特許第6392062号(P6392062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392062
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】報知制御装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20180910BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H04M1/00 V
   H04M1/00 L
   B25J13/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-203421(P2014-203421)
(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公開番号】特開2016-72927(P2016-72927A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】本村 暁
【審査官】 吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−368858(JP,A)
【文献】 国際公開第00/66239(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H11/00
B25J13/00
G06F 3/01,3/048−3/0489
H04M 1/00,1/24−1/82,99/00
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットからの報知に対してユーザの対応が必要となる事象である報知イベントの発生を上記ユーザが認知するのに適した報知姿勢を決定する報知姿勢決定手段と、
上記報知姿勢決定手段によって決定された上記報知姿勢に基づいて、上記決定時における上記ロボットの姿勢が上記報知姿勢へ移行するまでの姿勢移行過程に関する情報である移行情報を生成する移行情報生成手段と、
上記移行情報生成手段が生成した上記移行情報に基づいて、上記報知イベントを報知するための報知方法を決定する報知方法決定手段と、を備えていることを特徴とする報知制御装置。
【請求項2】
上記移行情報生成手段は、上記決定時における上記ロボットの姿勢に関する第1姿勢情報と上記報知姿勢に関する第2姿勢情報とに基づいて算出した、上記決定時における上記ロボットの姿勢が上記報知姿勢に移行するまでに要する時間である移行時間を上記移行情報とすることを特徴とする請求項1に記載の報知制御装置。
【請求項3】
上記報知方法決定手段は、上記移行情報生成手段から取得した上記移行情報に基づいて、上記ロボットの姿勢を上記報知姿勢に移行できないと判定した場合、上記ロボットの姿勢移行を伴わない方法を上記報知方法として決定することを特徴とする請求項1または2に記載の報知制御装置。
【請求項4】
上記報知イベントには複数の報知姿勢が対応付けられており、
上記報知方法決定手段は、上記複数の報知姿勢の中から上記ロボットの姿勢移行が可能な姿勢の有無を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の報知制御装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1から4のいずれか1項に記載の報知制御装置における各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知イベント発生の報知を制御する報知制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末における着信およびメール受信等を、端末本体または付属品の外形形状を変化させることで報知する技術が開示されている。例えば、特許文献1には、駆動パターン生成部において駆動パターン信号をリアルタイムで生成し、当該駆動パターン信号をアクチュエータに伝えることにより、通信端末の付属物または当該通信端末自体を構成する部材の形状を変化させて、発生したイベント(例えば、着呼、メール着信、またはデジタルテレビ放送の受信等)をユーザに報知するイベント報知機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−214908号公報(2007年8月23日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたイベント報知機講は、端末本体または付属品の外形形状の変化が終了するまでに要する時間等を考慮して、発生したイベントの報知方法を決定するものではない。したがって、例えば、上記外形形状の変化が終了する前にイベントが終了してしまう等により、ユーザがイベントの発生を認知できない状況が生じるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る報知制御装置は、ロボットからの報知に対してユーザの対応が必要となる事象である報知イベントの発生を上記ユーザが認知するのに適した報知姿勢を決定する報知姿勢決定手段と、上記報知姿勢決定手段によって決定された上記報知姿勢に基づいて、上記決定時における上記ロボットの姿勢が上記報知姿勢へ移行するまでの姿勢移行過程に関する情報である移行情報を生成する移行情報生成手段と、上記移行情報生成手段が生成した上記移行情報に基づいて、上記報知イベントを報知するための報知方法を決定する報知方法決定手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、ユーザが報知イベントの発生を確実に認知できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態1に係るロボットの概略構成を示すブロック図である。
図2】(a)は、上記ロボットの概略を示す正面図である。(b)は、上記ロボットの概略を示す背面図である。(c)は、上記ロボットの概略を示す側面図である。
図3】上記ロボットの記憶部に格納されている報知姿勢テーブルの一例である。
図4】上記ロボットの記憶部に格納されている報知イベント発生テーブルの一例である。
図5】本発明の実施形態1に係る報知制御装置によってシミュレートされた上記ロボットの動作の一例を示す概略図である。
図6】本発明の実施形態1に係る報知制御装置による報知イベント発生の報知の制御方法(報知イベントの発生が外部要因の場合)を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態1に係る報知制御装置による報知イベント発生の報知の制御方法(選択報知イベントの場合)を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態1に係る報知制御装置による報知イベント発生の報知の制御方法(報知姿勢によらない報知方法として、画面表示、バイブレーション、または音出力で報知する場合)を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2に係る報知制御装置による報知イベント発生の報知の制御方法を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態3に係るロボットの記憶部に格納されている報知姿勢テーブルの一例である。
図11】本発明の実施形態3に係る報知制御装置による報知イベント発生の報知の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図1〜8を参照しながら、詳細に説明する。本実施形態以下の各実施形態においては、報知制御装置が携帯電話機能付きの2足歩行ヒューマノイドロボットに備えられているものとして説明する。なお、アニメキャラクタの戦闘ロボットをはじめとするロボット全般に報知制御装置が備えられていてもよい。
【0009】
(ロボットの概要) まず、図2を参照してロボット100の概要について説明する。図2の(a)は、本実施形態に係るロボット100の概略を示す正面図である。また、図2の(b)は、ロボット100の概略を示す背面図である。さらに、図2の(c)は、ロボット100の概略を示す側面図である。
【0010】
図2の(a)に示すように、ロボット100は、頭部100a、胴体部100b、腕部100c、脚部100d(上脚部100oと下脚部100pとで構成される)、および足部100eで構成される。頭部100aは首部100gを介して、腕部100cは肩関節部100hを介して、上脚部100oは脚関節部100iを介して、それぞれ胴体部100bに対して可動に接続されている。また、下脚部100pは膝関節部100qを介して上脚部100oに対して、足部100eは足関節部100jを介して脚部100dに対して、それぞれ可動に接続されている。首部100gおよび各関節部には、後述するサーボモータ23aが内蔵されており、当該サーボモータ23aが駆動することによって、頭部100a、腕部100c、上脚部100o、下脚部100pおよび足部100eはそれぞれ可動する。さらに、頭部100aの一部を構成する口部100lおよび目部100nには後述するスピーカ部21およびカメラ部20が内蔵され、足部100eの一部を構成する足裏部100fには後述するマイク部25が内蔵されている。また、図2の(b)および(c)に示すように、胴体部100bの一部を構成する背中部100kには、後述する表示部22が設けられている。
【0011】
(ロボットの具体的構成) 次に、ロボット100の具体的構成について、図1、3および4を参照しながら説明する。図1は、ロボット100の具体的構成を示すブロック図である。図1に示すように、ロボット100は、制御部10、カメラ部20、スピーカ部21、表示部22、駆動部23、操作入力部24、マイク部25、送受信部26、アンテナ部27、バッテリー部28、記憶部29、および状態検知部30を備えている。
【0012】
制御部10は、ロボット100を統括的に制御するものであり、報知制御装置1を備えている。報知制御装置1は、後述する報知イベント発生の報知を制御するための各種処理を統括するものであり、その詳細については後述する。
【0013】
カメラ部20は、被写体を撮像する撮像部であり、撮像した画像データを後述する報知姿勢決定部14に送信する。スピーカ部21は、音声データを含む情報を再生する機能と、ユーザ以外にも聞こえるように音声を出力するスピーカとを備えた再生部である。表示部22は、ロボット100に装備されている各種機能(アプリケーションソフト)が実行されることに起因する画像等の各種画像を表示する。操作入力部24は、入力されたユーザ操作を取得するものである。マイク部25は、例えば通話中の音声を集音する集音器である。送受信部26は、アンテナ部27を介して音声データ等の各種データの送受信を行う。バッテリー部28は、ロボット100を構成する各部に電力の供給を行う。駆動部23は、ロボット100における頭部100a等の各可動部位を駆動するものであり、首部100gおよび各関節部に対応する数のサーボモータ23aで構成される。
【0014】
状態検知部30は、例えば、ロボット100が歩行中または走行中、ロボット100が前傾姿勢または仰向けになっている等の、ロボット100の動作および状態を検知し、検知結果を後述する移行情報生成部15に送信する。状態検知部30は、加速度センサ30aおよびジャイロセンサ30bを備えている。加速度センサ30aはロボット100の可動部位の加速度を検知し、ジャイロセンサ30bは上記可動部位の角速度を検知する。これら2種類のセンサで、ロボット100の動作および状態を検知する。なお、状態検知部30は、少なくとも加速度センサ30aまたはジャイロセンサ30bのいずれか一つを備えていればよい。また、状態検知部30は、ロボット100の各可動部位に設けられる(図示しない)。
【0015】
次に、記憶部29の具体的構成について説明する。記憶部29は、報知イベント発生テーブル29a、報知姿勢テーブル29b、および制御部10が実行する各種の制御プログラム等を記憶するものである。記憶部29は、例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。なお、報知姿勢テーブル29cの説明は後述する。
【0016】
図3は、記憶部29に記憶されている報知姿勢テーブル29bの一例である。報知姿勢テーブル29bは、報知イベントと、報知姿勢情報と、報知姿勢との対応関係を示すデータテーブルである。報知イベントは、音声着信等の、ロボット100からの報知に対してユーザの対応が必要となる事象である。報知イベントとしては、音声着信、メール着信等のロボット100の外部に発生要因があるものの他、選択報知イベント、すなわち、アラーム等のロボット100の内部に発生要因があるものも含まれる。報知姿勢は、報知イベントの発生をユーザが認知するのに適したロボット100の姿勢である。さらに、報知姿勢情報は、報知姿勢に対応する各サーボモータ23aの回転位置データである。
【0017】
具体的には、図3のNo1に示すように、報知イベントとしての音声着信と報知姿勢(A1)とが対応付けられている。報知姿勢(A1)は、足裏部100fに設けられたマイク部25がユーザの口元に位置し、口部100lに設けられたスピーカ部21がユーザの耳元に位置するよう、脚部100dが腹部100m側に傾斜したロボット100の姿勢であり、ユーザがロボット100を把持して通話しやすく、音声着信があったことをユーザが連想しやすい。また、音声着信および報知姿勢(A1)と、当該報知姿勢(A1)に対応する第1〜第nサーボモータの回転位置データα=a1〜δ=n1(報知姿勢情報)とが対応付けられている。なお、上記回転位置データα〜δは、a11<α<a12〜n11<δ<n12(図3のNo2参照)のような、一定範囲内にある値をすべて包含するようにしてもよい。
【0018】
上記対応付けは、報知イベントが、アラーム、TV再生およびバッテリー残量低下の場合も同様である。図3のNo3および4に示すように、ユーザによる緊急の対応が必要であることを当該ユーザが連想しやすい、腕部100cのいずれか一方を上げたロボット100の姿勢がアラームに対応付けられた報知姿勢(A2)となる。次に、図3のNo5および6に示すように、ユーザが表示部22を視認しやすい姿勢でありTV再生されたことをユーザが連想しやすい、胴体部100bが傾斜したロボット100の姿勢がTV再生に対応付けられた報知姿勢(A4)となる。次に、図3のNo7および8に示すように、ロボット100の充電に適した姿勢でありバッテリー残量が低下したことをユーザが連想しやすい、胴体部100bと脚部100dとのなす角度が略90度になる座り姿勢がバッテリー残量低下に対応付けられた報知姿勢(A5)となる。なお、報知姿勢は、ロボット100の特定の可動部位が作動している状態であってもよい。例えば、図3のNo3および4に示すように、アラームに対応付けられた報知姿勢として、腕部100cの一方を作動させて、ロボット100が手を振っているような姿勢(A3)を採用してもよい。
【0019】
次に、図4は、記憶部29に記憶されている報知イベント発生テーブル29aの一例である。選択報知イベントは、ユーザによって選択された報知イベントであり、ロボット100の内部に発生要因があるものをいう。選択報知イベント発生条件は、選択報知イベントの発生に必要な条件でありユーザが任意に設定できる。具体的には、ユーザが、選択報知イベントとして「第1アラーム(目覚ましアラーム)」を選択し、選択報知イベント発生条件として「毎日7:00」を設定した場合、これらのデータが対応付けられて報知イベント発生テーブル29aに記録される。これにより「毎日7:00に第1アラームが鳴る」という処理が発生する(図4のNo1)。図4のNo2からNo4における選択報知イベントの場合も上記と同様である。
【0020】
次に、報知制御装置1の具体的構成について説明する。報知制御装置1は、発生条件判定部11、報知イベント発生部12、報知イベント検知部13、報知姿勢決定部14、移行情報生成部15、報知方法決定部16、報知姿勢移行部17、および報知方法変更部18を備えている。
【0021】
発生条件判定部11は、選択報知イベント発生条件を充足しているか否かを判定する。報知イベント発生部12は、発生条件判定部11から選択報知イベント発生条件を充足しているとの判定結果を受信した場合に、選択報知イベントを発生させる。報知イベント検知部13は、報知イベント(選択報知ベントを含む)の発生を検知する。
【0022】
報知姿勢決定部14は、報知イベント検知部13から報知イベント(選択報知ベントを含む)の発生を検知した旨の検知結果を受信した場合に、報知姿勢テーブル29bを参照して、当該報知イベントに対応付けられた報知姿勢を決定する。
【0023】
移行情報生成部15は、第1姿勢情報および第2姿勢情報に基づいて移行情報を生成する。本実施形態以下の各実施形態では、移行情報生成部15は移行情報として移行時間を算出する。ここで、移行情報は、報知姿勢決定部14による報知姿勢の決定時におけるロボット100の姿勢が当該報知姿勢に移行するまでの姿勢移行過程に関する情報である。移行時間は、移行情報の一種であり、上記決定時におけるロボット100の姿勢が当該報知姿勢に移行するまでに要する時間である。第1報知情報は、上記決定時におけるロボット100の姿勢に関する情報であり、状態検知部30から送信されたロボット100の各可動部位の加速度および角速度、サーボモータ23aの回転位置データで構成される。第2姿勢情報は、発生した報知イベントに対応付けられた報知姿勢に関する情報であり、報知姿勢決定部14から受信した、当該報知姿勢に対応するサーボモータ23aの回転位置データで構成される。なお、移行情報として移行時間を用いる必要は必ずしもない。例えば、第1姿勢情報および第2姿勢情報に基づいて算出した、サーボモータ23aの回転位置の差である移行量を移行情報としてもよい。また、前記移行量にサーボモータ23aの回転方向に関するパラメータを加味した値を移行情報としてもよい。
【0024】
報知方法決定部16は、移行情報生成部15から受信した算出結果、すなわち移行時間データに基づいて、発生した報知イベントの報知方法を決定する。具体的には、まず、報知イベントの内容に応じて設定された報知姿勢への移行が許容される許容時間と移行時間データとを比較することで、報知イベントの発生を報知姿勢で報知するか、ロボット100の姿勢移行を伴わない報知方法で報知するかを決定する。そして、移行時間データが発生した報知イベントに対応する許容時間以内であれば、当該報知イベントに対応する報知姿勢で報知することを決定する。一方、移行時間データが上記許容時間を超過している場合には、上記姿勢移行を伴わない報知方法で報知することを決定する。
【0025】
ここで、許容時間については、報知イベントの内容に応じてあらかじめ設定された各時間データが、許容時間データテーブル(図示しない)として記憶部29に格納される。例えば、報知イベントが着信、アラームおよびTV再生の場合、着信があること、および設定時間になったことをなるべく早くユーザに報知する必要がある。また、着信であれば、数秒で当該着信が終了することもよくある。そのため、これらの許容時間は短く設定される(3〜5秒)。一方、報知イベントがバッテリー残量の場合であれば、ロボット100がバッテリー残量低下状態(特定の閾値を下回った状態)になってから数秒後に残量ゼロになるような閾値設定はなされないことから、バッテリー残量低下状態はしばらく継続していることが通常である。そのため、許容時間は長く設定される(5〜10秒)。なお、許容時間は、報知イベントの内容に拘らず一律に所定の時間を設定してもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0026】
本実施形態では、報知方法決定部16は、許容時間の経過の有無を判断基準として、報知姿勢またはロボット100の姿勢移行を伴わない報知方法のいずれか一方のみで報知することを決定する。しかし、このような決定方法に限定する必要はなく、例えば、報知姿勢と上記姿勢移行を伴わない報知方法とを組み合わせて、報知イベントの終了前後で報知方法を切り換えて報知してもよい。発生した報知イベントが着信またはアラーム等の場合であれば、着信中であること、または設定時間になったことを音出力で報知し、不在着信または設定時間が経過したことを報知姿勢で報知してもよい。
【0027】
次に、報知方法決定部16は、報知姿勢で報知することを決定した場合、その旨の決定結果を報知姿勢移行部17に送信する。一方、ロボット100の姿勢移行を伴わない報知方法で報知することを決定した場合、報知方法決定部16は、当該方法で報知する場合に必要となるロボット100の各部材を作動させる。ここで、本実施形態では、ロボット100の姿勢移行を伴わない報知方法として、表示部22の表示画面に報知イベントの発生を表示する方法、スピーカ部21から発生した報知イベントの種類に応じて異なった音を出力(報知イベントの種類に拘らず、特定の音を出力してもよい)する方法およびロボット100本体をバイブレーションさせる方法を例に挙げている。しかし、これら以外の方法で報知してもよいし、これらの方法を複数組み合わせて報知してもよい。
【0028】
報知姿勢移行部17は、報知方法決定部16から報知姿勢によって報知する旨の決定結果を受信した場合、ロボット100の姿勢が報知姿勢に移行するよう各サーボモータ23aの駆動を制御する。また、報知姿勢移行部17は、報知姿勢への移行過程において移行妨害事象の発生を検知した場合には当該報知姿勢への移行を停止し、当該移行妨害事象の解消を検知した場合には停止していた当該報知姿勢への移行を再開する。そして、姿勢移行を停止および再開することの決定結果を、報知方法変更部18に送信する。ここで、移行妨害事象とは、報知姿勢への移行過程において発生した、当該報知姿勢への移行を妨げる事象をいう。例えば、報知姿勢への移行途中において、障害物と接触したりバッテリー残量が閾値以下に低下したりしたこと等が移行妨害事象に該当する。そして、これらの事象は、カメラ部20が撮像した画像を介して、または直接、報知姿勢移行部17によって検知される。なお、移行妨害事象の発生および解消を検知するためのセンサ(接触センサ、近接センサ等)を、別途ロボット100に設けてもよい。
【0029】
報知方法変更部18は、報知姿勢への移行の停止を検知した場合、発生した報知イベントの報知方法をロボット100の姿勢移行を伴わない方法に変更する。一方、報知姿勢への移行の再開を検知した場合、報知方法変更部18は、ロボット100の姿勢移行を伴わない報知方法による報知を終了させる。ここで、ロボット100の姿勢移行を伴わない方法への報知方法として、画面表示による方法、音出力による方法またはバイブレーションによる方法のいずれか一つとしてもよいし、これら複数の報知方法をユーザが任意に選択できるようにしてもよい。また、これらのうちの複数の方法を組み合わせた報知方法に変更されるようにしてもよい。さらに、例えば、マナーモード中であればバイブレーションによる方法が選択され、バッテリー残量が低下している場合には電力消費の少ない方法(例えば、音出力)が選択されるように、ロボット100の状態に応じて適切な報知方法が自動的に選択されるようにしてもよい。
【0030】
(移行時間の算出方法) 次に、図5を参照して、移行情報生成部15による移行時間の算出方法について説明する。図5は、移行情報生成部15によってシミュレートされたロボット100の動作の一例を示す概略図である。なお、説明の便宜のため、図5に示すような、上脚部100o、下脚部100pおよび足部100eの動作に限定して、以下に説明する。
【0031】
まず、移行情報生成部15は、第1姿勢情報に基づいて、報知姿勢決定部14による報知姿勢の決定時点(以下、「現時点」とする)の脚関節部100i、膝関節部100qおよび足関節部100jに設けられた各サーボモータ23aの回転位置(図5の(1)に対応)を記録する。また、第2姿勢情報に基づいて、発生した報知イベントに対応した報知姿勢における上記各サーボモータ23aの回転位置(図5の(5)に対応)を記録する。次に、移行情報生成部15は、現時点における上脚部100o等の状態から上記報知姿勢に対応した上脚部100o等の状態に移行する(図5における(1)の状態から(5)の状態に移行する)ために要求される、上脚部100o等の動作をシミュレートする。そして、移行情報生成部15は上脚部100o等の動作経路を算出する。図5では、上脚部100o等は、(1)→(2)→(3)→(4)→(5)の動作経路をとることが移行情報生成部15によって算出されている。
【0032】
次に、移行情報生成部15は、図5の(2)〜(4)の状態における上記各サーボモータ23aの回転位置をそれぞれ算出する。そして、(1)の状態における上記各サーボモータ23aの回転位置と(2)の状態における上記回転位置との差をサーボモータ23aの回転速度で除することで、(1)の状態から(2)の状態に移行するのに要する、上脚部100o、下脚部100pおよび足部100eの各移行時間を算出する。そして、移行情報生成部15は、算出された各移行時間の中の最大値を、(1)の状態から(2)の状態に移行するのに要する移行時間であると決定する。(2)の状態から(3)の状態への移行、(3)の状態から(4)の状態への移行、および(4)の状態から(5)の状態への移行についても上記と同様の算出方法で移行時間を決定する。次に、移行情報生成部15は、算出した上記各移行時間を合計することで、図5における(1)の状態から(5)の状態に移行するのに要する移行時間、すなわち、報知姿勢に対応した上脚部100o等の状態に移行するのに要する移行時間を算出する。ロボット100の他の可動部位についても、上記と同様の方法で、報知姿勢に対応した当該他の可動部位の状態に移行するのに要する移行時間が算出される。最終的には、移行情報生成部15は、算出されたすべての移行時間の中の最大値を、報知姿勢に移行するのに要する移行時間であると決定する。
【0033】
なお、上記算出方法は一例であり、これ以外の算出方法を採用してもよい。例えば、単純に、現時点のロボット100の姿勢に対応した各サーボモータ23aの回転位置と報知姿勢に対応した上記回転位置との差をサーボモータ23aの回転速度で除した値を各可動部位の移行時間としてもよい。
【0034】
(報知制御装置による報知イベント発生の報知の制御方法) 次に、図6を用いて、報知イベントの発生が外部要因の場合における、報知制御装置1による報知イベント発生の報知の制御方法について説明する。図6は、上記制御方法を示すフローチャートである。
【0035】
図6に示すように、まず、報知イベント検知部13は、報知イベントの発生を検知した場合( ステップ100でYES;以下、S100でYと略記する)、その検知結果を報知姿勢決定部14に送信する。一方、報知イベントの発生を検知しない場合(S100でNO;以下、Nと略記する)、報知イベント検知部13は、報知イベント発生の有無を再び検知する。
【0036】
次に、報知姿勢決定部14は、S100でYと判定した場合、発生した報知イベントに対応付けられた報知姿勢を、報知姿勢テーブル29bを参照することによって決定し、決定結果を第2姿勢情報として移行情報生成部15に送信する(S101)。次に、移行情報生成部15は、報知姿勢決定部14から受信した第2姿勢情報および状態検知部30から受信した検知結果(第1姿勢情報)に基づいてロボット100の動作経路をシミュレートすることで移行時間を算出する。そして、算出結果を報知方法決定部16に送信する(S102)。次に、報知方法決定部16は、許容時間データテーブル(図示しない)を参照して、移行情報生成部15から受信した算出結果と発生した報知イベントに対応付けられた許容時間とを比較することで、報知姿勢に移行できるか否かを判定する(S103)。そして、S103でYと判定した場合、報知方法決定部16は、報知姿勢で報知することを決定し、決定結果を報知姿勢移行部17に送信する(S104)。次に、前記決定結果を受信した報知姿勢移行部17は、報知姿勢への移行を開始させる(S105)。
【0037】
次に、報知姿勢移行部17は移行妨害事象の発生の有無を検知する(S106)。そして、移行妨害事象の発生を検知しない場合(S106でN)、報知姿勢移行部17は報知姿勢への移行を継続し(S112)、報知姿勢への移行完了後、当該報知姿勢で報知イベントの発生を報知する(S113)。一方、移行妨害事象の発生を検知した場合(S106でY)、報知姿勢移行部17は報知姿勢への移行を停止し(S107)、当該停止を検知した報知方法変更部18は、報知方法をロボット100の姿勢移行を伴わない方法に変更する処理を実行する(S108)。そして、移行妨害事象の解消を検知すれば(S109でY)、報知姿勢移行部17は報知姿勢への移行を再開し(S110)、当該再開を検知した報知方法変更部18は、ロボット100の姿勢移行を伴わない報知方法による報知イベント発生の報知を終了する(S111)。その後、S113の処理を実行する。移行妨害事象の解消を検知しない場合は(S109でN)、報知姿勢移行部17は再び当該移行妨害事象の解消の有無を検知する。
【0038】
一方、S103でNと判定した場合、報知方法決定部16は、ロボット100がマナーモード設定中か否かを判定する(S114)。そして、マナーモード設定中であると判定した場合(S114でY)、報知方法決定部16は、画面表示で報知イベントの発生を報知することを決定し(S115)、表示部22の表示画面に報知イベントが発生した旨を表示させる(S116)。一方、S114でNと判定した場合、報知方法決定部16は、スピーカ部21において音出力中か否かを判定する(S117)。そして、音出力中でないと判定した場合(S117でN)、報知方法決定部16は、音出力で報知イベントの発生を報知することを決定し(S118)、スピーカ部21に音出力させる(S119)。S117でYと判定した場合、S115以降の処理を実行する。
【0039】
次に、図7を用いて、選択報知イベントが発生した場合における、報知制御装置1による当該選択報知イベント発生の報知の制御方法について説明する。図7は、上記制御方法を示すフローチャートである。なお、図7におけるS203の処理終了後の処理については、図6におけるS102以降の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0040】
図7に示すように、まず、発生条件判定部11は、報知イベント発生テーブル29aを参照して、選択報知イベント発生条件を充足しているか否かを判定する(S200)。S200でYと判定した場合、発生条件判定部11は、上記条件を充足している旨の判定結果を報知イベント発生部12に送信する。一方、S200でNと判定した場合、発生条件判定部11は、上記条件を充足しているか否かを再び判定する。そして、報知イベント発生部12は、発生条件判定部11から上記判定結果を受信した場合、充足していると判定された選択報知イベント発生条件に対応付けられた選択報知イベントを発生させる(S201)。次に、報知イベント検知部13は、選択報知イベントの発生を検知した場合(S202でY)、その検知結果を報知姿勢決定部14に送信する。一方、選択報知イベントの発生を検知しない場合(S202でN)、報知イベント検知部13は、報知イベント発生の有無を再び検知する。次に、報知姿勢決定部14は、S202でYと判定した場合、発生した選択報知イベントに対応付けられた報知姿勢を、報知姿勢テーブル29bを参照することによって決定する(S203)。
【0041】
なお、ロボット100の姿勢移行を伴わない報知方法による報知イベント発生の報知については、音出力中か否かを先に判定した後、マナーモード中か否かを判定してもよい。さらには、図8に示すように、新たにバイブレーションによる報知方法を追加してもよい。具体的には、S103でNと判定した場合、報知方法決定部16は、バッテリー部28のバッテリー残量が閾値以上あるか否かを判定する(S300)。そして、バッテリー残量が閾値以上あると判定した場合(S300でY)、報知方法決定部16はS115およびS116と同様の処理を実行する(S301およびS302)。一方、バッテリー残量が閾値よりも少ないと判定した場合(S300でN)、報知方法決定部16はS114と同様の処理を実行する(S303)。そして、S303でYと判定した場合、報知方法決定部16はバイブレーションで報知イベントの発生を報知することを決定し(S304)、ロボット100本体をバイブレーションさせる(S305)。S303でNと判定した場合、報知方法決定部16はS117からS119と同様の処理を実行する(S306からS308)。図8に示す判定順序についても、バッテリー残量、バイブレーションおよび音出力の順に判定する必要はなく、任意に変更してもよい。
【0042】
(効果) 以上のように、本実施形態によれば、発生した報知イベントに対応付けられた報知姿勢に移行する前に当該報知イベントが終了してしまう等、発生した報知イベントとの関係で報知姿勢による報知方法が適切でない場合においても、ロボット100の姿勢移行を伴わない報知方法で報知することで、当該報知イベントの発生を確実にユーザに認知させることができる。また、移行妨害事象が発生した場合でも、報知イベントの発生を確実にユーザに認知させることができる。
【0043】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図9および10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0044】
本実施形態に係る報知制御装置2は、報知方法決定部16が、第1報知イベントの発生後に第2報知イベントが発生した場合に、第1報知イベントに対応付けられた第1報知姿勢の移行時間と第2報知イベントに対応付けられた第2報知姿勢の移行時間とを比較することで、いずれの報知イベント発生の報知を優先するかを決定する点で、実施形態1に係る報知制御装置1と異なる。また、報知方法決定部16が、第2報知イベントを優先することを決定した場合に第2報知姿勢への移行可否を判定する点でも実施形態1に係る報知制御装置1と異なる。なお、第1報知イベントは最初に発生した報知イベントであり、第2報知イベントは第1報知イベント発生の後に発生した報知イベントである。第1報知姿勢は第1報知イベントに対応付けられた報知姿勢であり、第2報知姿勢は第2報知イベントに対応付けられた報知姿勢である。さらに、本実施形態に係る報知制御装置2は、報知方法変更部18が、ロボット200の姿勢を第2報知姿勢に移行させる場合に、第1報知イベント発生の報知方法を当該ロボット200の姿勢移行を伴わない方法に変更する点でも実施形態1に係る報知制御装置1と異なる。
【0045】
(複数の報知イベントが発生した場合の報知制御装置による報知の制御方法) 次に、図9を用いて、複数の報知イベントが発生した場合における、報知制御装置2による報知の制御方法について説明する。図9は、上記制御方法を示すフローチャートである。なお、図9におけるS407、S408またはS410の処理終了後については、図6におけるS106以降またはS114以降の処理と同様の処理を行うことから、その説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、報知イベント検知部13は、第2報知イベントの発生を検知した場合(S400でY)、その旨の検知結果を報知姿勢決定部14に送信する。一方、第2報知イベントの発生を検知しない場合(S400でN)、報知イベント検知部13は、第2報知イベントが発生したか否かを再び検知する。そして、報知姿勢決定部14は、S400でYとなった場合、第2報知姿勢を、報知姿勢テーブル29bを参照することによって決定し、決定結果(第2姿勢情報)を移行情報生成部15に送信する(S401)。次に、移行情報生成部15は、第1姿勢情報および第2姿勢情報に基づいて、第2報知姿勢の移行時間(以下、「第2移行時間」とする)を算出し、算出結果を報知方法決定部16に送信する(S402)。
【0047】
次に、報知方法決定部16は、報知姿勢決定部14が、第2報知姿勢を決定する前に、既に報知イベント検知部13から第1報知イベント発生の検知結果を受信しているか否かを判定する(S403)。そして、S403でNと判定した場合、報知方法決定部16は、移行情報生成部15から受信した算出結果と第2報知イベントに対応付けられた許容時間とを比較することで、第2報知姿勢に移行できるか否かを判定する(S404)。そして、S404でYと判定した場合、報知方法決定部16は第2報知姿勢で報知することを決定し、決定結果を報知姿勢移行部17に送信する(S405)。一方、S404でNと判定した場合、報知方法決定部16は、第2報知イベントの発生をロボット200の姿勢移行を伴わない報知方法で報知することを決定する(S410)。
【0048】
次に、S403でYと判定した場合、報知方法決定部16は、第1報知姿勢の移行時間(以下、「第1移行時間」とする)と第2移行時間とを比較し、第1移行時間の方が短いか否かを判定する。換言すれば、第1報知イベント発生の報知を優先するか否かを決定する(S409)。上記移行時間の比較は、例えば、既に第1移行時間が算出されているものの、そのデータが報知方法決定部16に記録されていない場合であれば、報知方法決定部16が移行情報生成部15から当該データを取得することによってなされる。また、第1移行時間が算出されていない場合であれば、報知方法決定部16が第1移行時間を算出するように移行情報生成部15に命令し、算出結果を取得することによってなされる。なお、第1移行時間と第2移行時間とが同一の場合の処理については、様々なバリエーションが考えられる。例えば、いずれかの報知イベント発生の報知を優先するとあらかじめ設定しておいてもよいし、ユーザが任意に設定してもよい。また、報知イベントごとに優先順位を設定し、優先順位の高い方の報知イベントを報知するようにしてもよい。
【0049】
そして、第1移行時間の方が短いと判定した場合、すなわち第1報知イベント発生の報知を優先すると決定した場合(S409でY)、報知方法決定部16はS410の処理を実行する。そして、S410の処理の終了後、S114以降の処理と同様の処理が実行される。一方、第1移行時間の方が長いと判定した場合、すなわち第2報知イベント発生の報知を優先すると決定した場合(S409でN)、報知方法決定部16はS404およびS405の処理を実行する。
【0050】
次に、報知方法決定部16から第2報知姿勢で報知する旨の決定結果を受信した報知姿勢移行部17は、第2報知姿勢への移行を開始させる(S406)。次に、報知方法変更部18は、ロボット200の姿勢が既に第1報知姿勢に移行しているか否かを判定する(S407)。そして、S407でNと判定した場合、S106以降の処理と同様の処理が実行される。一方、S407でYと判定した場合、報知方法変更部18は、第1報知イベント発生の報知方法をロボット200の姿勢移行を伴わない方法に変更する(S408)。そして、S408の処理終了後、S114以降の処理と同様の処理が実行される。
【0051】
なお、第1報知イベントまたは第2報知イベントのいずれの報知を優先させるかについては、例えば、移行量または当該移行量にサーボモータ23aの回転方向に関するパラメータを加味した値等の、移行時間以外の移行情報を比較してもよい。
【0052】
(効果) 以上のように、本実施形態によれば、報知姿勢による報知がより可能な方の報知イベントの発生を、ユーザに認知させることができる。また、ロボット200の姿勢が第2報知姿勢に移行することでユーザが第1報知イベントの発生を失念することを防止することができ、第1報知イベントの発生を確実にユーザに認知させることができる。
【0053】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図10および図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0054】
本実施形態に係る報知制御装置3は、特定の報知イベントに複数の報知姿勢が対応付けられている場合に、報知方法決定部16が、当該複数の報知姿勢の中からロボット300の姿勢移行が可能な姿勢の有無を判定する点で、実施形態1および2に係る報知制御装置1および2と異なる。また、本実施形態に係るロボット300は、報知姿勢テーブル29cが記憶部29に格納されている点で、実施形態1および2に係るロボット100および200と異なる。
【0055】
(報知姿勢への移行可否の判定方法) 次に、図10を用いて、特定の報知イベントに複数の報知姿勢が対応付けられている場合における、報知方法決定部16による報知姿勢への移行可否の判定方法について説明する。図10は、記憶部29に記憶されている報知姿勢テーブル29cの一例である。
【0056】
報知姿勢テーブル29cは、報知イベントと、報知姿勢情報と、報知姿勢との対応関係を示すデータテーブルであり、当該報知イベントに、複数の報知姿勢情報および複数の報知姿勢が対応付けられているものである。例えば、図10のように、報知イベントとしてのアラームに対して、パターン1の場合の報知姿勢(A2;右側の腕部100cが上がった姿勢)、および当該報知姿勢(A2)に対応する報知姿勢情報(第1〜第nサーボモータの回転位置データが、α=a2〜δ=n2、または、a21<α<a22〜n21<δ<n22)が対応付けられている。また、パターン2の場合の報知姿勢(A2´;左側の腕部100cが上がった姿勢)、および当該報知姿勢(A2´)に対応する報知姿勢情報(第1〜第nサーボモータの回転位置データが、α=a2´〜δ=n2´、または、a21´<α<a22´〜n21´<δ<n22´)も対応付けられている。
【0057】
具体的には、アラームが発生した場合、報知方法決定部16は、まずパターン1の報知姿勢(A2)を姿勢移行可否判定の対象姿勢に決定する。そして、報知方法決定部16は、報知姿勢(A2)への移行が可能か否かを、報知姿勢(A2)の移行時間と当該姿勢に対応付けられた許容時間とを比較することで判定する。次に、上記移行時間が上記許容時間を超過することにより報知姿勢(A2)への移行は不可能と判定した場合、報知方法決定部16は、パターン2の報知姿勢(A2´)を上記対象姿勢に決定し、上記と同様の判定を行う。次に、報知姿勢(A2)および(A2´)の両方について姿勢移行が不可能と判定した場合、報知方法決定部16は、上記対象姿勢となっていない他の報知姿勢の有無を確認する。図10の例では、全ての報知姿勢について姿勢移行可否判定が行われたことになるため、報知方法決定部16は、最終的に、アラームに対応付けられた報知姿勢には移行できないと判定する。
【0058】
なお、複数の報知姿勢についての姿勢移行可否の判定順序は任意であり、ロボット300の生産時にあらかじめ設定してもよいし、ユーザが任意に設定してもよい。また、特定の報知イベントに対応付けられるパターン(報知姿勢情報と報知姿勢との組み合わせ)は、図10のように2種類に限定されず、より多くのパターンが対応付けられてもよい。
【0059】
(報知制御装置による報知イベント発生の報知の制御方法) 次に、図11を用いて、特定の報知イベントに複数の報知姿勢が対応付けられている場合における、報知制御装置3による当該報知イベント発生の報知の制御方法について説明する。図11は、上記制御方法を示すフローチャートである。なお、図11におけるS500からS513まで、およびS515からS520の処理については、図6におけるS100からS113まで、およびS114からS119の処理と同様の処理を行うため、その説明を省略する。
【0060】
図11に示すように、特定の報知姿勢に移行できないと判定した場合(S503でN)、報知方法決定部16は、発生した報知イベントに対応付けられた複数の報知姿勢の全てについて、姿勢移行の可否を判定したか否かを確認する(S514)。そして、上記複数の報知姿勢の全てについて姿勢移行の可否判定を行ったことを確認した場合(S514でY)、報知方法決定部16はS515以降の処理を実行する。一方、姿勢移行可否判定を行っていない他の報知姿勢がある場合(S514でN)、報知方法決定部16は再びS501からS503までの処理を実行する。
【0061】
(効果) 以上のように、本実施形態によれば、報知イベントに対応付けられた報知姿勢が単一の場合に比して、発生した報知イベントを報知姿勢によってユーザに報知できる可能性が高まる。そのため、ユーザに対して視覚的に報知イベントの発生を認知させることがより確実にできる。
【0062】
〔ソフトウェアによる実現例〕
報知制御装置1から3の制御ブロック(特に制御部10および報知方法決定部16)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、報知制御装置1から3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0063】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る報知制御装置(1、2、3)は、ロボット(100、200、300)からの報知に対してユーザの対応が必要となる事象である報知イベントの発生を上記ユーザが認知するのに適した報知姿勢を決定する報知姿勢決定手段(報知姿勢決定部14)と、上記報知姿勢決定手段によって決定された上記報知姿勢に基づいて、上記決定時における上記ロボットの姿勢が上記報知姿勢へ移行するまでの姿勢移行過程に関する情報である移行情報を生成する移行情報生成手段(移行情報生成部15)と、上記移行情報生成手段が生成した上記移行情報に基づいて、上記報知イベントを報知するための報知方法を決定する報知方法決定手段(報知方法決定部16)と、を備えている。上記構成によれば、移行情報として、報知姿勢決定手段による上記決定時におけるロボットの姿勢が報知姿勢に移行するまでに要する時間である移行時間を用いた場合、当該移行時間の経過前に報知イベントが終了するのであれば、報知方法決定手段は、報知姿勢以外の報知方法を決定する。そのため、発生した報知イベントとの関係で報知姿勢による報知方法が適切でない場合においても、当該報知イベントの発生を確実にユーザに認知させることができる。
【0064】
本発明の態様2に係る報知制御装置(1、2、3)は、上記態様1において、上記移行情報生成手段(移行情報生成部15)は、上記決定時における上記ロボット(100、200、300)の姿勢に関する第1姿勢情報と上記報知姿勢に関する第2姿勢情報とに基づいて算出した、上記決定時における上記ロボットの姿勢が上記報知姿勢に移行するまでに要する時間である移行時間を上記移行情報としてもよい。上記構成によれば、移行時間を移行情報としていることから、報知方法決定手段は、発生した報知イベントの終了が当該移行時間の経過前かまたは経過後かを判定しさえすれば、報知姿勢による報知の可否について判定することができる。そのため、報知方法決定手段は、明確な基準によって、より正確に報知姿勢による報知の可否を判定することができる。
【0065】
本発明の態様3に係る報知制御装置(1、2、3)は、上記態様1または2において、上記報知方法決定手段(報知方法決定部16)は、上記移行情報生成手段(移行情報生成部15)から取得した上記移行情報に基づいて、上記ロボット(100、200、300)の姿勢を上記報知姿勢に移行できないと判定した場合、上記ロボットの姿勢移行を伴わない方法を上記報知方法として決定してもよい。上記構成によれば、ロボットが報知姿勢に姿勢移行できない場合においても、音声出力等の、ロボットの姿勢移行を伴わない報知方法で報知イベントの発生を報知することができることから、報知イベントの発生を確実にユーザに認知させることができる。
【0066】
本発明の態様4に係る報知制御装置(3)は、上記態様1から3のいずれか一の態様において、上記報知イベントには複数の報知姿勢が対応付けられており、上記報知方法決定手段(報知方法決定部16)は、上記複数の報知姿勢の中から上記ロボット(300)の姿勢移行が可能な姿勢の有無を判定してもよい。上記構成によれば、報知イベントに対応付けられた報知姿勢が単一の場合に比して、発生した報知イベントをロボットの姿勢移行を伴った報知方法でユーザに報知できる可能性が高まる。そのため、ユーザに対して視覚的に報知イベントの発生を認知させることがより確実にできるようになる。
【0067】
なお、上記態様1から3のいずれか一の態様に係る報知制御装置(1、2、3)において、上記報知イベントは、第1報知イベントおよび第2報知イベントを含み、上記第1報知イベントの発生後に上記第2報知イベントが発生した場合に、上記報知方法決定手段(報知方法決定部16)は、上記第1報知イベントに対応付けられた第1報知姿勢の移行情報と上記第2報知イベントに対応付けられた第2報知姿勢の移行情報とを比較することにより、上記第1報知イベント発生または上記第2報知イベント発生のいずれの報知を優先するかを決定してもよい。上記構成によれば、第1報知姿勢の移行情報と第2報知姿勢の移行情報との比較結果に応じて、報知姿勢による報知がより可能な方の報知イベントの発生を、ユーザに認知させることができる。
【0068】
また、上記態様1から3のいずれか一の態様に係る報知制御装置(1、2、3)において、上記報知方法決定手段(報知方法決定部16)は、上記第1報知イベントの発生後に上記第2報知イベントが発生した場合において上記第2報知イベント発生の報知を優先することを決定すれば、上記第2報知姿勢への姿勢移行可否判定を行ってもよい。上記構成によれば、第1報知イベントよりも後に発生した第2報知イベントについても、確実にユーザに認知させることができる。
【0069】
さらに、上記態様1から3のいずれか一の態様に係る報知制御装置(1、2、3)において、上記報知方法決定手段(報知方法決定部16)により決定された上記報知方法を他の上記報知方法に変更する報知方法変更手段(報知方法変更部18)をさらに備え、上記報知方法変更手段は、上記第1報知イベントの発生後に上記第2報知イベントが発生した場合において、上記報知方法決定手段が上記ロボット(100、200、300)の姿勢を上記第2報知姿勢に移行できると判定すれば、上記第1報知イベント発生の上記報知方法を上記ロボットの姿勢移行を伴わない方法に変更してもよい。上記構成によれば、ロボットの姿勢が第2報知姿勢に移行することによってユーザが第1報知イベントの発生を失念することを防止することができ、第1報知イベントの発生を確実にユーザに認知させることができる。
【0070】
なお、上記態様1から4のいずれかに係る報知制御装置(1、2、3)において、上記報知方法決定手段(報知方法決定部16)が上記報知姿勢による上記報知方法を決定した場合に、上記ロボット(100、200、300)の姿勢を上記報知姿勢に移行させるための報知姿勢移行手段(報知姿勢移行部17)をさらに備え、上記報知姿勢移行手段は、上記報知姿勢への移行過程において上記報知姿勢への移行を妨げる移行妨害事象の発生を検知した場合、上記報知姿勢への移行を停止し、上記報知方法変更手段(報知方法変更部18)は、上記報知姿勢移行手段が上記報知姿勢への移行を停止した場合、上記報知イベント発生の報知方法を上記ロボットの姿勢移行を伴わない方法に変更してもよい。上記構成によれば、移行妨害事象が発生した場合でも、報知イベントの発生を確実にユーザに認知させることができる。また、移行妨害事象が発生したにも拘らず報知姿勢への移行が継続することによる、ロボットの破損等を防止することができる。
【0071】
さらに、上記態様1から4のいずれかに係る報知制御装置(1、2、3)において、上記報知姿勢移行手段(報知姿勢移行部17)は、上記報知姿勢への移行が停止した状態において上記移行妨害事象の解消を検知した場合、上記報知姿勢への移行を再開し、上記報知方法変更手段(報知方法変更部18)は、上記報知姿勢移行手段が上記報知姿勢への移行を再開した場合、上記ロボット(100、200、300)の姿勢移行を伴わない方法による上記報知イベント発生の報知を終了させてもよい。上記構成によれば、移行妨害事象が解消した場合に、ユーザに対して視覚的に報知イベントの発生を認知させることが確実にできるようになる。また、必要以上の種類の報知方法で報知イベントの発生を報知するという無駄を防止することができ、電力消費の無駄を抑制することができる。
【0072】
本発明の態様5に係るロボット(100、200、300)は、上記態様1から4のいずれか一の態様に係る報知制御装置(1、2、3)を備えていてもよい。上記構成によれば、報知イベントの発生を確実にユーザに認知させることができるロボットを実現することができる。
【0073】
本発明の各態様に係る報知制御装置(1、2、3)は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記報知制御装置が備える各手段として動作させることにより上記報知制御装置をコンピュータにて実現させる報知制御装置の報知制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、報知イベントをユーザに認知させるための技術全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1、2、3 報知制御装置
14 報知姿勢決定部(報知姿勢決定手段)
15 移行情報生成部(移行情報生成手段)
16 報知方法決定部(報知方法決定手段)
100、200、300 ロボット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11