(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インピーダンス演算部は、前記生体の周波数毎のインピーダンスと、予め設定された前記生体のインピーダンスの周波数特性とに基づいて前記生体の他の周波数のインピーダンスを推定する請求項1に記載の人体通信装置。
前記電流印加部は、電圧に応じて出力する電流の値を制御する電圧制御定電流回路を備え、前記制御部は、前記生体の周波数毎のインピーダンスに基づいて前記電圧制御定電流回路に印加する電圧を制御する請求項1に記載の人体通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、通信装置(人体通信装置)4が駅務システム1に適用される場合の例を示す説明図である。
【0009】
図1は、通信装置(人体通信装置)4が駅務システム1に適用される場合の例を示す説明図である。
【0010】
駅務システム1は、利用者が所持する通信装置2と、通信パッド3と、少なくとも一対の改札機4と、を備える。
【0011】
通信装置2は、利用者の人体に電流を流して人体近傍に電界を発生させる。また、通信装置2は、利用者の人体近傍を伝搬する電界を検知することができる。
【0012】
通信パッド3は、人体近傍に発生した電界を検知する。また、通信パッド3は、媒質に対して電流を流して媒質近傍に電界を発生させることにより、人体近傍に電界を伝搬させる。通信パッド3は、例えば改札機4の通路に設けられる。
【0013】
通信装置2は、利用者の人体に電流を流して人体近傍に電界を発生させることにより、通信パッド3に信号を送信することができる。また、通信装置2は、利用者の人体近傍を伝搬する電界を検知することにより、通信パッド3から送信された信号を受信することができる。即ち、通信パッド3は、改札機4の通路を通過する利用者の所持する通信装置2と信号を送受信することができる。
【0014】
一対の改札機4は、通路5を形成する本体6と、ドア7と、制御部8とを備える。ドア7は、制御部8の制御に応じて通路5を塞ぐように動作する。制御部8は、通信パッド3に接続されている。制御部8は、通信パッド3を介して通信装置2から受信した信号に基づいて利用者の通路5の通行を許可するか否かを判定する通行判定を行う。制御部8は、通行判定が可である場合にドア7を動作させず、通行判定が不可である場合に通路5を塞ぐようにドア7を動作させる。また、制御部8は、通信装置2に送る信号を通信パッド3を介して通信装置2に入力する。このように、駅務システム1は、通信装置2と通信パッド3とが通信を行うことによって改札機4を動作させることができる。
【0015】
以下
図2乃至5を用いて通信装置2の構成について説明する。
図2は、通信装置2の構成の例を示す。
図2に示すように、通信装置2は、印加電極部11、測定電極部12、電流印加部13、電圧測定部14、及び制御部15を備える。
【0016】
印加電極部11は、通信装置2を利用者が装着した場合に生体(人体)と接触する少なくとも2つ以上の電極を備える。印加電極部11の電極は、銅、または銀などの金属により構成される。また、印加電極部11の電極は、ポリイミドフィルム、またはセラミックスなどの絶縁体が人体の間に介在された金属によって構成されていてもよい。印加電極部11は、電流印加部13から供給された電流を電極によって生体に印加する。
【0017】
測定電極部12は、通信装置2を利用者が装着した場合に生体(人体)と接触する少なくとも2つ以上の電極を備える。測定電極部12の電極は、印加電極部11の電極と同様の材料により構成される。測定電極部12は、生体に誘起された電圧を電極により受け取り電圧測定部14に入力する。例えば、測定電極部12は、2つの電極間に生じる電圧を電圧測定部14が測定可能な状態で電圧測定部14に供給する。より具体的には、測定電極部12は、2つの電極間に生じる電圧をアナログ信号として電圧測定部14に供給する。なお、印加電極部11と測定電極部12とは同一のものであってもよい。即ち、2つ以上の電極が、印加電極部11及び測定電極部12として共有される構成であってもよい。これにより、通信装置2のサイズを低減することができる。
【0018】
電流印加部13は、制御部15から供給されたデータに対して処理を施し通信用の信号を印加電極部11に供給する。これによって、電流印加部13は、生体に電流を流し、生体近傍に信号に応じた電界を生じさせる。
図3は、通信装置2の電流印加部13の構成の例を示す。
図3に示すように、電流印加部13は、Digital/Analog(D/A)変換部21、送信フィルタ部22、及び電流制御部23を備える。
【0019】
D/A変換部21は、デジタル信号をアナログ信号に変換する。D/A変換部21は、制御部15から供給されたデータをアナログ信号に変換する。
【0020】
送信フィルタ部22は、D/A変換部21により変換されたアナログ信号に対して信号処理を施す。送信フィルタ部22は、例えば、アナログ信号の所定の周波数帯域の信号を減衰させるフィルタリング処理を行う。また、送信フィルタ部22は、例えば、アナログ信号の強度の周波数特性を予め設定された特性に調整する構成であってもよい。
【0021】
電流制御部23は、送信フィルタ部22により信号処理が施されたアナログ信号に対して制御部15の制御に基づいて処理を施し、処理を施したアナログ信号を印加電極部11を介して生体に流す。電流制御部23は、生体に流れるアナログ信号が予め設定されたアンペア以下になるように処理を施す回路部である。電流制御部23は、例えば、電圧によって出力する電流を制御する電圧制御定電流回路を備える。具体的には、電流制御部23は、電圧制御定電流回路として、増幅器回路を使用したHowland回路を備える。また、電流制御部23は、抵抗を可変可能な回路、出力する信号の電圧を可変可能な回路、または実際に流れる電流に基づいて信号の電圧を調整する回路を備える構成であってもよい。
【0022】
電圧測定部14は、通信パッド3などの外部装置から測定電極部12を介して通信装置2に送信された信号を受信する。電圧測定部14は、例えば、測定電極部12の2つの電極間に生じた電圧を測定することによって、通信パッド3などの外部装置から通信装置2に送信された信号を受信する。
図4は、通信装置2の電圧測定部14の構成の例を示す。
図4に示すように、電圧測定部14は、Analog/Digital(A/D)変換部31、及び信号処理部32を備える。
【0023】
A/D変換部31は、信号処理部32から供給されたアナログの信号をデジタルの信号に変換する。A/D変換部31は、測定電極部12から供給されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換部31は、デジタル信号を制御部15に供給する。
【0024】
信号処理部32は、測定電極部12により受信したアナログ信号に対して信号処理を施す。信号処理部32は、信号処理を施したアナログ信号をA/D変換部31に供給する。信号処理部32は、少なくとも1つ以上の電圧増幅部33、及び少なくとも1つ以上の受信フィルタ部34を備える。
【0025】
電圧増幅部33は、測定電極部12により得られたアナログ信号を増幅する。即ち、電圧増幅部33は、測定電極部12の2つの電極間に生じる電圧を増幅する。電圧増幅部33は、予め設定された増幅度で電圧を増幅する構成であってもよいし、制御部15の制御に基づいて増幅度を可変する構成であってもよい。また、電圧増幅部33は、増幅度が1である電圧フォロワ回路を備える構成であってもよい。
【0026】
受信フィルタ部34は、測定電極部12により得られたアナログ信号の所定の周波数帯域の信号を減衰させるフィルタリング処理を行う。受信フィルタ部34は、例えば、アナログ信号の強度の周波数特性を予め設定された特性に調整する構成であってもよい。受信フィルタ部34は、抵抗、インダクタ、及びキャパシタなどの受動素子が組み合わせられた回路を備える構成であってもよいし、制御部15の制御に基づいて動作するオペアンプなどの能動素子によって構成されたアクティブフィルタを備える構成であってもよい。
【0027】
制御部15は、送信するディジタル信号の生成、受信したディジタル信号の解析、及び生体のインピーダンスの演算、並びに記憶領域へのデータの書き込み及び読み出しを行う。また、制御部15は、電流印加部13、及び電圧測定部14の動作を制御する。制御部15は、電流印加部13に対してディジタル信号を入力することにより、生体にディジタル信号に応じた電流を流すことができる。また、制御部15は、電圧測定部14から受信したディジタル信号を解析することにより、生体を介して他の機器から送信されたデータを取得することができる。
【0028】
制御部15は、例えば、フラッシュメモリ、またはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの記憶領域を持つマイクロコントローラによって構成される。また、制御部15は、例えば、FPGA(FieldProgrammable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などによって構成されていてもよい。
図5は、通信装置2の制御部15の構成の例を示す。
図5に示すように、制御部15は、動作制御部41と、通信信号演算部42と、インピーダンス演算部43と、データ保存部44と、を備える。
【0029】
動作制御部41は、数値演算、及び通信制御のための演算を行う。即ち、動作制御部41は、送信するディジタル信号の生成、電圧測定部14から供給されたディジタル信号の解析、並びに記憶領域へのデータの書き込み及び読み出しを行う。動作制御部41は、マイクロコントローラにおけるプログラムとして実装することが可能である。例えば制御部15がFPGAまたはPLDによって構成されている場合、上記のプログラムと同等の動作を行うロジック回路によって動作制御部41が構成されていてもよい。また、マイクロコントローラ動作を行う回路を制御部15が備えることにより動作制御部41が構成されていてもよい。
【0030】
通信信号演算部42は、送受信を行う際にディジタル信号に対して符号化、復号化、誤り訂正処理、スクランブル処理、及びインターリーブ処理などを行う。通信信号演算部42は、少なくとも2つ以上の周波数を生成して上記の処理に用いる。通信信号演算部42は、例えば、生体の細胞の構造的な状態が生体のインピーダンスに反映されやすい周波数帯域である1kHz〜10MHzから少なくとも2つの周波数を生成する。例えば、通信信号演算部42は、OFDM方式に基づいて複数の周波数を生成する。より具体的には、通信信号演算部42は、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)の通信規格であるITU-T G.9902、ITU-TG.9903、及びITU-T G.9904などの通信方式の物理層の仕様に基づいて、上記の符号化、復号化、誤り訂正処理、スクランブル処理、及びインターリーブ処理などの処理を実行する。
【0031】
通信信号演算部42は、送信するディジタル信号に対して上記の処理を行い、アナログ変換された場合に少なくとも2つ以上の周波数のアナログ信号に変換されるディジタル信号を生成する。即ち、通信信号演算部42は、少なくとも2つ以上の周波数のディジタル信号を生成する。また、通信信号演算部42は、受信したディジタル信号に対して上記の処理を行うことにより、少なくとも2つ以上の周波数のディジタル信号を解析することができる。
【0032】
インピーダンス演算部43は、生体のインピーダンスを演算する。インピーダンス演算部43は、電流印加部13によって印加電極部11を介して生体に対して印加された電流の電流値と、電圧測定部14で測定された電圧の値とに基づいて、生体のインピーダンスの演算を行う。インピーダンス演算部43は、マイクロコントローラにおけるプログラムとして実装することが可能である。例えば制御部15がFPGAまたはPLDによって構成されている場合、上記のプログラムと同等の動作を行うロジック回路によって動作制御部41が構成されていてもよい。また、マイクロコントローラ動作を行う回路を制御部15が備えることにより動作制御部41が構成されていてもよい。
【0033】
インピーダンス演算部43は、複数の周波数毎に生体のインピーダンスを算出する場合、フーリエ変換を行う。即ち、インピーダンス演算部43は、受信した信号の電圧及び送信した信号の電流をそれぞれ時系列で並べたデータ(電圧及び電流の時系列データ)をそれぞれフーリエ変換を行うことで電圧周波数特性および電流周波数特性を算出する。インピーダンス演算部43は、電圧周波数特性を電流周波数特性で割り算することによってそれぞれの周波数毎の生体のインピーダンスを算出する。そして通信に使用する周波数に対応したインピーダンスを選択することによって、通信に使用する周波数でのインピーダンスを得ることができる。インピーダンスを算出するうえでノイズを低減するために時系列データに対して平均化処理やフィルタ処理などを含めることもできる。
【0034】
データ保存部44は、フラッシュメモリ、またはEEPROMによって構成される。また、データ保存部44は、マイクロコントローラのプログラムが書き込まれた記憶領域とは異なる記憶領域によって構成されていてもよい。データ保存部44は、インピーダンス演算部43によって算出された周波数毎の生体のインピーダンスを保存する。また、データ保存部44は、通信信号演算部42からの要求に応じて保存している周波数毎の生体のインピーダンスを出力する。また、データ保存部44は、例えば通信パッド3などの外部の機器からの要求に応じて保存している周波数毎の生体のインピーダンスを出力する構成であってもよい。
【0035】
図6は、通信装置2の動作の例を示すフローチャートである。なお、通信装置2の印加電極部11及び測定電極部12が生体に接触している状態であるとする。
【0036】
通信装置2の制御部15は、電圧測定部14を制御し、生体に誘起された電圧を測定する(ステップS11)。電圧測定部14は、生体に誘起されて測定電極部12の電極に印加された電圧を増幅し、A/D変換し、ディジタル信号を制御部15に入力する。これにより制御部15は、生体に誘起された電圧の周波数毎の値を取得する。
【0037】
制御部15は、自身が送信動作を行っているか否かを判定する(ステップS12)。即ち、制御部15は、何らかのディジタル信号を電流印加部13に入力し、電流印加部13から生体に対して電流を印加することによって、信号を送信する動作を行っているか否か判定する。
【0038】
自身が送信動作を行っていない場合(ステップS12、No)、制御部15は、ステップS16に移行し、通信動作を実行する。即ち、制御部15は、電圧測定部14及び測定電極部12により受信した信号の処理する受信動作、または上記の送信動作を実行する。
【0039】
自身が送信動作を行っている場合(ステップS12、Yes)、制御部15は、0インピーダンス演算部43によって送信に使用している送信電流の電流値、およびステップS11で測定した測定電圧から生体の周波数毎のインピーダンスであるよりインピーダンス特性を算出する(ステップS13)。
【0040】
制御部15は、生体の周波数毎のインピーダンスに基づいて、周波数毎に電流制御部23に印加する電圧を算出する(ステップS14)。制御部15は、電流制御部23から出力されて生体に流れる電流が、予め設定された電流値未満になるように、周波数毎に電流印加部13に印加する電圧を算出する。制御部15は、算出した電圧値を用いて各周波数毎に電流印加部13を制御することにより、電流印加部13から生体に流れる電流を予め設定された電流値未満にすることができる。
【0041】
制御部15は、インピーダンス演算部43により算出した生体の周波数毎のインピーダンスをデータ保存部44に保存する(ステップS15)。またさらに、制御部15は、生体の周波数毎のインピーダンスに基づいて算出した電圧制御定電流回路に印加する周波数毎の電圧の値をデータ保存部44に保存する。
【0042】
制御部15は、電圧測定部14及び測定電極部12により受信した信号の処理する受信動作、及び、電流印加部13及び印加電極部11により生体に対して電流を流して信号を送信する送信動作を実行し(ステップS16)、処理を終了する。
【0043】
上記のように通信信号演算部42は、2つ以上の周波数を用いて通信用の信号を生成することにより、1つの周波数の信号の伝送が生体の状態によって困難である場合であっても、外部電源環境のノイズに対して耐性を高めてより安定な通信を行うと共に、複数の周波数にデータを分割して伝送させることにより、通信速度を向上させることができる。
【0044】
またさらに、通信装置2は、生体に対して複数の周波数の電流を印加し、且つ生体に誘起された電界の電圧を検出して、印加した電流値と検出した電圧値とに基づいて生体のインピーダンスを算出する。このように、通信装置2は、複数の周波数の信号の送信動作を行いつつ、生体のインピーダンスを算出する構成である為、生体におけるインピーダンスの特性の変化を高速に求めることができる。生体に電流を印加する場合、生体に悪影響を及ぼさない範囲の電流量で通信を行う必要がある。即ち、生体に流れる電流量が予め設定されたアンペア以下になるように制御する必要がある。しかし、電流印加部13は、算出された生体の周波数毎のインピーダンスを用いて印加電極部11を介して生体に流れる電流が予め設定された電流値以下になるように制御する。これにより、通信装置2は、通信時に生体に流れる電流によって生体に悪影響を及ぼすことを防ぐことができる。
【0045】
なお、1kHz〜10MHzの周波数帯域は、生体細胞の構造的な状態がインピーダンスに反映されやすい周波数帯域であるため、通信信号演算部42は、1kHz〜10MHzの周波数帯域の中で通信に用いる信号を複数の周波数で生成する。これにより、通信信号を用いたインピーダンス測定から生体の状態推定が行いやすくなる。
【0046】
なお、インピーダンス演算部43は、次のように生体のある周波数のインピーダンスに基づいて他の周波数のインピーダンスを推定する構成であってもよい。例えば、印加電極部11として非接触型または静電結合型の電極が用いられる場合、電極と生体との距離が長くなるのに従って入力インピーダンスが大きくなる為、低周波数の信号成分が高周波数の信号成分に比べ相対的に小さくなる。この結果、十分な強度の低周波数の信号成分を測定電極部12が受信することができない可能性がある。そこで、インピーダンス演算部43は、
図7に示す最尤推定曲線に基づいて、周波数毎の生体のインピーダンスを推定(最尤推定)を行うことにより、低周波数の生体のインピーダンスを算出する構成であってもよい。
【0047】
図7は、インピーダンス演算部43により算出したインピーダンス特性の例を示す説明図である。
図7のグラフの横軸は、インピーダンスの実部を示す。また、縦軸は、インピーダンスの虚部を示す。周波数毎の生体のインピーダンスを算出した場合、生体のインピーダンスの周波数特性は、数式1に示すCole−Coleの円弧則と呼ばれる式に従うことが多い。
【0049】
数式1のZは、インピーダンスを示す。数式1のZ
0は、周波数0[Hz]におけるインピーダンスを示す。数式1のZ
∞は、周波数∞[Hz]におけるインピーダンスを示す。数式1のfは、周波数を示す。数式1のτ
mは、中心緩和時間である。インピーダンス演算部43は、十分な強度の信号を測定電極部12によって得られず生体のインピーダンスを算出できなかった周波数が存在する場合、算出することができた生体のインピーダンスを用いてCole−Coleの円弧則に最尤推定を行い、上記の数式1のZ
0、Z
∞、f、τ
m、及びβを決定する。数式1のZ
0、Z
∞、f、τ
m、及びβを決定することができた場合、インピーダンス演算部43は、上記の数式1を用いて特定の周波数fの生体のインピーダンスの値を算出することができる。このような構成によると、通信装置2は、十分な強度の信号が得られた周波数のインピーダンスを用いて、他の周波数のインピーダンスを算出することができる。これにより、通信装置2は、生体の高周波数のインピーダンスから生体の低周波数のインピーダンスを算出することができる。
【0050】
また、上記のような構成によると、通信装置2は電力線搬送通信の規格に準拠した構成を備える。この為、
図8に示すように広告と一体に形成され、電力線搬送通信に対応した通信装置9が、電力線10を介して通信装置2に種々の情報を送信することができる。これにより、通信装置2を有する利用者が電力線10の近傍を通行した場合、通信装置9は、送信する情報に応じて電力線10に電界を発生させる。電力線10に発生した電界が、利用者の生体を介して通信装置2により検知される。この結果、通信装置2は、種々の情報を電力線10を介して取得することができる。これにより、通信装置9は、例えば広告に対応した情報を利用者の所持する通信装置2に送信することができる。
【0051】
なお、上記の例では、通信パッド3と通信をする例について説明したが、生体に装着された複数の通信装置2間で通信を行う場合であっても、通信装置2の動作は同じである。
【0052】
電力線搬送通信の通信規格であるITU-T G.9902、ITU-TG.9903、及びITU-T G.9904は、電力線環境における伝送路インピーダンスの変化、多数のノイズの存在など通信を行ううえで好ましくない環境においても安定に通信するための符号化方法などが採用されている。人体特性によりインピーダンスが変化するということは、通信を行ううえで、通信状態が変わりやすく通信には適していない環境であるといえる。そのため、これらの電力線搬送通信方式の通信方式を利用することによって、通信装置2は、生体のインピーダンス算出と、安定な通信とを同時に行うことが可能となる。この為、通信装置2は、少なくとも上記の通信方式に規定されたインターリーバの仕様に基づいて処理を行う。また、その他の誤り訂正符号なども上記の仕様とした場合には既存の上記の通信方式に準拠した通信IC を人体通信に使用することができる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。