(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の組合せ秤において、前記零点調整間隔の生成手段は、前記各計量器ごとに、前回の零点計測タイミング及び前記今回の零点計測タイミングの間の間隔と、前記前回の零点計測タイミングの零点重量値及び前記今回の零点計測タイミングの零点重量値の変動量とに基づいて、零点計測間隔を算出し、算出された前記零点調整間隔を、前記手動間隔変更指令手段による指令によって修正するために出力する組合せ秤。
請求項1に記載の組合せ秤において、前記零点調整間隔の生成手段は、前記零点調整間隔が前記稼動運転開始からの経過時間に応じた長さに設定する設定手段を有し、設定された前記各計量器の前記零点調整間隔を、前記手動間隔変更指令手段による指令によって修正するために出力する組合せ秤。
請求項2に記載の組合せ秤において、前記零点調整間隔の生成手段が、前記零点計測間隔を、零点計測タイミングごとに生成し、この生成された零点調整間隔を表示する表示手段を有する組合せ秤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の稼動運転時には、組合せ秤に含まれている各計量ホッパから物品が排出されると、その計量ホッパの上部に配置されている供給ホッパから直ちに物品が、その計量ホッパに供給される。零点調整するためには、計量ホッパに物品が供給されていない状態における荷重センサからの重量信号(零点重量値)を正確に測定する必要がある。従って、組合せ秤の稼動運転中に零点調整をする場合、稼動運転中に計量ホッパに対して物品が供給されていない状態を強制的に一定時間以上に亘って作り、その後計量ホッパの荷重センサの重量信号が安定した状態で、零点重量値を取得し、零点調整される。
【0005】
零点調整するタイミングに到達した計量ホッパは空なので、組合せ演算に参加できず、組合せ演算に参加する計量ホッパの数が少なくなる分だけ組合せ演算の精度が低下し、下限重量値に対する歩留まりが低下する。従って、組合せ精度維持の観点からは、一つ一つの計量ホッパの零点調整の実施間隔は、できるだけ長く取ることが望ましい。
【0006】
一方、零点調整の実施間隔を長く取りすぎると、その間に計量ホッパの荷重センサの零点が大きくドリフトしたり、計量ホッパに付着物が大きく堆積したりして、零点重量値が大きく変動し、組合せ演算によって得られた組合せ品の実量精度が低下する。また、組合せ秤の稼動運転中に被計量物の性状が変化すると、被計量物の計量ホッパへの付着量が変化し、零点変動量の大きさも変化し、組合せ演算によって得られた組合せ品の実量精度が低下する。従って、実量精度維持の観点からは、一つ一つの計量ホッパの零点調整の実施間隔は、できるだけ短く取ることが望ましい。
【0007】
このように零点調整の実施間隔を短く設定すると、各計量ホッパの計量値の精度を高められるが、組合せ精度の低下を招き、組合せ精度を維持しようと零点調整の実施間隔を長く設定すると、実量精度が低下し、組合せ精度と実量精度とはトレードオフの関係にある。従って、組合せ精度と実量精度とを考慮した適切な稼動運転時の零点調整の実施間隔の設定が必要になる。
【0008】
また、零点調整の実施間隔を作業員が手動で設定することも行われているが、この手動設定は、作業員の経験と勘とに頼ったものであるので、経験の浅い作業員では各計量ホッパにおける現在の零点変動の状況に応じて適切に零点調整の実施間隔を設定することが難しかった。
【0009】
本発明は、手動で零点調整の指令を与える場合に、組合せ精度と実量精度との両面から最適に組合せ品を生産できるようにする組合せ秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様の組合せ秤は、供給手段によって供給された被計量物の重量を計量する複数の計量器を有している。計量器は、例えば、計量ホッパに、その内部に供給された被計量物の重量を計量する荷重センサを設けたものとすることができる。前記複数の計量器で計量された前記被計量物の重量の組合せ演算を組合せ演算手段が行う。前記複数の計量器ごとに自動零点調整手段が自動的に零点調整を行う。自動零点調整は、稼動運転中の前記計量器に前記被計量物が非供給の状態である零点計測タイミングにおける前記計量器の重量値である零点重量値を測定することによって行われる。前記各計量器に対して、今回の零点計測タイミングから次回の零点計測タイミングまでの間隔である零点調整間隔の修正を、作業者の手動操作によって行えるように手動間隔変更指令手段が指令する。前記計量器の零点変動の状況に応じた前記零点調整間隔を、零点調整間隔生成手段が生成する。前記稼働運転中に、前記零点調整間隔の生成手段によって生成された前記計量器の零点変動の状況に応じた前記零点調整間隔に基づいて、前記各計量器の前記零点調整間隔を、前記手動間隔変更指令手段による指令によって修正手段が修正する。
【0011】
このように構成すると、零点調整間隔生成手段が計量器の零点変動の状況に応じた零点調整間隔を生成するので、この生成された零点調整間隔を基に、作業員が手動間隔変更指令手段を操作するか否かを決定することができる。しかも、この修正は、手動間隔変更指令手段が指令したときのみに実行されるので、作業員が組合せ秤における作業状態を勘案して、最適な時期に零点調整実施間隔を修正することができる。
【0012】
零点調整間隔の生成手段は、前記稼働運転中に、前記各計量器ごとに、前回の零点計測タイミング及び前記今回の零点計測タイミングの間の間隔と、前記前回の零点計測タイミングの零点重量値及び前記今回の零点計測タイミングの零点重量値の変動量とに基づいて、零点計測間隔を、算出し、算出された前記各計量器の前記零点調整間隔を、前記手動間隔変更指令手段による指令によって修正するために出力するものである。
【0013】
このように構成すると、前回の零点計測タイミングと今回の零点計測タイミングとの間の間隔と、前記前回の零点計測タイミングの零点重量値と前記今回の零点計測タイミングの零点重量値との間の変動量とに基づいて、即ち零点変動率に応じて零点計測間隔が零点調整間隔の生成手段によって算出される。手動間隔変更指令手段が指令すると、修正手段によって算出された零点計測間隔に基づいて、今回の零点計測タイミングから次回の零点計測タイミングまでの間隔が、算出された修正値に置換される。これによって、零点変動率が大きい場合には、零点調整の間隔を短くし、零点変動率が小さい場合には、零点調整の間隔を長くして、組合せ精度と実量精度との調和を図ることができる。しかも、この修正値への置換は、手動間隔変更指令手段が指令したときのみに実行されるので、作業員が組合せ秤における作業状態を勘案して、最適な時期に零点調整実施間隔を修正することができる。
【0014】
前記零点調整間隔の生成手段は、前記零点計測タイミングごとに算出するものとできる。この場合、この算出された零点補正間隔が表示手段に表示される。このように構成すると、零点計測間隔が零点計測タイミングごとに表示されるので、その表示を見て、手動間隔変更指令手段を操作するか否かを判断することができる。
【0015】
零点調整間隔の生成手段は、前記零点計測間隔が前記稼動運転開始からの経過時間に応じた長さに設定する設定手段を有し、設定された前記各計量器の前記零点調整間隔を前記手動間隔変更指令手段による指令によって修正するために出力するものにできる。例えば、稼動運転開始時からの経過時間が短い間には、零点調整間隔を短くし、経過時間が長くなると、零点調整間隔を長くすることができる。
【0016】
このように構成すると、零点調整間隔を稼動運転開始からの経過時間に応じて、その経過時間に応じた長さに設定することができ、例えば稼動運転開始から経過時間が短く、組合せ秤自体の温度が安定していないような状態では、零点変動が大きいので、零点調整を頻繁に行えるように零点調整間隔を生成し、経過時間が長くなり、組合せ秤自体の温度が安定した状態では、零点調整間隔を短く生成することができる。このように稼動運転開始からの時間経過に伴う零点変動に応じた零点調整間隔を生成することができる。しかも、このように生成された零点調整間隔で零点調整を行うか否かは、作業員が組合せ秤における作業状態を勘案して、決定できる。
【0017】
また、設定手段によって設定された経過時間に応じて設定された経過時間に応じた長さの零点調整間隔を経過時間に応じて表示手段に表示することもできる。このように表示を行うと、設定された零点調整間隔が表示されているので、作業員がこれを参照して、手動間隔変更指令手段による指令を発生するか否かを決定することができる。
【0018】
現在実施されている零点調整間隔を表示手段に表示することもできる。このように構成すると、メンテナンス上重要な情報である現在実施されている零点調整間隔を作業員が確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、零点調整間隔生成手段によって零点調整間隔が生成され、これに基づく手動間隔変更指令手段の操作によって、最適な時期に組合せ秤における零点調整の間隔を修正することができ、実量精度を低下させずに、組合せ精度も低下させないようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の1実施形態の組合せ秤では、
図1に示すように、被計量物を振動によって放射状に分散させる分散装置2が設けられている。この分散装置2は、円錐形のトップコーン2aと、このトップコーン2aを振動させる振動源2bとを有している。トップコーン2aの上に供給されている被計量物(以下、物品と称する)は、振動によってトップコーン2aの周縁部方向に搬送される。トップコーン2の周縁部には、複数台、例えば10台のリニアフィーダ4が設けられている。リニアフィーダ4は、物品を直進搬送するためのトラフ4aと、トラフ4aを振動させるための振動源4bとを有している。
【0022】
各トラフ4aの先端には、複数台、例えば10台の供給ホッパ6が円周上に位置するように配置されている。それら供給ホッパ6の下方には、計量器8の計量ホッパ8aがそれぞれ配置されている。各計量ホッパ8aの下方には更にメモリホッパ10が合計で10台配置されている。供給ホッパ6には、排出ゲート6aが設けられ、これを開くことによって、下方にある計量ホッパ8aに物品が供給ホッパ6から供給される。計量ホッパ8aには、荷重センサ、例えばロードセル(LC)8bが設けられている。ロードセル8bは、計量ホッパ8aの上方の供給ホッパ6から計量ホッパ8aに供給された物品を計量し、重量信号を生成する。計量ホッパ8aには2つの排出ゲート8c、8dが設けられている。排出ゲート8cを開くことによって、計量ホッパ8aの下方にあるメモリホッパ10に計量ホッパ8a内の物品が供給される。排出ゲート8dを開くことによって、計量ホッパ8a内の物品が集合シュート12に排出される。各メモリホッパ10は、集合シュート12の内部に配置されている。メモリホッパ10にも排出ゲート10aが設けられ、これを開くことによって、その内部の物品が集合シュート12に排出される。
【0023】
図2に示すように、各ロードセル8bの出力は、A/D変換部14によってデジタル化されて、演算制御部16に供給される。演算制御部16は、ゲート駆動部18を介して供給ホッパゲート6a、計量ホッパゲート8c、8d及びメモリホッパゲート10aを制御し、振動制御部20を介して分散装置振動源2b及び直進フィーダ振動源4bを制御する。演算制御部16は、これらの制御を、記憶部22に記憶されているプログラムに基づいて行う。記憶部22は、これらの制御の際のワークエリアとして使用される。これら制御に使用するデータの設定と、組合せ秤の運転状態を表すデータの表示とは、演算制御部16に設けられている操作設定表示器24によって行われる。なお設定されるデータとしては、目標重量、目標重量に対する許容値、例えば許容上限重量等がある。
【0024】
組合せ秤の稼動運転時に、物品は、供給ホッパ6から、その下方の計量ホッパ8aに収容される。その物品の重量はロードセル8bによって測定されて、演算制御部16に供給され、各計量ホッパ8aでの物品の重量として記憶される。計量ホッパ8aによって計量された物品は、その下方のメモリホッパ10に収容され、その物品の重量は演算制御部16において当該メモリホッパ10の物品の重量として記憶される。なお、空になった計量ホッパ8aには、その上方の供給ホッパ6から物品が供給され、計量が行われ、その重量は演算制御部16に記憶される。
【0025】
集合シュート12に直接に物品を排出可能な計量ホッパ8aとメモリホッパ10とに収容されている物品の重量を対象として、演算制御部16において組合せ演算が行われ、組合せ重量の中から目標重量に等しいか最も近い組合せ重量が選択される。その選択された組合せ重量が許容上限重量以下であると、選択された物品を収容している計量ホッパ8aやメモリホッパ10から集合シュート12に物品が排出される。メモリホッパ10から物品が排出され、その上部の計量ホッパ8aに物品が存在していると(選択された重量の組合せに含まれていないと)、その上部の計量ホッパ8aからメモリホッパ10に物品が移され、選択された重量の組合せに含まれた計量ホッパ8aや、メモリホッパ10に物品を移した計量ホッパ8aには、それらの上部の供給ホッパ6から物品が供給される。以下、同様に繰り返される。
【0026】
以下、本実施態様の零点調整操作の原理について説明する。組合せの対象となる重量値の個数が多いほど組合せ個数が多くなるので、目標重量に近い組合せ重量が存在する確率が大きくなり、商品重量値の平均歩留まりが向上する。従って、計量ホッパ8aが空になると直ちに供給ホッパ6から物品を供給することが、歩留まりを高く、かつ高い処理能力で商品を生産するために必要である。しかし、計量ホッパ8aに物品が付着したり、ロードセル8bに零点ドリフトがあったりするので、ロードセル8bの重量信号の零点が変動する。零点が変動すると、誤った重量値による組合せ選択になり、組合せ秤による重量測定値と実重量との間に誤差が生じる。
【0027】
従って、組合せ秤の稼動運転中に、ロードセル8bの重量信号が許容値を超えるような誤差を持たないように、重量信号の零点が許容値を超えてドリフトしない間隔で、各計量器8ごとに零点調整する必要がある。
【0028】
物品を計量ホッパ8aから排出したとき、重量信号に振動が発生するので、零点調整を行う計量器に対して、物品の排出開始時点から所定の安定待ち時間の経過後に精確な零点重量値を演算制御部16が取得する。安定待ち時間が経過するまで、計量ホッパ8aは空の状態で待たねばならない。その間も他の計量ホッパ8aやメモリホッパ10の物品を対象に組合せ演算は実施される。空の計量ホッパが存在する分、組合せ選択対象となる計量ホッパ8aの数が減少するので、組合せ精度が低下する確率が高くなる。
【0029】
そこで、複数の計量器8が同時に零点調整するように組合せ秤を構成すると、組合せの対象となる計量ホッパ8aの数が減少し、組合せ選択確率が更に低下し、組合せ重量値の歩留まり値が大きくなる確率が高まる。従って、この組合せ秤では、各計量ホッパ8aから物品が排出されるタイミングにおいて、1台の計量ホッパのみで零点調整する。
【0030】
零点調整において、まず、標準零点調整実施間隔を例えば次のように定める。ロードセル8bの動作が正常で、通常の使用状態における平均的な条件、即ち、組合せ秤の始動後、相当の通電時間を経ていて(ウォーミングアップ中で無く)、周囲温度が安定し、計量ホッパ8aへの物品の付着量が平均的な量であるときの零点変動量が、予め定めた零点変動許容値esの例えば30%以内である期間を、標準零点調整実施間隔Psと定める。この実施形態では、この期間を、組合せ選択が成立した回数によって表す。即ち、或る計量ホッパ8aが、標準零点調整実施間隔Psに対応する回数だけ組合せ選択が成立した時またはその後に、組合せに選択されて物品を排出すると、標準零点調整実施間隔が経過したとみなす。なお、直接に経過時間をカウントすることも可能である。
【0031】
この標準零点調整実施間隔をPsとすると、この標準零点調整実施間隔Psと、この標準零点調整実施間隔Psにおける零点重量の標準変動量との関係を、標準変動率Rsとし
Rs=0.3es/Ps
と表す。
【0032】
後述する動作シーケンスによって、前回の零点調整タイミング(零点調整タイミングは、いずれかの計量ホッパ8aから物品が排出されたタイミングである。)から今回の零点調整タイミングまでの零点調整間隔Pxにおける零点変動量WDxの絶対値を求めると、上記零点調整間隔Pxにおける零点変動率Rxは、
Rx=|WDx|/Px
で求まる。従って、標準変動量Rsに基づいた今回の零点調整タイミングから次回の零点調整タイミングまでの間隔である次回の零点調整実施間隔Px1を、
Px1=k・Ps・(Rs/Rx)
と算出する。算出された零点調整実施間隔Px1は、適正零点調整実施間隔として、現時点の零点調整実施間隔Pxと伴に、操作設定表示器24に表示される。このように演算制御部16が、零点調整間隔の生成手段として機能する。
【0033】
零点調整実施間隔変更指令手段として、操作設定表示器24に零点調整実施間隔変更スイッチが設けられている。作業者が零点調整実施間隔変更スイッチを操作すると、現時点の零点調整実施間隔は、PxからPx1に置換される。即ち、演算部16は修正手段としても機能する。
【0034】
この変更によって、今回の零点変動率Rxが大きいときには、次回の零点調整実施間隔Px1を、標準零点調整実施間隔Psよりも小さい値に修正し、今回の零点変動率Rxが小さいときには、次回の零点調整実施間隔Px1を、標準零点調整実施間隔Psよりも大きい値に修正する。なお、kは係数で、標準的には1が選択される。
【0035】
但し、零点調整実施間隔が余り短いと、度々空の計量ホッパ8aが存在し、組合せ精度を低下させるので、許容最小期間、即ち最小零点調整実施間隔を、予め定めた値、例えばPs/2と定め、この値以下には零点調整実施間隔を変更しない。
【0036】
一方、Ps/2の間隔であっても、零点変動量が予め定めた許容上限変動量、例えば0.9es(許容値esの90%)に達するような場合には、零点異常として警報信号を出力する。
【0037】
反対に、零点変動率Rxが小さいからといって、零点調整実施間隔が余り長すぎると、突然に予期しないトラブルが発生することもあるので、許容最長期間を、予め定めた値、例えば2Psとし、これ以上の値には、零点調整実施間隔を変更しない。
【0038】
上記警報信号を出力するために、現在の零点変動率による所定零点調整実施間隔、例えば最小零点調整実施間隔Ps/2の間の零点変動量WDmを各計量器ホッパ8aごとに算出する。WDmは、
WDm=Rx・(Ps/2)
である。この値を各計量ホッパ8a別に、WDmが算出されるごとに、操作設定表示器24に表示すれば、同じ間隔での各計量ホッパ8aの零点変動量が比較でき、また零点変動量の許容精度との比較も可能となる。また、最小零点調整実施間隔Ps/2の間に、許容値分の零点変動量が生じる事態は異常であるので、警報信号を出力する。これは、メンテナンス情報として有用である。
【0039】
これ以外にも、計量ホッパ8aごとの零点調整回数も操作設定表示器24に表示する。或る時点で、各計量ホッパ8aの零点調整回数を比較すると、回数が多いほど零点変動量が平均的に大きいことを意味するので、この値もメンテナンス情報として有用である。
【0040】
各ロードセル8bに対する零点調整は、
図3に示すように演算制御部16内に各計量器8に対応して設けられた自動零点調整手段、例えば複数のサブ演算回路16aによって行われる。演算制御部16は、この他に主演算回路16bを有し、主演算回路16bは、組合せ演算、供給ホッパ8ゲート6a、計量ホッパゲート8c、8d、メモリホッパゲート10a、分散装置振動源2b、直進フィーダ振動源4bの制御を行う。
【0041】
各サブ演算回路16aには、対応するロードセル8bの計量信号をA/D変換部14でA/D変換したA/D変換値Wadが供給される。計量ホッパ8aに収容された物品の重量測定値Wnは、Wadをサブ演算回路16aに入力して、
Wn=K・(Wad−Wi)−Wz
の演算を行うことによって得られる。Kはスパン係数、Wiは計量ホッパ8aの風袋荷重やロードセル8bの初期零点移動量である。計量ホッパ8aから物品を排出して、計量ホッパ8aが空で排出安定待ち時間が経過したときの重量値Wnが零点重量値である。この零点重量値は、ロードセル8bの零点がドリフトしたり、計量ホッパ8aに物品が付着したりすると、変動する。
【0042】
零点調整操作によって、Wn+Wzの値をWzに入れると、零点重量値Wnが0で無い場合に、Wnを0とすることができる。この操作が、零点調整である。
【0043】
前回に零点調整を行ってWn=0とし、零点調整実施間隔Pxの後に、計量ホッパ8aを空にして、排出待ち時間後に測定したWnが今回の零点重量値であり、前回からの零点変動量WDxでもある。
【0044】
以下、この組合せ秤における零点調整操作について、
図4及び
図5を参照しつつ概略的に説明する。まず、上述した零点変動許容値esと標準零点調整実施間隔Psを定めて設定し(図示省略)、標準変動率Rsを算出し、記憶させる。運転開始時には一般に零点変動速度が大きいことを考慮し、この標準零点調整実施間隔Psより小さい値のP1を設定する。初期値として設置されたP1は、零点調整実施間隔及び適正零点調整実施間隔として、操作設定表示器24に表示される。
【0045】
各計量器8が一斉に零点調整を行うと組合せ演算が不能となるので、基本的には各計量器8の間で零点調整のタイミングが重ならないように各計量器の零点調整タイミングのデフォルト値を定める。例えば計量器8が計量器81乃至810の10台であるとすると、各計量器の零点調整実施間隔p1を
p1=P1/10とし、
図4に示すように計量器81乃至810の順に零点調整実施間隔をp1ずつずらせる。回数間隔P1を1期間、2期間と2つ設け、各計量器81乃至810に対してP1の間隔で零点調整を2回実施させることを目標とする。但し、各計量器が零点調整タイミングとなったときに、その計量器が組合せに選択されているとは限らないので、つまり組合せ選択によって収容物品を排出し、零点計測ができる状態になるとは限らないので、零点調整をすべきタイミングになった以降に、組合せに選択されたときに、零点調整を実施する。
【0046】
例えばP1が200であるとすると、p1は20で、計量器81は、20回組合せが選択されたとき以降に組合せに選択されたとき零点調整を行い、計量器82は40回組合せが選択されたとき以降に組合せに選択されたとき零点調整を行い、・・・・計量器810は200回組合せが選択された以降に組合せに選択されたとき零点調整を行う。これが1期間目である。計量器81は、更に220回(20(=p1)+200(=P1))組合せが選択されたとき以降に組合せに選択されたとき零点調整を行い、計量器82は240回組合せが選択されたとき以降に組合せに選択されたときに零点調整を行い、・・・・計量器810は400回組合せが選択されたとき以降に組合せに選択されたときに零点調整を行う。
【0047】
そして、計量器81は、2期間目における零点調整が行われた後、20回組合せが成立して以降に零点調整されたときの零点重量値と、220回組合せが成立して以降に組合せに選択されて零点調整された時の零点重量値との差から計量器81の零点変動量WDx1を求める。計量器82は、2期間目における零点調整が行われた後、40回組合せが成立して以降に組合せに選択されて零点調整された時の零点重量値と、240回組合せが成立して以降に組合せに選択されて零点調整された時の零点重量値との差から計量器82の零点変動量WDx2を求める。・・・計量器810は、2期間目における零点調整が行われた後、200回組合せが成立して以降に零点調整された時の零点重量値と、400回組合せが成立して以降に組合せに選択されて零点調整された時の零点重量値との差から計量器810の零点変動量WDx10を求める。
【0048】
このように2期間目に計量器810の零点調整が終了した時点では、全ての計量器81乃至810の零点変動量WDx1乃至WDx10が揃っているので、これらの絶対値|WDx1|乃至|WDx10|の平均値|WDx |avと回数P1とによって全ての計量器81乃至810についての零点の平均変動率Rxavを
Rxav=|WDx|av/P1
によって求め、2回目の零点調整実施間隔P2を
P2=k・Ps(Rs/Rxav)
によって求める。但し、Rsは、
Rs=0.3es/Ps
によって求めている。こうして求めたP2は、現在の零点変動率であるとき、零点変動量が規定の値以上になる前に、零点調整が実施される間隔であり、適正零点調整実施間隔と呼ぶ。
【0049】
P2が算出されると、P2は現時点における適正零点調整実施間隔として操作設定表示器24に表示される。なお、現時点の零点調整実施間隔としては、P1が運転スタート時から操作設定表示器24に表示されている。但し、1回目の期間の直前の計量器810の零点計測が実施されるまでに操作設定表示器24の零点調整実施間隔変更スイッチが操作されていなかった場合、2回目もP1の期間に基づいて各計量器の零点調整が行われる。
【0050】
これ以降も零点調整実施間隔変更スイッチが操作されない限り、次の回の各計量器の零点変動量に基づいて、更に次の回が開始される直前に適正零点調整実施間隔が算出され、表示は更新されるが、表示された間隔では零点調整は実施されない。そして、現時点の零点調整実施間隔はP1のままである。
【0051】
図5は、例えば2回目の零点調整実施間隔の中に零点調整実施間隔変更スイッチが操作された場合を表している。2回目に計量器810の零点調整が終了した時点で、2回目の間隔における各計量器の零点変動量に基づいて3回目の現時点における適正零点調整実施間隔値P3が算出される。そして、P3を適正零点調整実施間隔値として操作設定表示器24に表示されると共に、現時点の零点調整実施間隔値をP1からP3に更新して操作設定表示器24に表示させる。
【0052】
そして、p3=P/10として回数間隔値p3が決定され、計量器810以降の計量器の零点調整の間隔をp3とする。以下、同様にして、零点調整が行われる。
【0053】
零点調整実施間隔は組合せ精度に関係するので、稼動運転中に、現在どれぐらいの間隔で各計量ホッパ8aの自動零点調整が実施されているか、現時点での適正な零点調整実施間隔はいくらであるか、または、被計量物が計量ホッパ8aに付着する場合における各計量ホッパ8aごとの零点変動量若しくはその平均値がいくらであるかを、認識することはメンテナンス上、重要な情報であるので、これらの値を操作設定表示器24に表示させる。なお、零点調整実施間隔は、各計量ホッパ8aの零点変動量の平均値を用いて決定したが、各零点変動量のうち最も速いものを表している零点変動量の絶対値の最大値に基づいて決めてもよい。
【0054】
上述した零点調整を実施するために、演算制御部16が行う処理を説明する。この処理によって、演算制御部16が、零点調整間隔生成手段として自動零点調整間隔を定め、かつ修正手段として修正を行う。この処理を行うために、演算制御部16には、
図6に示す回数カウンタが設けられている。このカウンタは、各計量器81乃至810に対応し、各計量器ごとに1期間目と2期間目のカウンタを備えている。
【0055】
即ち、計量器81の1期間目のカウンタはC11で、2期間目のカウンタはC21で、計量器82の1期間目のカウンタはC12で、2期間目のカウンタはC22で、・・・・計量器810の1期間目のカウンタはC110で、2期間目のカウンタはC210である。組合せ秤の運転開始時点では、C11にはp1が、C21にはp1+10p1(=p1+P1)が、C12には2p1が、C22には2p1+10p1(=2p1+P1)が、・・・・C110には10p1が、C210には10p1+10p1(=10p1+P1)が、それぞれ記憶され、基本的には、組合せ選択が成立するごとに、そのカウント値が−1される。
【0056】
また、演算制御部16には、
図7(a)に示す実施要請レジスタも設けられている。これも各計量器81乃至810ごとに1期間用と2期間用とが設けられ、計量器81乃至810において計量ホッパ内の物品が排出されて、その後に荷重信号が安定して、零点調整可能となると、零点調整可能となったのが1期間目であれば、その計量器の1期間目のレジスタに1がサインビットとしてセットされ、零点調整可能となったのが2期間目であれば、その計量器の2期間目のレジスタに1がサインビットとしてセットされる。
【0057】
また、演算制御部16には、
図7(b)に示す零点調整実施済みレジスタも設けられている。これも各計量器81乃至810ごとに1期間用と2期間用とが設けられ、零点調整が実施済みとなると、零点調整実施済みとなったのが1期間目であれば、その計量器の1期間目のレジスタに1がサインビットとしてセットされ、零点調整実施済みとなったのが2期間目であれば、その計量器の2期間目のレジスタに1がサインビットとしてセットされる。
【0058】
図8に示すように、演算制御部16の主回路16bは、まず
図6の運転スタート時に示すように、回数カウンタにそれぞれ上述したデフォルト値を設定し、零点調整実施間隔レジスタにP1を記憶させる(ステップS2)。次に、組合せ秤が運転停止であるか判断する(ステップS4)。この判断の答えがイエスの場合、判断の答えがノーになるまで、ステップS4を繰り返す。
【0059】
この判断の答えがノーの場合、各計量器8の重量値の読み込みタイミングであるか判断する(ステップS6)。この判断の答えがイエスの場合、各計量器8の重量値を読み込む(ステップS8)。次に、組合せ演算を行い、組合せ選択が成立したか判断する(ステップS10)。
【0060】
ステップS10の判断の答えがイエスの場合、全ての回数カウントの値を−1する(ステップS12)。例えば先の例で言えば、運転スタートして初めて組合せ選択が成立したとき、計量器81の第1期間目のカウンタC11の値は、20から19となり、第2期間目のカウンタC21の値は、210から209となり、計量器82の第1期間目のカウンタC12の値は40から39となり、計量器82の第2期間目のカウンタC22の値は240から239となり、・・・計量器810の第1期間目のカウンタC110の値は200から199になり、第2期間目のカウンタC210の値は400から399となる。なお、カウンタの内容が既に0または後述するFである場合には、−1しない。
【0061】
次に、各回数カウンタのうち値が0に到達したものがあるか判断する(ステップS14)。この判断の答えがイエスであると、回数カウンタの値が0になった計量器及び期間の零点調整実施要請レジスタのサインビットを1にセットし、0に到達した回数カウンタにはFをセットする(ステップS16)。この時点で、いずれの計量器で零点調整可能であるかが、零点調整実施要請レジスタの内容を確認することによって判明する。なお、回数カウンタにFをセットするのは、回数カウンタの値が重複読み取りされることを防止するためである。
【0062】
例えば上記の例で言えば、運転開始時から組合せ選択が20回成立すると、計量器81に対応する第1期間のカウンタC11が0となるので、零点調整実施要請レジスタの計量器81の第1期間に対応する領域に1がサインビットとしてセットされ、カウンタC11にFがセットされる。
【0063】
次に、
図9に示すように、零点調整するべき計量器があるか判断する(ステップS18)。これは、零点調整実施要請レジスタのうち1のものがあるか判断することによって行われる。この判断の答えがイエスの場合、零点調整操作実施可能な状態であるか判断する(ステップS20)。即ち、零点調整実施要請レジスタが1にセットされている計量器が組合せ選択されているか判断する。
【0064】
この判断の答えがイエスであると、零点調整実施要請レジスタの該当する計量器、期間のサインビットをリセットし(ステップS22)、零点調整済みレジスタの該当する計量器、期間のサインビットを1とする(ステップS24)。例えば、上記の例で言えば、零点調整実施要請レジスタの計量器81の第1期間に対応する領域がリセットされ、零点調整実施済みレジスタの計量器81の第1期間に対応する領域に1がサインビットとして設定される。
【0065】
そして、零点調整実施済みレジスタのサインビットが1となっている計量器に対応するサブ演算回路16aに、零点調整の実施が指令される(ステップS26)。なお、零点調整実施済みレジスタのサインビットが1となっている計量器が複数同時に存在する可能性もあるが、この場合、基本的には計量器番号が小さくて、零点調整間隔が小さい計量器を優先して、零点調整する。例えば零点調整実施済みレジスタの計量器81と83とに対応する領域のサインビットが同時に1になっていると、計量器81が優先的に零点調整される。
【0066】
ステップS26に続いて、或いは、ステップS6、S10またはS14の判断の答えがノーの場合、サブ演算回路16aから零点重量の出力があるか判断する(ステップS28)。この判断の答えがノーの場合、ステップS4から再び実行する。
【0067】
ステップS28の判断の答えがイエスの場合、
図10に示すように、零点重量値を読み取り、計量器別、期間別の零点重量値を記憶させる(ステップS30)。そして、第1期間目及び第2期間目の零点重量値が共に求められた計量器では、零点変動量を、第2期間目の零点重量値−第1期間目の零点重量値として算出する(ステップS32)。
【0068】
ステップS32に続いて、全ての計量器に対して当回の零点調整が全て完了したか判断する(ステップS34)。当回とは、例えば
図4に示す1回目、2回目のように、それぞれが第1期間と第2期間とからなり、全ての計量器8に対して2回にわたって零点調整を行っている期間を言う。
【0069】
この判断の答えがノーの場合には、
図8のステップS4から再び実行する。この判断の答えがイエスの場合、第1期間及び第2期間の零点調整済み用レジスタをリセットし、次の回の期間Pxを上述したように算出し、Px(
図5の場合、Px=P2)の値を操作設定表示器24に表示し、ステップS32で算出した各計量ホッパの零点変動量及びこれらの平均値を操作設定表示器に表示する(ステップS36)。
【0070】
次に、既に零点調整実施間隔変更スイッチが操作されているか判断する。即ちフラグFdが1であるか判断する(ステップS38)。操作されていなければ、フラグFd=0で、その場合(ステップS38の判断の答えがノーの場合)、零点実施間隔レジスタから前回の零点実施間隔値を読み出し、その呼び出した零点実施間隔値によって上述したように各回数カウンタの値を算出して設定し(ステップS40)、ステップS4に戻る。零点調整実施間隔変更スイッチが操作されていれば、フラグFd=1であるので(ステップS38の判断の答えがイエスであるので)、Pxの値に基づいてpxを算出し、各回数カウンタにセットし、零点変動間隔レジスタにPxの値をセットし、Pxの値を操作設定表示器24に表示する(ステップS42)。
【0071】
例えば、
図5のように、2回目の実施期間中に零点調整実施間隔変更スイッチが操作されると、PxとしてP3を算出し、これに基づいて零点調整実施間隔pxとしてp3を算出し、回数カウンタの各計量器81乃至810に対応するカウンタC11、C21、C12、C22、・・・C110、C210に、p3、p3+10p3、2p3、2p3+10p3、・・・10p3、10p3+10p3をセットする。なお、許容最小間隔をPs/2、許容最長間隔を2Psと定め、図示は省略したが、上述したように算出したPxが許容最小間隔以下になる場合には、P2の値をPs/2にするし、許容最長間隔2Ps以上の値になる場合には、2Psにする。 そして、フラグFdを0にリセットし、変更指示表示をリセットし、ステップS4に戻る(ステップS44)。
【0072】
図11に、零点調整実施間隔変更スイッチに対する処理を示す。この処理では、まず零点調整実施間隔変更スイッチがオンであるか判断し(ステップS46)、その答えがノーであれば、この処理を終了する。ステップS48の判断の答えがイエスの場合、操作設定表示器24に変更指示ONと表示し(ステップS48)、フラグFdを1にセットし(ステップS50)、この処理を終了する。
【0073】
図示は省略したが、適正零点調整実施間隔Pxを決定する際に算出された零点変動率による零点変動量WDmを、計量器81乃至810ごとに算出し、WDmが算出されるごとに、操作設定表示器24に表示する。即ち、操作設定表示器24と主演算回路16bとが、零点調整実施間隔・零点変動量関連情報表示手段として機能する。この零点変動量WDmは、ステップS36において算出することもできるし、ステップS32において零点変動量を算出するごとに、算出することもできる。
【0074】
零点変動量WDmを算出した場合、WDmを予め定めた許容値と比較し、許容値を超える零点変動量が生じているとき、警報信号を出力し、その旨を操作設定表示器24に表示する。即ち、操作設定表示器24と主演算回路16bとが、零点変動量警報手段としても機能する。
【0075】
また、各計量器81乃至810に対応して、零点調整回数をカウントするカウンタが主演算回路16b内に設けられている。対応する計量器の零点重量値がサブ演算回路16aから読み取られると、零点調整されたと判断して、そのカウント値を1つ増加させ、各カウンタの値を操作設定表示器24に表示する。即ち、操作設定表示器24と主演算回路16bとが、零点調整回数表示手段としても機能する。
【0076】
図12に、零点調整実施間隔変更スイッチが、或る計量器、例えば計量器86の自動零点調整を実施するまでの間隔のカウント中に押された場合に行われる別の零点調整実施間隔の変更方法を示す。
【0077】
零点調整実施間隔変更スイッチが押されたとき、現在算出され、表示されている適正零点調整実施間隔、例えばP2の値によって回数カウンタC16、C26・・・C110、C210、C11、C21、・・・・C15、C25に、p2、p2+10p2、2p2、2p2+10p2、・・・・10p2、10p2+10p2を設定し、次の計量器86を、計量器81に代えて基点として、零点調整実施間隔P2によって自動零点調整を行う。
【0078】
上記の実施形態では、計量器8の台数を10台としたが、これに限ったものではなく、任意に増減させることができる。上記の実施形態では、メモリホッパ10を設けたが、場合によっては除去することもできる。上記の実施形態では、次回の零点調整実施間隔Pxを Px=k・Ps(Rs/Rx)と算出して修正したが、これに限ったものではなく、今回の零点変動率RxがRsよりも大きいときには、予め定めた値Paだけ次回の零点調整実施間隔を今回の零点調整実施間隔Pxより小さくし、今回の零点変動率RxがRsより小さいときには、次回の零点調整実施間隔Pxを、予め定めた値Paだけ今回の零点調整実施間隔Pxより大きい値に修正してもよい。また、上記の実施形態では、全ての計量器81乃至810の零点変動量WDx1乃至WDx10の絶対値|WDx1|乃至|WDx10|の平均値|WDx|avと回数P1とによって全ての計量器81乃至810についての零点の平均変動率Rxavを算出し、これによって全ての計量器81乃至810の次回の零点調整実施間隔を修正したが、例えば計量器81に対しては、その零点変動量WDx1の絶対値と回数P1とによって計量器81の零点の変動率を算出し、これによって計量器81の零点調整実施間隔を修正することもできる。他の計量器82乃至810に対しても同様である。
【0079】
別の実施形態として、零点調整実施間隔のプログラム制御を、例えば下記のように実施することもできる。稼動運転開始後の時間経過量を上記の実施形態と同様に、組合せ選択の実施回数としてカウントし、稼動運転開始時点からの零点調整の実施間隔を、稼動運転開始時点からの時間経過量である組合せ選択回数が0の時点でT1、T1に到達した時点でT2、T1+T2に到達した時点でT3、T1+T2+T3に到達した時点以降はT4(但しT1<T2<T3<T4)を、主演算回路16aに設けた設定手段、例えば自動零点調整間隔設定手段に設定する。時間経過量がT4に到達すると、運転終了まで実施間隔T4の一定値で零点調整が繰り返されるように設定する。即ち、組合せ秤の運転開始直後は、組合せ秤自身及び周囲の温度が不安定であるので、零点変動速度が速く、稼動運転時間の経過に応じて温度が安定すると、零点変動速度が遅くなるので、零点変動速度の状況に応じて次第に零点調整間隔を長くするように設定している。
【0080】
稼動運転開始直後は実施回数T1で表示を開始し、
図4と同様に各計量器の零点調整を実施し、組合せ選択回数をカウントして設置値T1と比較し、T1と一致した時点で次の実施間隔T2を呼び出し、2回目は設定値T2を表示する。そして、組合せ選択回数がT1+T2に到達した時点で次の実施間隔T3を呼び出し、3回目は設定値T3を表示する。組合せ選択回数がT1+T2+T3に到達した時点の4回目以降は、設定値T4を表示する。これらは実施回数の大きさに応じた、即ち稼動運転開始からの経過時間の長さに応じた適正実施間隔値の表示値である。
【0081】
作業者が零点調整実施間隔変更スイッチ押したとき、零点調整の実施間隔がプログラムに設定された現在の適正実施間隔の表示値に変更される。もし作業者が、ラインの都合等で零点調整実施間隔変更スイッチを押さなければ、零点調整実施間隔は、変更されない。現在実施中の零点調整実施間隔を適正実施間隔と共に表示させることが望ましい。
【0082】
また各計量器のそれぞれにおいて、零点計測タイミングに零点重量値の変動量を求める度に、前回の零点計測タイミングから今回の零点計測タイミングまでの零点変動量、及び、その間における予め定めた所定の間隔当たりの零点変動量を算出して、運転開始からの経過時間と共に表示させると、稼動運転開始からの時間経過量に応じた各計量器の零点変動量の違いが作業者に容易に把握できるので、零点調整の実施間隔に関する適切なプログラム設定ができるようになる。
【0083】
なお、零点調整実施間隔をT1乃至T4としたが、例えばT1乃至T3の3つとして、組合せ選択回数がT1+T2に到達した時点以降、零点調整実施間隔をT3とすることもできるし、或いは、零点調整実施済み間隔をT1乃至T5として、組合せ選択回数が、T1+T2+T3に達した時点で設置値T4で実施し、組合せ選択回数がT1+T2+T34に到達した時点以降は、実施間隔T5で実施することもできる。また、各計量ホッパの運転時間の経過に伴う零点変動量の大きさの違いによって、例えばT3>T4と設定することもできる。