特許第6392073号(P6392073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6392073
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】電源制御装置および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20180910BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20180910BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H02J9/06 110
   H02J7/34 G
   G06F1/26 335A
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-214921(P2014-214921)
(22)【出願日】2014年10月21日
(65)【公開番号】特開2016-82824(P2016-82824A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪部 覚
【審査官】 高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−129036(JP,A)
【文献】 特開2009−044794(JP,A)
【文献】 特開2010−016996(JP,A)
【文献】 特開2007−068338(JP,A)
【文献】 特開平03−109624(JP,A)
【文献】 特開2001−333545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/26−1/32,
H02J7/00−7/12,
H02J7/34−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から電源供給を受けて、情報処理装置のシステム制御部へ電源を供給する電源制御装置であって、
前記外部電源から電源供給を受けて蓄電されるコンデンサと、
前記外部電源から電源供給を受けて充電されるバッテリと、
前記外部電源の電圧値が所定の第1の基準電圧値以下になったか否かを判定する外部電源監視手段と、
前記外部電源監視手段により前記外部電源の電圧値が所定の第1の基準電圧値以下と判定されたときに、前記システム制御部に対する電源供給を、前記外部電源による電源供給から前記コンデンサによる電源供給に切り替える第1の切替手段と、
記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下になったと判定されたとき、前記バッテリによる電源供給を、前記システム制御部に備えられかつ前記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下になったときの前記情報処理装置のデータを保持する記憶素子に対して、直接供給するDC電源切替手段と、
前記コンデンサからの電源供給時において、前記コンデンサの電荷量が所定の基準電荷量以下になったか否かを判定するコンデンサ監視手段と、
前記コンデンサ監視手段が前記コンデンサの電荷量が前記所定の基準電荷量以下になったと判定したときに、前記システム制御部に対する電源供給を、前記コンデンサによる電源供給から前記バッテリによる電源供給に切り替える第2の切替手段と、
前記第2の切替手段による出力電源を前記システム制御部に供給する電源供給手段と、
を備えた電源制御装置。
【請求項2】
前記コンデンサは、前記第1の切替手段と脱着可能である請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記バッテリは、前記第2の切替手段と脱着可能である請求項1又は請求項2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記第1の切替手段に接続される前記コンデンサと、前記第2の切替手段に接続される前記バッテリとが一体となったユニットを構成し、
前記ユニットが前記第1の切替手段および前記第2の切替手段と脱着可能である、請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記バッテリからの電源供給時において、前記バッテリの電圧値が所定の第2の基準電圧値以下になったか否かを判定するバッテリ監視手段と、
前記バッテリ監視手段が前記バッテリの電圧値が所定の第2の基準電圧値以下になったと判定したとき、判定結果をシステム制御部に出力する通知手段と、
をさらに備えた、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電源制御装置。
【請求項6】
システム制御部と、外部電源から電源供給を受けて前記システム制御部へ電源を供給する電源制御装置とを備える情報処理装置であって、
前記システム制御部は、前記外部電源の電圧値が所定の第1の基準電圧値以下になったときの前記情報処理装置のデータを保持する記憶素子を備え、
前記電源制御装置は、
前記外部電源から電源供給を受けて蓄電されるコンデンサと、
前記外部電源から電源供給を受けて充電されるバッテリと、
前記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下になったか否かを判定する外部電源監視手段と、
前記外部電源監視手段により前記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下と判定されたときに、前記システム制御部に対する電源供給を、前記外部電源による電源供給からコンデンサによる電源供給に切り替える第1の切替手段と、
記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下になったと判定されたとき、前記バッテリによる電源供給を前記記憶素子に直接供給するDC電源切替手段と、
前記コンデンサからの電源供給時において、前記コンデンサの電荷量が所定の基準電荷量以下になったか否かを判定するコンデンサ監視手段と、
前記コンデンサ監視手段がコンデンサの電荷量が所定の基準電荷量以下になったと判定したときに、前記システム制御部に対する電源供給を、前記コンデンサによる電源供給から前記バッテリによる電源供給に切り替える第2の切替手段と、
前記第2の切替手段による出力電源を前記システム制御部に供給する電源供給手段と、
を備えている情報処理装置。
【請求項7】
前記電源制御装置は、
前記バッテリからの電源供給時において、前記バッテリの電圧値が所定の第2の基準電圧値以下になったか否かを判定するバッテリ監視手段と、
前記バッテリ監視手段が前記バッテリの電圧値が所定の第2の基準電圧値以下になったと判定したとき、判定結果をシステム制御部に出力する通知手段と、
をさらに備えた、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記システム制御部は、
前記電源制御装置から、前記バッテリの電圧値が所定の第2の基準電圧値以下になったと通知されたときに、OSの制御処理をするシステム制御手段を備えた請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記システム制御手段は、前記OSの制御処理を完了した後、前記外部電源監視手段により前記外部電源の電圧値が所定の第1の基準電圧値を上回ったと判定されたときに、前記OSの起動を行う請求項8に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電源制御装置および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器や放送機器、工場設備などの産業システム分野で使用される情報処理装置は、高信頼性が求められている。このため、情報処理装置の内部または外部に補助電源装置を設けて、システム稼働中に停電や電源トラブルが発生した場合であっても、一定時間、情報処理装置に電源のバックアップをすることで、システムを継続動作させ、プログラムやデータの破壊などの障害発生を防止するようになっている。
【0003】
補助電源装置に使用されるバッテリには充電可能な2次電池が一般に使用されている。2次電池には鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などがあり、これらの2次電池は、充放電回数が増えるほど寿命が短くなるという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−16996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、バッテリの長寿命化を可能とする電源制御装置および情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、実施形態の電源制御装置は、外部電源から電源供給を受けて、情報処理装置のシステム制御部へ電源を供給する電源制御装置であって、前記外部電源から電源供給を受けて蓄電されるコンデンサと、前記外部電源から電源供給を受けて充電されるバッテリと、前記外部電源の電圧値が所定の第1の基準電圧値以下になったか否かを判定する外部電源監視手段と、前記外部電源監視手段により前記外部電源の電圧値が所定の第1の基準電圧値以下と判定されたときに、前記システム制御部に対する電源供給を、前記外部電源による電源供給から前記コンデンサによる電源供給に切り替える第1の切替手段と、前記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下になったと判定されたとき、前記バッテリによる電源供給を、前記システム制御部に備えられかつ前記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下になったときの前記情報処理装置のデータを保持する記憶素子に対して、直接供給するDC電源切替手段と、前記コンデンサからの電源供給時において、前記コンデンサの電荷量が所定の基準電荷量以下になったか否かを判定するコンデンサ監視手段と、前記コンデンサ監視手段がコンデンサの電荷量が所定の基準電荷量以下になったと判定したときに、前記システム制御部に対する電源供給を、前記コンデンサによる電源供給から前記バッテリによる電源供給に切り替える第2の切替手段と、前記第2の切替手段による出力電源を前記システム制御部に供給する電源供給手段と、を具備している。
【0007】
また、実施形態の情報処理装置は、システム制御部と、外部電源から電源供給を受けて前記システム制御部へ電源を供給する電源制御装置とを備える情報処理装置であって、前記システム制御部は、前記外部電源の電圧値が所定の第1の基準電圧値以下になったときの前記情報処理装置のデータを保持する記憶素子を備え、前記電源制御装置は、前記外部電源から電源供給を受けて蓄電されるコンデンサと、前記外部電源から電源供給を受けて充電されるバッテリと、前記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下になったか否かを判定する外部電源監視手段と、前記外部電源監視手段により前記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下と判定されたときに、前記システム制御部に対する電源供給を、前記外部電源による電源供給からコンデンサによる電源供給に切り替える第1の切替手段と、前記外部電源の電圧値が前記第1の基準電圧値以下になったと判定されたとき、前記バッテリによる電源供給を前記記憶素子に直接供給するDC電源切替手段と、前記コンデンサの電荷量が所定の基準電荷量以下になったか否かを判定するコンデンサ監視手段と、前記コンデンサからの電源供給時において、前記コンデンサ監視手段がコンデンサの電荷量が所定の基準電荷量以下になったと判定したときに、前記システム制御部に対する電源供給を、前記コンデンサによる電源供給から前記バッテリによる電源供給に切り替える第2の切替手段と、前記第2の切替手段による出力電源を前記システム制御部に供給する電源供給手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態である電源制御装置を備えた情報処理装置の構成図。
図2】本発明の第1の実施形態の電源制御装置による電源バックアップのフローチャート図。
図3】本発明の第2の実施形態である電源制御装置を備えた情報処理装置の構成図。
図4】本発明の第2の実施形態の電源制御装置による電源バックアップのフローチャート図。
図5】本発明の第3の実施形態である電源制御装置を備えた情報処理装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の電源制御装置を備えた情報処理装置を図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態である電源制御装置を備えた情報処理装置の構成図である。
【0011】
図1において情報処理装置1は、電源制御装置19とシステム制御部20とから構成されている。電源制御装置19は外部のAC電源をDC電源に変換して、システム制御部20へDC電源の供給をする電源制御装置である。電源制御装置19は電源ユニット2、EDLC(電気二重層コンデンサ(Electric Double Layer Capacitor))7、EDLC切替回路11、EDLC監視回路13、バッテリ(2次電池)8、バッテリ切替回路12を備える。システム制御部20はCPUのオペレーティングシステム(以下、OSと称する)によりシステム制御を行う処理部である。システム制御部20はCPU基板3、ハードディスク4、光学ドライブ5、冷却ファン6を備える。
【0012】
電源ユニット2はAC/DC変換回路9とAC電源監視回路10を備える。AC/DC変換回路9は、外部より入力される商用電力であるAC電源を整流してDC電源に変換する回路である。AC/DC変換回路9の出力は後述のEDLC切替回路11に接続されている。AC電源監視回路10は、AC電源のAC電源電圧が予め設定したAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)以下に低下したか否かを判定することで、AC電源が電圧低下をしているか否かを監視する回路である。AC電源の電圧低下が検出された場合、AC電源監視回路10は後述のEDLC切替回路11に、検出信号としてAC電源電圧低下検出信号を出力する。
【0013】
EDLC切替回路11はシステム制御部20へ供給するDC電源を、AC/DC変換回路9からのDC電源とするか、EDLC7によるDC電源とするかに切り替える回路であり、EDLC7と後述のバッテリ切替回路12とに接続されている。
【0014】
AC電源の電圧低下が発生していないとき、AC電源監視回路10がAC電源の電圧低下を検出しないため、EDLC切替回路11はAC電源監視回路10よりAC電源電圧低下検出信号を受信しない。そして、EDLC切替回路11は、AC/DC変換回路9からのDC電源によってバッテリ切替回路12を介してシステム制御部20にDC電源を供給すると共に、EDLC7に蓄電をする。これにより、EDLC7は蓄電回路としての機能を有する。一方、AC電源の電圧低下が発生した場合、AC電源監視回路10がAC電源の電圧低下を検出するため、EDLC切替回路11はAC電源監視回路10よりAC電源電圧低下検出信号を受信する。このとき、EDLC切替回路11は、バッテリ切替回路12を介したシステム制御部20へのDC電源供給を、AC/DC変換回路9からのDC電源に替えてEDLC7からのDC電源に切り替える。
【0015】
EDLC監視回路13はEDLC7に蓄えられている電荷の残量を監視する回路である。EDLC監視回路13はEDLC7よりシステム制御部20へDC電源の供給をしているとき、EDLC7の電荷の残量が予め設定した判定基準電荷量以下に低下した場合、バッテリ切替回路12にEDLC7の電荷量低下を示す、EDLC電荷量低下検出信号を出力する。
【0016】
バッテリ切替回路12はシステム制御部20へのDC電源の供給を、AC/DC変換回路9からのDC電源、若しくはEDLC7からのDC電源とするか、又は、バッテリ8によるDC電源の供給とするかを切り替える回路であり、バッテリ8とシステム制御部20の各種回路とに接続されている。
【0017】
バッテリ切替回路12はAC/DC変換回路9からDC電源を受けているとき、システム制御部20にDC電源を供給すると共に、バッテリ8に充電をする。一方、AC電源の電圧低下が発生し、EDLC7からDC電源が供給され、且つ、EDLC監視回路13からEDLC電荷量低下検出信号を受信した場合、バッテリ切替回路12はシステム制御部20へのDC電源供給を、EDLC7からバッテリ8に切り替え、バッテリ8による電源バックアップに切り替える。
【0018】
システム制御部20のCPU基板3は、内部制御回路15、拡張カード16、DC電源降圧回路17、リアルタイムクロック回路(以下、RTCと称する)およびメモリ18などを備える。これらの回路は、バッテリ切替回路12からDC電源を供給されている。内部制御回路15はCPUのOSによりシステムを制御する回路である。拡張カード16はシステム処理部20の機能を拡張するための、プリント基板を内蔵したカードである。DC電源降圧回路17は後述のRTCおよびメモリ18にDC電源を供給するための回路であり、RCTおよびメモリ18の動作電圧まで電圧を降下させる。RTCおよびメモリ18はシステム制御部20にDC電源が供給されておらず、情報処理装置のシステムが停止している間、一次電池などのDC電源(図示せず)にて駆動し、時間やデータを保持している記憶素子である。RTCおよびメモリ18はDC電源降圧回路17にて電源降圧したDC電源の供給を受けている。
【0019】
また、上記の回路のほかに、ハードディスクドライブ4、光学ドライブ5、冷却ファン6がCPU基板3に接続されており、バッテリ切替回路12からDC電源を供給されている。
【0020】
EDLC脱着用コネクタ21aはEDLC7を取り付けるコネクタであり、電源制御装置19からEDLC7の脱着を可能としている。また、バッテリ脱着用コネクタ21bはバッテリ8を取り付けるコネクタであり、電源制御装置19からバッテリ8の脱着を可能としている。ここで、システム制御部20はバッテリ切替回路12からDC電源の供給を受けているため、電源制御装置19にとって、負荷の部分となる。EDLC7およびバッテリ8は、システム制御部20の構成(負荷)に応じてEDLC7やバッテリ8が出力するDC電源の容量を調整することが可能である。例えば、ハードディスクドライブ4や拡張カード16との接続数の増加に合わせて、EDLC7およびバッテリ8は増設や大容量のものとの交換を行うことで、EDLC7やバッテリ8が出力するDC電源の容量の変更が可能である。
【0021】
また、EDLC7およびバッテリ8は脱着の際、それぞれ独立して脱着可能であるとして、EDLC7やバッテリ8が出力するDC電源の容量調整を行うこともできる。また、EDLC7およびバッテリ8を一体としたユニットを構成して、ユニット単位での脱着を可能としてもよい。
【0022】
図2は第1の実施形態の電源制御装置の電源バックアップのフローチャート図である。本実施形態の作用についてフローチャート図を参照して説明する。
【0023】
本実施形態の電源制御装置は、電源ユニット2内のAC/DC変換回路9において外部から供給される電源のAC電源をDC電源に変換する。電源ユニット2はAC/DC変換回路9にて変換されたDC電源について、EDLC切替回路11及びバッテリ切替回路12を経てシステム制御部20に供給を開始する(ステップS1)。そして、DC電源の供給を受けたシステム制御部20はCPUのOSを起動する(ステップS2)。AC/DC変換回路9にて変換されたDC電源は、システム制御部20に供給されると共に、EDLC切替回路11を介してEDLC7に供給され、EDLC7に蓄電し、更にバッテリ切替回路12を介してバッテリ8へ供給され、バッテリ8を充電する(ステップS3)。
【0024】
また、AC電源監視回路10はAC電源の状態を監視し、AC電源のAC電源電圧が予め設定したAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)以下に低下したか否か(AC電源電圧が電圧低下したか否か)を判定している(ステップS4)。AC電源電圧がAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)以下に低下したと判定しない場合は、即ちAC電源電圧に電圧低下が認められないときは(ステップS4のNO)、AC電源電圧低下検出信号を出力しない。これにより、AC/DC変換回路9から、EDLC7、バッテリ8、システム制御部20へのDC電源の供給を継続させる。一方、AC電源監視回路10は、AC電源電圧がAC電源判定基準電圧値以下に低下したと判定した場合は(ステップS4のYES)、EDLC切替回路11にAC電源電圧低下検出信号を出力する。
【0025】
EDLC切替回路11は、AC電源監視回路10からAC電源電圧低下検出信号を受信すると、AC/DC変換回路9からのDC電源の供給に替えて、蓄電回路のEDLC7のDC電源をシステム制御部20に供給することで、EDLC7による電源バックアップを行う(ステップS5)。
【0026】
続いて、EDLC監視回路13は、電源バックアップ中の蓄電回路のEDLC7の電荷の容量(残量)を監視し、予め設定した判定基準電荷容量以下の容量に低下したかどうかを判定する(ステップS6)。
【0027】
EDLC監視回路13において、EDLC7の容量が判定基準電荷容量よりも上回っていたと判定され(ステップS6のNO)、且つ、AC電源監視回路10においてAC電源電圧が電圧低下しているとの判定が継続している場合(ステップS7のYES)は、EDLC7からの電源バックアップを継続させる。一方、AC電源監視回路10においてAC電源電圧の復電を検出した場合、即ち、AC電源監視回路10が、AC電源電圧がAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)を上回る値に戻ったと判定した場合(ステップS7のNO)、AC電源監視回路10は、EDLC切替回路11へのAC電源電圧低下検出信号の出力を停止する。EDLC切替回路11はAC電源監視回路10からのAC電源電圧低下検出信号の出力が停止されると、システム制御部20へのDC電源供給を、蓄電回路のEDLC7から、電源ユニット2のAC/DC変換回路9に復帰をするよう切り替えをする。
【0028】
また、ステップS6において、EDLC監視回路13がEDLC7の容量が判定基準電荷容量以下に下回ったと判定した場合(ステップS6のYES)、EDLC監視回路13はバッテリ切替回路12に検出信号としてEDLC電荷量低下検出信号を出力する。EDLC電荷量低下検出信号を受信したバッテリ切替回路12は、EDLC7に替えてバッテリ8からDC電源を供給するよう切り替えをし、即ち、バッテリ8によるバックアップに切り替えて(ステップS8)、バッテリ8からシステム制御部20にDC電源を供給する(ステップS9)。
【0029】
本実施形態について、AC電源の電圧低下とは電圧の低下のほかに、1秒未満の停電(以下、瞬停と称する)や1秒以上の停電も含めるものとする。また、他の実施形態においても同様とする。
【0030】
これにより本実施形態は瞬停などEDLC7からの電源供給のみでシステム制御部20のバックアップが可能な場合は、バッテリ8からの電源供給をすることなく、電源のバックアップをすることができる。また、一般に瞬停は1秒以上の停電より発生頻度が多いことから、EDLC7のみによる電源供給の機会が多くなる。このことから、バッテリ8のみの電源供給と比較して、バッテリの充放電回数が減少することから、バッテリ8の長寿命化を可能にする効果を有する。
【0031】
(第2の実施形態)
図3は第2の実施形態の構成を示したものである。本実施形態は第1の実施形態の電源制御装置にバッテリ監視回路14を付加した構成である。バッテリ監視回路14は、バッテリ8からのDC電源を供給しているとき、バッテリ8の電圧を監視し、バッテリ8の電圧が予め設定したバッテリ判定基準電圧値(第2の基準電圧値)以下に低下した場合、CPU基板3の内部制御回路15にバッテリ8の電圧低下を示すバッテリ電圧低下検出信号を出力する。
【0032】
内部制御回路15は、バッテリ切替回路12を介してバッテリ8からDC電源を供給され、ハードディスク4、光学ドライブ5を制御している。内部制御回路15は、電源ユニット2内のAC電源監視回路10よりAC電源電圧低下検出信号を受信し、且つ、バッテリ監視回路14よりバッテリ電圧低下検出信号を受信した場合、CPUのOSをシャットダウンし、OSのシャットダウンが完了してから、DC電源の出力を停止するようDC電源出力制御信号を、電源ユニット2内のAC/DC変換回路9およびバッテリ切替回路12に出力する。ここで、少なくともOSのシャットダウンの処理はOSの制御処理に含まれるものとする。
【0033】
また、本実施形態においては、第1の実施形態と同様、RTCおよびメモリ18はバッテリ切替回路12からDC電源を受け、DC電源降圧回路17にて電源降圧させたDC電源の供給を受ける。
【0034】
さらに、本実施形態においては、第1の実施形態と同様、EDLC7およびバッテリ8は本実施形態の電源制御装置からの脱着を可能として、システム制御部20の構成(負荷)に応じて、EDLC7やバッテリ8が出力するDC電源の容量を調整することを可能としてもよい。脱着の際、EDLC7およびバッテリ8はそれぞれ独立して脱着可能として、EDLC7やバッテリ8が出力するDC電源の容量調整を行うこともできる。また、EDLC7およびバッテリ8を一体としたユニットを構成して、ユニット単位での脱着を可能としてもよい。
【0035】
図4は第2の実施形態の電源制御装置の電源バックアップのフローチャート図である。本実施形態の作用についてフローチャート図を参照して説明する。
【0036】
本実施形態のフローチャートは、第1の実施形態のバッテリ8からのバックアップ切り替えによるシステム制御部20への電源供給までのステップS1からステップS9までは、第1の実施形態と同じ処理であるので説明を省略する。
【0037】
バッテリ8によるバックアップをするようバッテリ切替回路12が切り替えをし(ステップS8)、システム制御部20にバッテリ8のDC電源を供給しているとき(ステップS9)、バッテリ監視回路14が、電源バックアップ中のバッテリ8のDC電源の電圧を監視し、バッテリ8のDC電源の電圧がバッテリ判定基準電圧値(第2の基準電圧値)以下に低下したかどうかを判定する(ステップS10)。
【0038】
バッテリ監視回路14において、バッテリ8の電圧がバッテリ判定基準電圧値(第2の基準電圧値)よりも上回っていたと判断され(ステップS10のNO)且つ、AC電源監視回路10においてAC電源電圧が電圧低下していると継続して判断されている場合、即ち、AC電源監視回路10が、AC電源電圧がAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)以下であるという判定を継続している場合(ステップS11のYES)はバッテリ8からDC電源を供給する電源バックアップを継続させる。
【0039】
一方、AC電源監視回路10が、AC電源電圧の復電を検出した場合、即ち、AC電源監視回路10が、AC電源電圧がAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)を上回る値に戻ったと判定した場合(ステップS11のNO)、AC電源監視回路10はEDLC切替回路11およびバッテリ切替回路12へのAC電源電圧低下検出信号の出力を停止する。バッテリ切替回路12はAC電源監視回路10からのAC電源電圧低下検出信号の出力が停止されると、システム制御部20へのDC電源供給を、バッテリ8からのDC電源供給から、電源ユニット2のAC/DC変換回路9からのDC電源供給に復帰をするよう切り替えをする。
【0040】
また、ステップS10において、バッテリ監視回路14が、バッテリ8の電圧がバッテリ判定基準電圧値(第2の基準電圧値)以下に下回っていたと判断した場合(ステップS10のYES)は、バッテリ監視回路14はCPU基板3内の内部制御回路15にバッテリ電圧低下検出信号を出力する。バッテリ電圧低下検出信号を受信した内部制御回路15は、強制的にOSのシャットダウン処理を開始して(ステップS12)、OSのシャットダウン処理を完了させる(ステップS13)。OSのシャットダウン処理を完了させた後に(ステップS13)、電源ユニット2内のAC電源監視回路10は、AC電源の電圧低下が継続しているか否かを判定する(ステップS14)。
【0041】
この判定において、AC電源電圧が電圧低下していると継続して判定されている場合とは、AC電源監視回路10は、AC電源電圧がAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)以下である、という判定を継続している場合である(ステップS14のYES)。この場合は、AC電源監視回路10はAC電源電圧低下検出信号を内部制御回路15に出力する。AC電源監視回路10よりAC電源電圧低下検出信号を受信した、内部制御回路15はCPU基板3に接続されている回路のアドレスに1をセットした後、バッテリ切替回路12に電源供給停止のDC電源出力制御信号を出力する。これにより、バッテリ8によるシステム制御部20へのDC電源の供給が停止される(ステップS16)。一方、AC電源監視回路10においてAC電源が復帰したと判定した場合、即ち、AC電源監視回路10が、AC電源電圧がAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)を上回る値に戻ったと判定した場合(ステップS14のNO)、AC電源監視回路10は内部制御回路15へのAC電源電圧低下検出信号の出力を停止する。内部制御回路15はAC電源監視回路10からのAC電源電圧低下検出信号の出力が停止されると、CPU基板3に接続されている回路のアドレスに0を入力しリセットする(ステップS15)。その後、AC電源の復帰により、電源ユニット2はDC電源について、EDLC切替回路11及びバッテリ切替回路12を経てシステム制御部20に供給を開始する(ステップS1)。内部制御回路15は、電源ユニット2からDC電源の供給が再開され、CPUのOSを再起動する(ステップS2)。
【0042】
なお、OSシャットダウン処理が完了した後にAC電源が復帰した場合(ステップS14のNO)において、内部制御回路15は、第1の判定基準電圧値以下の電圧および第2の判定基準電圧値以下の電圧がシステム処理部20に印加されないように、AC/DC変換回路9およびバッテリ切替回路12に電源供給停止のDC電源出力制御信号を出力し、システム制御部20へのDC電源の供給を一時的に停止しても良い。その後、内部制御回路15はDC電源出力制御信号の出力を停止し、電源ユニット2からDC電源の供給が再開させ(ステップS1)、OSを再起動することができる(ステップS2)。
【0043】
また、本実施形態においては、内部制御回路15がバッテリ監視回路14よりバッテリ電圧低下検出信号を受信した場合、OSのシャットダウン処理を開始するとしたが(ステップS12)、シャットダウン処理をする前に、スリープモードや休止状態などの省電力状態にし、AC電源の回復を待ち、回復しなかった場合、シャットダウン処理をしても良い。これらのOSの制御処理には少なくともOSのシャットダウン処理が含まれるものとする。
【0044】
以上より、本実施形態は、OSシャットダウン後に、外部電源の電圧を監視し、復電していると判断した場合は自動的に電源ユニット2からのDC電源出力を再開することができるという効果がある。
【0045】
また、本実施形態は、停電が長時間継続し、バッテリ8の電源容量不足による電圧低下が生じ、システム制御部20のCPUのOSが正常に終了されない事態を回避する効果を有する。また、バッテリ8が完全に放電されることにより寿命低下することも避けられる。
【0046】
更に、本実施形態は第1の実施形態と同様に、瞬停などEDLC7からの電源供給のみでシステム制御部20のバックアップが可能な場合は、バッテリ8からの電源供給をすることなく、電源のバックアップをすることができる。このことからバッテリ8のみの電源供給と比較して、バッテリの充放電回数が減少することから、バッテリの長寿命化を可能にする効果を有する。
【0047】
(第3の実施形態)
図5は第3の実施形態の構成を示したものである。本実施形態は第2の実施形態にさらに、RTCおよびメモリ18への電源供給をバッテリ8から直接供給する、DC電源切替回路22を備えている。DC電源切替回路22は、AC電源に第1の基準電圧値を下回る、電圧低下が検出された場合に、バッテリ8からRTCおよびメモリ18へ直接DC電源を供給するためのものである。
【0048】
外部のAC電源からDC電源供給が行われている場合、RCTおよびメモリ18へ供給されるDC電源はバッテリ切替回路12を介して供給されている。ここで、AC電源の電圧低下がAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)を下回るとAC電源監視回路10にて判定された場合、AC電源監視回路10からAC電源電圧低下検出信号がDC電源切替回路22に出力される。DC電源切替回路22は、AC電源監視回路10からのAC電源電圧低下検出信号を受けたときに、バッテリ切替回路12を経由せず、バッテリ8から直接、バッテリ8のDC電源をDC電源降圧回路17に供給するよう切り替えを行う。その後、AC電源の電圧がAC電源判定基準電圧値(第1の基準電圧値)よりも上回った場合は、DC電源切替回路22は、バッテリ切替回路12を介して、RTCおよびメモリ18へDC電源の供給をうけるよう切り替えを行う。
【0049】
また、AC電源の電圧低下が続き、バッテリ8の電圧がバッテリ判定基準電圧値(第2の基準電圧値)よりも下回わり、内部制御回路15がOSのシャットダウン処理を完了した場合、DC電源切替回路22は、バッテリ8から直接、バッテリ8のDC電源をDC電源降圧回路17に供給するよう切り替えを行う。RTCおよびメモリ18は内部制御回路15や拡張カードと比べて消費電力が小さいため、情報処理装置1が停止している間、バッテリ8の電圧がバッテリ判定基準電圧値(第2の基準電圧値)よりも下回っていても、バッテリ8の残った容量による電圧でも充分にデータの保持が可能である。
【0050】
また、OSシャットダウン処理後、AC電源が復帰していた場合は、RCTおよびメモリ18への電源供給はAC電源からの電源供給とし、バッテリ切替回路12からの電源供給へと再び切り替えることとなる。
【0051】
これにより本実施形態は、情報処理装置の電源供給が停止した後でもバッテリ8からRTCおよびメモリ18への電源供給が可能となる。このため、一般に使用されている1次電池等を省くことが可能となる。
【0052】
本実施形態は、第1の実施形態および第2の実施形態と同様、EDLC7およびバッテリ8は本実施形態の電源制御装置からの脱着を可能として、システム制御部20の構成(負荷)に応じて、EDLC7やバッテリ8が出力するDC電源の容量を調整することを可能としてもよい。脱着の際、EDLC7およびバッテリ8はそれぞれ独立して脱着可能として、EDLC7やバッテリ8が出力するDC電源の容量調整を行うこともできる。また、EDLC7およびバッテリ8を一体としたユニットを構成して、ユニット単位での脱着を可能としてもよい。
【0053】
なお、第1の実施形態乃至第3の実施形態について、電源制御装置は、システム制御部20と同一筐体内に存在しているが、外部からの接続する無停電電源装置として独立した筐体としてもよい。
【0054】
また、第1の実施形態乃至第3の実施形態について、EDLCを挙げ説明したが、コンデンサであれば、EDLCに限定する必要はない。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、そのほかの様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1‥‥情報処理装置、2‥‥電源ユニット、3‥‥CPU基板、4‥‥ハードディスクドライブ、5‥‥光学ドライブ、6‥‥冷却ファン、7‥‥EDLC(電気二重層コンデンサ)、8‥‥バッテリ(2次電池)、9‥‥AC/DC変換回路、10‥‥AC電源監視回路、11‥‥EDLC切替回路、12‥‥バッテリ切替回路、13‥‥EDLC監視回路、14‥‥バッテリ監視回路、15‥‥内部制御回路、16‥‥拡張カード、17‥‥DC電源降圧回路、18‥‥RTCおよびバックアップメモリ、19‥‥電源制御装置、20‥‥システム制御部、21a‥‥ELDC脱着用コネクタ、21b‥‥バッテリ脱着用コネクタ、22‥‥DC電源切替回路。
図1
図2
図3
図4
図5