排気経路形成部材24は、排気フィルタ42と水平方向において重複するように配置される塵埃除去手段としてのフィン24aを有する。フィン24aは、棒状であり、排気経路形成部材24の開口を、ダンパ100のシフトする方向(図3A及び図3Bの左右方向)に横断する。フィン24aは、上端部が排気フィルタ42の屋内側排気口31側の面(後述する網部420)に近接して配置される。
【0031】
図4A及び図4Bに示すように、排気フィルタ42は、環状であり、径方向に延びる複数の軸により6等分されている。なお、図4A及び図4Bには、排気経路形成部材24(図3A及び図3B)は示されていない。排気フィルタ42は、前面(下側面)に配置される網部420を有する。排気フィルタ42は、網部420により、塵埃の通過を防止する。排気フィルタ42は、外周に沿って溝421が形成されている。溝421は、モータ61に接続されたギア61aと噛み合う。このような構造によって、排気フィルタ42は、モータ61を動力源として回転する。排気フィルタ42が回転することにより、フィン24aが網部420に対して相対的に回転する。排気フィルタ42は、モータ61を介して後述の制御部によって制御される。
【0032】
図4A及び図4Bに示すように、ダンパ100は、換気装置1の背面側の端部に溝100aが形成されている。この溝100aは、モータ62に接続されたギア62aと噛み合う。このような構造によって、ダンパ100は水平方向に移動して排気の経路を切り替える。ダンパ100は、モータ62を介して後述の制御部によって制御される。
【0033】
図5は、換気装置1の制御部301の構成を表す機能ブロック図である。
図5の制御部301はCPU304を主体とする回路で構成され、各種の制御のタイミングをはかるためのタイマ305の出力がCPU304に入力される。
この制御部301からは、次のような各制御出力が発せられる:
(a)給気モータ制御出力:給気送風機2の動力源であるモータ2aを制御する出力
(b)排気モータ制御出力:排気送風機3の動力源であるモータ3aを制御する出力
(c)給気フィルタアクチュエータ制御出力:お掃除モード時に、通常は給気入口の位置にある給気フィルタ41を排気に晒す位置に転換させる給気フィルタクチュエータを制御する出力
(d)内気流路切換制御出力:排気フィルタ42下流の流路をバイパス側に切換える出力
(e)排気フィルタ制御出力:排気フィルタ42を回転させる出力
【0034】
続いて、本実施形態に係る換気装置1の動作(運転モード)について説明する。換気装置1は、複数の運転モードを有する。図6は、換気装置1の運転モードのうち、通常運転モードについて示す模式図である。図7及び図8は、換気装置1の運転モードのうち、お掃除モードについて示す模式図である。特に、図7は、お掃除モードのうちの排気フィルタ清掃モードについて示す図であり、図8は、お掃除モードのうちの給気フィルタ清掃モードについて示す図である。
【0035】
図6に示すように、通常運転モードでは、給気送風機2及び排気送風機3の両方が運転する。給気は、屋外側給気口21から給気経路20に導入され、屋内側給気口22から屋内に供給される。一方、排気は、屋内側排気口31から排気経路30に導入されて、屋外側排気口32から屋外に排出される。なお、この際に、ダンパ100は、バイパス経路9を閉鎖する。通常運転モードでは熱交換器5において、給気経路20を流通する給気と排気経路30を流通する排気との間で熱交換が行われる。この熱交換によって、屋内の温度及び湿度が一定に保たれる。
【0036】
通常運転モードを継続することにより、給気フィルタ41の網部410の屋外側給気口21側の表面に塵埃Dが捕集される。一方、排気フィルタ42の網部420の屋内側排気口31側の表面にも塵埃Dが捕集される。
【0037】
図7に示すように、排気フィルタ清掃モードでは、排気送風機3のみ運転する。排気フィルタ清掃モードでは、ダンパ100は、排気フィルタ42の上流側において排気経路30を閉鎖し、バイパス経路9を開放する。排気フィルタ清掃モードにおいて、排気は、バイパス経路9を流通することで熱交換器5をバイパスして、屋外側排気口32から屋外に排出される。
【0038】
排気フィルタ清掃モードを継続することにより、通常運転モードで排気フィルタ42の捕集した塵埃Dは、バイパス経路を経由して屋外側に排出される。この際に、給気フィルタ41の屋外側排気口32側には網部410が配置されないので、塵埃Dを屋外に排出することが可能になる。
【0039】
図8に示すように、給気フィルタ清掃モードでは、排気送風機3は運転するが、給気送風機2は運転しない。通常運転モードでは給気の入口(屋外側給気口21)に位置した給気フィルタ41の網部410が、給気フィルタ清掃モードでは、排気の出口(屋外側排気口32)に転換して配置される。
【0040】
給気フィルタ清掃モードでは、通常運転モードで給気フィルタ41の捕集した塵埃Dは、排気経路30の給気フィルタ41のよりも下流側に位置することになる。従って、給気フィルタ清掃モードでは給気フィルタ41の捕集した塵埃Dを屋外に排出することができる。
【0041】
図9は、換気装置1の制御部301の動作を説明するためのフローチャートである。
動作が開始すると、まず通常運転モードの運転時間(運転持続時間)に関するタイマの計時値Tが読込まれる(ステップS401)。次いで、タイマの計時値Tが、お掃除モード運転を実行する時間間隔としての既定値Tsと比較される(ステップS402)。
運転持続時間であるタイマの計時値Tが既定値Ts以上に至っていないときには(ステップS404:NO)、通常運転モードが持続される。一方、タイマの計時値Tが、お掃除モード運転を実行する時間間隔としての既定値Tsを超えたと判断されたときには(ステップS404:YES)、お掃除運転モード(排気フィルタ清掃モード及び/又は給気フィルタ清掃モード)での運転に入る(ステップS403)。
【0042】
図10は、換気装置1のお掃除モード(ステップS403)での制御手順の詳細を表すフローチャートである。
お掃除モードが起動すると、排気フィルタ清掃モード(図7)が実行される。具体的には、まず制御部301からの給気モータ制御出力によって、給気送風機2の動力源であるモータ2aが停止される(ステップS501)。続いて、排気フィルタ42下流の流路をバイパス経路9側に切換える(ステップS502)。この切換えは、制御部301が、排気流路切換制御出力を、流路を切換えるためのモータ62に出力することによって実行される。次いで、制御部301からの排気モータ制御出力によって、排気送風機3の動力源であるモータ3aが高出力運転に切換えられる(ステップS503)。これにより、流路の抵抗が低減され換気装置内の他部(例えば、排気と給気との熱交換を行う熱交換器5等)への塵埃被着のおそれが解除された状態で、高出力運転で流速が上がった排気で、排気フィルタ42に堆積した塵埃が効果的に除去される。
【0043】
ステップS503においては、排気フィルタ42を回転させる。排気フィルタ42の回転は、制御部301が、排気フィルタ制御出力をモータ61に出力することによって実行される。排気フィルタ42が回転することで、フィン24aが排気フィルタ42に対して相対的に回転し、排気フィルタ42に堆積した塵埃と接触する。フィン24aが排気フィルタ42に堆積した塵埃と接触することによって塵埃がより効果的に除去される。
【0044】
モータ3aが高出力運転に移行すると、排気フィルタ42のお掃除運転の持続時間TE1について計時動作が行われ(ステップS504)、運転時間TE1が排気フィルタ清掃の既定の継続時間Ts1に達したか否かが監視される(ステップS505)。排気フィルタ42の清掃に係るこの継続時間Ts1は、例えば、30秒内外の時間である。時間Ts1に達するまでの間、排気フィルタ42の清掃が続けられる(ステップS505:NO)。
【0045】
運転時間TE1が既定の時間Ts1に達すると(ステップS505:YES)、ステップS501でバイパス経路9側に切換えられていた排気フィルタ42下流の流路が元の状態に復帰される(ステップS506)。ステップS506での流路復帰は、制御部301が、排気流路切換制御出力を、流路を切換えるためのモータ62に出力することによって実行される。この後、給気フィルタ清掃モード(図8)に移行する。
ステップS506においては、制御部301が、排気フィルタ制御出力によりモータ61を停止して、排気フィルタ42の回転を停止する。
【0046】
ステップS506に次いで、給気フィルタ41の位置を排気に晒す位置に転換させる(ステップS507)。ステップS507での給気フィルタ41の位置の転換は、制御部301が、給気フィルタアクチュエータ制御出力を給気フィルタアクチュエータ(即ち、給気フィルタ移動装置8)に与えることによって行われる。この制御によって、給気フィルタ41は給気の入口(屋外側給気口21)に位置していたものが排気の出口(屋外側排気口32)に位置するようにその配置が転換される。
この転換後の位置では、給気フィルタ41は、ステップS502で高出力運転に切換えられて流速が上がっている排気に晒されて、表面に堆積した塵埃が効果的に除去される。
【0047】
ステップS507で給気フィルタ41の位置が転換されて、給気フィルタ清掃モード(図8)が開始すると、次いで、給気フィルタ41のお掃除運転の持続時間TE2について計時動作が行われ(ステップS508)、運転時間TE2が給気フィルタ清掃の既定の継続時間Ts2に達したか否かが監視される(ステップS509)。
給気フィルタ41の清掃に係る既定の継続時間Ts2は、例えば、30秒内外の時間である。時間Ts2に達するまでの間、給気フィルタ清掃モード(図8)が継続される(ステップS509:NO)。
【0048】
運転時間TE2が既定の時間Ts2に達すると(ステップS509:YES)、ステップS507で排気の出口(屋外側排気口32)に位置するようにその配置が転換されていた給気フィルタ41が元の位置(屋外側給気口21)に復帰される(ステップS510)。ステップS510での給気フィルタ位置の復帰は、制御部301が、給気フィルタアクチュエータ制御出力を、給気フィルタ位置を転換するためのアクチュエータである給気フィルタ移動装置8に出力することによって実行される。
【0049】
ステップS510に次いで、制御部301からの給気モータ制御出力によって、給気送風機2の動力源であるモータ2aの運転が再開される(ステップS511)。ステップS511においては、制御部301からの排気モータ制御出力によって、排気送風機3の動力源であるモータ3aが、高出力運転から通常の出力の運転に切換えられる。
以上で、お掃除モード(図9:ステップS403)での運転が終了し、制御部301による制御手順は、図9のステップS403に移行する。
【0050】
以上説明した本実施形態に係る換気装置1によれば、以下の効果が奏される。
上記実施形態では、給気経路20を流通する給気と排気経路30を流通する排気との間で熱交換を行う熱交換器5と、排気経路30の熱交換器5よりも上流側に配置され且つ排気に含まれる塵埃を捕集する排気フィルタ42と、を備える換気装置1が、排気経路30の排気フィルタ42よりも上流側と排気経路30の熱交換器5よりも下流側とを結ぶバイパス経路9を更に備えるものとした。
これにより、排気経路30の屋内側排気口31側で捕集した塵埃を、熱交換器5を通すことなく、バイパス経路9を通じて円滑に屋外側に排出することができる。従って、熱交換器5を備えた換気装置1において、熱交換性能が低下してしまうのを抑えることができる。
【0051】
上記実施形態では、換気装置1が、排気フィルタ42の屋内側排気口31側の面に配置されるフィン24aを更に有するものとした。
これにより、排気フィルタ42で捕集された塵埃の除去効果をより高めることができる。
【0052】
上記実施形態では、バイパス入口91が、排気フィルタ42の面方向に向かって開口するものとした。
これにより、バイパス入口91が、排気フィルタ42の面方向に向かって開口することで、バイパス経路9を介した排気により塵埃を屋外に排出する際、排気フィルタ42の表面に横方向から排気が吹き付けることになる。この横から吹き付ける排気により、排気フィルタ42で捕集された塵埃の除去効果をより高めることができる。
【0053】
上記実施形態では、換気装置1が、熱交換器5を介した排気と、バイパス経路9を介した排気と、を切り替えるダンパ100を更に備えるものとした。更に、ダンパ100が、熱交換器5を介した排気を所定時間実行した後に、バイパス経路9を介した排気に切り替えるものとした。
これにより、所定時間毎に排気フィルタ42で捕集された塵埃を除去することで、安定して換気装置1を運転することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、排気フィルタ42の屋内側排気口31側の面に配置される塵埃除去手段は無くてもよいし、配置する場合にも、その形状や素材は限定されない。排気フィルタ42の屋内側排気口31側の面に配置される塵埃除去手段は、例えば排気フィルタ42に当接するブラシであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…換気装置
2…給気送風機
3…排気送風機
5…熱交換器
9…バイパス経路
20…給気経路
21…屋外側給気口
22…屋内側給気口
24a…フィン(塵埃除去手段)
30…排気経路
31…屋内側排気口
32…屋外側排気口
42…排気フィルタ
91…バイパス入口
100…ダンパ(切替手段)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10